説明

携帯電子機器

【課題】携帯電子機器を構成する筐体のデザインのイメージに合った画像のデザインを表示部の画面に表示させること。
【解決手段】携帯電子機器1は、処理部12と、記憶部13と、表示部17とを備える。記憶部13には、自装置の製造IDと、それぞれ画像情報を有する複数のデザイン情報と、複数のID情報とが保存されるとともに、複数のID情報と複数のデザイン情報とがそれぞれ対応付けられている。処理部12は、製造IDを取得して、取得した製造IDの少なくとも一部に対応するID情報を複数のID情報から検索し、検索されたID情報に対応するデザイン情報に基づいた画像を、表示部17に表示する所定の画像として設定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の携帯電子機器においては、多様なユーザーのニーズに対応するため、通常、多数のカラーバリエーションを展開している。ところが、携帯電子機器の筐体の色によって、ユーザー層が明らかに異なる場合等が多いので、待ち受け時に表示される画像等のデザインについても、筐体のカラーバリエーションに対応させることが好ましい。
【0003】
ユーザーの多様なニーズに対応する手段としては、例えば、特許文献1に開示されるようなものがある。これは、携帯電子機器の筐体にパネルを着脱可能に構成したものである。そして、特定の種類のコンテンツを呼び出すときには、装着されたパネルの種類を判別して、パネルに対応するコンテンツを呼び出す技術である。
【0004】
【特許文献1】特開2008−42824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示された技術は、携帯電子機器の筐体に取り付けるパネルを交換するに過ぎず、基本となる筐体のカラーバリエーションに対しては対応していない。このため、筐体のカラーバリエーションを多色展開するとともに、筐体のカラーに合った待ち受け画像やメニュー画像を表示させるためには、それぞれのカラーバリエーション毎にそれぞれ個別の待ち受け画像やメニュー画像を持たせる必要がある。これを実現する場合、製造段階で、それぞれのカラーバリエーション毎に異なるデータを記憶部に書き込む必要がある。その結果、色数分の個別対応が必要になるため、製造効率が低下する。また、待ち受け画像やメニュー画像等のデータも含めたすべてのソフトウェアを記憶部に書き込む方式の場合には、それぞれ独立したソフトウェアが必要になるため、製造コストの上昇を招いてしまう。
【0006】
また、それぞれの筐体の色に合ったデザインの待ち受け画像やメニュー画像を作成して携帯電子機器にインストールしておき、それぞれの筐体のカラーに合ったデザインの待ち受け画像等を携帯電子機器の表示部に表示させることが考えられる。しかしながら、複数のデザインの画像を携帯電子機器にインストールしたとしても、携帯電子機器の工場出荷時に設定される待ち受け画像やメニュー画像は、インストールされた複数のデザインの画像から一種類を選択しなければならない。このため、ユーザーが携帯電子機器を購入した後、初めて起動したときに表示される待ち受け画像やメニュー画像等は、筐体の色のイメージと相違することがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、携帯電子機器の製造コストの上昇を抑制しつつ、携帯電子機器が備える筐体のデザインのイメージに合ったデザインの画像を表示部の画面に表示させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯電子機器は、画像を表示する表示部を有する携帯電子機器であって、自装置の製造IDと、それぞれ画像情報を有する複数のデザイン情報と、複数のID情報とが保存されるとともに、前記複数のID情報と前記複数のデザイン情報とがそれぞれ対応付けられている記憶部と、前記製造IDを取得して、当該製造IDの少なくとも一部に対応するID情報を前記複数のID情報から検索し、検索されたID情報に対応するデザイン情報に基づいた画像を前記表示部に表示する所定の画像として設定する処理部と、を含む構成としたものである。
【0009】
また、本発明の携帯電子機器において、前記製造IDは、数列を含んで構成され、前記複数のID情報は、それぞれが、前記携帯電子機器の筐体のデザインを一義的に示す所定範囲を指定する数値情報又は文字情報を含み、前記処理部は、前記所定の画像を設定する際、前記複数のID情報により特定される範囲のいずれに前記製造IDの数列が属するかを判断することで、対応するID情報を検索するように構成してもよい。
【0010】
また、本発明の携帯電子機器において、前記製造IDは、文字列を含んで構成され、当該文字列の一部には、前記携帯電子機器の筐体のデザインを一義的に示す情報が含まれており、前記処理部は、前記所定の画像を設定する際、前記文字列の一部と一致するID情報を前記複数のID情報から検索するように構成してもよい。
【0011】
また、本発明の携帯電子機器において、前記文字列の一部は、前記携帯電子機器の筐体の色を一義的に示す情報としてもよい。
【0012】
また、本発明の携帯電子機器において、前記デザイン情報は、受信待ち受け時に前記表示部に表示させる待ち受け画面を描画するための画像情報と、前記表示部に表示させるメニュー画像を描画させるための画像情報との少なくとも一つとしてもよい。
【0013】
また、本発明の携帯電子機器において、前記処理部は、前記携帯電子機器のリセットが実行された後、あるいは電源起動時に前記製造IDを取得して、取得した前記製造IDに対応する前記デザイン情報に基づいた画像を、前記表示部に表示する前記所定の画像として設定するように構成してもよい。
【0014】
また、本発明の携帯電子機器において、前記記憶部は、前記処理部により前記所定の画像が設定されると所定の値を保存し、前記処理部は、前記携帯電子機器の電源起動時に、前記記憶部に前記所定の値が記憶されているかどうかを判定し、記憶されていなければ、前記製造IDを取得して、取得した前記製造IDに対応するID情報の検索を行うように構成してもよい。
【0015】
また、本発明の携帯電子機器において、前記デザイン情報は、前記表示部に表示される画像の背景について指定する背景情報と、前記背景上に表示する表示オブジェクトを指定するオブジェクト情報と、前記表示オブジェクトの動作について制定する動作情報とを含んで構成されるデータファイルとしてもよい。
【0016】
また、本発明の携帯電子機器において、前記デザイン情報は、前記表示部に表示される画像の背景について指定する背景情報と、前記背景上に表示する表示オブジェクトを指定するオブジェクト情報と、前記表示オブジェクトの動作について制定する動作情報とを含んで構成されるデータファイルであり、前記処理部は、所定のイベントが発生すると、前記記憶部から前記製造IDを取得して、取得した前記製造IDに基づいて前記データファイルを特定し、当該データファイルにより生成される画像を前記所定の画像として設定するように構成してもよい。
【0017】
また、本発明の携帯電子機器において、前記表示部が設けられ、かつ開閉可能に構成される筐体を備え、前記所定のイベントは、前記筐体の状態が開状態になること、あるいは閉状態が解除されたことのいずれかとしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、携帯電子機器の製造コストの上昇を抑制しつつ、携帯電子機器が備える筐体のデザインのイメージに合ったデザインの画像を表示部の画面に表示させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の説明により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。以下においては、携帯電子機器として携帯電話機を例として説明するが、本発明の適用対象は携帯電話機に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handy phone System)、PDA、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン、ゲーム機等に対しても本発明は適用できる。
【0020】
(実施形態1)
図1は、実施形態1に係る携帯電子機器の正面図である。図2は、実施形態1に係る携帯電子機器の側面図である。図3は、実施形態1に係る携帯電子機器を閉じた状態を示す図である。本実施形態は、携帯電子機器において、複数のID情報と、それぞれ画像情報を有する複数のデザイン情報とをそれぞれ対応付けておき、自装置の製造IDの少なくとも一部に対応するID情報を複数のID情報から検索し、検索されたID情報に対応するデザイン情報が、表示部に表示される所定の画像として設定される点に特徴がある。これによって、本実施形態は、携帯電子機器の製造IDを用いて自機器の筐体のデザインを判別し、判別された筐体のデザインのイメージに合った画像を表示部に表示させることができる。本実施形態では、複数のID情報は、それぞれが、携帯電子機器の筐体のデザインを一義的に示す所定の範囲を指定する数値情報又は文字情報を含んでおり、所定の画像を設定する際、複数のID情報により特定される範囲のいずれに自機器の製造IDの数列が属するかを判断することで、自機器に対応するID情報を検索する。
【0021】
まず、携帯電子機器の構成を説明する。携帯電子機器1は、無線通信機能を備えた携帯電話機である。携帯電子機器1は、筐体1Cが第1筐体1CAと第2筐体1CBとで開閉可能に構成された、折り畳み式の携帯電話機である。図1、図2は、携帯電子機器1を開いた状態を示し、図3は、携帯電子機器1を閉じた状態を示す。
【0022】
第1筐体1CAには、表示部として、図1に示すメインディスプレイ2Mが設けられる。また、第1筐体1CAには、同じく表示部として図3に示すサブディスプレイ2Sが設けられる。メインディスプレイ2Mとサブディスプレイ2Sとは、第1筐体1CAの対向する面にそれぞれ配置されており、携帯電子機器1を閉じたときには、サブディスプレイ2Sをユーザーが目視できるように構成される。
【0023】
メインディスプレイ2Mは、所定の画像として、携帯電子機器1が受信を待機している状態のときに待ち受け画像を表示したり、携帯電子機器1の操作を補助するために用いられるメニュー画像を表示したりする。ここで、待ち受け画像とは、携帯電子機器1が通信(バックグラウンド動作を除く)しておらず、かつユーザーからの操作も発生しておらず、かつユーザーからの指示を待ち受けている場合に、メインディスプレイ2Mに表示されるものであって、壁紙ともいう。待ち受け画像は、静止画、動画のいずれも含み、前述した条件で表示されるものであれば、スクリーンセーバーと称されるものも待ち受け画像に含まれる。サブディスプレイ2Sは、図3に示すように、携帯電子機器1を閉じている状態において、携帯電子機器1の電池の残量や電波の受信状態等を表示する。また、第1筐体1CAには、携帯電子機器1の通話時に音声を発するスピーカ6が設けられる。
【0024】
第2筐体1CBには、通話相手の電話番号や、メール作成時等に文字を入力するための操作キー3が複数設けられ、また、メインディスプレイ2Mに表示されるメニューの選択及び決定や画面のスクロール等を容易に実行するための方向及び決定キー4が設けられる。第2筐体1CBにはアンテナ7が設けられており、携帯電子機器1と基地局との間における送受信に用いられる。なお、操作キー3及び方向及び決定キー4は、携帯電子機器1の操作部を構成する。
【0025】
図2に示すように、本実施形態において、第2筐体1CBの一つの側部(操作キー3や方向及び決定キー4が設けられる面と略直交する面のうちの一つ)には、通信用端子8が設けられる。通信用端子8は、第2筐体1CB内に設けられる記憶部に第2筐体1CBの外部から情報を保存したり、前記記憶部に保存される情報を第2筐体1CBの外部へ取り出したりする際に用いられる。前記記憶部に保存される情報は、例えば、携帯電子機器1の制御に用いるソフトウェアや画像データ、あるいは音声データ等である。また、第2筐体1CBには、携帯電子機器1の通話時に音声を受け取るマイク5が設けられる。
【0026】
第1筐体1CAと第2筐体1CBとは、ヒンジ9で連結されている。これによって、第1筐体1CA及び第2筐体1CBは、ヒンジ9を中心としてともに回動して、互いに遠ざかる方向及び互いに接近する方向(図2の矢印Rで示す方向)に回動できるように構成される。第1筐体1CAと第2筐体1CBとが互いに遠ざかる方向に回動すると携帯電子機器1が開き、第1筐体1CAと第2筐体1CBとが互いに接近する方向に回動すると携帯電子機器1が閉じる。
【0027】
図4は、実施形態1に係る携帯電子機器の機能を説明するブロック図である。携帯電子機器1は、通信部11と、処理部12と、記憶部13と、音声処理部14と、マイク5(MIC)と、スピーカ6(SP)と、表示部17と、操作部18とを有する。通信部11は、アンテナ7を備えており、基地局のいずれかによって割り当てられるチャネルを介して、前記基地局との間で無線通信を行う。
【0028】
処理部12は、携帯電子機器1の全体的な動作を統括的に制御する。すなわち、携帯電子機器1の各種の処理が、操作部18の操作や携帯電子機器1の記憶部13に保存されるソフトウェアに応じて適切な手順で実行されるように、通信部11や表示部17等の動作を制御する。携帯電子機器1の各種の処理としては、例えば、回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成及び送受信、インターネットのWeb(World Wide Web)サイトの閲覧等がある。また、通信部11や表示部17等の動作としては、例えば、通信部11における信号の送受信、音声処理部14における音声の入出力、表示部17における画像の表示等がある。
【0029】
処理部12は、記憶部13に保存されているプログラム(例えば、オペレーティングシステムプログラム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行する。処理部12は、例えば、マイクロプロセッサユニット(MPU:Micro Processor Unit)で構成され、前記ソフトウェアで指示された手順にしたがって上述した携帯電子機器1の各種の処理を実行する。すなわち、処理部12は、記憶部13に保存されるオペレーティングシステムプログラムやアプリケーションプログラム等から命令コードを順次読み込んで処理を実行する。
【0030】
処理部12は、複数のアプリケーションプログラムを実行する機能を有する。処理部12が実行するアプリケーションプログラムとしては、例えば、携帯電子機器1がリセットされてから最初に電源起動したときに携帯電子機器1の初期設定をするアプリケーションプログラム、待ち受け画像ファイル(画像情報)を記憶部13から読み出してデコードするアプリケーションプログラム、及びデコードして得られる画像を表示部17に表示するアプリケーションプログラム等の複数のアプリケーションプログラムがある。このため、処理部12は、主処理部12aと、筐体開閉検知部12bと、画像表示処理部12cと、デコード処理部12dと、表示制御部12eと、ファイルシステム制御部12fと、起動部12gとを含んで構成される。
【0031】
筐体開閉検知部12bは、主処理部12aによる制御の下、図1に示す携帯電子機器1の筐体1Cの閉状態を検知して、これを画像表示処理部12cへ通知する。筐体1Cが閉状態でない場合、すなわち、筐体1Cが開状態であることを通知された画像表示処理部12cは、待ち受け画像表示タスク13bを実行する。本実施形態において、待ち受け画像表示タスク13bは、例えば、待ち受け画像の表示が必要になった場合に、表示すべき待ち受け画像を記憶部13から読み出してデコードし、メインディスプレイ2Mに表示するものである。また、待ち受け画像表示タスク13bは、待ち受け画像の表示用に用意されたデータファイルを記憶部13から読み出し、読み出された待ち受け画像をデコードし、表示部17に表示するものである。
【0032】
ここで、待ち受け画像の表示が必要になった場合とは、例えば、携帯電子機器1の筐体1Cが開状態にあることを筐体開閉検知部12bが検知した場合や、通信や操作画面が終了した場合等である。このような場合、画像表示処理部12cは、待ち受け画像表示タスク13bを実行して、表示すべき待ち受け画像を表示部17に表示する。ここで、筐体開閉検知部12bが筐体1Cの閉状態を検知した場合、画像表示処理部12cは、サブディスプレイ2Sに、受信状態や電池の残量といった必要最小限の表示をする。
【0033】
なお、本実施形態において、処理部12の処理負荷が軽減される状態に移行したときに、記憶部13から次にデコードすべき待ち受け画像ファイルを読み出してデコードするように、待ち受け画像表示タスク13bを構成してもよい。これによって、画像表示処理部12cは、処理部12の空き時間に待ち受け画像のデコードを実行するので、処理部12をより効果的に利用できるとともに、待ち受け画像を表示するまでのタイムラグを低減できる。ここで、処理部12の処理負荷が軽減される状態とは、携帯電子機器1の筐体1Cが閉状態にある場合等である。筐体開閉検知部12bが筐体1Cの閉状態を検出したとき、すなわち、携帯電子機器1の筐体1Cの開状態を検出しなくなったときに、携帯電子機器1の筐体1Cが閉状態であることが検知される。
【0034】
主処理部12aは制御中枢となり、筐体開閉検知部12b、画像表示処理部12c、デコード処理部12d、表示制御部12e、ファイルシステム制御部12f、起動部12gのシーケンス制御を司る。また、筐体開閉検知部12b、画像表示処理部12c、デコード処理部12d、表示制御部12e、ファイルシステム制御部12f、起動部12gがそれぞれ有する機能は、処理部12及び記憶部13で構成されるハードウェア資源が、主処理部12aによって割り当てられるタスクを実行することにより実現される。ここで、タスクとは、アプリケーションソフトウェアが行っている処理全体、又は同じアプリケーションソフトウェアが行っている処理のうち、同時に実行できない処理単位である。
【0035】
本実施形態において、前記ハードウェア資源が割り当てられるタスクのうち代表的なものは、起動タスク13a、待ち受け画像表示タスク13b、デコードタスク13c、表示制御タスク13d、ファイルシステム制御タスク13eである。これらのタスクは、例えば、記憶部13に保存される。デコードタスク13cはデコード処理部12dによって実行され、表示制御タスク13dは表示制御部12eによって実行され、ファイルシステム制御タスク13eはファイルシステム制御部12fによって実行される。
【0036】
起動タスク13aは、携帯電子機器1の電源起動時に実行される。そして、起動タスク13aは、携帯電子機器1が工場から出荷された後や、修理等を受けてリセット(処理部12及び記憶部13が初期化)された後に、携帯電子機器1の電源が投入された場合には、携帯電子機器1の製造IDに基づき、携帯電子機器1の表示部17に表示される所定の画像を設定する機能を有する。この場合、所定の画像のみならず、携帯電子機器1の受信音やメール送信音等の音声や辞書機能といった携帯電子機器1の機能を設定してもよい。ここで、携帯電子機器1の初期設定時に設定される情報には、例えば、待ち受け画像やメニュー画像のデザイン、アニメーションにおける表示対象の動かし方、受信音やメール送信音等の音声といったものがある。ここで、画像のデザインは、背景の色や模様、表示対象の色や模様や図案、表示対象の動かし方、画面の明るさ等を含む。
【0037】
待ち受け画像表示タスク13bは、少なくとも携帯電子機器1が受信待機状態になっているときに、携帯電子機器1の表示部17のうち、主にメインディスプレイ2Mに表示される待ち受け画像を表示する機能を有する。デコードタスク13cは、JPEG(Joint Photographic Experts Group)やGIF(Graphic Interchange Format)等の画像形式の画像データ、あるいはFlash(登録商標、以下同様)等の画像データをRGB(Red Green Blue)データにデコード変換する機能を有する。表示制御タスク13dは、メインディスプレイ2Mへ待ち受け画像やメニュー画像、あるいはスクリーンセーバー等を表示する制御や、サブディスプレイ2Sへ時計や受信状態を表示する制御を実行する機能を有する。ファイルシステム制御タスク13eは、待ち受け画像やメニュー画像、あるいはスクリーンセーバー等をメインディスプレイ2Mに表示する際に用いるJPEGやGIF等の画像データや、待ち受け画像等を生成する画像のパッケージファイルを管理する機能を有する。
【0038】
本実施形態において、処理部12を構成する主処理部12a、筐体開閉検知部12b、画像表示処理部12c、デコード処理部12d、表示制御部12e、ファイルシステム制御部12f、起動部12gがそれぞれ有する機能は、記憶部13に保存されるタスクを処理部12で実行することにより実現されるものである。したがって、処理部12内において、主処理部12a、筐体開閉検知部12b、画像表示処理部12c等は、それぞれ物理的に区別されて構成されるものではなく、本実施形態では、あくまで説明の便宜上、主処理部12a、筐体開閉検知部12b、画像表示処理部12c等を分けて説明するものである。なお、処理部12内において、主処理部12a、筐体開閉検知部12b、画像表示処理部12c等を、それぞれ物理的に区別して、すなわち、それぞれの機能を実現する専用のハードウェアとして構成してもよい。
【0039】
記憶部13には、携帯電子機器1の製造IDが保存される製造ID保存部13f、起動部12gが起動タスク13aを実行することで設定される携帯電子機器1の初期設定情報が保存される設定保存部13g、デコード処理部12dにより参照される画像データ保存部13h、携帯電子機器1の初期設定等に必要なデータが保存されるデータテーブル保存部13iが設けられる。
【0040】
記憶部13には、さらに、上述したタスクの他、処理部12での処理に利用されるソフトウェアやデータが保存される。例えば、通信、ダウンロードされた画像データや音声データ等、あるいは記憶部13に対する制御に処理部12が用いるソフトウェア、通信相手の電話番号やメールアドレス等を保存し、管理するアドレス帳、発信音や着信音等の音声ファイル、ソフトウェアの処理過程で用いられる一時的なデータ等が記憶部13に保存される。記憶部13は、例えば、不揮発性の記憶デバイス(ROM:Read Only Memory等の不揮発性半導体メモリ、ハードディスク装置等)や、読み書き可能な記憶デバイス(例えば、SRAM:Static Random Access Memory、DRAM:Dynamic Random Access Memory)等で構成される。
【0041】
音声処理部14は、スピーカ6から出力される音声信号やマイク5に入力される音声信号の処理を実行する。すなわち、音声処理部14は、マイク5から入力される音声を増幅し、AD変換(Analog Digital変換)を実行した後さらに符号化等の信号処理を施して、ディジタルの音声データに変換して処理部12へ出力する。また、処理部12から送られる音声データに対して復号化、DA変換(Digital Analog変換)、増幅等の処理を施してアナログの音声信号に変換してから、スピーカ6へ出力する。
【0042】
表示部17は、携帯電子機器1の筐体1Cを閉じたときに隠れ、開いたときに露出するメインディスプレイ2Mと、筐体1Cを閉じたときでも筐体1Cの外側に露出するサブディスプレイ2Sとで構成される。メインディスプレイ2M及びサブディスプレイ2Sは、例えば、液晶表示パネルや有機EL(Electro Luminescence)パネルのような表示デバイスで構成されており、処理部12から送られる映像信号(待ち受け画像やメニュー画像等の映像信号であり、静止画、動画を含む)に応じた画像を表示する。メインディスプレイ2Mには、例えば、待ち受け画像、メニュー画像、発信時における発信相手の電話番号、着信時における着信相手の電話番号、受信メールや送信メールの内容、バッテリの残量、発信成否、待ち受け画像、メニュー画像等の各種の情報が表示される。また、サブディスプレイ2Sには、日付や時刻、受信状態、バッテリ残量等が表示される。
【0043】
操作部18は、図1に示す操作キー3や方向及び決定キー4を含んで構成されている。操作キー3は複数のキーで構成され、また、方向及び決定キー4は複数のスイッチで構成される。複数のキーや複数のスイッチには、電源、通話、数字、文字、方向、決定、発信等、携帯電子機器1の操作に必要な各種の機能が割り当てられている。そして、操作キー3や方向及び決定キー4がユーザーによって操作されることにより、操作キー3や方向及び決定キー4は、その操作内容に割り当てられた信号を発生する。そして、発生した信号は、ユーザーの指示として処理部12へ入力される。次に、携帯電子機器1の表示部17の画面に表示される所定の画像を設定する方法を説明する。
【0044】
図5は、携帯電子機器に付される製造IDの一例を示す図である。図6は、携帯電子機器の製造IDと、ID情報と、携帯電子機器の初期設定情報との関係を示すテーブルである。図7−1は、製造IDとID情報との対応関係が記述されたデータテーブルを示す模式図である。図7−2は、ID情報とデザイン情報との対応関係が記述されたデータテーブルを示す模式図である。図7−3は、携帯電子機器の製造IDとデザイン情報との対応関係が記述されたデータテーブルを示す模式図である。
【0045】
本実施形態では、例えば、待ち受け画像やメニュー画像といった所定の画像を、携帯電子機器1を構成する筐体1Cのデザインのイメージと合わせて、表示部17に表示させる。このため、本実施形態では、携帯電子機器1の記憶部13に、携帯電子機器1の製造IDと、それぞれ画像情報を有する複数のデザイン情報と、複数のID情報とを保存するとともに、複数のID情報と複数のデザイン情報とをそれぞれ対応付ける。処理部12は、例えば、携帯電子機器1のリセット後、初めて電源起動したときには、製造IDを取得する。そして、処理部12は、取得した製造IDの少なくとも一部に対応するID情報を複数のID情報から検索し、検索されたID情報に対応するデザイン情報に基づいた画像を、表示部17、より具体的にはメインディスプレイ2Mに表示する所定の画像として設定する。ここで、本実施形態において、デザイン情報とは、携帯電子機器1の受信待ち受け時に表示部17に表示させる待ち受け画面を描画するための画像情報と、表示部17に表示させるメニュー画像を描画させるための画像情報とのうち少なくとも一つを含む。また、筐体1Cのデザインとは、筐体1Cの色、模様、形状をいう。
【0046】
図5には、携帯電子機器の製造IDの一例が示される。携帯電子機器は、製造順に通し番号を有する製造IDが付され、図4に示す記憶部13の製造ID保存部13fに保存される。製造IDは、複数の携帯電子機器それぞれの固有の情報であり、自機器と他の携帯電子機器とを区別するために使用できる情報である。このため、製造ID保存部13fは、例えば、不揮発性の記憶デバイスを用いて追記や全消去ができないように構成される。
【0047】
本実施形態においては、図5に示すように、製造IDは数列を含んだ9桁の文字列で表現される。このうち、下7桁が携帯電子機器1の製造順に付される、それぞれの携帯電子機器に固有の番号である。この固有の番号を、便宜上製造番号という。製造番号によって、自機器と他の携帯電子機器とを区別できる。図5に示す製造IDの例は、下1桁が1であり、下2桁から下7桁が0なので、最初に製造された携帯電子機器に付されるものである。
【0048】
図6に示すテーブル60は、携帯電子機器の製造IDと、携帯電子機器の筐体のデザインを一義的に示す情報であるID情報と、携帯電子機器のデザイン情報とがそれぞれ対応付けられて記述されている。なお、テーブル60は、説明の便宜上用いるものであり、本実施形態での所定の画像を設定する方法で用いるものではない。
【0049】
ID情報は、携帯電子機器の筐体のデザイン、すなわち、筐体の色、模様、形状の少なくとも一つについての情報を含んでいる。本実施形態において、ID情報がKである場合は筐体の色が黒単色であり、ID情報がWである場合は筐体の色が白単色であり、ID情報がPである場合は筐体の色がピンク単色であり、ID情報がQである場合は筐体の色が白と黒との塗り分けである。なお、本実施形態において、ID情報は文字情報であるが、数値情報であってもよいし、数値情報と文字情報とを組み合わせてもよい。このように、本実施形態では、複数のID情報は、それぞれが携帯電子機器の筐体のデザイン(本実施形態では色)と対応付けられる。
【0050】
本実施形態において、所定範囲の製造IDを製造ID群とする。そして、製造IDがKC0000001からKC0005000までの製造ID群(第1製造ID群)は、ID情報がKであり、製造IDがKC0005001からKC0010000までの製造ID群(第2製造ID群)は、ID情報がWである。また、製造IDがKC0010001からKC0015000までの製造ID群(第3製造ID群)は、ID情報がPであり、製造IDがKC0015001からKC0020000までの製造ID群(第4製造ID群)は、ID情報がQである。すなわち、本実施形態では、第1製造ID群における筐体の色は黒単色であり、第2製造ID群における筐体の色は白単色である。また、第3製造ID群における筐体の色はピンク単色であり、第4製造ID群における筐体の色は白と黒との塗り分けである。
【0051】
製造IDの所定範囲、すなわち第1製造ID群、第2製造ID群、第3製造ID群、第4製造ID群は、それぞれが携帯電子機器の筐体のデザインを一義的に示している。そして、複数のID情報K、W、P、Qは、それぞれが、第1製造ID群、第2製造ID群、第3製造ID群、第4製造ID群に対応付けられている。このため、複数のID情報K、W、P、Qを特定すれば、携帯電子機器の筐体のデザインを一義的に示す製造IDの所定範囲(すなわち、製造ID群)が特定される。
【0052】
図6のテーブル60には、デザイン情報として、待ち受け画像、メニュー画像、受信時画像、文字サイズが記述される。それぞれのデザイン情報は、上述した第1製造ID群から第4製造ID群それぞれに対して、図6のテーブル60のように設定される。すなわち、第1製造ID群に対しては、待ち受け画像がパターンCに、メニュー画像がメニューAに、受信時画像がパターンAに、文字サイズが小に設定され、第2製造ID群に対しては、待ち受け画像がパターンAに、メニュー画像がメニューAに、受信時画像がパターンAに、文字サイズが小に設定される。第3製造ID群、第4製造ID群に対しても、テーブル60に示す通りに設定される。
【0053】
例えば、デザイン情報のうち待ち受け画像については、第1製造ID群に対しては画像情報としてパターンC、第2製造ID群に対しては画像情報としてパターンAというように、デザイン情報は、それぞれの製造ID群に対してそれぞれ画像情報が対応付けられる。このように、それぞれのデザイン情報は、それぞれの製造ID群に対応した、複数の画像情報を有する。画像情報は、例えば、JPEG、GIF等の画像形式の画像データやFlashによる画像データであり、それぞれの携帯電子機器が備える筐体のデザインに合ったデザインの画像が予め用意される。
【0054】
本実施形態においては、図4に示す処理部12が表示部17(より具体的にはメインディスプレイ2M)に表示される所定の画像を設定する際、複数のID情報により特定される範囲、すなわち製造ID群のいずれに自機器の製造IDの数列(製造番号)が属するかを処理部12が判断することで、自機器の製造IDに対応するID情報を検索する。そして、処理部12は、検索されたID情報に対応するデザイン情報に基づいた画像を、メインディスプレイ2Mに表示する所定の画像として設定する。
【0055】
例えば、自機器の製造IDがKC0000100である場合、製造番号0000100は第1製造ID群に属する。第1製造ID群に対応するID情報はKなので、製造IDがKC0000100である携帯電子機器のID情報を処理部12が検索した結果はKとなる。処理部12は、検索されたID情報に対応するデザイン情報に基づいた画像を、表示部17に表示する所定の画像として設定する。例えば、自機器の製造IDがKC0000100である場合において、検索されたID情報に対応するデザイン情報に基づいた画像が待ち受け画像である場合には、パターンCの画像が自機器の表示部17に表示される所定の画像として設定される。
【0056】
本実施形態において、それぞれの製造ID群に対して設定される携帯電子機器のデザイン情報は、それぞれの製造ID群に属する携帯電子機器が備える筐体のデザインのイメージに合うように設定される。例えば、第1製造ID群に属する携帯電子機器の筐体の色は黒であるので、待ち受け画像の色も筐体の色に合った落ち着いた色に設定される。また、第3製造ID群に属する携帯電子機器の筐体の色はピンクであるので、待ち受け画像の色も筐体の色に合った色、例えば同じピンクに設定される。
【0057】
また、例えば、筐体の色が黒や白等の無彩色である携帯電子機器を購入するユーザーは、携帯電子機器を主としてビジネスに利用する人が多く、ピンクやかわいらしい模様の入った筐体の携帯電子機器を購入するユーザーは、携帯電子機器を主として趣味に利用する人が多いという結果があったとする。この場合、第1製造ID群及び第2製造ID群に属する携帯電子機器の筐体の色は無彩色なので、これらの製造ID群に属する携帯電子機器に対しては、メニュー画像も難しい項目まで表示させるように設定される。また、第3製造ID群に属する携帯電子機器の筐体の色はピンクであり、第4製造ID群に属する携帯電子機器の筐体の色は白と黒との塗り分けなので、メニュー画像は難しい項目の表示をさせないように設定される。
【0058】
このように、携帯電子機器の製造IDは、自機器を他の携帯電子機器と区別できるので、携帯電子機器の製造IDに基づいて、携帯電子機器の筐体のデザインを区別できる。本実施形態では、これを利用して、上述したように、携帯電子機器の製造IDとデザイン情報とを対応付ける。より具体的には、携帯電子機器の製造IDとデザイン情報とを、携帯電子機器の筐体のデザインに基づいて対応付ける。これによって、本実施形態では、筐体のデザインのイメージに合ったデザインの画像(待ち受け画像やメニュー画像)、文字サイズ、文字デザイン等に設定できる。
【0059】
図7−1に示すデータテーブル61は、所定範囲の製造ID、すなわち製造ID群と、ID情報との関係が記述されて、記憶部13のデータテーブル保存部13iに保存されている。本実施形態では、このデータテーブル61を用いて製造ID群に対応する筐体のデザインを判別する。すなわち、携帯電子機器の製造IDが分かればその製造IDが属する製造ID群が分かるので、データテーブル61から、その製造IDが属する製造ID群に対応するID情報が分かる。例えば、製造IDがKC0006874である場合、ID情報はWである。
【0060】
ここで、本実施形態においては、製造IDの少なくとも一部(本実施形態では製造番号)と筐体のデザインとは対応付けられており、また、製造IDの少なくとも一部とデザイン情報とは対応付けられている。したがって、図7−2に示すデータテーブル62のように、携帯電子機器の筐体のデザインを一義的に示すID情報とデザイン情報とも対応付けられることになる。このため、本実施形態では、携帯電子機器の製造IDから、その携帯電子機器を構成する筐体のデザインのイメージに合ったデザインの画像を選択し、携帯電子機器の表示部に表示させる所定の画像として設定できる。
【0061】
図7−3に示すデータテーブル63は、製造IDの少なくとも一部とデザイン情報とを直接対応付けたものである。このようにしても、携帯電子機器の製造IDから、その携帯電子機器が備える筐体のデザインのイメージに合ったデザイン情報を選択し、携帯電子機器の表示部に表示させる画像として設定できる。製造IDの少なくとも一部とデザイン情報とを直接対応付けることにより、自機器の製造IDからこれに対応するID情報を検索し、検索されたID情報からデザイン情報に基づいた画像を設定するという手順が不要になるので、その分処理を簡略化できる。次に、本実施形態において、携帯電子機器の表示部の画面に表示される所定の画像を設定する手順を説明する。
【0062】
図8は、携帯電子機器の設計、製造段階での工程を示す流れ図である。図9−1は、実施形態1において、所定の画像を設定する手順を示す流れ図である。図9−2は、記憶部に保存される待ち受け画像管理テーブルやメニュー画像管理テーブル等を示す模式図である。図10−1は、携帯電子機器が備える筐体のデザインの一例を示す全体図である。図10−2、図10−3は、携帯電子機器の表示部に表示される待ち受け画像の一例を示す模式図である。本実施形態においては、携帯電子機器1の設計段階において、例えば、図7−2のデータテーブル62に示すように、ID情報とデザイン情報とを対応付けておく(ステップS101)。
【0063】
図7−2に示すデータテーブル62を作成することにより、ステップS101におけるID情報とデザイン情報との対応付けが実現される。ここで、図7−2に示すデータテーブル62を用いる場合、図7−1に示すデータテーブル61を作成して、製造IDとID情報とを対応付けておく。なお、例えば、図7−3に示すデータテーブル63によって、ID情報を用いず、製造IDと、デザイン情報とを直接対応付けてもよい。
【0064】
データテーブル61、62は、図4に示す携帯電子機器1の記憶部13のデータテーブル保存部13iに保存される。そして、携帯電子機器1の表示部17に表示される所定の画像を設定する際には、処理部12がデータテーブル保存部13iに保存されているデータテーブル61、62を参照する。また、データテーブル61、62を、例えば、起動タスク13aあるいは起動タスク13aを含むアプリケーションソフトウェア内に記述してもよい。いずれの態様でも、ID情報とデザイン情報とを対応付けた情報は、記憶部13に保存される。
【0065】
携帯電子機器1の製造工程においては、自機器の製造IDを、図4に示す記憶部13の製造ID保存部13fに保存する(ステップS102)。ここで、ステップS101、ステップS102は、携帯電子機器1の製造段階で実行される手順である。また、携帯電子機器1の製造工程においては、携帯電子機器1の機能を実現するために必要なソフトウェアを、図4に示す記憶部13へインストールする。なお、前記ソフトウェアは、上述した起動タスク13a、待ち受け画像表示タスク13b、デコードタスク13c、表示制御タスク13d、ファイルシステム制御タスク13eを含むものである。このようにして、携帯電子機器1が完成する。次に、図9を用いて、携帯電子機器1の表示部17に表示される所定の画像を設定する手順を説明する。次においては、例えば、携帯電子機器1が製造されて出荷された後のように、携帯電子機器1のリセット後、最初の電源起動後に表示される待ち受け画面やメニュー画像を設定する場合を例として説明する。
【0066】
携帯電子機器1が完成したら、出荷前に携帯電子機器1の電源が投入される。これによって、携帯電子機器1が起動するか否か、及び着信及び発信が実行できるかが確認される。また、図4に示す表示部17を構成するメインディスプレイ2Mやサブディスプレイ2Sの表示状態が調整される。着信、発信の確認においては、携帯電子機器1の記憶部13に着信、発信の履歴が残るので、出荷前にはこの履歴が消去される。携帯電子機器1の着信、発信が確認されたら、携帯電子機器1をリセットすることにより、着信、発信の履歴が携帯電子機器1の記憶部13から消去される。そして、携帯電子機器1は、箱詰めされて各販売店へ出荷される。
【0067】
携帯電子機器1が購入されると、各種設定や動作確認のため、例えば販売店において携帯電子機器1の電源が投入される(ステップS201)。これによって、携帯電子機器1が起動を開始する。すると、主処理部12aは、起動部12gに制御を移す。すなわち、主処理部12aは、処理部12及び記憶部13のハードウェア資源を、起動タスク13aに割り当てる。これにより、起動部12gが起動タスク13aを実行する。
【0068】
起動タスク13aが実行されると、起動部12gは、図4に示す記憶部13の設定保存部13gに割り当てられるフラグ管理領域に、設定完了フラグF1=1が保存されているか否かを判定する(ステップS202)。これによって、起動部12gは、携帯電子機器1が、リセット後、初の電源起動であるか否かを判定する。ここで、設定保存部13gは、EPROM(Erasable Programmable ROM)の一種であるEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)で構成される。
【0069】
設定完了フラグF1=1でない場合、すなわち、F1=0である場合、携帯電子機器1は、リセット後、初の電源起動であり、表示部17に表示される所定の画像の設定(以下表示画像設定という)は未了であると判定できる。起動部12gがF1=1でない場合と判定した場合(ステップS202:No)、表示画像設定は未了であると判定できる。この場合、起動部12gは、記憶部13の製造ID保存部13fから、自機器の製造IDを読み込む(ステップS203)。そして、起動部12gは、読み込んだ製造IDの少なくとも一部に対応するID情報を、複数のID情報から検索する(ステップS204)。このように、起動部12gは、携帯電子機器1のリセットが実行された後の電源起動時に製造IDを取得する。
【0070】
本実施形態では、起動部12gが、図7−1に示すデータテーブル61を呼び出す。そして、起動部12gは、データテーブル61に記述される複数の製造ID群から、ステップS203で読み込んだ自機器の製造IDが属する製造ID群を検索し、検索された製造ID群に対応するID情報を取得する。例えば、ステップS203で読み込んだ自機器の製造IDがKC0018105である場合、この製造IDが属する製造ID群は、KC0015001〜KC0020000なので、これに対応するID情報はQとなる。
【0071】
自機器の製造IDに対応するID情報により、自機器の筐体のデザインが特定される(ステップS205)。自機器の製造IDがKC0018105である場合、ID情報はQなので、テーブル60に示すID情報と筐体のデザインとの関係から、自機器の筐体のデザインは、白と黒との塗り分けであると特定できる。
【0072】
次に、起動部12gは、自機器の筐体のデザインに合う待ち受け画像を、図9−2に示す待ち受け画像管理テーブル70に追加する(ステップS206)。ここで、図9−2に示す待ち受け画像管理テーブル70及びメニュー画像管理テーブル71を説明する。待ち受け画像管理テーブル70及びメニュー画像管理テーブル71は、図4に示す記憶部13の画像データ保存部13h内に保存されている。待ち受け画像管理テーブル70は、待ち受け画像として表示される画像の候補が記述されており、メニュー画像管理テーブル71は、メニュー画像として表示される画像の候補が記述されている。
【0073】
待ち受け画像管理テーブル70及びメニュー画像管理テーブル71は、それぞれ6個の画像データを保存する領域(画像保存領域)を有している。そして、待ち受け画像管理テーブル70及びメニュー画像管理テーブル71には、それぞれ既に5個の画像データが保存されており、1個の空き領域が用意される。より具体的には、待ち受け画像管理テーブル70及びメニュー画像管理テーブル71のNO.1からNO.5までの画像保存領域には既に画像データが保存されており、NO.6の画像保存領域が空き領域BLとなっている。
【0074】
待ち受け画像管理テーブル70には、それぞれの画像保存領域に対して、待ち受け画像選択フラグF2を記述する領域が設けられる。同様に、メニュー画像管理テーブル71には、それぞれの画像保存領域に対して、メニュー画像選択フラグF3を記述する領域が設けられる。待ち受け画像選択フラグF2が1に設定されると、それに対応する画像保存領域に保存されている画像が、自機器の表示部17に表示される待ち受け画像として設定される。また、メニュー画像選択フラグF3が1に設定されると、それに対応する画像保存領域に保存されている画像が、自機器の表示部17に表示されるメニュー画像として設定される。ここで、待ち受け画像選択フラグF2及びメニュー画像選択フラグF3ともに、2以上の画像保存領域に対して1に設定されることはない。すなわち、待ち受け画像管理テーブル70からは1個の待ち受け画像のみが選択され、メニュー画像管理テーブル71からは1個のメニュー画像のみが選択される。
【0075】
ステップS206において、起動部12gが、自機器の筐体のデザインに合う待ち受け画像を待ち受け画像管理テーブル70に追加する場合、起動部12gは、まず、自機器の筐体のデザインに合う待ち受け画像を図7−2に示すデータテーブル62から取得する。データテーブル62は、ID情報と複数のデザイン情報とがそれぞれ対応付けられているので、起動部12gは、データテーブル62を呼び出して、ステップS204で取得したID情報に対応するデザイン情報、より具体的には待ち受け画像を取得する。例えば、ステップS204で取得されたID情報がQである場合、データテーブル62から取得される待ち受け画像はパターンDである。
【0076】
起動部12gは、ステップS204で取得されたID情報に対応する待ち受け画像をデータテーブル62から取得し、待ち受け画像管理テーブル70の空き領域(NO.6で示す領域)に書き込む。これによって、自機器の筐体のデザインに合う待ち受け画像が、待ち受け画像管理テーブル70に追加される。次に、起動部12gは、ステップS206で追加した待ち受け画像(本実施形態ではパターンD)を選択し、待ち受け画像選択フラグF2を1に設定する(ステップS207)。これによって、携帯電子機器1の待ち受け時には、待ち受け画像選択フラグF2=1の画像が待ち受け画像として、表示部17に表示される。
【0077】
次に、起動部12gは、自機器の筐体のデザインに合うメニュー画像を、図9−2に示すメニュー画像管理テーブル71に追加する(ステップS208)。この場合、起動部12gは、まず、自機器の筐体のデザインに合うメニュー画像を図7−2に示すデータテーブル62から取得する。データテーブル62は、ID情報と複数のデザイン情報とがそれぞれ対応付けられているので、起動部12gは、データテーブル62を呼び出して、ステップS204で取得したID情報に対応するデザイン情報、より具体的にはメニュー画像を取得する。例えば、ステップS204で取得されたID情報がQである場合、データテーブル62から取得されるメニュー画像はメニューBである。
【0078】
起動部12gは、ステップS204で取得されたID情報に対応するメニュー画像をデータテーブル62から取得し、メニュー画像管理テーブル71の空き領域(NO.6で示す領域)に書き込む。これによって、自機器の筐体のデザインに合うメニュー画像が、メニュー画像管理テーブル71に追加される。次に、起動部12gは、ステップS208で追加したメニュー画像(本実施形態ではメニューB)を選択し、メニュー画像選択フラグF3を1に設定する(ステップS209)。これによって、メニュー使用時においては、メニュー画像選択フラグF3=1の画像が表示部17に表示される。
【0079】
待ち受け画像管理テーブル70に追加された待ち受け画像及びメニュー画像管理テーブル71に追加されたメニュー画像は、携帯電子機器1がリセットされない限り消去されることはない。このため、ユーザーが初期設定された待ち受け画像やメニュー画像を変更した後、再び初期設定された画像に戻したい場合には、携帯電子機器1をリセットすることなく、簡単な操作で戻すことができる。
【0080】
ここでは、自機器のリセット後、最初に表示される待ち受け画像及びメニュー画像を設定する手順を説明したが、例えば、文字の書体やサイズ、あるいはメール作成時画像等といった他のデザイン情報についても、上述した待ち受け画像及びメニュー画像の設定手順と同様に設定される。さらに、自機器のリセット後、自機器の筐体のデザインに合わせた発信音や着信音、あるいは文字の変換機能や辞書機能等を設定する場合も、上述した待ち受け画像及びメニュー画像の設定手順と同様である。
【0081】
待ち受け画像及びメニュー画像等の設定が終了したら、起動部12gは、設定保存部13gに割り当てられるフラグ管理領域に保存される設定完了フラグF1を1に書き換える(ステップS210)。設定完了フラグF1が1に書き換えられることにより、起動タスク13aは終了する。起動タスク13aが終了したら、起動部12gは、主処理部12aに完了通知を発行する。完了通知を受けた主処理部12aは、携帯電子機器1の起動が完了した後に、携帯電子機器1を待ち受け状態に遷移させる。
【0082】
待ち受け状態は、携帯電子機器が網側からの着信あるいは呼び出しを待機している状態であり、待ち受け状態のときにメインディスプレイ2Mへ待ち受け画像が表示される。待ち受け状態に遷移したら、主処理部12aは、画像表示処理部12cに制御を移す。すなわち、主処理部12aは、処理部12及び記憶部13のハードウェア資源を、画像表示処理部12cに割り当てる。これにより、画像表示処理部12cは、待ち受け画像表示タスク13bを実行する。
【0083】
画像表示処理部12cが待ち受け画像表示タスク13bを実行することにより、メインディスプレイ2Mに待ち受け画像が表示される。このときには、待ち受け画像管理テーブル70の待ち受け画像選択フラグF2=1の画像がメインディスプレイ2Mに表示される(ステップS212)。本実施形態では、待ち受け画像選択フラグF2=1であるのはパターンDの画像なので、パターンDの画像が待ち受け画像としてメインディスプレイ2Mに表示される。
【0084】
待ち受け画像を表示するにあたり、画像表示処理部12cは、ファイルシステム制御部12fに待ち受け画像選出要求を発行する。ファイルシステム制御部12fは、ファイルシステム制御タスク13eを実行して、待ち受け画像として表示する画像、すなわち待ち受け画像選択フラグF2=1であるパターンDの画像を、記憶部13の画像データ保存部13hから選出する。そして、ファイルシステム制御部12fは、完了通知を画像表示処理部12cに発行する。その後、画像表示処理部12cは、選出されたパターンDの待ち受け画像を、画像データ保存部13hから読み出す。
【0085】
パターンDの待ち受け画像が読み込まれたら、画像表示処理部12cは、デコード処理部12dにデコード処理要求を発行する。デコード処理部12dは、デコードタスク13cを実行して、読み出されたパターンDの待ち受け画像をデコードして、RGBで表現されたビットマップデータに変換する。デコードが完了したら、デコード処理部12dは、完了通知を画像表示処理部12cに発行する。そして、画像表示処理部12cは、表示制御部12eに待ち受け画像表示要求を発行する。表示制御部12eは、表示制御タスク13dを実行して、ビットマップ化されたパターンDの待ち受け画像をメインディスプレイ2Mに表示する。その後、表示制御部12eは、完了通知を画像表示処理部12cに発行して、待ち受け画像の表示が完了する。これによって、表示部17には、ステップS204で設定された待ち受け画像、すなわちパターンDの待ち受け画像が表示される。
【0086】
次に、ステップS202へ戻って説明する。起動部12gがF1=1である場合と判定した場合(ステップS202:Yes)、表示画像設定は完了していると判定できる。この場合、起動タスク13aは終了する。起動タスク13aが終了したら、起動部12gは、主処理部12aに完了通知を発行する。完了通知を受けた主処理部12aは、携帯電子機器1の起動が完了した後に、携帯電子機器1を待ち受け状態に遷移させる。
【0087】
待ち受け状態に遷移したら、主処理部12aは、画像表示処理部12cに制御を移す。これにより、画像表示処理部12cは、待ち受け画像表示タスク13bを実行して、待ち受け画像管理テーブル70を確認する(ステップS211)。そして、画像表示処理部12cは、待ち受け画像管理テーブル70の待ち受け画像選択フラグF2=1の画像を表示部17に表示させる(ステップS212)。待ち受け画像を表示する手順については上述した通りである。
【0088】
上記手順により、携帯電子機器1のリセット後、初の電源起動の後に表示部17へ表示される画像が設定される。なお、ユーザーが待ち受け画像やメニュー画像を変更したい場合、ユーザーが選択した画像に対して待ち受け画像選択フラグF2やメニュー画像選択フラグF3が設定される。これによって、待ち受け画像選択フラグF2=1の画像やメニュー画像選択フラグF3の画像が画像データ保存部13hから読み出され、待ち受け画像やメニュー画像として表示部17に表示される。
【0089】
上記説明で例とした、製造IDがKC0018105の携帯電子機器1は、図10−1に示すように、筐体1Cのデザインが白と黒との塗り分けである。この筐体1Cのデザインのイメージに対応した待ち受け画像は、例えば、図10−2のメインディスプレイ2Mに表示されるパンダの画像であるとする。従来は、筐体によらず待ち受け画像は共通の設定なので、筐体1Cのデザインが白と黒との塗り分けであっても、これに合わない画像、例えば、図10−3に示すように、ぶたの画像が待ち受け画像としてメインディスプレイ2Mに表示されることも起こり得る。
【0090】
本実施形態に係る画像設定の方法を用いることにより、上述したように、携帯電子機器1を構成する筐体1Cのデザインのイメージに合った待ち受け画像、例えば、図10−2に示す待ち受け画像を表示できる。また、待ち受け画像のみならず、メインディスプレイ2Mに表示されるメニュー画像やカメラ操作画像、メール作成画像、メール送受信画像、ブラウザ閲覧時の画像、サブディスプレイ2Sに表示される項目の種類や色といった、表示部17に表示される画像のデザインや、LCDの明るさ、コントラスト等の設定、操作キー3や方向及び決定キー4の設定等についても、携帯電子機器1を構成する筐体1Cのデザインのイメージに合わせることができる。
【0091】
通常、携帯電子機器1の筐体1Cのデザインによって携帯電子機器1を購入するユーザーに偏りが発生する。例えば、筐体1Cの色がピンクであったり、形状が丸みを帯びていたりすると、女性が多く購入し、筐体1Cの色が寒色系であったり、形状が直線的であったりすると、男性が多く購入する傾向がある。その結果、従来の設計・製造手法では、予め携帯電子機器1に設定した待ち受け画像やメニュー画像、あるいはアニメーション画像等が単一であり、必ずしも筐体1Cのデザインに対応したものが最初に表示される訳ではないので、購入したユーザーの嗜好から外れ過ぎてしまうというケースが起こりやすい。
【0092】
このような場合、購入したユーザーは、携帯電子機器1が備える機能設定メニューや取り扱い説明書により、表示される画像を切り替える作業が必要となる。仮に、携帯電子機器1の扱いに不慣れなユーザーの場合、画像の切り替え作業は困難であることが多く、出荷時に設定された状態のまま携帯電子機器1の使用を継続するという状況も発生し得る。一方、携帯電子機器1のメーカーは、ユーザーからの質問やクレームに対して、携帯電子機器1の機能設定で画像の切り替えができることを知らせることで前記質問やクレームを解決できるが、そのための手間や時間が発生する。
【0093】
これらを解決するには、携帯電子機器1の筐体1Cのデザイン毎に、携帯電子機器1へインストールするソフトウェアを分け、それぞれのデザインにあった待ち受け画像やメニュー画像が表示されるようにするというような製造工程にすれば解決できる。しかし、携帯電子機器1へインストールするソフトウェアを複数に分けること自体が生産効率を低下させ、また間違いを発生しやすいシステムであるため、危険性が高い。
【0094】
例えば、携帯電子機器1の製造工程において、黒の筐体1Cを持つ携帯電子機器1に、誤ってピンク用のソフトウェアをインストールしてしまうおそれがある。この場合、筐体1Cの色のイメージに合わない待ち受け画像やメニュー画像が表示されてしまう。また、ソフトウェアのバグを修正したので、修正したソフトウェアを携帯電子機器1へダウンロードする必要が生じた場合、ソフトウェアの開発部門においては、ある筐体1Cのデザインに対応したソフトウェアについての修正が漏れてしまうおそれがある。これは、携帯電子機器1へインストールするソフトウェアが複数に分かれているが故に発生するヒューマンエラーである。
【0095】
本実施形態では、携帯電子機器1を構成する筐体1Cのデザインを判別する手段として、携帯電子機器1の固有の識別標識である製造IDを用いる。これによって、携帯電子機器1が備える筐体1Cのデザインを判別して、待ち受け画像やメニュー画像等のデザイン、着信音や発信音等の音声、文字変換機能や辞書機能の設定等を、筐体1Cのデザインに合わせることができる。
【0096】
これによって、携帯電子機器1の表示部17に表示される画像のデザイン開発において、初期状態として一つの画像を選択しなくてはならないという制限がある場合でも、それぞれの筐体1Cのデザインイメージにあったデザインの画像を初期設定情報として、予め携帯電子機器1に設定できる。その結果、携帯電子機器1は、筐体1Cのデザインのイメージと画像(待ち受け画像やメニュー画像等)のイメージとのずれを低減できる。そして、携帯電子機器1の開発者としては、筐体1Cのデザインのイメージに合った待ち受け画像やメニュー画像等を表示させたり、筐体1Cのデザインのイメージに合った携帯電子機器1の機能を設定したりすることができる利点がある。
【0097】
また、携帯電子機器1を企画したり開発したりする者にとっては、携帯電子機器1の筐体1Cのデザイン毎にインストールするソフトウェアを分けて用意する必要はない。すなわち、デザイン情報(表示部17に表示される画像)を記憶部13に保存するとともに、携帯電子機器1の製造IDとデザイン情報との対応関係を特定しておくことにより、携帯電子機器1へインストールするソフトウェアは1種類で済む。また、ソフトウェアのインストールも同一の工程で済む。その結果、携帯電子機器1の筐体1Cのデザインを複数設定し、筐体1Cのバリエーションを多数展開する場合でも、簡単な構成で、携帯電子機器1の製造コストの増加を大幅に抑制できる。
【0098】
また、上述したように、携帯電子機器1へインストールするソフトウェアは1種類で済む。このため、本実施形態では、簡単な構成で、携帯電子機器1へインストールされるソフトウェアを複数用意することによる危険を回避しつつ、筐体1Cのデザイン毎に、それぞれ個別に企画者や開発者が意図した通りのラインナップを確立できるという利点もある。また、開発段階において初期設定情報を最適化することにより、ユーザーの嗜好から外れ過ぎてしまうというケースを低減させることができる。
【0099】
また、携帯電子機器1の販売会社としては、筐体1Cのデザインが異なる携帯電子機器1毎に、異なる待ち受け画像やメニュー画像等を提示できる。このため、ユーザーの傾向に応じたサービスが展開し易くなり、その結果、販売会社としてユーザーに使ってもらいたいサービスをより訴求できるという利点がある。さらに、携帯電子機器1を購入したユーザーは、筐体1Cのデザインと表示部17に表示される画像のデザインとが統一された携帯電子機器1を手にすることができる。そして、筐体1Cのデザインのイメージに合ったデザインの待ち受け画像やメニュー画像が初期設定されているので、これらを予め設定しなおす手間が省けるという利点がある。
【0100】
また、本実施形態では、製造IDとデザイン情報との対応関係が設定された後に、その設定を記憶部13に保存する。具体的には、携帯電子機器1の筐体1Cのデザインに合った待ち受け画像やメニュー画像に対して、待ち受け画像選択フラグF2やメニュー画像選択フラグF3を1にして、記憶部13に保存する。これによって、携帯電子機器1の電源起動が発生する度に製造IDを読み込んだり、ID情報を検索したりする必要がなくなる。その結果、電源起動に要する時間が長くなることを回避できる。そして、折り畳み式の筐体においては、筐体を開状態に遷移させる度に、製造IDを読み込んだり、ID情報を検索したりする必要がなくなる。その結果、待ち受け画像を表示させるときに要する時間が長くなることを回避できる。
【0101】
上記手順では、携帯電子機器1が工場から出荷されて初めて電源が投入された場合を説明したが、携帯電子機器1の修理等によって携帯電子機器1をリセットした場合も、同様である。この場合も、本実施形態によれば、携帯電子機器1の製造IDを用いて、携帯電子機器1を構成する筐体1Cのデザインを判別して、待ち受け画像やメニュー画像等の表示、着信音、発信音等の音声、文字変換機能や辞書機能の設定等を、筐体1Cのデザインに合わせることができる。
【0102】
(実施形態2)
図11は、携帯電子機器に付される製造IDの一例を示す図である。図12は、製造IDの一部と、ID情報と、デザイン情報との関係を示すテーブルである。本実施形態は、携帯電子機器において、複数のID情報と、それぞれ画像情報を有する複数のデザイン情報とをそれぞれ対応付けておき、自装置の製造IDの少なくとも一部に対応するID情報を複数のID情報から検索し、検索されたID情報に対応するデザイン情報が、表示部に表示される所定の画像として設定される。そして、本実施形態は、文字列を含んで構成された製造IDの一部に、携帯電子機器の筐体のデザインを一義的に示す情報が含まれるとともに、表示部に表示される所定の画像を設定する際には、文字列の一部と一致するID情報を、複数のID情報から検索する点に特徴がある。
【0103】
図11に示すように、本実施形態において、携帯電子機器の製造IDは、3桁の文字列と7桁の数列とで表現される。このうち、7桁の数列が携帯電子機器の製造順に付される、それぞれの携帯電子機器に固有の番号、すなわち製造番号である。また、本実施形態においては、上位1桁目から順にKCKで構成される文字列の一部に、図1から図3に示す携帯電子機器の筐体のデザインを一義的に示す情報(以下、筐体デザイン情報という)が含まれる。より具体的には、前記文字列の上から3桁目に、筐体デザイン情報が記述される。筐体デザイン情報は、携帯電子機器の筐体のデザインと1対1で対応付けられているので、筐体デザイン情報により、携帯電子機器の筐体のデザインが一義的に決定される。本実施形態においては、筐体デザイン情報が筐体の色を一義的に示すものなので、製造IDに含まれる文字列の一部は、携帯電子機器の筐体の色を一義的に示す情報となる。
【0104】
このように、本実施形態では、製造IDの少なくとも一部、より具体的には、製造IDを構成する文字列に、携帯電子機器の筐体デザイン情報を含ませる。すなわち、本実施形態においては、筐体デザイン情報が製造IDに含まれて、製造番号とともに製造IDを構成する。本実施形態において、筐体デザイン情報は、自機器と他の携帯電子機器とを区別する製造番号とは別の桁に記述されるので、筐体デザイン情報と製造番号とは無関係になる。
【0105】
図12のデータテーブル64に示すように、本実施形態では、ID情報と、デザイン情報とが対応付けられている。なお、デザイン情報の内容、及びID情報とデザイン情報との対応関係は、図7−2に示すデータテーブル62、図7−3に示すデータテーブル63に記述したものと同じである。
【0106】
データテーブル64は、図4に示す記憶部13のデータテーブル保存部13iに保存されている。設定完了フラグF1=1でない場合(図9−1のステップS202:No)、携帯電子機器1は、リセット後、初の電源起動であり、表示画像設定は未了であると判定できる。この場合、上述したように、図4に示す主処理部12aが起動部12gに制御を移し、起動部12gが起動タスク13aを実行する。起動部12gは、記憶部13の製造ID保存部13fから、自機器の製造IDを読み込む(図9−1のステップS203)。
【0107】
そして、起動部12gは、読み込んだ製造IDの少なくとも一部、すなわち、筐体デザイン情報に対応するID情報を、複数のID情報から検索する(図9−1のステップS204)。このため、ステップS204において、起動部12gは、読み込んだ製造IDに含まれる筐体デザイン情報を取得する。そして、起動部12gは、図12に示すデータテーブル64を呼び出して、データテーブル64に記述される複数のID情報から、取得した筐体デザイン情報と一致するID情報を検索する。例えば、図11に示す製造IDはKCK0000001なので、KCKからなる文字列の下1桁に記述される筐体デザイン情報と一致するID情報はKとなる。このようにして検索されたID情報は、自機器の製造IDに対応する。
【0108】
自機器の製造IDに対応するID情報により、自機器の筐体のデザインが特定される(図9のステップS205)。図11に示す製造IDのKCK0000001が自機器の製造IDである場合、ID情報はKなので、データテーブル64に示すID情報と筐体のデザインとの関係から、自機器の筐体のデザイン(色)は黒であると特定できる。自機器の筐体のデザインが特定された以降の手順は実施形態1と同様である。
【0109】
ここで、データテーブル64は、図4に示す記憶部13のデータテーブル保存部13iに保存されている。そして、初期設定時に処理部12がデータテーブル保存部13iに保存されているデータテーブル64を参照する。また、データテーブル64を、例えば、起動タスク13aあるいは起動タスク13aを含むアプリケーションソフトウェア内に記述しておいてもよい。いずれの態様でも、携帯電子機器1の製造IDの少なくとも一部と、携帯電子機器1の初期設定情報とを対応付けた情報は、記憶部13に保存される。
【0110】
本実施形態では、実施形態1と同様に、携帯電子機器1が備える筐体1Cのデザインを判別する手段として、携帯電子機器1の固有の識別標識である製造IDを用いる。これによって、携帯電子機器1を構成する筐体1Cのデザインを判別して、待ち受け画像やメニュー画像等、着信音、発信音等の音声、文字変換機能や辞書の機能等を、筐体1Cのデザインに合わせることができる。
【0111】
これによって、画面のデザイン開発において、初期設定を一つ選択しなくてはならないという制限がある場合でも、それぞれの筐体のデザインイメージに合ったデザインの画像が表示されるように、予め携帯電子機器1に設定できる。その結果、自機器の表示部17に表示される画像は、筐体のデザインのイメージとのずれが低減される。
【0112】
また、例えば、実施形態1で説明した例において、携帯電子機器の製造台数が20000台であり、筐体の色が黒、白、ピンク、白と黒との塗り分けのものをそれぞれ5000台ずつ製造したとする。筐体の色が黒の携帯電子機器を5000台追加し、筐体の色が白の携帯電子機器を2500台追加して製造する場合、KC0020001〜KC0025000(第5製造ID群)を筐体の色が黒の携帯電子機器とし、KC0025001〜KC0027500(第6製造ID群)を筐体の色が白の携帯電子機器とする。
【0113】
実施形態1では、異なる製造ID群と、異なるデザイン情報とがそれぞれ対応付けられている。第5製造ID群及び第6製造ID群は、携帯電子機器の総製造台数が20000台であることを前提として作成された図7−1に示すデータテーブル61及び図7−2に示すデータテーブル62や、起動タスク13aには含まれない。したがって、実施形態1においては、携帯電子機器の追加製造が決定されると、携帯電子機器を追加製造する場合には、データテーブル61、62を新たに作り直すか、起動タスク13aを新たに作り直す必要がある。このように、実施形態1では、携帯電子機器の追加製造に対して柔軟に対応できないおそれがある。
【0114】
本実施形態では、携帯電子機器1の製造IDに、製造番号とは無関係になるように筐体デザイン情報を含ませる。そして、この筐体デザイン情報を用いて、自機器の筐体1Cのデザインを判別し、対応する待ち受け画像やメニュー画像等を設定する。このため、携帯電子機器が追加製造され、製造番号が増加しても、その携帯電子機器の製造IDに含まれる筐体デザイン情報を参照すれば、その携帯電子機器の筐体のデザインを判別できる。これによって、本実施形態のように、携帯電子機器の製造IDに含まれる筐体デザイン情報と、ID情報と、デザイン情報とを対応付けておけば、データテーブルや起動タスク13aを新たに作り直す必要はない。その結果、本実施形態は、実施形態1で奏される効果の他に、携帯電子機器1の追加製造に対して柔軟に対応できるという効果が得られる。
【0115】
(実施形態3)
図13−1、図13−2は、携帯電子機器の筐体を示す図である。図14は、携帯電子機器の製造IDと、ID情報と、デザイン情報との関係を示すテーブルである。図13−1に示す携帯電子機器1と図13−2に示す携帯電子機器1aとは、同じ基板を用いた同じ仕様のものであるが、携帯電子機器1の筐体1Cと携帯電子機器1aの筐体1Caとでは形状が異なる。すなわち、筐体1Cは角張っているのに対し、筐体1Caは丸みを帯びている。このように、携帯電子機器の筐体の色のみならず、形状が異なる場合でも、実施形態1、2で説明したように、携帯電子機器1を構成する筐体1Cのデザインを判別する手段として、携帯電子機器1の固有の識別標識である製造IDを用いることで、筐体の色のみならず、筐体の色及び形状に合わせた画像デザインを設定できる。
【0116】
本実施形態においては、筐体の形状が2種類と、筐体の色が3種類(黒、白、ピンク)の計6種類の組み合わせに対して、それぞれID情報とデザイン情報とを対応付ける。図13−1に示す筐体1Cの形状を示すID情報をA、図13−2に示す筐体1Caの形状を示すID情報をBとし、黒を示すID情報をK、白を示すID情報をW、ピンクを示すID情報をPとする。製造IDに筐体デザイン情報を含ませる場合、4桁の文字列と7桁の数列とで表される携帯電子機器1、1aの製造IDのうち、文字列の下1桁が筐体1C、1Caの色を表し、文字列の下から2桁目が筐体1C、1Caの形状を表す。
【0117】
図14に示すテーブル65は、ID情報AK、AW、AP、BK、BW、BPそれぞれについて、画像情報を有するデザイン情報が対応付けられている。テーブル65に示すように、製造IDの少なくとも一部とデザイン情報とは、携帯電子機器の筐体のデザインに基づいて対応付けられている。したがって、テーブル65に記述された、ID情報とデザイン情報との関係を用いて、携帯電子機器の製造IDから、待ち受け画像やメニュー画像等のデザインを、筐体1C、1Caのデザインに合わせることができる。なお、ID情報には、携帯電子機器の筐体の模様を示す情報を加えてもよい。また、携帯電子機器の製造IDから、着信音や発信音等の音声、文字変換機能や辞書機能等を、筐体のデザインに合わせてもよい。
【0118】
(実施形態4)
図15は、ID情報と、待ち受け画像の構成要素との関係を示すデータテーブルである。図16は、実施形態4において、携帯電子機器の待ち受け画像を表示する手順を示す流れ図である。図17−1、図17−2は、携帯電子機器の表示部に待ち受け画像が表示された状態を示す説明図である。実施形態4は、携帯電子機器が備える筐体のデザインを判別する手段として、携帯電子機器の固有の識別標識である製造IDを用いる。そして、実施形態4は、製造IDによって携帯電子機器が備える筐体のデザインを判別して、携帯電子機器の筐体のデザインに合わせて、複数の画像とその処理方法とをパッケージしたデータファイルを用いて生成された画像を表示するものである。本実施形態では、所定のイベント、例えば携帯電子機器が待ち受け状態であることが発生すると、記憶部から製造IDを取得して、取得した製造IDに基づいた画像を表示させる。
【0119】
複数の画像とその処理方法とをパッケージしたデータファイルとして、本実施形態ではFlashを例とする。ここで、Flashは、図4に示す携帯電子機器1の表示部17に表示される画像の背景について指定する背景情報と、前記背景上に表示する表示オブジェクトを指定するオブジェクト情報と、前記表示オブジェクトの動作について制定する動作情報とを含んで構成されるデータファイルであり、図形はベクター形式で管理される。なお、複数の画像とその処理方法とをパッケージしたデータファイルとしては、例えば、Java(登録商標、以下同様)等で記述されたデータファイルであってもよい。
【0120】
複数の画像とその処理方法とをパッケージしたデータファイル(画像パッケージファイルという)を用いる場合、画像パッケージファイルのデータサイズが明確になる。このため、携帯電子機器1の設計時に、画像パッケージファイルのデータサイズに制限を加える等しておけば、処理部12を構成するMPUのリソースの範囲内で快適に動作できる。その結果、携帯電子機器1のユーザーに対して表示が遅い等の不快感を与えることが少なくなる。
【0121】
また、画像パッケージファイルのデータサイズに制限を加えておくとともに、内蔵される複数の画像パッケージファイルのサイズをそれぞれ同程度にしておけば、同じハードウェアの仕様の携帯電子機器間において異なる画像パッケージファイルを選択し、実行するようにした場合でも、同程度の処理速度となる。これによって、ハードウェアの仕様が同じであれば、携帯電子機器間において処理速度の差はほとんど発生しなくなるので、同じハードウェアの仕様の携帯電子機器間における処理速度の違和感を低減できる。その結果、ハードウェアの仕様が同じであれば、携帯電子機器間において画面上の見た目を異ならせたにも関わらず、処理速度の差はほとんど発生しなくなるので、同じハードウェアの仕様の携帯電子機器間における処理速度の違和感を低減できる。なお、画像パッケージファイルに格納された画像データを処理する画像生成ソフトウェアを画像パッケージファイルに加える場合、画像生成ソフトウェアは同じハードウェアの仕様の携帯電子機器間で共通化しておくことが好ましい。
【0122】
本実施形態では、例えば、図13−1に示す携帯電子機器1の筐体1C、及び図13−2に示す携帯電子機器1aの筐体1Caに対して、表示部17に表示される所定の画像(例えば、待ち受け画像やスクリーンセーバー)の背景色や表示オブジェクトの形状を、筐体1C、1Caの色や形状に合わせたものとする。本実施形態では、図13−1、図13−2に示す携帯電子機器1、1aにおいて、筐体の形状が2種類と、筐体の色が3種類(青、赤、黄)の計6種類の組み合わせに対して、それぞれ待ち受け画像を設定する。
【0123】
本実施形態において、データテーブル66に示すように、ID情報は2桁の文字列で表現し、下1桁が筐体の色を表し、上1桁が筐体の形状を表すものとする。図13−1に示す筐体1Cの形状を示すID情報をA、図13−2に示す筐体1Caの形状を示すID情報をBとし、青を示すID情報をC、赤を示すID情報をM、黄色を示すID情報をYとする。データテーブル66には、それぞれのID情報に対して、待ち受け画像を構成する背景の色、背景上に表示される表示オブジェクトの形状、表示オブジェクトの動かし方が設定される。なお、データテーブル66は、図4に示す記憶部13のデータテーブル保存部13iに保存される。
【0124】
待ち受け画像は、所定のイベントが発生したときに表示部17に表示される。所定のイベントとは、例えば、携帯電子機器が受信を待ち受けている状態、すなわち待ち受け状態が発生したときである。例えば、図4に示す処理部12の画像表示処理部12cが、筐体開閉検知部12bによって携帯電子機器の筐体の状態が開状態になること、あるいは閉状態が解除されたことのいずれかを検知した場合に待ち受け状態であると判断できる。携帯電子機器が待ち受け状態でない場合(ステップS301:No)、待ち受け画像は表示されない。
【0125】
携帯電子機器が待ち受け状態となった場合(ステップS301:Yes)、待ち受け画像を表示部17に表示させることができる状態になる。この場合、画像表示処理部12cは、待ち受け画像表示タスク13bを実行し、ファイルシステム制御部12fに待ち受け画像選出要求を発行する。ファイルシステム制御部12fは、ファイルシステム制御タスク13eを実行して、待ち受け画像として表示する画像を生成できる画像パッケージファイルを、記憶部13の画像データ保存部13hから選出する。
【0126】
本実施形態では、自機器の製造IDに基づき、画像パッケージファイルを特定し、特定された画像パッケージファイルにより生成される画像を、自機器の表示部に表示させる所定の画像として設定する。このため、ファイルシステム制御部12fは、記憶部13の製造ID保存部13fから、自機器の製造IDを読み込む(ステップS302)。次に、ファイルシステム制御部12fは、読み込んだ製造IDの少なくとも一部、すなわち、筐体デザイン情報に対応するID情報を、複数のID情報から検索する(ステップS303)。このため、ステップS204において、ファイルシステム制御部12fは、読み込んだ製造IDに含まれる筐体デザイン情報を取得する。そして、ファイルシステム制御部12fは、図15に示すデータテーブル66を呼び出して、データテーブル66に記述される複数のID情報から、取得した筐体デザイン情報と一致するID情報を検索する。例えば、製造IDがKCAC0000001である場合、筐体デザイン情報は、KCACからなる文字列の下1桁及び下から2桁目に記述される。このため、筐体デザイン情報と一致するID情報はACとなる。このようにして検索されたID情報は、自機器の製造IDに対応する。
【0127】
自機器の製造IDに対応するID情報により、自機器の筐体のデザインが特定される(ステップS304)。自機器の製造IDがKCAC0000001である場合、ID情報はACなので、データテーブル66に示すID情報と筐体のデザインとの関係から、自機器の筐体は、形状が角張っており、色が青のデザインであると特定できる。
【0128】
ファイルシステム制御部12fは、ステップS303で取得されたID情報に対応する待ち受け画像を生成できる画像パッケージファイルを、図15のデータテーブル66から取得し、例えば、図9−2に示す待ち受け画像管理テーブル70の空き領域(例えば、NO.6で示す領域)に書き込む。これによって、自機器の筐体のデザインに合う待ち受け画像が、待ち受け画像管理テーブル70に追加される(ステップS305)。次に、ファイルシステム制御部12fは、ステップS305で追加した画像パッケージファイルFL1を選択し、待ち受け画像選択フラグF2を1に設定する(ステップS306)。
【0129】
これによって、待ち受け画像として表示する画像を生成できる画像パッケージファイルFL1が、ファイルシステム制御部12fによって選出される。画像パッケージファイルFL1が選出されたら、ファイルシステム制御タスク13eは終了する。ファイルシステム制御タスク13eが終了したら、ファイルシステム制御部12fは、主処理部12aに完了通知を発行する。画像表示処理部12cは、ファイルシステム制御部12fにより選出された画像パッケージファイル、すなわち、図9−2に示す待ち受け画像管理テーブル70で待ち受け画像選択フラグF2が1に設定されている画像パッケージファイルFL1を、画像データ保存部13hから読み出す(ステップS307)。
【0130】
次に、画像表示処理部12cは、読み出された画像パッケージファイルFL1に記述された命令を実行して、待ち受け画像を生成する。本実施形態では、自機器の筐体のデザインに合わせた待ち受け画像を予め設定してある。例えば、ID情報がACである場合、筐体の形状は図13−1に示すような角張った形状で、筐体の色は青である。したがって、待ち受け画像の背景色は青に、表示対象の形状は四角形に、表示対象の動かし方はパターンM1に設定される。また、ID情報がBMである場合、筐体の形状は図13−2に示すような丸みを帯びた形状で、筐体の色は赤である。したがって、待ち受け画像の背景色は赤に、表示対象の形状は丸形に、表示対象の動かし方はパターンM2に設定される。ここで、パターンM1は、表示対象を直線状に動かす動かし方であり、パターンM2は、表示対象を曲線状に動かす動かし方である。これによって、自機器の筐体のデザインに合わせた背景色、表示オブジェクトの形状及び表示オブジェクトの動作の待ち受け画像を生成できる。
【0131】
画像表示処理部12cが待ち受け画像を生成したら、画像表示処理部12cは、デコード処理部12dにデコード処理要求を発行する。デコード処理部12dは、デコードタスク13cを実行して、生成された待ち受け画像をデコードして、RGBで表現されたビットマップデータに変換する(ステップS308)。デコードが完了したら、デコード処理部12dは、完了通知を画像表示処理部12cに発行する。そして、画像表示処理部12cは、表示制御部12eに待ち受け画像表示要求を発行する。表示制御部12eは、表示制御タスク13dを実行して、ビットマップ化されたパターンの待ち受け画像をメインディスプレイ2Mに表示する(ステップS309)。その後、表示制御部12eは、完了通知を画像表示処理部12cに発行して、待ち受け画像の表示が完了する。
【0132】
これによって、角張ったデザインの筐体1Cを持つ携帯電子機器1(図13−1参照)の表示部17(メインディスプレイ2M)には、図17−1に示すように、四角形の表示対象OJ1をパターンM1(直線状に動かす)で動かす待ち受け画像が表示される。また、丸みを帯びたデザインの筐体1Caを持つ携帯電子機器1a(図13−2参照)の表示部17(メインディスプレイ2M)には、図17−2に示すように、丸形の表示対象OJ2をパターンM2(曲線状に動かす)で動かす待ち受け画像が表示される。さらに、待ち受け画像の背景色は、それぞれの筐体1C、1Caの色に合わせた色となる。このように、本実施形態は、携帯電子機器1、1aの筐体1C、1Caのデザインのイメージに合った画像(待ち受け画像)のデザインを表示部(メインディスプレイ2M)に表示させることができる。
【0133】
本実施形態では、携帯電子機器が備える筐体のデザインを判別する手段として、携帯電子機器の固有の識別標識である製造IDを用いる。そして、携帯電子機器を構成する筐体の色や形状を判別し、対応する画像を携帯電子機器の表示部に表示される待ち受け画像に設定する。これによって、筐体の色や形状に合わせた待ち受け画像を表示させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0134】
以上のように、本発明に係る携帯電子機器は、携帯電子機器の筐体のデザインに合わせた画像を設定することに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0135】
【図1】実施形態1に係る携帯電子機器の正面図である。
【図2】実施形態1に係る携帯電子機器の側面図である。
【図3】実施形態1に係る携帯電子機器を閉じた状態を示す図である。
【図4】実施形態1に係る携帯電子機器の機能を説明するブロック図である。
【図5】携帯電子機器に付される製造IDの一例を示す図である。
【図6】携帯電子機器の製造IDと、ID情報と、携帯電子機器の初期設定情報との関係を示すテーブルである。
【図7−1】製造IDとID情報との対応関係が記述されたデータテーブルを示す模式図である。
【図7−2】ID情報とデザイン情報との対応関係が記述されたデータテーブルを示す模式図である。
【図7−3】携帯電子機器の製造IDとデザイン情報との対応関係が記述されたデータテーブルを示す模式図である。
【図8】携帯電子機器の設計、製造段階での工程を示す流れ図である。
【図9−1】実施形態1において、所定の画像を設定する手順を示す流れ図である。
【図9−2】記憶部に保存される待ち受け画像管理テーブルやメニュー画像管理テーブル等を示す模式図である。
【図10−1】携帯電子機器が備える筐体のデザインの一例を示す全体図である。
【図10−2】携帯電子機器の表示部に表示される待ち受け画像の一例を示す模式図である。
【図10−3】携帯電子機器の表示部に表示される待ち受け画像の一例を示す模式図である。
【図11】携帯電子機器に付される製造IDの一例を示す図である。
【図12】製造IDの一部と、ID情報と、デザイン情報との関係を示すテーブルである。
【図13−1】携帯電子機器の筐体を示す図である。
【図13−2】携帯電子機器の筐体を示す図である。
【図14】携帯電子機器の製造IDと、ID情報と、デザイン情報との関係を示すテーブルである。
【図15】ID情報と、待ち受け画像の構成要素との関係を示すデータテーブルである。
【図16】実施形態4において、携帯電子機器の待ち受け画像を表示する手順を示す流れ図である。
【図17−1】携帯電子機器の表示部に待ち受け画像が表示された状態を示す説明図である。
【図17−2】携帯電子機器の表示部に待ち受け画像が表示された状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0136】
1、1a…携帯電子機器、1C、1Ca…筐体、1CA…第1筐体、1CB…第2筐体、2M…メインディスプレイ、2S…サブディスプレイ、3…操作キー、4…方向及び決定キー、5…マイク、6…スピーカ、7…アンテナ、8…通信用端子、9…ヒンジ、11…通信部、12…処理部、12a…主処理部、12b…筐体開閉検知部、12c…画像表示処理部、12d…デコード処理部、12e…表示制御部、12f…ファイルシステム制御部、12g…起動部、13…記憶部、13a…起動タスク、13b…待ち受け画像表示タスク、13c…デコードタスク、13d…表示制御タスク、13e…ファイルシステム制御タスク、13f…製造ID保存部、13g…設定保存部、13h…画像データ保存部、13i…データテーブル保存部、14…音声処理部、17…表示部、18…操作部、60、65…テーブル、61、62、63、64、66…データテーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を表示する表示部を有する携帯電子機器であって、
自装置の製造IDと、それぞれ画像情報を有する複数のデザイン情報と、複数のID情報とが保存されるとともに、前記複数のID情報と前記複数のデザイン情報とがそれぞれ対応付けられている記憶部と、
前記製造IDを取得して、当該製造IDの少なくとも一部に対応するID情報を前記複数のID情報から検索し、検索されたID情報に対応するデザイン情報に基づいた画像を前記表示部に表示する所定の画像として設定する処理部と、
を含むことを特徴とする携帯電子機器。
【請求項2】
前記製造IDは、数列を含んで構成され、
前記複数のID情報は、それぞれが、前記携帯電子機器の筐体のデザインを一義的に示す所定範囲を指定する数値情報又は文字情報を含み、
前記処理部は、
前記所定の画像を設定する際、前記複数のID情報により特定される範囲のいずれに前記製造IDの数列が属するかを判断することで、対応するID情報を検索する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記製造IDは、文字列を含んで構成され、当該文字列の一部には、前記携帯電子機器の筐体のデザインを一義的に示す情報が含まれており、
前記処理部は、
前記所定の画像を設定する際、前記文字列の一部と一致するID情報を前記複数のID情報から検索する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記文字列の一部は、前記携帯電子機器の筐体の色を一義的に示す情報であることを特徴とする請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記デザイン情報は、受信待ち受け時に前記表示部に表示させる待ち受け画面を描画するための画像情報と、前記表示部に表示させるメニュー画像を描画させるための画像情報との少なくとも一つである
ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記処理部は、
前記携帯電子機器のリセットが実行された後、あるいは電源起動時に前記製造IDを取得して、取得した前記製造IDに対応する前記デザイン情報に基づいた画像を、前記表示部に表示する前記所定の画像として設定する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記記憶部は、前記処理部により前記所定の画像が設定されると所定の値を保存し、
前記処理部は、
前記携帯電子機器の電源起動時に、前記記憶部に前記所定の値が記憶されているかどうかを判定し、記憶されていなければ、前記製造IDを取得して、取得した前記製造IDに対応するID情報の検索を行う
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項8】
前記デザイン情報は、前記表示部に表示される画像の背景について指定する背景情報と、前記背景上に表示する表示オブジェクトを指定するオブジェクト情報と、前記表示オブジェクトの動作について制定する動作情報とを含んで構成されるデータファイルである
ことを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項9】
前記デザイン情報は、前記表示部に表示される画像の背景について指定する背景情報と、前記背景上に表示する表示オブジェクトを指定するオブジェクト情報と、前記表示オブジェクトの動作について制定する動作情報とを含んで構成されるデータファイルであり、
前記処理部は、
所定のイベントが発生すると、前記記憶部から前記製造IDを取得して、取得した前記製造IDに基づいて前記データファイルを特定し、当該データファイルにより生成される画像を前記所定の画像として設定する
ことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項10】
前記表示部が設けられ、かつ開閉可能に構成される筐体を備え、
前記所定のイベントは、前記筐体の状態が開状態になること、あるいは閉状態が解除されたことのいずれかである
ことを特徴とする請求項9に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7−1】
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【図7−2】
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【図7−3】
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【図8】
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【図9−1】
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【図9−2】
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【図10−1】
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【図10−2】
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【図10−3】
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【図11】
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【図12】
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【図13−1】
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【図13−2】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17−1】
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【図17−2】
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【公開番号】特開2010−87605(P2010−87605A)
【公開日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−251562(P2008−251562)
【出願日】平成20年9月29日(2008.9.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】