説明

携帯電子機器

【課題】外部環境の悪化があっても、記憶部に記憶されている各種の情報のうち重要な情報を保存可能な携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】携帯電話機1は、記憶部70と、外部環境を検出する検知部60と、記憶部70及び検知部60を制御する制御部57と、を有し、検知部60は、赤外線を送信可能な赤外線送信部21と、赤外線を受信可能な赤外線受信部23と、を含んだ赤外線通信部25と、赤外線通信部25をカバーし、筐体表面に液体を収納可能な凹形状に形成された第1凹形状部29を含む第1カバー部材27と、を有し、制御部57は、赤外線送信部25が前記第1カバー部材27の第1凹形状部29に赤外線を照射して、その反射波を受けた赤外線受信部23の受信強度から液体付着の有無を判断する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機、PDA、携帯型ゲーム機、携帯用テレビ、携帯用ラジオ等の携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、GPS衛星からの現在位置情報を監視センタ宛てに一定時間毎に送信する、あるいは、緊急通報ボタンが操作されたとき、監視センタ宛てに現在位置を送信する携帯電子機器が開示されている。
また、特許文献2には、水濡れ検知機能付き携帯電話機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8―180286号公報
【特許文献2】特開2001―197175号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1及び2に記載の方法においては、携帯電子機器に記憶されている情報を保存できないという不利益がある。
【0005】
本発明の目的は、外部環境の悪化があっても、記憶部に記憶されている各種の情報のうち重要な情報を保存可能な携帯電子機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の携帯電子機器は、記憶部と、外部環境を検出する検知部と、前記記憶部及び検知部を制御する制御部と、を有し、前記検知部は、赤外線を送信可能な赤外線送信部と、赤外線を受信可能な赤外線受信部と、を含んだ赤外線通信部と、前記赤外線通信部をカバーし、筐体表面に液体を収納可能な凹形状に形成された第1凹形状部を含む第1カバー部材と、を有し、前記制御部は、さらに、前記赤外線送信部が前記第1カバー部材の第1凹形状部に赤外線を照射して、その反射波を受けた前記赤外線受信部の受信強度から液体付着の有無を判断する。
【0007】
好適には、前記検知部は、さらに、前記検知部は、音声を出力可能なスピーカと、音声を入力可能なマイクロフォンと、を含んだ音声入出力検知部と、前記音声入出力検知部をカバーし、筺体表面に液体を収納可能な凹形状に形成された第2凹形状部を含む第2カバー部材と、を有し、前記制御部は、前記スピーカが前記第2カバー部材の第2凹形状部に音声を出力して、その反射音波を受けた前記マイクロフォンの強度から液体付着の有無を判断する。
【0008】
好適には、前記制御部は、さらに、前記検知部によって検出した外部環境が一定の状態であると判断した場合には、前記記憶部に記憶している情報を、前記記憶部より保存性の高い記憶部に転送記憶させる。
【0009】
好適には、外部環境の変化に対する耐性の異なる複数の前記記憶部を有し、前記制御部は、前記検知部によって検出した外部環境が一定の状態であると判断した場合には、前記記憶部に記憶している情報を、前記複数の前記記憶部のうち、外部環境の変化に対する耐性の最も高い前記記憶部に転送記憶させる。
【0010】
好適には、外部に存在する記憶機能を有する機器と通信可能な通信部を有し、前記制御部は、前記検知部によって検出した外部環境が一定の状態であると判断した場合には、前記外部に存在する記憶機能を有する機器と前記通信部を介して通信して、前記記憶部に記憶している情報を、前記外部に存在する記憶機能を有する機器に転送記憶させる。
【0011】
好適には、前記記憶部に記憶している情報を、外部環境の変化に対する耐性の最も高い前記記憶部に転送記憶させる、又は、前記外部に存在する記憶機能を有する機器に転送記憶させる、順序はより重要度が高いものを優先させる。
【0012】
好適には、前記制御部は、前記検知部が一定の状態であると検出した場合には、その旨の報知処理を行う。
【発明の効果】
【0013】
本発明によると、外部環境の悪化があっても、記憶部に記憶されている各種の情報のうち重要な情報を保存可能な携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施態様に係る携帯電話機の外観を示す斜視図である。
【図2】図1の携帯電話機の信号処理系を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における処理を説明するフローチャートである。
【図4】第1の変形例の説明図である。
【図5】第1の変形例における処理を説明するフローチャートである。
【図6】第3の変形例の説明図である。
【図7】第4の変形例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の実施形態に係る携帯電話機1の外観を示す斜視図である。
【0016】
携帯電話機1は、折り畳み式として構成されている。
携帯電話機1は第1筐体2及び第2筐体3とで構成されている。
第1筐体2は、第2筐体3と対向する部分を構成する第1筐体フロントケース4と、第2筐体3とは反対側部分を構成する第1筐体リアケース5とを有している。
第2筐体3は、第1筐体2と対向する部分を構成する第2筐体フロントケース6と、第1筐体2とは反対側部分を構成する第2筐体リアケース7とを有している。
【0017】
第1筐体フロントケース4及び第1筐体リアケース5はネジ等により互いに固定され、第1筐体フロントケース4及び第1筐体リアケース5の間に形成された空間に種々の電子部材を収容する収容空間を構成する。
第2筐体フロントケース6及び第2筐体リアケース7もネジ等により互いに固定され、第2筐体フロントケース6及び第2筐体リアケース7の間に形成された空間に種々の電子部材を収容する収容空間を構成する。
これらの第1筐体フロントケース4、第1筐体リアケース5、第2筐体フロントケース6及び第2筐体リアケース7は、例えば、樹脂により形成されている。
【0018】
また、図1のように第1筐体2を上にし、第2筐体3を下にした状態とした時に、右側に来る側面を右側面11とし、左側に来る側面を左側面12という。
そして、右側面11側に向かう方向を右側面方向(図1においては、紙面右の方向)といい、左側面12面に向かう方向を左側面方向(図1においては、紙面左の方向)という。
【0019】
図1のように、第1筐体フロントケース4には表示部8が配置されている。
この表示部8は、携帯電話機1の状態、ユーザの操作内容、発信先電話番号、電子メールの内容の表示、ゲーム画面等の様々な情報を表示するためのものである。
また、表示部8はLCD(液晶ディスプレイ)、OLED(Organic light-emitting diode:有機EL)等によって構成されている。
【0020】
また、図1のように、第2筐体フロントケース6の表面方向には、入力部10が配置されている。この入力部10をユーザが操作することによって、携帯電話機1に命令の入力、文字の入力等がなされる。
【0021】
なお、図1には図示していないが、第1筐体2又は第2筐体3内部には、検知部60を構成する各種のセンサが配置されている。
各種のセンサの具体例は、図2についての説明において後述するが、温度検知センサ61、水検知センサ62、加速度検知センサ63等である。
もっとも、これらのセンサに限定する趣旨ではなく、必要に応じてその他のセンサを設けることも可能である。
たとえば、高度検知センサ、気圧検知センサ、放射線検知センサ、光検知センサ等である。
【0022】
また、検知部60を構成する各種のセンサの位置は、その検出する対象に応じて最も適切な位置に配置することが好適である。
たとえば、水検知センサ62であれば、水に濡れた場合に最初に水に触れるはずの第1筐体2又は第2筐体3の表面側に配置すると好適であり、温度検知センサ61であれば、もっとも高温になりやすいCPUの近傍に配置すると好適である。
【0023】
一般的に、図1のような携帯電話機1には、ユーザにとって重要な情報が不図示の記憶部70に記憶されている場合が多い。たとえば、不図示の撮像部55によって撮影した静止画・動画等の画像情報、電子メールの送受信内容、録音した音声情報、アドレス帳情報、スケジュール情報等である。
これらの重要な情報について、頻繁にバックアップを取っていればよいが、そのような行為を行うユーザはまれである。
さらに、バックアップを取っていても、バックアップの後の情報は保存できない。
そこで、本実施形態は、このような重要な情報が喪失することを防ぐことを目的としている。
このような重要な情報が喪失することは、携帯電話機1が水没、焼損、温度上昇等によって毀損することが原因である場合も多い。
そこで、本実施形態では、このような毀損が生ずる可能性ある場合を検知部60が検知して、より保存性が高い記憶部70に転送してそれを記憶(転送記憶)させる。
これによって、重要な情報をできるだけ保護することを可能とするものである。
そのための、具体的な方法について以下説明する。
【0024】
図2は、図1の携帯電話機1の信号処理系を示すブロック図である。
【0025】
図2に示されるように、携帯電話機1は、制御・処理の中枢である制御部57と、通信部51と、操作部52と、音声入出力部53と、表示部8と、撮像部55と、記憶部70のそれぞれが、アドレス、データ、コントロールのためのラインが複数本からなるシステムバス58に共通に接続され、構成される。
【0026】
通信部51は、無線通信システムを捕捉し、通信ネットワークに接続される基地局100との間で無線通信を行い、各種データの送受信を行う。各種データとは、Web上のダウンロードサイトからダウンロードされるファイルのデータ、音声通話時の音声データ、メール送受信時のメールデータ、ウェブ閲覧時のウェブページデータ、等である。
【0027】
操作部52は、入力部10及びその他の部分から入力されるユーザの指示を受け付ける。
入力部10には、例えば、電源キー、通話キー、数字キー、文字キー、方向キー、決定キー、発信キー、ファンクションキーなど、各種の機能が割り当てられたキーが配置されている。
そして、これらのキーがユーザによって操作された場合に、その操作内容に対応する信号を発生し、これをユーザの指示として制御部57に出力する。
【0028】
音声入出力部53は、スピーカから出力される音声信号やマイクロフォンにおいて入力される音声信号の入出力処理を行う。
すなわち、音声入出力部53は、マイクロフォンから入力された音声を増幅し、アナログ/デジタル変換を行い、更に符号化等の信号処理を施し、デジタルの音声データに変換して制御部57に出力する。
また、音声入出力部53は、制御部57から供給される音声データに復号化、デジタル/アナログ変換、増幅等の信号処理を施し、アナログの音声信号に変換してスピーカに出力する。
この音声入出力部53のマイクロフォンが検出した音声を、後述する記憶部70が記憶している。
【0029】
表示部8は、例えばLCDやOLEDを用いて構成されており、制御部57から供給される映像信号に応じた画像を表示する。
表示部8は、例えば、通信部51による無線発信時における発信先の電話番号、着信時における発信元の電話番号、受信メールや送信メールの内容、日付、時刻、電池残量、発信成否、待ち受け画面等を表示する。
【0030】
撮像部55は、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の光電変換素子とその制御回路等により構成されるカメラである。
この撮像部55で、撮影された静止画又は動画情報が記憶部70に記憶されている。
【0031】
記憶部70では、携帯電話機1の各種処理に利用される各種データを記憶する。
記憶部70は、例えば制御部57が実行するコンピュータのプログラム、通信相手の電話番号や、着信音やアラーム音を再生するための音声ファイル、待ち受け画面用の画像ファイル、各種の設定データ、プログラムの処理過程で利用される一時的なデータが記憶される。
本実施形態では、音声入出力部53によって検出された音声情報が、記憶部70に記憶されている。
また、撮像部55によって撮影された静止画・動画の情報を記憶部70は記憶している。
さらに、電子メールアドレス、電話番号等の個人情報を管理するアドレス帳及び電子メールの内容も記憶部70は記憶している。
加えて、入力部10等によって入力された、スケジュール情報も記憶部70は、記憶している。
以上に記載した以外の情報も、記憶部70は記憶している。
【0032】
記憶部70は、RAM71、ROM72、メモリカード73等から構成されている。
この記憶部70を構成するRAM71、ROM72、メモリカード73のうちどの装置を用いて、情報を記憶するかは、情報に応じて適切に選択されている。
なお、RAM71は、たとえば、DRAM、SRAM等から構成されている。
メモリカード73は、着脱可能なパッケージ化されたメモリである。
以上のRAM71、ROM72、メモリカード73は、あくまで、記憶部70の一例であり、これ以外の記憶装置を記憶部70として用いることも可能である。
携帯電話機1が毀損した場合に情報を転送記憶することを目的とした、より、強固かつ保存性の高い記憶装置を新たに開発することも可能である。
【0033】
RAM71、ROM72、メモリカード73は、その構造等に基づく保存性(安全性)が異なる。
つまり、メモリカード73は、独立して持ち運び可能とするために、電気の供給が無くても内部の情報を保持可能である。
さらに、メモリカード73は、独立して持ち運び可能とするために、比較的頑丈な筐体によって保持され、多少の水濡れ、温度上昇等があっても情報を保持可能である。
他方、RAM71の一例であるDRAMは、電気供給がなくなればすぐに情報が喪失してしまう。
【0034】
したがって、携帯電話機1が毀損する可能性のある環境となった場合には、より、保存性が高いメモリカード73に情報を退避させておくことができれば、携帯電話機1が毀損した後であっても、転送記憶した情報を読み出すことが可能となる。
そこで、本実施形態では、検知部60が外部環境を検出し、一定の条件を満たした場合には、重要な情報を、最も保存性の高い記憶部70(メモリカード73)に退避させている。
これによって、ユーザにとって重要な(再現することができない)情報をより保存性(安全性)の高い記憶部70に転送記憶することができるのであるから、この情報が失われる恐れを低減することが可能となる。
【0035】
検知部60は、携帯電話機1の外部環境を検出する。
本実施形態では、温度検知センサ61、水検知センサ62、加速度検知センサ63である。
もっとも、以上のセンサに限定する趣旨ではなく、必要に応じて各種のセンサを搭載することが可能である。
そして、この温度検知センサ61、水検知センサ62、加速度検知センサ63等から成る検知部60が一定の条件を満たすと判断した場合には、制御部57にその旨を通知する。
【0036】
制御部57は、携帯電話機1の全体的な動作を統括的に制御する。
すなわち、制御部57は、携帯電話機1の各種処理(回線交換網を介して行われる音声通話、電子メールの作成と送受信、インターネットのWeb上のダウンロードサイトの閲覧など)が操作部52の操作に応じて適切な手順で実行されるように、上述した各ブロックの動作(通信部51における信号の送受信、表示部8における画像の表示、撮像部55における撮像処理等)を制御する。
さらに、制御部57は、記憶部70に格納されるプログラム(オペレーティングシステム、アプリケーションプログラム等)に基づいて処理を実行するコンピュータ(マイクロプロセッサ)を備えており、このプログラムにおいて指示された手順に従って上述した処理を実行する。
すなわち、制御部57は、記憶部70に格納されるオペレーティングシステムやアプリケーションプログラム等のプログラムから命令コードを順次受け取って処理を実行する。
【0037】
本実施形態においては、特に、制御部57は以下の動作を行う。
制御部57は、検知部60から通知される外部環境の変化があると、記憶部70の中で、保存性の低い記憶部70(たとえばRAM71)に記憶されている情報を、保存性の高い記憶部70(たとえばメモリカード73)に転送し記憶(コピー)する。
【0038】
なお、制御部57が、保存性の低い記憶部70から保存性の高い記憶部70にコピーする情報は、すべてである必要はなく、重要度の高い情報からコピーすることが好適である。
一般的に重要度が高い動画・静止画等の画像情報を優先するように、あらかじめ設定しておくことも可能である。
重要度は、ユーザが設定することができることにしておけば、より好適である。
【0039】
図3は、本実施形態における処理を説明するフローチャートである。
【0040】
ステップST01において、検知部60により外部環境を検出する。
なお、直接外部環境を検出するだけでなく、たとえばCPU周辺の温度を検出することによって間接的に外部環境を検出することもできる。
【0041】
ステップST02において、検知部60が検出した外部環境が一定の条件を満たしているか判断する。
一定の条件とは、たとえば、加速度センサ63である場合には、携帯電話機1が毀損するほどの強度の加速度が加わっている場合である。
煙検知センサ65の場合には、同じく携帯電話機1が毀損するほどの煙であると判断される場合である。
そして、一定の条件を満たしていない場合には、ステップST01の処理に戻る。
一方、一定の条件を満たしていると判断した場合には、ステップST03の処理に移行する。
【0042】
ステップST03において、制御部57は、記憶部70のうち情報を退避させるのに最も適切な記憶部70を選択する。
たとえば、RAM71とROM72とメモリカード73が実装されている場合であれば、メモリカード73が選択される。
それ以外に、より、保存性が高い記憶部70があればその記憶部70に情報を退避するのが好適である。
【0043】
ステップST04において、ステップST03において選択した記憶部70にデータを転送して、コピー(退避)する。
【0044】
以上の様に構成したことによって、携帯電話機1が毀損する可能性がある場合に、携帯電話機1内の情報をより保存性(安全性)の高い記憶部70に転送記憶させることが可能となる。
【0045】
<第1の変形例>
より好適な、第1の変形例を以下に記載する。
図4は、第1の変形例の説明図である。
【0046】
図4が、図2と異なる点は、通信部51によって記憶部70に記憶されている重要な情報が携帯電話機1の外部に存在する外部記憶部74に記憶される点である。
つまり、検知部60が一定の条件(状態)を検出すると、制御部57は通信部51を通じて、外部記憶部74に記憶部70が記憶している情報を転送記憶させる。
通信部51は基地局100と通信して、情報信号を基地局100に送信する。
この情報信号を受信した基地局100は、通信網101を通じて外部記憶部74にこの情報信号を転送記憶させる。
なお、通信網101はインターネット通信網であってもよいし、電話通信網であってもよく、さらに、その他の通信網101であってもよい。
また、外部記憶部74はユーザが管理する外部記憶部74(たとえば、ユーザの自宅パーソナルコンピュータの記憶装置)であってもよいし、携帯電話機1を管理等する者が管理する外部記憶部74であってもよい。
また、外部記憶部74は携帯電話機1が最後に通信(通話)した通信先であってもよい。
【0047】
図5は、第1の変形例における処理を説明するフローチャートである。
【0048】
図5の処理は、基本的に図3の処理と同一であるが、異なる点は、ステップST05からステップST07までの処理を行う点である。
ステップST01からステップST04の処理は同一であるから、説明を省略する。
【0049】
ステップST05において、通信部51の電波強度、エラーレート等の電波状況を検出する。
【0050】
ステップST06において、ステップST05によって検出された電波状況で、データ(情報)を送信可能か判断する。
そして、データを通信可能と判断した場合には、ステップST07に移行する。
他方、データを通信不可能と判断した場合には、ステップST03に移行する。
つまり、通信部51を用いることによって記憶できない場合には、外部への情報の保存(転送記憶)をやめ、携帯電話機1内に実装されている記憶部70のうち最も保存性(安全性)の高い記憶部70に保存(転送記憶)する。
【0051】
以上の様に構成することによって、より安全性の高い外部の外部記憶部74に重要な情報の転送記憶を行うことができる。
これによって、より確実に、情報の保存が可能となる。
【0052】
なお、この実施例では、通信部51を使用した外部記憶部74への記憶と内部の記憶部70のうち最も保存性の高い記憶部70への記憶とは選択的であったが、両方を平行して行うこともできる。
【0053】
<第2の変形例>
より好適な、第2の変形例を以下に記載する。
以上の実施態様及び第1の変形例では、検知部60が一定の状態を検知した場合には、単に、情報をより保存性の高い記憶部70に転送記憶していたが、これに加えて、その旨をユーザに通知するのがより好適である。
この通知は、表示部8、インジケータ、音声入出力部53のスピーカ等を用いることが効果的である。
これによって、ユーザはその原因を除去する、若しくは、退避することが可能となる。
【0054】
<第3の変形例>
より好適な、第3の変形例を以下に記載する。
図6は、第3の変形例の説明図である。
特に、水(液体)を検出する水検知センサ62に対する変形例である。
携帯電話機1は赤外線通信部25を有していてもよい。
そして、この赤外線通信部25を第1カバー部材27はカバーする。
この第1カバー部材27は、筐体の表面に形成され、液体を収納可能な凹形状を有する第1凹形状部29を有する。
赤外線通信部25は、赤外線を照射可能な赤外線送信部21と、赤外線を受けることができる赤外線受信部23とを有する。
また、赤外線送信部21から出射された赤外線は第1凹形状部29に照射され、この第1凹形状部29で赤外線は反射される。
この反射された赤外線を赤外線受信部23は受信して、その強度を検出することができる。
以上のような構成で、第1凹形状部29に水(液体)がたまると、赤外線送信部21から照射され反射された赤外線の強度は変化する。
この変化を、赤外線受信部23を介して制御部57が判断して、水を検知する。
このように、第1凹形状部29に付着した水(液体)に赤外線を照射して、反射信号の強度を検出して水の有無を判断させることによって、赤外線通信部25は水検知センサ62として作用させることが可能となる。
なお、赤外線通信部25は、水検知以外に赤外線による通信を行う機能も有している。
【0055】
<第4の変形例>
他のより好適な、第4の変形例を以下に記載する。
図7は、第4の変形例の説明図である。
特に、水(液体)を検出する水検知センサ62に対する変形例である。
また、携帯電話機1は音声入出力検知部35を有していてもよい。
そして、この音声入出力検知部35を第2カバー部材37はカバーする。
この第2カバー部材37は、筐体の表面に形成され、液体を収納可能な凹形状を有する第2凹形状部39を有する。
音声入出力検知部35は、音声を出力可能なスピーカ31と、音声の入力を受けることができるマイクロフォン33とを有する。
また、スピーカ31から出射された音波は第2凹形状部39に出力され、この第2凹形状部39で音波は反射される。
この反射された音波をマイクロフォン33は受信して、その強度を検出することができる。
以上のような構成で、第2凹形状部39に水(液体)がたまると、スピーカ31から出力され反射された音波の強度は変化する。
この変化を、マイクロフォン33を介して制御部57が判断して、水を検知する。
このように、第2凹形状部39に付着した水(液体)に音波を照射して、反射音波の強度を検出して水の有無を判断させることによって、マイクロフォン33は水検知センサ62として作用させることが可能となる。
なお、音声入出力検知部35は、水検知以外に通話時の会話内容を出力する音声入出力部53としての機能と兼用であってもよい。
【0056】
<第5の変形例>
以上の方法によって、携帯電話機1の毀損の恐れを検出した場合に、保存する情報の優先順位は自由に決定することが可能であるが、特に、最新の情報から保存することが好適である。
その理由は、最新の情報は重要である可能性が高いからである。
【0057】
以上の実施態様によれば、携帯電話機1は、記憶部70と、外部環境を検出する検知部60と、記憶部70及び検知部60を制御する制御部57と、を有している。
また、検知部60は、赤外線を送信可能な赤外線送信部21と、赤外線を受信可能な赤外線受信部23と、を含んだ赤外線通信部25と、赤外線通信部25をカバーし、筐体表面に液体を収納可能な凹形状に形成された第1凹形状部29を含む第1カバー部材27と、を有している。
そして、制御部57は、さらに、赤外線送信部25が前記第1カバー部材27の第1凹形状部29に赤外線を照射して、その反射波を受けた赤外線受信部23の受信強度から液体付着の有無を判断する。
このような構成によって、水の付着の有無を簡単な構成によって検出することが可能となる。
さらに、水の付着を検出することができれば、情報を記憶している記憶部70が毀損する前にユーザは、携帯電話機1の毀損を防ぐべく処理を行うことができる。
【0058】
検知部60は、さらに、音声を出力可能なスピーカ31と、音声を入力可能なマイクロフォン33と、を含んだ音声入出力検知部35と、音声入出力検知部35をカバーし、筺体表面に液体を収納可能な凹形状に形成された第2凹形状部39を含む第2カバー部材37と、を有している。
そして、制御部57は、スピーカ31が第2カバー部材37の第2凹形状部39に音声を出力して、その反射音波を受けたマイクロフォン33の強度から液体付着の有無を判断する。
このような構成によって、水の付着の有無を簡単な構成によって検出することが可能となる。
【0059】
制御部57は、検知部60によって検出した外部環境が一定の状態であると判断した場合には、記憶部70に記憶している情報を、記憶部70より保存性の高い記憶部70に転送記憶する。
このような構成によって、携帯電話機1が毀損する可能性がある場合に、携帯電話機1内の情報をより保存性(安全性)の高い記憶部70に転送記憶させることが可能となる。
【0060】
携帯電話機1は、外部環境の変化に対する耐性の異なる複数の記憶部70を有している。
そして、制御部57は、検知部60によって検出した外部環境が一定の状態であると判断した場合には、記憶部70に記憶している情報を、複数の前記記憶部70のうち、外部環境の変化に対する耐性の最も高い記憶部70に転送記憶させる。
以上の様に構成したことによって、携帯電話機1が毀損する可能性がある場合に、携帯電話機1内の情報をより保存性(安全性)の高い記憶部70に転送記憶させることが可能となる。
【0061】
携帯電話機1は、外部に存在する記憶機能を有する機器と通信可能な通信部51を有している。
そして、制御部57は、検知部60によって検出した外部環境が一定の状態であると判断した場合には、外部に存在する記憶機能を有する機器と通信部51を介して通信して、記憶部70に記憶している情報を、外部に存在する記憶機能を有する外部記憶部74に転送記憶させる。
このような構成によって、より安全性の高い外部の外部記憶部74に重要な情報の転送記憶を行うことができる。
【0062】
制御部57は、記憶部70に記憶している情報を、外部環境の変化に対する耐性の最も高い記憶部70に転送記憶させる、又は、外部に存在する記憶機能を有する外部記憶部74に転送記憶させる、順序はより重要度が高いものを優先させる。
このような構成によって、コピーが途中で中断しても重要度が高いデータを保存することが可能となる。
【0063】
制御部57は、検知部60が一定の状態であると検出した場合には、報知する。
このような構成によって、ユーザは一定の状態が発生していることを認知することが可能となる。
そして、ユーザにとってその一定の状況が好ましくないものであるならば、ユーザはその原因を除去する、若しくは、退避することが可能となる。
【0064】
本発明は、以上の実施態様に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
【0065】
携帯電子機器は、携帯電話機1に限定されない。例えば、携帯電子機器は、ノートパソコン、PDA、ゲーム機、カメラであってもよい。また、携帯電子機器は、折り畳み式のものに限定されない。ケースが一体的に構成されたもの(1つのみのケース)であってもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…携帯電話機、2…第1筐体、3…第2筐体、4…第1筐体フロントケース、5…第1筐体リアケース、6…第2筐体フロントケース、7…第2筐体リアケース、8…表示部、9…ヒンジ部、10…入力部、11…右側面、12…左側面、21…赤外線送信部、23…赤外線受信部、25…赤外線通信部、27…第1カバー部材、29…第1凹形状部、31…スピーカ、33…マイクロフォン、35…音声入出力検知部、37…第2カバー部材、39…第2凹形状部、50…電源制御部、51…通信部、52…操作部、53…音声入出力部、55…撮像部、57…制御部、58…システムバス、60…検知部、61…温度検知センサ、62…水検知センサ、63…加速度検知センサ、70…記憶部、71…RAM、72…ROM、73…メモリカード、74…外部記憶部(外部記憶サーバ)、100…基地局、101…通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、
外部環境を検出する検知部と、
前記記憶部及び検知部を制御する制御部と、を有し、
前記検知部は、
赤外線を送信可能な赤外線送信部と、赤外線を受信可能な赤外線受信部と、を含んだ赤外線通信部と、
前記赤外線通信部をカバーし、筐体表面に液体を収納可能な凹形状に形成された第1凹形状部を含む第1カバー部材と、を有し、
前記制御部は、
前記赤外線送信部が前記第1カバー部材の第1凹形状部に赤外線を照射して、その反射波を受けた前記赤外線受信部の受信強度から液体付着の有無を判断する
携帯電子機器。
【請求項2】
前記検知部は、さらに、
音声を出力可能なスピーカと、音声を入力可能なマイクロフォンと、を含んだ音声入出力検知部と、
前記音声入出力検知部をカバーし、筺体表面に液体を収納可能な凹形状に形成された第2凹形状部を含む第2カバー部材と、を有し、
前記制御部は、
前記スピーカが前記第2カバー部材の第2凹形状部に音声を出力して、その反射音波を受けた前記マイクロフォンの強度から液体付着の有無を判断する
請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、さらに、
前記検知部によって検出した外部環境が一定の状態であると判断した場合には、前記記憶部に記憶している情報を、前記記憶部より保存性の高い記憶部に転送記憶させる
請求項1又は2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
外部環境の変化に対する耐性の異なる複数の前記記憶部を有し、
前記制御部は、
前記検知部によって検出した外部環境が一定の状態であると判断した場合には、前記記憶部に記憶している情報を、前記複数の前記記憶部のうち、外部環境の変化に対する耐性の最も高い前記記憶部に転送記憶させる
請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
外部に存在する記憶機能を有する機器と通信可能な通信部を有し、
前記制御部は、
前記検知部によって検出した外部環境が一定の状態であると判断した場合には、前記外部に存在する記憶機能を有する機器と前記通信部を介して通信して、前記記憶部に記憶している情報を、前記外部に存在する記憶機能を有する機器に転送記憶させる
請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記記憶部に記憶している情報を、外部環境の変化に対する耐性の最も高い前記記憶部に転送記憶させる、又は、前記外部に存在する記憶機能を有する機器に転送記憶させる順序はより重要度が高いものを優先させる
請求項3〜5いずれか1項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
前記制御部は、前記検知部が一定の状態であると検出した場合には、その旨の報知処理を行う
請求項3〜6いずれか1項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−97303(P2011−97303A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−248323(P2009−248323)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】