説明

携帯通信端末装置及びプログラム

【課題】複数種類の通信手段からユーザの所在に応じて通信手段を選択し、人為的な操作無しに通信手段の切替え動作を実現させ、利便性と安全性の向上を図り得る携帯通信端末装置及びプログラムを実現させること。
【解決手段】公衆無線通信回線網に接続するための公衆回線用モジュール15と、構内無線通信回線網に接続するための構内回線用モジュール16と、を備えた携帯電話機1において、当該携帯電話機1が構内と構外の境界に位置する出入り口に設けられた入退場ゲート装置から送信される情報を受信し、その情報に基づいて入場情報又は退場情報を保持し、そこから読み出される入場情報又は退場情報に応じて公衆回線用モジュール15又は構内回線用モジュール16のいずれか一方を選択する制御手段を備えた携帯電話機1。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数種類の無線通信回線網と接続可能な携帯通信端末装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPHS電話機、或いは携帯用パーソナルコンピュータ等の携帯通信端末装置は、公衆無線通信回線網の基地局(公衆基地局)を介して通信を行うための通信手段(回線モジュール)と、予め設定された建物又は敷地内(構内)に設けられた構内無線通信回線網の基地局(アクセスポイント)を介して通信を行うための回線モジュールとを有し公衆無線通信回線又は構内無線通信回線のいずれか一方を選択して通信可能な機能を備えている。
【0003】
例えば、発信が行われる際、事業者モードが設定され発信番号が外線電話番号であるとき、予め設定された外線発信手順に従って発信する簡易型携帯電話端末(特許文献1参照)、公衆回線又は構内回線の公衆基地局のIDの取得し、取得したIDに基づいて公衆回線又は構内回線のうちいずれかと通信可能であるかを判定し、判定結果に応じて通信可能な電話番号を表示させる通信端末装置(特許文献2参照)、公衆電話網の電話番号で発信された場合、まず事務所モードで発信動作を行い、通信が確立できない場合には、公衆モードにて発信動作を行う携帯端末装置(特許文献3参照)が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−307781号公報
【特許文献2】特開平11−252276号公報
【特許文献3】特開2002−232551号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のような従来の携帯通信端末装置は、発信者の所在を確認せずに、構内無線通信回線網又は公衆無線通信回線網と通信可能であるか否かによって公衆無線通信回線網又は構内無線通信回線網の通信手段の選択を行うものであり、構内の範囲よりも構内無線通信の範囲が大きい場合が多く、外線発信を行う場合、構外であっても構内無線通信回線網が選択され、所定の外線発信処理(例えば、0発信)が必要となってしまう。また、内線電話は、本来、構内のみで利用されるべきものだが、構外にいながら内線電話番号への発信が可能となる場合が生じ、構内のみしか繋がらない通信相手先と直接通信が可能となり、セキュリティ上の問題が生じる。
【0006】
また、通信相手先によっては、公衆無線通信回線網上において携帯通信端末装置毎に割当てられた識別番号としての外線電話番号及び構内無線通信回線網上において携帯通信端末装置毎に割当てられた内線電話番号の両方を有する場合や、外線電話番号のみ有する場合がある。通信相手先に対応する識別番号として外線電話番号及び内線電話番号の両方が存在する場合、ユーザが当該通信相手先に対して発信を行う場合、現在使用可能な無線通信回線網は、公衆無線通信回線網又は構内無線通信回線網であるか否かを意識して選択する操作が必要となり、ユーザにとって煩雑な作業となっている。
【0007】
本発明の課題は、複数種類の通信手段からユーザの所在に応じて通信手段を選択し、人為的な操作無しに通信手段の切替え動作を実現させ、利便性と安全性の向上を図り得る携帯通信端末装置及びプログラムを実現させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、
公衆無線通信回線網に接続するための公衆回線用送受信手段と、構内無線通信回線網に接続するための構内回線用送受信手段と、を有する携帯通信端末装置において、
当該携帯通信端末装置が構内と構外の境界に位置する出入り口に設けられた入退場ゲート装置から送信される情報を受信し、その情報に基づいて入場情報又は退場情報を保持する保持手段と、
当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあるか否かを判別する第1の判別手段と、
前記保持手段から読み出される情報が退場情報であるにも関わらず、前記第1の判別手段によって前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別された場合に、前記構内回線用送受信手段が選択されているか否かを判別する第2の判別手段と、
前記保持手段から読み出される前記入場情報又は退場情報と、前記第1の判別手段によって判別された判別結果に応じて前記公衆回線用送受信手段又は構内回線用送受信手段のいずれか一方を選択する回線選択手段と、
を備え、
前記回線選択手段は、
前記第2の判別手段によって前記構内回線用送受信手段が選択されていると判別された場合、前記構内無線通信回線網の使用を禁止して、前記公衆回線用送受信手段を選択すること、
を特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項1に記載の発明に示した主要手段を機能させるためのプログラムを提供する(請求項8に記載の発明)。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の携帯通信端末装置において、
前記回線選択手段は、
前記保持手段が入場情報を保持している場合、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別されたとき、前記構内回線用送受信手段を前記公衆回線用送受信手段よりも優先して選択し、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にないと判別されたとき、前記公衆回線用送受信手段を選択すること、
を特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の携帯通信端末装置において、
前記公衆回線用送受信手段が選択された状態が、
前記保持手段が退場情報を保持しているにも関わらず、前記第1の判別手段によって前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別された場合に、前記構内無線通信回線網の使用を禁止して、前記公衆回線用送受信手段が選択された状態であるか否かを判別する第3の判別手段を更に備え、
前記回線選択手段は、
前記公衆回線用送受信手段による通信が終了されたと判別された際に、前記第3の判別手段によって前記構内無線通信回線網の使用を禁止して、前記公衆回線用送受信手段が選択されている状態であると判別された場合、
前記公衆無線通信回線網の使用を中止し、前記構内回線用送受信手段を選択すること、
を特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の携帯通信端末装置において、
当該携帯通信端末装置が前記公衆無線通信回線網の範囲内にあるか否かを判別する第4の判別手段を更に備え、
前記回線選択手段は、
前記保持手段が退場情報を保持している場合、
前記第4の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記公衆無線通信回線網の範囲内にあると判別されたとき、前記公衆回線用送受信手段を選択すること、
を特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、
公衆無線通信回線網に接続するための公衆回線用送受信手段と、構内無線通信回線網に接続するための構内回線用送受信手段と、を有する携帯通信端末装置において、
当該携帯通信端末装置が構内と構外の境界に位置する出入り口に設けられた入退場ゲート装置から送信される情報を受信し、その情報に基づいて入場情報又は退場情報を保持する保持手段と、
当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあるか否かを判別する第1の判別手段と、
通信相手先情報と当該通信相手先情報に応じて外線電話番号情報又は内線電話番号情報の少なくとも一方を有する電話番号データ群が記憶されている記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている電話番号データ群から通信相手先を指定して発信する場合、前記保持手段から読み出される前記入場情報又は退場情報と、前記第1の判別手段によって判別された判別結果に応じて前記外線電話番号情報又は前記内線電話番号情報のいずれか一方を選択する電話番号選択手段と、
を備え、
前記電話番号選択手段は、
前記保持手段が入場情報を保持している場合、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別され、かつ、前記記憶手段に内線番号情報が記憶されているとき、前記内線電話番号情報を選択し、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別され、かつ、前記記憶手段に内線番号情報が記憶されていないとき、前記外線電話番号情報を選択し、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にないと判別されたとき、前記外線電話番号情報を選択すること、
を特徴とする。
更に、コンピュータに対して、上述した請求項6に記載の発明に示した主要手段を機能させるためのプログラムを提供する(請求項9に記載の発明)。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の携帯通信端末装置において、
前記電話番号選択手段は、
前記保持手段が退場情報を保持している場合、
前記外線電話番号情報を選択すること、
を特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項5または6に記載の携帯通信端末装置において、
前記外線電話番号情報又は前記内線電話番号情報のいずれか一方が選択された場合、前記外線電話番号情報又は前記内線電話番号情報が選択されたことを表示する表示手段を備えること、
を特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、公衆回線用送受信手段又は構内回線用送受信手段の切替え動作を実現させる際に、ユーザに対する利便性の向上を図るとともに、安全性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1(a)に携帯電話機1の正面図、図1(b)に携帯電話機1の背面図が示された本実施の形態1における携帯通信端末装置としての携帯電話機1の外観である。
【図2】本実施の形態1における携帯電話機1の内部構成である。
【図3】本実施の形態1における回線モジュール選択処理である。
【図4】本実施の形態1における回線モジュール選択処理である(図3の続き)。
【図5】本実施の形態2における携帯電話機2の内部構成である。
【図6】記憶部21に記憶されている電話帳22の一例である。
【図7】本実施の形態2における電話番号選択処理である。
【図8】本実施の形態2における電話番号選択処理である(図7の続き)。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図1〜8を参照しながら、本発明に係る携帯通信端末装置を説明する。本発明の実施の形態では、携帯通信端末装置として、無線通信回線網を利用した小型で持ち運びができる携帯電話機に適用した場合について説明する。
【0018】
[実施の形態1]
以下、本発明の実施の形態1を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
図1に、本実施の形態1における携帯通信端末装置としての携帯電話機1の外観を示す。図1(a)に携帯電話機1の正面図を示し、図1(b)に携帯電話機1の背面図を示す。図1(a)、(b)に示すように、携帯電話機1は、ユーザに画像で情報を表示するメイン表示部131及びサブ表示部132、ユーザからの操作指示を受け付ける操作ボタン群141、公衆回線用アンテナ151及び構内回線用アンテナ161が内蔵されているアンテナ部A、非接触IC(Integrated Circuit)用アンテナ171、音を入力するマイク18a及び音を出力するスピーカ18b等を備える。
【0019】
図2に、本実施の形態1における携帯電話機1の内部構成を示す。図2に示すように、携帯電話機1は、CPU(Central Processing Unit)10、記憶部11、表示部13、操作部14、公衆回線用モジュール15、構内回線用モジュール16、非接触IC部17、マイク18a、スピーカ18b等により構成され、各部はバス19等により電気的に接続されている。
【0020】
CPU10は、記憶部11に記憶されている各種制御プログラムを読み出し、記憶部11内に形成されたワークエリアに展開し、携帯電話機1の各部を統括的に制御する。
【0021】
CPU10は、記憶部11との協働によって、本実施の形態1を実現させるために、記憶部11から回線モジュール選択プログラムや必要なデータを読出して記憶部11に展開し、後述する非接触IC部17が保持している入場情報又は退場情報に応じて、公衆回線用モジュール15又は構内回線用モジュール16のいずれか一方を選択する回線モジュール選択処理を行う制御手段であり回線選択手段である。
【0022】
記憶部11は、読み書き可能な不揮発性の記憶媒体であり、各種初期設定、ハードウェアの検査、あるいは必要なプログラムを読込むための初期プログラムや、携帯電話機1の動作に係る各種機能を実現させるためのデータや各種制御プログラム、本発明を実現させるためのプログラムとしての回線モジュール選択プログラム及び必要なデータを記憶しており、CPU10により実行される各種プログラム、各処理において処理中のデータ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを形成する。
【0023】
なお、記憶部11としては、NOR型フラッシュメモリ、NAND型フラッシュメモリ等のデータの消去及び書込みを自由に行うことができる不揮発性の各種フラッシュメモリや、擬似SRAM等を組み合わせて用いることができる。
【0024】
表示部13は、LCD(Liquid Crystal Display)やELD(Electroluminescence Display)等からなるメイン表示部131、サブ表示部132等により構成され、CPU10から入力される表示信号の指示に従って、メイン表示部131、サブ表示部132上に、各種操作画面等の各種情報を表示する表示手段である。
【0025】
操作部14は、操作ボタン群141等により構成され、ユーザによって押下された操作ボタン群141等からの押下信号をCPU10に出力する。
【0026】
公衆回線用モジュール15は、公衆回線用アンテナ151等を備え、CPU10から入力される指示に基づき、公衆回線用アンテナ151を介して公衆無線通信回線網上の基地局(公衆基地局)との間で無線通信を行う公衆回線用送受信手段であり、CPU10との協働により通話処理とメール送受信処理が実現される。
【0027】
構内回線用モジュール16は、構内回線用アンテナ161等を備え、CPU10から入力される指示に基づき、構内回線用アンテナ161を介して構内無線通信回線網上の基地局(アクセスポイント)との間で無線通信を行う構内回線用送受信手段であり、CPU10との協働により通話処理とメール送受信処理が実現される。
【0028】
以下、公衆回線用モジュール15及び構内回線用モジュールを総称して回線モジュールという。
【0029】
通話処理は、着呼を示す信号を選択された公衆回線用モジュール15又は構内回線用モジュールのいずれか一方の公衆回線用アンテナ151又は構内回線用アンテナ161が受信した場合、着信音をスピーカ18bから出力させる通話着信処理と、発呼を示す信号が操作ボタン群141から入力された場合、選択された電話番号への発信を行い、公衆基地局又はアクセスポイントとの間で無線通信回線を形成する通話発信処理と、受信した音声信号等に基づく音信号を増幅及び復調してスピーカ18bに出力させるとともに、マイク18aから入力された音声信号に基づく音データを公衆基地局又はアクセスポイントに送信する通話中継処理とを有する。
【0030】
メール送受信処理は、選択された公衆回線用モジュール15又は構内回線用モジュールのいずれか一方の公衆回線用アンテナ151又は構内回線用アンテナ161がメールサーバ等から文字データや画像データ等を含むメールデータの配信を示す信号を受信した場合、メールデータの受信を行い、受信したメールデータを表示部13に出力し、また、ユーザにより作成されたメールデータをメールサーバ等へ送信する。
【0031】
非接触IC部17は、入退場ゲート装置30と入場情報、退場情報、各種データ等の送受信を行うための非接触IC用アンテナ171、非接触IC部17内部を制御する専用のCPU172、データやプログラム等を保持する不揮発性の記憶媒体としての記憶部173、リーダ/ライタ(R/W)モジュール174、その他図示しないインターフェース等を備え、入退場ゲート装置30との無線通信を行う。入退場ゲート装置30との無線通信により、入場情報又は退場情報を受信し、記憶部173内に入場情報又は退場情報を保持する非接触IC手段である。
【0032】
入場情報とは、予め設定された敷地又は建物外(構外)から当該予め設定された敷地又は建物内(構内)に携帯電話機1を備えるユーザが入ってきたこと(入場状態)を示す情報であり、ユーザの所在が構内であることを示す。退場情報とは、構内から構外に携帯電話機1を備えるユーザが出ていったこと(退場状態)を示す情報であり、ユーザの所在が構外であることを示す。
【0033】
入退場ゲート装置30は、構内と構外の境界に位置する出入り口に設けられ、非接触IC部17と各種データの送受信を行う装置であり、出入り口を通過する方向に応じてユーザが構内において入場状態又は退場状態であるか否かを示す入場情報又は退場情報を非接触IC部17に送信する。入退場ゲート装置30は、アンテナ、リーダ/ライタ(R/W)モジュールの他、CPU、記憶部、出入り口を通過する方向に基づいて入場状態又は退場状態を検出する入退場検出部等を備えている。
【0034】
マイク18aは、A/D変換部を備えており、ユーザの送話音声をA/D変換し、音声信号としてCPU10に出力する。
【0035】
スピーカ18bは、D/A変換部を備えており、CPU10から入力される音信号や着信音、操作確認音等の音データをD/A変換して出力する。
【0036】
次に、本実施の形態1の動作を説明する。
図3及び4に、本実施の形態1における回線モジュール選択処理を示す。当該処理及びその処理において実行される各処理は、CPU10と記憶部11に記憶されたプログラム及びデータとの協働によるソフトウェア処理により実現される。
【0037】
なお、図3及び4に示される回線モジュール選択処理は、携帯電話機1に電源が供給されている間において、実行されるものである。
【0038】
まず、非接触IC部17から、入退場情報が読み出され(ステップS1)、退場状態を示す退場情報であるか否かが判別される(ステップS2)。退場情報でないと判別された場合(即ち、入場状態である場合)(ステップS2;No)、ステップS12に進む。
【0039】
退場情報であると判別された場合(即ち、退場状態である場合)(ステップS2;Yes)、公衆回線用モジュール15が用いられて接続可能な公衆基地局の検出が実行され(ステップS3)、公衆基地局の有無が判別される(ステップS4)。公衆基地局が無いと判別された場合(ステップS4;No)、公衆無線通信回線網の範囲外(圏外)となり通信が不可能であるため、ステップS9に進む。
【0040】
公衆基地局が有ると判別された場合(ステップS4;Yes)、無線通信回線として公衆無線通信回線を使用する公衆回線用モジュール15が選択され(ステップS5)、公衆回線用モジュール15が選択された旨が表示部13に指示され、メイン表示部131又はサブ表示部132に公衆回線用モジュール15が選択されたことが文字又は記号等による標識又は二次元画像として表示される(ステップS6)。
【0041】
ユーザは、メイン表示部131又はサブ表示部132に公衆回線用モジュール15が選択されたことが表示されることにより、公衆無線通信回線網の範囲内(公衆圏内)であると視認することができる。
【0042】
そして、公衆回線用アンテナ151を介して着呼を示す信号を受信又は発呼を示す信号が操作ボタン群141から入力されたか否か、又は公衆回線用アンテナ151を介してメールデータの配信を示す信号を受信又はユーザにより作成されたメールデータをメールサーバ等へ送信する指示が操作ボタン群141から入力されたか否か(発着信の信号の有無)が判別される(ステップS7)、発着信の信号が有りと判別された場合(ステップS7;Yes)、通話処理又はメール送受信処理(発着信処理)が実行され(ステップS8)、ステップS3に戻る。
【0043】
発着信の信号が無しと判別された場合(ステップ7;No)又は公衆基地局無しと判別された場合(ステップS4;No)、操作ボタン群141から通話処理又はメール送信処理以外の操作指示が入力されたか否かが判別され(ステップS9)、操作指示有りと判別された場合(ステップS9;Yes)、操作指示に対応するアプリケーション等の処理が実行され(ステップS10)、ステップS3に戻る。
【0044】
操作指示無しと判別された場合(ステップS9;No)、再度、非接触IC部17から入退場情報が読み出され、入退場情報に変化が有るか否かが判別され(ステップS11)、入退場情報に変化が無いと判別された場合(ステップS11;No)、ステップS3に戻り、入退場情報に変化が有りと判別された場合(ステップS11;Yes)、ステップS1に戻る。
【0045】
このように、ユーザが退場状態には、公衆回線用モジュールのみ選択可能であり公衆無線通信回線網のみによって発着信処理が行われるため、ユーザが入場状態となる前に構内無線通信回線網による発着信が可能となってしまうという問題を解消することができ、安全性を向上させることができる。
【0046】
次に、ステップS2において、退場情報でないと判別された場合(即ち、入場状態である場合)(ステップS2;No)、構内回線用モジュール16が用いられて接続可能なアクセスポイントの検出が実行され(ステップS12)、アクセスポイントの有無が判別される(ステップS13)。
【0047】
アクセスポイントが有ると判別された場合(ステップS13;Yes)、無線通信回線として構内無線通信回線を使用する構内回線用モジュール16が選択され(ステップS14)、構内回線用モジュール16が選択された旨が表示部13に指示され、メイン表示部131又はサブ表示部132に構内回線用モジュール16が選択されたことが文字又は記号等による標識又は二次元画像として表示され(ステップS15)、ステップS20に進む。
【0048】
ユーザは、メイン表示部131又はサブ表示部132に構内回線用モジュール16が選択されたことが表示されることにより、構内無線通信回線網の範囲内(構内圏内)であると視認することができる。
【0049】
ところで、ユーザが入場状態には、構内無線通信回線網を用いて発着信処理が行われるものとするが、アクセスポイントの設置位置等により入場状態であってもアクセスポイントとの接続可能な範囲外である場合が想定されるため、入場状態であってアクセスポイントとの接続が不可である場合に限り、公衆無線通信回線を通信回線として選択する構成とする。このことにより、接続状態を安定して確保することができ、利便性を向上させることができる。
【0050】
アクセスポイントが無いと判別された場合、即ち、入場状態であるが、構内アクセスポイントとの通信可能な範囲外に携帯電話機1が位置すると判別された場合(ステップS13;No)、公衆回線用モジュール15が用いられて公衆基地局の検出が実行され(ステップS16)、公衆基地局の有無が判別される(ステップS17)。公衆基地局が無いと判別された場合(ステップS17;No)、構内無線通信回線網の範囲外かつ公衆無線通信回線網の範囲外(圏外)となり通信が不可能であるため、ステップS22に進む。
【0051】
公衆基地局が有ると判別された場合(ステップS17;Yes)、無線通信回線として公衆無線通信回線を使用する公衆回線用モジュール15が選択され(ステップS18)、公衆回線用モジュール15が選択された旨が表示部13に指示され、メイン表示部131又はサブ表示部132に公衆回線用モジュール15が選択されたことが文字又は記号等による標識又は二次元画像として表示され(ステップS19)、ステップS20に進む。
【0052】
そして、ステップS15又はステップS19後、選択された構内回線用アンテナ161又は公衆回線用アンテナ151を介して着呼を示す信号を受信又は発呼を示す信号が操作ボタン群141から入力されたか否か、又は選択された構内回線用アンテナ161又は公衆回線用アンテナ151を介してメールデータの配信を示す信号を受信又はユーザにより作成されたメールデータをメールサーバ等へ送信する指示が操作ボタン群141から入力されたか否か(発着信の信号の有無)が判別される(ステップS20)、発着信の信号が有りと判別された場合(ステップS20;Yes)、通話処理又はメール送受信処理(発着信処理)が実行され(ステップS21)、ステップS12に戻る。
【0053】
発着信の信号が無しと判別された場合(ステップS20;No)又は公衆基地局無しと判別された場合(ステップS17;No)、操作ボタン群141から通話処理又はメール送信処理以外の操作指示が入力されたか否かが判別され(ステップS22)、操作指示有りと判別された場合(ステップS22;Yes)、操作指示に対応するアプリケーション等の処理が実行され(ステップS23)、ステップS12に戻る。
【0054】
操作指示無しと判別された場合(ステップS22;No)、再度、非接触IC部17から入退場情報が読み出され、入退場情報に変化が有るか否かが判別され(ステップS24)、入退場情報に変化が無いと判別された場合(ステップS24;No)、ステップS12に戻り、入退場情報に変化が有りと判別された場合(ステップS24;Yes)、ステップS1に戻る。
【0055】
このように、本実施の形態1によれば、ユーザの所在に応じて公衆回線用モジュール又は構内回線用モジュールのいずれか一方を選択し、人為的な操作無しに公衆回線用モジュール又は構内回線用モジュールの切替え動作を実現させることができ、利便性と安全性の向上を図り得る携帯電話機1を実現させることができる。
また、入退場ゲート装置30から送信される入場情報又は退場情報を受信し保持する非接触IC部17を備えることにより容易に携帯電話機1が構内又は構外であるか否かを判別することができ、入場情報又は退場情報の判別を行う事で公衆回線用モジュール又は構内回線用モジュールのいずれか一方を選択することができるため、装置構成の簡素化と制御付加を低減させることができる。
【0056】
[実施の形態2]
以下、本発明の実施の形態2を詳細に説明する。
まず、構成を説明する。
本実施の形態2における携帯通信端末装置としての携帯電話機の外観は、実施の形態1の携帯電話機1の外観と略同じ外観であるため、図示及び説明は省略する。
【0057】
図5に、本実施の形態2における携帯電話機2の内部構成を示す。
図5に示すように、携帯電話機2は、CPU(Central Processing Unit)20、記憶部21、表示部13、操作部14、公衆回線用モジュール15、構内回線用モジュール16、非接触IC部17、マイク18a、スピーカ18b等により構成され、各部はバス19等により電気的に接続されている。実施の形態1と同様の部位には、同様の符号を付し、説明は省略する。
【0058】
CPU20は、記憶部21に記憶されている各種制御プログラムを読み出し、記憶部21内に形成されたワークエリアに展開し、携帯電話機2の各部を統括的に制御する。
【0059】
CPU20は、記憶部21との協働によって、本実施の形態2を実現させるために、記憶部21から電話番号選択プログラムや必要なデータを読出して記憶部21内展開し、記憶部21に記憶されている電話帳22から通信相手先を指定して発信する場合、非接触IC部17が保持している入場情報又は退場情報に応じて、電話帳22内の外線電話番号情報又は内線電話番号情報を選択する電話番号選択処理を行う制御手段であり電話番号選択手段である。
【0060】
記憶部21は、読み書き可能な不揮発性の記憶媒体であり、各種初期設定、ハードウェアの検査、あるいは必要なプログラムを読込むための初期プログラムや、携帯電話機2の動作に係る各種機能を実現させるためのデータや各種制御プログラム、本発明を実現させるためのプログラムとしての電話番号選択プログラム、電話帳22及び必要なデータを記憶しており、CPU10により実行される各種プログラム、各処理において処理中のデータ、処理結果などを一時的に記憶するワークエリアを形成する記憶手段である。
【0061】
なお、記憶部21としては、NOR型フラッシュメモリ、NAND型フラッシュメモリ等のデータの消去及び書込みを自由に行うことができる不揮発性の各種フラッシュメモリや、擬似SRAM等を組み合わせて用いることができる。
【0062】
図6に、記憶部21に記憶されている電話帳22の一例を示す。
図6に示すように、電話帳22は、通信相手先を示す通信相手先情報と、通信相手先情報に応じて外線電話番号を示す外電電話番号情報又は内線電話番号を示す内線電話番号情報の少なくとも一方とを有する電話番号データ群である。
【0063】
ユーザが操作ボタン群141を操作することにより、記憶部21に記憶された電話帳22が読み出され、読み出された電話帳22に記憶されている通信相手先情報が選択されることにより、通信相手先情報に対応する外線電話番号情報又は内線電話番号情報が選択対称となる。
【0064】
次に、本実施の形態2の動作を説明する。
図7及び8に、本実施の形態2における電話番号選択処理を示す。当該処理及びその処理において実行される各処理は、CPU20と記憶部21に記憶されたプログラム及びデータとの協働によるソフトウェア処理により実現される。
【0065】
なお、図7及び8に示される電話番号選択処理は、携帯電話機2に電源が供給されている間において、実行されるものである。
【0066】
まず、構内回線用モジュール16が用いられて接続可能なアクセスポイントの検出が実行され(ステップS31)、アクセスポイントの有無が判別される(ステップS32)。
【0067】
アクセスポイントが有ると判別された場合(ステップS32;Yes)、無線通信回線として構内無線通信回線を使用する構内回線用モジュール16が選択され(ステップS33)、構内回線用モジュール16が選択された旨が表示部13に指示され、メイン表示部131又はサブ表示部132に構内回線用モジュール16が選択されたことが文字又は記号等による標識又は二次元画像として表示され(ステップS34)、ステップS39に進む。
【0068】
ユーザは、メイン表示部131又はサブ表示部132に構内回線用モジュール16が選択されたことが表示されることにより、構内無線通信回線網の範囲内(構内圏内)であると視認することができる。
【0069】
アクセスポイントが無いと判別された場合(ステップS35;No)、公衆回線用モジュール15が用いられて接続可能な公衆基地局の検出が実行され(ステップS35)、公衆基地局の有無が判別される(ステップS36)。公衆基地局が無いと判別された場合(ステップS36;No)、構内無線通信回線網の範囲外かつ公衆無線通信回線網の範囲外(圏外)となり通信が不可能であるため、ステップS42に進む。
【0070】
公衆基地局が有ると判別された場合(ステップS36;Yes)、無線通信回線として公衆無線通信回線を使用する公衆回線用モジュール15が選択され(ステップS37)、公衆回線用モジュール15が選択された旨が表示部13に指示され、メイン表示部131又はサブ表示部132に公衆回線用モジュール15が選択されたことが文字又は記号等による標識又は二次元画像として表示され(ステップS38)、ステップS39に進む。
【0071】
そして、ステップS34又はステップS38後、選択された構内回線用アンテナ161又は公衆回線用アンテナ151を介して着呼を示す信号が受信されたか否か、又は選択された構内回線用アンテナ161又は公衆回線用アンテナ151を介してメールデータの配信を示す信号を受信又はユーザにより作成されたメールデータをメールサーバ等へ送信する指示が操作ボタン群141から入力されたか否か(通話着信又はメール発着信の信号の有無)が判別される(ステップS39)、通話着信又はメール発着信の信号が有りと判別された場合(ステップS39;Yes)、通話着信処理及び通話中継処理又はメール送受信処理が実行され(ステップS40)、ステップS31に戻る。
【0072】
通話着信又はメール発着信の信号が無しと判別された場合(ステップS39;No)、発呼を示す信号が操作ボタン群141から入力されたか否か(通話発信操作の有無)が判別される(ステップS41)。
【0073】
通話発信操作が無しと判別された場合(ステップS41;No)、操作ボタン群141から通話処理又はメール送信処理以外の操作指示が入力されたか否かが判別され(ステップS42)、操作指示有りと判別された場合(ステップS42;Yes)、操作指示に対応するアプリケーション等の処理が実行され(ステップS43)、ステップS31に戻り、操作指示無しと判別された場合(ステップS42;No)、ステップS31に戻る。
【0074】
通話発信操作が有りと判別された場合(ステップS41;Yes)、操作ボタン群141から電話帳22の読出し操作指示が入力され、記憶部21に記憶された電話帳22が読み出されて表示部13のメイン表示部131又はサブ表示部132に電話帳22の情報が表示され、表示された電話帳22に記憶された通信相手先情報の選択指示が操作ボタン群141から入力されたか否かが判別される(ステップS44)。
【0075】
電話帳22に記憶された通信相手先情報の選択指示が無いと判別された場合(ステップS44;No)、操作ボタン群141から通信相手先の電話番号の入力操作が行われ、選択された回線モジュールが用いられて入力された電話番号に対する通話発信処理が実行され(ステップS45)、通話中継処理が実行される(ステップS46)。その後、選択された回線モジュールに対応する無線通信回線網との通信状態が保持されており通信相手先との通話中継処理が継続中であるか又は終了されたかが判別され(ステップS47)、通話中継処理が継続中であると判別された場合(ステップS47;継続中)ステップS46に戻り、通話中継処理が終了されたと判別された場合(ステップS47;終了)、ステップ31に戻る。
【0076】
電話帳22に記憶された通信相手先情報の選択指示が有りと判別された場合(ステップS44;Yes)、非接触IC部17から、入退場情報が読み出され(ステップS48)、入場状態を示す入場情報であるか否かが判別される(ステップS49)。入場情報でないと判別された場合(即ち、退場状態である場合)(ステップS49;No)、ステップS60に進む。
【0077】
入場情報であると判別された場合(即ち、入場状態である場合)(ステップS49;Yes)、構内回線用モジュール16が選択されているか否かが判別される(ステップS50)。構内回線用モジュール16が選択されていないと判別された場合(ステップS50;No)、ステップS60に進む。
【0078】
構内回線用モジュール16が選択されていると判別された場合(ステップS50;Yes)、電話帳22が参照され、選択された通信相手先情報に対応する内線電話番号情報が有るか否かが判別される(ステップS51)。
【0079】
選択された通信相手先情報に対応する内線電話番号情報が有りと判別された場合(ステップS51;Yes)、内線電話番号情報が示す内線電話番号が発信番号として選択され(ステップS52)、内線電話番号が選択された旨が表示部13に指示され、メイン表示部131又はサブ表示部132に内線電話番号が選択されたことが表示される(ステップS53)。
【0080】
内線電話番号が選択されたことがメイン表示部131又はサブ表示部132に表示される例としては、発信番号として選択された内線電話番号が直接表示される場合や、内線電話番号が選択された旨を文字又は記号による標識又は二次元画像として表示されてもよい。
【0081】
このように、メイン表示部131又はサブ表示部132に内線電話番号が選択されたことが表示されることにより、通信相手先の内線電話番号に発信されることを視認させることができる。
【0082】
選択された通信相手先情報に対応する内線電話番号情報が無しと判別された場合(ステップS51;No)、外線電話番号情報が選択され(ステップS54)、選択された外線電話番号情報が示す外線電話番号の先頭に“0”が付加され、“0”が付加された外線電話番号が発信番号として選択され(ステップS55)、外線電話番号が選択された旨が表示部13に指示され、メイン表示部131又はサブ表示部132に外線電話番号が選択されたことが表示される(ステップS56)。
【0083】
“0”が付加された外線電話番号が選択されたことがメイン表示部131又はサブ表示部132に表示される例としては、発信番号として選択された“0”が付加された外線電話番号が直接表示される場合や、“0”が付加された外線電話番号が選択された旨を文字又は記号による標識又は二次元画像として表示されてもよい。
【0084】
このように、メイン表示部131又はサブ表示部132に“0”が付加された外線電話番号が選択されたことが表示されることにより、通信相手先の“0”が付加された外線電話番号に発信されることを視認させることができる。
【0085】
選択された発信番号が内線電話番号又は外線電話番号である旨が表示された後(ステップS53後又はステップS56後)、構内回線用モジュールが用いられて選択された発信番号に対する通話発信処理が実行され(ステップS57)、通話中継処理が実行される(ステップS58)。その後、構内回線用ジュール16に対応する構内無線通信回線網との通信状態が保持されており通信相手先との通話中継処理が継続中であるか又は終了されたかが判別され(ステップS59)、通話中継処理が継続中であると判別された場合(ステップS59;継続中)ステップS58に戻り、通話中継処理が終了されたと判別された場合(ステップS59;終了)、ステップ31に戻る。
【0086】
次に、入場情報でないと判別された場合(即ち、退場状態である場合)(ステップS49;No)又は入場状態ではあるが構内回線用モジュール16が選択されていないと判別された場合(ステップS50;No)、電話帳22が参照され、選択された通信相手先情報に対応する外線電話番号情報が示す外線電話番号が発信番号として選択され(ステップS60)、外線電話番号が選択された旨が表示部13に指示され、メイン表示部131又はサブ表示部132に外線電話番号が選択されたことが表示される(ステップS61)。
【0087】
外線電話番号が選択されたことがメイン表示部131又はサブ表示部132に表示される例としては、発信番号として選択された外線電話番号が直接表示される場合や、外線電話番号が選択された旨を文字又は記号による標識又は二次元画像として表示されてもよい。
【0088】
このように、メイン表示部131又はサブ表示部132に外線電話番号が選択されたことが表示されることにより、通信相手先の外線電話番号に発信されることを視認させることができる。
【0089】
ステップS49の判断ステップを設けることにより、退場状態には、公衆無線通信回線網のみを用いて外線電話番号で通話発信処理が行われるため、入場状態となる前に構内無線通信回線網が用いられて内線電話番号による発着信が可能となってしまうという問題を解消することができ、安全性を向上させることができる。
【0090】
また、ステップS50の判断ステップを設けることにより、入場状態では、原則、構内無線通信回線網を用いて内線電話番号で通話発信処理が行われるものとし、例外として、ユーザの所在が、入場状態であっても構内無線通信回線網の範囲外であるため構内回線用モジュール16が選択されず公衆回線用モジュール15が選択される場合に限り、公衆無線通信回線を用いて外線電話番号で通話発信処理が可能とすることにより、接続状態を安定して確保することができ、利便性を向上させることができる。
【0091】
外線電話番号が選択された旨が表示された後(ステップS61後)、公衆回線用モジュール15が選択されているか否かが判別される(ステップS62)。公衆回線用モジュール15が選択されていないと判別された場合(ステップS62;No)、公衆回線用モジュール15が一時選択される(ステップS63)。
【0092】
ステップS62及びステップ63は、退場状態であるにも拘わらず、構内回線用モジュール16が選択されている場合(即ち、構内の範囲よりも構内無線通信回線網の範囲が大きい場合)を考慮するものであり、退場状態である場合には、構内無線通信回路網での通信使用を禁止する効果を奏する。
【0093】
公衆回線用モジュール15が選択された後(ステップS62;Yes又はステップS63後)、公衆回線用モジュール15が用いられて選択された発信番号に対する通話発信処理が実行され(ステップS64)、通話中継処理が実行される(ステップS65)。その後、公衆回線用ジュール15に対応する公衆無線通信回線網との通信状態が保持されており通信相手先との通話処理が継続中であるか又は終了されたかが判別され(ステップS66)、通話中継処理が継続中であると判別された場合(ステップS66;継続中)ステップS65に戻る。
【0094】
通話中継処理が終了されたと判別された場合(ステップS66;終了)、ステップS63において公衆回線用モジュール15が一時選択された状態であるか否かが判別され(ステップS67)、公衆回線用モジュール15が一時選択された状態ではないと判別された場合(ステップS67;No)、ステップS31に戻る。
【0095】
公衆回線用モジュール15が一時選択された状態であると判別された場合(ステップS67;Yes)、公衆回線用モジュール15から構内回線用モジュール16に変更され、構内回線用モジュール16に選択された後ステップS31に戻る。
【0096】
このように、本実施の形態2によれば、ユーザの所在に応じて公衆回線用モジュール又は構内回線用モジュールのいずれか一方を選択し、人為的な操作無しに外線電話番号又は内線電話番号の切替え動作を実現させることができ、利便性と安全性が向上された携帯電話機2を実現させることができる。
また、入退場ゲート装置30から送信される入場情報又は退場情報を受信し保持する非接触IC部17を備えることにより容易に携帯電話機2が構内又は構外であるか否かを判別することができ、入場情報又は退場情報の判別を行う事で外線電話番号情報又は内線電話番号情報のいずれか一方を選択することができるため、装置構成の簡素化と制御負荷を低減させることができる。
【符号の説明】
【0097】
1 携帯電話機
10、20 CPU
11、21 記憶部
22 電話帳
13 表示部
131 メイン表示部
132 サブ表示部
14 操作部
141 操作ボタン群
15 公衆回線用モジュール
151 公衆回線用アンテナ
16 構内回線用モジュール
161 構内回線用アンテナ
17 非接触IC部
171 非接触IC用アンテナ
172 CPU
173 記憶部
174 R/W
18a マイク
18b スピーカ
19 バス
30 入退場ゲート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆無線通信回線網に接続するための公衆回線用送受信手段と、構内無線通信回線網に接続するための構内回線用送受信手段と、を有する携帯通信端末装置において、
当該携帯通信端末装置が構内と構外の境界に位置する出入り口に設けられた入退場ゲート装置から送信される情報を受信し、その情報に基づいて入場情報又は退場情報を保持する保持手段と、
当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあるか否かを判別する第1の判別手段と、
前記保持手段から読み出される情報が退場情報であるにも関わらず、前記第1の判別手段によって前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別された場合に、前記構内回線用送受信手段が選択されているか否かを判別する第2の判別手段と、
前記保持手段から読み出される前記入場情報又は退場情報と、前記第1の判別手段によって判別された判別結果に応じて前記公衆回線用送受信手段又は構内回線用送受信手段のいずれか一方を選択する回線選択手段と、
を備え、
前記回線選択手段は、
前記第2の判別手段によって前記構内回線用送受信手段が選択されていると判別された場合、前記構内無線通信回線網の使用を禁止して、前記公衆回線用送受信手段を選択すること、
を特徴とする携帯通信端末装置。
【請求項2】
前記回線選択手段は、
前記保持手段が入場情報を保持している場合、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別されたとき、前記構内回線用送受信手段を前記公衆回線用送受信手段よりも優先して選択し、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にないと判別されたとき、前記公衆回線用送受信手段を選択すること、
を特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末装置。
【請求項3】
前記公衆回線用送受信手段が選択された状態が、
前記保持手段が退場情報を保持しているにも関わらず、前記第1の判別手段によって前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別された場合に、前記構内無線通信回線網の使用を禁止して、前記公衆回線用送受信手段が選択された状態であるか否かを判別する第3の判別手段を更に備え、
前記回線選択手段は、
前記公衆回線用送受信手段による通信が終了されたと判別された際に、前記第3の判別手段によって前記構内無線通信回線網の使用を禁止して、前記公衆回線用送受信手段が選択されている状態であると判別された場合、
前記公衆無線通信回線網の使用を中止し、前記構内回線用送受信手段を選択すること、
を特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末装置。
【請求項4】
当該携帯通信端末装置が前記公衆無線通信回線網の範囲内にあるか否かを判別する第4の判別手段を更に備え、
前記回線選択手段は、
前記保持手段が退場情報を保持している場合、
前記第4の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記公衆無線通信回線網の範囲内にあると判別されたとき、前記公衆回線用送受信手段を選択すること、
を特徴とする請求項1に記載の携帯通信端末装置。
【請求項5】
公衆無線通信回線網に接続するための公衆回線用送受信手段と、構内無線通信回線網に接続するための構内回線用送受信手段と、を有する携帯通信端末装置において、
当該携帯通信端末装置が構内と構外の境界に位置する出入り口に設けられた入退場ゲート装置から送信される情報を受信し、その情報に基づいて入場情報又は退場情報を保持する保持手段と、
当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあるか否かを判別する第1の判別手段と、
通信相手先情報と当該通信相手先情報に応じて外線電話番号情報又は内線電話番号情報の少なくとも一方を有する電話番号データ群が記憶されている記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている電話番号データ群から通信相手先を指定して発信する場合、前記保持手段から読み出される前記入場情報又は退場情報と、前記第1の判別手段によって判別された判別結果に応じて前記外線電話番号情報又は前記内線電話番号情報のいずれか一方を選択する電話番号選択手段と、
を備え、
前記電話番号選択手段は、
前記保持手段が入場情報を保持している場合、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別され、かつ、前記記憶手段に内線番号情報が記憶されているとき、前記内線電話番号情報を選択し、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別され、かつ、前記記憶手段に内線番号情報が記憶されていないとき、前記外線電話番号情報を選択し、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にないと判別されたとき、前記外線電話番号情報を選択すること、
を特徴とする携帯通信端末装置。
【請求項6】
前記電話番号選択手段は、
前記保持手段が退場情報を保持している場合、
前記外線電話番号情報を選択すること、
を特徴とする請求項5に記載の携帯通信端末装置。
【請求項7】
前記外線電話番号情報又は前記内線電話番号情報のいずれか一方が選択された場合、前記外線電話番号情報又は前記内線電話番号情報が選択されたことを表示する表示手段を備えること、
を特徴とする請求項5または6に記載の携帯通信端末装置。
【請求項8】
公衆無線通信回線網又は構内無線通信回線網と接続可能な携帯通信端末装置に設けられたコンピュータを、
前記公衆無線通信回線網に接続するための公衆回線用送受信手段と、
前記構内無線通信回線網に接続するための構内回線用送受信手段と、
当該携帯通信端末装置が構内と構外の境界に位置する出入り口に設けられた入退場ゲート装置から送信される情報を受信し、その情報に基づいて入場情報又は退場情報を保持する保持手段と、
当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあるか否かを判別する第1の判別手段と、
前記保持手段から読み出される情報が退場情報であるにも関わらず、前記第1の判別手段によって前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別された場合に、前記構内回線用送受信手段が選択されているか否かを判別する第2の判別手段と、
前記保持手段から読み出される前記入場情報又は退場情報と、前記第1の判別手段によって判別された判別結果に応じて前記公衆回線用送受信手段又は構内回線用送受信手段のいずれか一方を選択する回線選択手段と、
として機能させるとともに、
前記回線選択手段は、
前記第2の判別手段によって前記構内回線用送受信手段が選択されていると判別された場合、前記構内無線通信回線網の使用を禁止して、前記公衆回線用送受信手段を選択する、
ように機能させるためのプログラム。
【請求項9】
公衆無線通信回線網又は構内無線通信回線網と接続可能な携帯通信端末装置に設けられたコンピュータを、
前記公衆無線通信回線網に接続するための公衆回線用送受信手段と、
前記構内無線通信回線網に接続するための構内回線用送受信手段と、
当該携帯通信端末装置が構内と構外の境界に位置する出入り口に設けられた入退場ゲート装置から送信される情報を受信し、その情報に基づいて入場情報又は退場情報を保持する保持手段と、
当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあるか否かを判別する第1の判別手段と、
通信相手先情報と当該通信相手先情報に応じて外線電話番号情報又は内線電話番号情報の少なくとも一方を有する電話番号データ群が記憶されている記憶手段と、
前記記憶手段に記憶されている電話番号データ群から通信相手先を指定して発信する場合、前記保持手段から読み出される前記入場情報又は退場情報と、前記第1の判別手段によって判別された判別結果に応じて前記外線電話番号情報又は前記内線電話番号情報のいずれか一方を選択する電話番号選択手段と、
として機能させるとともに、
前記電話番号選択手段は、
前記保持手段が入場情報を保持している場合、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別され、かつ、前記記憶手段に内線番号情報が記憶されているとき、前記内線電話番号情報を選択し、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にあると判別され、かつ、前記記憶手段に内線番号情報が記憶されていないとき、前記外線電話番号情報を選択し、
前記第1の判別手段によって当該携帯通信端末装置が前記構内無線通信回線網の範囲内にないと判別されたとき、前記外線電話番号情報を選択する、
ように機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−200353(P2010−200353A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−96514(P2010−96514)
【出願日】平成22年4月19日(2010.4.19)
【分割の表示】特願2005−24038(P2005−24038)の分割
【原出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(504149100)株式会社カシオ日立モバイルコミュニケーションズ (893)
【Fターム(参考)】