説明

携帯電子機器

【課題】導電部を利用した新たな構成のアンテナを有する携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】第1導電部13を有する操作部側筐体部2と、第2導電部24を有する表示部側筐体部3と、第3導電部40を有すると共に、操作部側筐体部2の主面と表示部側筐体部3の主面とを対向させて積層方向に配置させた閉状態と、操作部側筐体部2の主面の一部が露出しつつ、他の一部が表示部側筐体部3の主面に覆われる開状態とに遷移可能なように操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを連結する連結部4と、第1給電部30とを備え、開状態及び閉状態のいずれか一方又は双方において、第1導電部13と第2導電部24とは、第3導電部40を介して電気的に接続され、第1導電部13と第2導電部24と第3導電部40とにより少なくとも三方を囲われて形成される対向領域Aは、第1給電部30により給電されて磁流アンテナとして動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを有し外部機器と通信を行う携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子機器は、小型化・薄型化が進んでおり、また、様々な構成のアンテナが内蔵されている。
例えば、特許文献1では、第1筐体内に配置された第1導電部に切欠部を形成し、当該切欠部に給電することにより、切欠部がスロットアンテナとして動作する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−167420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような携帯電子機器では、導電部を利用したさらなるアンテナ技術が求められている。
【0005】
本発明は、小型化・薄型化の要請に応えつつ、導電部を利用した新たな構成のアンテナを有する携帯電子機器を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯電子機器は、上記課題を解決するために、第1導電部を有する第1筐体と、第2導電部を有する第2筐体と、第3導電部を有すると共に、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面とを対向させて積層方向に配置させた閉状態と、前記閉状態から前記第1筐体に対して前記第2筐体を水平方向にスライドさせ、前記第1筐体の主面の一部が露出しつつ、他の一部が前記第2筐体の主面に覆われる開状態とに遷移可能なように前記第1筐体と前記第2筐体とを連結する連結部と、第1給電部とを備え、前記開状態及び前記閉状態のいずれか一方又は双方において、前記第1導電部と前記第2導電部とは、前記第3導電部を介して電気的に接続され、前記第1導電部と前記第2導電部と前記第3導電部とにより少なくとも三方を囲われて形成される対向領域は、前記第1給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する構成である。
【0007】
また、携帯電子機器では、第2給電部を備え、前記第2導電部は、第1部と第2部とを有し、前記第3導電部は、第1部と第2部とを有し、前記第1導電部と、前記第2導電部の前記第1部とは、前記第3導電部の前記第1部を介して電気的に接続され、前記第1導電部と、前記第2導電部の前記第1部と、前記第3導電部の前記第1部とにより囲われて形成される対向領域は、前記第1給電部により給電されて磁流アンテナとして動作し、前記第1導電部と、前記第2導電部の前記第2部は、前記第3導電部の前記第2部を介して電気的に接続され、前記第2導電部の前記第2部は、前記第2給電部により給電されて逆Fアンテナとして動作する構成でも良い。
【0008】
また、携帯電子機器では、第3給電部と、前記第1給電部と前記第3給電部の一方を動作させる制御部とを備え、前記第1導電部及び前記第2導電部は、前記開状態及び前記閉状態で互いに対向する対向面を有し、前記対向領域の平面方向における一方側の端部は、前記第1給電部により給電されて第1磁流アンテナとして動作し、前記対向領域の前記平面方向における他方側の端部は、前記第3給電部により給電されて第2磁流アンテナとして動作し、前記制御部は、前記第1磁流アンテナによる通信品質と、前記第2磁流アンテナによる通信品質とを比較し、通信品質が高い一方の磁流アンテナによる通信を行う制御を実行する構成でも良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、導電部を利用した新たな構成のアンテナを有する携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】携帯電話装置がスライドダウン状態(閉状態)のときの外観斜視図を示す。
【図2】携帯電話装置がスライドアップ状態(開状態)のときの外観斜視図を示す。
【図3】磁流アンテナの動作についての説明に供する図である。
【図4】第1の構成における磁流アンテナの動作についての説明に供する図である。
【図5】第2の構成における磁流アンテナの動作についての説明に供する図である。
【図6】第3の構成における磁流アンテナの動作についての説明に供する図である。
【図7】開状態と閉状態における磁流アンテナの動作についての説明に供する図である。
【図8】第4の構成における磁流アンテナの動作についての説明に供する図である。
【図9】第5の構成における磁流アンテナの動作についての説明に供する図である。
【図10】第6の構成における磁流アンテナの動作についての説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1及び図2は、本発明に係る携帯電子機器の一例である携帯電話装置1の外観斜視図を示す。また、本実施の形態では、携帯電話装置1について説明するが、本発明は携帯電話装置に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であっても良い。
【0012】
携帯電話装置1は、操作部側筐体部2(第1筐体)と、表示部側筐体部3(第2筐体)と、を備えて構成される。操作部側筐体部2は、表面部10に、操作キー群11と、携帯電話装置1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12を備えて構成される。操作キー群11は、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作ボタンにより構成されている。
【0013】
また、表示部側筐体部3は、表面部20に、各種情報を表示するためのディスプレイ21と、通話の相手側の音声を出力する音声出力部22と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン23から構成されている。
【0014】
なお、携帯電話装置1は、上述した以外にも他の構成要素により構成されている。他の構成要素は、例えば、被写体を撮像するCCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラ等により構成される撮像部や、音楽等を外部に出力するスピーカ等である。
【0015】
また、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、スライド機構を有する連結部4(不図示)を介して連結されている。したがって、携帯電話装置1は、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3を互いに重ね合わせ、表示部側筐体部3で操作部側筐体部2の上面を覆う状態(スライドダウン状態であって、以下、閉状態という。)、及び(図1を参照。)、表示部側筐体部3を操作部側筐体部2に対して長手方向へスライドさせて操作部側筐体部2の覆われていた部分(操作キー群11とマイク12)が露出する状態(スライドアップ状態であって、以下、開状態という。)に自在に遷移することができる(図2を参照。)。
【0016】
このように構成される携帯電話装置1は、導電部を利用して複数のアンテナを構成することが可能な構成になっている。このような構成によれば、例えば、複数アンテナによる同一周波数同時空間多重化伝送(MIMO、Multi Input Multi Output)に適用することができる。以下に、具体的な構成について説明する。
【0017】
携帯電話装置1は、図3に示すように、第1給電部30を備える。また、操作部側筐体部2は、第1導電部13を有する。表示部側筐体部3は、第2導電部24を有する。
また、第1導電部13及び第2導電部24は、回路基板に形成される基準電位部(グランドパターン)によって構成されるものとする。例えば、第1導電部13は、操作キー群11が操作されたときに操作信号を処理する回路等が実装されているキー基板上に配置される。また、例えば、第2導電部24は、ディスプレイ21を駆動する回路等が実装されているディスプレイ基板上に配置されている。
【0018】
連結部4は、第3導電部40を有すると共に、操作部側筐体部2の平面と表示部側筐体部3の底面を対向させて積層方向に配置させた閉状態と、閉状態から操作部側筐体部2と表示部側筐体部3を水平方向にスライドさせ、操作部側筐体部2の平面の一部が露出しつつ、他の一部が表示部側筐体部3の底面に覆われる開状態とに遷移可能なように操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを連結する。また、第3導電部40は、連結部4に形成される基準電位部(グランドパターン)によって構成されるものとする。第3導電部40は、例えば、連結部4に配置される金属製のレールに相当する。
【0019】
また、携帯電話装置1においては、操作部側筐体部2及び表示部側筐体部3において開状態及び閉状態の両方で積層配置される部分で、磁流アンテナが構成される。操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とは、図3に示すように、Wの範囲内で開状態と閉状態とに遷移する。第1導電部13と第2導電部24は、開状態及び閉状態で、図3中の領域a1、a2、a3及びa4において、連結部4の第3導電部40を介して電気的に導通している。なお、図3中のB1及びB2は、信号ライン用のスリットを示している。
【0020】
また、開状態及び閉状態において、第1導電部13と第2導電部24とは、第3導電部40を介して電気的に接続される。さらに、第1導電部13と第2導電部24と第3導電部40とにより少なくとも三方を囲われて形成される対向領域Aは、第1給電部30により給電されて磁流アンテナとして動作する。また、第1給電部30は、第2導電部24のエッジ(幅方向の端部)に配置され、第1導電部13に配置されているポゴピン(先端がばねで伸縮可能なプローブピン)Pによりコンタクトされる構成である。また、第1給電部30は、ポゴピンPを介して、例えば、操作部側筐体部2又は表示部側筐体部3に配置された回路基板(不図示)に設けられる高周波信号を処理する処理部(不図示)に接続される。
【0021】
具体的には、図4に示すように、閉状態及び開状態において、第1導電部13と第2導電部24と第3導電部40とにより囲われて形成される対向領域Aが、第1給電部30により給電されることにより磁流アンテナ(スロットアンテナ)が構成される。また、第1導電部13の一方端部Bには、アンテナ(モノポールアンテナ)14が接続されている。
【0022】
ここで、磁流アンテナとアンテナ14とは、偏波面が互いに直交している。また、アンテナ14は、いわゆる電流アンテナと呼ばれ、磁流アンテナとは放射パターンが異なっている。よって、携帯電話装置1は、閉状態及び開状態のいずれの状態においても、高いアイソレーションを図りつつ、互いに低相関となる磁流アンテナとアンテナ14を動作させることができる。
【0023】
また、磁流アンテナでは、スロットの長手方向の長さに応じた周波数の信号を送受信することができる。具体的には、スロットの長手方向の長さは、所望する波長λに対して、nλ/2(但し、n=1、2、3・・・)により決定される。
【0024】
また、上述の実施形態においては、第1導電部13と第2導電部24との両端部同士が第3導電部40により接続され、四方から囲まれる対向領域Aが形成されるが、これに限られない。
【0025】
例えば、図5に示すように、第1導電部13と第2導電部24の一方端部同士のみが第3導電部40により接続され、第1導電部13、第2導電部24及び第3導電部40により三方から囲まれる対向領域Aが形成されても良い。この対向領域Aに対して第1給電部30により給電することにより、対向領域Aを磁流アンテナとして動作させることができる。
【0026】
また、第3導電部40を配置する位置は、図5(a)に示すように、アンテナ14に近い位置でも良いし、図5(b)に示すように、アンテナ14から遠い位置でも良い。
また、第1給電部30は、図5においては、スロットの長手方向における略中心位置に配置しているが、これに限られない。
【0027】
図5に示す構成の磁流アンテナは、図4に示す構成の磁流アンテナに比して、スロットの長手方向の長さが長くなるため、低周波数(長波長)の信号の送受信を行うことができる。
【0028】
また、他の実施例として、図6に示すように、第1導電部13及び第2導電部24の端部において三方から囲まれて形成される対向領域Aに対して、第1給電部30により給電することにより、この対向領域Aを磁流アンテナとして動作させる構成であっても良い。なお、対向領域Aは、第1導電部13の一方端部B1において形成しても良いし(図6(a)を参照。)、第1導電部13の他方端部B2において形成しても良い(図6(b)を参照)。
【0029】
図6に示す構成の磁流アンテナは、図4及び図5に示す構成の磁流アンテナに比して、スロットの長手方向の長さが短くなるため、高周波数(短波長)の信号の送受信を行うことができる。
【0030】
このようにして、携帯電話装置1は、操作部側筐体部2及び表示部側筐体部3において開状態及び閉状態の両方で積層配置される部分(図7中のX)で磁流アンテナが構成されるので、開状態及び閉状態のいずれの状態においても、導電部(第1導電部13、第2導電部24及び第3導電部40)を利用したアンテナ(スロットアンテナ)を構成することができる。これにより、他のアンテナ(例えば、アンテナ14)との間において、高いアイソレーションと低相関を実現できるので、利得を低減させることなく複数アンテナを同時に動作させることができる。
【0031】
また、携帯電話装置1は、図8に示すように、さらに、第2給電部31を備える構成でも良い。第2導電部24は、第1部24aと第2部24bとを有する。第3導電部40は、第1部40aと第2部40bとを有する。
【0032】
閉状態及び開状態において、第1導電部13と、第2導電部24を構成する第1部24aとは、第3導電部40を構成する第1部40aを介して電気的に接続される。この場合、第1導電部13と、第2導電部24を構成する第1部24aと、第3導電部40を構成する第1部40aとにより囲われて形成される対向領域Aは、第1給電部30により給電されて磁流アンテナとして動作する。
【0033】
また、第1導電部13と、第2導電部24を構成する第2部24bとは、第3導電部40を構成する第2部40bを介して電気的に接続される。この場合、第2導電部24を構成する第2部24bは、第2給電部31により給電されて逆Fアンテナとして動作する。
【0034】
このような携帯電話装置1においては、開状態及び閉状態のいずれの状態においても、導電部(第1導電部13と、第2導電部24を構成する第1部24aと、第3導電部40を構成する第1部40a)を利用したアンテナ(スロットアンテナ)が形成され、かつ、第1導電部13と、第2導電部24を構成する第2部24bと、第3導電部40を構成する第2部40bにより逆Fアンテナが形成される。さらに、携帯電話装置1は、逆Fアンテナが構成されていない側の端部にアンテナ14(電流アンテナ)を備えている。
【0035】
このようにして携帯電話装置1は、低相関であるスロットアンテナと逆Fアンテナとの間において、高いアイソレーションを図ることができるので、利得を低減させることなく同時に動作させることができる。
【0036】
また、携帯電話装置1は、図9に示すように、対向領域Aの第1導電部13及び第2導電部24の幅方向における一方側の端部Y1を第1磁流アンテナとして動作させる第3給電部32と、第1給電部30と第3給電部32を動作可能に切り替える制御部50を備える。また、第1給電部30は、対向領域Aの第1導電部13及び第2導電部24の幅方向における他方側の端部Y2を第2磁流アンテナとして動作させる。制御部50は、第1磁流アンテナによる通信品質と、第2磁流アンテナによる通信品質とを比較し、通信品質が高い磁流アンテナによる通信を行うように第1給電部30又は第3給電部32の一方を動作状態に切り替える。
【0037】
第1給電部30は、制御部50の制御にしたがって、第1磁流アンテナにより受信した信号をRF回路部51に送信し、また、RF回路部51で処理された信号を第1磁流アンテナに送信する。RF回路部51は、第1給電部30を介して送信されてきた信号(高周波信号)に対して所定の信号処理を行って処理部52へ送信し、また、処理部52から送信されてきた信号に対して所定の信号処理を行い、処理後の信号(高周波信号)を第1給電部30に送信する。
【0038】
また、第3給電部32は、制御部50の制御にしたがって、第2磁流アンテナにより受信した信号をRF回路部51に送信し、また、RF回路部51で処理された信号を第2磁流アンテナに送信する。RF回路部51は、第3給電部32を介して送信されてきた信号(高周波信号)に対して所定の信号処理を行って処理部52へ送信し、また、処理部52から送信されてきた信号に対して所定の信号処理を行い、処理後の信号(高周波信号)を第3給電部32に送信する。
【0039】
ここで、制御部50は、第1給電部30を動作状態に制御して、RF回路部51における信号処理の結果に基づいて第1磁流アンテナによる通信感度を検知し、その後、第1給電部30を非動作状態に制御し、第3給電部32を動作状態に制御して、RF回路部51における信号処理の結果に基づいて第2磁流アンテナによる通信感度を検知する。そして、制御部50は、それぞれの通信感度を比較して、優先的に通信感度の良い側の磁流アンテナによる通信を継続するように、第1給電部30又は第3給電部32の一方を動作状態に切り替える。
【0040】
なお、制御部50は、それぞれのアンテナによって受信された受信信号強度(RSSI、Received Signal Strength Indication)によって通信感度を検知しても良い。また、制御部50は、第1給電部30及び第3給電部32の双方を動作させて、第1磁流アンテナと第2磁流アンテナのうち通信品質の良い一方のアンテナにより通信を行い、他方のアンテナで信号を間欠的に受信する構成であっても良い。
【0041】
このようにして、開状態及び閉状態のいずれの状態においても、二つの磁流アンテナを動作させて、通信感度の良い方を優先的に使用する、いわゆるダイバーシティーアンテナが構成される。
【0042】
また、本発明に係る携帯電話装置1は、上述した以外の構成であっても良い。
例えば、携帯電話装置1は、図10に示すように、第3導電部40が第1切替部40xと第2切替部40yにより構成されており、制御部50の制御によって、スイッチの切り替えが制御されるように構成される。なお、図10においては、給電部の図示を省略している。
【0043】
第1切替部40xは、切替端子a11と、第1導電部13に接続される端子b11、b12、b13と、第2導電部24に接続される端子c11、c12、c13から構成されている。
【0044】
また、第2切替部40yは、切替端子a21と、第1導電部13に接続される端子b21、b22、b23と、第2導電部24に接続される端子c21、c22、c23から構成されている。
【0045】
制御部50は、高周波数帯域で通信を行う場合には、第1切替部40xの切替端子a11が端子b11と端子c11に接触するように制御し、かつ、第2切替部40yの切替端子a21が端子b21と端子c21に接触するように制御する。このように切り替えることにより、携帯電話装置1は、スロットの長手方向の長さを相対的に短く調整することができ、高周波数による通信を行うことができる。
【0046】
また、制御部50は、低周波数帯域で通信を行う場合には、第1切替部40xの切替端子a11が端子b13と端子c13に接触するように制御し、かつ、第2切替部40yの切替端子a21が端子b23と端子c23に接触するように制御する。このように切り替えることにより、携帯電話装置1は、スロットの長手方向の長さを相対的に長く調整することができ、低周波数による通信を行うことができる。
【0047】
また、制御部50は、高周波数帯域と低周波数帯域の中間の周波数帯域で通信を行う場合には、第1切替部40xの切替端子a11が端子b12と端子c12に接触するように制御し、かつ、第2切替部40yの切替端子a21が端子b22と端子c22に接触するように制御する。このように切り替えることにより、携帯電話装置1は、スロットの長手方向の長さが所定の長さに調整され、中間の周波数による通信を行うことができる。
【0048】
つぎに、代表的な周波数について、通信可能な波長(λ/2)の長さ(スロットの長手方向の長さ)について説明する。周波数が800MHz〜900MHz(CDMA、Code Division Multiple Access)は、約167〜187mmであり、周波数が1700MHz〜1900MHz(CDMA)は、約79mm〜88mmであり、周波数が2.4Hz〜2.5GHz(WLAN)は、約60mm〜62mmであり、周波数が2.5GHz〜2.6GHz(WiMAX)は、約58〜62mmであり、周波数が5GHz(WLAN)は、約30mmである。なお、上述したスロットの長手方向の長さは、真空中におけるものであり、実際とは異なる。
【符号の説明】
【0049】
1 携帯電話装置
2 操作部側筐体部
3 表示部側筐体部
4 連結部
13 第1導電部
24 第2導電部
30 第1給電部
31 第2給電部
32 第3給電部
40 第3導電部
50 制御部
A 対向領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電部を有する第1筐体と、
第2導電部を有する第2筐体と、
第3導電部を有すると共に、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面とを対向させて積層方向に配置させた閉状態と、前記閉状態から前記第1筐体に対して前記第2筐体を水平方向にスライドさせ、前記第1筐体の主面の一部が露出しつつ、他の一部が前記第2筐体の主面に覆われる開状態とに遷移可能なように前記第1筐体と前記第2筐体とを連結する連結部と、
第1給電部とを備え、
前記開状態及び前記閉状態のいずれか一方又は双方において、
前記第1導電部と前記第2導電部とは、前記第3導電部を介して電気的に接続され、
前記第1導電部と前記第2導電部と前記第3導電部とにより少なくとも三方を囲われて形成される対向領域は、前記第1給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する携帯電子機器。
【請求項2】
第2給電部を備え、
前記第2導電部は、第1部と第2部とを有し、
前記第3導電部は、第1部と第2部とを有し、
前記第1導電部と、前記第2導電部の前記第1部とは、前記第3導電部の前記第1部を介して電気的に接続され、
前記第1導電部と、前記第2導電部の前記第1部と、前記第3導電部の前記第1部とにより囲われて形成される対向領域は、前記第1給電部により給電されて磁流アンテナとして動作し、
前記第1導電部と、前記第2導電部の前記第2部は、前記第3導電部の前記第2部を介して電気的に接続され、
前記第2導電部の前記第2部は、前記第2給電部により給電されて逆Fアンテナとして動作する請求項1記載の携帯電子機器。
【請求項3】
第3給電部と、
前記第1給電部と前記第3給電部の一方を動作させる制御部とを備え、
前記第1導電部及び前記第2導電部は、前記開状態及び前記閉状態で互いに対向する対向面を有し、
前記対向領域の平面方向における一方側の端部は、前記第1給電部により給電されて第1磁流アンテナとして動作し、
前記対向領域の前記平面方向における他方側の端部は、前記第3給電部により給電されて第2磁流アンテナとして動作し、
前記制御部は、前記第1磁流アンテナによる通信品質と、前記第2磁流アンテナによる通信品質とを比較し、通信品質が高い一方の磁流アンテナによる通信を行う制御を実行する請求項1記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−156858(P2012−156858A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15270(P2011−15270)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】