説明

携帯端末装置及びプログラム

【課題】データを保管する際にそのデータの種別に合わせた最適な保管先にデータを確実に保管できるようにする。
【解決手段】携帯電話装置1は、データ内にその属性を特定するための情報が含まれているか否か、あるいは会社サーバ3側の許可テーブルAMに存在しているデータであるか否かなどに基づいてデータ種別を判別すると共に、この判別の結果、データ属性を特定するための情報が含まれている場合には、会社サーバ3側をデータの保管先として決定し、この会社サーバ3に対してデータを送信して保管させる処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データを保管させるための保管処理を実行可能な携帯端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、携帯電話などの携帯端末装置にあっては、データ漏洩の防止や個人データの保護などに対するセキュリティ対策として、データを端末装置自体に保管するのではなく、ネットワークを介して外部装置(ネットワーク側のサーバ)にアップロードすることによって、このデータを当該サーバ上で保管させるようにしたシンクライアントシステムが知られている。このようなシンクライアントシステムは、主に会社用のデータのように秘匿なデータの管理に適しており、会社関連のビジネスデータは、ローカルの端末装置側では保管せず、全て会社ネットワーク側のサーバに保管させるようにしている(特許文献1参照)。そして、上述した先行技術にあっては、更新したデータを保管する際に、サーバとの通信接続が可能なネットワーク環境に居れば、そのデータを当該サーバに送信して保管させるが、ネットワーク環境に居なければ、やむを得ず、ローカル側である端末装置内にそのデータを一時的に保管させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−77600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述のようなシンクライアントシステムに使用される携帯端末装置(シンクライアント端末)にあっては、公衆回線に繋がる一般の携帯電話としても利用可能なマルチ機能端末(マルチ端末)であることが要望されており、そのようなマルチ端末では会社用のデータに限らず、プライベート用のデータにも利用可能になるはずである。しかし、このようなマルチ端末が会社ネットワークに接続可能なエリア内に居る場合、その端末で更新したデータは、それが会社用のデータであろうがプライベート用のデータであろうが、会社内ネットワーク側のサーバ、公衆回線ネットワーク側のサーバ、自己の端末装置内の記憶エリア(ローカルメモリ)のいずれの場所にも保管できるようになってしまうため、データの保管先をユーザ自身が選択しなければならない、という面倒があった。また、そのデータがビジネス用のデータの場合、ユーザによる保管先の選択の仕方によっては、そのデータが公衆回線ネットワーク側のサーバに保管されたり、端末装置内の記憶エリア(ローカルメモリ)に保管されたりする可能性があり、本来ならば会社内でのみ利用されるべきビジネス用のデータが外部に漏洩してしまうという危険性もあった。
【0005】
本発明の課題は、データを保管する際にそのデータの種別に合わせた最適な保管先にデータを確実に保管できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために請求項1記載の発明は、データを保管させるための保管処理を実行可能な携帯端末装置であって、データを保管する際に、そのデータのデータ種別を判別する判別手段と、この判別手段によって判別されたデータ種別に応じて当該データの保管先を決定する決定手段と、この決定手段によって決定された保管先に前記データを保管させるためのデータ保管処理を行う保管処理手段と、を具備したことを特徴とする。
【0007】
請求項1に従属する発明として、ネットワークを介して外部装置との間でデータ通信を行う通信手段を更に備え、前記判別手段は、データ内にその属性を特定するための情報が含まれているか否かに基づいてデータ種別を判別し、前記決定手段は、前記判別手段によってデータ属性を特定するための情報が含まれていると判別された場合に、前記外部装置側をデータの保管先として決定し、前記保管処理手段は、前記決定手段によって保管先として決定された外部装置に対してデータを送信して保管させる処理を行う、ようにしたことを特徴とする請求項2記載の発明であってもよい。
【0008】
請求項1に従属する発明として、ネットワークを介して外部装置との間でデータ通信を行う通信手段を更に備え、前記判別手段は、前記外部装置側あるいは外部端末装置側から許可されたデータか否かに基づいてデータ種別を判別し、前記決定手段は、前記判別手段によって前記外部装置側あるいは外部端末装置側で許可されたデータであると判別された場合に、当該外部装置側をデータの保管先として決定し、前記保管処理手段は、前記決定手段によって保管先として決定された外部装置に対してデータを送信して保管させる処理を行う、ようにしたことを特徴とする請求項3記載の発明であってもよい。
【0009】
請求項1に従属する発明として、前記データは、メールアドレスデータであり、前記判別手段は、そのメールアドレスに含まれているドメインに基づいてそのメールアドレスの種別を判別する、ようにしたことを特徴とする請求項4記載の発明であってもよい。
【0010】
請求項1に従属する発明として、ネットワークを介して外部装置との間でデータ通信を行う通信手段を更に備え、前記判別手段は、前記外部装置側から取得したデータを元にして更新したデータか否かに基づいてそのデータのデータ種別を判別し、前記決定手段は、前記判別手段によって前記外部装置側から取得したデータであると判別された場合には、当該外部装置側をデータの保管先として決定し、前記保管処理手段は、前記決定手段によって保管先として決定された外部装置に対してデータを送信して保管させる処理を行う、ようにしたことを特徴とする請求項5記載の発明であってもよい。
【0011】
請求項1に従属する発明として、前記判別手段は、データがセキュリティ設定されたデータか否かに基づいてそのデータのデータ種別を判別し、前記決定手段は、前記判別手段によってセキュリティ設定されたデータであるか否かに応じてそのデータの保存先を決定する、ようにしたことを特徴とする請求項6記載の発明であってもよい。
【0012】
また、上述した課題を解決するために請求項7記載の発明はコンピュータに対して、データを保管する際に、そのデータのデータ種別を判別する機能と、前記判別されたデータ種別に応じて当該データの保管先を決定する機能と、前記決定された保管先に前記データを保管させるためのデータ保管処理を行う機能と、を実現させるためのプログラムを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、データを保管する際にそのデータの種別に合わせた最適な保管先にデータを確実に保管することができ、安全性と利便性を併せ持つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】携帯端末装置として適用した携帯電話装置が利用可能なネットワークシステムを示したブロック図。
【図2】携帯電話装置1の基本的な構成要素を示したブロック図。
【図3】電源ON(オン)に応じて実行開始される携帯電話装置1の全体動作の概要を示したフローチャート。
【図4】図3に続く動作を示したフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図1〜図4を参照して本発明の実施形態を説明する。
本実施形態は、携帯端末装置として携帯電話装置に適用した場合を例示したもので、図1は、この携帯電話装置が利用可能なネットワークシステムを示したブロック図である。
携帯電話装置1は、無線LAN(ローカルエリアネットワーク)モジュール(無線通信機能)が搭載され、構内(会社)ネットワーク(無線LAN)2に接続可能となっている。この会社内の複数箇所に設置されているアクセスポインタ2Aのうち、携帯電話装置1と最寄りのアクセスポインタ2Aとの間で高速無線通信を行うことによってその会社サーバ(構内サーバ)3に接続された場合に、携帯電話装置1は、会社サーバ3側の構内データベースDBに対して自己のデータ(例えば、ビジネス用のデータなど)をアップロードしたり、会社サーバ3側の構内データベースDBから自己のデータをダウンロードしたりするシンクライアント端末として機能するようになっている。
【0016】
また、携帯電話装置1は、構外の公衆移動体通信網(公衆無線回線)である公衆ネットワーク4に接続可能となっており、最寄りの基地局や交換機(図示省略)を介して公共サーバ(通信事業者用のサーバ)5に接続された場合に、他の携帯電話装置(図示省略)との間で通話が可能となるほか、この公衆ネットワーク4内の公共サーバ5側に対して自己のデータ(例えば、プライベート用のデータなど)をアップロードしたり、公共サーバ5側から自己のデータをダウンロードしたりするシンクライアント端末として機能するようになっている。
【0017】
このようなネットワーク環境においては、会社ネットワーク2から公衆ネットワーク4側の公共サーバ5をアクセスしたり、公衆ネットワーク4を介して会社ネットワーク2側の会社サーバ3をアクセスしたりすることが可能となっている。なお、会社サーバ3、公共サーバ5は、携帯電話装置1に対して外部装置となる。また、携帯電話装置1は、公衆ネットワーク4を介して他の携帯電話装置(図示省略)との間で通話可能な状態や電子メールの送受信可能な状態となり、また、携帯電話装置1は、図示しないインターネットに接続されると、Webサイトの閲覧可能な状態や電子メールの送受信可能な状態となる。
【0018】
会社サーバ3側の構内データベースDBには、サーバ側セキュリティフォルダSSF、サーバ側一般フォルダSUB、許可テーブルAMなどが設けられている。サーバ側セキュリティフォルダSSFは、携帯電話装置1側からのダウンロード要求時にセキュリティ対策としてユーザ認証(例えば、パスワード認証)の結果、正当なユーザであることを条件に、ダウンロードが許可されるデータを保管するデータフォルダである。このサーバ側セキュリティフォルダSSF内に保管されている各データには、セキュリティ管理の対象であることを示すための“セキュリティフラグ”が設定されている。サーバ側一般フォルダSUBは、携帯電話装置1側からのダウンロード要求時に上述のようなユーザ認証を必要とせずに、何時でも自由にダウンロードが可能なデータを保管するデータフォルダである。
【0019】
ここで、サーバ側セキュリティフォルダSSF、サーバ側一般フォルダSUBに保管される各データは、例えば、会社業務に関係するデータとして、ビジネス用のアドレス帳データ、スケジュール表データなどであり、携帯電話装置1側から一定の条件下で会社サーバ3側にアップロードされて保管されたデータである。携帯電話装置1は、データを保管する際に、そのデータの種別を判別すると共に、このデータ種別に応じて当該データの保管先を決定し、この保管先にデータを保管させるための保管処理を行うようにしている。この場合、携帯電話装置1は、データを保管する際に、そのデータは会社サーバ3側からダウンロードしたデータであるか否かに基づいてそのデータの種別を判別するようにしている。
【0020】
例えば、携帯電話装置1は、アドレス帳データを保管する際に、このアドレス帳データを構成するメールアドレス内のドメイン(その属性を特定するための情報)が、予め登録されている登録ドメインと一致するか否かに基づいてそのアドレス帳データの種別を判別するようにしている。ここで、アドレス帳データに上述の登録ドメインが含まれていれば、当該アドレス帳データを会社サーバ3側に保管させるために、会社サーバ3側をデータの保管先として決定し、当該データを会社サーバ3に対してアップロード送信して保管させる処理を行うようにしている。ここで、上述の登録ドメインは、例えば、特定会社を示すドメインで、会社サーバ3側への保管を許可するための許可データである。
【0021】
また、携帯電話装置1は、データの種別を判別した際に、上述の登録ドメイン(許可データ)が含まれていないデータであっても、許可テーブルAMの内容に合致するデータであれば、会社サーバ3側をデータの保管先として決定し、当該データをアップロード送信して保管させる処理を行うようにしている。許可テーブルAMは、例えば、メールアドレスのドメインが特定会社を示すドメインで無くても、会社の上司などによって予め許可された会社や個人を示すドメインであれば、そのメールアドレスを含むアドレス帳データを会社サーバ3側に保管させることを許可するようにしている。このように携帯電話装置1は、データを保管する際に、そのデータは会社サーバ3側からダウンロードしたデータであるか、そのデータに許可データ(登録ドメイン)が含まれているか、そのデータは会社サーバ3側の許可テーブルAMに存在しているデータであるかに応じてデータの種別を判別するほか、セキュリティフラグが設定されているか否かに応じてデータの種別を判別するようにしている。
【0022】
図2は、携帯電話装置1の基本的な構成要素を示したブロック図である。
携帯電話装置1は、例えば、通話機能、電子メール機能、インターネット接続機能(Webアクセス機能)、スケジュール管理機能などが備えられている。CPU11は、記憶部12内の各種のプログラムに応じてこの携帯電話装置1の全体動作を制御する中核的な中央演算処理装置である。記憶部12は、内部メモリであり、図示しないが、プログラム領域とデータ領域とを有し、このプログラム領域には、後述する図3及び図4に示す動作手順に応じて本実施形態を実現するためのプログラムが格納されている。
【0023】
また、記憶部12のデータ領域には、端末側セキュリティフォルダTSF、端末側一般フォルダTUBなどが設けられている。端末側セキュリティフォルダTSFは、セキュリティ対策としてユーザ認証(例えば、パスワード認証)の結果、正当なユーザであることを条件に、そのアクセスが許可されるデータを保管するデータフォルダである。この端末側セキュリティフォルダTSF内の各データには、セキュリティ管理の対象であることを示すための“セキュリティフラグ”が設定されている。端末側一般フォルダTUBは、上述のようなユーザ認証を必要とせずに、何時でも自由にアクセスが可能なデータを保管するデータフォルダである。ここで、端末側セキュリティフォルダTSF、端末側一般フォルダTUBに保管される各データは、例えば、私用データとしてのアドレス帳データ、スケジュール表データなどである。
【0024】
メモリ13は、この携帯電話装置1が動作するために必要な各種のデータを一時退避するためのワークエリア13aを有すると共に、会社ネットワーク2を介して会社サーバ3からダウンロードされたデータを一時保存する一時メモリ13bを有している。なお、図示省略したが、ワークエリア13aには会社サーバ3側にアップロードするデータを一時保存するための記憶エリアが設けられている。すなわち、上述したサーバ側セキュリティフォルダSSFにアップロードする各データを一時保存するためのセキュリティ記憶エリアと、上述したサーバ側一般フォルダSUBにアップロードする各データ一時保存するための一般記憶エリアが設けられている。
【0025】
記録メディア14は、着脱自在な可搬型メモリで、例えば、SDカード、ICカードなどによって構成されている。電話通信部15は、図示しない無線部、ベースバンド部、多重分離部などを備え、例えば、通話機能(音声電話機能)、電子メール機能、インターネット接続機能の動作時に最寄りの基地局(図示せず)との間でデータの送受信を行う電話通信手段で、通話機能の動作時にはベースバンド部の受信側から信号を取り込んで受信ベースバンド信号に復調したのち、音声信号処理部16を介して通話用スピーカSPから音声出力させ、また、通話用マイクMCからの入力音声データを音声信号処理部16から取り込み、送信ベースバンド信号に符号化したのち、ベースバンド部の送信側に与えてアンテナから発信出力させる。
【0026】
操作部17は、ダイヤル入力、文字入力、コマンド入力などを行うもので、CPU11は、操作部17からの入力信号に応じた処理を実行する。表示部18は、例えば、高精細液晶あるいは有機ELを使用し、待受画像、アドレス帳データなどを表示する。無線LANモジュール19は、無線LAN通信機能を構成し、高速無線通信が可能なもので、例えば、使用周波数が2.4GHz帯で通信速度が最大11Mビット/秒の規格のものを使用している。CPU11は、新規作成あるいは訂正などの更新を行ったデータを保管する際に、無線LANモジュール19をアクセスして特定構内(会社内)に居るか否かを判別すると共に、この判別結果に基づいて会社ネットワーク2側の会社サーバ3をデータ保管先として決定し、この会社サーバ3に対してデータをアップロード送信して保管させるようにしている。
【0027】
次に、この実施形態における携帯電話装置1の動作概念を図3及び図4に示すフローチャートを参照して説明する。ここで、これらのフローチャートに記述されている各機能は、読み取り可能なプログラムコードの形態で格納されており、このプログラムコードにしたがった動作が逐次実行される。また、ネットワークなど伝送媒体を介して伝送されてきた上述のプログラムコードに従った動作を逐次実行することもできる。すなわち、記録媒体のほかに、伝送媒体を介して外部供給されたプログラム/データを利用して本実施形態特有の動作を実行することもできる。
【0028】
図3及び図4は、電源ON(オン)に応じて実行開始される携帯電話装置1の全体動作の概要を示したフローチャートである。
先ず、CPU11は、無線LANモジュール19を介して会社ネットワーク2をアクセス可能か否かに応じて構内(会社内)に居るか否かを判別し(図3のステップS1)、電源ON時に会社構内に居なければ(ステップS1でNO)、何らかのアプリケーションの起動を指示する操作が行われたり(ステップS3)、電源OFF(オフ)操作が行われたりするまで操作待ち待機状態となる(ステップS4)。
【0029】
また、電源ON時に会社構内に居る場合には(ステップS1でYES)、会社ネットワーク2との回線接続を確立し、会社サーバ3側の構内データベースDBからダウンロードされた必要データを一時メモリ13bに一時保存したのち(ステップS2)、操作待ち状態となる(ステップS3、S4)。この場合、会社サーバ3は、ダウンロード要求されたデータがサーバ側セキュリティフォルダSSFに記憶されているデータであれば、上述したように、ユーザ認証(例えば、パスワード認証)の結果、正当なユーザであることを条件にそのダウンロードを許可して、要求されたデータ(例えば、ビジネス用のアドレス帳データやスケジュール表データなど)を要求元の携帯電話装置1に対して送信する。
【0030】
携帯電話装置1での操作待ち状態において、何らかのアプリケーションの起動を指示する操作が行われたときには(ステップS3でYES)、そのアプリケーション処理に必要となる対応データをダウンロード済みであるか否かを調べる(ステップS5)。例えば、アドレス帳アプリケーションの起動が指示された場合にはアドレス帳データ、また、スケジュール表アプリケーションの起動が指示された場合にはスケジュール表データがダウンロード済みであるかを調べる。いま、アプリケーション処理に必要なデータ(対応データ)がダウンロード済みでなければ、つまり、アプリケーションの起動時に会社構内に居なければ(ステップS5でNO)、端末内データ、つまり、携帯電話装置1側に記憶管理されているデータ(アドレス帳データ、スケジュール表データ)を読み出して一覧表示させる(ステップS6)。
【0031】
また、必要な対応データをダウンロード済みであれば(ステップS5でYES)、このダウンロード済みのデータ(例えば、アドレス帳データ又はスケジュール表データ)と、端末内データ(アドレス帳データ又はスケジュール表データ)とをマージしたデータを作成して一覧表示させる(ステップS7)。例えば、アドレス帳アプリケーションが起動された場合に、ダウンロード済みデータとしてのアドレス帳データが「名前」、「電話番号」、「メールアドレス」、…からなり、端末内データとしてのアドレス帳データが「名前」、「電話番号」、「メールアドレス」、「その他の電話番号」、「その他のメールアドレス」…からなるものとすると、同一のキー(例えば、名前)を持ったデータ同士をマージする。これによってマージされたデータは、「名前」、「電話番号」、「メールアドレス」、「その他の電話番号」、「その他のメールアドレス」…からなり、このマージされたデータを表示用データとして一覧表示させる。なお、同一のキーを持ったデータ同士が何組も存在している場合には、1組毎に同一のキーを持ったデータ同士をそれぞれマージするようにしている。
【0032】
このような一覧画面が表示されている状態において、そのアプリケーションに関するデータ処理として、例えば、アドレス帳データの新規作成・編集処理に移る(ステップS8)。この場合、新規作成されたデータを追加登録したり、既存のデータ内容を修正したり、削除したり、新たなフィールドデータを追加したりするなどの編集処理が行われる。このような新規作成・編集処理に応じて端末側セキュリティフォルダTSF、端末側一般フォルダTUBの内容が更新される。その後、ユーザ操作によってデータ処理の終了(新規作成、編集処理の終了)が指示されると(ステップS9でYES)、上述の操作待ち状態に戻る(ステップS3、S4)。
【0033】
また、電源OFF操作が行われた場合には(ステップS4でYES)、図4のフローに移り、上述のデータ処理によって新規データの追加あるいは修正などのデータ変更が行われたかを調べ(ステップS10)、新規追加及びデータ変更が無ければ(ステップS10)、この図3のフローの終了となるが、新規追加あるいはデータ変更が有れば(ステップS10でYES)、新規追加あるいはデータ変更されたデータの中から1つのデータを指定したのち(ステップS11)、この指定データは、会社サーバ3側からダウンロードしたデータであるか、つまり、会社サーバ3から取得したデータを元にして更新したデータか否かに基づいてそのデータの種別を判別する(ステップS12)。
【0034】
いま、指定データが会社サーバ3側から取得したデータを元にして更新したデータであれば、つまり、会社サーバ3側からダウンロードしたデータであれば(ステップS12でYES)、この指定データの保管先として、会社サーバ3を決定し、会社サーバ3に当該データをアップロードするための準備に移る(ステップS16〜S18)。すなわち、指定データに“セキュリティフラグ”が設定されているか否かを調べ(ステップS16)、“セキュリティフラグ”が設定されていれば、この指定データをワークエリア13a内のセキュリティ記憶エリアに一時保存し(ステップS17)、“セキュリティフラグ”が設定されていなければ(ステップS16でNO)、この指定データをワークエリア13a内の一般記憶エリアに一時保存する(ステップS18)。そして、次のステップS19に移り、新規追加あるいは変更された未指定の他のデータが有るかを調べ、未指定の他のデータが有れば、上述のステップS11に戻って当該データを指定したのち、以下、上述と同様の動作を行う。
【0035】
また、指定データが会社サーバ3側から取得したデータを元にして更新したデータでなければ、つまり、会社サーバ3側からダウンロードしたデータでなければ(ステップS12でNO)、指定データに、上述した許可データ(登録ドメイン)が含まれているか否かを調べ(ステップS13)、指定データに許可データ(登録ドメイン)が含まれていれば(ステップS13でYES)、この指定データの保管先として会社サーバ3を決定し、会社サーバ3に当該データをアップロードするための準備に移る(ステップS16〜S18)。また、指定データに許可データ(登録ドメイン)が含まれていなければ(ステップS13でNO)、この指定データは会社サーバ3側の許可テーブルAMに記憶されているデータに合致するデータであるか否かの問い合わせを会社サーバ3に対して行う(ステップS14)。ここで、会社サーバ3では、携帯電話装置1からの問い合わせに応じて許可テーブルAMを参照し、この許可テーブルAMに存在するデータであることを条件に許可応答を問い合わせ先の携帯電話装置1に対して行う。
【0036】
携帯電話装置1は、会社サーバ3からの許可応答の有無を調べ(ステップS15)、許可応答を受信した場合には(ステップS15でYES)、この指定データの保管先として会社サーバ3を決定し、会社サーバ3に当該データをアップロードするための準備に移るが(ステップS16〜S18)、許可応答が無ければ、次のステップS19に移る。すなわち、指定データが会社サーバ3側からダウンロードしたデータでなく(ステップS15でNO)、そのデータに上述の登録ドメインが含まれておらず(ステップS13でNO)、しかも、許可テーブルAMにも存在しないデータであれば(ステップS15でNO)、次のステップS19に移る。以下、新規追加あるいは変更されたデータを全て指定し終わるまで上述のステップS11に戻る。
【0037】
以下、上述と同様の動作を行うことによって、新規追加あるいは変更されたデータを全て指定し終わったときには(ステップS19でNO)、ワークエリア13a内のセキュリティ記憶エリアあるいは一般記憶エリア内に一時保存されているデータが有るかを調べ(ステップS20)、セキュリティ記憶エリアあるいは一般記憶エリア内に一時保存されているデータが無ければ(ステップS20でNO)、ダウンロードデータを一時保存している一時メモリ13bの内容を全て削除したのち(ステップS24)、このフローの終了となる。
【0038】
一方、ワークエリア13a内のセキュリティ記憶エリアあるいは一般記憶エリア内に一時保存されているデータが有れば(ステップS20でYES)、このセキュリティ記憶エリア、一般記憶エリアの内容を会社サーバ3側にアップロード送信する(ステップS21)。そして、この一時保存されているデータに基づいて、対応する端末側セキュリティフォルダTSF、端末側一般フォルダTUBの内容を更新前の状態に戻すデクリメント処理を行ったのち(ステップS22)、ワークエリア13a内のセキュリティ記憶エリア、一般記憶エリアの内容を全て削除すると共に(ステップS23)、ダウンロードデータを一時保存している一時メモリ13bの内容を全て削除する(ステップS24)。この場合、会社サーバ3側では、携帯電話装置1からアップロードされたデータに基づいて対応するサーバ側セキュリティフォルダSSF、サーバ側一般フォルダSUBの内容を更新する処理を行う。
【0039】
以上のように、この実施形態において携帯電話装置1は、データを保管する際に、そのデータ種別に応じて当該データの保管先を決定し、この保管先にデータを保管させるようにしたので、データの種別に合わせた最適な保管先にデータを確実に保管することができ、安全性と利便性を併せ持つことができる。
【0040】
携帯電話装置1は、データ内にその属性を特定するための情報が含まれているか否かに基づいてデータ種別を判別すると共に、この判別の結果、データ属性を特定するための情報が含まれている場合には、会社サーバ3側をデータの保管先として決定するようにしたので、データの属性別に保管先を振り分けることができる。
【0041】
会社サーバ3側から許可されたデータ、つまり、会社サーバ3側の許可テーブルAMに存在しているデータであるか否かに基づいてデータ種別を判別し、許可されたデータであれば、会社サーバ3側をデータの保管先として決定するようにしたので、会社サーバ3側から許可されたデータか否かに応じて保管先を振り分けることができる。
【0042】
メールアドレスデータに含まれているドメインに基づいてそのメールアドレスの種別を判別するようにしたので、例えば、アドレス帳データなどを構成するメールアドレス内のドメインが予め登録されている登録ドメインである否かに基づいてデータの種別を判別し、登録ドメインが含まれていれば、会社サーバ3側をデータの保管先として決定することができる。
【0043】
会社サーバ3側から取得したデータを元にして更新したデータか否かに基づいてそのデータ種別を判別するようにしたので、会社サーバ3側から取得したデータか否かに応じて保管先を振り分けることができる。
【0044】
データがセキュリティ設定されたデータか否かに基づいてそのデータのデータ種別を判別するようにしたので、セキュリティ設定されたデータか否かに応じて保管先を振り分けることができる。
【0045】
なお、上述した実施形態においては、会社サーバ3側から許可されたデータか否かに基づいてデータ種別を判別し、許可されたデータであれば、会社サーバ3側をデータの保管先として決定するようにしたが、会社サーバ3側に限らず、例えば、上司の外部端末装置側から許可されたデータか否かに基づいてデータ種別を判別するようにしてもよい。これによって更に自由度が増し、実用効果を高めることができる。
【0046】
また、上述した実施形態においては、データに許可データ(登録ドメイン)が含まれているか否かに基づいてデータの種別を判別するようにしたが、許可データは、登録ドメインに限らず、所属する部署名、会社名などであってもよく、任意である。
【0047】
また、上述した実施形態においては、会社サーバ3側からダウンロードしたデータか否か、データに許可データ(登録ドメイン)が含まれているか否か、会社サーバ3側の許可テーブルAMに存在しているデータが否か、セキュリティフラグが設定されているか否かに応じてデータの種別を判別するようにしたが、これに限らず、例えば、会社用のデータか個人用のデータかに応じてデータの種別を判別したり、任意に作成したデータであるか否かに応じてデータの種別を判別したりするようにしてもよい。
【0048】
また、上述した実施形態においては、会社ネットワーク2を介して会社サーバ3に接続するネットワーク環境としたが、ホームネットワークを介して自宅サーバにアクセスが可能なネットワーク環境あるいは、公共施設内、ショッピング施設内などにおいて、無線LANを使用した公衆インターネットサービスを実施しているホットスポット(図示せず)にも接続可能なネットワーク環境であってもよい。
【0049】
その他、上述した実施形態においては、携帯端末装置として携帯電話装置を例示したが、これに限らず、例えば、通信機能を備えたPDA、デジタルカメラ、音楽プレイヤー、ゲーム機器、それらの複合機などであってもよい。
【符号の説明】
【0050】
1 携帯電話装置
2 会社ネットワーク
3 会社サーバ
11 CPU
12 記憶部
13 メモリ
13a ワークエリア
13b 一時メモリ
15 電話通信部
17 操作部
18 表示部
19 無線LANモジュール
DB 構内データベース
TSF 端末側セキュリティフォルダ
TUB 端末側一般フォルダ
SSF サーバ側セキュリティフォルダ
SUB サーバ側一般フォルダ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを保管させるための保管処理を実行可能な携帯端末装置であって、
データを保管する際に、そのデータのデータ種別を判別する判別手段と、
この判別手段によって判別されたデータ種別に応じて当該データの保管先を決定する決定手段と、
この決定手段によって決定された保管先に前記データを保管させるためのデータ保管処理を行う保管処理手段と、
を具備したことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
ネットワークを介して外部装置との間でデータ通信を行う通信手段を更に備え、
前記判別手段は、データ内にその属性を特定するための情報が含まれているか否かに基づいてデータ種別を判別し、
前記決定手段は、前記判別手段によってデータ属性を特定するための情報が含まれていると判別された場合に、前記外部装置側をデータの保管先として決定し、
前記保管処理手段は、前記決定手段によって保管先として決定された外部装置に対してデータを送信して保管させる処理を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
ネットワークを介して外部装置との間でデータ通信を行う通信手段を更に備え、
前記判別手段は、前記外部装置側あるいは外部端末装置側から許可されたデータか否かに基づいてデータ種別を判別し、
前記決定手段は、前記判別手段によって前記外部装置側あるいは外部端末装置側で許可されたデータであると判別された場合に、当該外部装置側をデータの保管先として決定し、
前記保管処理手段は、前記決定手段によって保管先として決定された外部装置に対してデータを送信して保管させる処理を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記データは、メールアドレスデータであり、
前記判別手段は、そのメールアドレスに含まれているドメインに基づいてそのメールアドレスの種別を判別する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項5】
ネットワークを介して外部装置との間でデータ通信を行う通信手段を更に備え、
前記判別手段は、前記外部装置側から取得したデータを元にして更新したデータか否かに基づいてそのデータのデータ種別を判別し、
前記決定手段は、前記判別手段によって前記外部装置側から取得したデータであると判別された場合には、当該外部装置側をデータの保管先として決定し、
前記保管処理手段は、前記決定手段によって保管先として決定された外部装置に対してデータを送信して保管させる処理を行う、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記判別手段は、データがセキュリティ設定されたデータか否かに基づいてそのデータのデータ種別を判別し、
前記決定手段は、前記判別手段によってセキュリティ設定されたデータであるか否かに応じてそのデータの保存先を決定する、
ようにしたことを特徴とする請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項7】
コンピュータに対して、
データを保管する際に、そのデータのデータ種別を判別する機能と、
前記判別されたデータ種別に応じて当該データの保管先を決定する機能と、
前記決定された保管先に前記データを保管させるためのデータ保管処理を行う機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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