説明

携帯端末、携帯端末のネットワーク制御方法、携帯端末のネットワーク制御プログラム、および無線通信システム

【課題】ローミング中にSIMを使い分けることが可能な携帯電話機を提供する。
【解決手段】ローミング機能を有する携帯電話機70であって、メインSIM73と、ローミング先で使用するサブSIM74を所持する。メインSIM73の登録情報を用いた認証を行い、メインSIM73の使用契約が有効であると判断された後に、サブSIM74の登録情報を用いた端末使用を許可する。サブSIM74にローミング先でローカル通話可能なSIMを用いることで、ローミング先におけるローカル通話を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク間を跨いだ通信を可能とするローミング機能を備えた携帯端末であって、特にSIM(Subscriber Identity Module)ロック機能を備えた携帯端末、携帯端末のネットワーク制御方法および携帯端末のネットワーク制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年の通信技術の普及と通信事業者の多様化により、現在の通信ネットワークは、複数の事業者による通信ネットワークの複合体として構成されている。通信ネットワークは国内のみならず国外にも設置されており、通信方法の標準化が行われたことで、例えば国内と国外に存在する異なるネットワーク間の通信が可能である。
【0003】
ところで、通信ネットワークの使用者は通常、特定のネットワーク事業者と利用契約を結び契約事業者が有するネットワーク下での通信を行う。しかし、使用者が、例えば国外に移動し契約事業者以外の事業者が有するネットワークを用いた通信を行いたい場合や、契約事業者のネットワークを通じて国外の異なる事業者のネットワークに対して通信を行いたい場合など、契約事業者と異なるネットワーク内、あるいは異なるネットワーク間を通じて通信を行いたいという要求が高い。
【0004】
そこで、使用者が契約しているネットワークのサービスエリア外でも、使用者が現在位置しているサービスエリアのネットワークを経由して通信が行える、いわゆるローミングサービスが実現している。サービスエリアのネットワーク事業者と主契約しているネットワーク事業者との間にローミングサービスの提携がなされていれば、使用者は両ネットワークを通じて契約の認証を行った上で、ネットワークの使用が可能である。
【0005】
ここで、使用者の用いる携帯端末の一つである携帯電話機の契約認証を行うために、広く用いられているのがSIMロックを利用した認証である。SIMには契約者のIMSI(電話番号情報)、ESN(端末情報)、MCC−ID(ホーム国情報)、あるいはキャリア情報などの情報が含まれ、通常SIMカードと呼ばれる記録媒体に保存される。電話機使用者が携帯電話機にSIMカードを挿入することで、携帯電話機はSIMの情報を読み取りネットワークとの認証を行う。認証の結果、電話機使用者のSIM情報が正式なものであるとネットワークから認められれば、電話機使用者は携帯電話機を使用することができ、そうでなければ携帯電話機の通信機能を使用不能にするなど、端末の機能制限が行われる。
【0006】
ところで、上述した従来の携帯電話機において、ローミングサービス中にあるネットワークの使用料金は、契約事業者のネットワーク内の使用料金に比べ割高に設定される。特に、国外に移動した電話機使用者が在圏国内の通信端末と通信を行う場合であっても、電話機使用者はローミングサービスを使用しなければならず、使用料が高額であった。これを回避するためには電話機使用者は在圏国内のネットワーク事業者と新たに契約を結んだ上で、在圏国内での国内通話を行うこととなり、不便であった。
【0007】
こうした問題を解決するために、一例として、1台の携帯電話機に使用契約を結んだSIMカードを複数挿入し、在圏国をホーム国とするSIMカードを自動検出して認証を行う発明が開示されている(例えば、特許文献1を参照)。また、一例としてSIMに保存した電話番号とは別に事業者ネットワークのデータベースに保存した電話番号をサーバに保持し、在圏国に応じてネットワーク使用料金の安い電話番号に切り替える発明が開示されている(例えば、特許文献2を参照)。
【特許文献1】特開2007−235492号公報
【特許文献2】特開2007−324778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1および特許文献2は、電話機使用者に契約事業者のものと異なるネットワーク事業者の利用を許すものである。そのため契約事業者からみると、使用者に自由に契約を切り替えられてしまうために、SIMロックによる契約者の保持が行えないという問題点があった。また、SIMの変更後に本来の契約事業者が認証を行う機会がないために、悪意ある使用者によって契約事業者のSIMカードが抜き取られ、携帯電話機のみが不法に転売されてしまうという問題点があった。
【0009】
本発明はこのような問題を解決するためになされたもので、契約事業者との認証を経た後にSIM情報の入れ替えを可能とする携帯端末、携帯端末のネットワーク制御方法および携帯端末のネットワーク制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の携帯端末は、前記目的を達成するために、基地局と無線回線を通じて通信を行う通信手段と、契約事業者情報、端末情報、電話番号情報、ホームネットワーク情報、およびホーム国情報のうち、少なくともいずれか1つの情報が記録される第1の情報記録手段と、契約事業者情報、端末情報、電話番号情報、ホームネットワーク情報、およびホーム国情報のうち、前記第1の情報記録手段と異なる少なくともいずれか1つの情報が記録される第2の情報記録手段と、前記通信手段を介して前記第1および第2の情報記録手段に記録される情報の有効性を判断する情報認証手段と、自端末の機能を制限する端末機能制限手段と、ネットワーク間を跨いだ通信を可能にするローミング手段と、前記情報認証手段の認証によって前記第1の情報記録手段に記録される情報が有効と判断された場合には、前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可し、前記第1の情報記録手段に記録される情報が無効であると判断された場合には、前記端末機能制限手段によって制限された端末動作を許可するネットワーク制御手段とを備えることを特徴とする携帯端末を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ローミング中の電話機使用者がサービスエリア内のSIMを用いてローカル通信を行えるため、ネットワーク使用料金の安い携帯電話機が得られる。また、ホーム国ネットワークの通信事業者はSIM認証を経た後に、ローミング先でのSIM情報の入れ替えを許可する。これによりホーム国ネットワークの通信事業者は使用者との使用契約を維持したまま使用者のローミング先でのローカル通信を許可することができる。更に、SIMカードの抜き取りによる不法な携帯端末の転売を抑止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る携帯端末の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0013】
図1は、本発明に係る携帯端末の一例である折り畳み携帯電話機1の外観の構成を示す図である。図1(a)は、携帯電話機1を約180度に開いた開状態の正面からみた外観の構成を示し、図1(b)は携帯電話機1を開状態としたときの側面から見た外観の構成を示している。
【0014】
図1(a)および(b)に示すように、携帯電話機1は中央のヒンジ部6を介して第1筐体2と第2筐体3とがヒンジ結合されており、ヒンジ部6を介して矢印X方向に折り畳み可能に形成される。携帯電話機1の内部の所定の位置には、送受信用のアンテナ(後述する図3のアンテナ21)が設けられており、内蔵されたアンテナを介して図示しない基地局との間で電波を送受信する。
【0015】
第1筐体2には、その表面に「0」から「9」までの数字キー、発信・着信キー、リダイヤルキー、終話・電源キー、クリアキー、およびメニューキーなどの操作キー4が設けられている。更に、第1筐体2の側面にはサイドキー5が設けられる。使用者は操作キー4またはサイドキー5を用いて携帯電話機1へ各種指示やデータを入力する。
【0016】
第1筐体2には、操作キー4の下部にマイクロフォン7が設けられており、マイクロフォン7によって通話時の使用者の音声を集音する。
【0017】
なお、第1筐体2は、背面側にバッテリ9が取り付けられており、終話・電源キーが長押しされて携帯電話機1がオン状態になると、バッテリ9は後述する各回路部に対して電力を供給する。
【0018】
一方、第2筐体3には、その正面にメインディスプレイ10が設けられており、電波の受信状態、電池残量のほか、メール、ウェブサイト、携帯電話機1の操作メニューなどを表示することができる。なお、メインディスプレイ10は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescen
ce)によって構成されるディスプレイである。また、メインディスプレイ10上部の所定の位置にはレシーバ8が設けられており、これを用いて使用者は通話相手から送信された音声を聞くことができる。
【0019】
また、第1筐体2には、後述する情報記録媒体保持部40が設けられる。情報記録媒体保持部40は、後に述べる第1の情報記録媒体51および第2の情報記録媒体52を格納し、保持可能なように設けられる。情報記録媒体保持部40の保持する情報記録媒体の数は、複数であっても構わない。
【0020】
図2は、携帯電話機1が折り畳まれた時の外観の構成を示す図である。図2(a)は、携帯電話機1が閉状態のときの正面からみた外観の構成を示し、図2(b)は、携帯電話機1が閉状態のときの側面から見た外観の構成を示す。
【0021】
第2筐体3の表面には、例えばLCDで構成されるサブディスプレイ11が設けられている。サブディスプレイ11には例えば、現在のアンテナの感度レベルを示すアンテナピクト、バッテリ9の残量を示す電池ピクト、あるいは現在の時刻などが表示される。また、第2筐体3に設けられたサイドキー5は、携帯電話機1が閉状態にあっても操作可能な位置に設けられている。
【0022】
図3は、本実施形態における携帯電話機1の内部の構成を示すブロック図である。
【0023】
図示せぬ基地局から送信されてきた無線信号は、アンテナ21で受信された後、アンテナ共用器(DUP)22を介して受信回路(RX)23に入力される。受信回路23によって、受信された無線信号は周波数シンセサイザ(SYN)24から出力された局部発信信号とミキシングされ、中間周波数信号に周波数変換(ダウンコンバート)される。そして、受信回路23によって、このダウンコンバートされた中間周波数信号が直行復調され、受信ベースバンド信号として出力される。
【0024】
受信回路23から出力された受信ベースバンド信号は、CDMA信号処理部26に入力される。CDMA信号処理部26は、図示せぬRAKE受信器を備える。このRAKE受信器では受信ベースバンド信号に含まれる複数のパスがそれぞれの拡散符号(即ち、拡散された受信信号の拡散符号と同一の拡散符号)で、逆拡散処理される。そして、この逆拡散処理された各パスの信号は、位相が回転した後にコヒーレントRAKE合成される。RAKE合成後のデータ系列は、デインターリーブおよびチャネル復号(誤り訂正復号)が行われた後、2値のデータ判定が行われる。これにより、CDMA信号処理部26によって、所定の伝送フォーマットの受信パケットデータが生成される。この受信パケットデータはCDMA信号処理部26から圧縮/伸張処理部27へ入力される。
【0025】
圧縮/伸張処理部27は、DSP(Digital Signal Processor)などから構成され、CDMA信号処理部26から出力された受信パケットデータを図示せぬ多重分離部によってメディアごとに分離し、その分離したメディアごとに対してそれぞれ復号処理が行われる。
【0026】
一方、通話モードにおいてマイクロフォン7に入力された使用者の音声信号は、送話増幅器30により適正レベルまで増幅された後、PCMコーデック28によりPCM符号化される。このPCM符号化されたディジタルオーディオ信号は、圧縮/伸張処理部27に入力される。また、操作キー4を用いて制御部31にて作成されたメールなどのテキストデータも圧縮/伸張処理部27に入力される。
【0027】
圧縮/伸張処理部27は、PCMコーデック28から出力されたディジタルオーディオ信号を所定の送信データレートに応じたフォーマットで圧縮符号化する。これにより、圧縮/伸張処理部27からディジタルオーディオデータがCDMA信号処理部26へ生成される。また、圧縮/伸張処理部27によって、制御部31から出力されたディジタル動画像信号は圧縮符号化された動画像データに変換される。そして、圧縮/伸張処理部27によって、これらのオーディオデータや動画像データは、図示せぬ多重分離部で所定の伝送フォーマットに従って多重化された後にパケット化され、パケット化された後の送信パケットデータはCDMA信号処理部26に出力される。
【0028】
CDMA信号処理部26は、圧縮/伸張処理部27から出力された送信パケットデータを送信チャネルに割り当てられた拡散符号を用いたスペクトラム拡散処理を施す。更に、スペクトラム拡散処理後の出力信号となって送信回路(TX)25へと出力する。送信回路25は、スペクトラム拡散処理後の信号をQPSK(Quadrature Phase Shift Keying)方式などのディジタル変調方式を使用して変調する。送信回路25は、ディジタル変調後の送信信号と周波数シンセサイザ24から発生される局部発信信号を合成して、無線信号に周波数変換(アップコンバート)する。そして送信回路25は、制御部31により指示される送信電力レベルを満たすようにアップコンバートされた無線信号を増幅する。この増幅された無線信号は、アンテナ共用器22を介してアンテナ21に供給され、このアンテナ21から図示せぬ基地局に向けて送信される。
【0029】
また、携帯電話機1には、所定の周期を計算し、この所定周期ごとに制御部31にクロック信号を供給するクロック信号発生器(タイマ)39が設けられている。
【0030】
制御部31は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、およびRAM(Randon Access Memory)などの電子回路から構成される。CPUはROMに記憶されているプログラム、または記憶部32からRAMにロードされた各種のアプリケーションプログラムに従って処理を実行するとともに、種々の制御信号を生成し、上述した各回路部へ供給することで携帯電話機1を統括的に制御する。またRAMには、CPUが各種の処理を実行する上において必要なデータが記憶される、CPUとデータの受け渡しを行う。また、制御部31は図示しないビデオRAMを備えており、メインディスプレイ10に表示される映像に関する情報が一時的に格納される。記憶部32は、例えば電気的に書き換えや消去が可能な不揮発性メモリであるフラッシュメモリ素子やHDD(Hard Disc Drive)などから構成され、制御部31のCPUにより実行される種々のアプリケーションプログラムやデータ群を格納している。電源回路34は、バッテリ9の電圧出力を基に所定の動作電源電圧Vccを生成し、各回路部へと供給する。
【0031】
情報記録媒体保持部40は、第1の情報記録媒体51および第2の情報記録媒体52に記録された情報を読み出し、制御部31へ通知する。第1の情報記録媒体51および第2の情報記録媒体52に記録される情報には、例えばIMSI(電話番号情報)、ESN(端末情報)、MCC−ID(国情報)、およびキャリア情報などが含まれる。通常、これらの情報はSIMカードと呼ばれる記録媒体に保持され、SIMカードは情報記録媒体保持手段40から取り外し可能な様に構成される。
【0032】
次に、実施形態の携帯電話機1における制御部31の構成について述べる。図4は携帯電話機の制御部31の内部構成を示しており、制御部31は情報認証手段50、計時手段53、端末機能制限手段54、パケット通信手段55、呼受付手段56、発呼手段57、在圏国判別手段58、および在圏ネットワーク判別手段59を具備している。これらは、ソフトウェア又はハードウェアのいずれかで構成して良い。
【0033】
情報認証手段50は、先に述べた第1の情報記録媒体51あるいは第2の情報記録媒体52に保存された情報を、パケット通信手段55を用いて図示しないネットワークに通知する。更に、在圏国判別手段58による携帯電話機1の在圏国情報、在圏ネットワーク判別手段59による携帯電話機1の在圏ネットワーク情報、あるいは計時手段53による時間情報を用いて、第1の情報記録媒体51あるいは第2の情報記録媒体52に保存された情報がネットワーク事業者と有効な契約を結んだ使用者のものであるか否かを判断する手段である。
【0034】
計時手段53は、端末内部に備えたタイマ39あるいは無線信号によって受信した時間情報を用いて、現在の時刻および特定の操作が行われてからの経過時間を測定する。
【0035】
端末機能制限手段54は、情報認証手段50からの指示を受けて、携帯電話機1の機能を使用できないよう制限する。遮断する機能には後に述べるパケット通信手段55によるデータ通信機能、呼受付手段56による着呼機能、および発呼手段57による発呼機能などが挙げられる。他にカメラ機能やワンセグテレビ視聴機能などを備えた携帯電話機1においては、これらの機能も同様に制限される。
【0036】
パケット通信手段55は、図示しないネットワークを介して他の携帯電話機、固定端末あるいはネットワーク制御装置との間でパケット通信を用いたデータ通信を行う。ここで述べるデータ通信には、電子メールの送受信やウェブサイトのブラウジングなど、電話機使用者によって能動的に行われるデータ通信の他に、先に述べた情報認証手段50による情報認証やネットワークからの端末制御信号の受信など、電話機使用者が操作を行うことなく自動的に送受信が行われるデータ通信を含む。
【0037】
呼受付手段56は、ネットワークを介して他の携帯電話機、あるいは固定端末から受信した発呼信号を受け付ける。
【0038】
発呼手段57は、電話機使用者の指示を受けて、ネットワークを介して他の携帯電話機あるいは固定端末へ発呼信号を送信する。
【0039】
在圏国判別手段58は、ネットワークより送信されるMCC−IDを用いて、携帯電話機1が現在使用しているネットワークの国情報を取得し、情報認証手段50へ通知する。
【0040】
在圏ネットワーク判別手段59は、ネットワークより送信されるネットワーク情報を用いて、携帯電話機1が現在使用しているネットワークの情報を取得し、情報認証手段50へ通知する。
【0041】
なお、図4に示した制御部の構成はこれに限られるものではなく、図4に挙げた構成要素の一部を削除し、あるいは図4に図示しない構成要素を付加しても構わない。
【0042】
図5は、ネットワーク間を跨いだ網接続を示す概念図である。各ネットワークは少なくとも交換装置A(87),B(97)、制御装置A(85),B(95)、メッセージ蓄積装置A(86)、B(86)、および電波基地局A(84),B(94)から構成される。
【0043】
交換装置A(87),B(97)は、ネットワーク内およびネットワーク間を繋ぐ回線接続を制御し、回線交換処理を行う機能を持つ。制御装置A(85),B(95)は、ネットワーク内に存在する通信端末の位置情報および端末が所属するキャリアの契約情報を保持する機能を持つ。更に、通信端末の発呼に応じて着呼先への回線経路を設計し、設計した回線経路が導通するよう交換装置A(87),B(97)へ制御命令を出力する機能を持つ。また、通信端末の留守番電話サービスなどのサービス要求に応じて、後に述べるメッセージ蓄積装置に対してメッセージの読み出し命令を出力する機能を持つ。
【0044】
メッセージ蓄積装置A(86)、B(86)は、使用者が発信したメールや留守番電話録音、あるいは転送メッセージなどの情報を保持し、制御装置A(85),B(95)の呼び出し命令に応じてメッセージを通信端末へ出力する機能を持つ。電波基地局A(84),B(94)は、ネットワーク内を伝播してきた有線の情報信号を無線の情報信号へ変調して発信し、また携帯電話機から発信された無線の情報信号を有線の情報信号へ復調し、ネットワークへ送信する機能を持つ。
【0045】
(ローミングサービスを利用した発呼/通話処理)
次に、ローミングサービスを利用中の使用者携帯電話機70が在圏国携帯電話機71あるいは在圏国固定端末72へ通話発信し、通話を行う場合の処理について述べる。
【0046】
まず、発信側の使用者携帯電話機70から在圏国携帯電話機71あるいは在圏国固定端末72へ向けて発信要求が行われると、発信要求は電波基地局A(84)へ向けて送信される。電波基地局A(84)は発信要求を受信すると、受信信号の復調を行い、復調した発信要求を制御装置A(85)へと送信する。制御装置A(85)は発信要求を受信すると、使用者携帯電話機70に挿入されたSIMの情報に基づいて使用者携帯電話機70が契約を結んでいるホーム国ネットワーク事業者の情報を確認する。
【0047】
更に、制御装置A(85)は、使用者携帯電話機70が使用している電波基地局A(84)の属する在圏国ネットワーク事業者と同一か否かを判別する。制御装置A(85)は、使用者携帯電話機70が契約を結んでいるホーム国ネットワーク事業者と電波基地局A(84)の属する在圏国ネットワーク事業者とが異なる場合には、使用者携帯電話機70のIMSI(電話番号情報)およびESN(端末情報)を、契約を結んでいる例えばホーム国ネットワーク90に属する制御装置B(95)へと送信する。制御装置B(95)は、ホーム国ネットワーク事業者との契約が有効であるか否か、および在圏国ネットワーク80を使用するローミングサービスを使用可能な契約を結んでいるか否かの判断を行う。
【0048】
ホーム国ネットワーク事業者との契約が無効であるか、あるいはローミングサービスの利用契約が無効である場合は、発呼要求は棄却され、回線が切断される。制御装置B(95)は、両契約が有効である場合はその旨を制御装置A(85)へと送信する。また制御装置B(95)は、使用者携帯電話機70が在圏国ネットワーク80を利用可能であることを確認すると、使用者携帯電話機70と発呼先とを繋ぐ回線経路を設計する。回線経路の設計は、通常、回線ごとに通信コストを予め設定しておき、回線経路に掛かる通信コストの合計が最も少なくなる経路を選択するプロトコルである、OSPF(Open Shortest Pass Fast)が用いられる。
【0049】
制御装置B(95)は、設計した回線経路を通じて通信が行えるように交換装置A(87)および交換装置B(97)を駆動し、回線を導通させる。制御装置B(95)は、回線が導通する旨を発呼元である使用者携帯電話機70および着呼先である在圏国携帯電話機71や在圏国固定端末72へ通知する。これにより、端末間の通話が開始される。
【0050】
先に述べたローミングサービスを利用した在圏国内のローカル通話においては、使用者携帯電話機70は、ホーム国ネットワーク90を経由して通信を行う必要がある。ホーム国ネットワーク90を経由した通信は、在圏国ネットワーク80内の国内通話に比べネットワークに対する処理負荷が大きく、また使用者にとって割高な通話料金が発生する。
【0051】
(ローカル通信による発呼/通話処理)
次に、使用者携帯電話機70が在圏国ネットワーク80と契約を結んだSIMを用いて、在圏国携帯電話機71もしくは在圏国固定端末72へ発呼し通話を行う場合の処理について述べる。
【0052】
ローミングサービスを利用した発呼と同様に、使用者携帯電話機70が発信した発呼要求を制御装置A(85)が受信する。制御装置A(85)は、使用者携帯電話機70に挿入されたSIMの情報に基づいて、使用者携帯電話機70が契約を結んでいるホーム国ネットワーク事業者の情報を確認し、使用者携帯電話機70が使用している電波基地局A(84)の属する在圏国ネットワーク事業者と同一か否かを判断する。これらが同一である場合、制御装置A(85)は、使用者携帯電話機70と発呼先とを繋ぐ回線経路を設計する。制御装置A85は、設計した回線経路を通じて通信が行えるように、交換装置A(87)を駆動し、回線を導通させる。制御装置A(85)は、回線が導通する旨を発呼元である使用者携帯電話機70および着呼先である在圏国携帯電話機71や在圏国固定端末72へ通知する。これにより、端末間の通話が開始される。
【0053】
以上述べたように、ローカル圏内の通話において、使用者携帯電話機70が行う発呼および通話処理は、在圏国ネットワーク80の間でのみ行われる。ローカル圏内の通話は、ローミングサービスを利用した通話に比べてネットワークに対する処理負荷が少なく、また使用者にとっての通話料金も割安である。
【0054】
以下に、使用者携帯電話機70を国外などへ携行し、通常使用するSIMのホーム国と異なる在圏国ネットワーク80を用いて通話を行う場合に、上述したローカル通話が行える様に複数のSIMを使い分ける2つの実施形態について述べる。1つ目の実施形態は、SIMを同時に複数保持可能とし、使用者携帯電話機70の契約状況やネットワークの状況に応じて使用するSIMを切り替える方式である。2つ目の実施形態は、SIMを交換可能とし、ホーム国の制御装置B(95)から送信される制御信号を受けて、通常使用するSIMから異なるSIMへの交換許可を行う方式である。
【0055】
(第1の実施形態)
第1の実施形態は、携帯電話機1に2つのSIMカードを保持する情報記録媒体保持部40を設け、その一方にホーム国で使用するメインSIM73を、もう一方に在圏国ネットワーク80でのローカル通信の使用契約を結んだサブSIM74を有する構成とする。
【0056】
以下に、使用するSIMを決定する処理手順について述べる。図6は、使用者携帯電話機70が使用するSIMを決定する処理について示したフローチャートである。
【0057】
まず、使用者携帯電話機70が起動する(ステップ200)と、使用者携帯電話機70は無線基地局A(84)から受信した電波信号に基づき自身が用いる無線通信チャネルの確保を行う(ステップ201)。使用者携帯電話機70は、無線通信チャネルを確保すると、無線基地局A(84)から送信される報知情報を受信する(ステップ202)。報知情報には、無線基地局A(84)が属するセルの位置情報、キャリア情報および国情報などが含まれる。次に、使用者携帯電話機70は、メインSIM73を用いて位置登録を試みる(ステップ203)。使用者携帯電話機70は、位置登録の際に制御装置A(85)へメインSIM73に保存された情報を送信するが、ここで送信される情報は、例えばIMSI、ESN、キャリア情報、およびMCC−IDなどが含まれる。
【0058】
使用者携帯電話機70は、位置登録情報の送信を行うと、制御装置A(85)からの応答信号を待つ(ステップ204)。応答がない場合は応答信号の受信か、あるいはタイムアウトを待つ(ステップ205)。予め定めた時間を超過しても応答信号の受信がなされなかった場合は、タイムアウトし、例えば使用者携帯電話機70の端末機能制限手段54によって発呼機能、着呼機能、データ通信機能などの使用が制限される(ステップ207)。制御装置A(85)は、使用者携帯電話機70からの位置登録情報を受信すると、IMSI、ESN、キャリア情報、およびMCC−IDなどを用いてメインSIM73の使用契約が有効であるか否かを判断し、その判断結果を使用者携帯電話機70へ送信する(ステップ203)。使用者携帯電話機70は、判断結果からメインSIM73の使用契約が有効であるか否かを確認する(ステップ206)。使用契約が有効でない場合には、端末機能制限手段54によって端末の機能が制限される(ステップ207)。
【0059】
制御装置A(85)は、メインSIM73の使用契約が有効であることを確認すると、使用者携帯電話機70の在圏国がホーム国であるか否かをMCC−IDを用いて確認する(ステップ211)。制御装置A(85)によってホーム国であると確認され、使用者携帯電話機70に通知されると、使用者携帯電話機70はメインSIM73の位置登録を用いたローカル通信を行う(ステップ212)。
【0060】
制御装置A(85)によって使用者携帯電話機70の在圏国がホーム国と異なることが確認され、使用者携帯電話機70に通知された場合は、使用者携帯電話機70はサブSIM74を用いて制御装置A(85)へ位置登録情報の送信し、位置登録を試みる(ステップ213)。使用者携帯電話機70は、メインSIM73の位置登録の場合と同様に制御装置A(85)からの応答信号を待つ(ステップ214)。応答がない場合は、応答信号の受信か、あるいはタイムアウトを待つ(ステップ215)。使用者携帯電話機70は、予め定めた時間を超過しても応答信号を受信しなかった場合はタイムアウトし、既に位置登録の行われたメインSIM73を用いたローミング通信を行う(ステップ212)。
【0061】
一方、使用者携帯電話機70は、制御装置A(85)から送信されたサブSIM74の契約有効性の判断結果を受信すると、サブSIM74の契約の有効性を判断する(ステップ216)。使用者携帯電話機70は、サブSIM74の契約が無効であると判断すると、メインSIM73の位置情報を用いたローミング通信を行う(ステップ212)。制御装置A(85)は、サブSIM74の契約が有効であると判断すると、使用者携帯電話機70の在圏国がサブSIM74のホーム国であるか否かをMCC−IDを用いて確認する(ステップ217)。制御装置A(85)によってホーム国と異なることが確認され、使用者携帯電話機70に通知されると、使用者携帯電話機70はメインSIM73を用いたローミング通信を行う(ステップ212)。制御装置A(85)によって使用者携帯電話機70の在圏国情報がホーム国と同じであることが確認され、使用者携帯電話機70に通知されると、使用者携帯電話機70はサブSIM74の位置登録情報を用いたローカル通信を行う(ステップ218)。
【0062】
以上の手順により、2枚のSIM73,74を保持した使用者携帯電話機70が、在圏国に従ってSIMを切り替えて通信を行うことができる。なお、図6に示すように、通信開始の際にはメインSIM73の有効性が確認される。有効性確認の結果メインSIM73が無効であると判断されると、例えサブSIM74が有効であっても使用者携帯電話機70は通信を行うことができない。これにより、ネットワーク事業者は使用者との使用契約を維持したままで使用者に在圏国でのローミングサービスの使用を許可することができ、更に在圏国での不法な転売を抑止することができる。
【0063】
なお、本実施例では2枚のSIMを用いた携帯電話機1について述べたが、SIMの枚数を増加させ3つ以上保持可能とした携帯電話機においても同様の発明の効果が得られる。また、ステップ211およびステップ217で確認する情報として国情報を挙げたが、ここで確認する情報としてキャリア情報や使用者携帯電話機70が属するネットワーク情報を用いることでも、同様の発明の効果が得られる。
【0064】
(第2の実施形態)
第2の実施形態は、携帯電話機1に1つの情報記録媒体保持部40を設けた例である。
【0065】
第2の実施形態では、予めメインSIM73を用いて位置登録を行い、メインSIM73の使用契約が有効であると判断されると、SIMロック解除制御信号が制御装置B(95)より送信される。ここでSIMロックとは、使用者携帯電話機70に挿入されたメインSIM73のキャリア情報が、例えば使用者携帯電話機70に記録されたキャリア情報と一致しない場合に、端末機能制限を科す機能を指す。SIMロック解除状態にある使用者携帯電話機70が在圏国で使用契約を結んだサブSIM74を用いて位置登録を行うことで、在圏国ネットワーク80でのローカル通信を行うことが可能となる。図7は、端末起動時に行うSIMの認証処理について示したフローチャートであり、以下にその処理手順について述べる。
【0066】
まず、使用者携帯電話機70が起動すると(ステップ300)、電波基地局A(84)から受信した電波信号に基づいて無線通信チャネルの確保を行う(ステップ301)。使用者携帯電話機70は、無線通信チャネルを確保すると無線基地局A(84)から送信される報知情報を受信する(ステップ302)。使用者携帯電話機70は、現在挿入されているSIMを用いて位置登録情報を無線基地局A(84)を介して制御装置A(85)に送信する(ステップ303)。そして、使用者携帯電話機70は、制御装置A(85)からの応答信号を待つ(ステップ304)。応答が無い場合は、応答信号の受信か、あるいはタイムアウトを待つ(ステップ305)。予め定めた時間を超過しても応答信号の受信がなされなかった場合はタイムアウトし、端末機能制限手段54による機能制限が行われる(ステップ309)。
【0067】
使用者携帯電話機70は、応答信号の受信を行うとSIMロックが科されているか否かの判断を行う(ステップ306)。そして、SIMロック状態にある場合は、現在挿入されているSIMのキャリア情報と、使用者携帯電話機70に記録されたキャリア情報とが一致するか否かの確認を行う(ステップ307)。使用者携帯電話機70は、キャリア情報が一致しない場合、機能制限手段54による端末の機能制限を行う(ステップ309)。一方、使用者携帯電話機70は、キャリア情報が一致するか、あるいはSIMロック状態にないことを確認すると、制御装置A(85)あるいは制御装置B(95)から受信した応答信号により、現在挿入されているSIMの使用契約が有効か否かの確認を行う(ステップ308)。使用契約が無効である場合は、機能制限手段54による端末の使用制限が行われる(ステップ309)。契約が有効である場合、使用者携帯電話機70は挿入されているSIMの位置登録情報を用いたローカル通信を行う(ステップ310)。
【0068】
以上の手順により、SIMロックを予め解除した使用者携帯電話機70が、現在属している在圏国ネットワーク80に応じて適したSIMに差し替えることにより、ローカル通信を行うことができる。なお、先述したようにSIMロックの解除は、ホーム国ネットワーク90と使用契約を結んだメインSIM73と、ホーム国ネットワーク90の制御装置B(95)との使用契約の有効性が確認された場合にのみ行われるため、ネットワーク事業者は使用者との使用契約を維持したままで在圏国におけるローカル通話を許可することができる。
【0069】
なお、このSIMロックの解除は、制御装置B(95)から送信される制御信号により行われるが、この制御信号にSIMロックの解除期間を示す信号を付加しておき、一定の解除期間を過ぎた後に再び使用者携帯電話機70にSIMロックを科す構成としてもよい。これにより、SIMロックを解除したままでの在圏国内の永続的な端末使用が行えなくなるため、在圏国での不法な転売を抑止することができる。更に、制御装置B(95)から送信される制御信号にSIMロックの解除を行う国情報を付加しておき、SIMの位置登録の際に使用者携帯電話機70が属するネットワークが特定の国にある場合にのみSIMロックを解除する構成としてもよい。これにより、ホーム国のネットワーク事業者がSIMロック解除サービスを提供したい国を指定することができる。
【0070】
以上のように、本実施形態によってローミング中の電話機使用者がサービスエリア内のSIMを用いてローカル通信を行えるため、ネットワーク使用料金の安い携帯電話機が得られる。また、ホーム国での契約事業者が有するSIM認証を経た後に、在圏国でのSIM情報の入れ替えを許可するため、ネットワーク事業者は使用者との使用契約の維持したまま在圏国におけるローカル通話を許可することができ、また不法な携帯電話機の転売を抑止した携帯電話機が得られる。
【0071】
なお、ここに述べた実施の形態において、携帯電話機を挙げて説明を行った。しかし、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、例えばPDA(Personal Digital Assistant)や有線端末などの通信端末にも適用できる。また、実施の形態において折り畳み携帯電話機を例にとって説明したが、スライド式携帯電話機や、可動機構を持たないバータイプの携帯電話機にも適用できる。本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲であれば、構成要素を変形して具体化しても良い。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより、種々の発明を形成しても良い。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯端末の一例である折り畳み式携帯電話機の、外観の構成を示す図。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯端末の一例である折り畳み式携帯電話機の、他の外観の構成を示す図。
【図3】本実施形態における携帯電話機の内部の構成を示す図。
【図4】本実施形態における携帯電話機の制御部の構成を示す図。
【図5】ネットワーク間を跨いだ通信を行うローミング機能において、網接続の状態を示す概念図。
【図6】複数のSIMを同時に保持可能な携帯電話機における、使用SIMを決定処理フローチャート。
【図7】単一のSIMを保持する携帯電話機における、SIM認証処理フローチャート。
【符号の説明】
【0073】
1 携帯電話機
2 第1筐体
3 第2筐体
7 マイクロフォン
8 レシーバ
10 メインディスプレイ
11 サブディスプレイ
31 制御部
32 記憶部
50 情報認証手段
51 第1の情報記録媒体
52 第2の情報記録媒体
53 計時手段
54 端末機能制限手段
55 パケット通信手段
56 呼受付手段
57 発呼手段
58 在圏国判別手段
59 在圏ネットワーク判別手段
70 使用者携帯電話機
71 在圏国携帯電話機
72 在圏国固定端末
73 メインSIM
74 サブSIM
80 在圏国ネットワーク
84 電波基地局A
85 制御装置A
86 メッセージ蓄積装置A
87 交換装置A
90 ホーム国ネットワーク
94 電波基地局B
95 制御装置B
96 メッセージ蓄積装置B
97 交換装置B

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局と無線回線を通じて通信を行う通信手段と、
契約事業者情報、端末情報、電話番号情報、ホームネットワーク情報、およびホーム国情報のうち、少なくともいずれか1つの情報が記録される第1の情報記録手段と、
契約事業者情報、端末情報、電話番号情報、ホームネットワーク情報、およびホーム国情報のうち、前記第1の情報記録手段とは異なる少なくともいずれか1つの情報が記録される第2の情報記録手段と、
前記通信手段を介して前記第1および第2の情報記録手段に記録される情報の有効性を判断する情報認証手段と、
自端末の機能を制限する端末機能制限手段と、
ネットワーク間を跨いだ通信を可能にするローミング手段と、
前記情報認証手段の認証によって前記第1の情報記録手段に記録される情報が有効と判断された場合には、前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可し、前記第1の情報記録手段に記録される情報が無効であると判断された場合には、前記端末機能制限手段によって制限された端末動作を許可するネットワーク制御手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記ネットワーク制御手段は、
前記第1の情報記録手段に記録される情報が有効と判断された場合で、且つ、前記第1の情報記録手段に記録される前記ホームネットワーク情報あるいは前記ホーム国情報と自端末が属するネットワークの情報あるいは在圏国の国情報とが一致する場合には前記第1の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可し、一致しない場合には前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記ネットワーク制御手段は、
前記第1の情報記録手段に記録される情報が有効と判断された場合で、且つ、前記第1の情報記録手段に記録される前記ホームネットワーク情報あるいは前記ホーム国情報と自端末が属するネットワーク情報あるいは在圏国の国情報とが一致せず、更に前記第2の情報記録手段に記録される前記ホームネットワーク情報あるいは前記ホーム国情報と前記自端末が属するネットワーク情報あるいは前記在圏国の国情報とが一致する場合には、前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可し、一致しない場合には、前記第1の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可する
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記ネットワーク制御手段は、
前記情報認証手段の判断によって前記第1の情報記録手段に記録される情報が有効と判断された場合、前記通信手段によって前記無線回線を通じて受信した制御信号に基づいて前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記ネットワーク制御手段は、前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作を予め定められた期間内にあるとき許可することを特徴とする請求項4に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記ネットワーク制御手段は、前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作を予め定められた国の国情報あるいはネットワーク情報と前記第2の情報記録手段に記憶される前記ホーム国情報あるいは前記ホームネットワーク情報とが一致するときに許可することを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の携帯端末。
【請求項7】
基地局と無線回線を通じて通信を行う通信手段と、契約事業者情報、端末情報、電話番号情報、ホームネットワーク情報、ホーム国情報のうち、少なくともいずれか1つが記録される第1の情報記録手段と、契約事業者情報、端末情報、電話番号情報、ホームネットワーク情報、ホーム国情報のうち、前記第1の情報記録媒体とは異なる少なくともいずれか1つの情報が記録される第2の情報記録手段と、前記通信手段を介して前記第1および第2の情報記録手段に記録される情報の有効性を判断する情報認証手段と、自端末の機能を制限する端末機能制限手段と、ネットワーク間を跨いだ通信を可能にするローミング手段とを備えた携帯端末のネットワーク制御方法であって、
前記情報認証手段の認証によって前記第1の情報記録手段に記録される情報が有効と判断された場合には、前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可し、前記第1の情報記録手段に記録される情報が無効であると判断された場合には、前記端末機能制限手段によって制限された端末動作を許可することを特徴とする携帯端末のネットワーク制御方法。
【請求項8】
前記第1の情報記録手段に記録される情報が有効と判断された場合で、且つ、前記第1の情報記録手段に記録される前記ホームネットワーク情報あるいは前記ホーム国情報と自端末が属するネットワークの情報あるいは在圏国の国情報とが一致する場合には、前記第1の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可し、
前記第1の情報記録手段に記録される前記ホームネットワーク情報あるいは前記ホーム国情報と前記自端末が属するネットワークの情報あるいは前記在圏国の国情報とが一致しない場合には、前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可する
ことを特徴とする請求項7に記載の携帯端末のネットワーク制御方法。
【請求項9】
基地局と無線回線を通じて通信を行う通信手段と、契約事業者情報、端末情報、電話番号情報、ホームネットワーク情報、ホーム国情報のうち、少なくともいずれか1つが記録される第1の情報記録手段と、契約事業者情報、端末情報、電話番号情報、ホームネットワーク情報、ホーム国情報のうち、前記第1の情報記録媒体とは異なる少なくともいずれか1つの情報が記録される第2の情報記録手段と、前記通信手段を介して前記第1および第2の情報記録手段に記録された情報の有効性を判断する情報認証手段と、自端末の機能を制限する端末機能制限手段と、ネットワーク間を跨いだ通信を可能にするローミング手段と、を備えた携帯端末のネットワーク制御プログラムであって、
前記情報認証手段の認証によって前記第1の情報記録手段に記録される情報が有効と判断された場合には、前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可し、前記情報認証手段の認証によって前記第1の情報記録手段に記録される情報が無効であると判断された場合には、前記端末機能制限手段によって制限された端末動作を許可するネットワーク制御機能を
備えたことを特徴とする携帯端末のネットワーク制御プログラム。
【請求項10】
前記ネットワーク制御機能は、
前記情報認証手段の判断によって前記第1の情報記録手段に記録される情報が有効と判断された場合で、且つ、前記第1の情報記録手段に記録される前記ホームネットワーク情報あるいは前記ホーム国情報と自端末が属するネットワークの情報あるいは在圏国の国情報とが一致する場合には、前記第1の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可し、
前記第1の情報記録手段に記録される前記ホームネットワーク情報あるいは前記ホーム国情報と前記自端末が属するネットワークの情報あるいは前記在圏国の国情報とが一致しない場合には、前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作を許可する
ことを特徴とする請求項9に記載の携帯端末のネットワーク制御プログラム。
【請求項11】
情報認証手段と、契約事業者情報、端末情報、電話番号情報、ホームネットワーク情報、およびホーム国情報うち少なくともいずれか1つの情報が記録される第1の情報記録手段と、契約事業者情報、端末情報、電話番号情報、ホームネットワーク情報、およびホーム国情報のうち前記第1の情報記録手段と異なる少なくともいずれか1つの情報が記録される第2の情報記録手段とを有する携帯端末と、
ネットワーク内の回線交換処理を行う交換装置と、
前記交換装置による前記回線交換処理における回線経路を設計し、更に前記ネットワークに属する前記携帯端末の認証情報を保持する制御装置と、
前記制御装置および前記交換装置に接続され前記携帯端末へ無線通信回線を提供する無線基地局と
を備えた無線通信システムであって、
前記第1および第2の情報記録手段に記録される情報を前記携帯端末から前記無線基地局を介して前記制御装置に送信し、
前記制御装置における認証情報を前記無線基地局を介して前記携帯端末の前記情報認証手段に送信し、
前記携帯端末では、前記情報認証手段による前記認証情報の認証によって前記第1の情報記録手段に記録される情報が有効と判断された場合には、前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作が許可され、前記第1の情報記録手段に記録される情報が無効であると判断された場合には、前記端末機能制限手段によって制限された端末動作が許可されることを特徴とする無線通信システム。
【請求項12】
前記携帯端末では、
前記情報認証手段の判断によって前記第1の情報記録手段に記録される情報が有効と判断された場合で、且つ、前記第1の情報記録手段に記録される前記ホームネットワーク情報あるいは前記ホーム国情報と自端末が属するネットワーク情報あるいは在圏国の国情報とが一致する場合には、前記第1の情報記録手段の情報を用いた端末動作が許可され、
前記第1の情報記録手段に記録される前記ホームネットワーク情報あるいは前記ホーム国情報と前記自端末が属するネットワーク情報あるいは前記在圏国の国情報とが一致しない場合には、前記第2の情報記録手段の情報を用いた端末動作が許可されることを特徴とする請求項11に記載の無線通信システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−141838(P2010−141838A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318879(P2008−318879)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】