説明

携帯電子機器及び撮像方法

【課題】本発明は、撮像画像におけるコントラストの積算値を算出すると共にコントラストの積算値が最大又は最大近傍である画像を取得することで、合焦した状態で撮像された画像を取得する携帯電子機器及び撮像方法を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯電話機1は、操作部側筐体2と、操作部側筐体2に配置されるレンズ部23aと、レンズ部23aを介して被写体の画像を撮像可能なCMOS201と、CMOS201により撮像された被写体の画像におけるコントラストの積算値を算出するコントラスト算出部210と、操作部側筐体2を移動させることで被写体とレンズ部23aとの距離を変更した場合において、コントラスト算出部210により算出された積算値が最大又は最大近傍である被写体の画像をCMOS201から取得する画像取得部230と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像部を有する携帯電子機器及び撮像方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機に代表される小型の携帯電子機器の多くには、カメラが搭載される。携帯電子機器に搭載されるカメラにおいて、レンズの合焦は、手動でレンズを駆動させて合焦させるタイプと、レンズが駆動して自動的に合焦するタイプ(AFタイプ)と、携帯電子機器自体を移動させて合焦させるタイプ(パンフォーカスタイプ)がある。なお、パンフォーカスタイプと、手動でレンズを駆動させて合焦させるタイプは併用されることがある。
【0003】
被写体に近接して撮像するいわゆるマクロモードにおいて、携帯電子機器は、レンズが駆動して自動的に合焦するタイプか、携帯電子機器自体を移動させて合焦させるタイプのいずれかが採用されることが多い。
ここで、レンズが駆動して自動的に合焦するタイプであるAFタイプの場合、レンズを駆動させる駆動機構が必要となる。
【0004】
これに対し、携帯電子機器自体を移動させて合焦させるタイプは、このようなレンズを移動させる機構を必要としない。
しかし、携帯電子機器自体を移動させて合焦させるタイプは、手ぶれ等の影響を受けて、合焦した状態を維持しにくいという問題がある。また、携帯電子機器を移動させながら合焦作業をするので、好適な合焦位置が見つけにくいという問題があった。
【0005】
これに対し、表示手段に合焦状態を認識できる表示がなされる携帯端末装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2006−101544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1に記載された携帯端末装置であっても、正確に合焦された状態で被写体を撮像することは困難であった。
【0007】
本発明は、撮像画像におけるコントラストの積算値を算出すると共にコントラストの積算値が最大又は最大近傍である画像を取得することで、合焦した状態で撮像された画像を取得する携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、筐体と、前記筐体に配置されるレンズ部と、前記レンズ部を介して被写体の画像を撮像可能な撮像部と、前記撮像部により撮像された前記被写体の画像におけるコントラストの積算値を算出するコントラスト算出部と、前記筐体を移動させることで前記被写体と前記レンズ部との距離を変更した場合において、前記コントラスト算出部により算出された前記積算値が最大又は最大近傍である前記被写体の画像を前記撮像部から取得する画像取得部と、を備える携帯電子機器に関する。
【0009】
また、前記画像取得部に対して前記被写体の画像を取得することを指示するシャッター部を備え、前記画像取得部は、前記シャッター部により前記被写体の画像を取得することが指示された後において、前記コントラスト算出部により算出された前記積算値が最大又は最大近傍である前記被写体の画像を前記撮像部から取得することが好ましい。
【0010】
また、前記筐体に配置され該筐体の移動速度の変化を検出可能な速度変化検出部を備え、前記画像取得部は、前記速度変化検出部により速度における正負の変化が検出されない状態において、前記積算値が最大値又は最大近傍である前記被写体の画像を前記撮像部から取得することが好ましい。
【0011】
また、前記速度変化検出部により速度における正負の変化が検出された場合、前記画像取得部は、速度の正負が変化した時から所定時間内に前記積算値が最大又は最大近傍となった画像を前記撮像部から取得しないことが好ましい。
【0012】
また、前記撮像部は、焦点距離が第1の焦点距離となる第1モードと、焦点距離が第2焦点距離となる第2モードとを有し、前記第1モードと前記第2モードとを切り替え可能なモード切り替え部と、を備えることが好ましい。
【0013】
また、前記撮像部は、前記被写体と前記レンズ部とが近い状態で撮像するマクロモードを有し、前記画像取得部は、前記撮像部が前記マクロモードである場合に前記撮像部から前記画像を取得することが好ましい。
【0014】
本発明は、筐体と前記筐体に配置されるレンズ部と前記レンズ部を介して被写体の画像を撮像可能な撮像部とを有する携帯電子機器を、被写体と前記レンズ部との距離が変更するように移動させた場合における撮像方法であって、前記撮像部により前記被写体の画像を連続的に撮像するステップと、前記撮像部により連続的に撮像された前記被写体の画像におけるコントラストの積算値を算出する算出ステップと、前記算出された前記積算値が最大又は最大近傍である前記被写体の画像を前記撮像部から取得するステップと、を含む携帯電子機器を用いた撮像方法に関する。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、撮像画像におけるコントラストの積算値を算出すると共にコントラストの積算値が最大又は最大近傍である画像を取得することで、合焦した状態で撮像された画像を取得する携帯電子機器及び撮像方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
図1から図4により、撮像装置としての携帯電話機1について説明する。図1は、携帯電話機1を開いた状態における正面斜視図である。図2は、携帯電話機1を開いた状態における裏面図である。図3は、携帯電話機1の回路ブロック図である。
【0017】
図1及び図2に示すように、携帯電話機1は、筐体としての操作部側筐体2と、表示部側筐体3と、を備える。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、ヒンジ機構を備える連結部4を介して開閉可能に連結される。具体的には、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とは、連結部4を介して連結される。これにより、携帯電話機1は、ヒンジ機構を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に動かすことが可能である。つまり、携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが開いた状態(開状態)と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが折り畳まれた状態(閉状態)とにすることができる。ここで、閉状態とは、両筐体が互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、両筐体が互いに重ならないように配置された状態をいう。
【0018】
操作部側筐体2は、外面がフロントケース2aとリアケース2bとにより構成される。操作部側筐体2は、フロントケース2a側に、操作キー群11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイクとしてのマイク12とがそれぞれ露出するように構成される。また、図2に示すように、操作部側筐体2は、リアケース2b側にカメラ部23と、発光部23bとが露出して配置される。
【0019】
操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う操作部材としての決定操作キー15とにより構成される。決定操作キー15は、環状キー15aと、円状キー15bとにより構成される。操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や各種モード、或いは起動されているアプリケーション等の種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。そして、使用者が各キーを押圧することにより、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。具体的には、携帯電話機1がカメラモードである場合、決定操作キー15を押圧することで撮像倍率等の調整や撮像指示がなされるよう機能が割り当てられる。環状キー15aが押圧されることで撮像倍率の調整がなされ、円状キー15bが押圧されることで所定の撮像倍率等での撮像指示がなされるように機能が割り当てられる。
【0020】
マイク12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側と反対の外端部側に配置される。つまり、マイク12は、携帯電話機1が開状態において一方の外端部側に配置される。
【0021】
操作部側筐体2における一方側の側面には、外部機器(例えば、ホスト装置)と通信を行うためのインターフェース(図示せず)が配置される。操作部側筐体2の他方側の側面には、所定の機能が割り当てられているサイドキー16と、外部メモリの挿入及び取り出しが行われるインターフェース(図示せず)とが配置される。インターフェースは、キャップ17により覆われている。
【0022】
表示部側筐体3は、外面がフロントケース3aとリアケース3bとにより構成される。表示部側筐体3におけるフロントケース3aには、撮像画像等を含む各種情報を表示するためのLCD表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバとしてのスピーカ22と、が露出するように配置される。
【0023】
LCD表示部21は、液晶パネルと、この液晶パネルを駆動する駆動回路と、この液晶パネルの背面側から光を照射するバックライト等の光源部とにより構成される。
【0024】
LCD表示部21は、撮像時における被写体の画像を連続的に表示可能に構成される。LCD21は、受光センサであるCMOS201から水平方向ごとに垂直方向に順次読み出された電荷信号に基づいて、水平方向ごとに垂直方向に順次描画処理するLCDである。撮影者は、LCD表示部21に表示される被写体の画像を見ながら決定操作キー15における環状キー15aで画像倍率等を調整し、所望の画像倍率等の撮像条件で円状キー15bを押圧することで被写体を撮像する。
【0025】
次に、図3により、携帯電話機1の回路構成について説明する。
図3に示すように、操作部側筐体2に配置されるカメラ部23と、操作部101と、マイク12と、メインアンテナ40と、RF回路部41と、LCD制御部42と、音声処理部43と、メモリ44と、CPU45と、速度変化検出部としての加速度センサ50と、電源部46と、制御IC47と、表示部側筐体3に配置されるLCD表示部21と、スピーカ22と、ドライバIC25とを備える。
【0026】
メインアンテナ40は、所定の使用周波数帯(例えば、800MHz)で外部装置と通信を行う。また、メインアンテナ40は、所定の使用周波数帯の他に、他の使用周波数帯(例えば、2GHz)に対応できるいわゆるデュアルバンド対応型による構成であってもよい。
【0027】
RF回路部41は、メインアンテナ40によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号をCPU45に供給すると共に、CPU45から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ40を介して外部装置(基地局)に送信するよう構成される。
【0028】
CPU45は、携帯電話機1の全体を制御する。CPU45は、特に、RF回路部41、LCD制御部42、音声処理部43及びカメラ部23に対して所定の制御を行う。また、CPU45は、後述のようにカメラ部23を構成するCMOS201により撮像された撮像画像におけるコントラストの積算値を該CPU45に含まれる機能部としてのコントラスト検出部210により検出する。このコントラスト検出部210については後に詳述する。また、CPU45は、コントラスト検出部210により検出されたコントラストの積算値が最大である撮像画像を、該CPU45を構成する機能部としての画像取得部230により取得すると共に、該取得された撮像画像をメモリ44に記憶させる。詳細は、後述の通りである。
【0029】
カメラ部23は、レンズ部23aと、撮像部としてのCMOS201と、を有する。レンズ部23aは、近接した被写体を撮像するための第1焦点位置に配置された状態(マクロモード)と、遠景を撮影するための第2焦点位置に配置された状態(遠景モード、通常モード)とに移動可能に構成される。ここで、本実施形態における携帯電話機1は、近接した被写体を撮像するためのマクロモードにおいて、レンズ部23aの位置は固定される。つまり、マクロモードにおいて、合焦した状態で被写体を撮像するためには、携帯電話機1自体を移動させて合焦する位置に見つけて被写体を撮像する必要がある。
【0030】
レンズ部23aを介してCMOS201に撮像された撮像画像は、CPU45に出力される。CPU45に出力された撮像画像は、コントラスト算出部としてのコントラスト検出部210により撮像画像におけるコントラストの積算値が算出される。そして、コントラストの積算値が最大である撮像画像は、後述する画像取得部230により取得されると共に、メモリ44における所定領域に記憶される。
【0031】
加速度センサ50は、携帯電話機1における移動速度及び移動方向の変化を検知する。加速度センサ50は、携帯電話機1が被写体に近づく方向(第1方向:図5及び図7における紙面右側の方向)への移動から被写体から遠ざかる方向(第2方向:図5及び図7における紙面左側の方向)への移動に移動方向が変化したことを検知する。また、加速度センサ50は、(第2方向)への移動から被写体に近づく方向(第1方向)への移動に変化したことを検知する。
【0032】
LCD制御部42は、CPU45の制御にしたがって、入力された画像データに対して所定の画像処理を行うと共に、画像処理された画像データをドライバIC25に出力する。ドライバIC25は、LCD制御部42から入力された画像データをフレームメモリに蓄えると共に、該フレームメモリに蓄えられた画像データを所定のタイミングでLCD表示部21に出力する。LCD表示部21は、ドライバIC25から入力された画像データに基づいて、所定の画像を表示する。ここで、LCD制御部42は、CPU45の制御にしたがって、撮像時においてカメラ部23を介して連続的に撮像される撮像画像のデータをドライバIC25に出力することができる。これにより、撮像時において、LCD表示部21には、カメラ部23を介して被写体の画像が連続的に表示される。
【0033】
メモリ44は、所定のデータが格納されている。具体的には、メモリ44には、各種機能プログラムや通信時に利用されるアドレス情報等のほか、CMOS201により撮像された撮像画像であって画像取得部230により取得された撮像画像の画像データ等が記憶される。メモリ44に記憶された撮像画像の画像データが上述のようにLCD表示部21に出力されることで、LCD表示部21には既にカメラ部23を介して取得され保存されていた撮像画像が表示される。
【0034】
音声処理部43は、CPU45の制御にしたがって、RF回路部41から供給された信号に対して所定の音声処理を行うと共に、音声処理された信号をスピーカ22に出力する。スピーカ22は、音声処理部43から供給された信号に基づいて外部に放音(出力)する。また、音声処理部43は、CPU45の制御にしたがって、マイク12から入力された信号に対して所定の処理をすると共に、処理された信号をRF回路部41に出力する。RF回路部41は、音声処理部43から入力された信号に所定の処理を行うと共に、処理がされた信号をメインアンテナ40に出力する。
【0035】
電源部46は、バッテリ80を有して構成される。バッテリ80は、所定容量を有するリチウムイオン電池である。制御IC47は、電源部46から供給される電源電圧を所定の電源電圧に変換し、変換後の電源電圧を携帯電話機1における各部(例えば、CPU45等)に供給する。
【0036】
図4から図7により、カメラ部23を介して撮像された撮像画像であって合焦した状態で撮像された画像を取得する機能について説明する。
図4は、携帯電話機1における撮像画像を処理する機能における機能ブロック図である。図5は、シャッター部250を押した状態で携帯電話機1を被写体S側に移動した状態を説明する図である。図6(A)は、図5の場合におけるコントラスト検出部210により検出されたコントラスト積算値の変化を説明する図である。図6(B)は、図5の場合における加速度センサ50により測定される携帯電話機1における速度変化を説明する図である。図7は、シャッター部250を押した状態で携帯電話機1を被写体S側に移動すると共に、合焦位置まで到達する前に被写体Sから遠ざかる方向に移動した状態を説明する図である。図8(A)は、図7の場合におけるコントラスト検出部210により検出されたコントラスト積算値の変化を説明する図である。図8(B)は、図7の場合における加速度センサ50により測定される携帯電話機1における速度変化を説明する図である。
【0037】
図4により、機能ブロック図について説明する。
図4に示すように、携帯電話機1は、カメラ部23に含まれるCMOS201と、信号処理回路203と、CPU45に含まれるコントラスト検出部210と、合焦判定部220と、画像取得部230と、メモリ44と、加速度センサ50と、撮像画像の取得を指示するシャッター部250と、備える。
【0038】
レンズ部23aは、上述の通り、第1焦点位置と第2焦点位置とに移動可能に構成される。レンズ部23aは、近接する被写体を撮像するマクロモードにおいては第1焦点位置に固定される。この状態において、合焦した状態で被写体の画像を撮像するには、上述の通り、携帯電話機1を移動させることでレンズ部23aの位置を移動させる必要がある。この撮像動作における合焦した状態の撮像画像を取得する動作については、後に詳述する。
【0039】
CMOS201は、第1方向としての水平ライン方向と、第2方向としての垂直ライン方向とを有する平面上に配列された複数の画素を有する撮像デバイスである。複数の画素それぞれは、不図示のフォトダイオードと、増幅器と、選択スイッチとを含んで構成される。また、CMOS201は、電荷信号を読み出すだめの水平転送回路と、垂直転送回路とを有する。
【0040】
複数の画素は、レンズ部23aを介して撮像された画像に対応して電荷信号を出力する。電荷信号は、水平転送回路及び垂直転送回路により、水平ラインに配列された画素ごとに読み出されると共に、垂直ラインにおいて順次読み出される。
【0041】
CMOS201から読み出された電荷信号は、不図示のCDS(Correlated Double Sampling)部と、ゲイン部と、A/D変換部により所定の処理がなされた後、信号処理回路203に入力される。
【0042】
ここで、CMOS201は、焦点距離が第1の焦点距離となる第1モードとしてのマクロモードと、焦点距離が第2焦点距離となる第2モードとしての通常モード(遠景モード)を有する。また、携帯電話機1は、マクロモードと通常モードとを切り替え可能なモード切り替え部を備える。
【0043】
信号処理回路203は、入力された処理後信号から色信号や輝度信号を生成すると共に、画像信号としてのデジタルビデオ信号を生成する。信号処理回路203により生成された輝度信号は、後述するコントラスト検出部210におけるコントラストの積算値にも利用される。
【0044】
コントラスト検出部210は、CMOS201により撮像された撮像画像におけるコントラストの積算値を算出する。
【0045】
合焦判定部220は、コントラスト検出部210により算出されたコントラストの積算値と、加速度センサ50により検出される携帯電話機1の移動方向の変化の有無等により、合焦状態であるか否かを判定する。具体的には、合焦判定部220は、コントラスト検出部210により算出されたコントラストの積算値が最大になると共に、その時点で加速度センサ50により速度の正負が逆転していない(同じ方向に移動されている)ことが検知された場合、合焦状態であると判定して、画像取得部230にその撮像画像を取得させる。
【0046】
ただし、合焦判定部220は、コントラスト検出部210により算出されたコントラストの積算値が最大となっても、その時点で加速度センサ50により速度の正負が逆転している(移動する向きが変わった)が検知された場合、合焦状態ではないと判定する。これは、携帯電話機1が合焦位置に近づいている途中で引き返したときのように移動の向きが変更された場合には、その時点でのコントラスト積算値が最大となるので、このような場合における位置を合焦位置と誤認することを抑制するためである。
合焦判定部220は、合焦状態であると判定した場合、画像取得部230に撮像画像を取得させる。
【0047】
画像取得部230は、CMOS201により撮像された撮像画像における所定の画像を取得する。具体的には、画像取得部230は、シャッター部250により撮像が指示されると共に、合焦判定部220により合焦状態であると判定された場合、合焦状態と判定された撮像画像を取得する。画像取得部230により取得された撮像画像は、メモリ44に保存される。ここで、画像取得部230は、マクロモードである場合に、CMOS201から撮像画像を取得するように設定してもよい。つまり、通常モードにおいては、上述のような撮像動作をなされないように設定してもよい。
【0048】
続けて、図5から図8により、携帯電話機1における基本的な撮像動作について説明する。
まず、図5に示すように、シャッター部250を押した状態で、携帯電話機1を被写体Sに近づける。具体的には、位置Aから位置Cまで一定の向きの速さ(つまり、図5における手の動きが、シャッター部250を押下している途中に紙面左右方向に往復しない速さのこと。)で携帯電話機1を被写体に近づけるように移動させる。この場合、携帯電話機1は非合焦状態(位置A)→合焦状態(位置B)→非合焦状態(位置C)と移動される。
【0049】
図6(A)に示すように、位置Aにおいて、コントラスト検出部210より算出されるコントラスト積算値は、比較的低い値である。次いで、位置Aから位置Bに移動されるに従って、コントラスト積算値は高くなり、合焦位置である位置Bで最大値となる。そして、位置Cに移動されるに従って、コントラスト積算値は再び低くなる。
【0050】
図6(B)に示すように、位置Aから位置Cへの移動において、携帯電話機1の移動は同じ方向への移動であり、携帯電話機1の動く向きは一定である。具体的には、位置Bにおいて、速度の正負が変更されていない。
【0051】
上述より、シャッター部250を押した状態で携帯電話機1を位置Aから位置Bに移動させた場合、位置Bにおいてコントラスト積算値が最大となり、その時点で速度における正負は変更されない。
【0052】
つまり、この場合においては、コントラスト検出部210により算出されたコントラスト積算値が位置Bで最大になると共に位置Bにおいて加速度センサ50により速度の正負が変更されたことが検知されないので、合焦判定部220は、位置BにおいてCMOS201により撮像された撮像画像について合焦状態であると判定すると共に該撮像画像を取得することを画像取得部230に指示する。そして、画像取得部230は、シャッター部250からの継続した取得指示と合焦判定部220からの指示とにより、撮像画像を取得する。画像取得部230により取得された撮像画像は、メモリ44に記憶される。
【0053】
次いで、図7に示すように、シャッター部250を押した状態で、携帯電話機1を移動させる。具体的には、位置Aから位置Bまで携帯電話機1を被写体Sに近づけるよう移動させると共に、位置Bから位置Cまで携帯電話機1を被写体Sから遠ざけるよう移動させる。ここで、位置Aから位置Cは、いずれも真の合焦位置に到達していない。つまり、携帯電話機1は非合焦状態(位置A)→非合焦状態(位置B)→非合焦状態(位置C)と移動される。
【0054】
図8(A)に示すように、位置Aにおいて、コントラスト検出部210より算出されるコントラスト積算値は、比較的低い値である。次いで、位置Aから位置Bに移動されるに従って、コントラスト積算値は高くなり、位置Bで最大値となる。そして、位置Cに移動されるに従って、コントラスト積算値は再び低くなる。
【0055】
コントラスト積算値は位置Bで最大値となっているが、実際の合焦状態におけるコントラスト積算値(下線の頂点)から比べるとかなり低い値である。つまり、位置Bにおいて、実際には合焦状態ではない。しかし、最も合焦状態に近い位置Bで引き返すように移動されているため、位置Bが、コントラスト積算値が最大となる位置と認識されるので、合焦判定部220は、位置Bにおいて合焦状態であると誤認してしまう。
【0056】
ここで、図8(B)に示すように、位置Aから位置Cへの移動において、携帯電話機1の移動は位置Bにおいて移動する向きが反対側に変更されている。具体的には、位置Bにおいて、速度の正負が変更されている。また、位置Bから位置Cへ携帯電話機1が移動する際にかかる時間は、所定時間内であるとする。
【0057】
つまり、シャッター部250を押した状態で携帯電話機1を位置Aから位置Bに移動させた場合、位置Bにおいてコントラスト積算値が最大となるが、その時点で速度における正負が変更されている。
【0058】
この場合においては、コントラスト検出部210により算出されたコントラスト積算値が位置Bで最大になるが、合焦判定部220は、位置BにおいてCMOS201により撮像された撮像画像について合焦状態であると判定しない。合焦判定部220は、該撮像画像を取得することを画像取得部230に指示しない。つまり、加速度センサ50により携帯電話機1の移動を監視することで、合焦判定部220における合焦状態の誤認を抑制することが可能となる。
【0059】
続けて、図9及び図10により、携帯電話機1における動作について説明する。
図9は、携帯電話機1における画像取得動作を説明するフロー図である。図10は、携帯電話機1における画像取得動作の他の例を説明するフロー図である。
【0060】
まず、図9により、携帯電話機1における画像取得動作を説明する。
図9に示すように、携帯電話機1における電源をオンにして動作を開始する。
次いで、所定のカメラモード切り替えスイッチを押すことで、カメラ動作を開始させる(ST100)。
【0061】
続けて、シャッター部250を押下することで、画像取得部230に対して、撮像画像をと取得することを指示する(ST101)。
シャッター部250が押下げられた状態において、コントラスト検出部210は、CMOS201により連続して撮像される撮像画像に対して、コントラストの積算値を連続的に算出する(ST102)。
【0062】
合焦判定部220は、新たに算出されたコントラスト積算値が直前に取得されたコントラスト積算値よりも小さいか否かを判定する(ST103)と共に、新たに算出されたコントラスト積算値が直前に取得されたコントラスト積算値よりも小さい場合には、加速度センサ50から速度情報を取得する(ST104)。新たに算出されたコントラスト積算値が直前のコントラスト積算値よりも小さい場合、直前のコントラスト積算値が最大値となる。
【0063】
そして、合焦判定部220は、加速度センサ50により取得された速度情報により、携帯電話機1における移動方向が反転したかを確認する(ST105)。つまり、合焦位置の誤認でないことを確認する。速度情報により携帯電話機1の移動方向が反転していないと判定された場合、合焦判定部220は、画像取得部230に対して、撮像画像を取得することを指示する(ST106)。取得された撮像画像はメモリ44に記憶される。
【0064】
不図示の終了部を押下げることで(ST107)、撮像動作を含むカメラ動作が終了される(ST108)。カメラ動作が終了された後、電源をオフにすることで、携帯電話機1における動作が終了される。
【0065】
続けて、図10により、携帯電話機1における画像取得動作における他の例を説明する。
図10に示すように、携帯電話機1における電源をオンにして動作を開始する。
次いで、所定のカメラモード切り替えスイッチを押すことで、カメラ動作を開始させる(ST200)。
【0066】
続けて、コントラスト検出部210は、CMOS201により撮像される撮像画像におけるコントラスト積算値Aを算出(取得)する(ST201)。コントラスト検出部210は、連続的に撮像される撮像画像におけるコントラスト積算値を連続的に算出すると共に、新たに算出されたコントラスト積算値が直前に取得されたコントラスト積算値よりも小さいか否かを判定する(ST202)。そして、新たに算出されたコントラスト積算値が直前に取得されたコントラスト積算値よりも小さい場合には、加速度センサ50から速度情報を取得する(ST203)。
【0067】
加速度センサ50により取得された速度情報により、携帯電話機1における移動方向が反転したかを確認する(ST204)。速度情報により携帯電話機1の移動方向が反転していないと判定された場合、コントラスト積算値を合焦状態における合焦積算値Aとしてメモリ44に記憶(保持)する(ST205)。
【0068】
続けて、シャッター部250が押下された場合(ST206)、メモリ44に合焦積算値Aが記憶(保持)されているか否かが確認される(ST207)。
合焦積算値Aが記憶(保持)されている場合、合焦判定部220は、メモリ44から合焦積算値Aを取得する(ST208)。
【0069】
そして、合焦判定部220は、コントラスト検出部210により算出(取得)されたコントラスト積算値と合焦積算値Aとの差(合焦積算値A−コントラスト積算値)が所定値Xよりも小さいか否かを判定する(ST209)。コントラスト積算値と合焦積算値Aとの差が所定値Xよりも大きい場合には、撮像画像についてのコントラスト検出部210によるコントラスト積算値算出が継続される。コントラスト積算値と合焦積算値Aとの差が所定値Xよりも小さい場合には、合焦判定部220は、合焦状態であると判定し、画像取得部230に撮像画像を取得させる(ST210)。ここで、所定値Xは、極めて小さな値に設定される。具体的には、算出誤差等の値が所定値Xとして設定される。つまり、実質的には、コントラスト積算値が合焦積算値Aと同じ値になった場合に、合焦判定部220が合焦状態であると判定するように設定される。
【0070】
不図示の終了部を押下げることで(ST211)、撮像動作を含むカメラ動作が終了される(ST212)。カメラ動作が終了された後、電源をオフにすることで、携帯電話機1における動作が終了される。
【0071】
本実施形地によれば、撮像画像におけるコントラストの積算値を算出すると共にコントラストの積算値が最大又は最大近傍である画像を取得することで、合焦した状態で撮像された画像を取得する携帯電話機1を提供することができる。
【0072】
また、本実施形態によれば、レンズを移動させる駆動機構がなくても、携帯電話機1自体を移動させることで合焦された状態で撮像された撮像画像を取得することができる。これにより、駆動モータを含む機構や電気駆動系を構成する部品を削減することができる。
【0073】
また、本実施形態によれば、合焦位置まで移動していない移動における合焦の誤認が抑制された携帯電話機1を提供することができる。つまり、合焦した状態を精度よく判定可能な携帯電話機1を提供することができる。
【0074】
また、本実施形態によれば、被写界深度が浅いマクロモードにおいて、コントラスト積算値の最大値となる撮像画像を取得するように設定されるので、ピントボケ等を好適に抑制することができる。
【0075】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。例えば、本実施形態において、携帯電子機器として携帯電話機1について説明しているが、これに限定されず、PHS(登録商標;Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であってもよい。
【0076】
また、本実施形態においては、連結部4により折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、このような折り畳み式ではなく、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転(水平回転)式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。
【0077】
また、本実施形態において、携帯電子機器としての携帯電話機1について説明しているが、これに限定されず、本発明は撮像方法を含む。例えば、本発明は、筐体と前記筐体に配置されるレンズ部と前記レンズ部を介して被写体の画像を撮像可能な撮像部とを有する携帯電子機器を、被写体と前記レンズ部との距離が変更するように移動させた場合における撮像方法であって、前記撮像部により前記被写体の画像を連続的に撮像するステップと、前記撮像部により連続的に撮像された前記被写体の画像におけるコントラストの積算値を算出する算出ステップと、前記算出された前記積算値が最大又は最大近傍である前記被写体の画像を前記撮像部から取得するステップと、を含む携帯電子機器を用いた撮像方法を含むといえる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】携帯電話機1を開いた状態における正面斜視図である。
【図2】携帯電話機1を開いた状態における裏面図である。
【図3】携帯電話機1の回路ブロック図である。
【図4】携帯電話機1における撮像画像を処理する機能における機能ブロック図である。
【図5】シャッター部250を押した状態で携帯電話機1を被写体S側に移動した状態を説明する図である。
【図6】(A)は、図5の場合におけるコントラスト検出部210により検出されたコントラスト積算値の変化を説明する図である。(B)は、図5の場合における加速度センサ50により測定される携帯電話機1における速度変化を説明する図である。
【図7】シャッター部250を押した状態で携帯電話機1を被写体S側に移動すると共に、合焦位置まで到達する前に被写体Sから遠ざかる方向に移動した状態を説明する図である。
【図8】(A)は、図7の場合におけるコントラスト検出部210により検出されたコントラスト積算値の変化を説明する図である。(B)は、図7の場合における加速度センサ50により測定される携帯電話機1における速度変化を説明する図である。
【図9】携帯電話機1における画像取得動作を説明するフロー図である。
【図10】携帯電話機1における画像取得動作の他の例を説明するフロー図である。
【符号の説明】
【0079】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体
3 表示部側筐体
23 カメラ部
23a レンズ部
44 メモリ
45 CPU
50 加速度センサ
201 CMOS
210 コントラスト検出部
220 合焦判定部
230 画像取得部
250 シャッター部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に配置されるレンズ部と、
前記レンズ部を介して被写体の画像を撮像可能な撮像部と、
前記撮像部により撮像された前記被写体の画像におけるコントラストの積算値を算出するコントラスト算出部と、
前記コントラスト算出部により算出された前記積算値が最大又は最大近傍となる前記被写体の画像を取得する画像取得部と、
を備える携帯電子機器。
【請求項2】
前記画像取得部に対して前記被写体の画像を取得することを指示するシャッター部を備え、
前記画像取得部は、前記シャッター部により前記被写体の画像を取得することが指示された後において、前記コントラスト算出部により算出された前記積算値が最大又は最大近傍となる前記被写体の画像を前記撮像部から取得する
請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記筐体に配置され該筐体の移動速度の変化を検出可能な速度変化検出部を備え、
前記画像取得部は、
前記速度変化検出部により速度における正負の変化が検出されない状態において、前記積算値が最大値又は最大近傍となる前記被写体の画像を前記撮像部から取得する
請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記速度変化検出部により速度における正負の変化が検出された場合、
前記画像取得部は、速度の正負が変化したときには、前記積算値が最大又は最大近傍となっても画像を前記撮像部から取得しない
請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記撮像部は、焦点距離が第1の焦点距離となる第1モードと、焦点距離が第2焦点距離となる第2モードとを有し、
前記第1モードと前記第2モードとを切り替え可能なモード切り替え部と、を備える
請求項1から4のいずれかに記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記撮像部は、前記被写体と前記レンズ部とが近い状態で撮像するマクロモードを有し、
前記画像取得部は、前記撮像部が前記マクロモードである場合に前記撮像部から前記画像を取得する
請求項1から5のいずれかに記載の携帯電子機器。
【請求項7】
筐体と前記筐体に配置されるレンズ部と前記レンズ部を介して被写体の画像を撮像可能な撮像部とを有する携帯電子機器の撮像方法であって、
前記撮像部により前記被写体の画像を連続的に撮像するステップと、
前記撮像部により連続的に撮像された前記被写体の画像におけるコントラストの積算値を算出する算出ステップと、
前記算出された前記積算値が最大又は最大近傍となる前記被写体の画像を取得するステップと、
を含む携帯電子機器を用いた撮像方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−180938(P2009−180938A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19982(P2008−19982)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】