説明

携帯端末及び燃料電池の残量確認方法

【課題】燃料電池のケースを使用して、燃料電池の残量を操作者に、視覚的に告知できるように目盛りを配置する。
【解決手段】自端末の向きを検出する加速度センサ110と、目盛り表示情報を記憶するメモリ105と、メモリ105で記憶している目盛り表示情報から加速度センサ110が検出する向きに対応した情報を得る制御部101とを行う。
そして、燃料を収納する燃料電池112の容器の一面が透明な部材に構成されており、その透明な部材で構成してある面上に、制御部101で得られた情報に基づいた目盛りを表示させる表示部103とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池を電源として使用した携帯電話端末に適用して好適な携帯端末、及びその携帯端末に適用される燃料電池の残量確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末等の携帯端末が備える二次電池として、燃料電池が提案されている。燃料電池とは、水素等を燃料として電気を発電させて電力を得るものである。燃料電池は、燃料として、純水素を直接燃料とする方式の他に、原油を原料とするガソリンやLPガス、天然ガス、メタノールなどを燃料として、これらの燃料を改質することで改質水素を生成し、この改質水素から発電する方式も各種提案されている。
【0003】
燃料電池においては、電力消費時間と燃料電池出力電圧は、燃料が減っていくにも関らず、出力される電圧はほぼ一定の値を保持する。燃料が無くなると同時に、出力電圧が低下するという特徴を持つ。また、この出力電圧は、供給燃料圧にほとんど依存しないで一定であるという特徴を有している。つまり、電子機器等の電力利用機器に搭載される燃料電池においては、燃料の残量が減少しても出力電圧がほぼ一定に保たれるため、電池電圧を監視して残量を検出することが困難である。すなわち、燃料電池の放電特性は、リチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池といった電池の放電特性と大きく異なり、燃料の残量が減少しても出力電圧がほぼ一定に保たれるため、電池の電圧監視による残量検知システムを用いることはできない。
【0004】
このようなことから、燃料電池の残量検知システムとして、従来において、電圧監視以外の様々な残量検知方法が提案されてきた。
【0005】
例えば、特許文献1では、燃料改質器又は燃料電池の運転状態や運転環境に応じた燃料の使用量と燃料電池で発電される電流量との関係を表すデータを記憶しておく。そして、このデータに基づいて、燃料電池の残量を計算し、ディスプレイにパーセンテージや時間でその残量を表示させることについての記載がある。
本特許文献2では、燃料を収容する燃料収容部と、燃料を用いて発電反応を行う反応部と、発電反応の副生成物である水を収容する排水収容部とを有する燃料電池であって、排水収容部の少なくとも一部が透明部材で構成されていることについての記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−228333号公報
【特許文献2】特開2005−197125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、その電池残量を表示する技術としては、予め燃料電池と電流量との関係を表すデータからの算出で残量を表示しているだけであるので、必ずしも正確な電池残量が表示されているとは言えない。例えば、燃料の補給量を正確に補給できなければ、関係を表すデータから逸脱したものとなり、実際の燃料と表示している量とがあわない可能性がある。さらに、その電池残量を表示するために、専用のディスプレイ、もしくはディスプレイの一角に残量表示のためのエリアを設けることが必要となっている。
【0008】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、燃料電池を電源として使った端末において、燃料電池の残量を操作者に的確に告知できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための本発明は、端末を構成する筐体の向きを検出する筐体向き検出処理と、複数の方向の目盛り表示情報を記憶する記憶処理とを行う。そして、記憶処理で記憶している目盛り表示情報から、筐体向き検出処理が検出した向きに対応した目盛り表示情報を取得する。さらに、燃料を収納する燃料収納部の容器の一面の透明又は半透明な面上に、取得した目盛り表示情報に基づいた目盛りを表示させる表示処理を行う。
【0010】
このようにしたことで、端末の表示部に燃料電池の残量を示す目盛りが、そのときの端末の向きに応じた最適な位置で表示される。その目盛り表示は、燃料収納部の容器の一面の透明又は半透明な面上であるため、その目盛りから燃料の残量が確実に判る。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、燃料収容部に収容されている燃料電池の残量を確認するのに、特別な検知手段を設けることなく、燃料収容部のケースを視認することで燃料電池の残量検知を正確に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態の例による携帯電話端末の斜視図(a)と、その斜視図のA−A線に沿う断面図(b)を示す。
【図2】本発明の一実施の形態の例による携帯電話端末の表示部に数字キーパッドと入力確認画面と電波状況アイコンを表示させた場合の斜視図(a)と、その斜視図のB−B線に沿う断面図(b)を示す。
【図3】本発明の一実施の形態の例による内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の一実施の形態の例による携帯電話端末に燃料電池の残量を示す目盛りを表示させた画面例を示した斜視図である。(a)は携帯電話端末を天頂方向に向けた場合、(b)は携帯電話端末を真横に向けた場合、(c)は携帯電話端末を斜めに傾けた場合を、それぞれを示した斜視図である。
【図5】本発明の一実施の形態に係る目盛りの表示処理の例を示すフローチャートである。
【図6】本発明の一実施の形態の変形例による携帯電話端末の斜視図(a)と、その斜視図のC−C線に沿う断面図(b)を示す。
【図7】本発明の一実施の形態の例による携帯電話端末に燃料電池の残量を示す目盛りを時間で表示させた画面例を示した斜視図である。(a)は携帯電話端末を天頂方向に向けた場合、(b)は携帯電話端末を真横に向けた場合、(c)は携帯電話端末を斜めに傾けた場合を、それぞれを示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の一実施の形態について、図1〜図5を参照して以下の順序で説明する。
1.端末の外形形状(図1-2)
2.端末の内部構成(図3)
3.燃料電池用の容量目盛りの表示処理(図4)
4.表示画面に目盛りを表示する処理(図5)
5.一実施の形態の変形例(図6-7)
【0014】
<1.端末の外形形状>
以下、本発明の一実施の形態の例を、図1及び図2を用いて説明する。本実施の形態においては、携帯端末装置である携帯電話端末に適用した例である。図1は携帯電話端末の外形形状を示し、図2は携帯電話端末の表示部に数字キーパッドと入力確認画面と電波状況アイコンを表示させた場合を示したものである。
本実施の形態の例の携帯電話端末は、電源として燃料電池を備えた端末としてあり、その燃料電池として、メタノールなどの液体を燃料として使用してあり、その燃料を貯蔵する燃料収容部が端末内に内蔵させたものとしてある。
【0015】
図1(a)に示すように、携帯電話端末100は、角形形状の筐体で構成させてある。その筐体の表面である一面には一面全体に透明な板が備えられており、その表面にはタッチパネル表示部210が備えられている。タッチパネル表示部210は、表示が行われていない状態では透明であり、その透明面上に文字や図形などの表示を行う構成としてあり、その表面に指などで触れられることで、タッチ操作が可能なタッチパネルとしてある。そして、そのタッチパネル表示部210を備えた透明の板と接した状態で、筐体内に燃料電池の燃料収容部220が配置してある。つまり、タッチパネル表示部210を備えた透明の板を通して、燃料収容部220内の燃料の容量(残量)がすぐに視認することができる状態となっている。燃料タンクである燃料収容部220は、外部から液体の燃料が補充可能な構成としてある。なお、タッチパネル表示部210は、ある程度の着色がなされた半透明な板として構成してもよい。
【0016】
さらに、図1(b)のA-A線断面図に示すように、燃料収容部220の下には、電話機能やタッチパネルの制御部等の携帯電話端末を構成するのに必要な回路を集約した回路収納部230が備えられている。つまり、タッチパネル表示部210がある面とは反対の面に、回路収納部230が備えられている。燃料収容部220の回路収納部230と接した側の面は、不透明としてあり、回路収納部230内は外側からは見えない構成としてある。
なお、図1に示すように、タッチパネル表示部210上に何も表示されてない状態は、携帯電話端末100を操作しない状態となっている。また、回路収納部230内についても外側から見える構成としてもよい。
【0017】
そして、携帯電話端末100を操作する場合は、通常のモードでは、図2に示すようにタッチパネル表示部210に数字キーパッドと入力確認画面と電波状況を示すアイコンが表示される。この表示された数字キーパットなどをタッチ操作することで、電話機としての各種操作が可能である。また本例の端末は、後述する燃料目盛り表示モードを備える。この燃料目盛り表示モードの設定についても、タッチパネル表示部210に表示された数字キーパットなどの操作で設定される。燃料目盛り表示モードを設定した場合には、数字キーパットなどの表示が行われず、代りに燃料電池の残量が視認するための目盛りが表示される。
図2(a)は携帯電話端末100に数字キーパッドと入力確認画面と電波状況を示すアイコンが表示した場合を示している。図2(b)のA-A線断面図は数字キーパッドと入力確認画面と電波状況を示すアイコンがタッチパネル表示部210上に表示されているのを示している。
また、燃料収容部220の残量が視認するための目盛りの表示については、後述する<3.燃料電池用の容量目盛りの表示処理>にて説明する。
【0018】
なお、これらを表示する契機は、タッチパネル表示部210上を接触、もしくは携帯電話端末100に用意された図示しない専用のボタンの操作となる。また、表示されるものは、数字キーパッドと入力確認画面と電波状況を示すアイコンに限定するものではない。例えば、写真やメールの表示等であってもよい。
【0019】
そして、タッチパネル表示部210を有する筐体の表面の上端部分にスピーカ108を備え、下端部分にマイクロホン109が備えられている。
【0020】
なお、ここまでの説明では、携帯電話端末100の一面のみを透明な部材で構成した例としたが、必ずしも一面のみだけを透明な部材で構成する必要はない。例えば、携帯電話端末100の全面が透明なスクリーンであってもよい。
【0021】
<2.端末の内部構成>
次に、図3を用いて、本発明の一実施の形態の例である携帯電話端末100の内部構成例を説明する。携帯電話端末100は、マイクロプロセッサ等よりなる制御部101を備え、制御部101は、制御信号が伝送される制御ライン150又はデータが伝送されるデータライン160を介して、携帯電話端末100内の各部と接続されている。そして、制御部101はこれらのラインを通して各部と通信を行い、各部の動作制御を行う。
【0022】
制御ライン150には、通信回路102と、タッチパネル表示部210と、操作部104と、メモリ105と、音声処理部107と、加速度センサ110と、電源制御部111とが接続されている。
【0023】
通信回路102にはアンテナ106が接続してあり、通信回路102は、アンテナ106で得られた電波を復調して、基地局から伝送された音声信号や各種データなどを取り出す。また、データライン160を介して入力された音声信号を音声処理部107に供給し、出力用の処理をしてスピーカ108に供給して出力させる。また、マイクロホン109を備えて、端末の周囲の音声を拾ってアナログ音声信号として音声処理部107に供給し、音声処理部107で所定のフォーマットの音声信号に変換する。変換された音声信号は、通信回路102に供給する。また、音声信号以外の送信させる各種データについても通信回路102に供給する。通信回路102では、供給される音声信号やその他のデータを、電波に変換してアンテナ106に出力する処理を行う。
【0024】
操作部106は、数字などのダイヤルキーやその他の各種機能キーで構成される。本例の場合には、この操作部106を構成するキーの一部は、タッチパネル表示部210(図1)に表示されるキーとタッチパネルとで構成してある。そしてそれらのキーがユーザに押下された場合に、操作内容に応じた操作信号を生成して制御部101に供給する。
【0025】
タッチパネル表示部210は、液晶パネル等で構成される表示パネルと、その表示パネルの駆動部と、表示パネル上のタッチパネルとで構成される。そして、着信した電話の電話番号や、操作部106のための数字などのダイヤルキーやその他の各種機能キーが表示される。後述する燃料電池の電池残量の目盛りについても、このタッチパネル表示部210を使用して表示される。
【0026】
メモリ105は、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)で構成された記憶部であり、メモリ105には、携帯電話端末100の制御や燃料電池の容量用目盛りの表示に必要なソフトウェア等が格納されている。また、メモリ105には、制御部101で制御が行われる際に一時的に発生するデータ等も格納される。なお、後述する目盛り情報についてもメモリ105内に記憶してある。この目盛り情報として、本例の場合には、複数種類の異なる向きでの目盛り情報が記憶させてある。複数種類の目盛り情報としては、筐体を直立させた状態での目盛り情報から、横に寝かせた状態での目盛り情報まで、例えば10°刻みで10種類の目盛り情報を用意して、記憶させておく。或いは、10°刻みで360°全ての方向の目盛り情報を用意して記憶させてもよい。10°刻みで用意するのは、1つの例であり、より細かい角度毎に用意するか、あるいはより少ない数でもよい。複数種類の向きの目盛りの具体的な例については後述する。
【0027】
電源制御部111は、燃料電池112及び二次電池113を制御している。燃料電池112は供給される燃料を消費することで発電を行う。そして、その発電されて得た電源は、二次電池113に供給されて充電される。それから、この二次電池113の電源は、携帯電話端末100内の各部に必要な電源として供給して、各回路を駆動させている。燃料電池112は、燃料収容部220から燃料ポンプを介して燃料が供給されることで、発電を行う構成としてある。
なお、燃料電池112に供給される燃料(即ち燃料収容部220に収容される燃料)には、例えばメタノール、メタノール水溶液、液体水素、その他水素成分を含有した適宜の液体ないしは液化物質を用いることができる。
【0028】
加速度センサ110は、携帯電話端末100を構成する筐体の向きを検出する。即ち、端末を構成する筐体を直立させた状態なのか、筐体を横に寝かせた状態なのか、或いは筐体を斜めにした状態なのかを検出することが可能な筐体向き検出部として、加速度センサ110を設けてある。その検出した向きの情報を、制御部101に供給する。なお、加速度センサ110以外のセンサで、端末の向きを検出してもよい。
【0029】
そして、制御部101は、表示モードとして燃料目盛り表示モードが設定されている状態では、加速度センサ110で検出した向きの情報に基づいて、最適な表示方向の目盛り情報がメモリ105から読出される。それから、その読出された目盛り情報による目盛り表示が行われる。ここでは、検出した筐体の向きの角度に最も近い角度の目盛り情報をメモリ105から読出して表示させる。
【0030】
<3.燃料電池用の容量目盛りの表示処理>
次に、本発明の一実施の形態の例の携帯電話端末100で、燃料電池の残量を認識させるため、タッチパネル表示部210に目盛りを表示する処理について、図4を用いて説明する。
この表示処理は、燃料目盛り表示モードで行われ、加速度センサ110で検出した、携帯電話端末100を構成している筐体の向きにより、タッチパネル表示部210で異なる方向で行うようにしてある。なお、この燃料表示モードとして目盛り表示をする契機は、タッチパネル表示部210上を接触、もしくは携帯電話端末100に専用のボタンを押すことで表示される。
【0031】
図4(a)を用いて、加速度センサ110で検出した向きが、携帯電話端末100を構成している筐体の上端が天頂方向である場合の、目盛り表示の表示例を説明する。この場合のタッチパネル表示部210上の表示は、タッチパネル表示部210の画面を縦方向に10分割にした境目と画面の上下に目盛り211を表示させている。加えて、天頂方向に一番上にある目盛りの横に“FULL”と、天頂方向に一番下にある目盛りの横に“Empty”と、真ん中にある目盛りの横に“HALF”とをそれぞれ文字で表示させた目盛り位置表示212を行うようにしている。図4(a)の状態では、この目盛り211の表示により、燃料収容部220の残量は、約70%が残っているのが視認することができる。
【0032】
図4(b)を用いて、加速度センサ110によって検出された向きが、携帯電話端末100を構成している筐体の上端が天頂方向に対して右まわりに90度方向にある場合を説明する。この場合のタッチパネル表示部210上の表示は、タッチパネル表示部210の画面を縦方向に10分割にした境目と画面の上下に目盛り213を表示させている。加えて、天頂方向に一番上にある目盛りの横に“FULL”と、天頂方向に一番下にある目盛りの横に“Empty”と、真ん中にある目盛りの横に“HALF”とをそれぞれ文字で表示させた目盛り位置表示214を行うようにしている。図4(b)の状態では、この目盛り213の表示により、燃料収容部220の残量は、約70%が残っているのが視認することができる。
【0033】
図4(c)が用いて、加速度センサ110によって携帯電話端末100を構成している筐体の上端が天頂方向に対して右まわりにθ度(ここではθとして60°程度)に傾いていることを検出した場合を説明する。この場合のタッチパネル表示部210上の表示は、タッチパネル表示部210の画面を縦方向に10分割にした境目と画面の上下に目盛り215を表示させている。加えて、天頂方向に一番上にある目盛りの下に“FULL”と、天頂方向に一番下にある目盛りの上に“Empty”と、真ん中にある目盛りの上に“HALF”とをそれぞれ文字で表示させた目盛り位置表示216を行うようにしている。図4(c)の状態では、この目盛り215の表示により、燃料収容部220の残量は、約70%が残っているのが視認することができる。
このように本例の場合には、加速度センサ110で検出した情報に基づいて、端末の向きをいずれの方向にした場合でも、燃料の水平面と平行な目盛りが表示された状態となる。
【0034】
ところで、図4の例の場合の目盛りは10個の目盛りとしたが、表示できれば10個以上の目盛りを表示させて、燃料電池220の残量を細かく確認できるように設定してもよい。或いは、図4の例よりも荒い目盛り表示でもよい。また、図4(c)のように端末を斜めにしたときに表示される目盛りについては、表示間隔を等間隔の目盛りとしないで、燃料収容部220内の容積を正確に等分した目盛りの表示間隔としてもよい。
【0035】
<4.表示画面に目盛りを表示する処理>
次に、図5のフローチャートを参照して、携帯電話端末100のタッチパネル表示部210上に、加速度センサ110から検出される傾きに応じた目盛りを表示する場合の処理例について説明する。
【0036】
図5のフローチャートに従って説明すると、携帯電話端末100は、図1のように、タッチパネル表示部210には何も表示されていない状態(待機モード)となっている(ステップS101)。
【0037】
タッチパネル表示部210上を接触、もしくは携帯電話端末100に専用のボタンを押すことで通常モードに移行するかの判断を行う(ステップS102)。なお、この通常モードとは、図2のように、タッチパネル表示部210上に、着信した電話の電話番号や数字などのダイヤルキーやその他の各種機能キーが表示されることである。
【0038】
通常モードにする場合は、タッチパネル表示部210上に、着信した電話の電話番号や数字などのダイヤルキーやその他の各種機能キーが表示される(ステップS104)。そして、ダイヤルキーやその他の各種機能キーを使用して、電話等の操作を行う。操作が終了したあとは、通常モードの終了を選択するかの判断を行う(ステップS105)。終了しない場合は、各種キーが表示されていて、続けて操作が行える。終了する場合は、待機モード(ステップS101)に移行する。
【0039】
通常モードにしない場合は、燃料目盛り表示モードにするかの判断を行う(ステップS103)。燃料目盛り表示モードにしない場合は、待機モード(ステップS101)に移行する。
【0040】
これに対して、燃料目盛り表示モードにする場合は、まず加速度センサ110で携帯電話端末100の向きの検出を行う(ステップS106)。そして、検出した向きに対応した目盛りをタッチパネル表示部210に表示する(ステップS107)。
【0041】
次に、その燃料目盛り表示モードを終了するかどうかを判断する(ステップS108)。終了しない場合は、ステップS106に戻って、目盛り表示をする。終了する場合は、待機モード(ステップS101)に移行する。
【0042】
このように本実施の形態によると、タッチパネル表示部210を備えた透明の板を通して燃料電池220を視認することができ、さらにタッチパネル表示部210上に目盛りを表示させることで、燃料電池の残量を容易に確認することができる。また、携帯電話端末100を構成している筐体がどのような向きであっても目盛りの表示は常に水平方向をもって表示されるため、燃料電池の残量を容易に確認することができる。
【0043】
<5.一実施の形態の変形例>
なお、上述した実施の形態では、本発明は携帯電話端末を適用した例について説明したが、携帯電話端末以外の燃料電池で駆動される携帯用の端末装置に、本発明を適用してもよい。例えば、携帯型オーディオ再生装置のキーパットもしくはディスプレイを透明状にして、それらの内部に燃料電池を搭載することである。また、2つの筐体を開閉自在に接合したいわゆるクラムシェル形の携帯電話端末の場合は、ディスプレイもしくはキーパットがある側の筐体、あるいは両方の筐体を、燃料電池用の容器として透明な部材で構成された容器を使用してもよい。つまり、キーパットやディスプレイの表示から切り替えて、目盛りの表示にすればよいということである。
【0044】
また、上述した実施の形態では、タッチパネル表示部210を、携帯電話端末100を構成している筐体の一面の面全体に装着されている透明な板に備えた構成とした。これに対して、目盛り表示を行う表示部を、燃料収容部の底部に備える構成としてもよい。
【0045】
図6は、この場合の構成例を示したものである。この携帯電話端末100′は、筐体に燃料収容部220を設け、表面側を透明又は半透明とする。そして、図6(b)に断面で示すように、燃料収容部220の表面側にタッチパネル310を配置し、燃料収容部220の底面側に、表示部320を配置する。表示部320は、表示面を燃料収容部220側に向けてある。従って、表示部320は外側から燃料収容部220を介して見ることになる。そして、燃料表示モードを設定した場合には、この表示部320に目盛りを表示させる。目盛りの表示例は、図4に示した表示例と同様である。
この図6の構成とした場合にも、図1例の場合と同様な効果を得ることができる。
【0046】
また、上述した実施の形態での目盛りでは、燃料電池の残りの容量を視認しやいようにしている。これに対して、この目盛りを燃料電池で電源を供給可能な通話や待受時間等の残り時間を示すようにしてもよい。
例えば、図7を用いて、携帯電話端末100”で、燃料電池の残り通話時間を認識させるため、タッチパネル表示部210に目盛りを時間で表示する処理について、説明する。
【0047】
この表示処理は、<4.表示画面上に目盛りを表示する処理>で説明したと同様に、燃料目盛り表示モードで行われ、加速度センサ110で検出した携帯電話端末100を構成している筐体の向きにより、タッチパネル表示部210で異なる方向で行うようにしてある。ただし、この目盛り表示は、時間で表示させている。なお、燃料電池が最大に挿入されているときの可能な通話時間を300分とした場合とする。
【0048】
図7(a)を用いて、加速度センサ110で検出した向きが、携帯電話端末100”を構成している筐体の上端が天頂方向である場合の、目盛り表示の表示例を説明する。この場合のタッチパネル表示部210上の表示は、タッチパネル表示部210の画面を縦方向に10分割にした境目と画面の上下に目盛り241を表示させている。加えて、天頂方向に一番上にある目盛りの横に“300”と、天頂方向に一番下にある目盛りの横に“0”と、真ん中にある目盛りの横に“150”とをそれぞれ数字で表示させた目盛り位置表示242を行うようにしている。図7(a)の状態では、この目盛り241の表示により、燃料収容部220の残量は、約210分の通話時間が残っていることが視認することができる。
【0049】
図7(b)を用いて、加速度センサ110によって検出された向きが、携帯電話端末100”を構成している筐体の上端が天頂方向に対して右まわりに90度方向にある場合を説明する。この場合のタッチパネル表示部210上の表示は、タッチパネル表示部210の画面を縦方向に10分割にした境目と画面の上下に目盛り243を表示させている。加えて、天頂方向に一番上にある目盛りの横に“300”と、天頂方向に一番下にある目盛りの横に“0”と、真ん中にある目盛りの横に“150”とをそれぞれ数字で表示させた目盛り位置表示244を行うようにしている。図7(b)の状態では、この目盛り243の表示により、燃料収容部220の残量は、約210分の通話時間が残っていることが視認することができる。
【0050】
図7(c)が用いて、加速度センサ110によって携帯電話端末100”を構成している筐体の上端が天頂方向に対して右まわりにθ度(ここではθとして60°程度)に傾いていることを検出した場合を説明する。この場合のタッチパネル表示部210上の表示は、タッチパネル表示部210の画面を縦方向に10分割にした境目と画面の上下に目盛り245を表示させている。加えて、天頂方向に一番上にある目盛りの下に“300”と、天頂方向に一番下にある目盛りの上に“0”と、真ん中にある目盛りの上に“150”とをそれぞれ数字で表示させた目盛り位置表示246を行うようにしている。図7(c)の状態では、この目盛り245の表示により、燃料収容部220の残量は、約210分の通話時間が残っていることが視認することができる。
このように本例の場合には、加速度センサ110で検出した情報に基づいて、端末の向きをいずれの方向にした場合でも、燃料の水平面と平行な目盛りが表示された状態となる。
この図7の構成とした場合にも、図1例の場合と同様な効果を得ることができる。
【0051】
また、この通話時間のための目盛りの表示は、タッチパネル表示部210上を接触、もしくは携帯電話端末100に用意された図示しない専用のボタンの操作で行っている。しかし、その契機をさらに行うことで、通常の通話用の持続時間の他に、テレビ電話通話時間と待受時間とテレビジョン放送の視聴時間等の残り時間が次々に表示されるようにしてもよい。
【0052】
そして、タッチパネル表示部210には、一つの時間の目盛りしか表示するようにしていないが、二つ以上の目盛りを表示させてもよい。例えば、通話時間と待受時間を同時に表示させたい場合は、表示画面の左側を可能通話の残り時間が視認しやすいような目盛りの配置にし、右側を残りの待受時間が視認しやすいような目盛りの配置にと、別々の目盛りを配置するようにしてもよい。
【0053】
また、携帯電話端末100に、燃料収納部220内を照らす照明装置を備えてもよい。これにより、暗所でも燃料の残量を把握することができる。さらに、燃料自体に色や反射物を混入させることで、より視認性を高めるようにしてもよい。このように燃料自体に色や反射物を混入させた上で、照明を照らすことで美しい照明効果が得られる。
また、燃料収納部220内にある気泡を混入させるようにしてもよい。また、気泡の代わりに、燃料収納部220内に浮きを挿入して、その浮きの動きを検出するようにしてもよい。
【0054】
さらに、燃料収容部220に収容されている燃料の残量を測定する測定装置を備えてもよい。この燃料の残量から、携帯電話端末100の残りの通話可能時間が算出することができる。
【符号の説明】
【0055】
100,100’,100”…携帯電話端末、101…制御部、102…通信回路、104…操作部、105…メモリ、106…アンテナ、107…音声処理部、108…スピーカ、109…マイクロホン、110…加速度センサ、111…電源制御部、112…燃料電池、113…二次電池、150…制御ライン、160…データライン、210…タッチパネル表示部、211〜216…目盛り、220…燃料収容部、230…回路収納部、241〜246…目盛り、310…タッチパネル、320…表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体内で燃料を収納し、少なくても一面が透明又は半透明な部材で構成されている燃料収容部と、
前記燃料収容部に収容されている燃料に基づいて発電を行う燃料電池部と、
前記筐体の向きを検出する筐体向き検出部と、
前記燃料収容部の複数の方向の目盛り表示情報を記憶する記憶部と、
前記燃料収容部の透明又は半透明な部材で構成されている面に配置した表示部と、
前記記憶部に記憶してある目盛り表示情報から、前記筐体向き検出部が検出した向きに対応した目盛り表示情報を取得して、前記表示部に表示させる制御部とを備えた
携帯端末。
【請求項2】
前記制御部が前記表示部に表示させる目盛りは、前記燃料収容部内の燃料の水平面とほぼ平行なラインで表示される目盛りとした
請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御部は、所定の操作に基づいて前記表示部に前記目盛りを表示させる
請求項1記載の携帯端末。
【請求項4】
前記燃料収容部を照明する照明部を備えた
請求項1記載の携帯端末。
【請求項5】
前記燃料収容部に収容されている燃料の残量を検出する残量検出部を備え、
前記制御部は、前記残量検出部で検出した残量を前記表示部に表示させる
請求項1記載の携帯端末。
【請求項6】
端末を構成する筐体の向きを検出する筐体向き検出処理と、
複数の方向の目盛り表示情報を記憶する記憶処理と、
前記記憶処理で記憶している目盛り表示情報から、前記筐体向き検出処理が検出した向きに対応した目盛り表示情報を取得して、燃料を収納する燃料収納部の容器の一面の透明又は半透明な面上に、前記取得した目盛り表示情報に基づいた目盛りを表示させる表示処理とを行う
燃料電池の残量確認方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−277977(P2010−277977A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−132486(P2009−132486)
【出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【出願人】(501431073)ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社 (810)
【Fターム(参考)】