説明

携帯用送風機

【課題】吹き出し口から吹き出されるエアの吹き出し方向を所望の方向へ指向させた状態に容易にすることができ、且つその状態を容易に維持することができる携帯用送風機の提供。
【解決手段】ハンドル部10Aは上方へ突出して携帯用送風機の最上部をなしている。該脚部10Mは、該ファン31の軸心に関して該ハンドル部10Aとは反対の側に配置されており、ボリュート部10Cの周方向に沿って設けられたレール部に対して摺動可能である。脚部10Mの右端部の上部は、略Cの字状のレール部係合部を有しており、レール部係合部がレール部に係合していることにより、ボリュート部10Cの周方向に沿ってレール部に脚部が案内される。ネジを緩めると、脚部10Mはレール部に対して移動可能となり、当該移動によりエア吹き出し口10cから吹き出されるエアの吹き出し方向が変わる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯用送風機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より携帯用送風機が知られている。携帯用送風機は、上部にハンドル部を有し下部に脚部を有するハウジングと、ハウジングに収容されたエンジンと、ハウジングに回転可能に支承され、エンジンにおいて発生する回転力により回転するファンと、を備えている。
【0003】
ハンドル部にはスイッチを構成するトリガが設けられており、トリガを操作することによりエンジンが駆動開始する。ファンは遠心ファンにより構成されている。ハウジングの一部であってファンに対向する部分にはエアを吸引可能なエア吸引口が形成されている。
【0004】
また、ファンの周縁部に対向する部分には渦巻き状をなしファンの周方向に沿って徐々に拡径するボリュート部が設けられており、ボリュート部の先端にはハウジング内部と外部とを連通する吹き出し口が形成されている。吹き出し口には略筒状のノズル部を装着可能である。ボリュート部の内部空間は。吹き出し口とファンの周囲の空間とを連通する。また、ハウジングにはハウジング内部と外部とを連通する図示せぬエア吸引口が形成されている。
【0005】
エンジンが駆動してファンが回転することにより、図示せぬエア吸引口を通してエアがハウジング内に吸引される。ファンを通してエアはボリュート部内部空間へ流れ、吹き出し口及びノズル部を通して吹き出される。このような携帯用送風機は、例えば特開2009−264296号公報(特許公報1)に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−264296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の従来の携帯用送風機は、乾燥していないワックスやコンクリートを乾燥させる目的でエアを当該ワックスやコンクリートに吹き付けるために用いられることがある。このような場合には、携帯用送風機は床や地面に据え置かれて使用されるのであるが、吹き出し口及びノズル部を、乾燥していないワックスやコンクリートの所望の位置に対して指向させた状態とし、その状態を維持することは困難であった。
【0008】
そこで、本発明は、吹き出し口から吹き出されるエアの吹き出し方向を所望の方向へ指向させた状態に容易にすることができ、且つその状態を容易に維持することができる携帯用送風機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、本体部と、該本体部に設けられたハンドル部と、該本体部に設けられ該本体部を支持する脚部と、該本体部に設けられた動力発生源と、該本体部内において回転可能に支承され、該動力発生源により発生した動力によって回転して該本体部内にエアの流れを発生させるファンと、を備える携帯式送風機であって、該脚部は該ファンの軸心に関して該ハンドル部とは反対の側に配置され、該本体部の一部であって該ファンの軸心に関して該ハンドルが設けられている側の部分には、該本体部の内部と外部とを連通し該ファンからのエアを該本体部外部に吹き出すための吹き出し口が形成され、該脚部は、該携帯式送風機が被定置面に定置させられたときに該被定置面に接触している被定置面接触部を複数有しているか、又は該携帯式送風機が被定置面に定置させられたときに該被定置面に接触している被定置面接触平面を有し、該被定置面接触部同士を結ぶ仮想平面又は被定置面接触平面に対して、該吹き出し口から吹き出されるエアの吹き出し方向を可変とするエア吹き出し方向可変手段を有する携帯用送風機を提供している。
【0010】
該脚部は、該携帯式送風機が被定置面に定置させられたときに該被定置面に接触している被定置面接触部を複数有しているか、又は該携帯式送風機が被定置面に定置させられたときに該被定置面に接触している被定置面接触平面を有し、該被定置面接触部同士を結ぶ仮想平面又は被定置面接触平面に対して、該吹き出し口から吹き出されるエアの吹き出し方向を可変とするエア吹き出し方向可変手段を有するため、携帯用送風機のユーザが携帯用送風機を保持せずに吹き出し口から吹き出されるエアの吹き出し方向を所望の方向へ指向させた状態に維持することができる。このため、ユーザの負担を大幅に軽減することができる。
【0011】
ここで、該エア吹き出し方向可変手段は、該仮想平面又は被定置面接触平面に対する該本体部の姿勢を可変とする本体姿勢可変手段を有することが好ましい。
【0012】
エア吹き出し方向可変手段は、仮想平面又は被定置面接触平面に対する本体部の姿勢を可変とする本体姿勢可変手段を有するため、仮想平面又は被定置面接触平面に対する本体部の姿勢を変えることにより容易に吹き出し口から吹き出されるエアの吹き出し方向を変えることができる。
【0013】
また、該本体部は渦巻き状をなすボリュート部を有し、該吹き出し口は、該ボリュート部内の空間を介して該本体部内の空間であって該ファンの周囲の空間に連通し、該脚部は該ボリュート部に対して固定可能であり、該エア吹き出し方向可変手段は、該ボリュート部の周方向において該ボリュート部に対する該脚部の位置を可変とする対ボリュート部脚部位置可変手段を有することが好ましい。
【0014】
本体部は渦巻き状をなすボリュート部を有し、吹き出し口は、ボリュート部内の空間を介して本体部内の空間であってファンの周囲の空間に連通し、脚部はボリュート部に対して固定可能であり、エア吹き出し方向可変手段は、ボリュート部の周方向においてボリュート部に対する脚部の位置を可変とする対ボリュート部脚部位置可変手段を有するため、ボリュート部に対する脚部の位置を変えることにより吹き出し口から吹き出されるエアの吹き出し方向を容易に変えることができる。
【0015】
また、該対ボリュート部脚部位置可変手段は、該ボリュート部の周方向に沿って設けられたレール部と、該脚部に設けられ該レール部に沿って案内される被案内部と、を有することが好ましい。
【0016】
対ボリュート部脚部位置可変手段は、ボリュート部の周方向に沿って設けられたレール部と、脚部に設けられレール部に沿って案内される被案内部と、を有するため、比較的簡単な構成でボリュート部に対する脚部の位置を変えることができる。
【0017】
また、該脚部には回転可能に支承された車輪が設けられていることが好ましい。脚部には回転可能に支承された車輪が設けられているため、携帯用送風機を持ち上げることなく移動させることが可能となり、ユーザの利便性が向上する。また、エア吹き出し方向可変手段と共に車輪を使用することで、エアの吹出し方向の更なる微調整が可能となる。
【発明の効果】
【0018】
以上より本発明は、吹き出し口から吹き出されるエアの吹き出し方向を所望の方向へ指向させた状態に容易にすることができ、且つその状態を容易に維持することができる携帯用送風機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態による携帯用送風機を示す側面図。
【図2】本発明の実施の形態による携帯用送風機を示す断面図。
【図3】本発明の実施の形態による携帯用送風機の脚部を示す要部断面図。
【図4】本発明の実施の形態による携帯用送風機で遠方に送風している様子を示す側面図。
【図5】本発明の実施の形態による携帯用送風機の第1の変形例を示す側面図。
【図6】本発明の実施の形態による携帯用送風機の第1の変形例を示す断面図。
【図7】本発明の実施の形態による携帯用送風機の第2の変形例の脚部を示す要部側面図。
【図8】本発明の実施の形態による携帯用送風機の第3の変形例の脚部を示す要部側面図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
本発明による携帯用送風機の実施の形態について図1乃至図4を参照しながら説明する。図1に示すように携帯用送風機1は、メインハウジング11(図2)と、後述のファン31を収納するファンハウジング12と、メインハウジング11に設けられたエンジン30(図2)と、防塵カバー91と、ノズル部92と、を有している。メインハウジング11とファンハウジング12とでハウジング10が構成されている。
【0021】
以下の説明では、図1において右側から左側へと向かう方向を携帯用送風機1の前方向、その反対方向を携帯用送風機1の後方向と定義する。また、図1における上方向を携帯用送風機1の上方向、下方向を携帯用送風機1の下方向と定義する。また、図1の紙面の裏側から表側へと向かう方向を左方向と定義し、その反対方向を右方向と定義して説明する。
【0022】
図2に示すようにエンジン30は、主としてハウジング10の右側を構成するメインハウジング11に固定されている。エンジン30は2サイクルエンジンにより構成されており、動力発生源に相当する。主としてハウジング10の左側を構成するファンハウジング12内にはファン31が収容されており、ファン31はエンジン30のクランク軸に固定されクランク軸と同軸的に一体回転可能である。従ってファン31は、エンジン30を介してハウジング10に支承されている。ファン31は遠心ファンにより構成されている。また、ハウジング10の内周面であってファン31の周縁部に対向する部分は、ファン31により生成されたエアの流れをファン31の円周方向に案内する渦巻き状のボリュート室10aを画成しており、ボリュート室10aは後述の吹き出し口10cに連通している。ボリュート室10aを画成しているハウジング10の部分は渦巻き状のボリュート部10Cをなす。
【0023】
ファン31に対向するファンハウジング12の部分には略円形の開口10bが形成されており、開口10bの周囲には、当該周囲から開口10bと同軸的な位置関係で左方(図2の右方)へ延出する筒状のエア吸引口カバー接続部12Aが設けられている。エア吸引口カバー接続部12Aは、略筒状をなし、ハウジング10の一部をなす。エア吸引口カバー接続部12Aには、多数の貫通孔が形成された保護カバーたる防塵カバー91を取り付け可能である。
【0024】
また、図1に示すようにハウジング10には、ボリュート部10Cからハウジング10外方であって前方へ延出するノズル部接続部10Dが設けられている。ノズル部接続部10Dは、ハウジング10の一部であってファン31の軸心に関して後述のハンドル部10Aが設けられている側、即ち、ファン31の軸心よりも上側に位置している。ノズル部接続部10Dは略筒状をなしており、その軸心を含む平面で二分割可能であり、その一方はメインハウジング11と一体で構成され、他方はファンハウジング12と一体で構成されている。ノズル部接続部10Dの内部の空間はボリュート室10aに連通し、ノズル部接続部10Dの延出端の開口は吹き出し口10cをなす。ノズル部接続部10Dには、略円筒形状をしたノズル部92を着脱可能である。
【0025】
また、図1に示すようにハウジング10の上部は、携帯用送風機1を運搬したり作業中に保持したりするためのハンドル部10Aを有している。また、ハウジング10の下部は、携帯用送風機1を床や地面2に据え置いて使用する際に床や地面2に接触する脚部10Mを有している。
【0026】
ハンドル部10Aは略環状をなし、当該略環状の軸方向が左右方向に指向し、上方へ突出して携帯用送風機の最上部をなしている。ハンドル部10Aの最上部は、携帯用送風機1のユーザが指を巻回するようにして把持する把持部10Bをなしており、把持部10Bの前端部にはトリガ10E(図1)が設けられている。トリガ10Eは図示せぬ回動軸を中心として回動可能に把持部10Bに支承されている。トリガ10Eの一部には、エンジン30のキャブレターに一端が接続された図示せぬワイヤの他端が固定されており、トリガ10Eの回動により図示せぬワイヤをその長手方向へ引くことができるように構成されている。このように図示せぬワイヤを引くことにより、エンジン30の図示せぬキャブレターの図示せぬスロットルバルブの開閉度を調整可能である。またトリガ10Eは、1次側コイル及び2次側コイルからなる図示せぬトランスを介してエンジン30の図示せぬ点火プラグに電気的に接続されており、また、エンジン30の図示せぬ制御ユニットに電気的に接続されている。
【0027】
脚部10Mは、ファン31の軸心に関してハンドル部10Aとは反対の側、即ち、図2においてファン31の軸心よりも下側に配置されており、ボリュート部10Cの周方向に沿って設けられたレール部10Fに対して摺動可能に設けられている。脚部10Mの外形は略環状をなしており、当該略環状の軸方向が上下方向に指向し、脚部10Mの右端部(図2の左端部)がレール部10Fに係合している。より詳細には、レール部10Fは、ボリュート部10Cからボリュート部10Cの外方へ向かって突出しており、図2に示すように断面がT字を上下逆さまにしたような形状をなしている。また、脚部10Mの右端部の上部は、略Cの字状のレール部係合部10Gを有しており、レール部係合部10Gがレール部10Fに係合していることにより、ボリュート部10Cの周方向に沿ってレール部10Fに脚部10Mが案内されるように構成されている。レール部係合部10Gは被案内部に相当する。また、レール部10F及びレール部係合部10Gは、エア吹き出し方向可変手段、本体姿勢可変手段、対ボリュート部脚部位置可変手段に相当する。
【0028】
脚部10Mの一部であってレール部係合部10Gの部分は、図3に示すように係合部右側部10M−1と係合部左側部10M−2とに2分割可能な構成となっている。係合部左側部10M−2には左右方向に係合部左側部10M−2を貫通する貫通孔10dが形成されており、当該貫通孔10dにはネジ13が貫通している。貫通孔10dに対向する係合部右側部10M−1の部分には、ネジ13が螺合可能な穴10eが形成されている。貫通孔10dを貫通しているネジ13が穴10eに螺合することにより、係合部右側部10M−1が係合部左側部10M−2に固定され、レール部10Fにレール部係合部10Gが係合している状態が維持される。携帯用送風機1の一部であってハンドル部10A及び脚部10M以外の部分は本体部に相当する。
【0029】
携帯用送風機1を床や地面2(図1等)に据え置いて定置して使用する際には、先ずネジ13を緩め、脚部10Mをレール部10Fに対してボリュート部10Cの周方向へ移動させ、所望の位置とする。脚部10Mは、携帯用送風機1が被定置面2A(図1等)に定置させられたときに被定置面2Aに接触している被定置面接触部10Kを複数有しているが、この被定置面接触部10K同士を結ぶ仮想平面に対する本体部の姿勢が変わり、このことにより当該仮想平面に対する吹き出し口10cの指向する方向、即ち、円形をした吹き出し口10cの軸心方向が変わる。例えば、図1に示すような吹き出し口10cの指向する方向から、図4に示すような吹き出し口10cの指向する方向へと変わることにより、図1に示されるようなエア3の吹き出される方向から、図4に示されるようなエア3の吹き出される方向へと変わることとなる。
【0030】
次にネジ13を締めて、脚部10Mをレール部10Fに対して移動不能に固定させる。そして、脚部10Mを床や地面2に接触させて携帯用送風機1を据え置いた状態で、トリガ10Eを操作することにより、床や地面2等の一部であって送風を行いたい場所に対してノズル部92からエア3(図3等)の送風を行う。
【0031】
レール部10Fとレール部10Fに係合するレール部係合部10Gとを有するため、脚部10Mをボリュート部10Cに対してボリュート部10Cの周方向へ移動させることができる。この移動により被定置面接触部10K同士を結ぶ仮想平面に対する本体部の姿勢が変わり、当該仮想平面に対する吹き出し口10cから吹き出されるエアの吹き出し方向を容易に変えることができる。そしてボリュート部10Cに対して脚部10Mを固定することにより、携帯用送風機1のユーザが携帯用送風機1を保持せずに吹き出し口10cから吹き出されるエアの吹き出し方向を所望の方向へ指向させた状態に維持することができる。このため、ユーザの負担を大幅に軽減することができる。
【0032】
また、ボリュート部10Cに対する脚部10Mの位置を変えることにより吹き出し口10cから吹き出されるエアの吹き出し方向を容易に変えることができる。また、比較的簡単な構成でボリュート部10Cに対する脚部10Mの位置を変えることができる。
【0033】
本発明の携帯用送風機は、上述した実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載した範囲で種々の変形や改良が可能である。例えば、脚部の構成は本実施の形態のものに限定されない。
【0034】
例えば図5、図6に示すように、脚部110Mに車輪110Hを設けて床上や地面上を移動可能としてもよい。より具体的には、図5、図6に示すように、回転軸110Iの一端及び他端に車輪110Hが設けられた一対の当該回転軸110Iが左右方向にそれぞれ指向するように、当該回転軸110Iを脚部110Mの前部及び後部で回転可能に支承する構成としてもよい。このようにすれば、携帯用送風機1を持ち上げることなく前後方向に移動させることが可能となり、ユーザの利便性が向上する。また、レール部10F及びレール部係合部10Gによってエアの吹き出し方向を可変とする機構と共に使用することで、エアの吹出し方向の更なる微調整が可能となる。
【0035】
また、図7に示すように、ボリュート部10Cの半径方向外方へ延出しボリュート部10Cに固定された固定脚部210M−1と、一端部がボリュート部10Cに回動可能に支承され他端部が床や地面2に接触する可動脚部210M−2とを有する構成としてもよい。可動脚部210M−2は、具体的には、その一端がネジ213によりボリュート部10Cに固定されることによりボリュート部10Cに対して回動不能となる。ネジ213を緩めることにより可動脚部210M−2はボリュート部10Cに対して回動可能となる。可動脚部210M−2をボリュート部10Cに対して回動させることにより、吹き出し口10cから吹き出されるエアの吹き出し方向を変えることができる。
【0036】
また、図8に示すように、ボリュート部10Cの半径方向外方へ延出しボリュート部10Cに固定された固定脚部310M−1と、一端部側がボリュート部10Cに支持され、他端部が床や地面2に接触し、ボリュート部10Cから当該他端部までの長さが可変である可変長脚部310M−2とを有する構成としてもよい。
【0037】
可動長脚部310M−2は具体的には、可動長脚部310M−2の延出方向に延びる溝310fが形成された被可動長ガイド部を有しており、ボリュート部10Cは被可動長ガイド部に係合する図示せぬ可動長ガイド部と、図示せぬ可動長ガイド部を被可動長ガイド部の溝310fに対して係脱させるための図示せぬ係脱機構とを有している。図示せぬ係脱機構は、図8の紙面の裏側から表側へ向かう方向へボリュート部10Cから突出するボタン310Jを備えており、ボタン310Jを図8の紙面の表側から裏側へ向かう方向へ押圧することにより、被可動長ガイド部の溝310fに対する可動長ガイド部の係合を解除できるように構成されている。ボタン310Jが押されていない状態では、被可動長ガイド部の溝310fに対して可動長ガイド部が係合しており、このときには可動長脚部310M−2は、ボリュート部10Cから可動長脚部310M−2の他端部までの長さが変わらないようにボリュート部10Cに固定されている。
【0038】
即ち、ボタン310Jを押すことにより可動長脚部310M−2は、ボリュート部10Cの半径方向へボリュート部10Cに対して移動可能となる。可動長脚部310M−2をボリュート部10Cの半径方向へボリュート部10Cに対して移動させることにより、吹き出し口10cから吹き出されるエアの吹き出し方向を変えることができる。被可動長ガイド部、可動長脚部310M−2、及びボタン310Jを有する係脱機構は脚部長調整手段に相当する。可動長脚部310M−2を有するため、ボリュート部10Cから離間する方向におけるボリュート部10Cからの可動長脚部310M−2の延出長さを調整することで、仮想平面に対して吹き出し口10cから吹き出されるエアの吹き出し方向を容易に変えることができる。
【0039】
また、レール部10F及びレール部係合部10Gに代えて、ノズル部接続部の部分を可動として、仮想平面に対して吹き出し口から吹き出されるエアの吹き出し方向を可変とするような構成としてもよい。また、脚部をボリュート部の部分であって複数の部分に対して着脱可能とし、ボリュート部に対する脚部の位置を変えることにより、仮想平面に対して吹き出し口10cから吹き出されるエアの吹き出し方向を可変とするような構成としてもよい。
【0040】
また、携帯用送風機1の脚部10Mを、被定置面2Aに接触する複数の被定置面接触部10Kを有する構成としたが、これに限定されない。例えば、脚部10Mが一つの平面を有し、当該平面が被定置面2Aに接触する構成としてもよい。この場合には、当該平面に対してエアの吹き出し方向が可変の構成となればよい。当該平面は被定置面接触平面に相当する。また、携帯用送風機1はエンジン30を有する構成をなしていたが、エンジンに限定されず、エンジンに代えて他の動力発生源を有する構成をなしていてもよい。また、吹き出し口の形状は本実施の形態の形状に限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の携帯用送風機は、据え置きされて使用される携帯用送風機の分野において特に有用である。
【符号の説明】
【0042】
1・・・携帯用送風機 2・・・床や地面 2A・・・定置面 3・・・エア 10・・・ハウジング 10A・・・ハンドル部 10M・・・脚部 30・・・エンジン 31・・・ファン 10c・・・吹き出し口 110H・・・車輪


【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
該本体部に設けられたハンドル部と、
該本体部に設けられ該本体部を支持する脚部と、
該本体部に設けられた動力発生源と、
該本体部内において回転可能に支承され、該動力発生源により発生した動力によって回転して該本体部内にエアの流れを発生させるファンと、を備える携帯式送風機であって、
該脚部は該ファンの軸心に関して該ハンドル部とは反対の側に配置され、該本体部の一部であって該ファンの軸心に関して該ハンドルが設けられている側の部分には、該本体部の内部と外部とを連通し該ファンからのエアを該本体部外部に吹き出すための吹き出し口が形成され、
該脚部は、該携帯式送風機が被定置面に定置させられたときに該被定置面に接触している被定置面接触部を複数有しているか、又は該携帯式送風機が被定置面に定置させられたときに該被定置面に接触している被定置面接触平面を有し、
該被定置面接触部同士を結ぶ仮想平面又は被定置面接触平面に対して、該吹き出し口から吹き出されるエアの吹き出し方向を可変とするエア吹き出し方向可変手段を有することを特徴とする携帯用送風機。
【請求項2】
該エア吹き出し方向可変手段は、該仮想平面又は被定置面接触平面に対する該本体部の姿勢を可変とする本体姿勢可変手段を有することを特徴とする請求項1記載の携帯用送風機。
【請求項3】
該本体部は渦巻き状をなすボリュート部を有し、該吹き出し口は、該ボリュート部内の空間を介して該本体部内の空間であって該ファンの周囲の空間に連通し、該脚部は該ボリュート部に対して固定可能であり、
該エア吹き出し方向可変手段は、該ボリュート部の周方向において該ボリュート部に対する該脚部の位置を可変とする対ボリュート部脚部位置可変手段を有することを特徴とする請求項1記載の携帯用送風機。
【請求項4】
該対ボリュート部脚部位置可変手段は、該ボリュート部の周方向に沿って設けられたレール部と、該脚部に設けられ該レール部に沿って案内される被案内部と、を有することを特徴とする請求項3記載の携帯用送風機。
【請求項5】
該脚部には回転可能に支承された車輪が設けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか一に記載の携帯用送風機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−77629(P2012−77629A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−220860(P2010−220860)
【出願日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(000005094)日立工機株式会社 (1,861)
【Fターム(参考)】