説明

携帯端末装置、決済方法、及び決済プログラム

【課題】 複数の決済アプリケーションプログラムの中から、決済に使用する決済アプリケーションプログラムを、直感的、かつ、容易に選択可能とする。
【解決手段】 制御部は、決済時において、表示部5の上半分の表示領域に現在選択中の決済アプリケーションプログラムの表示を行い、下半分の表示領域に他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムの表示を、その表示形態を180度回転させた状態で行う。また、制御部は、当該携帯電話機の筐体の回転操作を検出する毎に、上記第1及び第2の決済アプリケーションプログラムの表示領域を変更して表示する。これにより、回転操作を行う毎に、上半分の表示領域に表示された現在選択中の決済アプリケーションプログラムが変更され、ユーザは、決済に使用する決済アプリケーションプログラムを、直感的、かつ、容易に選択することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば携帯電話機、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機等の携帯機器に適用して好適な携帯端末装置、決済方法、及び決済プログラムに関する。
特には、筐体を回転操作することで、複数の決済アプリケーションプログラムの中から、決済に使用する決済アプリケーションプログラムを選択可能とすることで、該決済に使用する決済アプリケーションプログラムを直感的、かつ、容易に選択可能とした携帯端末装置、決済方法、及び決済プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、キャッシュレス化に伴い、例えばEdy(登録商標)、iD(登録商標)、QUICPay(登録商標)等の電子マネー機能を備えた非接触ICカードや、当該電子マネー機能を備えた非接触ICカードが設けられた携帯電話機等の決済メディアが急速に普及している。また、これに対応して、店舗等では、いずれかの電子マネー、或いは複数種類の電子マネーに対応して決済可能な非接触式ICカードリーダライタを設置するようになっている。
【0003】
また、特開平11−259577号の公開特許公報(特許文献1)には、上記非接触ICカード等の決済カードに対して、クレジット機能及び電子マネー機能を持たせ、決済の際に、クレジット機能で決済するか、或いは電子マネー機能で決済するかを自動的に選択して決済可能な決済カード処理装置が開示されている。
【0004】
この決済カード処理装置の場合、事前に設定データ入力装置を用いて、上記クレジット機能及び電子マネー機能の決済種類の優先順位を決済カードに書き込んでおく。そして、この決済カードを用いて決済処理する際に、この決済カードを決済処理装置にセットすると、この決済処理装置により、決済カードに書き込まれている上記決済種類の優先順位を示すデータが読み取られ、この優先順位に基づいて電子マネー機能又は(及び)クレジット機能が自動的に選択され、決済がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−259577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に開示されている決済カード処理装置の場合、事前に決済種類の優先順位を決済カードに書き込むための専用の設定データ入力装置が必要となるため、決済カードのみの操作、或いは当該決済カードが設けられて携帯端末装置のみの操作で、決済作業を完結させることが困難となる問題がある。
【0007】
また、決済種類の優先順位を設定した後には、この決済種類の優先順位は上記設定データ入力装置で書き換えない限り固定となってしまうため、決済時の決済種類の変更が容易に出来ない問題がある。
【0008】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、専用の設定データ入力装置等を必要とすることなく、携帯端末装置のみを用いて直感的、かつ、容易に所望の決済アプリケーションプログラムを選択して決済可能な携帯端末装置、決済方法、及び決済プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上述の課題を解決するために、
複数種類の決済アプリケーションプログラムが記憶されたメモリと、
筐体の回転操作を検出する回転操作検出部と、
上記筐体に設けられた表示部の表示領域を少なくとも上表示領域及び下表示領域に分割し、上記メモリに記憶されている各決済アプリケーションプログラムのうち、上記表示部を通常の状態で目視した際に容易に認識可能な表示形態で、現在選択中の決済アプリケーションプログラムを示す表示を上記上表示領域に対して行い、上記上表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示形態を180度回転させた表示形態で、他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムを示す表示を上記下表示領域に対して行うと共に、上記回転操作検出部により、上記筐体の回転操作が検出される毎に、該回転操作の検出前後でそれぞれ異なる決済アプリケーションプログラムの表示となるように、上記各表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示変更制御を行う表示制御部と、
外部の決済処理端末装置との間で決済処理の非接触無線通信を行う非接触ICユニットと、
上記非接触ICユニットを介して受信した上記外部の決済処理端末装置からの決済要求信号に基づいて、該決済処理端末装置は、上記表示部の上記上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムで決済処理を実行可能な決済処理端末装置であるか否かを判別し、該決済処理端末装置が、上記上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムで決済処理を実行可能な決済処理端末装置であるものと判別した際に、該上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムに基づいて、上記決済処理端末装置との間で非接触無線通信を行うように上記非接触ICユニットを無線通信制御して決済処理の実行制御を行う制御部と
を有する。
【0010】
このような本発明は、表示部の上表示領域に現在選択中の決済アプリケーションプログラムの表示を行い、表示部の下表示領域に他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムの表示を、その表示形態を180度回転させて行う。ユーザは、表示部の上表示領域に表示されている決済アプリケーションプログラムを、現在選択中の決済アプリケーションプログラムとして認識し、この現在選択中の決済アプリケーションプログラムを変更する場合は、筐体の回転操作を行う。表示制御部は、この筐体の回転操作を検出する毎に、該回転操作の検出前後でそれぞれ異なる決済アプリケーションプログラムの表示となるように、上記各表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示変更制御を行う。
【0011】
ユーザは、このような回転操作により、表示部の上表示領域に、決済に用いようとしている決済アプリケーションプログラムの表示がなされていることを確認して、上記筐体をを、店舗等に設置されている決済処理端末装置に近接させる。これにより、外部の決済処理端末装置と非接触ICユニットとの間で決済処理の非接触無線通信が行われる。
【0012】
制御部は、上記非接触ICユニットを介して受信した上記外部の決済処理端末装置からの決済要求信号に基づいて、該決済処理端末装置は、上記表示部の上記上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムで決済処理を実行可能な決済処理端末装置であるか否かを判別する。そして、決済処理端末装置が、上記上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムで決済処理を実行可能な決済処理端末装置であるものと判別した際に、該上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムに基づいて、上記決済処理端末装置との間で非接触無線通信を行うように上記非接触ICユニットを無線通信制御して決済処理の実行制御を行う。これにより、表示部の上表示領域に表示されている、ユーザが希望する決済アプリケーションプログラムを用いて、当該携帯電話機の非接触ICユニット13を介して決済を行うことができる。
【0013】
また、決済に使用する決済アプリケーションプログラムは、表示部の上表示領域に表示され、他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムの表示は、表示部の下表示領域に180度回転した表示形態で表示されるため、ユーザは、現在選択中の決済アプリケーションプログラムを直感的に認識することができる。
【0014】
また、使用する決済アプリケーションプログラムの変更は、筐体の回転操作で行うようになっているため、使用する決済アプリケーションプログラムの変更設定を行うための専用の端末装置等を必要とすることなく、ユーザは、当該携帯電話機の操作のみで、使用する決済アプリケーションプログラムを容易に変更して選択することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、専用の設定データ入力装置等を必要とすることなく、携帯端末装置のみを用いて直感的、かつ、容易に、複数の決済アプリケーションプログラムの中から所望の決済アプリケーションプログラムを選択して決済可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明を適用した第1の実施例となる携帯電話機のブロック図である。
【図2】第1の実施例となる携帯電話機の決済処理を説明するためのフローチャートである。
【図3】第1の実施例となる携帯電話機において、決済処理に使用する決済アプリケーションプログラムの表示例を示す図である。
【図4】第1の実施例となる携帯電話機において、決済処理に使用する決済アプリケーションプログラムの他の表示例を示す図である。
【図5】第1の実施例となる携帯電話機における、所望の決済アプリケーションプログラムを選択するための筐体の回転操作を説明するための図である。
【図6】本発明の第2の実施例となる携帯電話機の為替レートに対応した決済処理を説明するためのフローチャートである。
【図7】第2の実施例となる携帯電話機の決済処理時における表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、携帯電話機に適用することができる。
【0018】
[携帯電話機の構成]
図1に、本発明を適用した実施例となる携帯電話機のブロックを示す。この図1からわかるように、この実施例の携帯電話機は、無線基地局との間で音声通話、テレビ電話通話、電子メール、Webデータ(Web:World Wide Web)等の無線通信を行うアンテナ1及び通信回路2と、受話音声等を出力するためのスピーカ部3と、送話音声等を集音するためのマイクロホン部4と、操作メニュー、電子メール、画像(静止画像及び動画像)の他、後述する決済アプリケーションプログラムの選択画面等を表示するための表示部5と、十字キー、決定キー、数字キー等の複数の操作キーを備えた操作部6と、発着信等をユーザに光で通知するための発光部7(LED:Light Emitting Diode:発光ダイオード)とを有している。
【0019】
また、この携帯電話機は、所望の被写体の静止画像或いは動画像を撮像するためのカメラ部8と、当該携帯電話機の筐体を振動させて発着信等をユーザに通知するためのバイブレーションユニット9と、現在時刻をカウントするタイマ10と、当該携帯電話機の筐体の回転操作、傾き操作、振動操作等を検出する加速度センサ11とを有している。
【0020】
また、この携帯電話機は、商品等を購入した際の決済時や駅の自動改札の通過時等に、店舗に設けられた決済端末装置や駅の自動改札装置に設けられたリーダライタ装置との間で非接触無線通信を行う非接触無線通信アンテナ12及び非接触ICユニット13と、当該携帯電話機の現在位置の検出を行うGPSアンテナ14(Global Positioning System)及びGPSユニット15とを有している。
【0021】
また、この携帯電話機は、上記無線基地局を介した無線通信処理を行うためのコミュニケーションプログラムや各種アプリケーションプログラムの他、これら各アプリケーションプログラムで取り扱われる各種データ(コンテンツ)等が記憶されたメモリ16と、後述する決済処理を含む当該携帯電話機全体の動作を制御する制御部17とを有している。
【0022】
メモリ16には、上記コミュニケーションプログラムの他、非接触ICユニット13を用いた決済処理を実行制御するための決済処理アプリケーションプログラムが記憶されている。この決済処理アプリケーションプログラムは、例えばEdy(登録商標)、iD(登録商標)、QUICPay(登録商標)等の複数の決済アプリケーションプログラムが含まれている。後述するが、ユーザは、当該携帯電話機の筐体を回転操作することで、上記複数の決済アプリケーションプログラムの中から所望の決済アプリケーションプログラムを選択して決済に使用することができるようになっている。
【0023】
また、メモリ16には、カメラ部8の撮像制御を行うカメラ制御プログラムが記憶されている。このカメラ制御プログラムは、撮像した静止画像や動画像のビューア機能も備えている。
【0024】
また、メモリ16には、電子メールの作成や送受信を制御するための電子メール管理プログラムと、ユーザのスケジュールが登録されたスケジュール帳の管理を行うためのスケジュール帳管理プログラムと、コミュニケーションネットワークやインターネット等の所定のネットワーク上に設けられたサーバ装置上で公開されているWebページを閲覧するためのWebブラウジングプログラムと、電話帳の管理を行うための電話帳管理プログラムと、音楽コンテンツの再生を行うための音楽プレーヤプログラムとが記憶されている。
【0025】
また、メモリ16には、ユーザの所望のスケジュールが登録されるスケジュール帳と、ユーザの知人や友人等のユーザ名、静止画像(顔写真等)、住所、電話番号、電子メールアドレス、生年月日等が登録された電話帳と、音楽プレーヤプログラムに基づいて再生される音楽コンテンツと、カメラ制御プログラムのビューワ機能に基づいて再生される静止画像コンテンツ及び動画像コンテンツと、送受信された電子メールコンテンツと、電話及び電子メールの発着信履歴等が記憶されている。
【0026】
[第1の実施例における決済処理動作]
このような第1の実施例の携帯電話機は、当該携帯電話機の筐体を回転操作することで、メモリ16に記憶されている複数の決済アプリケーションプログラムの中から所望の決済アプリケーションプログラムを選択して決済を行うことができるようになっている。図2のフローチャートに、決済時に制御部17がメモリ16に記憶されている決済処理アプリケーションプログラムに基づいて実行制御する決済処理の流れを示す。
【0027】
制御部17は、例えば当該携帯電話機の操作部6に設けられている決済処理指定専用のボタン操作を検出したタイミング、アプリケーション選択メニューから決済処理アプリケーションプログラムの選択操作を検出したタイミング、或いは店舗等に設置されている決済端末装置等からの決済要求信号の受信を検出したタイミングで、メモリ16に記憶されている決済処理アプリケーションプログラムに基づいて、ステップS1からこの図2のフローチャートに示す処理を開始する。
【0028】
ステップS1では、制御部17が、上記決済処理アプリケーションプログラムに基づいて、例えば図3に示すような決済アプリケーションプログラムの選択画面を表示して、処理をステップS2に進める。
【0029】
この図3に示す上記選択画面の表示例は、当該携帯電話機が下筐体に対して上筐体20を該各筐体の長手方向に沿ってスライド移動させることで筐体の開閉操作を行う、いわゆるスライド型の携帯電話機の場合の表示例である。この図3は、このスライド型の携帯電話機が、上筐体20と下筐体とが略々全面的に重なり合う、いわゆる閉状態時を示している。また、このスライド型の携帯電話機は、上筐体20の露出面側(下筐体に対して相対向して接触する面部に対して反対側となる面部)に上記表示部5が設けられている。また、上筐体20は、スピーカ部3が設けられている側の端部が上端部20aとなっている。そして、この実施例の携帯電話機の場合、制御部17は、上筐体20の上記上端部20aの方向に合わせて現在選択中の決済アプリケーションプログラムを示す表示を行い、他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムの表示は、上記上端部20aの方向とは異なる方向に合わせて表示を行うことで、上記上端部20aの方向に合わせて表示されている決済アプリケーションプログラムが、現在選択中の決済アプリケーションプログラムであることをユーザに認識させるようになっている。
【0030】
この図3の例で具体的に説明すると、メモリ16に例えば第1の決済アプリケーションプログラム及び第2の決済アプリケーションプログラムの計2種類の決済アプリケーションプログラムが記憶されていた場合、制御部17は、上記ステップS1において、上筐体20の上端部20aの方向に合わせて、現在選択中の決済アプリケーションプログラムとして表示部5の上半分の表示領域(上表示領域)に第1の決済アプリケーションプログラムの表示を行うと共に、上筐体20の上端部20aの方向に対して180度異なる方向である、上筐体20の下端部20bの方向に合わせて、他の選択候補となる第2の決済アプリケーションプログラムの表示形態を180度反転させて、表示部5の下半分の表示領域(下表示領域)に第2の決済アプリケーションプログラムの表示を行う。
【0031】
すなわち、通常、表示部5を目視する場合、ユーザは、上端部20aを上側として上筐体20を把持して該表示部5を目視する。このため、制御部17は、表示部5の全表示領域を上半分の表示領域と下半分の表示領域とに分割し、上半分の表示領域には、この図3に示す通常の目視状態で容易に認識可能となるように、上筐体20の上端部20aの方向に合わせて、現在選択中の決済アプリケーションプログラムとして第1の決済アプリケーションプログラムの表示を行う。また、下半分の表示領域には、上筐体20の下端部20bの方向に合わせて、180度反転させた表示形態で第2の決済アプリケーションプログラムの表示を行う。
【0032】
これにより、例えば第1の決済アプリケーションプログラムの表示が当該第1の決済アプリケーションプログラムのアプリケーションプログラム名を示す文字であった場合、表示部5の上半分の表示領域には、第1の決済アプリケーションプログラムのアプリケーションプログラム名が通常の目視状態で容易に認識可能となるように表示され、表示部5の下半分の表示領域には、いわゆる逆さ文字となった表示形態で、第2の決済アプリケーションプログラムのアプリケーションプログラム名が表示されることとなる。
【0033】
ユーザは、上端部20aを上側として上筐体20を把持した状態で、表示部5の下半分の表示領域に表示された第2の決済アプリケーションプログラムの表示よりも、表示部5の上半分の表示領域に表示された第1の決済アプリケーションプログラムの表示の方が認識し易いため、現在選択中の決済アプリケーションプログラムは、第1の決済アプリケーションプログラムであることを、直感的、かつ、容易に認識することができる。
【0034】
なお、各決済アプリケーションプログラムは、文字で表示するのみならず、図3に示す矢印等の画像(又はアイコン画像)のみ、或いは該画像(又はアイコン画像)を併用して表示してもよい。
【0035】
また、この例では、最初に、第1の決済アプリケーションプログラムの表示を表示部5の上半分の表示領域に行い、第2の決済アプリケーションプログラムの表示を表示部5の下半分の表示領域に行う例であったが、表示の優先順位を予め設定しておき、最初に、第2の決済アプリケーションプログラムの表示を表示部5の上半分の表示領域に行い、第1の決済アプリケーションプログラムの表示を表示部5の下半分の表示領域に行ってもよい。
【0036】
次に、このように表示部5の上半分の表示領域に表示された決済アプリケーションプログラムを、現在選択中の決済アプリケーションプログラムとしてユーザは認識するのであるが、当該携帯電話機の場合、この現在選択中の決済アプリケーションプログラムを変更する際に、ユーザが当該携帯電話機の筐体を回転操作するようになっている。図2のフローチャートのステップS2では、制御部17が、加速度センサ11からの加速度検出出力を監視することで、当該携帯電話機の筐体の回転操作がなされたか否かを判別している。そして、回転操作がなされたものと判別した場合には、処理をステップS3に進め、回転操作がなされていないものと判別した場合には、処理をステップS7に進める。
【0037】
一例ではあるが、この例の携帯電話機の場合、制御部17は、図4に示すように上筐体20の上端部20aが上方向となっている状態を回転角度0度とし、時計回り方向に130度数〜150度(+130度数〜+150度)程度回転操作されたことを、上記加速度センサ11からの加速度検出出力に基づいて検出し、或いは反時計回り方向に130度数〜150度(−130度数〜−150度)程度回転操作されたことを、上記加速度センサ11からの加速度検出出力に基づいて検出すると、当該携帯電話機の筐体の回転操作がなされたものと判別する。
【0038】
なお、制御部17は、上記+130度数〜+150度及び上記−130度数〜−150度以外の回転操作である、例えば±90度や±180度等の回転操作は、当該携帯電話機の筐体の回転操作はなされていないものとして判別する。
【0039】
次に、制御部17は、当該携帯電話機の筐体の回転操作がなされていないものと判別することで処理をステップS7に進めると、非接触ICユニット13を監視することで、決済用端末装置からの決済要求信号の受信の有無を判別し、非接触ICユニット13で決済用端末装置からの決済要求信号が受信されたものと判別した場合は、処理をステップS5に進め、非接触ICユニット13で決済用端末装置からの決済要求信号が受信されていないものと判別した場合は、処理をステップS2に戻し、再度、当該携帯電話機の筐体の回転操作の有無を監視する。
【0040】
すなわち、図3の例を用いて説明すると、表示部5の上半分の表示領域に第1の決済アプリケーションプログラムの表示がなされており、この第1の決済アプリケーションプログラムが、ユーザが決済で用いようとしている決済アプリケーションプログラムであった場合、ユーザは、当該携帯電話機の筐体を回転操作することなく、当該携帯電話機の筐体に設けられている非接触ICユニット13を、店舗等に設置されている決済用端末装置に近接させるはずである。そして、当該携帯電話機の非接触ICユニット13と決済用端末装置との間の距離が、例えば50cm以内等の非接触無線通信が可能な距離となると、非接触ICユニット13により、決済用端末装置から送信された決済要求信号が受信されるはずである。
【0041】
このため、制御部17は、当該携帯電話機の筐体の回転操作を検出することなく、処理をステップS7に進めると、このステップS7において、決済用端末装置から送信された決済要求信号の受信の有無を判別し、決済要求信号を受信していない場合は、当該携帯電話機の筐体が(=上記非接触ICユニット13が)決済用端末装置に近づけられておらず、ユーザにより、決済に用いられる決済アプリケーションプログラムが変更される可能性があるため、処理をステップS2に戻し、当該携帯電話機の筐体の上述の回転操作の有無を監視する。
【0042】
これに対して、当該携帯電話機の筐体の回転操作を検出することなく、処理をステップS7に進めることで、決済用端末装置から送信された決済要求信号の受信を検出した場合には、当該携帯電話機の筐体が(=上記非接触ICユニット13が)決済用端末装置に近づけられていることを示しているため、現在、表示部5の上半分の表示領域に表示している決済アプリケーションプログラム(=図3の例では第1の決済アプリケーションプログラム)を用いて決済処理を行うべく、処理をステップS5に進める。
【0043】
一方、上記ステップS2において、当該携帯電話機の筐体の回転操作を検出することで処理をステップS3に進めると、制御部17は、当該回転操作により、ユーザから選択する決済アプリケーションプログラムの変更が指定されたものと認識し、表示部5の上半分の表示領域に表示する決済アプリケーションプログラムを、上記第1の決済アプリケーションプログラムから第2の決済アプリケーションプログラムに変更表示して処理をステップS4に進める。すなわち、図3の例では、表示部5の上半分の表示領域に対して第2の決済アプリケーションプログラムの表示がなされ、表示部5の下半分の表示領域に対して第1の決済アプリケーションプログラムの表示がなされることとなる。
【0044】
次に、このように表示位置を変更することで処理をステップS4に進めると、制御部17は、非接触ICユニット13を監視することで、決済用端末装置からの決済要求信号の受信の有無を判別し、非接触ICユニット13で決済用端末装置からの決済要求信号が受信されたものと判別した場合は、処理をステップS5に進め、非接触ICユニット13で決済用端末装置からの決済要求信号が受信されていないものと判別した場合は、処理をステップS2に戻し、再度、当該携帯電話機の筐体の回転操作の有無を監視する。
【0045】
すなわち、このステップS4の処理も上述のステップS7の処理と同様であり、上述の回転操作により、表示部5の上半分の表示領域にユーザが決済で用いようとしている決済アプリケーションプログラムの表示がなされている場合、ユーザは、当該携帯電話機の筐体を再度回転操作することなく、当該携帯電話機の筐体に設けられている非接触ICユニット13を、店舗等に設置されている決済用端末装置に近接させるはずである。そして、当該携帯電話機の非接触ICユニット13と決済用端末装置との間の距離が、上述の非接触無線通信が可能な距離となると、非接触ICユニット13により、決済用端末装置から送信された決済要求信号が受信されるはずである。
【0046】
このため、制御部17は、当該携帯電話機の筐体の回転操作を検出することで決済アプリケーションプログラムの表示を変更し、処理をステップS4に進めると、このステップS4において、決済用端末装置から送信された決済要求信号の受信の有無を判別し、決済要求信号を受信していない場合は、当該携帯電話機の筐体が(=上記非接触ICユニット13が)決済用端末装置に近づけられておらず、ユーザにより、決済に用いられる決済アプリケーションプログラムが再度変更される可能性があるため、処理をステップS2に戻し、当該携帯電話機の筐体の上述の回転操作の有無を監視する。
【0047】
これに対して、当該携帯電話機の筐体の回転操作を検出することで決済アプリケーションプログラムの表示を変更し、処理をステップS4に進めることで、決済用端末装置から送信された決済要求信号の受信を検出した場合には、当該携帯電話機の筐体が(=上記非接触ICユニット13が)決済用端末装置に近づけられていることを示しているため、現在、表示部5の上半分の表示領域に表示している決済アプリケーションプログラムを用いて決済処理を行うべく、処理をステップS5に進める。
【0048】
次に、ステップS5に処理を進めると、制御部17は、非接触ICユニット13で受信された決済要求信号は、現在、表示部5の上半分の表示領域に表示している決済アプリケーションプログラムに対応する決済要求信号であるか否かを判別する。そして、非接触ICユニット13で受信された決済要求信号が、現在、表示部5の上半分の表示領域に表示している決済アプリケーションプログラムに対応する決済要求信号ではないものと判別した場合、制御部17は、現在選択中の決済アプリケーションプログラムが、店舗等に設置されている決済処理端末装置に対応していないことを示す所定の電子音やエラーメッセージを、スピーカ部3等を介して出力制御し、また、表示部5に対して例えば「決済アプリケーションを選択し直してください」等のエラーメッセージを表示制御して処理をステップS2に戻す。
【0049】
ユーザは、この電子音やエラーメッセージ等により、当該携帯電話機の筐体を回転操作して、決済処理に用いる決済アプリケーションプログラムを選択し直すこととなる。制御部17は、この筐体の回転操作による決済アプリケーションプログラムの再指定の有無を、上記ステップS2で監視する。
【0050】
これに対して、上記ステップS5において、非接触ICユニット13で受信された決済要求信号が、現在、表示部5の上半分の表示領域に表示している決済アプリケーションプログラムに対応する決済要求信号であるものと判別した場合、制御部17は、処理をステップS6に進め、表示部5の上半分の表示領域に表示している決済アプリケーションプログラムに基づく決済処理を、非接触ICユニット13を介して実行制御する。これにより、ユーザが選択した決済アプリケーションプログラムを用いて決済が行われることとなる。
【0051】
[第1の実施例の効果]
以上の説明から明らかなように、この第1の実施例となる携帯電話機は、決済時において、表示部5の上半分の表示領域に現在選択中の決済アプリケーションプログラムの表示を行い、表示部5の下半分の表示領域に他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムの表示を、180度回転させて行う。ユーザは、表示部5の上半分の表示領域に表示されている決済アプリケーションプログラムを、現在選択中の決済アプリケーションプログラムとして認識し、この現在選択中の決済アプリケーションプログラムを変更する場合は、当該携帯電話機の筐体を回転操作する。この筐体の回転操作を検出する毎に、制御部17は、例えば表示部5の上半分と下半分の各表示領域に表示する決済アプリケーションプログラムの表示を、第1の決済アプリケーションプログラム←→第2の決済アプリケーションプログラムの間で変更して表示を行う。
【0052】
そして、ユーザは、このような回転操作により、表示部5の上半分の表示領域に、決済に用いようとしている決済アプリケーションプログラムの表示がなされていることを確認して、当該携帯電話機を、店舗等に設置されている決済処理端末装置に近接させる。これにより、表示部5の上半分の表示領域に表示されている、ユーザが希望する決済アプリケーションプログラムを用いて、当該携帯電話機の非接触ICユニット13を介して決済を行うことができる。
【0053】
また、決済に使用する決済アプリケーションプログラムは、当該携帯電話機の表示部5の上半分の表示領域に表示され、他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムの表示は、表示部5の下半分の表示領域に180度回転した状態で表示されるため、ユーザは、現在選択中の決済アプリケーションプログラムを直感的に認識することができる。この場合、表示部5の上半分の表示領域の輝度や表示色等の表示形態を、下半分の表示領域の表示形態と異ならせることにより、ユーザに対して、現在選択中の決済アプリケーションプログラムを、さらに認識し易くすることができる。
【0054】
また、使用する決済アプリケーションプログラムの変更は、当該携帯電話機の筐体の回転操作で行うようになっているため、使用する決済アプリケーションプログラムの変更設定を行うための専用の端末装置等を必要とすることなく、ユーザは、当該携帯電話機の操作のみで、使用する決済アプリケーションプログラムを容易に変更して選択することができる。
【0055】
[第1の実施例の変形例]
上述の第1の実施例は、メモリ16に対して第1及び第2の計2種類の決済アプリケーションプログラムが記憶されている例であったが、メモリ16に対して第1〜第5の計5種類の決済アプリケーションプログラムが記憶されている場合には、制御部17は、上述の回転操作により決済アプリケーションプログラムの変更表示を、図5(a)〜図5(e)に示すように行う。なお、各決済アプリケーションプログラムの表示の優先順位は、一例ではあるが第1〜第5の決済アプリケーションプログラムの順に、予め設定されているものとする。
【0056】
この図5(a)〜図5(e)は、制御部17による表示部5に対する各決済アプリケーションプログラムの表示遷移を示している。すなわち、この場合、上述の決済時となると、制御部17は、まず、図5(a)に示すように表示部5の表示領域を2本の対角線で上下左右の各表示領域に4分割し、上表示領域に第1の決済アプリケーションプログラムの表示を行い、右表示領域に第2の決済アプリケーションプログラムの表示を行い、下表示領域に第3の決済アプリケーションプログラムの表示を行い、左表示領域に第4の決済アプリケーションプログラムの表示を行う。
【0057】
なお、この図5(a)〜図5(e)の例の場合も、上表示領域に表示された決済アプリケーションプログラムが、現在選択中の決済アプリケーションプログラムを示しており、下表示領域、右表示領域、及び左表示領域に表示された各決済アプリケーションプログラムは、それぞれ他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムを示している。
【0058】
次に、上述の筐体の1回目の回転操作を検出すると、制御部17は、各決済アプリケーションプログラムの表示位置を時計回り方向に一つずつずらすことで、図5(b)に示すように左表示領域に表示していた第2の決済アプリケーションプログラムの表示を上表示領域に移動し、右表示領域に、第1の決済アプリケーションプログラムの代わりに第5の決済アプリケーションプログラムの表示を行い、右表示領域に表示していた第4の決済アプリケーションプログラムの表示を下表示領域に移動し、下表示領域に表示していた第3の決済アプリケーションプログラムの表示を左表示領域に移動する。
【0059】
次に、上述の筐体の2回目の回転操作を検出すると、制御部17は、再度、各決済アプリケーションプログラムの表示位置を時計回り方向に一つずつずらすことで、図5(c)に示すように左表示領域に表示していた第3の決済アプリケーションプログラムの表示を上表示領域に移動し、右表示領域に、第2の決済アプリケーションプログラムの代わりに第1の決済アプリケーションプログラムの表示を行い、右表示領域に表示していた第5の決済アプリケーションプログラムの表示を下表示領域に移動し、下表示領域に表示していた第4の決済アプリケーションプログラムの表示を左表示領域に移動する。
【0060】
次に、上述の筐体の3回目の回転操作を検出すると、制御部17は、再度、各決済アプリケーションプログラムの表示位置を時計回り方向に一つずつずらすことで、図5(d)に示すように左表示領域に表示していた第4の決済アプリケーションプログラムの表示を上表示領域に移動し、右表示領域に、第3の決済アプリケーションプログラムの代わりに第2の決済アプリケーションプログラムの表示を行い、右表示領域に表示していた第1の決済アプリケーションプログラムの表示を下表示領域に移動し、下表示領域に表示していた第5の決済アプリケーションプログラムの表示を左表示領域に移動する。
【0061】
次に、上述の筐体の4回目の回転操作を検出すると、制御部17は、再度、各決済アプリケーションプログラムの表示位置を時計回り方向に一つずつずらすことで、図5(e)に示すように左表示領域に表示していた第5の決済アプリケーションプログラムの表示を上表示領域に移動し、右表示領域に、第4の決済アプリケーションプログラムの代わりに第3の決済アプリケーションプログラムの表示を行い、右表示領域に表示していた第2の決済アプリケーションプログラムの表示を下表示領域に移動し、下表示領域に表示していた第1の決済アプリケーションプログラムの表示を左表示領域に移動する。
【0062】
次に、上述の筐体の5回目の回転操作を検出すると、制御部17は、再度、各決済アプリケーションプログラムの表示位置を時計回り方向に一つずつずらすことで、図5(a)に示すように左表示領域に表示していた第1の決済アプリケーションプログラムの表示を上表示領域に移動し、右表示領域に、第5の決済アプリケーションプログラムの代わりに第4の決済アプリケーションプログラムの表示を行い、右表示領域に表示していた第3の決済アプリケーションプログラムの表示を下表示領域に移動し、下表示領域に表示していた第2の決済アプリケーションプログラムの表示を左表示領域に移動する。
【0063】
すなわち、イメージ的には、第1〜第5の各決済アプリケーションプログラムは、言わばシームレスに繋がっており、制御部17は、これら5つの決済アプリケーションプログラムのうち、4つの決済アプリケーションプログラムを順次選択して、上下左右の各表示領域に表示する。
【0064】
これにより、メモリ16に記憶される決済アプリケーションプログラムが他種類に増えた場合でも、ユーザは当該携帯電話機の筐体を上記回転操作するだけで、決済に用いる決済アプリケーションプログラムを簡単に変更して選択することができる他、上述の第1の実施例の携帯電話機と同様の効果を得ることができる。
【0065】
なお、この図5(a)〜図5(e)に示した例では、表示部5の表示領域を2本の対角線で4分割することとしたが、該表示部5の短手方向に沿った4本の線で該表示領域を5分割し、この各表示領域に対して、上記回転操作を検出する毎に、上述のようにシームレスに繋がれたイメージで各決済アプリケーションプログラムが順次表示されるようにしてもよい。
【0066】
[第2の実施例]
次に、本発明の第2の実施例となる携帯電話機の説明をする。この第2の実施例の携帯電話機は、外貨による決済を行う際に、現在の為替レートに基づいて、母国通貨の決済額を表示するようにしたものである。なお、上述の第1の実施例の携帯電話機と当該第2の実施例の携帯電話機は、この点のみが異なる。このため、以下、この差異の部分の説明のみ行い、重複説明は省略することとする。
【0067】
図6のフローチャートに、この第2の実施例の携帯電話機における母国通貨の決済額の表示処理の流れを示す。このフローチャートは、図2のフローチャートのステップS4或いはステップS7において、店舗等に設置された決済用端末装置からの決済要求信号を非接触ICユニット13を介して受信したものと制御部17が判別した際に、該制御部17が、メモリ16に記憶されている決済処理プログラムに基づいて、ステップS11から処理を実行する。
【0068】
ステップS11では、制御部17が、受信した決済要求信号は、外貨で決済を行うための決済要求信号であるか否かを判別し、受信した決済要求信号が母国通貨で決済を行うための決済要求信号であるものと判別した場合は、図2のフローチャートのステップS5へ処理を進めることで、上述のように決済処理を行い、受信した決済要求信号が外貨で決済を行うための決済要求信号であるものと判別した場合は処理をステップS12に進める。
【0069】
すなわち、例えばアメリカ合衆国で決済を行う場合には、アメリカドル(US$)で決済を行うための決済要求信号が、アメリカ国内の店舗等に設置された決済処理端末装置から非接触ICユニット13を介して受信される。このため、制御部17は、非接触ICユニット13で受信された決済要求信号に基づいて、決済に用いられる貨幣の種類を判別し、この決済に用いられる貨幣が外貨であった場合に、処理をステップS12に進める。
【0070】
ステップS12では、制御部17が、GPSユニット15を起動することで、該GPSユニット15から当該携帯電話機の現在位置を取得して、処理をステップS13に進める。ステップS13では、制御部17が、上記ステップS12で取得した当該携帯電話機の現在位置が属する国の為替レートを、所定のネットワーク上のサーバ装置から取得するように、図1に示す通信回路2を通信制御して、処理をステップS14に進める。
【0071】
具体的には、メモリ16には、各位置と、該各位置が属する国を示す情報と、該各位置が属する国の為替レートを取得可能なネットワーク上のサーバ装置のURL情報(URL:Uniform Resource Locator)がテーブル化されて記憶されている。このため、制御部17は、当該携帯電話機の現在位置が取得されると、この現在位置情報に基づいて上記テーブルを参照することで、当該携帯電話機の現在位置が属する国を認識すると共に、この現在位置が属する国の為替レートを配信しているサーバ装置のURL情報を検出する。そして、このURL情報に対応するサーバ装置にアクセスし、現在の為替レートを示す為替レート情報を取得する。
【0072】
次に、このように現在の為替レートを示す為替レート情報を取得すると、制御部17は、ステップS14に処理を進め、この取得した為替レート情報、及び上記決済要求信号で示される決済額に基づいて、ユーザの母国通貨に対応する決済額を算出し、これを、決済アプリケーションプログラムの選択画面に重ねて表示する。
【0073】
具体的には、当該携帯電話機のユーザは日本人であり、母国通貨は「円」であり、当該携帯電話機の現在位置がアメリカ合衆国であると判別することで取得したアメリカ合衆国の為替レートが「1ドル→100円」であり、上記決済要求信号が「60ドル」の決済額を示している場合、制御部17は、60ドル×100円の演算を行うことで、現在、日本円で「6000円」の決済額であることを算出する。そして、この日本円の決済額を、例えば図7に示すように、表示部5の表示領域のうち、他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムの表示領域である下半分の表示領域に表示する。これにより、表示部5の上半分の表示領域に現在選択中の決済アプリケーションプログラムの表示を行った状態で、母国通貨の決済額を表示することができる。
【0074】
なお、複数の両替業者や銀行がある場合、各両替業者や銀行毎の為替レートを取得して表示し、ユーザが選択した両替業者や銀行の為替レートを用いて、上述の母国通貨の決済額を算出して表示してもよい。
【0075】
次に、このように母国通貨の決済額を表示すると、制御部17は、処理をステップS15に進め、ステップS16でタイムアウトが検出されるまでの間に、非接触ICユニット13を介して、上記決済要求信号が、再度、受信されたか否かを判別する。
【0076】
すなわち、ユーザは、表示部5に母国通貨の決済額が表示されると、これを見るために、当該携帯電話機を、店舗等に設置されている決済処理端末装置から離間させるはずである。これにより、当該携帯電話機と決済処理端末装置との間の非接触無線通信が、一旦、切断される。そして、ユーザは、表示部5に表示された母国通貨の決済額に納得して決済を行う場合、当該携帯電話機を、再度決済処理端末装置に近接させるため、決済処理端末装置からの決済要求信号が、非接触ICユニット13を介して、再度受信されることとなる。このため、制御部17は、決済要求信号が、非接触ICユニット13を介して再度受信されたことを検出すると、図2のステップS5に処理を進め、上述のように非接触ICユニット13で受信された決済要求信号が、現在、表示部5の上半分の表示領域に表示している決済アプリケーションプログラムに対応する決済要求信号であるものか否かを判別し、該決済要求信号が、現在、表示部5の上半分の表示領域に表示している決済アプリケーションプログラムに対応する決済要求信号であるものと判別した場合に、処理をステップS6に進め、表示部5の上半分の表示領域に表示している決済アプリケーションプログラムに基づく決済処理を、非接触ICユニット13を介して実行制御する。これにより、ユーザが選択した決済アプリケーションプログラムを用いて、母国通貨が上記為替レートに基づいて外貨に両替されたうえで決済が行われることとなる。
【0077】
[第2の実施例の効果]
電子決済が標準化され、日本以外の国で決済アプリケーションプログラムを使用する場合、母国通貨の電子マネーを外貨に両替する必要があることが想定されるが、この第2の実施例の携帯電話機のように、外貨で決済を行う際に、この外貨の決済額に対応する母国通貨の決済額を表示することで、ユーザは、納得したうえで、外貨での決済を行うことを可能とすることができる他、上述の第1の実施例の携帯電話機と同じ効果を得ることができる。
【0078】
[各実施例の変形例]
上述の各実施例の説明では、本発明をスライド型の携帯電話機に適用することとしたが、本発明を、いわゆる折り畳み型の携帯電話機に適用してもよい。また、本発明を、この折り畳み型の携帯電話機に適用した場合において、メイン表示部の他に、補助表示部が設けられている場合には、この補助表示部に対して、上述の各決済アプリケーションプログラムの表示や、母国通貨の決済額の表示等を行ってもよい。
【0079】
また、決済アプリケーションプログラムとして、電車やバス等の乗車券代用アプリケーションプログラムが記憶されている場合、乗車運賃の即時決済、若しくは回数券を表示するようにしてもよい。この場合、ユーザは、乗車運賃を回数券を用いて決済するか、電子マネーを用いて決済するかを、携帯電話機の筐体を上記回操作することで選択することとなる。
【0080】
また、決済アプリケーションプログラムとして、クレジットカード型の決済アプリケーションプログラムが記憶されている場合、決済額の1回払い、或いはリボルビング払い等の選択肢をさらに表示し、ユーザが所望の支払い形態を選択できるようにしてもよい。また、この選択肢は、電子マネーによる決済形態と共に、決済形態の選択肢の1つとして表示しても良い。また、複数回支払いの場合は、所望の複数回決済を選択し、利用者が携帯電話機の筐体を上下に振ることで支払いの分割回数を選択可能としてもよい。
【0081】
また、上述の各実施例の説明では、本発明を携帯電話機に適用することとしたが、本発明を、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機等の他の携帯機器に適用してもよい。いずれの場合も上述と同様の効果を得ることができる。
【0082】
最後に、上述の各実施例は、本発明の一例である。このため、本発明は上述の各実施例に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0083】
1 アンテナ、2 通信回路、3 スピーカ部、4 マイクロホン部、5 表示部、6 操作部、1c 第1の筐体の短手側の一方の辺部、1d 第1の筐体の短手側の他方の辺部、7 発光部、8 カメラ部、9 バイブレーションユニット、10 タイマ、11 加速度センサ、12 非接触無線通信アンテナ、13 非接触ICユニット、14 GPSアンテナ、15 GPSユニット、16 メモリ、17 制御部、20 携帯電話機の上筐体、20a 上筐体の上端部、20b 上筐体の下端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数種類の決済アプリケーションプログラムが記憶されたメモリと、
筐体の回転操作を検出する回転操作検出部と、
上記筐体に設けられた表示部の表示領域を少なくとも上表示領域及び下表示領域に分割し、上記メモリに記憶されている各決済アプリケーションプログラムのうち、上記表示部を通常の状態で目視した際に容易に認識可能な表示形態で、現在選択中の決済アプリケーションプログラムを示す表示を上記上表示領域に対して行い、上記上表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示形態を180度回転させた表示形態で、他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムを示す表示を上記下表示領域に対して行うと共に、上記回転操作検出部により、上記筐体の回転操作が検出される毎に、該回転操作の検出前後でそれぞれ異なる決済アプリケーションプログラムの表示となるように、上記各表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示変更制御を行う表示制御部と、
外部の決済処理端末装置との間で決済処理の非接触無線通信を行う非接触ICユニットと、
上記非接触ICユニットを介して受信した上記外部の決済処理端末装置からの決済要求信号に基づいて、該決済処理端末装置は、上記表示部の上記上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムで決済処理を実行可能な決済処理端末装置であるか否かを判別し、該決済処理端末装置が、上記上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムで決済処理を実行可能な決済処理端末装置であるものと判別した際に、該上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムに基づいて、上記決済処理端末装置との間で非接触無線通信を行うように上記非接触ICユニットを無線通信制御して決済処理の実行制御を行う制御部と
を有する携帯端末装置。
【請求項2】
上記メモリには、少なくとも4種類以上の決済アプリケーションプログラムが記憶されており、
上記表示制御部は、上記筐体に設けられた表示部の表示領域を、上表示領域、右表示領域、下表示領域、及び左表示領域に4分割し、上記メモリに記憶されている各決済アプリケーションプログラムのうち、上記表示部を通常の状態で目視した際に容易に認識可能な表示形態で、現在選択中の決済アプリケーションプログラムを示す表示を上記上表示領域に対して行い、上記上表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示形態を時計回り方向に90度回転させた表示形態で、他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムを示す表示を上記右表示領域に対して行い、上記上表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示形態を180度回転させた表示形態で、他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムを示す表示を上記下表示領域に対して行い、上記上表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示形態を反時計回り方向に90度回転させた表示形態で、他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムを示す表示を上記左表示領域に対して行うと共に、上記回転操作検出部により、上記筐体の回転操作が検出される毎に、該回転操作の検出前後でそれぞれ異なる決済アプリケーションプログラムの表示となるように、上記各表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示変更制御を行う
請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
ネットワーク通信部と、
現在位置を検出する現在位置検出部と、
各位置と、該各位置が属する国を示す情報と、該各国の通貨の為替レートのネットワーク上の取得先を示すURL情報(URL:Uniform Resource Locator)が、それぞれ関連付けされて記憶されたテーブルとを有し、
上記制御部は、上記外部の決済処理端末装置からの決済要求信号が外貨での決済処理を示す決済要求信号であった場合、上記現在位置検出部から取得した現在位置に基づいて上記テーブルを参照することで、当該現在位置が属する国の通貨の為替レートの取得先を示すURL情報を取得し、このURL情報に基づいて上記ネットワーク通信部を通信制御して当該現在位置が属する国の通貨の為替レートを取得し、この取得した為替レートに基づいて、上記決済要求信号で示される上記外貨での決済額から母国通貨での決済額を算出し、この母国通貨での決済額を、上記上表示領域以外の表示領域に表示制御し、この母国通貨での決済額を表示した後、所定時間以内に、上記外部の決済処理端末装置からの決済要求信号の受信を再度、検出した際に、この再度受信した決済要求信号に基づいて、該決済処理端末装置は、上記表示部の上記上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムで決済処理を実行可能な決済処理端末装置であるか否かを判別し、該決済処理端末装置が、上記上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムで決済処理を実行可能な決済処理端末装置であるものと判別した際に、該上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムに基づいて、上記決済処理端末装置との間で非接触無線通信を行うように上記非接触ICユニットを無線通信制御して決済処理の実行制御を行う
請求項1又は請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
表示制御部が、筐体に設けられた表示部の表示領域を少なくとも上表示領域及び下表示領域に分割し、メモリに記憶されている複数種類の決済アプリケーションプログラムのうち、上記表示部を通常の状態で目視した際に容易に認識可能な表示形態で、現在選択中の決済アプリケーションプログラムを示す表示を上記上表示領域に対して行い、上記上表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示形態を180度回転させた表示形態で、他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムを示す表示を上記下表示領域に対して行うステップと、
上記ステップで上記各表示領域に対して上記各決済アプリケーションプログラムの表示がなされた際に、回転操作検出部が上記筐体の回転操作を検出するステップと、
上記ステップで上記回転操作検出部により、上記筐体の回転操作が検出される毎に、表示制御部が、該回転操作の検出前後でそれぞれ異なる決済アプリケーションプログラムの表示となるように、上記各表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示変更制御を行うステップと、
外部の決済処理端末装置との間で決済処理の非接触無線通信を行う非接触ICユニットを介して受信した上記外部の決済処理端末装置からの決済要求信号に基づいて、制御部が、上記決済処理端末装置は上記表示部の上記上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムで決済処理を実行可能な決済処理端末装置であるか否かを判別し、該決済処理端末装置が、上記上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムで決済処理を実行可能な決済処理端末装置であるものと判別した際に、該上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムに基づいて、上記決済処理端末装置との間で非接触無線通信を行うように上記非接触ICユニットを無線通信制御して決済処理の実行制御を行うステップと
を有する決済方法。
【請求項5】
筐体に設けられた表示部の表示領域を少なくとも上表示領域及び下表示領域に分割し、メモリに記憶されている複数種類の決済アプリケーションプログラムのうち、上記表示部を通常の状態で目視した際に容易に認識可能な表示形態で、現在選択中の決済アプリケーションプログラムを示す表示を上記上表示領域に対して行い、上記上表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示形態を180度回転させた表示形態で、他の選択候補となる決済アプリケーションプログラムを示す表示を上記下表示領域に対して行う表示制御部としてコンピュータを機能させ、
コンピュータを上記表示制御部として機能させることで、上記各表示領域に対して上記各決済アプリケーションプログラムの表示がなされた際に、上記筐体の回転操作を検出するように回転操作検出部を制御する回転操作検出制御部としてコンピュータを機能させ、
コンピュータを上記回転操作検出制御部として機能させることで、上記回転操作検出部により、上記筐体の回転操作が検出される毎に、該回転操作の検出前後でそれぞれ異なる決済アプリケーションプログラムの表示となるように、上記各表示領域に対する決済アプリケーションプログラムの表示変更制御を行う表示変更制御部としてコンピュータを機能させ、
外部の決済処理端末装置との間で決済処理の非接触無線通信を行う非接触ICユニットを介して受信した上記外部の決済処理端末装置からの決済要求信号に基づいて、上記決済処理端末装置は上記表示部の上記上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムで決済処理を実行可能な決済処理端末装置であるか否かを判別し、該決済処理端末装置が、上記上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムで決済処理を実行可能な決済処理端末装置であるものと判別した際に、該上表示領域に表示がなされている決済アプリケーションプログラムに基づいて、上記決済処理端末装置との間で非接触無線通信を行うように上記非接触ICユニットを無線通信制御して決済処理の実行制御を行う制御部としてコンピュータを機能させる
決済プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−277465(P2010−277465A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131292(P2009−131292)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(502087507)ソニー エリクソン モバイル コミュニケーションズ, エービー (823)
【Fターム(参考)】