説明

携帯端末及び機能制限方法

【課題】 非接触型ICカード機能を搭載し、SIMカードなどの加入者情報カードを挿入すて利用可能な携帯端末において、任意の第三者が非接触型ICカード機能を使用できないようにする。
【解決手段】 非接触型ICカード機能部を備え、加入者情報カードを挿入して利用可能な携帯端末において、非接触型ICカード機能の使用を許可された加入者番号が登録される非接触型ICカード使用許可リストを予め作成しておき、加入者情報カードに記録された加入者番号と非接触型ICカード使用許可リストを比較して該当する加入者番号の有無を判定し、該当する加入者番号が無い場合、非接触型ICカード機能部のみ機能を停止する構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末及び機能制限方法に関し、特に非接触型IC(Integrated Circuit)カード機能部が搭載された携帯電話端末等に適用して好適な携帯端末及びその非接触型ICカード機能の使用を制限する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、GSM(Global Systems for Mobile communications)/UMTS(Universal Mobile Telecommunications System)端末のようなSIM(Subscriber Identity Module)カードを必要とする携帯電話端末の場合、第三者の加入者番号が入ったSIMカードを携帯電話端末に挿入することによって、第三者の携帯電話端末として使用することができる。このSIMカードは、携帯電話会社が発行する、契約者情報を記録したICカードである。
【0003】
このSIMカードを利用して、例えば電話番号の異なる複数の携帯電話端末との使い分けを可能にした自動車電話装置が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2004−193641号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、GSM/UMTS端末にFelica(登録商標)などの非接触型ICカード機能を搭載した場合、第三者の加入者情報を元にした電話機能を使用することができる。しかし、この場合、第三者は、携帯電話端末所有者が使用している非接触型ICカードアプリケーションを利用できてしまうという問題があった。
例えば、携帯電話端末所有者が、非接触型ICカード機能を搭載した携帯電話端末を第三者に貸した場合、第三者は携帯電話端末所有者の非接触型ICカードアプリケーションを勝手に使用できてしまう。
【0005】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、非接触型ICカード機能を搭載し、SIMカードなどの加入者情報カードを挿入することで利用可能な携帯端末において、任意の第三者が非接触型ICカード機能を使用できないようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明は、非接触型ICカード機能部を備え、加入者情報カードを挿入して利用可能な携帯端末において、非接触型ICカード機能の使用を許可された加入者番号が登録される非接触型ICカード使用許可リストを予め作成しておき、加入者情報カードに記録された加入者番号と非接触型ICカード使用許可リストを比較して該当する加入者番号の有無を判定し、該当する加入者番号が無い場合、非接触型ICカード機能部のみ機能を停止する構成とする。
【0007】
上述の構成によれば、携帯端末所有者の加入者情報カードと異なる第三者の加入者情報カードを挿入したときに、第三者の加入者番号が非接触型ICカード使用許可リストに登録されていない場合は、この第三者は携帯端末所有者が使用している非接触型ICカード機能の使用が許可されない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、非接触型ICカード機能を搭載し、加入者情報カードを挿入して利用可能な携帯端末において、非接触型ICカード使用許可リストに登録されていない加入者番号を持つ第三者は、携帯端末所有者が使用している非接触型ICカード機能を利用できないので、セキュリティが向上するという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を実施するための最良の形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
【0010】
まず、本発明による非接触型ICカード機能を搭載した携帯端末を適用して好適な携帯電話端末の一例について、図1及び図2を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態例に係る携帯電話端末の回路構成を示すブロック図である。図1において、携帯電話端末100は、周知の移動体通信を行なう携帯電話端末と同様、図示しない基地局を経由して携帯電話公衆網110との無線通信を行なうためのアンテナ,RF回路及び変復調器等からなる送受信制御部101と、受信した音声信号を出力するスピーカや送信する音声信号を入力するマイクロホンを含む音声入出力部102と、記憶手段としての機能を持つ不揮発性の記憶部103と、発信・着信・電話番号入力などを行なうための操作キーや表示手段として用いられる画像表示装置を含むユーザインタフェース部104と、それらを制御する制御手段としての機能を持つ携帯電話制御部105を備える。
【0011】
また、携帯電話端末100には、リーダ・ライタと非接触で通信を行い電子決済や個人認証などを行なう例えばFelica等の非接触型ICカード機能部106と、加入者情報が記録されているSIMカードなどの加入者情報カード120とのインタフェースに用いる加入者情報カードインタフェース(以下、「加入者情報カードI/F」と称する。)107を備える。本例の携帯電話端末100に加入者情報カード120を挿入すると、非接触型ICカード機能に係るアプリケーションソフトウェア(以下、「アプリケーション」と称する。)以外は、あらゆる機能を制限なしに使用できる。
なお、この非接触型ICカード機能部106は、機器内蔵型の構造でもよいし、着脱可能なカード型の構造であってもよい。
【0012】
図2は、本発明の一実施の形態例に係る加入者情報カードの回路構成を示すブロック図である。加入者情報カード120は加入者情報が記録されたICカードであり、携帯電話端末100との着脱が可能で、かつ複数の携帯電話端末との着脱も可能な構成となっている。この加入者情報カード120は、携帯電話端末100とのインタフェースに用いる入出力部121と、記憶手段としての機能を持つ不揮発性の記憶部122と、それらを制御する制御手段としての機能を持つ制御部123を備える。
本例において、上記記憶部122には、特定の携帯電話会社のサービス加入者に割り当てられた例えばIMSI(International Mobile Subscriber Identity)等の加入者番号が格納されている。また、携帯電話端末100内の記憶部103には、非接触型ICカード機能の使用が許可された加入者番号のリスト(非接触型ICカード使用許可リスト)が格納されている。
【0013】
次に、上記構成の携帯電話端末100による機能ロック動作について説明する。
図3は、本発明の一実施の形態例に係る機能ロック動作のシーケンス図である。図3において、携帯電話端末100の電源投入後、携帯電話制御部105がオンする(ステップS1)。この時点では非接触型ICカード機能部106は、非接触型ICカードアプリケーションを起動させず、非接触型ICカード使用許可/使用不許可の指示待ちの状態にする(ステップS2)。その後、携帯電話制御部105は、加入者情報カード120に対して加入者番号の読み込みを要求する(ステップS3)。加入者情報カード120が、加入者情報カードI/F107を介して携帯電話制御部105からの加入者番号読み込み要求信号を受け取ったとき、制御部123は記憶部122から加入者番号を読み出し(ステップS4)、携帯電話制御部105にその加入者番号を送信する。
【0014】
加入者情報カードI/F107を介し加入者番号を受け取った携帯電話制御部105は、記憶部103より非接触型ICカード使用許可リストを読み出す(ステップS5)。その後、携帯電話制御部105は、加入者情報カード120から受け取った加入者番号と非接触型ICカード使用許可リストを比較し、非接触型ICカード使用許可又は使用不許可を決定し(ステップS6)、その旨を非接触型ICカード機能部106へ指示する。非接触型ICカード機能部106は、その指示内容が、非接触型ICカード使用許可又は使用不許可のいずれであるかを判断する(ステップS7)。
【0015】
例えば、非接触型ICカード使用許可リストに該当する加入者番号が登録されている場合、携帯電話制御部105は非接触型ICカード機能部106に対して、非接触型ICカード使用許可を指示する。それに対し、非接触型ICカード機能部106は、非接触型ICカードアプリケーションを起動設定する(ステップS8)。これにより、非接触型ICカード機能部106が無線信号を送受信した際に、即座に非接触型ICカードアプリケーションを起動することができる。
【0016】
一方、非接触型ICカード使用許可リストに該当する加入者番号が登録されていない場合、携帯電話制御部105は非接触型ICカード機能部106に対して、非接触型ICカード使用不許可を指示する。それに対し、非接触型ICカード機能部106は、非接触型ICカードアプリケーションを停止設定する(ステップS9)。これにより、第三者は非接触型ICカード機能部106を一切利用することができない。
【0017】
なお、非接触型ICカード使用許可リストは、非接触型ICカード機能を搭載の携帯電話端末購入時に限って携帯電話端末100内の記憶部103に登録される。例えば予め登録しておいた電話番号に対する通話代を大幅に割り引きするサービスを利用する際に電話番号を登録するのと同じような方式で、購入時に非接触型ICカードの使用を許可する第三者を指定するようにしてもよい。
または、携帯電話端末100に非接触型ICカード使用許可リストを編集する機能を設け、購入後に、利用者が非接触型ICカード使用許可リストの登録加入者番号を適宜変更できるようにしてもよい。
【0018】
以上述べた実施の形態例によれば、非接触型ICカード機能を搭載し、加入者情報カードを挿入して利用可能な携帯電話端末において、携帯電話端末所有者の加入者情報カードを抜いて第三者に携帯電話端末を貸した場合、非接触型ICカード使用許可リストに予め登録された第三者でなければ、携帯電話端末所有者が使用している非接触型ICカード機能を利用することができない。したがって、セキュリティが向上するという効果がある。
【0019】
ここで上述実施の形態例の変形例として、携帯電話端末100の本体電源が断、すなわち携帯電話制御部105の電源がオフのときを考える。
例えばこの状態で非接触型ICカード機能部106がリーダ・ライタからの無線電波を受信した場合、非接触型ICカード機能部106は携帯電話制御部105の電源をオンするとともに、ステップS2の処理と同様に非接触型ICカード使用許可/使用不許可の指示待ち状態となる。そして、携帯電話制御部105は、ステップS3の処理と同じように加入者情報カード120に対して加入者番号読み込み要求を行なう(ステップS2に相当)。その後の処理は、図3のステップS3〜ステップS9の処理と同様である。
このように携帯電話端末100の電源が入っていなくても、上述した携帯電話端末100の電源投入時と同様の動作が行われ、非接触型ICカード機能を使用する際に逐一携帯電話端末100の電源を投入する手間が省ける。
【0020】
さらに、上述実施の形態例の他の変形例を述べる。
携帯電話端末100の本体電源オフ、すなわち携帯電話制御部105の電源がオフ状態のときに、非接触型ICカード機能部106がリーダ・ライタからの無線電波を受信した場合、非接触型ICカード機能部106が携帯電話制御部105を経由せず、直接加入者情報カード120へ加入者番号読み込み要求を行なうようにする。そして、非接触型ICカード機能部106が加入者情報カード120から加入者番号を直接受け取り(ステップS4に相当)、その後のステップS5〜ステップS9の処理は、全て非接触型ICカード機能部106が行なう。
この場合、非接触型ICカード機能部106と加入者情報カード120が加入者番号を直接やり取りするので、非接触型ICカード機能の使用許可又は不許可が判定されるまでの時間が短縮される。また、携帯電話端末100本体が壊れた場合でも、非接触型ICカード機能部106だけで動作することができる。
【0021】
なお、図3に示したステップS9の処理後に、暗証番号や所定のキー操作などの暗証情報によって非接触型ICカードアプリケーションの停止設定(ロック)を解除できるようにしてもよい。つまり、非接触型ICカード使用許可リストに登録されていない加入者情報カードを使用する第三者が、キー操作により暗証情報を入力することによってロックを解除できるようにする。この場合の暗証番号は、携帯電話端末所有者が適宜変更できることが好ましい。
【0022】
例えば、父親名義で購入した携帯電話端末を子供に与え、普段は非接触型ICカードアプリケーションを使用できないが、何か必要性があるときや緊急時には父親本人から直接暗証番号を教えてもらうことでロックを解除して非接触型ICカードアプリケーションを使用できるなどの利用形態が考えられる。
このような使用形態とした場合、必要に応じて非接触型ICカードアプリケーションの使用許可を選択的に与えることができる。
【0023】
なお、本発明は、上述した各実施の形態例に限定されるものではなく、その他本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の変形、変更が可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態例に係る形態電話端末の回路構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施の形態例に係る加入者情報カードの回路構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の一実施の形態例に係る機能ロック動作のシーケンス図である。
【符号の説明】
【0025】
100…携帯電話端末、103…記憶部、105…携帯電話制御部、106…非接触型ICカード機能部、107…加入者情報カードI/F、120…加入者情報カード、121…入出力部、122…記憶部、123…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非接触型ICカード機能部を備え、加入者情報カードを挿入して利用可能な携帯端末において、
非接触型ICカード機能の使用を許可された加入者番号が登録されている非接触型ICカード使用許可リストを記録する記憶部と、
前記加入者情報カードに記録された加入者番号と前記記憶部に記録された非接触型ICカード使用許可リストを比較して、該当する加入者番号の有無を判定し、その判定結果に基づき前記非接触型ICカード機能の使用許可又は使用不許可を判断する制御部とを備え、
前記該当する加入者番号が無い場合、前記非接触型ICカード機能部のみ機能を停止する
ことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記制御部は、前記携帯端末の電源を投入時に前記加入者情報カードの加入者番号を読み込み、読み込んだ加入者番号と前記記憶部に記録されている非接触型ICカード使用許可リストを比較する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御部の電源が断のとき、前記非接触型ICカード機能部が前記制御部の電源を入とし、電源投入後の前記制御部は、前記加入者情報カードの加入者番号を読み込み、読み込んだ加入者番号と前記記憶部に記録されている非接触型ICカード使用許可リストを比較する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記制御部の電源が断のとき、前記非接触型ICカード機能部が前記加入者情報カードの加入者番号を読み込み、読み込んだ加入者番号と前記記憶部に記録されている非接触型ICカード使用許可リストを比較して、該当する加入者番号の有無を判定し、その判定結果に基づき前記非接触型ICカード機能の使用許可又は使用不許可を判断する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記非接触型ICカード機能部の機能を停止後、暗証情報を入力することにより前記非接触型ICカード機能部の機能停止を解除する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項6】
非接触型ICカード機能部を備え、加入者情報カードを挿入して利用可能な携帯端末における機能制限方法であって、
非接触型ICカード機能の使用を許可された加入者番号が登録される非接触型ICカード使用許可リストを予め作成しておき、
前記加入者情報カードに記録された加入者番号と前記非接触型ICカード使用許可リストを比較して該当する加入者番号の有無を判定し、
前記該当する加入者番号が無い場合、前記非接触型ICカード機能部のみ機能を停止する
ことを特徴とする機能制限方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−319438(P2006−319438A)
【公開日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−137524(P2005−137524)
【出願日】平成17年5月10日(2005.5.10)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】