説明

携帯無線電話装置

【課題】電子手帳のような小型の情報処理装置との簡単な情報転送方式が、携帯無線電話装置で行えるようにする。
【解決手段】赤外線信号の送信及び受信を行う赤外線信号送信部及び赤外線信号受信部と、赤外線受信部で受信した赤外線信号を復調して、復調信号に含まれる情報を、所定の送信コードに変換する第1の変換部と、第1の変換部で変換された送信コードを電波信号として無線送信する無線電話用送信部と、無線送信された電波信号を受信する無線電話用受信部と、無線電話用受信部で受信した受信信号に含まれる送信コードを復調し、赤外線信号として送信させるための送信コードに変換し、赤外線信号送信部から送信させる第2の変換部とを有する携帯無線電話装置とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子手帳などの小型の携帯用情報処理装置と通信を行う携帯無線電話装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子手帳などと称される小型の携帯用情報処理装置が各種開発されている。この装置は、比較的薄型で小型の筐体に、数字などを入力する複数のキーと、このキーにより入力された数字などを表示する液晶表示パネルとが取付けられ、内部に入力された数字,文字などの情報を記憶するメモリを備えて、電話番号,氏名,住所,スケジュールなどの情報を記憶して随時表示できるように構成される。
【0003】
ところで、このような携帯型の情報処理装置に入力されて記憶している情報は、この装置が備える表示パネルに表示させる以外に、他の情報処理装置に転送させて処理させることが考えられる。例えば、住所などの記憶情報を他の電子手帳に転送させて記憶させたり、或いはパーソナルコンピュータ装置に転送させて、転送された情報の集計やプリントアウトなどの処理を行うことが考えられる。
【0004】
このような情報の転送を行う場合には、例えば装置にメモリカードを装着できるスロットを設け、このメモリカードを使用して他の装置に転送させたり、或いはデータ出力端子にモデムと称される伝送用復調装置を接続して、このモデムにより復調されたデータを電話回線などを介して相手側の情報処理装置に転送させること等が考えられる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、このような従来の携帯型の情報処理装置で行われている情報の転送処理は、基本的にコンピュータ装置などで行われている転送処理をそのまま適用したもので、複雑で高価な構成で、電子手帳などの小型の携帯用装置に適した構成ではない。即ち、メモリカードを使用して転送させる場合には、このメモリカード自体が高価であると共に、このメモリカードを装着させるスロットを装置に設ける必要があり、それだけ装置が大型化してしまう。また、モデムを接続させる場合にも、このモデムが複雑な構成で高価であると共に、装置との間をケーブルなどで接続する必要があり、転送作業を行うのに手間がかかってしまう。
【0006】
本発明はかかる点に鑑み、電子手帳のような小型の情報処理装置との情報転送に適した携帯無線電話装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、赤外線信号の送信及び受信を行う赤外線信号送信部及び赤外線信号受信部と、赤外線受信部で受信した赤外線信号を復調して、復調信号に含まれる情報を、所定の送信コードに変換する第1の変換部と、第1の変換部で変換された送信コードを電波信号として無線送信する無線電話用送信部と、無線送信された電波信号を受信する無線電話用受信部と、無線電話用受信部で受信した受信信号に含まれる送信コードを復調し、赤外線信号として送信させるための送信コードに変換し、赤外線信号送信部から送信させる第2の変換部とを有する携帯無線電話装置としたものである。
【0008】
またこの場合に、赤外線信号送信部の代わりにスピーカを設け、このスピーカから出力される音声を出力するようにしたものである。
【0009】
さらにこの場合に、変換部でDTMF信号或いはDTMF信号に準じたコードに変換するようにしたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、所定のコードに変換して無線送信するので、ケーブルなどで送信側と受信側を接続する必要がなく、簡単に情報を送信することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の一実施例を添付図面を参照して説明する。
【0012】
本例においては、電話番号とそれに付随する氏名,住所や、スケジュールやメッセージなどの文字,数字による情報を記憶して表示させることのできる小型の携帯用情報処理装置に適用したもので、図1に示すように構成する。図1において、10は情報処理装置全体を示し、この情報処理装置10にはマイクロコンピュータで構成された中央制御装置(CPU)11が内蔵され、この中央制御装置11の制御で、表示パネル駆動回路12を介して液晶表示パネル13に、文字,数字を表示できるようにしてある。なお、この情報処理装置10で表示可能な文字としては、カタカナ,アルファベットと一部の記号である。
【0013】
そして、この情報処理装置10には複数のキー14が配置され、このキー14の操作情報を中央制御装置11に供給させて、このキー14の操作に基づいて文字や数字を入力できるようにしてある。そして、中央制御装置11にはメモリ15が接続され、このメモリ15に入力された文字や数字の情報を記憶するようにしてある。なお、この情報処理装置10は、図示しない電池により電源が供給されるようにしてあり、このメモリ15の記憶データも電池の電源でバックアップされている。ここまでは電子手帳などの小型の携帯用情報処理装置の通常の構成である。
【0014】
そして本例においては、キー14の操作などに基づいてメモリ15に記憶された文字,数字の情報を、中央制御装置11の制御によりコード変換回路16に供給して、所定の伝送用のコードに変換することができるようにしてある。この伝送用のコードへの変換テーブルは、中央制御装置11内のROM(図示せず)に予め記憶され、ここでは文字(カタカナ,アルファベットと一部の記号)を、変換テーブルを使用して2桁の数字の情報に変換する。このとき使用される変換テーブルの一例を、表1に示す。
【0015】
【表1】

【0016】
このようにしてカタカナ,アルファベットと一部の記号を2桁の数字に変換し、変換された数字のデータを簡単な送信用コードに変調して、送受信部17に供給する。また、電話番号のように元々数字で入力された情報は、コード変換回路16で簡単な送信用コードへの変調処理だけを行って、送受信部17に供給する。
【0017】
この送受信部17は、赤外線発光ダイオードを使用した赤外線発光部17aと、赤外線受光素子を使用した赤外線受光部17bとで構成され、コード変換回路16が出力する変調処理されたデータを赤外線発光部17aで赤外線信号として情報処理装置10の外部に出力させ送信させる。
【0018】
また、外部から情報処理装置10に向かって送信される赤外線信号を、赤外線受光部17bで受光(受信)させ、この受光信号をコード変換回路16で送信用コードから復調処理させると共に、復調処理された数字の情報を変調テーブルを使用してカタカナ,アルファベット,記号の情報に変換する。そして、この変換されたカタカナ,アルファベット,記号或いは数字の情報を、中央制御装置11の制御によりメモリ15に記憶させる。
【0019】
この受信してメモリ15に記憶された文字や数字の情報は、中央制御装置11の制御により所定時に液晶表示パネル13に表示させることができる。また、このように受信してメモリ15に記憶された情報も、コード変換回路16を介して送受信部17に供給して赤外線信号として送信させることもできる。これらの処理は、キー14の操作による指令に基づいて行われる。
【0020】
次に、このように構成される情報処理装置10を使用して情報の送信や受信を行う場合について説明する。図2はこの送受信時のシステム構成を示す図で、ここでは図1に示す構成の情報処理装置10を2台用意し、一方を装置10a,他方を装置10bとする。ここで、一方の情報処理装置10aと他方の情報処理装置10bとは、離れた場所にあり、両装置10a,10b間の伝送に、2台の携帯無線電話装置1,2を使用する。
【0021】
このそれぞれの携帯無線電話装置1,2は、それぞれのサービスエリア毎に設置された基地局と無線通信を行って、相手側と通話ができるもので、本例のそれぞれの携帯無線電話装置1,2には、赤外線信号の送受信部1a,2aを備える。そして、各送受信部1a,2aで受信した赤外線信号を復調し、復調信号に含まれる数字の情報を、DTMF信号(dualtone multi−frequency信号:音声帯域の2つの周波数を組み合わせた信号)に変換して無線電話回線側に送出できるようにしてある。また、無線電話回線側から供給されるDTMF信号を、赤外線信号として送信させるために変調して、送受信部1a,2aから赤外線信号として送信させることができるようにしてある。
【0022】
このように構成される携帯無線電話装置1,2を用意することで、2台の情報処理装置10a,10b間の情報伝送が良好に行われる。即ち、例えば一方の情報処理装置10aのメモリ15に記憶された電話番号や住所,氏名の情報を、他方の情報処理装置10bに転送させたい場合には、2台の携帯無線電話装置1,2の間を電話回線により接続させ(即ち一方の電話装置から電話を掛けて他方の電話装置を呼び出す)、一方の携帯無線電話装置1の近傍に一方の情報処理装置10aを置いて、この情報処理装置10aの送受信部17から赤外線信号IR1として転送させたい情報を出力させる。この赤外線信号IR1を携帯無線電話装置1の送受信部1aで受信すると、この受信信号に含まれる数字などの情報を、DTMF信号として接続された電話回線で相手の電話装置2に送信する。
【0023】
そして、電話回線を介してDTMF信号が送信される携帯無線電話装置2側では、このDTMF信号を赤外線信号に変換して、送受信部2aから赤外線信号IR2として出力させる。そして、この赤外線信号IR2が届く範囲内に他方の情報処理装置10bを置き、この情報処理装置10bの送受信部17で赤外線信号IR2を受信させる。
【0024】
このようにして、一方の情報処理装置10aから送信された信号を、赤外線信号と電話回線を介して他方の情報処理装置10bに転送させることで、一方の情報処理装置10aのメモリ15に記憶された情報を、他方の情報処理装置10bのメモリに転送させて記憶させることができる。このような転送作業は、両情報処理装置10a,10bを直接信号線などで接続する必要がなく、送受信のためのモデムなど全く必要としない簡単な構成で実現できると共に、文字や記号などの情報を、全てDTMF信号として変換するのが容易な数字の情報に変換してから送信させるので、電話装置側が備えるDTMF信号用回路(図示せず)を使用して確実に電話回線で伝送ができ、簡単な構成で確実に情報を伝送することができる。
【0025】
なお、ここでは電話装置として無線電話装置を使用したが、通常の有線の電話回線により電話局と接続された電話装置も使用できることは勿論である。
【0026】
また、2台の情報処理装置10a,10bが同じ場所にあるときには、一方の情報処理装置10aが出力する赤外線信号IR1を、直接他方の情報処理装置10bの送受信部17で受信させることで、電話回線を使用しないで情報の転送ができる。
【0027】
なお、ここでは赤外線信号として情報処理装置10が送信や受信を行うようにしたが、他の方式の無線伝送を適用しても良い。例えば、所定の周波数帯の電波による無線送信としても良い。
【0028】
或いは、DTMF信号とされた音声を出力させるようにしても良い。即ち、送受信部17の代わりにスピーカとマイクをコード変換回路16に接続し、コード変換回路16で伝送させる数字情報をDTMF信号とし、このDTMF信号を音声としてスピーカから出力させる。また、マイクが拾った音声信号(DTMF信号)を、コード変換回路16で数字情報に復調するようにする。
【0029】
このようにすることで、図2に示すシステム(即ち電話回線を介して伝送させる場合)において、各電話装置が赤外線信号の送受信部を備えない場合でも、良好に伝送できるようになる。即ち、一方の情報処理装置10a側のスピーカから出力されるDTMF信号の音声を、電話装置1のハンドセットを構成するマイクで拾って相手側に送信させ、相手側の電話装置2のハンドセットを構成するスピーカから出力されるこのDTMF信号の音声を、他方の情報処理装置10bのマイクで拾って復調させる。このようにすることで、電話回線を使用する場合に、伝送に使用できる電話機に制約がなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】一実施例により情報の伝送を行う場合のシステム構成図である。
【符号の説明】
【0031】
10 情報処理装置、11 中央制御装置(CPU)、13 液晶表示パネル、14 キー、15 メモリ、16 コード変換回路、17 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
赤外線信号の送信及び受信を行う赤外線信号送信部及び赤外線信号受信部と、
上記赤外線受信部で受信した赤外線信号を復調して、復調信号に含まれる情報を、所定の送信コードに変換する第1の変換部と、
上記第1の変換部で変換された送信コードを電波信号として無線送信する無線電話用送信部と、
無線送信された電波信号を受信する無線電話用受信部と、
上記無線電話用受信部で受信した受信信号に含まれる送信コードを復調し、赤外線信号として送信させるための送信コードに変換し、上記赤外線信号送信部から送信させる第2の変換部とを有する携帯無線電話装置。
【請求項2】
上記赤外線信号送信部及び赤外線信号受信部の代わりにスピーカ及びマイクを設けて、該スピーカ及びマイクから音声の出力及び入力を行うようにした請求項1記載の携帯無線電話装置。
【請求項3】
上記第1の変換部で、数字の情報をDTMF信号或いはDTMF信号に準じたコードに変換し、上記第2の変換部で、DTMF信号或いはDTMF信号に準じたコードを数字のコードに変換するようにした請求項1又は請求項2に記載の携帯無線電話装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−54923(P2006−54923A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303391(P2005−303391)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【分割の表示】特願平6−18604の分割
【原出願日】平成6年2月15日(1994.2.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】