説明

携帯端末装置および携帯通信機器ならびに通信システム

【課題】携帯端末装置と携帯通信機器との通信状況に応じてユーザがおかれた状況を推定可能とし、その状況によっては携帯端末装置の機能を制限し、あるいは他の通信装置への通知を可能にする。
【解決手段】携帯通信機器は、基地局との通信が可能な第3通信部31と、他の通信装置と基地局を介して通信可能な携帯端末装置と近距離通信可能な第4通信部32と、第4通信部32による携帯端末装置との通信状態を判定する通信状態検出部351と、通信状態検出部により携帯端末装置との通信ができない状態であると判定されると、第3通信部31により所定の連絡先へ通信を行う通信制御部35と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置および携帯通信機器ならびに通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯端末装置のGPS(Global Positioning System)機能を使った防犯システムが定着しつつある。これは、紛失した携帯端末装置や携帯端末装置のユーザの居場所を検索するのに役立つ手段のひとつである。
【0003】
上記した防犯システムに関する出願も従来から多数なされており、例えば、ユーザの位置情報の履歴を所定の連絡先に通知する携帯電話(例えば、特許文献1参照)、ユーザから非常事態の通知指示を受け付けると画像や音声等に基づく非常メッセージを生成して所定の連絡先に送信する携帯電話等が知られている(例えば、特許文献2参照)。
また、市場に流通している携帯電話の中で、携帯電話と携帯通信機器(例えば、携帯電話を鞄に入れてもポケット等にしまっておくことでバイブレータにより着信を知らせる着信機能を有する携帯通信機器などとの通信状態に応じて携帯電話の機能をロックする技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−333345号公報
【特許文献2】特開2004−40339号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、悪意を持った第3者が他人の携帯電話を手にした場合、この第3者は情報伝達を断ち切るための行為を真っ先に行うことが想定される。仮に、GPS機能を持つ携帯電話を被害者が持っていた場合、第3者によって真っ先にその携帯電話が破棄され、あるいは電源をOFFにされ、使用不能な状態にされる可能性が高い。
このように、携帯端末装置本体を第3者の手により、電源OFFされ、あるいは破棄、破壊等された場合、上記した従来技術のいずれを用いても所定の連絡先に通知されることはなく、非常事態に遭遇した場合の救済措置として効果が得られないといった問題があった。
【0006】
本発明は、携帯端末装置と携帯通信機器との通信状況に応じて携帯端末装置の機能を制限し、あるいは他の通信装置への通知を可能とした、携帯端末装置および携帯通信機器ならびに通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するために本発明の携帯端末装置は、基地局との通信が可能な第1通信部と、所定の携帯通信機器と近距離通信を行う第2通信部と、各種機能の動作を行う制御部と、を備え、前記制御部は、電源OFF動作が検出された場合に、前記第2通信部と前記所定の携帯通信機器との間で通信が可能な状況では、前記第1通信部を介して所定の連絡先への通信を行う。
【0008】
また、本発明の携帯端末装置において、自装置の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記制御部は、前記所定の連絡先へ前記位置情報取得部で取得された前記位置情報を送信するようにしてもよい。
【0009】
また、本発明の携帯端末装置において、周囲の状況に関する情報を取得する周囲情報取得部を備え、前記制御部は、前記所定の連絡先へ前記周囲情報取得部で取得された前記周囲情報を送信するようにしてもよい。
【0010】
また、本発明の携帯端末装置において、前記制御部は、前記第2通信部と前記所定の携帯通信機器との間で通信が可能な状況では、ユーザ認証を行い、当該ユーザ認証にて認証が不成立の場合に前記第1通信部を介して所定の連絡先への通信を行うようにしてもよい。
【0011】
また、本発明の携帯端末装置において、前記制御部は、前記第2通信部と前記所定の携帯通信機器との間で通信が可能な状況では、前記第1通信部を介して所定の連絡先への通信を行うとともに電源OFF動作に伴う電源処理を抑制するようにしてもよい。
【0012】
また、本発明の携帯端末装置において、前記制御部は、前記第2通信部による前記携帯通信機器との通信が不可能になると、前記各種機能の少なくとも一つの機能の動作を制限するようにしてもよい。
【0013】
上記した課題を解決するために本発明の携帯通信機器は、基地局との通信が可能な第3通信部と、他の通信装置と基地局を介して通信可能な携帯端末装置と近距離通信可能な第4通信部と、前記第4通信部による前記携帯端末装置との通信状態を判定する通信状態判定部と、前記通信状態判定部により前記携帯端末装置との通信ができない状態であると判定されると、前記第3通信部により所定の連絡先へ通信を行う制御部と、を有するものである。
【0014】
また、本発明の携帯通信機器において、自機器の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、前記通信制御部は、前記所定の連絡先へ前記位置情報取得部で取得された前記位置情報を送信するようにしてもよい。
【0015】
また、本発明の携帯通信機器において、周囲の状況に関する情報を取得する周囲情報取得部を備え、前記通信制御部は、前記所定の連絡先へ前記周囲情報取得部で取得された前記周囲情報を送信するようにしてもよい。
【0016】
上記した課題を解決するために本発明の通信システムは、基地局との通信が可能な第1通信部と、所定の携帯通信機器と近距離通信を行う第2通信部と、電源OFF動作が検出された場合に、前記第2通信部と前記所定の携帯通信機器との間で通信が可能な状況では、前記第1通信部を介して所定の連絡先への通信を行う制御部と、を備えた携帯端末装置と、基地局との通信が可能な第3通信部と、他の通信装置と基地局を介して通信可能な前記携帯端末装置と近距離通信可能な第4通信部と、前記第4通信部による前記携帯端末装置との通信状態を判定する通信状態判定部と、前記通信状態判定部により前記携帯端末装置との通信ができない状態であると判定されると、前記第3通信部により所定の連絡先へ通信を行う通信制御部と、を備えた携帯通信機器と、を有するものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、携帯端末装置と携帯通信機器との通信状況に応じて、携帯端末装置の機能を制限し、あるいは他の通信装置への通知を可能とした、携帯端末装置および携帯通信機器ならびに通信システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施の形態に係る通信システムのシステム構成の一例を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る携帯端末装置の内部構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る携帯通信機器の内部構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る携帯端末装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る携帯通信機器の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本発明の実施の形態に係る通信システムのシステム構成の一例を示す図である。図1に示されるように、本発明の実施の形態に係る通信システムは、携帯端末装置(こでは携帯電話10が例示されている)と、携帯電話10のユーザが携行する携帯通信機器30と、例えば、ネットワーク接続環境を有する自宅PC等の指定連絡先通信装置40とにより構成される。
【0020】
携帯電話10および携帯通信機器30は、不図示の移動通信網を介して基地局50と接続され、指定連絡先通信装置40は、更に不図示のIP(Internet Protocol)網を介して基地局50に接続される。なお、携帯電話10と携帯通信機器30との間は、ブルートゥース等の近距離無線通信により接続されるものとする。詳細は後述する。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態に係る携帯端末装置としての携帯電話10の内部構成を示すブロック図である。携帯電話10は、図2に示されるように、第1通信部11と、操作部12と、音声処理部13と、記憶部14と、表示部15と、GPSレシーバ16と、カメラ17と、音声レコーダ18と、第2通信部19と、制御部20と、電池21とにより構成される。
【0022】
第1通信部11は、複数の通信システムを捕捉し、例えば、CDMA2000 1x(以下、単に1xという)やEVDOの通信プロトコルにしたがい、移動通信網に接続される基地局50との間で無線通信を行う。なお、EVDO通信は、1x通信よりも高速であり、1x通信は、EVDO通信と異なり、データ通信の他に音声通信もサポートするといった特徴を有している。
【0023】
操作部12は、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キーなど、各種の機能が割り当てられたキーを有しており、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部20に入力する。
【0024】
音声処理部13は、スピーカ(SP)から出力される音声信号やマイクロフォン(MIC)において入力される音声信号の処理を行う。
すなわち、音声処理部13は、MICから入力される音声を増幅し、アナログ/デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部20に出力する。
また、音声処理部13は、制御部20から供給される音声データに復号化、デジタル/アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してSPに出力する。
【0025】
記憶部14は、制御部20において処理に利用される各種のデータを記憶する。例えば、制御部20が実行するアプリケーションプログラム、通信相手の電話番号や電子メールアドレス等の個人情報を管理するアドレス帳、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、画像ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータなどを保持する。
なお、上記した記憶部14は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(フラッシュメモリ)やランダムアクセス可能な記憶デバイス(SRAM、DRAM)等によって構成される。
【0026】
表示部15は、例えば、液晶表示パネルや有機EL(Electro-Luminescence)パネルなどの表示デバイスを用いて構成されており、制御部20から供給される映像信号に応じた画像を表示する。
表示部15は、例えば、通信部11を介して取得したフラッシュコンテンツを含む画像やや待受け画像等の各種情報や画像を表示する。勿論、発信時における発信先の電話番号、着信時における着信相手の電話番号、受信メールや送信メールの他に、日付、時刻、電池残量といったピクト画像の表示も含まれる。
【0027】
GPSレシーバ16は、GPS衛星から取得される緯度、経度、時間に関する情報を取得し、自装置の現在位置測位のために制御部20へ供給する。また、カメラ17、音声レコーダ18は、制御部20による制御の下で、撮影画像、あるいは集音された音声を制御部20に供給する。
【0028】
第2通信部19は、携帯通信機器30との間で近距離無線通信を行う、例えば、ブルートゥース等の近距離無線通信を実現する通信インタフェースであり、許容電波到達距離によっては無線LAN(Local Area Network)等により代替してもよい。
【0029】
制御部20は、携帯電話の全体的な動作を統括的に制御する。すなわち、携帯電話の各種の処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWeb(World Wide Web)サイトの閲覧などの制御)が操作部12の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各ブロックの動作(第1通信部11における信号の送受信、第2通信部19における信号の送受信、音声処理部13における音声の入出力、表示部15における画像の表示など)を制御する。
制御部20は、記憶部14に格納されたプログラム(オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えており、このプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。すなわち、記憶部14に格納されるオペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0030】
制御部20はまた、電源OFF動作が検出された場合に、第2通信部19と携帯通信機器30(後述する第4通信部32)との間で通信が可能な状況では、第1通信部11を介して所定の連絡先への通信を行い、第2通信部19における携帯通信機器30(第4通信部32)との通信が不可能な状態では電源OFF動作に伴う電源処理(電源OFF処理)を実行する機能を有する。
すなわち、携帯電話の電源をOFFする場合、先に携帯通信機器30の電源をOFFして通信を不能にした状態で電源OFF操作を行うように設定することができ、このことにより、通信が可能な状態ではユーザ以外の第三者によって電源OFF操作が行なわれようとしていると判定して電源OFFを抑制し、所定の通報等を行なえるような構成にしている。
【0031】
このため、制御部20は、その内部構成が機能展開され示されているように、主制御部200と、電源検出部201と、ユーザ認証部202と、位置情報取得部203と、周囲情報取得部204とにより構成される。
なお、これらのブロックが持つ機能は、記憶部14に記憶されるそれぞれのプログラムを制御部20で実行することにより達成されるものであって、制御部20内において実体的に他のブロックと区分され内蔵されるもののみを指すのではなく、あくまで説明の簡略化のために各処理部を分けて表現したものである。
【0032】
主制御部200は、電源OFF動作が検出された場合に、第2通信部19と携帯通信機器30との間で通信が可能な状況では、第1通信部11を介して所定の連絡先への通信を行い、第2通信部19における携帯通信機器30との通信が不可能な状態では電源OFF動作に伴う電源処理を実行する制御部20としての機能を実現するために、電源検出部201と、ユーザ認証部202と、位置情報取得部203と、周囲情報取得部204のシーケンス制御を司る。
電源検出部201は、電池21のON/OFF状態を検知し、また、ユーザ認証部202は、第2通信部19と指定連絡先通信装置40との間で通信が可能な状況で、パスワード入力もしくは生体によるユーザ認証を行う機能を有する。このとき、主制御部200は、ユーザ認証にて認証が不成立の場合に第1通信部11を介して指定連絡先通信装置40への通信を行う。
【0033】
また、位置情報取得部203は、GPSレシーバ16により取得される自装置の現在位置情報を取得して主制御部200へ供給し、これを受けた主制御部200は、指定連絡先通信装置40へ、位置情報取得部203で取得された位置情報を送信する機能を有する。
【0034】
また、周囲情報取得部204は、カメラ17もしくは音声レコーダ18により取得される周囲の画像および音声を取得して主制御部200へ供給し、これを受けた主制御部200は、指定連絡先通信装置40へ、周囲情報取得部204で取得された周囲情報を送信する機能を有する。
【0035】
なお、電池21は、携帯電話を構成する各ブロックに電力を供給する駆動電源であり、ここでは、制御部20にのみ電力を供給するものとして示しているが、実際には、第1通信部11、第2通信部19、操作部12、音声処理部13、記憶部14、表示部15、GPSレシーバ16、カメラ17、音声レコーダ18、制御部20のそれぞれに必要な電力を供給するものである。
【0036】
図3は、本発明の実施の形態に係る携帯通信機器30の内部構成を示すブロック図である。図3に示されるように、携帯通信機器30は、第3通信部31と、第4通信部32と、カメラ33と、音声レコーダ34と、制御部35と、GPSレシーバ36と、電池37とにより構成される、キーホルダーあるいはペンダントサイズの携帯通信機器であり、携帯電話10のユーザにより携帯されるものである。
【0037】
第3通信部31は、基地局50との通信が可能であり、第4通信部32は、他の通信装置(指定連絡先通信装置40)と基地局50を介して通信可能な携帯端末装置(携帯電話)10と近距離通信が可能である。
カメラ33、音声レコーダ34、GPSレシーバ36、電池37については、携帯電話10が有するものと同様であるため、ここでの説明は重複を回避する意味で説明を省略する。
【0038】
制御部35は、内蔵のメモリ(不図示)に記録されたプログラムにしたがい動作し、携帯端末装置(携帯電話)10からの信号が受信できない状態にある場合に、第3通信部31により所定の連絡先(指定連絡先通信装置40)へ通信を行う機能を有する。
このため、制御部35は、その内部構成が機能展開され示されるように、主制御部350と、通信状態検出部351と、位置情報取得部352と、周囲情報取得部353とにより構成される。
【0039】
主制御部350は、携帯端末装置(携帯電話)10からの信号が受信できない状態にある場合に第3通信部31により所定の連絡先へ通信を行う制御部35としての機能を実現するために、上記した通信状態検出部351と、位置情報取得部352と、周囲情報取得部353のシーケンス制御を司る。
【0040】
また、通信状態検出部351は、第4通信部32による携帯端末装置(携帯電話)10との通信状態を判定して主制御部350へ供給し、このとき主制御部350は、通信状態検出部351により携帯端末装置10からの信号が受信できない状態であると判定されると、第3通信部31により所定の連絡先へ通信を行う機能を有する。
【0041】
位置情報取得部352は、GPSレシーバ36を介して受信した信号に基づき自機器の位置情報を取得して主制御部350へ供給し、これを受けた主制御部350は、所定の連絡先(指定連絡先通信装置40)へ位置情報取得部352で取得された位置情報を送信する。
また、周囲情報取得部353は、周囲の状況に関する情報をカメラ33あるいは音声レコーダ34から取得して主制御部350へ供給し、これを受けた主制御部350は、所定の連絡先(指定連絡先通信装置40)へ周囲情報取得部353で取得された周囲情報を送信する。
【0042】
図4は、本発明の実施の形態に係る携帯端末装置(携帯電話10)の動作を示すフローチャートであり、電源OFF時の動作が示されている。
以下、図4に示すフローチャートを参照しながら本発明の実施の形態に係る携帯端末装置の動作としての携帯電話10における電源OFF動作時の制御について詳細に説明する。
【0043】
まず、携帯電話10(制御部20)において、電源検出部201は、電池21による電源供給状態での電源OFF動作(電源スイッチのOFF操作、電池パックの取り外し、で現信号ラインの遮断等)を検知して主制御部200へ通知する(ステップS401)。
ここで、電源OFF動作が検知された場合(ステップS401“Yes”)、主制御部200は、携帯電話10が「通常モード」にあるか「相互通信モード」に有るかを判定する(ステップS402)。
「通常モード」とは、携帯通信機器30との通信に関係なく携帯電話10が制御を行うモードであり、「相互通信モード」とは、携帯通信機器30との通信状況に応じて動作するモードをいう。
【0044】
「相互通信モード」であると判定された場合(ステップS402“Yes”)、主制御部200は、第2通信部19と、携帯通信機器30の第4通信部32との間で通信を試行して通信が可能か否かの判定を行う(ステップS403)。
ここで、携帯電話10の電源OFF操作がなされる前に携帯通信機器30の電源がOFFされた状態、又は第2通信部19を介した携帯通信機器30との近距離無線通信が可能な距離(例えば10m程度)以上に携帯通信機器30と離れている状態にあり、携帯通信機器30からの応答がなく、携帯通信機器30と第2通信部19及び第4通信部32を用いた近距離無線通信ができないと判定された場合(ステップS404“No”)、携帯電話10の電源OFF時の処理を実行する(ステップS405)。
【0045】
一方、ステップS404において、携帯通信機器30との近距離無線通信が可能と判定された場合(S404“Yes”)、主制御部200は、位置情報取得部203を介してGPSレシーバ16にて受信された信号、もしくは基地局50から送信された信号に基づき携帯電話10の位置情報を取得する(ステップS406)。
このとき、主制御部200は周囲情報取得部204経由でカメラ17および音声レコーダ18を起動し、撮影される周囲画像、集音される周囲音声をそれぞれ収録する(ステップS407)。
そして、音声処理部13経由でSPによりブサー音を発し、あるいは振動等により警告を発する(ステップS408)。更に、主制御部200は、表示部15に暗証番号入力画面を表示してユーザに対し操作部12を操作することによる暗証番号の入力を促し、ユーザ認証部202で認証処理を行う。暗証番号認証によらず生体認証でもよい。
【0046】
ここで、認証が不成立の場合(ステップS409“No”)、主制御部200は、先に取得した位置情報と周囲情報を添付したメッセージを生成して所定の宛先(指定連絡先通信装置40)へ第1通信部11を介してメール送信する(ステップS410)。そして、電源OFF処理を抑制する(ステップS411)。
このとき、電源OFF処理の実行を禁止するが、画面表示のみOFFしてもよい。なお、電池21(パック)が外される場合にも同様の処理を行うことができ、電池21が取り外される前に行われるバッテリーリッド(電池収納蓋)の取り外しが検出されるとステップS401にて電源OFF動作ありと判断すればよい。この場合、携帯通信機器30との通信状況に関係なく所定の宛先へ各種情報をメールで送信するようにしてもよい。また、認証が成立した場合は(ステップS409“Yes”)、携帯電話10の電池21をOFFして電源OFF時の処理を実行する(ステップS405)。
【0047】
なお、図4に示すフローチャートによれば、携帯端末装置(携帯電話10)が、指定連絡先通信装置40に対し、位置情報と周囲情報を添付したメールを送信するものとして説明したが、指定連絡先通信装置40情報発信する他に、携帯電話10の機能制限を行うことも可能である。
例えば、発呼、メール送受信、TV視聴、データフォルダ参照、電話帳参照、音楽再生機能の実行にロックをかけ、パスワード入力による認証が成立したところでロックを解除することも考えられる。
このように、携帯通信機器30と通信可能な状態において携帯電話10の電源OFF動作(OFF操作や電池の取り外し動作など)が行われると、所定の宛先への連絡が行われる構成であるため、事前に携帯通信機器30の電源をOFFとした上で携帯電話10の電源OFF動作を行うように設定しておくことにより、正規のユーザではない第3者によって携帯通信機器30の電源が事前にOFFされることなく携帯通信機器30との通信が可能な状態で携帯電話10の電源OFF動作が行われた場合には、異常な状態であると判定して、所定の宛先に連絡されるので、連絡を受けた所定の宛先において携帯電話10での異常状態を認知することができ、状況に応じた対応を行うことができる。
なお、携帯通信機器30は、電源がOFFされた場合に、第4通信部32を介して携帯電話10に電源OFF状態を示す信号を送信するように構成してもよく、この場合、携帯電話10の主制御部200は、電源OFF動作が実行された場合に、携帯通信機器30からの電源OFF信号を受信しているかを検出し、電源OFF信号を受信している、即ち携帯通信機器30が事前に電源OFFされていると判定すると、電源OFF動作に伴う電源処理を実施するようにしてもよい。反対に、携帯通信機器30からの電源OFF信号を受信していないと判定した場合には、携帯通信機器30と通信が不可能な状態であっても、異常な電源OFF動作と判断し、同様に所定の宛先に連絡するように構成してもよい。
【0048】
また、上記した携帯端末装置(携帯電話10)はもとより、携帯通信機器30自身も同様、携帯通信機器30自身がGPS通信機能(あるいは、カメラ、音声レコーダ)を有するため、携帯電話10の電源が切られあるいは破壊されても、携帯通信機器30は、携帯電話10との近距離無線通信ができない状態にあると判定すると、位置情報および周囲情報を収集して指定連絡先通信装置40へ情報発信することができ、このため、携帯端末装置10単体で上記機能を持つよりも安心である。
即ち、本実施形態における携帯端末装置(携帯電話)10と携帯通信機器30とは、第2通信部19と第4通信部32とを用いて相互に近距離無線通信が可能な構成となっているため、この両者間での通信状態に応じて携帯端末装置(携帯電話)10と携帯通信機器30との少なくとも一方が所定の連絡先(指定連絡先通信装置40)へ情報を送信することができる。
【0049】
この通信状態に応じた所定の連絡先への情報発信についての処理について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。なお、ここでは携帯通信機器30での情報発信制御について説明するが、携帯電話10においても同様の制御が行われる。
まず、携帯通信機器30の制御部35は、第4通信部32による携帯電話10(第2通信部19)との近距離無線通信による通信状態を検出する(ステップS501)。ここでは、携帯電話10の第2通信部19から定期的に送信される無線信号を受信できているか、又は第4通信部32を介して携帯電話10に向けて送信した無線信号に対して携帯電話10から返送される応答信号を受信したかを検出する。そして、この検出結果に基づき、携帯電話10と近距離無線通信による通信が可能な状態であるか否かを判定する(ステップS502)。そして、携帯電話10と通信可能な状態であると判定した場合、ステップS501に戻る。
ステップS502にて、携帯電話10と通信可能な状態ではないと判定されると、ステップS503に進み、タイマーなどを用いてステップS502の判定からの経過時間を計測し、所定時間が経過した時点での通信状態をステップS501と同様に検出する。そして、この検出結果に基づき、携帯電話10と近距離無線通信による通信が可能な状態であるか否かを再判定する(ステップS504)。そして、携帯電話10と通信可能な状態であると判定した場合、ステップS501に戻る。
ステップS504にて、携帯電話10と近距離無練通信による通信が可能な状態ではないと判定されると、ステップS505に進み、主制御部350は、位置情報取得部352を介してGPSレシーバ36にて受信された衛星からの信号、もしくは基地局から送信されて受信した信号に基づき携帯通信機器30の位置情報を取得する(ステップS505)。
また、ステップS506にて、主制御部350は、周囲情報取得部353にてカメラ33および音声レコーダ34を起動し、撮影される周囲画像、集音される周囲音声を収録する。
そして、ステップS507において、主制御部350は、先に取得した位置情報と周囲情報とを添付したメッセージを生成して所定の宛先(指定連絡先通信装置40)へ第3通信部31を介してメール送信する。また、ステップS508にて、主制御部350は、図示しないブザーやバイブモータを作動させることにより、携帯電話10のユーザ(携帯通信機器30の携帯者)に警告を発した後に、終了する。
【0050】
このように、携帯通信機器30は、携帯電話10と近距離無線通信による通信ができない状態であると判定すると、所定の連絡先に連絡を行うこととなり、携帯電話10が盗難などによってユーザから引き離されたり、携帯電話10の電源がOFF動作されたりした場合には、携帯通信機器30から所定の連絡先へ位置情報や周囲情報を含む連絡が行われるので、この連絡先では、異常状態(携帯電話10と携帯通信機器30とが通信できない状態)を認知することができ、状況に応じた対応をとることができる。また、ブザーやバイブモータを作動させることにより、携帯電話10のユーザ(携帯通信機器30の携帯者)に警告が発せられるので、当該ユーザは、携帯電話10が離れた位置にある、又は携帯電話10の電源がOFFとされたことを認識することができ、それに対応した行動を実施することができる。
【0051】
なお、携帯電話10においても、携帯通信機器30と同様に、第2通信部19を用いた近距離無線通信での携帯通信機器30との通信状態を検出して、通信不可能な状態であると判定すると、所定の連絡先(指定連絡先通信装置40)へ位置情報や周囲情報を含むメールを送信するように構成されている。この場合にも、この連絡先では、異常状態(携帯電話10と携帯通信機器30とが通信できない状態)を認知することができ、状況に応じた対応をとることができる。また、ブザーやバイブモータを作動させたり、表示部15に警告画面を表示させるたりすることにより、携帯電話10を所持している者に警告を発することができる。なお、携帯電話10を所持しているものは正規のユーザとは異なる場合があるので、携帯電話10での警告は行わないようにすることも可能である。
また、携帯電話10や携帯通信機器30の何れかでの電池残量が少なくなり、両者間での近距離無線通信が不可能となる場合には、電池残量が少なくなった一方から他方に向けて電池残量の減少に伴い通信不可能となることを示す信号を送信するように構成し、電池残量や当該信号の受信によって通信不可能状態と判定された場合には、異常状態とは認知せず、所定の宛先への連絡は行わないようにしてもよい。
【0052】
なお、上記した携帯通信機器30は、キーホルダーやペンダント大であって、容易に身につけることが可能なものを想定している。携帯通信機器30は、携帯電話10との間で定期的(5〜10分程度)に近距離無線通信による送受信を行い、送受信可能であると判定された場合、ユーザが近くにいることとなるため安全であると判定し、送受信が不可能であれば、携帯通信機器30(携帯電話10の正規のユーザ)が携帯電話10の近くにいないことになるため異常と判定する。
この場合、携帯電話10を置忘れたか、電源が切られたか、電池切れか、あるいは誘拐等、身に危険が起こったことが考えられる。電池切れの場合を除き、いずれも早急に指定連絡先通信装置40に通知する必要がある。このため、携帯電話10からの送信を携帯通信機器30が受信出来ない状況が続くようであれば身の危険の可能性があるとして上記の手順で情報を収集し、指定連絡先通信装置40への通知が可能になる。
【0053】
以上説明のように本発明の実施の形態に係る通信システムによれば、携帯端末装置(携帯電話10)と携帯通信機器30との通信状況に応じて携帯端末装置ユーザの状況を推測して携帯端末装置の制限を行い、あるいは他の通信装置への通知を行うことが可能になる。また、本発明の実施の形態に係る携帯通信機器によれば、携帯端末装置の電源を切られ、あるいは破壊されても、携帯通信機器30がGPS等により位置情報を受信し、本人、及び指定連絡先通信装置40へ情報発信するため、携帯端末装置単体で持つ機能よりも安心である。
また、携帯通信機器30は、小型であるため、携帯電話に比べて犯人に見つかりづらく、また、軽量で容易に身につけることが可能なサイズで構成されるため、本人の負担がほとんど無く持ち歩くことができる。なお、防犯に限らず、携帯電話10を置き忘れた場合にも早期発見が可能になる。また、携帯通信機器30にGPSを搭載することで、携帯通信機器30自身を置き忘れた場合にも携帯通信機器30を探すことが容易になる。
【0054】
なお、本発明の実施形態に係る携帯端末装置として携帯電話10のみ例示したが、同様の構成を有する、例えば、PDA(Personal Digital Assistants)、や電子手帳、ゲーム機等に搭載される場合も同様に適用が可能である。
また、図2、図3に示す制御部20、35が有する機能は、全てをソフトウェアによって実現しても、あるいはその少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。例えば、携帯端末装置の主制御部200、携帯通信機器の主制御部350におけるデータ処理は、1または複数のプログラムによりコンピュータ上で実現してもよく、また、その少なくとも一部をハードウェアで実現してもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…携帯電話(携帯端末装置)、30…携帯通信機器、11…第1通信部、12…操作部、13…音声処理部、14…記憶部、15…表示部、16…GPSレシーバ、17…カメラ、18…音声レコーダ、19…第2通信部、20…制御部、21…電池、31…第3通信部、32…第4通信部、33…カメラ、34…音声レコーダ、35…制御部、36…GPSレシーバ、37…電池、40…指定連絡先通信装置、50…基地局、200…主制御部、201…電源検出部、202…ユーザ認証部、203…位置情報取得部、204…周囲情報取得部、350…主制御部、351…通信状態検出部、352…位置情報取得部、353…周囲情報取得部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局との通信が可能な第1通信部と、
他の通信装置と基地局を介して通信可能な携帯端末装置と近距離通信可能な第2通信部と、
前記第2通信部による前記携帯端末装置との通信状態を判定する通信状態判定部と、
前記通信状態判定部により前記携帯端末装置との通信ができない状態であると判定されると、前記第1通信部により所定の連絡先へ通信を行う通信制御部と、
を有することを特徴とする携帯通信機器。
【請求項2】
自機器の位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記通信制御部は、
前記所定の連絡先へ前記位置情報取得部で取得された前記位置情報を送信する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯通信機器。
【請求項3】
周囲の状況に関する情報を取得する周囲情報取得部を備え、
前記通信制御部は、
前記所定の連絡先へ前記周囲情報取得部で取得された前記周囲情報を送信する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−151892(P2012−151892A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−66761(P2012−66761)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【分割の表示】特願2007−178658(P2007−178658)の分割
【原出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】