説明

携帯端末システム

【課題】 携帯電話機を変更した場合において、ユーザがデータ移行をする必要がなく、また、新機種に慣れるための時間も必要としない携帯端末システムを提供する。
【解決手段】 携帯電話機1は、操作されたキーを示すキーデータを基地局7、ネットワーク8、振分サーバ2を介してAPサーバ3へ送信し、APサーバ3は、携帯電話機1から受けたキーデータに対応する表示データを携帯電話機1へ送信する。また、携帯電話機1は、アドレス帳の登録、変更、読出を指示するデータをDBサーバ5へ送信し、DBサーバ5は携帯電話機からの指示を受けて、内部のアドレス帳の登録、変更、読出を行うと共に、読み出したデータを振分サーバ2を介して携帯電話機1へ送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サーバを利用して携帯電話機等の携帯端末の利便性の向上を図った携帯端末システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話機は、通信会社の製作シリーズ毎に統一感があるが、細部をみると、製造メーカ毎に使用している音源チップ、アプリケーション、操作キー割り当てなどが異なっており、このため、機種変更時にデータ移行に手間取ったり、操作に慣れるのに時間がかかるという問題があった。これは、通信会社が異なる機種に変更した場合はさらに時間がかかり面倒であった。
【0003】
また、複数の携帯電話機を所有し、電話帳などを共有したい場合は、複数の携帯電話機に同じデータを入力する必要があるが、この場合、従来は携帯電話機のデータ管理用ソフトをセットしたパソコンが必要になるという問題があった。
なお、従来のこの種の問題に関する文献として特許文献1〜4が知られている。
【特許文献1】特開2004-15252号公報
【特許文献2】特開2004-153420号公報
【特許文献3】特開2003-242009号公報
【特許文献4】特開2003-46664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は上記事情を考慮してなされたもので、その目的は、携帯端末を変更した場合において、ユーザがデータ移行をする必要がなく、また、新機種に慣れるための時間も必要としない携帯端末システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は上述した課題を解決するためになされたもので、請求項1に記載の発明は、携帯端末と、サーバと、両者を接続する通信回線とからなり、前記携帯端末は、操作されたキーを示すキーデータを前記通信回線を介して前記サーバへ送信し、前記サーバは、前記携帯端末から受けたキーデータに対応する表示データを前記通信回線を介して前記携帯端末へ送信することを特徴とする携帯端末システムである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、携帯端末と、サーバと、両者を接続する通信回線とからなり、前記携帯端末は、アドレス帳の登録、変更、読出を指示するデータを前記サーバへ送信し、前記サーバはアドレス帳を具備し、前記携帯端末からの指示を受けて、前記アドレス帳の登録、変更、読出を行うと共に、読み出したデータを前記通信回線を介して前記携帯端末へ送信することを特徴とする携帯端末システムである。
請求項3に記載の発明は、携帯端末と、サーバと、両者を接続する通信回線とからなり、前記携帯端末は、特定の処理の実行を指示するデータを前記通信回線を介して前記サーバへ送信し、前記サーバは、内部に前記特定の処理のソフトウエアを具備し、前記携帯端末からの指示を受けて前記ソフトウエアを実行し、実行結果を前記携帯端末へ送信することを特徴とする携帯端末システムである。
【0007】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の携帯端末システムにおいて、前記特定の処理は、所定のデータフォーマットによる音声データをPCM音声データに変換する処理であることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の携帯端末システムにおいて、前記特定の処理は、前記携帯端末から送信された位置データを補正して精度を上げる処理であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の発明によれば、携帯端末が、操作されたキーを示すキーデータをサーバへ送信し、サーバが携帯端末から受けたキーデータに対応する表示データを携帯端末へ送信するので、携帯端末の機種を変更した場合においてキー操作とそれに伴う画像表示の関係が変更されず、この結果、使い勝手が変わらない利点が得られる。
また、請求項2の発明によれば、携帯端末は、アドレス帳の登録、変更、読出を指示するデータをサーバへ送信し、サーバはアドレス帳を具備し、携帯端末からの指示を受けて、アドレス帳の登録、変更、読出を行うと共に、読み出したデータを携帯端末へ送信するので、携帯端末の機種を変更した場合において、ユーザがアドレス帳のデータ移行をする必要がない利点が得られる。
【0009】
また、請求項3の発明によれば、携帯端末は、特定の処理の実行を指示するデータをサーバへ送信し、サーバは、内部に特定の処理のソフトウエアを具備し、携帯端末からの指示を受けてソフトウエアを実行し、実行結果を携帯端末へ送信するので、携帯端末の機種を変更した場合において、ユーザが新機種に慣れるための時間も必要としない利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。図1はこの発明の一実施の形態による携帯電話システム(携帯端末システム)の構成を示すブロック図である。この携帯電話システムは、ユーザが所有する携帯電話機1と、通信会社が管理する振分サーバ2、AP(アプリケーション)サーバ3、4、DB(データベース)サーバ5とから構成され、携帯電話機1が基地局7、インターネット等のネットワーク8を介して振分サーバ2に接続される。
【0011】
図2は携帯電話機1の構成を示すブロック図である。この携帯電話機1は音声通信およびインターネットを介したデータ通信の機能を有すると共に、GPS(Global Positioning System)による現在位置検出機能、CCDカメラによる撮像機能を有している。
図2において、11は各部を制御するCPU(中央処理装置)、12はCPU11のプログラムが記憶されたROM(リードオンリメモリ)、13はCPU11の処理においてデータが一時記憶されるRAM(ランダムアクセスメモリ)である。14はテンキーおよびファンクションキーからなる操作部、15は液晶表示器による表示部である。16は通信部であり、アンテナ16aを介して基地局7から受信した高周波信号を復調し、復調によって得られた音声データについては音声処理部17へ出力し、文字データ、記号データ等についてはバスラインBを介してCPU11へ出力する。また、この通信部16は、CPU11から供給される相手先電話番号等のデータおよび音声処理部17から出力される音声データによって高周波の搬送波を変調しアンテナ16aから発信する。
【0012】
音声処理部17は、マイクロフォン18から出力される音声信号をディジタル音声データに変換し、さらに圧縮して通信部16へ出力する。また、通信部16から出力される圧縮されたディジタル音声データを伸長し、アナログ信号に変換してイヤスピーカ19へ出力する。20は着信音発生部であり、CPU11からの指示を受け、内部に記憶されている楽音データに基づいて着信音信号を発生し、スピーカ21へ出力する。22はGPS処理部であり、GPS衛星からの電波をアンテナ22aによって受信し、受信した電波に基づいて携帯電話機1の現在位置を算出し、算出した位置を示す位置データをバスラインBへ出力する。23は撮像部であり、レンズ、CCD、データ処理回路を有し、CCDによって撮像した画像信号をディジタル画像データに変換し、バスラインBへ出力する。
【0013】
次に、上述した携帯電話システムの動作を説明する。なお、携帯電話機の音声通話の動作は従来の携帯電話機と同様であるので説明を省略する。
(1)キー操作
ユーザが操作部14のテンキーまたはファンクションキーを操作すると、操作部14から、操作されたキーを示すキーデータがバスラインBを介してCPU11へ出力される。CPU11はそのキーデータを、通信部16を介して振分サーバ2へ送信する。振分サーバ2は、そのキーデータをAPサーバ3へ送る。APサーバ3はキーデータを受け、そのキーデータから、携帯電話機1において操作されたキーを検知し、該キー操作に対応する表示データを生成し、振分サーバ2を介して携帯電話機1へ送信する。その表示データは携帯電話機1の通信部16によって受信され、通信部16からバスラインBを介してCPU11へ出力される。CPU11はその表示データを表示部15へ出力し、表示部15はその表示データに基づいて液晶画面の表示を行う。
このように、操作部14のキー操作に基づく画面表示は、APサーバ3内の表示ソフトウエアに基づいて行われる。
【0014】
(2)アドレス帳の登録、変更、呼出
ユーザが操作部14からアドレス帳の登録を指示するキー操作を行うと、上述した手順を経て表示部15にアドレス登録用画面が表示される。ユーザがその画面において、登録すべきアドレスを入力し、登録を指示するキー操作を行うと、ユーザによって入力されたアドレスが振分サーバ2へ送信される。振分サーバ2はそれらのデータをDBサーバ5へ出力し、DBサーバ5はそのアドレスを内部の記憶部に登録する。
ユーザが操作部14からアドレス帳の変更を指示するキー操作を行うと、上記と同様にして表示部15に変更前アドレスおよび変更後アドレスを入力する画面が表示される。ユーザがその画面において、変更前アドレスおよび変更後アドレスを入力し、登録を指示するキー操作を行うと、変更前アドレス、変更後アドレスおよび登録指示が振分サーバ2へ送信される。振分サーバ2はそれらのデータをDBサーバ5へ出力する。DBサーバ5は変更前アドレスおよび変更後アドレスに基づいて内部の記憶部に記憶されているアドレス帳の書き換えを行う。
【0015】
ユーザが操作部14においてアドレス帳読み出しを指示するキー操作を行うと、操作されたキーを示すキーデータが振分サーバ2へ送信される。振分サーバ2はそのキーデータをDBサーバ5へ送る。DBサーバ5はそのキーデータを受け、内部の記憶部からアドレス帳を読み出し、携帯電話機1へ送信する。送信されたアドレス帳は携帯電話機1表示部15に表示される。
【0016】
(3)着信メロディ変更
ユーザが操作部14から着信メロディの変更を指示するキー操作を行うと、キーデータが振分サーバ2を介してDBサーバ5へ出力される。DBサーバ5は内部の記憶部に記憶されている着信メロディの名称を読み出し、振分サーバ2を介して携帯電話機1へ出力する。その名称は携帯電話機1の表示部15に表示される。ユーザがその表示を見て、いずれか1つの着信メロディを選択するキー操作を行うと、選択された着信メロディの名称がDBサーバ5へ送信される。DBサーバ5はその名称の着信メロディの楽音データを内部の記憶部から読み出し、携帯電話機1へ送信する。携帯電話機1へ送信された楽音データは通信部16を介してCPU11へ出力され、CPU11がその楽音データを着信音発生部20へ出力する。着信音発生部20はその楽音データを内部のメモリに記憶させる。以後、着信音発生部20はその楽音データに基づいて着信音を生成する。
【0017】
(4)SMAFファイルの変換
携帯電話機において用いられるマルチメディアデータ形式としてSMAF(Synthetic music Mobile Application Format)(登録商標)が知られているが、このSMAF(登録商標)によるファイルを音声信号に変換する場合、ユーザはファイルを振分サーバ2へ送信する。振分サーバ2はそのファイルをAPサーバ4へ送る。APサーバ4は、内部のデコードソフトを使用してSMAFファイルをPCM音声データに変換し、携帯電話機1へ送信する。また、SMAFファイルがDBサーバ5内に用意された個人毎もしくは端末毎に割り当てられた領域にある時もある。この場合、DBサーバ5内のファイルがAPサーバ4へ送られて処理される。携帯電話機1の通信部16はAPサーバ4からの音声データを受信し、CPU11へ出力する。CPU11はその音声データを着信音発生部20へ出力する。着信音発生部20はその音声データをアナログ信号に変換しスピーカ21へ出力する。これにより、SMAFファイルに基づく音声がスピーカ21から発生する。
【0018】
(5)GPS処理
ユーザが現在位置データを必要とする場合、操作部14において所定のキー操作を行う。このキー操作が行われると、CPU11がそれを検知し、GPS処理部22へ位置データ要求を出力する。GPS処理部11は、GPS衛星からの電波に基づいて現在位置を算出し、位置データをCPU11へ出力する。CPU11はその位置データを振分サーバ2へ出力し、振分サーバ2はその位置データをAPサーバ4へ出力する。APサーバ4は、その位置データにD−GPS(Differential GPS)による補正を行って精度を上げ、補正後のデータを地図データと共に携帯電話機1へ送信する。送信されたデータは携帯電話機1の表示部15に表示される。
【0019】
以上のように、上記実施形態においては、従来、携帯電話機において行われていた種々の処理がAPサーバ4、5によって行なわれ、また、携帯電話機の記憶部に保持されていたアドレス帳や着信メロディの楽音データがDBサーバ5の記憶部に記憶される。これにより、携帯電話機1の機種が変更になった場合においても、操作方法や操作手順が変わることがなく、また、アドレス帳のデータ移行等の処理も必要ない。また、複数の携帯電話機を所有したり、他人の携帯電話機を借りたりする場合において、同じ使い勝手とすることができる。また、携帯電話機は必要最低限の機能しか持たないので、価格を安くすることができる。また、携帯電話機の機能アップを、サーバの更新だけで行うことができ、さらに、ユーザが好みのGUI等の機能を選択することも可能となる。
【0020】
なお、上記実施形態においては詳しい説明を省略しているが、図1のシステムにおいては、APサーバ4または5において、携帯電話機1の撮像部23から出力される画像データに効果をかける処理や、iアプリ(登録商標)、JAVA(登録商標)等を処理して表示画面、出力音声を作る処理も行われ、また、DBサーバ5において、送受信メール、撮像部23から出力される画像データの保存等も行われる。
【0021】
また、上記実施形態においては、機能別にサーバを分けているが、1つのサーバ上に全部の機能を搭載してもよい。また、携帯電話機1の製造メーカ別にサーバを分けてもよい。この場合、どのサーバを使用するかをユーザが選択できるようにする。また、サーバを機能毎に複数設け、GUI(Graphical User Interface)、キー応答、カメラ画像処理、音声処理等の機能毎に、ユーザが好みのサーバを選択するようにしてもよい。また、サーバは通信会社にあるものに限らず、有線/無線で繋がれていれば、自宅等に置かれた個人用のサーバでもよい。
また、上記実施形態は、携帯電話機のシステムであるが、この発明はPHS等の他の種の携帯端末にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0022】
この発明は、携帯電話機等の携帯端末を使用した通信システムにおいて用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の一実施形態による携帯端末システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1における携帯電話機1の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0024】
1…携帯電話機、2…振分サーバ、3、4…APサーバ、5…DBサーバ、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…操作部、15…表示部、16…通信部、17…音声処理部、20…着信音発生部、22…GPS処理部、23…撮像部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と、サーバと、両者を接続する通信回線とからなり、
前記携帯端末は、操作されたキーを示すキーデータを前記通信回線を介して前記サーバへ送信し、
前記サーバは、前記携帯端末から受けたキーデータに対応する表示データを前記通信回線を介して前記携帯端末へ送信する
ことを特徴とする携帯端末システム。
【請求項2】
携帯端末と、サーバと、両者を接続する通信回線とからなり、
前記携帯端末は、アドレス帳の登録、変更、読出を指示するデータを前記サーバへ送信し、
前記サーバはアドレス帳を具備し、前記携帯端末からの指示を受けて、前記アドレス帳の登録、変更、読出を行うと共に、読み出したデータを前記通信回線を介して前記携帯端末へ送信する
ことを特徴とする携帯端末システム。
【請求項3】
携帯端末と、サーバと、両者を接続する通信回線とからなり、
前記携帯端末は、特定の処理の実行を指示するデータを前記通信回線を介して前記サーバへ送信し、
前記サーバは、内部に前記特定の処理のソフトウエアを具備し、前記携帯端末からの指示を受けて前記ソフトウエアを実行し、実行結果を前記携帯端末へ送信する
ことを特徴とする携帯端末システム。
【請求項4】
前記特定の処理は、所定のデータフォーマットによる音声データをPCM音声データに変換する処理であることを特徴とする請求項3に記載の携帯端末システム。
【請求項5】
前記特定の処理は、前記携帯端末から送信された位置データを補正して精度を上げる処理であることを特徴とする請求項3に記載の携帯端末システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−279124(P2006−279124A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−90494(P2005−90494)
【出願日】平成17年3月28日(2005.3.28)
【出願人】(000004075)ヤマハ株式会社 (5,930)
【Fターム(参考)】