説明

携帯電子機器

【課題】部品点数の削減が可能な携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の携帯電子機器は、第1面31Aに第1表示透過領域33が形成され、前記第1面31Aと異なる第2面32Aに第2表示透過領域34が形成された第1筐体3と、折り曲げられた状態で、前記第1筐体3の内部に配置される表示部材5と、を備え、前記表示部材5は、一方の面52に、前記第1表示透過領域33を介して前記第1筐体3の外部に透過される第1表示領域53と、前記第2表示透過領域34を介して前記第1筐体3の外部に透過される第2表示領域54と、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電子機器の1つである携帯電話機は、表示部を有する表示部側筐体と操作部を有する操作部側筐体とを開閉可能に連結した折り畳み式のものが主流となりつつある。
【0003】
また、折り畳み式の携帯電話機においては、表示部としての第1表示部に加え、折り畳んだ状態でも外部に露出する第2表示部を搭載した機種も多く普及しており、携帯電話機における利便性の向上が図られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−37664号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の携帯電話機では、第1表示部と第2表示部とをそれぞれ個別に設けているため、部品点数が増加するという問題があった。
【0006】
本発明は、部品点数の削減が可能な携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、第1面に第1表示透過領域が形成され、前記第1面と異なる第2面に第2表示透過領域が形成された第1筐体と、折り曲げられた状態で前記第1筐体の内部に配置される表示部材と、を備え、前記表示部材は、一方の面に、前記第1表示透過領域を介して前記第1筐体の外部に透過される第1表示領域と、前記第2表示透過領域を介して前記第1筐体の外部に透過される第2表示領域と、を有することを特徴とする携帯電子機器に関する。
【0008】
また、前記第1筐体の内部には、折り曲げられた状態の前記表示部材を支持するガイド部が設けられ、前記表示部材は、前記第1表示透過領域を介して前記第1筐体の外部に透過される領域又は前記第2表示透過領域を介して前記第1筐体の外部に透過される領域が変化可能に前記ガイド部を介して前記第1筐体の内部を前記第1面および前記第2面に沿って移動可能に構成されることが好ましい。
【0009】
また、前記第1筐体の内部における前記表示部材の位置を検出する検出部と、所定の処理を行う機能処理部と、前記検出部により検出された前記表示部材の位置に基づいて、前記機能処理部に所定の処理を実行させる制御部と、を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、部品点数の削減が可能な携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施形態の携帯電話機を開状態で示す斜視図である。
【図2】図1に示す携帯電話機を閉状態で示す斜視図である。
【図3】図1に示す表示部側筐体の分解組立図である。
【図4】図2に示すA−A断面図である。
【図5】図1に示す携帯電話機の回路構成を示すブロック図である。
【図6】(a)は、第1状態における携帯電話機の正面図であり、(b)は、第1状態において携帯電話機を開いた場合の正面図である。
【図7】(a)は、第2状態における携帯電話機の正面図であり、図7(b)は、第2状態において携帯電話機を開いた場合の正面図である。
【図8】図6(a)に示すB−B断面図である。
【図9】図7(a)に示すC−C断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の携帯電子機器の一実施形態である携帯電話機1の基本構造について、図1及び図2を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施形態の携帯電話機1を開状態で示す斜視図である。図2は、図1に示す携帯電話機1を閉状態で示す斜視図である。
【0013】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る携帯電話機1は、第2筐体としての操作部側筐体2と、第1筐体としての表示部側筐体3とを備えて構成されている。操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、操作部側筐体2の上端部と表示部側筐体3の下端部とがヒンジ機構を備える連結部4を介して、開閉軸Xを中心に開閉可能に連結されている。これにより、携帯電話機1は、連結部4を介して連結された操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に動かすことが可能になる。
【0014】
つまり、携帯電話機1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが連結部4を介して開いた(露出する)状態(以下、「開状態」という。図1参照)と、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが連結部4を介して対向する(折り畳まれた)状態(以下、「閉状態」という。図2参照)と、に変更可能に構成されている。なお、閉状態とは、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重なるように配置された状態であり、開状態とは、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが互いに重ならない状態であり、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重なる程度が小さくなるように配置された状態を含むものである。
【0015】
操作部側筐体2は、外面がフロントケース21及びリアケース22により構成されている。フロントケース21には、操作部11と、携帯電話機1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイクとしての音声入力部12と、磁石16と、がそれぞれ設けられている。
【0016】
操作部11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う決定操作キー15とを有して構成されている。
【0017】
操作部11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や各種モード、あるいは起動されているアプリケーション等の種類に応じて所定の機能が割り当てられる(キー・アサイン)。そして、使用者が各キーを押圧することにより、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0018】
音声入力部12は、操作部側筐体2の長手方向における連結部4側と反対の端部側に配置される。つまり、音声入力部12は、携帯電話機1の開状態において一方の端部側に配置される。
【0019】
磁石16は、操作部11の決定操作キー15の近傍に配置される。後述の検出部8は、この磁石16による磁界の強さを検出する。
【0020】
操作部側筐体2における一方側の側面には、外部機器(例えば、ホスト装置)と通信を行うためのインターフェース(図示せず)が設けられている。操作部側筐体2の他方側の側面には、所定の機能が割り当てられているサイドキー(図示せず)と、外部メモリの挿入及び取り出しが行われるインターフェース(図示せず)とが配置されている。各インターフェースは、不使用時にはキャップにより覆われている。
【0021】
表示部側筐体3は、フロントケース31及びリアケース32により構成されている。また、表示部側筐体3は、フロントケース31の外面(表示部側筐体3における正面)が第1面31Aを構成し、リアケース32の外面(表示部側筐体3における背面)が第2面32Aを構成している。
【0022】
フロントケース31には、第1表示透過領域33と、通話の相手側の音声を出力するスピーカ47とが設けられている。
第1表示透過領域33は、フロントケース31の略中央部にフロントケース31の外面(第1面31A)を開口することにより形成されており、透明部分を主体とする後述のトリムプレート37で覆われる。
【0023】
スピーカ47は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4とは反対の端部側に配置されている。つまり、スピーカ47は、携帯電話機1の開状態における表示部側筐体3側の端部近傍に配置されている。
【0024】
リアケース32には、第2表示透過領域34と、開口部35と、が形成されている。
第2表示透過領域34は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4とは反対側の端部近傍に、リアケース32の外面(第2面32A)を開口することにより形成されており、透明部分を主体とする後述のリアパネル38に覆われる。
【0025】
開口部35は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4側にリアケース32の外面(第2面32A)を開口することにより形成されている。具体的には、開口部35は、携帯電話機1の閉状態において操作部11(本実施形態では、操作部11における決定操作キー15)に対応する位置に形成されている。また、開口部35は、後述のスライド部6により開閉される。
【0026】
図1及び図2に示すように、携帯電話機1は、操作部側筐体2の操作部11及び表示部側筐体3の第1面31Aが外部に露出することにより開状態が構成され、操作部側筐体2の操作部11が表示部側筐体3の第1面31Aと対向することにより閉状態が構成されている。
【0027】
次に、表示部側筐体3の内部構造について、図3及び図4を参照しながら説明する。
図3は、図1に示す表示部側筐体3の分解組立図である。図4は、図2に示すA−A断面図である。
図3及び図4に示すように、表示部側筐体3は、リアケース32と、リアパネル38と、スライド部6と、回路基板7と、シールドケース39と、ガイド部36と、有機ELモジュール5と、フロントケース31と、トリムプレート37と、検出部8と、を備えて構成されている。
【0028】
フロントケース31とリアケース32とは、フロントケース31がリアケース32の凹状の開口を覆うように配置され、互いの外周縁が重なり合うようにして結合されている。また、フロントケース31とリアケース32との間には、スライド部6と、回路基板7と、シールドケース39と、ガイド部36と、有機ELモジュール5とが挟まれるようにして内蔵されている。
【0029】
リアケース32には、矩形状に開口した第2表示透過領域34と、矩形状に開口した開口部35とが形成されている。
第2表示透過領域34は、表示部側筐体3の長手方向における連結部4とは反対側の端部近傍に形成されている。
【0030】
開口部35は、携帯電話機1の閉状態において操作部11の決定操作キー15と対向する位置に、決定操作キー15の外形よりも大きくなるように形成されている。これにより、開口部35は、携帯電話機1の閉状態において決定操作キー15を外部に露出させることが可能となる。
【0031】
リアパネル38は、透明樹脂フィルムまたは金属が蒸着された樹脂フィルムからなり、光透過性を有する。リアパネル38は、リアケース32(表示部側筐体3の第2面32A)に貼り付けられ、第2表示透過領域34を被覆している。
【0032】
スライド部6は、開口部35を開閉可能な開閉部6aと、開閉部6aの上面に設けられる操作突起部6bと、開閉部6aの下面に設けられ、有機ELモジュール5に連結されるモジュール連結部6cと、を備えて構成されている。
開閉部6aは、開口部35を被覆可能に矩形板状に形成されており、表示部側筐体3の長手方向に摺動可能にリアケース32の内面側に取り付けられている。
【0033】
操作突起部6bは、開閉部6aの上面において、表示部側筐体3の長手方向における連結部4側に位置する端部に設けられており、開口部35から突出した状態で開閉部6aに連結されている。
【0034】
モジュール連結部6cは、開閉部6aの下面において、表示部側筐体3の長手方向における連結部4側に位置する端部に設けられている。また、モジュール連結部6cは、開閉部6aの下面に直交した状態で開閉部6aの下面側に延びるように形成されており、有機ELモジュール5の第1面31Aに沿う側の端部(連結部4側の端部)と連結されている。つまり、操作突起部6bを操作してモジュール連結部6cを移動させることにより、有機ELモジュール5が表示部側筐体3の内部を移動するように構成されている。また、モジュール連結部6cには、後述の検出部8が取り付けられている。
【0035】
スライド部6は、操作突起部6bを用いて開閉部6aを表示部側筐体3の長手方向に摺動させることにより、開口部35を開放させることが可能となると共に、表示部側筐体3の内部に配置された有機ELモジュール5を所定の方向に移動させることが可能になる。つまり、スライド部6を摺動させることにより、開口部35を閉塞状態から開放状態の間で変化させることが可能となると共に、後述のガイド部36を介して有機ELモジュール5を表示部側筐体3の内部において移動させて第1表示透過領域33及び第2表示透過領域34を介して透過されるメイン表示部53及びサブ表示部54の面積を調整することが可能になる。
【0036】
すなわち、有機ELモジュール5は、第1表示透過領域33を介して表示部側筐体3の外部に透過される領域又は第2表示透過領域34を介して表示部側筐体3の外部に透過される領域が変化可能に、後述のガイド部36を介して表示部側筐体3の内部を第1面31Aおよび第2面32Aに沿って移動可能に構成される。
【0037】
なお、表示部側筐体3の内部における有機ELモジュール5の位置は、後述の検出部8(図4参照)によって検出されており、有機ELモジュール5の位置により有機ELモジュール5におけるメイン表示部53及びサブ表示部54に表示される画像等が制御されるように構成されている。
【0038】
回路基板7には、各種電子部品(図示せず)や回路(図示せず)等が配置されている。また、回路基板7には、有機ELモジュール5を電気的に接続するためのコネクタ7bが配設されている。また、回路基板7には、フロントケース31とリアケース32の間に内蔵されたときに、表示部側筐体3の厚さ方向から視て開口部35に対応する部分に切欠部7aが形成されている。
【0039】
シールドケース39は、ノイズを遮断するための板金部材によって形成されており、外部からの高周波等のノイズが回路基板7に配置される各種電子部品等に作用するのを抑制する。また、シールドケース39には、切欠部39aが形成されている。切欠部39aは、シールドケース39がフロントケース31とリアケース32の間に内蔵されたときに、表示部側筐体3の厚さ方向から視て開口部35に対応する部分に形成されている。
【0040】
ガイド部36は、表示部側筐体3の内部に折り曲げられた状態で配置される有機ELモジュール5を折り曲げられた状態で支持する。具体的には、有機ELモジュール5は、このガイド部36を介して表示部側筐体3の内部を第1面31A及び第2面32Aに沿って移動可能に構成される。
【0041】
ガイド部36は、第1ガイド部36aと、第2ガイド部36bと、を有して構成されている。第1ガイド部36aと第2ガイド部36bとは、有機ELモジュール5を挟むように離間して表示部側筐体3の内部に配置されている。
【0042】
第1ガイド部36aは、シールドケース39に固定されている。
第1ガイド部36aは、湾曲部36cを備えて構成されている。湾曲部36cは、表示部側筐体3の長手方向における連結部4と反対側の端部に形成されている。
【0043】
第2ガイド部36bは、湾曲部36cと対向するように配設されている。
第2ガイド部36bは、凹状部を備えて構成されている。凹状部は、湾曲部36cと対向する位置に湾曲面36dを有する略コの字状に形成されている。
【0044】
有機ELモジュール5は、非表示面51を内側にして折り曲げられた状態で第1ガイド部36aに支持されて、表示部側筐体3の内部に配置されている。また、有機ELモジュール5は、一方の面としての表示面52に、第1表示透過領域33を介して表示部側筐体3の外部に透過されるメイン表示部53と、第2表示透過領域34を介して表示部側筐体3の外部に透過されるサブ表示部54と、備えて構成されている。
【0045】
また、有機ELモジュール5は、有機ELモジュール5に接続されるフレキシブルプリント基板(FPC)55を備えており、フレキシブルプリント基板(FPC)55の先端に設けられたコネクタ56により、回路基板7(コネクタ7b)に接続されている。
【0046】
有機ELモジュール5は、表示部側筐体3の内部を表示部側筐体3の長手方向に移動可能に配設されている。
有機ELモジュール5は、非表示面51を湾曲部36cに接触させ、一方の面としての表示面52を湾曲面36dに接触させることにより、湾曲部36c及び湾曲面36dを介して第1面31A及び第2面32Aに沿って移動する。
【0047】
有機ELモジュール5の移動は、後述するように、閉状態において操作部11がメイン表示部53によって閉塞されると共にサブ表示部54が第2表示透過領域34を介して外部に透過される第1状態(図6及び図8参照)と、第1面31Aに沿う側の端部が第1状態よりガイド部36の方向に位置すると共に操作部11が開口部35、切欠部7a、切欠部39a、第1表示透過領域33及び後述するトリムプレート37に形成された切欠部37aを介して露出する第2状態(図7及び図9参照)との間で行われる。
【0048】
フロントケース31には、矩形状に開口した第1表示透過領域33が形成されている。第1表示透過領域33を介して有機ELモジュール5のメイン表示部53が外部に透過される。
【0049】
トリムプレート37は、アクリル樹脂、強化ガラス等の透明板によって形成されており、光透過性を有する。トリムプレート37は、フロントケース31(表示部側筐体3の第1面31A)に貼り付けられ、第1表示透過領域33を被覆する。また、トリムプレート37には、表示部側筐体3の厚さ方向から視て開口部35に対応する部分に、切欠部37aが形成されている。
【0050】
検出部8は、表示部側筐体3の内部における有機ELモジュール5の位置を検出する。本実施形態においては、検出部8は磁気センサであり、操作部11の決定操作キー15の近傍に配置された磁石16による磁界の強さを検出し、検出された磁界の強さに応じた検出信号を後述のCPU45に出力する。検出部8は、スライド部6のモジュール連結部6cに取り付けられており、スライド部6の摺動に伴って表示部側筐体3の内部を移動する。スライド部6が開口部35を閉塞している状態では、検出部8と磁石16とは近接した位置にある。検出部8が表示部側筐体3の内部を移動すると、検出部8と磁石16との距離が変化し、検出される磁界の強さが変化する。これにより、表示部側筐体3の内部における有機ELモジュール5の位置を検出することができる。
【0051】
次に、本発明の携帯電子機器の一実施形態である携帯電話機1の回路構成について、図5を参照しながら説明する。
図5は、図1に示す携帯電話機1の回路構成を示すブロック図である。
【0052】
図5に示すように、携帯電話機1は、操作部11と、音声入力部(マイク)12と、メインアンテナ40と、通信処理部81と、機能処理部としての表示制御部90と、音声処理部83と、メモリ84と、制御部としてのCPU45と、電源部86と、制御IC87と、検出部8とが操作部側筐体2に配置され、第1表示領域としてのメイン表示部53及び第2表示領域としてのサブ表示部54を有する有機ELモジュール5と、スピーカ47と、ドライバIC26とが表示部側筐体3に配置されて構成されている。
【0053】
メインアンテナ40は、所定の使用周波数帯(例えば、800MHz)で外部装置と通信を行う。メインアンテナ40により、音声通信のほか電子メールの送受信が行われる。
なお、本実施形態では、所定の使用周波数帯を800MHzとしたが、異なる他の周波数帯であってもよい。また、メインアンテナ40は、所定の使用周波数帯だけでなく、他の使用周波数帯(例えば、2GHz)にも対応できるいわゆるデュアルバンド対応型による構成であってもよい。
【0054】
通信処理部81は、メインアンテナ40によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号をCPU45に供給すると共に、CPU45から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ40を介して外部装置(基地局)に送信するよう構成される。
【0055】
CPU45は、携帯電話機1の全体を制御する。CPU45は、例えば、通信処理部81、表示制御部90及び音声処理部83に対して所定の制御を行う。
【0056】
表示制御部90は、CPU45の制御にしたがって、入力された画像データに対して所定の画像処理を行うと共に、画像処理された画像データをドライバIC25に出力する。
ドライバIC25は、表示制御部90から入力された画像データをフレームメモリに蓄えると共に、該フレームメモリに蓄えられた画像データを所定のタイミングで有機ELモジュール5のメイン表示部53及びサブ表示部54に出力する。
【0057】
メイン表示部53及びサブ表示部54は、ドライバIC25から入力されたデータに基づいて、所定の文字や画像を表示する。メイン表示部53及びサブ表示部54には、CPU45の制御にしたがって、各機能を示す画像(例えば、アイコン等)や文字列等が表示される。
【0058】
また、表示制御部90は、後述の検出部8からの検出信号に基づいて、所定の機能(所定の処理)を実行し、メイン表示部53及びサブ表示部54に表示される表示内容の切り替え等の処理を行う機能処理部としても動作する。
【0059】
検出部8は、先に述べたように表示部側筐体3の内部における有機ELモジュール5の位置を検出する。検出部8による検出信号は、まずCPU45に出力され、CPU45から表示制御部90(機能処理部)に出力され、機能処理部としての表示制御部90により検出信号に応じて所定の機能(所定の処理)が実行される。
【0060】
メモリ84は、所定のデータを記憶する。具体的には、メモリ84には、各種機能プログラムや通信時に利用されるアドレス情報等が記憶されている。
【0061】
音声処理部83は、CPU45の制御にしたがって、通信処理部81から供給された信号に対して所定の音声処理を行うと共に、音声処理された信号をスピーカ47に出力する。スピーカ47は、音声処理部83から供給された信号に基づいて外部に放音(出力)する。また、音声処理部83は、CPU45の制御にしたがって、音声入力部(マイク)12から入力された信号に対して所定の処理をすると共に、処理された信号を通信処理部81に出力する。通信処理部81は、音声処理部83から入力された信号に所定の処理を行うと共に、処理がされた信号をメインアンテナ40に出力する。
【0062】
電源部86は、バッテリ(図示せず)を有して構成される。バッテリは、所定容量を有すると共に充電可能な電池である。
制御IC87は、電源部86から供給される電源電圧を所定の電源電圧に変換し、変換後の電源電圧を携帯電話機1における各部(例えば、CPU45等)に供給する。
【0063】
次に、本実施形態の携帯電話機1の動作について、図6(a)から図9を参照しながら説明する。
図6(a)は、第1状態における携帯電話機1の正面図であり、図6(b)は、第1状態において携帯電話機1を開いた場合の正面図である。図7(a)は、第2状態における携帯電話機1の正面図であり、図7(b)は、第2状態において携帯電話機1を開いた場合の正面図である。図8は、図6(a)に示すB−B断面図である。図9は、図7(a)に示すC−C断面図である。
【0064】
図6(a)及び図8に示すように、第1状態においては、操作部11がメイン表示部53に閉塞された状態となっている。また、所定の面積(図8に示す断面において矢印F1の長さを有する面積)のサブ表示部54が第2表示透過領域34を介して表示部側筐体3の外部に透過される。このとき、CPU45は、検出部8により検出された有機ELモジュール5の位置に基づき、表示制御部90(機能処理部)を制御して、例えば、サブ表示部54に電波状況や時刻を表示させ、メイン表示部53に通常の待ち受け画面や起動中の機能に関する画像や動画等を表示させる。
【0065】
次いで、操作突起部6bを矢印Gの方向に移動させると、図7(a)及び図9に示すように、モジュール連結部6cが矢印Gの方向に移動する。モジュール連結部6cが矢印Gの方向に移動すると、モジュール連結部6cに連結された有機ELモジュール5が第1面31A及び第2面32Aに沿って移動し、第2状態となる。この第2状態では、有機ELモジュール5の第1面31Aに沿う側の端部が上記第1状態よりガイド部36の方向に位置する。
このとき、第2表示透過領域34全体を介してサブ表示部54が外部に透過される。一方、第1表示透過領域33を介して透過されるメイン表示部53の面積は、第1状態と比較して小さくなる。
【0066】
また、第2状態においては、操作部11における決定操作キー15が開口部35、切欠部7a、切欠部39a、第1表示透過領域33及び切欠部37aを介して露出する。従って、図9に示すように、開口部35から指等を差し入れて決定操作キー15を操作することが可能になる。つまり、携帯電話機1が閉状態においても、決定操作キー15への操作が可能となる。
【0067】
第2状態においても、CPU45は、検出部8により検出された有機ELモジュール5の位置に基づいて、表示制御部90(機能処理部)を制御する。表示制御部90(機能処理部)は、例えば、サブ表示部54に起動中の機能に関する内容(ワンセグにおけるテレビ画面や音楽プレイヤーにおけるジャケット等)を表示させ、メイン表示部53に電波状況や時刻等を表示させる等の制御を行う。
【0068】
前述した構成を有する本実施形態の携帯電話機1によれば、以下に示す各効果が奏される。
【0069】
本実施形態では、折り曲げ可能に構成される有機ELモジュール5がメイン表示部53及びサブ表示部54を有しているため、単一の有機ELモジュール(ディスプレイモジュール)5により複数の表示部を動作させることができる。これにより、複数のディスプレイモジュールを個々に設ける必要がなくなり、ディスプレイモジュールの点数を削減することができる。
【0070】
また、本実施形態では、単一の有機ELモジュール5を用いるため、有機ELモジュール5の表示制御を行うドライバIC26やソフトを一つとすることができ、制御が容易となる。また、電力を供給するためのコネクタを一つとすることができるため、回路基板7のコネクタを一つとすることができ、回路基板7の実装面積を削減することができる。
【0071】
また、本実施形態では、複数のディスプレイモジュールが不要となるため、携帯電話機1を容易に薄型化することができる。
【0072】
また、本実施形態では、第2状態において、開口部35を介して決定操作キー15が外部に露出すると共に、サブ表示部54の面積の第1状態よりも広くなる。これにより、携帯電話機1の操作性が向上する。閉状態においても、開状態でメイン表示部53を見るようにサブ表示部54を見ながら決定操作キー15によりアプリケーション等の操作を行うことが可能になる。
【0073】
また、メイン表示部53及びサブ表示部54に表示させる表示内容を、第1表示透過領域33又は第2表示透過領域34を介して露出する面積に合わせて変更することができる。これにより、携帯電話機1の使い勝手が向上する。
【0074】
以上、好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の形態で実施することができる。
例えば、本実施形態においては、連結部4により折り畳み可能な携帯電話機1の説明をしているが、本発明はこれに限定されず、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3との重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転(ターン)式や、操作部側筐体2と表示部側筐体3とが一つの筐体に配置され連結部を有さない型式(ストレートタイプ)でもよい。また、携帯電話機1は、開閉及び回転可能ないわゆる2軸ヒンジタイプであってもよい。
【0075】
また、本実施形態では、第1表示透過領域33をフロントケース31への開口により形成し、第2表示透過領域34をリアケース32への開口により形成しているが、第1表示透過領域及び第2表示透過領域は、表示部側筐体3内部に配置された有機ELモジュール5を透過可能であればよく、透明材料、マジックミラー等を用いて形成してもよい。また、この場合、透明材料やマジックミラーを介して決定操作キー15が操作可能であればよい。
【0076】
また、本実施形態においては、第2表示透過領域34は、表示部側筐体3の第2面32Aに形成されているが本発明はこれに限定されない。例えば、第2表示透過領域34は、表示部側筐体3の側面に形成されていてもよい。
【0077】
また、本実施形態においては、第1ガイド部36aは、シールドケース39に固定されているが本発明はこれに限定されない。例えば、第1ガイド部36aは、シールドケース39とは異なる部材に固定されていてもよい。また、第1ガイド部36aは、有機ELモジュール5を支持するものであれば、携帯電話機1の内部に配置される部材に固定されていなくてもよい。
【0078】
また、本実施形態においては、第2状態において第2表示透過領域全体を介してサブ表示部54が、表示部側筐体3の外部に透過されるが本発明はこれに限定されない。例えば、サブ表示部54は、第2状態において表示部側筐体3の外部に透過される面積が第1状態よりも広ければよい。
【0079】
また、本実施形態においては、第2状態において操作部11の操作決定キー15のみが開口部35、切欠部7a、切欠部39a、第1表示透過領域33、及び切欠部37aを介して表示部側筐体3の外部に露出しているが本発明はこれに限定されない。機能操作決定キー13や入力操作キー14が露出するように構成してもよい。また、操作決定キー15が外部に露出するような構成であれば、回路基板7、シールドケース39、トリムプレート37に切欠部が設けられていなくともよい。
【0080】
また、本実施形態においては、検出部8に磁気センサを用いているが、本発明はこれに限定されない。検出部8は、表示部側筐体3の内部における有機ELモジュール5の位置を検出することができれば、光センサやエンコーダ等のメカニカルセンサなどであってもよい。また、操作部側筐体2に磁石16が設けられ、表示部側筐体3に検出部8が設けられているが、本発明はこれに限定されない。操作部側筐体2に検出部8が設けられ、表示部側筐体3に磁石16が設けられていてもよい。
【0081】
また、本実施形態においては、第2状態においてサブ表示部54にワンセグのテレビ画面や音楽プレイヤーにおけるジャケットが表示されるが、本発明はこれに限定されない。サブ表示部54に表示される内容は他の機能に関するものであってもよい。
【0082】
また、本実施形態においては、検出部8による有機ELモジュール5の位置の検出は、第1状態と第2状態の2段階で検出しているが、本発明はこれに限定されない。有機ELモジュール5の位置を多段階に検出し、多段階に検出した状態に基づいて、メイン表示部53及びサブ表示部54に表示させる内容を表示制御部90により切り替え又は変更させてもよい。
【0083】
また、本実施形態においては、機能処理部による所定の処理として、表示制御部90にメイン表示部53及びサブ表示部54の表示内容を制御させているが、本発明はこれに限定されない。例えば、連結部に電気的に携帯電話機1の開閉動作を制御する開閉動作部を設け、検出部8によって有機ELモジュール5が第2状態の位置から第1状態の位置に移動したことが検出されると、開閉動作部に携帯電話機を開状態とする処理を実行させるように構成してもよい。
【0084】
本発明は、携帯電話機以外の携帯電子機器に適用することができる。携帯電話機以外の携帯電子機器としては、例えば、折り畳み式のPHS(登録商標:Personal Handy phone System)、ポータブルゲーム機、ポータブルナビゲーション装置、PDA(Personal Digital Assistant)、ノートパソコン等が挙げられるが、これらのみに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0085】
1 携帯電話機
2 操作部側筐体(第2筐体)
3 表示部側筐体(第1筐体)
4 連結部
5 有機ELモジュール(表示部材)
6 スライド部
8 検出部
31 フロントケース
31A 第1面
32 リアケース
32A 第2面
33 第1表示透過領域
34 第2表示透過領域
35 開口部
36 ガイド部
36A 第1ガイド部
36B 第2ガイド部
45 CPU(制御部)
52 表示面(一方の面)
53 メイン表示部
54 サブ表示部
90 表示制御部(機能処理部)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面に第1表示透過領域が形成され、前記第1面と異なる第2面に第2表示透過領域が形成された第1筐体と、
折り曲げられた状態で前記第1筐体の内部に配置される表示部材と、を備え、
前記表示部材は、一方の面に、前記第1表示透過領域を介して前記第1筐体の外部に透過される第1表示領域と、前記第2表示透過領域を介して前記第1筐体の外部に透過される第2表示領域と、を有することを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記第1筐体の内部には、折り曲げられた状態の前記表示部材を支持するガイド部が設けられ、
前記表示部材は、前記第1表示透過領域を介して前記第1筐体の外部に透過される領域又は前記第2表示透過領域を介して前記第1筐体の外部に透過される領域が変化可能に前記ガイド部を介して前記第1筐体の内部を前記第1面および前記第2面に沿って移動可能に構成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記第1筐体の内部における前記表示部材の位置を検出する検出部と、
所定の処理を行う機能処理部と、
前記検出部により検出された前記表示部材の位置に基づいて、前記機能処理部に所定の処理を実行させる制御部と、を有することを特徴とする請求項2に記載の携帯電子機器。




【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate