説明

携帯端末装置

【課題】 スライド操作型の携帯電話機において、開状態とした際に、キーボードの入力操作面に対して、表示部が設けられた筐体を斜めに傾斜させて、キーボードを操作しながらでも、表示部を視認し易くする。
【解決手段】 スライド保持機構が、各筐体1,2が略々全面的に重なり合う閉状態から、上記各筐体1,2の所定の一部分同士が重なり合う開状態までの間、各筐体1,2をスライド移動可能に保持する。そして、各筐体1,2が開状態となった際に、該各筐体1,2を上記開状態とする際に上記第1の筐体が移動する側の側面部である反キーボード側側面部1cの高さ位置が、該反キーボード側側面部1cに対向する側面部であるキーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように上記第1の筐体1を傾斜させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1の筐体及び第2の筐体をスライドさせて開状態或いは閉状態とする、例えば携帯電話機、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機、デジタルカメラ装置等の携帯機器に適用して好適な携帯端末装置に関する。
特には、第1の筐体及び第2の筐体をスライドさせて開状態とした際に、表示部が設けられる方の筐体を斜めに傾斜させることで、表示部の視認性の向上を図った携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2005−167847号の公開特許公報(特許文献1)に、スライド操作の容易化を図った移動通信端末が開示されている。この移動通信端末は、表示部が設けられた表示筐体が、ボタン操作部が設けられた操作筐体に対してスライド可能に設けられており、表示筐体のスライド動作によって、ボタン操作部が露出した露出状態と、表示筐体によってボタン操作部が隠蔽される隠蔽状態とに移行されるようになっている。
【0003】
また、操作筐体のアンテナ収容部には、第1圧縮コイルばねが収容されており、表示筐体は、第1圧縮コイルばねの付勢力によって上記隠蔽状態から上記露出状態に移行する方向に付勢されることで、当該移動通信端末を上記露出状態とする際のスライド操作の容易化を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−167847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような特許文献1に開示されている移動通信端末は、表示部が設けられた表示筐体が、ボタン操作部が設けられた操作筐体に対して平行にスライド移動するようになっているため、ボタン操作部と表示部とがフラットな状態となり、ボタン操作部を操作しながら表示部を視認し難い問題があった。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、スライド操作型の携帯機器を開状態とした際に、キーボードの入力操作面に対して、表示部が設けられた筐体を斜めに傾斜させることで、キーボードを操作しながら表示部を視認し易くすることができるような携帯端末装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯端末装置は、上述の課題を解決するために、
表示部が設けられた第1の筐体と、
キーボードが設けられた第2の筐体と、
上記第2の筐体に対して上記第1の筐体が略々全面的に重なり合った閉状態から、上記第2の筐体に対して上記第1の筐体が開方向にスライド移動するのに伴い、上記第2の筐体の上記キーボードの少なくとも一部を露出させると共に、上記第1の筐体を上記第2の筐体に対して傾斜させた開状態とするスライド保持機構とを有する。
【0008】
そして、上記スライド保持機構は、
一方の側面部から他方の側面部にかけて連通するガイドシャフト挿入用孔部を備えた略柱形状のスライドピンと、
上記スライドピンの上記ガイドシャフト挿入用孔部に挿入されることで、該スライドピンを長手方向に沿って移動自在に保持すると共に、周方向に沿って回動可能に保持するガイドシャフトと、
上記スライドピンを上記開方向に付勢することで、上記ガイドシャフトの周方向に沿って上記スライドピンが回動するように、一端部が上記スライドピンに接続され、他端部が上記第2の筐体に接続されて設けられた付勢部材と、
上記スライドピンを上記ガイドシャフトの長手方向に沿って移動自在に保持すると共に、該スライドピンを上記ガイドシャフトの周方向に沿って回動可能に保持するように、一端部が上記スライドピンに接続され、他端部が上記第1の筐体に接続されたアーム部材と、
上記スライドピンが挿入された状態で上記第2の筐体に設けられ、上記各筐体の上記閉状態においては、上記ガイドシャフトの周方向に沿って上記スライドピンが回動するのを規制し、上記各筐体が上記開状態となる際に、上記規制を解除して上記ガイドシャフトの周方向に沿って上記スライドピンを回動させ、その回動に伴って上記第2の筐体に対する上記第1の筐体の傾斜を可能とするガイド用孔部を備えたガイドプレートと
を有する。
【0009】
このような本発明は、スライド保持機構が、各筐体が略々全面的に重なり合う閉状態から、上記各筐体の所定の一部分同士が重なり合う開状態までの間、各筐体をスライド移動可能に保持する。そして、各筐体が開状態となった際に、該各筐体を上記開状態とする際に上記第1の筐体が移動する側の側面部である反キーボード側側面部の高さ位置が、該反キーボード側側面部に対向する側面部であるキーボード側側面部の高さ位置よりも高くなるように上記第1の筐体を傾斜させる。
【0010】
これにより、スライド操作型の携帯機器を開状態とした際に、キーボードの入力操作面に対して、表示部が設けられた筐体を斜めに傾斜させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、スライド操作型の携帯機器を開状態とした際に、キーボードの入力操作面に対して、表示部が設けられた筐体を斜めに傾斜させることができるため、キーボードを操作しながら表示部を視認し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明を適用した第1の実施例となる携帯電話機の閉状態時において、右側面部側から要部を透視した状態の図である。
【図2】第1の実施例となる携帯電話機の開状態時において、左側面部側から要部を透視した状態の図である。
【図3】第1の実施例となる携帯電話機の開状態時において、底面部側から要部を透視した状態の図である。
【図4】第1の実施例となる携帯電話機の第2の筐体内にキーボードが収納される構成を説明するための図である。
【図5】第1の実施例となる携帯電話機の第2の筐体に設けられるキーボードロック部材の斜視図である。
【図6】第1の実施例となる携帯電話機の第2の筐体に対するキーボードロック部材の設置を説明するための図である。
【図7】第1の実施例となる携帯電話機の第1の筐体側に設けられているスライド溝部を説明するための図である。
【図8】第1の実施例となる携帯電話機の閉状態時において、キーボードの爪部とキーボードロック部材とが引っ掛かっている状態を示す図である。
【図9】第1の実施例となる携帯電話機の開状態時において、キーボードの爪部がキーボードロック部材から外れた状態を示す図である。
【図10】本発明を適用した第2の実施例となる携帯電話機の閉状態時において、第1の筐体側から要部を透視した状態の図である。
【図11】本発明を適用した第2の実施例となる携帯電話機の閉状態時において、第2の筐体側から要部を透視した状態の図である。
【図12】本発明を適用した第2の実施例となる携帯電話機の開状態時において、第1の筐体側から要部を透視した状態の図である。
【図13】第2の実施例となる携帯電話機のスライド保持機構に設けられているスライドピンの斜視図である。
【図14】第2の実施例となる携帯電話機のスライド保持機構に設けられているガイドプレートの斜視図である。
【図15】本発明を適用した第3の実施例となる携帯電話機の閉状態時において、第1の筐体側から要部を透視した状態の図である。
【図16】本発明を適用した第3の実施例となる携帯電話機の閉状態時において、第2の筐体側から要部を透視した状態の図である。
【図17】本発明を適用した第2の実施例となる携帯電話機の開状態時において、第1の筐体側から要部を透視した状態の図である。
【図18】第3の実施例となる携帯電話機のスライド保持機構に設けられているガイドプレートの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、第1の筐体及び第2の筐体をスライド移動させることで開状態或いは閉状態とするスライド操作型の携帯電話機に適用することができる。
【0014】
[第1の実施例]
[第1の実施例の携帯電話機の構成]
図1に、閉状態時における、本発明を適用した第1の実施例となる携帯電話機を、図2及び図3に、開状態時における、この第1の実施例となる携帯電話機を示す。図1は、閉状態時における当該携帯電話機を、右側面部側から要部を透視した状態の図である。また、図2は、開状態時における当該携帯電話機を、左側面部側から要部を透視した状態の図である。さらに、図3は、開状態時における当該携帯電話機を、底面部側から要部を透視した状態の図である。
【0015】
この図1〜図3からわかるように、この携帯電話機は、略長方形の箱型形状を有する第1の筐体1と、この第1の筐体1と略々同じ大きさの略長方形の箱型形状を有する第2の筐体2と、上記各筐体1,2が略々全面的に重なり合う閉状態から(図1参照)、上記各筐体1,2の所定の一部分同士が重なり合う開状態までの間(図2,図3参照)、上記各筐体1,2をスライド移動可能に保持するスライド保持機構3とを有している。
【0016】
第1の筐体1には、第2の筐体2との摺接面1aに対して反対側の面となる表示面1bに、例えば液晶表示部や有機EL表示部(EL:Electro Luminescence)等の表示部が設けられている。従って、この携帯電話機の場合、各筐体1,2を閉状態とした場合及び開状態とした場合の、いずれの場合も、上記表示部は常に露出するようになっている。
【0017】
第2の筐体2には、略長方形の板形状のキーボード4が収納されている。具体的には、キーボード4は、図4に示すように各短手側の端部4a,4bに、それぞれ段差を設ける段差加工が施されている。第2の筐体2には、このキーボード4の段差加工に対応する形状の孔部であるキーボード挿入用孔部5が設けられている。キーボード4は、段差加工が施された各端部4a,4bを、上記キーボード挿入用孔部5に挿入することで、該キーボード4の操作面4cが露出する状態で第2の筐体2に収納されている。
【0018】
このキーボード4は、各短手側の端部4a,4bにそれぞれ段差加工が施されているため、上記キーボード挿入用孔部5を介して第2の筐体2に収納されることで、当該第2の筐体2の厚さ方向への移動が抑制され、図4に矢印で示す当該第2の筐体2の短手方向の移動である収納方向及び突出方向への移動のみが可能となっている。
【0019】
また、キーボード4は、一端が図1に示すようにネジ6により第2の筐体2側にネジ止めされ、他端が図3に示すようにネジ7により当該キーボード4の収納側の長手側の端部4dの略中央にネジ止めされたバネ部材8により、上記突出方向に付勢されている。
【0020】
また、キーボード4には、図3に示すように上記ネジ7を中央とし、該キーボード4の短手側の各端部4a,4bのやや近傍となる位置に、該キーボード4の収納側の長手側の端部4dから収納方向に突出する一対の爪部9a,9bが設けられている。
【0021】
また、第2の筐体2には、図1〜図3に示すように上記キーボード4の突出側の長手の端部2aに対して反対側の端部となる反突出側の長手の端部2bに沿って、かつ、上記各爪部9a,9bに対応する位置に、一対のキーボードロック部材10a,10bが固定して設けられている。
【0022】
なお、この例では、キーボード4に対して上記一対の爪部9a,9bを設けることとしたが、キーボード4に対して一つのみ爪部を設けても良いし、キーボード4に対して三つ以上の爪部を設けても良い。同様に、この例では、第2の筐体2に対して上記一対のキーボードロック部材10a,10bを設けることとしたが、第2の筐体2に対して一つのみキーボードロック部材を設けても良いし、第2の筐体2に対して三つ以上のキーボードロック部材を設けても良い。
【0023】
図5に、キーボードロック部材10bの斜視図を示す。なお、キーボードロック部材10aも同様の構成を有するため、該キーボードロック部材10aの構成も以下の説明を参照されたい。
【0024】
この図5に示すように、キーボードロック部材10bは、略直方体形状の本体11と、この本体11の上面部11aの略中央から突出するように設けられた突出部12と、上記爪部9bに引っ掛かりを持たせるための引っ掛かり部13とを有している。
【0025】
第2の筐体2側には、各キーボードロック部材10a,10bを設ける位置に、それぞれ図6(a)に示すスライド保持孔部14が設けられている。キーボードロック部材10bは、図5に示す本体11の底面部11bから上記スライド保持孔部14に挿入されることで、図6(b)に示すように第2の筐体2のスライド方向に対して直行する方向に対してのみ移動可能となるように、該第2の筐体2に設けられる。
【0026】
すなわち、このキーボードロック部材10bは、当該キーボードロック部材10bの引っ掛かり部13と上記キーボード4に設けられた爪部9bとの引っ掛かりを持たせる方向であるロック方向、及び当該キーボードロック部材10bの引っ掛かり部13と上記キーボード4に設けられた爪部9bとの引っ掛かりを解除する方向であるロック解除方向にのみ移動可能なように、第2の筐体2に設けられる。
【0027】
また、キーボードロック部材10bは、図3に示すようにバネ部材15と共にスライド保持孔部14に挿入される。これにより、キーボードロック部材10bは、上記爪部9bとの引っ掛かりを持たせる方向に付勢された状態で、第2の筐体2に設けられることとなる。
【0028】
次に、第1の筐体1の上記第2の筐体2との摺接面1aには、図7に示すように当該第1の筐体1のスライド方向に沿って設けられた、上記キーボードロック部材10bの上記突出部12を摺動させるためのスライド溝部16が設けられている。なお、このスライド溝部16は、キーボードロック部材10aの突出部12にも対応して第1の筐体1側に設けられているものと理解されたい。そして、構成は以下の説明を参照されたい。
【0029】
上記スライド溝部16は、各筐体1,2の閉状態時には、キーボードロック部材10bの引っ掛かり部13と上記爪部9bとが引っ掛かる方向(ロック方向)に、上記突出部12を介してキーボードロック部材10bを移動させるロック用溝部17と、このロック用溝部17と連続して設けられ、各筐体1,2の開状態時には、キーボードロック部材10bの引っ掛かり部13が上記爪部9bから外れる方向(ロック解除方向)に、上記突出部12を介してキーボードロック部材10bを移動させるロック解除用溝部18とを有している。
【0030】
後述するが、各筐体1,2が閉状態となった際に、このスライド溝部16により、各キーボードロック部材10a,10bが各突出部12を介して上記ロック方向に移動されて第2の筐体2内にキーボード4が収納され、また、各筐体1,2が開状態となった際に、このスライド溝部16により、各キーボードロック部材10a,10bが各突出部12を介して上記ロック解除方向に移動され、第2の筐体2内に収納されていたキーボード4が、該第2の筐体2外に突出するようになっている。
【0031】
なお、各キーボードロック部材10a,10bの各突出部12をスライド溝部16に挿入した際に、各キーボードロック部材10a,10bが、このスライド溝部16の幅方向の移動である上記ロック方向及び上記ロック解除方向に移動可能となるように、各突出部12の径はスライド溝部16の幅よりも小さくなっている(=各突出部12とスライド溝部16との間に多少のクリアランスが確保されていることで、各キーボードロック部材10a,10bが上記ロック方向及び上記ロック解除方向に移動可能となっている。)。
【0032】
次に、第1の筐体1は、図1に示すように反キーボード側側面部1cの厚みが、キーボード側側面部1dの厚みよりも薄くなるように、当該第1の筐体1の略中央近傍から上記反キーボード側側面部1cにかけて傾斜加工が施されている。
【0033】
これに対して、第2の筐体2は、図1に示すようにキーボードが突出する側の側面部であるキーボード突出側側面部2dに対向する反キーボード突出側側面部2cの厚みが、上記キーボード突出側側面部2dの厚みよりも厚くなるように、当該第2の筐体2の略中央近傍から上記反キーボード突出側側面部2dにかけて傾斜加工が施されている。
【0034】
後述するが、この携帯電話機の場合、上記各筐体1,2に施された傾斜加工により、該各筐体1,2の閉状態時には、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの厚み、及び第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cの厚みを加算した厚みと、第1の筐体1のキーボード側側面部1dの厚み、及び第2の筐体2のキーボード突出側側面部2dの厚みを加算した厚みとが略々同じ厚みとなる。
【0035】
しかし、各筐体1,2の開状態時には、該各筐体1,2に施されている上記各傾斜加工の作用で、図2に示すように第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの高さ位置が、該第1の筐体1のキーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように、該第1の筐体1が斜めに傾斜した状態にスライド移動され、該第1の筐体1に設けられている表示部の視認性を確保するようになっている。
【0036】
[第1の実施例の携帯電話機のスライド動作]
次に、このような構成を有する第1の実施例となる携帯電話機のスライド動作を説明する。
【0037】
〔各筐体を閉状態から開状態にする際のスライド動作〕
まず、各筐体1,2を、図1に示す閉状態から図2に示す開状態にする際のスライド動作を説明する。図8は、各筐体1,2の閉状態時における要部のみを図示した図であり、図9は、各筐体1,2の開状態時における要部のみを図示した図である。
【0038】
各筐体1,2の閉状態時には、図1に示すように各筐体1,2が略々全面的に重なり合った状態となると共に、キーボード4が第2の筐体2内に収納された状態となっている。そして、この各筐体1,2の閉状態時には、図8に示すバネ部材15により各キーボードロック部材10a,10bがロック方向に付勢されることで、該各キーボードロック部材10a,10bの各突出部12が、スライド溝部16のロック用溝部18内を上記ロック方向に移動し、該各突出部12を介して各キーボードロック部材10a,10bが上記ロック方向に移動する。
【0039】
これにより、この閉状態時において第2の筐体2内に収納されるキーボード4に設けられている各爪部9a,9bが、上記各キーボードロック部材10a,10bの各引っ掛かり部13に引っ掛かった状態となり、当該携帯電話機は、キーボード4が第2の筐体2内に収納され保持された状態で、各筐体1,2同士が略々全面的に重なり合った上記閉状態となる。
【0040】
次に、この閉状態時において、第1の筐体1に対して短手方向で、かつ、キーボード4の反突出方向の力を加えると共に、第2の筐体2に対して短手方向で、かつ、キーボード4の突出方向の力を加えると、各筐体1,2が短手方向の相反する方向にスライド移動することで(各筐体1,2が開方向にスライド移動することで)、各キーボードロック部材10a,10bは、図8に示すキーボード4の各爪部9a,9bが引っ掛かった状態のまま、各突出部12がスライド溝部16のロック用溝部17に沿って開方向に移動することとなる。
【0041】
そして、さらに各筐体1,2を開方向にスライド移動させると、各キーボードロック部材10a,10bの各突出部12は、図9に示すスライド溝部16のロック解除用溝部18に到達する。このロック解除用溝部18は、各キーボードロック部材10a,10bをロック解除方向に移動させる形状を有しているため、該各キーボードロック部材10a,10bは、このロック解除用溝部18により各突出部12を介して、バネ部材15の付勢力に逆らってロック解除方向に移動する。
【0042】
各キーボードロック部材10a,10bがロック解除方向に移動すると、キーボード4に設けられている各爪部9a,9bが、各キーボードロック部材10a,10bの各引っ掛かり部13から外れた状態となる。
【0043】
上述のように、キーボード4はバネ部材8により突出方向に付勢されている。このため、各爪部9a,9bが、各キーボードロック部材10a,10bの各引っ掛かり部13から外れることで、キーボード4はバネ部材8の付勢力により、第2の筐体2外に突出する。これにより、当該携帯電話機は、図2に示す開状態となる。
【0044】
なお、キーボード4及び第2の筐体2には、図示しないストッパが設けられており、このストッパにより、キーボード4の突出は所定の位置で停止するようになっている。
【0045】
このように、当該携帯電話機は、各筐体1,2を開状態とした際に、第2の筐体2に収納されているキーボード4が該第2の筐体2外に突出するようになっている。このため、開状態時において、各筐体1,2が重なっているにもかかわらず、第2の筐体2の略々面積分の大きさの入力操作面を確保可能とすることができる。
【0046】
従って、キーボード4の入力操作面を大きくすることができるため、キーボード4上のキー間隔を広げることができ、入力操作を容易化することができる。また、キーボード4の入力操作面を大きくすることができるため、キーボード4上に従前よりも物理的に大きなキーを設けることができ、入力操作を容易化することができる。或いは、キーボード4の入力操作面を大きくすることができるため、キーボード4上に従前よりも多数のキーを設けることができる。
【0047】
ここで、上述のように第1の筐体1は、図1に示すように反キーボード側側面部1cの厚みが、キーボード側側面部1dの厚みよりも薄くなるように、当該第1の筐体1の略中央近傍から上記反キーボード側側面部1cにかけて傾斜加工が施されている。
【0048】
また、第2の筐体2は、図1に示すようにキーボードが突出する側の側面部であるキーボード突出側側面部2dに対向する反キーボード突出側側面部2cの厚みが、上記キーボード突出側側面部2dの厚みよりも厚くなるように、当該第2の筐体2の略中央近傍から上記反キーボード突出側側面部2dにかけて傾斜加工が施されている。
【0049】
そして、スライド保持機構3は、各筐体1,2の上記各傾斜に沿って各筐体1,2を開方向にスライド移動することで、図2に示すように第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの高さ位置が、該第1の筐体1のキーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように、第1の筐体1を斜めに傾斜させた状態とする。
【0050】
これにより、表示部が設けられる第1の筐体1の表示面1bの傾斜角度を、キーボード4の操作面4cに対して、人間工学的に良好な傾斜角度とすることができ、表示部の良好な視認性を確保可能とすることができる。
【0051】
〔各筐体を開状態から閉状態にする際のスライド動作〕
次に、各筐体1,2を、図2に示す開状態から図1に示す閉状態にする際のスライド動作を説明する。
【0052】
この場合、図2に示す開状態時において、第1の筐体1に対して短手方向で、かつ、キーボード4の突出方向の力を加えると共に、第2の筐体2から突出しているキーボード4に対して短手方向で、かつ、当該キーボード4の反突出方向の力を加える。これにより、第1の筐体1は、キーボード4の突出方向に移動すると共に、キーボード4は、バネ部材8の付勢力に逆らって、図9に示す収納方向に移動することとなる。
【0053】
ここで、各筐体1,2を開状態から閉状態にする際には、第1の筐体1がキーボード4の突出方向に移動するため、キーボード4に設けられた各爪部9a,9bが、第2の筐体2に設けられている各キーボードロック部材10a,10bの位置まで移動した際に、該各キーボードロック部材10a,10bの各突出部12が、スライド溝部16のロック解除用溝部18からロック用溝部17に移動し、該各キーボードロック部材10a,10bが、各突出部12を介して、ロック方向に移動する。
【0054】
これにより、各キーボードロック部材10a,10bの位置まで移動していた各爪部9a,9bが、該各キーボードロック部材10a,10bの各引っ掛かり部13に引っ掛かり、キーボード4が第2の筐体2内に収納された状態となる。
【0055】
そして、キーボード4が第2の筐体2内に収納された状態で、第1の筐体1に対して短手方向で、かつ、キーボード4の突出方向の力をさらに加えると、キーボード4の各爪部9a,9bが、該各キーボードロック部材10a,10bの各引っ掛かり部13に引っ掛かった状態のまま、該各キーボードロック部材10a,10bの各突出部12がスライド溝部16のロック用溝部17に沿って移動し、当該携帯電話機は、図1に示すように各筐体1,2が略々全面的に重なった閉状態となる。
【0056】
なお、各筐体1,2には上述の傾斜加工が施されているが、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの厚み、及び第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cの厚みを加算した厚みと、第1の筐体1のキーボード側側面部1dの厚み、及び第2の筐体2のキーボード突出側側面部2dの厚みを加算した厚みとは、略々同じ厚みとなっている。このため、当該携帯電話機は、閉状態時には、各筐体1,2に上述の傾斜加工が施されているにもかかわらず、全体的に略直方体形状を維持するようになっている。
【0057】
[第1の実施例の効果]
以上の説明から明らかなように、この第1の実施例の携帯電話機は、各筐体1,2を開状態とした際に、第2の筐体2に収納されているキーボード4が該第2の筐体2外に突出するようになっている。このため、開状態時において、各筐体1,2が重なっているにもかかわらず、第2の筐体2の略々面積分の大きさの入力操作面を確保可能とすることができる。
【0058】
従って、キーボード4の入力操作面を大きくすることができるため、キーボード4上のキー間隔を広げることができ、入力操作を容易化することができる。また、キーボード4の入力操作面を大きくすることができるため、キーボード4上に従前よりも物理的に大きなキーを設けることができ、入力操作を容易化することができる。或いは、キーボード4の入力操作面を大きくすることができるため、キーボード4上に従前よりも多数のキーを設けることができる。
【0059】
また、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの厚みを、キーボード側側面部1dの厚みよりも薄くなるように、当該第1の筐体1の略中央近傍から上記反キーボード側側面部1cにかけて傾斜加工が施されており、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cの厚みを、キーボード突出側側面部2dの厚みよりも厚くなるように、当該第2の筐体2の略中央近傍から上記反キーボード突出側側面部2dにかけて傾斜加工が施されている。
【0060】
そして、スライド保持機構3は、各筐体1,2の上記各傾斜に沿って各筐体1,2を開方向にスライド移動することで、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの高さ位置が、該第1の筐体1のキーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように、第1の筐体1を斜めに傾斜した状態とする。
【0061】
これにより、表示部が設けられる第1の筐体1の表示面1bの傾斜角度を、キーボード4の操作面4cに対して、人間工学的に良好な傾斜角度とすることができ、表示部の良好な視認性を確保可能とすることができる。
【0062】
[第2の実施例]
次に、本発明を適用した第2の実施例となる携帯電話機の説明をする。この第2の実施例の携帯電話機は、各筐体1,2の半自動的なスムーズな開閉動作を可能とすると共に、各筐体1,2の開状態時に、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの高さ位置が、該第1の筐体1のキーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように該第1の筐体1を傾斜させ、表示部のさらなる視認性の向上を図ったものである。
【0063】
なお、上述の第1の実施例の携帯電話機と、この第2の実施例の携帯電話機とは、この点のみが異なる。このため、以下、この両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略することとする。
【0064】
[第2の実施例の携帯電話機の構成]
図10及び図11に、この第2の実施例の携帯電話機の閉状態時における要部を透視した図を、図12に、この第2の実施例の携帯電話機の開状態時における要部を透視した図をそれぞれ示す。このうち、図10は、閉状態時における当該携帯電話機を第1の筐体側1から見た状態の斜視図、図11は、閉状態時における当該携帯電話機を第2の筐体側2から見た状態の斜視図、図12は、開状態時における当該携帯電話機を第1の筐体側1から見た状態の斜視図となっている。
【0065】
なお、この図10〜図12は、この第2の実施例の携帯電話機の構造や動作等を理解容易とするために、上述の第1の実施例で説明したキーボード4や各キーボードロック部材10a,10b等の図示を省略した図となっている。
【0066】
この図10〜図12から分かるように、この第2の実施例の携帯電話機は、一対のスライドピン20と、各スライドピン20を長手方向に沿って移動自在に保持すると共に、周方向に沿って回動可能に保持するガイドシャフト21と、各筐体1,2の閉状態と開状態との間における上記ガイドシャフト21に沿った各スライドピン20の移動を可能とする長さの、一対のガイド用孔部22を備えたガイドプレート23と、各一端部がそれぞれ各スライドピン20に接続され、各他端部がそれぞれ第1の筐体1に接続された一対のアーム部材24と、各一端部が各スライドピン20にそれぞれ接続され、各他端部がそれぞれ第2の筐体2に接続された一対のバネ部材25とを備えたスライド保持機構を有している。
【0067】
各スライドピン20は、図13に示すように略円柱形状を有しており、一方の側面部から他方の側面部にかけて、かつ、径方向に沿って連通するガイドシャフト挿入用孔部26を有している。また、各スライドピン20の底面部20aには、該各スライドピン20の径方向に対して直行する方向に沿ってバネ止めピン挿入用孔部31が設けられている。
【0068】
また、後述するが、当該携帯電話機は、各筐体1,2の開状態時において、第1の筐体1の上記反キーボード側側面部1cの高さ位置が、キーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように第1の筐体1を傾斜させるようになっている。この際、各スライドピン20はガイドシャフト21の周方向に沿って回動するのであるが、この回動により各スライドピン20の底面部20aが第2の筐体2側に当接し、第1の筐体の傾斜を妨げるおそれがある。このため、各スライドピン20の底面部20aには、各筐体1,2の開状態時に、第2の筐体2と当接する部分に第1の筐体1の傾斜に対応する傾斜加工が施された傾斜加工部35が設けられている。
【0069】
なお、この例では、各スライドピン20の底面部20aに対して、各筐体1,2の開状態時に、第2の筐体2と当接する部分に第1の筐体1の傾斜に対応する傾斜加工を施すこととしたが、各スライドピン20の底面部20aに対して上記傾斜加工を施す代わりに、各スライドピン20の底面部20aとの当接を防止するための当接防止用孔部(=各筐体1,2の開状態時に各スライドピン20の底面部20aを逃がすための孔部)を、第2の筐体2側に設けてもよい。
【0070】
ガイドシャフト21は、各スライドピン20に設けられているガイドシャフト挿入用孔部26よりも若干小さめの径を有する円柱の棒状部材となっている。このガイドシャフト21は、図10〜図12に示すように各スライドピン20の各ガイドシャフト挿入用孔部26に挿入されることで、該各スライドピン20を、当該ガイドシャフト21に沿って移動自在に保持すると共に、当該ガイドシャフト21の周方向に沿って回動可能に保持するようになっている。
【0071】
ガイドプレート23は、図14に示すように全体が長板形状を有しており、この長手方向に沿って、一対の略長楕円形状のガイド用孔部22を有している。また、このガイドプレート23は、当該ガイドプレート23の長手方向に沿って上記ガイドシャフト21を保持するための、一対のガイドシャフト保持用孔部27を有している。この各ガイドシャフト保持用孔部27に対して、各スライドピン20の各ガイドシャフト挿入用孔部26に挿入された状態のガイドシャフト21の一端部、及び他端部がそれぞれ挿入されるようになっている。
【0072】
また、ガイドプレート23の短手側の一端部(両端部でもよい。)には、当該ガイドプレート23をネジ止めするためのネジ止め用孔部28を有しており、このネジ止め用孔部28を介してネジにより、ガイドプレート23が、図10〜図12に示すように第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cに沿ってネジ止めされ固定されるようになっている。
【0073】
ガイドプレート23の各ガイド用孔部22には、図10〜図12に示すように各スライドピン20がそれぞれ挿入されるようになっており、各ガイド用孔部22により、各筐体1,2の閉状態と開状態との間における上記ガイドシャフト21に沿った各スライドピン20の移動をガイドするようになっている。
【0074】
また、各スライドピン20は、各筐体1,2の閉状態と開状態との間において、図14に示すガイドプレート23の各ガイド用孔部22内を開方向及び閉方向に移動するのであるが、各筐体1,2が開状態とされた際には、上述のように各スライドピン20がガイドシャフト21の周方向に沿って回動することで傾斜する。ガイドプレート23は第2の筐体2に固定されているため、各スライドピン20が傾斜することで、ガイドプレート23の各ガイド用孔部22内における各スライドピン20の径が、各筐体1,2の閉状態と開状態とで変化することとなる。
【0075】
すなわち、各スライドピン20が傾斜しない状態となる、各筐体1,2の閉状態時における上記各ガイド用孔部22内の各スライドピン20の径よりも、各スライドピン20が傾斜した状態となる、各筐体1,2の開状態時における上記各ガイド用孔部22内の各スライドピン20の径の方が大きくなる。
【0076】
このため、ガイドプレート23の各ガイド用孔部22の短手方向の幅は、各筐体1,2の閉状態時に各スライドピン20が位置する外側の幅A1,A2よりも、各筐体1,2の開状態時に各スライドピン20が位置する内側の幅B1,B2の方が幅広となっている。換言すれば、ガイドプレート23の各ガイド用孔部22は、各筐体1,2の開状態時に各スライドピン20が傾斜することで変化する該各スライドピン20の径の変化を吸収可能なように、短手方向の幅が内側と外側で異なる幅となるように形成されている。
【0077】
次に、各アーム部材24は、図10〜図12に示すように長板形状を有しており、一端部近傍に、短手方向に沿って連通するスライドピン挿入用孔部24aが、他端部近傍に、短手方向に沿って連通する筐体固定用孔部24bが、それぞれ設けられている。
【0078】
アーム部材24の一端部近傍に設けられたスライドピン挿入用孔部24aの径は、スライドピン20のガイドシャフト21が設けられる底面部20aに対して反対側となる上面部20bの径よりも若干大きめの径となっている。アーム部材24は、このスライドピン挿入用孔部24aに、スライドピン20の上面部20bが挿入されることで、該スライドピン20と接続されており、該スライドピン20の周方向に沿って回動可能となっている。
【0079】
また、アーム部材24の他端部近傍に設けられた筐体固定用孔部24bには、凹凸の無い周面とされた固定ピン29が挿入されるようになっている。各アーム部材24は、この固定ピン29を介して、第1の筐体1の閉方向側の両角部近傍に、それぞれ固定されている。また、固定ピン29の周面は、凹凸の無い周面とされているため、各アーム部材24は、この固定ピン29の周方向に沿って回動可能となっている。
【0080】
次に、バネ部材25は、図10〜図12に示すように全体が多くのS字型をつなぎ合せた形状である、言わば蛇行形状を有しており、図11に示すように各一端部25aが、各スライドピン20のバネ止めピン挿入用孔部31に挿入されるバネ止めピン30により、各スライドピン20に固定されている。また、このバネ部材25の各他端部25bは、図11及び図12に示すようにネジ32により第2の筐体2側に固定されている。
【0081】
このバネ部材25は、図10に矢印で示すように各スライドピン20を、各筐体1,2の開方向に常時、付勢している。このため、このバネ部材25は、各筐体1,2が閉状態となる際には、各スライドピン20の間隔を広げる方向に該各スライドピン20を付勢し、各筐体1,2が開状態となる際には、各スライドピン20の間隔を狭める方向に該各スライドピン20を付勢することとなる。これにより、当該携帯電話機は、各筐体1,2の半自動的、かつ、スムーズな開閉動作を可能としている。
【0082】
[第2の実施例の携帯電話機のスライド動作]
次に、このような構成を有する第2の実施例となる携帯電話機のスライド動作を説明する。
【0083】
〔各筐体を閉状態から開状態にする際のスライド動作〕
まず、各筐体1,2を、図10及び図11に示す閉状態から図12に示す開状態にする際のスライド動作を説明する。
【0084】
各筐体1,2が閉状態である場合、各スライドピン20は、バネ部材25により、該各スライドピン20の間隔を広げる方向に付勢されている。また、各筐体1,2が閉状態である場合、各スライドピン20は、図14に示したガイドプレート23のガイド用孔部22の外側に位置している。このガイド用孔部22の外側の短手方向の幅A1,A2は、該ガイド用孔部22の内側の短手方向の幅B1,B2よりも狭くなっている。
【0085】
このため、各筐体1,2が閉状態である場合、ガイドシャフト21の周方向に沿った各スライドピン20の回動は、上記ガイド用孔部22の狭い幅の部分(=上記幅A1,A2の部分)により、各バネ部材25の付勢力に逆らって、規制された状態となっている。
【0086】
この状態で、第1の筐体1に対して図10に示す開方向の力を加えると共に、第2の筐体2に対して閉方向の力を加えると、この各筐体1,2に加えられた力が各アーム部材24を介して各スライドピン20に伝達され、各スライドピン20がガイドシャフト21に沿って、ガイドプレート23のガイド用孔部22の外側から内側にかけて移動を開始する。これと共に、各スライドピン20に対して接続されているバネ部材25の一端部25aの位置も、この各スライドピン20の移動に従って、上記ガイド用孔部22の外側から内側にかけて移動する。
【0087】
次に、第1の筐体1に対して上記開方向の力をさらに加えると共に、第2の筐体2に対して上記閉方向の力をさらに加えることで、各アーム部材24により各スライドピン20が、ガイドプレート23のガイド用孔部22の略中間よりもやや内側寄りまで移動すると、各スライドピン20に対するバネ部材25の付勢方向が、各スライドピン20の間隔を狭める方向に変化する。
【0088】
すなわち、各スライドピン20に接続された各バネ部材25の各一端部25aの位置は、各スライドピン20の移動に従って移動するため、各筐体1,2が閉状態である場合に各スライドピン20の間隔を広げる方向に付勢していた各バネ部材25の付勢方向が、各スライドピン20がガイド用孔部22の略中間よりもやや内側寄りまで移動した際に、各スライドピン20の間隔を狭める方向に変化する。
【0089】
各バネ部材25の付勢方向が、各スライドピン20の間隔を狭める方向に変化すると、該各スライドピン20は、該各バネ部材25の付勢力により、上記ガイド用孔部22の内側方向に付勢され、各スライドピン20が、上記ガイド用孔部22の内側の側壁部に当接するまで移動する。
【0090】
これにより、各筐体1,2が略半分程度、開状態となるまで、該各筐体1,2に上記力を加えた後は、上記各バネ部材25の付勢力により、各スライドピン20が上記ガイド用孔部22の内側の側壁部に当接するまで自動的に移動する。
【0091】
ここで、上述のように各バネ部材25は、図10に矢印で示したように各スライドピン20を、各筐体1,2の開方向に常時、付勢している。また、ガイド用孔部22の内側の短手方向の幅B1,B2は、該ガイド用孔部22の外側の短手方向の幅A1,A2よりも広くなっている。
【0092】
このため、各スライドピン20が、上記ガイド用孔部22の内側の側壁部に当接するまで移動すると、該ガイド用孔部22の内側の幅(=上記B1,B2)は、各スライドピン20の径よりも大きいことから、該ガイド用孔部22の外側の幅(=上記A1,A2)で規制されていた各スライドピン20の回動が解除され(=規制が解除され)、該各スライドピン20が各バネ部材25の付勢力により、ガイドシャフト21の周方向に沿って、図10に矢印で示す傾斜方向(=各筐体1,2の回動の開方向)に回動する。
【0093】
すなわち、各スライドピン20の底面部20aには、上記第1の筐体1の傾斜に対応すると共に、上記第2の筐体との当接を防止するための傾斜加工部35が設けられている。このため、各スライドピン20の上記規制が解除されると、該各スライドピン20は、底面部20aが第2の筐体2に当接することなく、上記各バネ部材25の付勢力に従って、図10に矢印で示す上記傾斜方向に回動することとなる。
【0094】
各スライドピン20が、上記傾斜方向に回動すると、この回動する力は、各アーム部材24を介して第1の筐体1に伝達される。
【0095】
また、第1の実施例で説明したように、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの厚みは、キーボード側側面部1dの厚みよりも薄くなるように、当該第1の筐体1の略中央近傍から上記反キーボード側側面部1cにかけて傾斜加工が施されており、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cの厚みは、キーボード突出側側面部2dの厚みよりも厚くなるように、当該第2の筐体2の略中央近傍から上記反キーボード突出側側面部2dにかけて傾斜加工が施されている。
【0096】
このため、上記各スライドピン20の上記回動する力が伝達された各アーム部材24を介して、第1の筐体1が、各スライドピン20の各傾斜加工部35に対応して斜めに押し上げられ、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの高さ位置が、該第1の筐体1のキーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように第1の筐体1が斜めに傾斜し、当該携帯電話機が、図12に示す開状態となる。
【0097】
このような携帯電話機は、各筐体1,2を開状態とした際に、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの高さ位置が、該第1の筐体1のキーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように、第1の筐体1が斜めに傾斜した状態となるため、表示部が設けられる第1の筐体1の表示面1bの傾斜角度を、第2の筐体2に設けられたキーボードの操作面に対して、人間工学的に良好な傾斜角度とすることができ、表示部の良好な視認性を確保可能とすることができる。
【0098】
また、この第2の実施例の携帯電話機の場合、ガイドプレート23が、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cに沿ってネジ止めされ固定されているため、各筐体1,2は、第1の筐体1のキーボード側側面部1dと、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cとが極近接した状態で開状態となる。このため、この開状態時における第1の筐体1の傾斜を、上述の第1の実施例の携帯電話機の第1の筐体1の傾斜よりも、さらに良好な傾斜とすることができ、表示部のさらに良好な視認性を確保可能とすることができる。
【0099】
また、この第2の実施例の携帯電話機の場合、ガイドプレート23が、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cに沿ってネジ止めされ固定されているため、上記キーボード4を突出させる機構を設けずに、第1の筐体1が開方向にスライド移動した際に、第2の筐体2側に設けられたキーボードが露出する構成とした場合でも、各筐体1,2を開状態とした際に露出する、第2の筐体2側に設けられたキーボードの露出面積を大きくすることができる。
【0100】
従って、第2の筐体2側に設けられるキーボード上のキー間隔を広げることができ、入力操作を容易化することができる。また、上記キーボード上に従前よりも物理的に大きなキーを設けることができ、入力操作を容易化することができる。或いは、上記キーボードの入力操作面を大きくすることができるため、該キーボード上に従前よりも多数のキーを設けることができる。
【0101】
〔各筐体を開状態から閉状態にする際のスライド動作〕
次に、各筐体1,2を、図12に示す開状態から図10及び図11に示す閉状態にする際のスライド動作を説明する。
【0102】
各筐体1,2が開状態である場合、上述のように各スライドピン20は、バネ部材25により、該各スライドピン20の間隔を狭める方向に付勢されている。この状態で、第1の筐体1に対して図12に示す閉方向の力を加えると共に、第2の筐体2に対して開方向の力を加えると、この各筐体1,2に加えられた力が各アーム部材24を介して各スライドピン20に伝達され、各スライドピン20がガイドシャフト21に沿って、ガイドプレート23のガイド用孔部22の内側から外側にかけて移動を開始する。また、これと共に、各スライドピン20に対して接続されているバネ部材25の一端部25aの位置も、この各スライドピン20の移動に従って、上記ガイド用孔部22の内側から外側にかけて移動する。
【0103】
次に、第1の筐体1に対して上記閉方向の力をさらに加えると共に、第2の筐体2に対して上記開方向の力をさらに加えることで、各アーム部材24により各スライドピン20が、ガイドプレート23のガイド用孔部22の略中間よりもやや外側寄りまで移動すると、各スライドピン20に対するバネ部材25の付勢方向が、各スライドピン20の間隔を広げる方向に変化する。
【0104】
すなわち、各スライドピン20に接続された各バネ部材25の各一端部25aの位置は、各スライドピン20の移動に従って移動するため、各筐体1,2が開状態である場合に各スライドピン20の間隔を狭める方向に付勢していた各バネ部材25の付勢方向が、各スライドピン20がガイド用孔部22の略中間よりもやや外側寄りまで移動した際に、各スライドピン20の間隔を広げる方向に変化する。
【0105】
各バネ部材25の付勢方向が、各スライドピン20の間隔を広げる方向に変化すると、該各スライドピン20は、該各バネ部材25の付勢力により、上記ガイド用孔部22の外側方向に付勢され、各スライドピン20が、上記ガイド用孔部22の外側の側壁部に当接するまで移動する。
【0106】
これにより、各筐体1,2が略半分程度、閉状態となるまで、該各筐体1,2に上記力を加えた後は、上記各バネ部材25の付勢力により、各スライドピン20が上記ガイド用孔部22の外側の側壁部に当接するまで自動的に移動する。
【0107】
ここで、各筐体1,2を開状態から閉状態とする場合、第2の筐体2に対して斜めに起立していた第1の筐体1を、該第2の筐体2と平行に重なり合う状態に戻すこととなる。このため、第2の筐体2と平行に重なり合おうとする力は、第1の筐体1を第2の筐体2の厚み方向に押し付けようとする力となる。この第1の筐体1を第2の筐体2の厚み方向に押し付けようとする力は、各アーム部材24を介して各スライドピン20に伝達される。また、図14に示したようにガイドプレート23のガイド用孔部22の外側の短手方向の幅A1,A2は、該ガイド用孔部22の内側の短手方向の幅B1,B2よりも狭くなっている。
【0108】
このため、上記ガイド用孔部22の内側の側壁部から外側の側壁部まで各スライドピン20が移動する際、該ガイド用孔部22の幅が狭くなると共に、第1の筐体1を第2の筐体2の厚み方向に押し付けようとする力が各スライドピン20に加わることで、各スライドピン20は、ガイドシャフト21の外周に沿って、図10に示す反傾斜方向(=各筐体1,2の閉方向)に回動する。
【0109】
これにより、ガイド用孔部22の内側の幅により規制解除となっていた各スライドピン20は、該ガイド用孔部22の外側の幅により、再度、回動が規制された状態に戻り、各筐体1,2は、図10及び図11に示すように閉状態となる。
【0110】
なお、各筐体1,2には上述の傾斜加工が施されているが、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの厚み、及び第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cの厚みを加算した厚みと、第1の筐体1のキーボード側側面部1dの厚み、及び第2の筐体2のキーボード突出側側面部2dの厚みを加算した厚みとは、略々同じ厚みとなっている。このため、当該携帯電話機は、閉状態時には、各筐体1,2に上述の傾斜加工が施されているにもかかわらず、全体的に略直方体形状を維持するようになっている。
【0111】
[第2の実施例の効果]
以上の説明から明らかなように、この第2の実施例の携帯電話機は、各筐体1,2のスライド保持機構に、一方の側面部から他方の側面部にかけて連通するガイドシャフト挿入用孔部26を備えた略柱形状の一対のスライドピン20と、各スライドピン20の上記ガイドシャフト挿入用孔部26に挿入されることで、該スライドピン20を長手方向に沿って移動自在に保持すると共に、周方向に沿って回動可能に保持するガイドシャフト21とを設ける。
【0112】
また、上記スライド保持機構に、上記各スライドピン20を上記各筐体1,2の開方向に付勢することで、上記ガイドシャフト21の周方向に沿って各スライドピン20が回動するように、各一端部がスライドピン20に接続され、各他端部が第2の筐体2に接続されて設けられた一対のバネ部材25と、各スライドピン20を上記ガイドシャフト21の長手方向に沿って移動自在に保持すると共に、該各スライドピン20を上記ガイドシャフト21の周方向に沿って回動可能に保持するように、各一端部が各スライドピン20に接続され、各他端部が第1の筐体1に接続された一対のアーム部材24とを設ける。
【0113】
また、上記スライド保持機構に、各スライドピン20がそれぞれ挿入された状態で上記第2の筐体2に設けられ、上記各筐体1,2の上記閉状態においては、上記バネ部材25の付勢力に逆らって、該各スライドピン20が上記ガイドシャフト21の周方向に沿って傾斜方向に回動するのを規制し、上記各筐体1,2が上記開状態となる際に、上記規制を解除して、上記バネ部材25の付勢力に従って、各スライドピン20をガイドシャフト21の周方向に沿って上記傾斜方向に回動させることで、上記第2の筐体2に対する上記第1の筐体1の傾斜を可能とする一対のガイド用孔部22を備えたガイドプレート23を設ける。
【0114】
これにより、各筐体1,2を図12に示す開状態とする際に、該各筐体1,2を半自動的かつスムーズに開状態とすることができる。
【0115】
また、各筐体1,2を開状態とした際には、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの高さ位置が、該第1の筐体1のキーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように、第2の筐体2に対して第1の筐体1が斜めに傾斜した状態となる。
【0116】
このため、表示部が設けられる第1の筐体1の表示面1bの傾斜角度を、第2の筐体2に設けられたキーボードの操作面に対して、人間工学的に良好な傾斜角度とすることができ、表示部の良好な視認性を確保可能とすることができる。
【0117】
また、ガイドプレート23が、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cに沿ってネジ止めされ固定されているため、各筐体1,2は、第1の筐体1のキーボード側側面部1dと、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cとが極近接した状態で開状態となる。このため、この開状態時における第1の筐体1の傾斜を、上述の第1の実施例の携帯電話機の第1の筐体1の傾斜よりも、さらに良好な傾斜とすることができ、表示部のさらに良好な視認性を確保可能とすることができる。
【0118】
また、ガイドプレート23が、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cに沿ってネジ止めされ固定されているため、上記キーボード4を突出させる機構を設けずに、第1の筐体1が開方向にスライド移動した際に、第2の筐体2側に設けられたキーボードが露出する構成とした場合でも、各筐体1,2を開状態とした際に露出する、第2の筐体2側に設けられたキーボードの露出面積を大きくすることができる。
【0119】
従って、第2の筐体2側に設けられるキーボード上のキー間隔を広げることができ、入力操作を容易化することができる。また、上記キーボード上に従前よりも物理的に大きなキーを設けることができ、入力操作を容易化することができる。或いは、上記キーボードの入力操作面を大きくすることができるため、該キーボード上に従前よりも多数のキーを設けることができる。
【0120】
[第3の実施例]
次に、本発明を適用した第3の実施例となる携帯電話機の説明をする。上述の第2の実施例の携帯電話機は、それぞれ一対のスライドピン20、アーム部材24、バネ部材25等を有するものであったが、この第3の実施例の携帯電話機は、スライドピン20、アーム部材24、バネ部材25等を一つずつ有するようにしたものである。
【0121】
なお、上述の第2の実施例の携帯電話機と、この第3の実施例の携帯電話機とは、この点のみが異なる。このため、以下、この両者の差異の説明のみ行い、重複説明は省略することとする。
【0122】
[第3の実施例の携帯電話機の構成]
図15及び図16に、この第3の実施例の携帯電話機の閉状態時における要部を透視した図を、図17に、この第3の実施例の携帯電話機の開状態時における要部を透視した図をそれぞれ示す。このうち、図15は、閉状態時における当該携帯電話機を第1の筐体側1から見た状態の斜視図、図16は、閉状態時における当該携帯電話機を第2の筐体側2から見た状態の斜視図、図17は、開状態時における当該携帯電話機を第1の筐体側1から見た状態の斜視図となっている。
【0123】
なお、この図15〜図17は、この第3の実施例の携帯電話機の構造や動作等を理解容易とするために、上述の第1の実施例で説明したキーボード4や各キーボードロック部材10a,10b等の図示を省略した図となっている。
【0124】
この図15〜図17から分かるように、この第3の実施例の携帯電話機は、一つのスライドピン20と、このスライドピン20を長手方向に沿って移動自在に保持すると共に、周方向に沿って回動可能に保持するガイドシャフト21と、各筐体1,2の閉状態と開状態との間における上記ガイドシャフト21に沿ったスライドピン20の移動を可能とする長さのガイド用孔部22を備えたガイドプレート23と、一端部がスライドピン20に接続され、他端部が第1の筐体1に接続された一つのアーム部材24と、一端部がスライドピン20に接続され、他端部が第2の筐体2に接続された一つのバネ部材25とを備えたスライド保持機構を有している。
【0125】
スライドピン20は、図13に示したように略円柱形状を有しており、一方の側面部から他方の側面部にかけて、かつ、径方向に沿って連通するガイドシャフト挿入用孔部26を有している。また、スライドピン20の底面部20aには、該スライドピン20の径方向に対して直行する方向に沿ってバネ止めピン挿入用孔部31が設けられている。
【0126】
また、後述するが、当該携帯電話機は、各筐体1,2の開状態時において、第1の筐体1の上記反キーボード側側面部1cの高さ位置が、キーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように第1の筐体1を傾斜させるようになっている。この際、スライドピン20はガイドシャフト21の周方向に沿って回動するのであるが、この回動によりスライドピン20の底面部20aが第2の筐体2側に当接し、第1の筐体の傾斜を妨げるおそれがある。このため、スライドピン20の底面部20aには、各筐体1,2の開状態時に、第2の筐体2と当接する部分に第1の筐体1の傾斜に対応する傾斜加工が施された傾斜加工部35が設けられている。
【0127】
なお、この例では、スライドピン20の底面部20aに対して、各筐体1,2の開状態時に、第2の筐体2と当接する部分に第1の筐体1の傾斜に対応する傾斜加工を施すこととしたが、スライドピン20の底面部20aに対して上記傾斜加工を施す代わりに、スライドピン20の底面部20aとの当接を防止するための当接防止用孔部(=各筐体1,2の開状態時にスライドピン20の底面部20aを逃がすための孔部)を、第2の筐体2側に設けてもよい。
【0128】
ガイドシャフト21は、スライドピン20に設けられているガイドシャフト挿入用孔部26よりも若干小さめの径を有する円柱の棒状部材となっている。このガイドシャフト21は、図15〜図17に示すようにスライドピン20のガイドシャフト挿入用孔部26に挿入されることで、該スライドピン20を、当該ガイドシャフト21に沿って移動自在に保持すると共に、当該ガイドシャフト21の周方向に沿って回動可能に保持するようになっている。
【0129】
ガイドプレート23は、図18に示すように全体が長板形状を有しており、この長手方向に沿って、一つの略長楕円形状のガイド用孔部22を有している。また、このガイドプレート23は、当該ガイドプレート23の長手方向に沿って上記ガイドシャフト21を保持するための、一対のガイドシャフト保持用孔部27を有している。この各ガイドシャフト保持用孔部27に対して、スライドピン20のガイドシャフト挿入用孔部26に挿入された状態のガイドシャフト21の一端部、及び他端部がそれぞれ挿入されるようになっている。
【0130】
また、ガイドプレート23の短手側の一端部(両端部でもよい。)には、当該ガイドプレート23をネジ止めするためのネジ止め用孔部28を有しており、このネジ止め用孔部28を介してネジにより、ガイドプレート23が、図15〜図17に示すように第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cに沿ってネジ止めされ固定されるようになっている。
【0131】
ガイドプレート23のガイド用孔部22には、図15〜図17に示すようにスライドピン20がそれぞれ挿入されるようになっており、ガイド用孔部22により、各筐体1,2の閉状態と開状態との間における上記ガイドシャフト21に沿ったスライドピン20の移動をガイドするようになっている。
【0132】
また、スライドピン20は、各筐体1,2の閉状態と開状態との間において、図14に示すガイドプレート23のガイド用孔部22内を開方向及び閉方向に移動するのであるが、各筐体1,2が開状態とされた際には、上述のようにスライドピン20がガイドシャフト21の周方向に沿って回動することで傾斜する。ガイドプレート23は第2の筐体2に固定されているため、スライドピン20が傾斜することで、ガイドプレート23のガイド用孔部22内におけるスライドピン20の径が、各筐体1,2の閉状態と開状態とで変化することとなる。
【0133】
すなわち、スライドピン20が傾斜しない状態となる、各筐体1,2の閉状態時における上記ガイド用孔部22内のスライドピン20の径よりも、スライドピン20が傾斜した状態となる、各筐体1,2の開状態時における上記ガイド用孔部22内のスライドピン20の径の方が大きくなる。
【0134】
このため、ガイドプレート23のガイド用孔部22の短手方向の幅は、各筐体1,2の閉状態時にスライドピン20が位置する外側の幅A1よりも、各筐体1,2の開状態時にスライドピン20が位置する内側の幅B1の方が幅広となっている。換言すれば、ガイドプレート23のガイド用孔部22は、各筐体1,2の開状態時にスライドピン20が傾斜することで変化する該スライドピン20の径の変化を吸収可能なように、短手方向の幅が内側と外側で異なる幅となるように形成されている。
【0135】
次に、アーム部材24は、図15〜図17に示すように長板形状を有しており、一端部近傍に、短手方向に沿って連通するスライドピン挿入用孔部24aが、他端部近傍に、短手方向に沿って連通する筐体固定用孔部24bが、それぞれ設けられている。
【0136】
アーム部材24の一端部近傍に設けられたスライドピン挿入用孔部24aの径は、スライドピン20のガイドシャフト21が設けられる底面部20aに対して反対側となる上面部20bの径よりも若干大きめの径となっている。アーム部材24は、このスライドピン挿入用孔部24aに、スライドピン20の上面部20bが挿入されることで、該スライドピン20の周方向に沿って回動可能な状態で、該スライドピン20と接続されている。
【0137】
また、アーム部材24の他端部近傍に設けられた筐体固定用孔部24bには、凹凸の無い周面とされた固定ピン29が挿入されるようになっている。アーム部材24は、この固定ピン29を介して、第1の筐体1の閉方向側の両角部近傍に固定されている。また、固定ピン29の周面は、凹凸の無い周面とされているため、アーム部材24は、この固定ピン29の周方向に沿って回動可能となっている。
【0138】
次に、バネ部材25は、図15〜図17に示すように全体が多くのS字型をつなぎ合せた形状である、言わば蛇行形状を有しており、図16に示すように一端部25aが、スライドピン20のバネ止めピン挿入用孔部31に挿入されるバネ止めピン30により、スライドピン20に固定されている。また、このバネ部材25の他端部25bは、図16及び図17に示すようにネジ32により第2の筐体2側に固定されている。
【0139】
このバネ部材25は、図15に矢印で示すようにスライドピン20を、各筐体1,2の開方向に常時、付勢している。このため、このバネ部材25は、各筐体1,2が閉状態となる際には、ガイドプレート23のガイド用孔部22の外側にスライドピン20を移動させる方向に、該スライドピン20を付勢し、各筐体1,2が開状態となる際には、ガイドプレート23のガイド用孔部22の内側にスライドピン20を移動させる方向に、該スライドピン20を付勢を付勢することとなる。これにより、当該携帯電話機は、各筐体1,2の半自動的、かつ、スムーズな開閉動作を可能としている。
【0140】
[第3の実施例の携帯電話機のスライド動作]
次に、このような構成を有する第3の実施例となる携帯電話機のスライド動作を説明する。
【0141】
〔各筐体を閉状態から開状態にする際のスライド動作〕
まず、各筐体1,2を、図15及び図16に示す閉状態から図17に示す開状態にする際のスライド動作を説明する。
【0142】
各筐体1,2が閉状態である場合、スライドピン20は、バネ部材25により、該スライドピン20をガイド用孔部22の外側に移動させる方向に付勢されている。また、各筐体1,2が閉状態である場合、スライドピン20は、図18に示したガイドプレート23のガイド用孔部22の外側に位置している。このガイド用孔部22の外側の短手方向の幅A1は、該ガイド用孔部22の内側の短手方向の幅B1よりも狭くなっている。
【0143】
このため、各筐体1,2が閉状態である場合、ガイドシャフト21の周方向に沿ったスライドピン20の回動は、上記ガイド用孔部22の狭い幅の部分(=上記幅A1の部分)により、バネ部材25の付勢力に逆らって、規制された状態となっている。
【0144】
この状態で、第1の筐体1に対して図15に示す開方向の力を加えると共に、第2の筐体2に対して閉方向の力を加えると、この各筐体1,2に加えられた力がアーム部材24を介してスライドピン20に伝達され、スライドピン20がガイドシャフト21に沿って、ガイドプレート23のガイド用孔部22の外側から内側にかけて移動を開始する。これと共に、スライドピン20に対して接続されているバネ部材25の一端部25aの位置も、このスライドピン20の移動に従って、上記ガイド用孔部22の外側から内側にかけて移動する。
【0145】
次に、第1の筐体1に対して上記開方向の力をさらに加えると共に、第2の筐体2に対して上記閉方向の力をさらに加えることで、アーム部材24によりスライドピン20が、ガイドプレート23のガイド用孔部22の略中間よりもやや内側寄りまで移動すると、スライドピン20に対するバネ部材25の付勢方向が、スライドピン20をガイド用孔部22の内側に移動させる方向に変化する。
【0146】
すなわち、スライドピン20に接続されたバネ部材25の一端部25aの位置は、スライドピン20の移動に従って移動するため、各筐体1,2が閉状態である場合にスライドピン20をガイド用孔部22の外側に移動させる方向に付勢していたバネ部材25の付勢方向が、スライドピン20がガイド用孔部22の略中間よりもやや内側寄りまで移動した際に、スライドピン20をガイド用孔部22の内側に移動させる方向に変化する。
【0147】
バネ部材25の付勢方向が、スライドピン20をガイド用孔部22の内側に移動させる方向に変化すると、該スライドピン20は、該バネ部材25の付勢力により、上記ガイド用孔部22の内側方向に付勢され、スライドピン20が、上記ガイド用孔部22の内側の側壁部に当接するまで移動する。
【0148】
これにより、各筐体1,2が略半分程度、開状態となるまで、該各筐体1,2に上記力を加えた後は、上記バネ部材25の付勢力により、スライドピン20が上記ガイド用孔部22の内側の側壁部に当接するまで自動的に移動する。
【0149】
ここで、上述のようにバネ部材25は、図15に矢印で示したようにスライドピン20を、各筐体1,2の開方向に常時、付勢している。また、ガイド用孔部22の内側の短手方向の幅B1は、該ガイド用孔部22の外側の短手方向の幅A1よりも広くなっている。
【0150】
このため、スライドピン20が、上記ガイド用孔部22の内側の側壁部に当接するまで移動すると、該ガイド用孔部22の内側の幅(=上記B1)は、スライドピン20の径よりも大きいことから、該ガイド用孔部22の外側の幅(=上記A1)で規制されていたスライドピン20の回動が解除され(=規制が解除され)、該スライドピン20がバネ部材25の付勢力により、ガイドシャフト21の周方向に沿って、図15に矢印で示す傾斜方向(=各筐体1,2の回動の開方向)に回動する。
【0151】
すなわち、スライドピン20の底面部20aには、上記第1の筐体1の傾斜に対応すると共に、上記第2の筐体との当接を防止するための傾斜加工部35が設けられている。このため、スライドピン20の上記規制が解除されると、該スライドピン20は、底面部20aが第2の筐体2に当接することなく、上記バネ部材25の付勢力に従って、図15に矢印で示す上記傾斜方向に回動する。
【0152】
スライドピン20が、上記傾斜方向に回動すると、この回動する力は、アーム部材24を介して第1の筐体1に伝達される。
【0153】
また、第1の実施例で説明したように、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの厚みは、キーボード側側面部1dの厚みよりも薄くなるように、当該第1の筐体1の略中央近傍から上記反キーボード側側面部1cにかけて傾斜加工が施されており、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cの厚みは、キーボード突出側側面部2dの厚みよりも厚くなるように、当該第2の筐体2の略中央近傍から上記反キーボード突出側側面部2dにかけて傾斜加工が施されている。
【0154】
このため、上記スライドピン20の上記回動する力が伝達されたアーム部材24を介して、第1の筐体1が、スライドピン20の傾斜加工部35に対応して斜めに押し上げられ、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの高さ位置が、該第1の筐体1のキーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように第1の筐体1が斜めに傾斜し、当該携帯電話機が、図12に示す開状態となる。
【0155】
このような携帯電話機は、各筐体1,2を開状態とした際に、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの高さ位置が、該第1の筐体1のキーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように、第1の筐体1が斜めに傾斜した状態となるため、表示部が設けられる第1の筐体1の表示面1bの傾斜角度を、第2の筐体2に設けられたキーボードの操作面に対して、人間工学的に良好な傾斜角度とすることができ、表示部の良好な視認性を確保可能とすることができる。
【0156】
また、この第2の実施例の携帯電話機の場合、ガイドプレート23が、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cに沿ってネジ止めされ固定されているため、各筐体1,2は、第1の筐体1のキーボード側側面部1dと、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cとが極近接した状態で開状態となる。このため、この開状態時における第1の筐体1の傾斜を、上述の第1の実施例の携帯電話機の第1の筐体1の傾斜よりも、さらに良好な傾斜とすることができ、表示部のさらに良好な視認性を確保可能とすることができる。
【0157】
また、この第2の実施例の携帯電話機の場合、ガイドプレート23が、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cに沿ってネジ止めされ固定されているため、上記キーボード4を突出させる機構を設けずに、第1の筐体1が開方向にスライド移動した際に、第2の筐体2側に設けられたキーボードが露出する構成とした場合でも、各筐体1,2を開状態とした際に露出する、第2の筐体2側に設けられたキーボードの露出面積を大きくすることができる。
【0158】
従って、第2の筐体2側に設けられるキーボード上のキー間隔を広げることができ、入力操作を容易化することができる。また、上記キーボード上に従前よりも物理的に大きなキーを設けることができ、入力操作を容易化することができる。或いは、上記キーボードの入力操作面を大きくすることができるため、該キーボード上に従前よりも多数のキーを設けることができる。
【0159】
〔各筐体を開状態から閉状態にする際のスライド動作〕
次に、各筐体1,2を、図17に示す開状態から図15及び図16に示す閉状態にする際のスライド動作を説明する。
【0160】
各筐体1,2が開状態である場合、上述のようにスライドピン20は、バネ部材25により、該スライドピン20をガイド用孔部22の内側に移動させる方向に付勢されている。この状態で、第1の筐体1に対して図15に示す閉方向の力を加えると共に、第2の筐体2に対して開方向の力を加えると、この各筐体1,2に加えられた力がアーム部材24を介してスライドピン20に伝達され、スライドピン20がガイドシャフト21に沿って、ガイドプレート23のガイド用孔部22の内側から外側にかけて移動を開始する。また、これと共に、スライドピン20に対して接続されているバネ部材25の一端部25aの位置も、このスライドピン20の移動に従って、上記ガイド用孔部22の内側から外側にかけて移動する。
【0161】
次に、第1の筐体1に対して上記閉方向の力をさらに加えると共に、第2の筐体2に対して上記開方向の力をさらに加えることで、アーム部材24によりスライドピン20が、ガイドプレート23のガイド用孔部22の略中間よりもやや外側寄りまで移動すると、スライドピン20に対するバネ部材25の付勢方向が、スライドピン20をガイド用孔部22の外側に移動させる方向に変化する。
【0162】
すなわち、スライドピン20に接続されたバネ部材25の一端部25aの位置は、スライドピン20の移動に従って移動するため、各筐体1,2が開状態である場合にスライドピン20をガイド用孔部22の内側に移動させる方向に付勢していたバネ部材25の付勢方向が、スライドピン20がガイド用孔部22の略中間よりもやや外側寄りまで移動した際に、スライドピン20をガイド用孔部22の外側に移動させる方向に変化する。
【0163】
バネ部材25の付勢方向が、スライドピン20をガイド用孔部22の外側に移動させる方向に変化すると、該スライドピン20は、該バネ部材25の付勢力により、上記ガイド用孔部22の外側方向に付勢され、スライドピン20が、上記ガイド用孔部22の外側の側壁部に当接するまで移動する。
【0164】
これにより、各筐体1,2が略半分程度、閉状態となるまで、該各筐体1,2に上記力を加えた後は、上記バネ部材25の付勢力により、スライドピン20が上記ガイド用孔部22の外側の側壁部に当接するまで自動的に移動する。
【0165】
ここで、各筐体1,2を開状態から閉状態とする場合、第2の筐体2に対して斜めに起立していた第1の筐体1を、該第2の筐体2と平行に重なり合う状態に戻すこととなる。このため、第2の筐体2と平行に重なり合おうとする力は、第1の筐体1を第2の筐体2の厚み方向に押し付けようとする力となる。この第1の筐体1を第2の筐体2の厚み方向に押し付けようとする力は、アーム部材24を介してスライドピン20に伝達される。また、図18に示したようにガイドプレート23のガイド用孔部22の外側の短手方向の幅A1は、該ガイド用孔部22の内側の短手方向の幅B1よりも狭くなっている。
【0166】
このため、上記ガイド用孔部22の内側の側壁部から外側の側壁部までスライドピン20が移動する際、該ガイド用孔部22の幅が狭くなると共に、第1の筐体1を第2の筐体2の厚み方向に押し付けようとする力がスライドピン20に加わることで、スライドピン20は、ガイドシャフト21の外周に沿って、図15に示す反傾斜方向(=各筐体1,2の閉方向)に回動する。
【0167】
これにより、ガイド用孔部22の内側の幅により規制解除となっていたスライドピン20は、該ガイド用孔部22の外側の幅により、再度、回動が規制された状態に戻り、各筐体1,2は、図15及び図16に示すように閉状態となる。
【0168】
なお、各筐体1,2には上述の傾斜加工が施されているが、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの厚み、及び第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cの厚みを加算した厚みと、第1の筐体1のキーボード側側面部1dの厚み、及び第2の筐体2のキーボード突出側側面部2dの厚みを加算した厚みとは、略々同じ厚みとなっている。このため、当該携帯電話機は、閉状態時には、各筐体1,2に上述の傾斜加工が施されているにもかかわらず、全体的に略直方体形状を維持するようになっている。
【0169】
[第3の実施例の効果]
以上の説明から明らかなように、この第3の実施例の携帯電話機は、各筐体1,2のスライド保持機構に、一方の側面部から他方の側面部にかけて連通するガイドシャフト挿入用孔部26を備えた略円柱形状の一つのスライドピン20と、スライドピン20の上記ガイドシャフト挿入用孔部26に挿入されることで、該スライドピン20を長手方向に沿って移動自在に保持すると共に、周方向に沿って回動可能に保持するガイドシャフト21とを設ける。
【0170】
また、上記スライド保持機構に、上記スライドピン20を上記各筐体1,2の開方向に付勢することで、上記ガイドシャフト21の周方向に沿ってスライドピン20が回動するように、一端部がスライドピン20に接続され、他端部が第2の筐体2に接続されて設けられた一つのバネ部材25と、スライドピン20を上記ガイドシャフト21の長手方向に沿って移動自在に保持すると共に、該スライドピン20を上記ガイドシャフト21の周方向に沿って回動可能に保持するように、一端部がスライドピン20に接続され、他端部が第1の筐体1に接続された一つのアーム部材24とを設ける。
【0171】
また、上記スライド保持機構に、スライドピン20がそれぞれ挿入された状態で上記第2の筐体2に設けられ、上記各筐体1,2の上記閉状態においては、上記バネ部材25の付勢力に逆らって、該スライドピン20が上記ガイドシャフト21の周方向に沿って傾斜方向に回動するのを規制し、上記各筐体1,2が上記開状態となる際に、上記規制を解除して、上記バネ部材25の付勢力に従って、スライドピン20をガイドシャフト21の周方向に沿って上記傾斜方向に回動させることで、上記第2の筐体2に対する上記第1の筐体1の傾斜を可能とする一つのガイド用孔部22を備えたガイドプレート23を設ける。
【0172】
これにより、各筐体1,2を図17に示す開状態とする際に、該各筐体1,2を半自動的かつスムーズに開状態とすることができる。
【0173】
また、各筐体1,2を開状態とした際には、第1の筐体1の反キーボード側側面部1cの高さ位置が、該第1の筐体1のキーボード側側面部1dの高さ位置よりも高くなるように、第1の筐体1が斜めに傾斜した状態となるため、表示部が設けられる第1の筐体1の表示面1bの傾斜角度を、第2の筐体2に設けられたキーボードの操作面に対して、人間工学的に良好な傾斜角度とすることができ、表示部の良好な視認性を確保可能とすることができる。
【0174】
また、ガイドプレート23が、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cに沿ってネジ止めされ固定されているため、各筐体1,2は、第1の筐体1のキーボード側側面部1dと、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cとが極近接した状態で開状態となる。このため、この開状態時における第1の筐体1の傾斜を、上述の第1の実施例の携帯電話機の第1の筐体1の傾斜よりも、さらに良好な傾斜とすることができ、表示部のさらに良好な視認性を確保可能とすることができる。
【0175】
また、ガイドプレート23が、第2の筐体2の反キーボード突出側側面部2cに沿ってネジ止めされ固定されているため、上記キーボード4を突出させる機構を設けずに、第1の筐体1が開方向にスライド移動した際に、第2の筐体2側に設けられたキーボードが露出する構成とした場合でも、各筐体1,2を開状態とした際に露出する、第2の筐体2側に設けられたキーボードの露出面積を大きくすることができる。
【0176】
従って、第2の筐体2側に設けられるキーボード上のキー間隔を広げることができ、入力操作を容易化することができる。また、上記キーボード上に従前よりも物理的に大きなキーを設けることができ、入力操作を容易化することができる。或いは、上記キーボードの入力操作面を大きくすることができるため、該キーボード上に従前よりも多数のキーを設けることができる。
【0177】
さらに、上述の第2の実施例の携帯電話機の場合、スライドピン20、アーム部材24、バネ部材25等を一対ずつ設けていたが、この第3の実施例の携帯電話機の場合、スライドピン20、アーム部材24、バネ部材25等を一つずつ設けている。このため、この第3の実施例の携帯電話機は、上述の第2の実施例の携帯電話機よりも部品点数を削減することができ、簡素化された構成で安価に製造可能とすることができる。
【0178】
[変形例]
上述の各実施例の説明では、本発明を携帯電話機に適用することとしたが、本発明を、PHS電話機(PHS:Personal Handyphone System)、PDA装置(PDA:Personal Digital Assistant)、携帯ゲーム機、デジタルカメラ装置等の他の携帯機器に適用してもよい。いずれの場合も上述と同様の効果を得ることができる。
【0179】
最後に、上述の各実施例は、本発明の一例である。このため、本発明は上述の各実施例に限定されることはなく、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論であることを付け加えておく。
【符号の説明】
【0180】
1 第1の筐体、1a 第1の筐体の摺接面、1b 第1の筐体の表示面、1c 第1の筐体の反キーボード側側面部、1d 第1の筐体のキーボード側側面部、2 第2の筐体、2a 第2の筐体のキーボード突出側の長手の端部、2b 第2の筐体のキーボードの反突出側の長手の端部、2c 第2の筐体の反キーボード突出側側面部、2d 第2の筐体のキーボード突出側側面部、3 スライド保持機構、4 キーボード、4a キーボードの短手側の端部、4b キーボードの短手側の端部、4c キーボードの操作面、4d キーボードの収納側の長手側の端部、5 第2の筐体に設けられているキーボード挿入用孔部、6 バネ部材を第2の筐体にネジ止めしているネジ、7 バネ部材をキーボードにネジ止めしているネジ、8 キーボードを突出方向に付勢しているバネ部材、9a キーボードを第2の筐体に収納された状態でロックするための爪部、9b キーボードを第2の筐体に収納された状態でロックするための爪部、10a 爪部が引っ掛かるキーボードロック部材、10b 爪部が引っ掛かるキーボードロック部材、11 キーボードロック部材の本体、11a キーボードロック部材の本体の上面部、12 キーボードロック部材の突出部、13 キーボードロック部材の引っ掛かり部、14 キーボードロック部材用のスライド保持孔部、15 キーボードロック部材を付勢するバネ部材、16 キーボードロック部材の突出部を摺動させるためのスライド溝部、17 キーボードロック部材をロック方向に移動させるロック用溝部、18 キーボードロック部材をロック方向に移動させるロック解除用溝部、20 スライドピン、20a スライドピンの底面部、20b スライドピンの上面部、21 ガイドシャフト、22 スライドピンが挿入されるガイドプレートのガイド用孔部、23 ガイド用孔部に沿ってスライドピンを移動及び回動可能に保持するガイドプレート、24 アーム部材、25 付勢方向が変向するバネ部材、25a バネ部材の一端部、25b バネ部材の他端部、26 スライドピンのガイドシャフト挿入用孔部、27 ガイドシャフトを保持するためのガイドプレートのガイドシャフト保持用孔部、28 ガイドプレートを第2の筐体にネジ止めするためのネジ止め用孔部、29 アーム部材を第1の筐体に回動可能に固定するための固定ピン、30 バネ部材の一端部をスライドピンに固定するためのバネ止めピン、31 バネ止めピンが挿入されるスライドピンのバネ止めピン挿入用孔部、32 バネ部材の他端部を第2の筐体に固定するためのネジ、35 スライドピンの底面部に設けられた傾斜加工部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部が設けられた第1の筐体と、
キーボードが設けられた第2の筐体と、
上記第2の筐体に対して上記第1の筐体が略々全面的に重なり合った閉状態から、上記第2の筐体に対して上記第1の筐体が開方向にスライド移動するのに伴い、上記第2の筐体の上記キーボードの少なくとも一部を露出させると共に、上記第1の筐体を上記第2の筐体に対して傾斜させた開状態とするスライド保持機構とを有し、
上記スライド保持機構は、
一方の側面部から他方の側面部にかけて連通するガイドシャフト挿入用孔部を備えた略柱形状のスライドピンと、
上記スライドピンの上記ガイドシャフト挿入用孔部に挿入されることで、該スライドピンを長手方向に沿って移動自在に保持すると共に、周方向に沿って回動可能に保持するガイドシャフトと、
上記スライドピンを上記開方向に付勢することで、上記ガイドシャフトの周方向に沿って上記スライドピンが回動するように、一端部が上記スライドピンに接続され、他端部が上記第2の筐体に接続されて設けられた付勢部材と、
上記スライドピンを上記ガイドシャフトの長手方向に沿って移動自在に保持すると共に、該スライドピンを上記ガイドシャフトの周方向に沿って回動可能に保持するように、一端部が上記スライドピンに接続され、他端部が上記第1の筐体に接続されたアーム部材と、
上記スライドピンが挿入された状態で上記第2の筐体に設けられ、上記各筐体の上記閉状態においては、上記ガイドシャフトの周方向に沿って上記スライドピンが回動するのを規制し、上記各筐体が上記開状態となる際に、上記規制を解除して上記ガイドシャフトの周方向に沿って上記スライドピンを回動させ、その回動に伴って上記第2の筐体に対する上記第1の筐体の傾斜を可能とするガイド用孔部を備えたガイドプレートと
を有する携帯端末装置。
【請求項2】
上記各筐体の開状態時において、上記第1の筐体を上記第2の筐体に対して傾斜させるために、上記スライドピンには、上記第2の筐体と当接する部分に、上記第1の筐体の上記傾斜に対応して上記第2の筐体との当接を防止する傾斜加工が施されている
請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
上記ガイドプレートのガイド用孔部は、上記各筐体の上記閉状態時に上記スライドピンが当接する端部から、上記各筐体の上記開状態時に上記スライドピンが当接する端部にかけて、徐々に当該ガイド用孔部の幅が広くなるように加工された
請求項1又は請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
上記第1の筐体は、反キーボード側側面部の厚みが、キーボード側側面部の厚みよりも薄くなるように、当該第1の筐体の略中央近傍から上記反キーボード側側面部にかけて傾斜加工が施されており、
上記第2の筐体は、上記キーボードが突出する側の側面部であるキーボード突出側側面部に対向する側面部である反キーボード突出側側面部の厚みが、上記キーボード突出側側面部の厚みよりも厚くなるように、当該第2の筐体の略中央近傍から上記反キーボード突出側側面部にかけて傾斜加工が施されており、
上記各筐体を上記閉状態とした際に、上記第1の筐体の上記反キーボード側側面部の厚み、及び上記第2の筐体の上記反キーボード突出側側面部の厚みを加算した厚みと、上記第1の筐体の上記キーボード側側面部の厚み、及び上記第2の筐体の上記キーボード突出側側面部の厚みを加算した厚みとが略々同じ厚みとなる
請求項1から請求項3のうち、いずれか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
上記第2の筐体内に収納されると共に、上記各筐体のスライド方向に沿って移動可能に設けられたキーボードと、
上記各筐体を上記開状態とする際に、上記第1の筐体が移動する方向に対して反対の方向である突出方向に上記キーボードを付勢する第1の付勢部材と、
上記キーボードの上記突出方向の端部である突出側端部に対して反対側の端部となる収納側端部に設けられた爪部と、
上記第1の筐体に対して摺接する上記第2の筐体の摺接面から突出させるための突出部と、上記爪部に引っ掛かりを持たせるための引っ掛かり部とを備え、上記突出部を上記第2の筐体の摺接面から突出させた状態で、上記第2の筐体のスライド方向に対して直行する方向に対してのみ移動可能となるように該第2の筐体に設けられるキーボードロック部材と、
上記引っ掛かり部に対して上記爪部の引っ掛かりを持たせる方向に上記キーボードロック部材を付勢する第2の付勢部材と、
上記第1の筐体側に当該第1の筐体のスライド方向に沿って設けられた、上記キーボードロック部材の上記突出部を摺動させるための溝部であり、上記各筐体の上記閉状態時には、上記キーボードロック部材の上記引っ掛かり部と上記爪部とが引っ掛かる方向に、上記突出部を介して上記キーボードロック部材を移動させるロック用溝部と、このロック用溝部と連続して設けられ、上記各筐体の上記開状態時には、上記キーボードロック部材の上記引っ掛かり部が上記爪部から外れる方向に、上記突出部を介して上記キーボードロック部材を移動させるロック解除用溝部とを備えたスライド溝部とを有し、
上記各筐体の上記閉状態時には、上記キーボードロック部材の上記引っ掛かり部と上記爪部とが引っ掛かることで、上記キーボードを上記第2の筐体内に収納した状態で保持し、上記各筐体の上記開状態時には、上記キーボードロック部材の上記引っ掛かり部が上記爪部から外れることで、上記第1の付勢部材により上記キーボードが上記突出方向に付勢され、上記第2の筐体から上記キーボードが突出する
請求項1から請求項4のうち、いずれか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
上記キーボードの上記収納側端部に設けられた爪部は、所定の間隔を空けて少なくとも一対設けられており、
上記第2の筐体に設けられるキーボードロック部材も、上記各爪部に対応する位置に少なくとも一対設けられた
請求項5に記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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