説明

携帯電子機器

【課題】導電部を利用した新たな構成のアンテナを有する携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】第1導電部16を有する操作部側筐体2と、第2導電部23を有する表示部側筐体3と、第3導電部41を有すると共に、閉状態と、第1開状態と、第2開状態とを取りうるように操作部側筐体2と表示部側筐体3とを連結する連結部4と、給電部17とを備える。第1開状態において、第1導電部16と第2導電部23とは、第3導電部41を介して電気的に接続され、第1導電部16と第2導電部23と第3導電部41とにより少なくとも三方を囲われて形成される対向領域は、給電部17により給電されて磁流アンテナとして動作する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンテナを有し外部機器と通信を行う携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子機器は、小型化・薄型化が進んでおり、また、様々な構成のアンテナが内蔵されている。
例えば、特許文献1では、第1筐体内に配置された第1導電部に切欠部を形成し、当該切欠部に給電することにより、切欠部がスロットアンテナとして動作する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−167420号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような携帯電子機器では、導電部を利用したさらなるアンテナ技術が求められている。
【0005】
本発明は、小型化・薄型化の要請に応えつつ、導電部を利用した新たな構成のアンテナを有する携帯電子機器を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯電子機器は、上記課題を解決するために、第1導電部を有する第1筐体と、第2導電部を有する第2筐体と、第3導電部を有すると共に、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面を対向させて積層配置させた閉状態と、前記閉状態から第1方向へ回転させる第1回転軸を中心として、前記第1筐体を前記第2筐体に対して所定角度回転させて、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面を同一方向から視認可能に露出させた第1開状態と、前記第1開状態から前記第1方向と直交する第2方向へ回転させる第2回転軸を中心として、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面とが前記同一方向から視認可能なまま前記第2筐体を平面方向に所定角度回転させた第2開状態と、を取りうるように前記第1筐体と前記第2筐体とを連結する連結部と、給電部とを備え、前記第1開状態において、前記第1導電部と前記第2導電部とは、前記第3導電部を介して電気的に接続され、前記第1導電部と前記第2導電部と前記第3導電部とにより少なくとも三方を囲われて形成される対向領域は、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する。
【0007】
また、携帯電子機器では、前記第2開状態において、前記第1導電部と前記第2導電部とは、前記第3導電部を介して電気的に接続され、前記第1導電部と前記第2導電部と前記第3導電部とにより少なくとも三方を囲われて形成される対向領域は、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する構成でも良い。
【0008】
また、携帯電子機器では、前記第2導電部は、前記第1開状態において前記連結部と対向する端部に所定形状の第1スリットが形成されると共に、前記第2開状態において前記連結部と対向する端部に所定形状の第2スリットが形成され、前記第3導電部は、長手方向に所定形状の第3スリットが形成され、短手方向に所定形状の第4スリットが形成され、前記第3スリットの一方端部と前記第4スリットの一方端部は、結合して一体的に形成され、前記第2スリット、前記第3スリット及び前記第4スリットは、前記第1開状態において、前記第2スリットの端部と、前記第4スリットの他方端部が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作し、前記第1スリット、前記第3スリット及び前記第4スリットは、前記第2開状態において、前記第1スリットの端部と、前記第3スリットの他方端部が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する構成でも良い。
【0009】
また、携帯電子機器では、前記第1導電部は、前記連結部と対向する端部に所定形状の第5スリットが形成され、前記第1スリットと前記第5スリットとは、前記第1開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作し、前記第2スリットと前記第5スリットとは、前記第2開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する構成である。
【0010】
また、携帯電子機器では、前記第1スリットと前記第2スリットとは、同程度の大きさで構成される構成でも良い。
【0011】
また、携帯電子機器では、前記第1導電部は、前記連結部と対向する端部に所定形状の第6スリットが形成され、前記第2導電部は、前記第1開状態において前記連結部と対向する端部に所定形状の第7スリットが形成され、前記第2開状態において前記連結部と対向する端部に所定形状の第8スリットが形成され、かつ、前記第8スリットの延長線上に所定形状の第9スリットが形成され、前記第3導電部は、長手方向に所定形状の第10スリットが形成され、前記第6スリット、前記第7スリット及び前記第10スリットは、前記第1開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作し、前記第6スリット、前記第8スリット、前記第9スリット及び前記第10スリットは、前記第2開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する構成も良い。
【0012】
また、本発明に係る携帯電子機器は、上記課題を解決するために、第1導電部を有する第1筐体と、第2導電部を有する第2筐体と、第3導電部を有すると共に、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面を対向させて積層配置させた閉状態と、前記閉状態から第1方向へ回転させる第1回転軸を中心として、前記第1筐体を前記第2筐体に対して所定角度回転させて、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面を同一方向から視認可能に露出させた第1開状態と、前記第1開状態から前記第1方向と直交する第2方向へ回転させる第2回転軸を中心として、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面とが前記同一方向から視認可能なまま前記第2筐体を平面方向に所定角度回転させた第2開状態と、を取りうるように前記第1筐体と前記第2筐体とを連結する連結部と、給電部とを備え、前記第1導電部は、前記連結部と対向する端部に所定形状の第6スリットが形成され、前記第2導電部は、前記第1開状態において前記連結部と対向する端部に所定形状の第7スリットが形成され、前記第2開状態において前記連結部と対向する端部に所定形状の第8スリットが形成され、かつ、前記第8スリットの延長線上に所定形状の第9スリットが形成され、前記第3導電部は、長手方向に所定形状の第10スリットが形成され、前記第6スリット、前記第7スリット及び前記第10スリットは、前記第1開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作し、前記第6スリット、前記第8スリット、前記第9スリット及び前記第10スリットは、前記第2開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、導電部を利用した新たな構成のアンテナを有する携帯電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】携帯電話装置が第1開状態のときの外観図を示す。
【図2】携帯電話装置が第1開状態のときの側面から見たときの断面図である。
【図3】携帯電話装置が閉状態のときの外観図である。
【図4】携帯電話装置が第2開状態(交差状態)のときの外観図である。
【図5】携帯電話装置が第1開状態及び第2開状態に遷移したときに動作する磁流アンテナについての説明に供する図である。
【図6】異なる基板に配置されている導電部同士を接続する方法についての説明に供する図である。
【図7】携帯電話装置が第1開状態及び第2開状態に遷移したときに動作する磁流アンテナについての説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る携帯電子機器の一例である携帯電話装置1の外観図を示す。また、本実施の形態では、携帯電話装置1について説明するが、本発明は携帯電話装置に限定されるものではなく、例えば、PHS(Personal Handy phone System)、PDA(Personal Digital Assistant)、ポータブルナビゲーション装置、ノートパソコン等であっても良い。
【0016】
携帯電話装置1は、図1に示すように、第1筐体としての操作部側筐体2と、第2筐体としての表示部側筐体3を備える。
【0017】
操作部側筐体2は、その外面がフロントケースとリアケースとにより構成される。操作部側筐体2は、フロントケース側に、操作キー群11と、使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部としてのマイク12がそれぞれ露出するように構成される。
【0018】
操作キー群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定や上下左右方向のスクロール等を行う操作部材としての決定操作キー15とにより構成される。操作キー群11を構成する各キーそれぞれには、操作部側筐体2と表示部側筐体3との開閉状態や各種モード、又は起動されているアプリケーション等の種類に応じて所定の機能が割り当てられる。そして、使用者が各キーを押圧することにより、各キーに割り当てられている機能に応じた動作が実行される。
【0019】
表示部側筐体3は、その外面がフロントケースとリアケースとにより構成される。表示部側筐体3におけるフロントケースには、各種情報を表示するための表示部21と、通話の相手側の音声を出力するレシーバとしての音声出力部22がそれぞれ露出して配置される。
【0020】
操作部側筐体2と表示部側筐体3とは、連結部4を介して開閉可能に連結される。具体的には、連結部4は、ヒンジ機構4aと、支持部4bと、回転機構4cを備える。
【0021】
図2に示すように、操作部側筐体2における連結部4側の端部と支持部4bとは、ヒンジ機構4aを介して連結される。表示部側筐体3とヒンジ機構4aとは、支持部4bを介して接続される。支持部4bと表示部側筐体3とは、回転機構4cを介して接続される。これにより、携帯電話装置1は、操作部側筐体2と表示部側筐体3とヒンジ機構4a、支持部4b及び回転機構4cを介して連結し、操作部側筐体2と表示部側筐体3とを相対的に動かし、また、表示部側筐体3と支持部4bとを相対的に動かすことが可能に構成される。
【0022】
携帯電話装置1は、連結部4により、操作部側筐体2の主面(平面)と表示部側筐体3の主面を対向させて積層配置させた閉状態(図3を参照)と、ヒンジ機構4aを動作させて、閉状態から第1方向へ回転させる第1回転軸(図1中のX)を中心として、操作部側筐体2を表示部側筐体3に対して所定角度回転させて、操作部側筐体2の主面と表示部側筐体3の主面を同一方向から視認可能に露出させた第1開状態(図1を参照)と、回転機構4cを動作させて、第1開状態から第1方向と直交する第2方向へ回転させる第2回転軸(図1中のZ)を中心として、操作部側筐体2の主面と表示部側筐体3の主面とが同一方向から視認可能なまま表示部側筐体3を平面方向に所定角度(例えば、略90度)回転させた第2開状態(図4を参照)と、を取ることができる。
【0023】
このように構成される携帯電話装置1は、導電部を利用して複数のアンテナを構成することが可能な構成になっている。このような構成によれば、例えば、複数アンテナによる同一周波数同時空間多重化伝送(MIMO、Multi Input Multi Output)に適用することができる。以下に、具体的な構成について説明する。
【0024】
携帯電話装置1は、図5に示すように、第1導電部16を有する操作部側筐体2と、第2導電部23を有する表示部側筐体3と、第3導電部41を有し、かつ、上述した閉状態と、第1開状態と、第2開状態を取りうるように操作部側筐体2と表示部側筐体3とを連結する連結部4と、給電部17を備える。
【0025】
ここで、第1導電部16及び第2導電部23は、回路基板に形成される基準電位部(グランドパターン)によって構成されるものとする。例えば、第1導電部16は、操作キー群11が操作されたときに操作信号を処理する回路等が実装されているキー基板上に配置される。また、例えば、第2導電部23は、表示部21を駆動する回路等が実装されている表示部基板上に配置されている。また、第3導電部41は、連結部4に形成される基準電位部(グランドパターン)によって構成されるものとする。
【0026】
また、携帯電話装置1が第1開状態(図5(a)を参照)のときには、第1導電部16と第2導電部23とは、第3導電部41を介して電気的に接続される。また、第1導電部16と第2導電部23と第3導電部41とにより少なくとも三方を囲われて形成される対向領域A(図5(a)中のA)は、給電部17により給電されて磁流アンテナ(スロットアンテナ)として動作する。
【0027】
また、携帯電話装置1が第2開状態(図5(b)を参照)のときにも、第1導電部16と第2導電部23とは、第3導電部41を介して電気的に接続される。また、第1導電部16と第2導電部23と第3導電部41とにより少なくとも三方を囲われて形成される対向領域A(図5(b)中のA)は、給電部17により給電されて磁流アンテナ(スロットアンテナ)として動作する。
【0028】
また、給電部17は、キー基板上に実装されている高周波信号を処理する処理部(不図示)に接続される。
ここで、磁流アンテナは、スロットの長手方向の長さに応じた周波数の信号を送受信することができる。具体的には、スロットの長手方向の長さは、所望する波長λに対して、nλ/2(但し、n=1、2、3・・・)により決定される。よって、携帯電話装置1は、第1開状態及び第2開状態のいずれにおいても、対向領域Aを形成している第1導電部16の長さ(図5(a)、(b)中のL)が変わらないので、いずれの状態においても同一の周波数の信号によって通信を行うことができる。
【0029】
このようにして、第1開状態及び第2開状態のいずれの状態においても、第1導電部16と第2導電部23と第3導電部41とにより少なくとも三方を囲われて形成される対向領域Aが給電部17により給電され、磁流アンテナとして動作する。
【0030】
また、第1導電部16の一方端部には、アンテナ(モノポールアンテナ)aが接続されている。
【0031】
ここで、磁流アンテナとアンテナaとは、偏波面が互いに直交している。また、アンテナaは、いわゆる電流アンテナと呼ばれ、磁流アンテナとは放射パターンが異なっている。よって、携帯電話装置1は、閉状態、第1開状態及び第2開状態のいずれの状態においても、高いアイソレーションを図りつつ、低相関となる磁流アンテナとアンテナaを動作させることができる。
【0032】
また、図5(a)、(b)に示すように、二つの対向領域(図5(a)、(b)中の「対向領域A」と「対向領域B」)が形成されるため、それぞれの対向領域に対して給電部により給電することにより、磁流アンテナとして動作させても良い。このような構成の場合には、二つの磁流アンテナを動作させて、通信感度の良い方を優先的に使用する、いわゆるダイバーシティーアンテナとして使用することができる。
【0033】
また、携帯電話装置1は、第1導電部16、第2導電部23及び第3導電部41にそれぞれスリット(導電部に対して所定形状の刻み又は切り込みを入れたものであって、周囲が基準電位部に囲まれており、スロットと同義である。)を設け、そこに給電部によって給電することにより、磁流アンテナとして機能させる構成であっても良い。以下に、具体的な構成について説明する。
【0034】
第2導電部23は、図5(a)、(b)に示すように、第1開状態において連結部4と対向する端部に所定形状の第1スリット24が形成されると共に、第2開状態において連結部4と対向する端部に所定形状の第2スリット25が形成される。また、第1スリット24を第2導電部23の長手方向に延長したと仮定した場合の仮想線と、第2スリット25を第2導電部23の短手方向に延長したと仮定した場合の仮想線とは、前述の所定の角度(例えば、略90度)で交わる。
【0035】
また、第3導電部41は、長手方向に所定形状の第3スリット42が形成され、短手方向に所定形状の第4スリット43が形成される。なお、第3スリット42の一方端部と第4スリット43の一方端部は、結合して一体的に形成される。また、第3スリット42と第4スリット43とは、前述の所定の角度(例えば、略90度)で交わる。
【0036】
また、携帯電話装置1が第1開状態に遷移した場合、第2スリット25、第3スリット42及び第4スリット43は、第2スリット25の端部と、第4スリット43の他方端部が結合することにより一体的なスリットSL1を形成し、給電部26により給電されて磁流アンテナとして動作する(図5(a)を参照)。また、第1スリット24に給電部27により給電することにより、第1スリット24を磁流アンテナとして動作させることができる。
【0037】
また、携帯電話装置1が第2開状態に遷移した場合、第1スリット24、第3スリット42及び第4スリット43は、第1スリット24の端部と、第3スリット42の他方端部が結合することにより一体的なスリットSL2を形成し、給電部26により給電されて磁流アンテナとして動作する(図5(b)を参照)。また、第2スリット25に給電部27により給電することにより、第2スリット25を磁流アンテナとして動作させることができる。
【0038】
また、携帯電話装置1は、第1スリット24と第2スリット25とを同程度の長さで形成することにより、第1開状態において形成されるスリットSL1と、第2開状態において形成されるスリットSL2とは、(形状は異なるが)同じ長さにすることができ、いずれの状態においても同一の周波数の信号によって通信を行うことができる。また、このような構成の場合には、第1開状態において磁流アンテナとして動作する第1スリット24により使用される周波数と、第2開状態において磁流アンテナとして動作する第2スリット25により使用される周波数も、同一の周波数となる。
【0039】
また、第1導電部16は、連結部4と対向する端部に所定形状の第5スリット18が形成されていても良い。このような構成の場合には、携帯電話装置1が第1開状態に遷移した場合、第1スリット24と第5スリット18とは、端部同士が結合することにより一体的なスリットSL3を形成し、給電部19により給電されて磁流アンテナとして動作する(図5(a)を参照)。
【0040】
また、携帯電話装置1が第2開状態に遷移した場合、第2スリット25と第5スリット18とは、端部同士が結合することにより一体的なスリットSL4を形成し、給電部19により給電されて磁流アンテナとして動作する(図5(a)を参照)。なお、第1開状態において形成されるスリットSL3及び第2開状態において形成されるスリットSL4に対して、給電部19ではなく前述の給電部27により給電されても良い。
【0041】
ここで、携帯電話装置1は、第1開状態において形成される一体的なスリットSL1とスリットSL3とは、スリットの長さが異なるため、複数周波数に対応することができる。また、携帯電話装置1は、第2開状態において形成される一体的なスリットSL2とスリットSL4とは、スリットの長さが異なるため、複数周波数に対応することができる。
【0042】
つぎに、各スリットの長さの関係について説明する。
第5スリット18の長さを、所望する周波数の波長λの半分の長さにし(λ/2)、第5スリット18と第1スリット24を結合したときの一体的なスリットSL3の長さを、(λ/2)×n(但し、n=1、2、3・・・)にし、第5スリット18と第2スリット25を結合したときの一体的なスリットSL4の長さは、(λ/2)×n(但し、n=1、2、3・・・)にし、第1スリット24と第2スリット25を、同じ長さにする。但し、スリットの長さは、スリットの幅よりも大きいとする。
【0043】
このように構成することにより、携帯電話装置1は、第1開状態及び第2開状態のいずれの状態においても、一体的に結合されたスリットSL3とスリットSL4が同じ長さになり、同一周波数で通信を行うことができる。
【0044】
また、第2スリット25と第3スリット42と第4スリット43を結合したときの一体的なスリットSL1の長さを、(λ/2)×n(但し、n=1、2、3・・・)にし、第1スリット24と第3スリット42と第4スリット43を結合したときの一体的なスリットSL2の長さを、(λ/2)×n(但し、n=1、2、3・・・)にする。
【0045】
このように構成することにより、携帯電話装置1は、第1開状態及び第2開状態のいずれの状態においても、一体的に結合されたスリットSL1とスリットSL2が同じ長さになり、同一周波数で通信を行うことができる。なお、第5スリット18は、第1導電部16の長手方向に形成され、第1スリット24は、第2導電部23の長手方向に形成されているため、携帯電話装置1を閉状態にした場合に両者が操作部側筐体2と表示部側筐体3の積層方向で重なり合う。よって、閉状態で第1スリット24又は第5スリット18を磁流アンテナとして動作させたとしても、他方により電磁波の放射は遮られない。
【0046】
また、異なる導電部に形成されているスリットの接続について説明する。
例えば、連結部4を金属製のヒンジを用いることにより、第1開状態及び第2開状態において、第1導電部16上のスリット(第5スリット18)と第2導電部23上のスリット(第1スリット24及び第2スリット25)を電気的に接続する方法が考えられる。
【0047】
また、第2導電部23と第3導電部41との接続は、図6に示すように、それぞれが配置されている基板のGND(基準電位部)を導電物Cや、インサート板金の一部を利用して接続する方法でも良い。
【0048】
また、携帯電話装置1では、図7に示すように、第1導電部16は、連結部4と対向する端部に所定形状の第6スリット20が形成されている構成でも良い。また、第2導電部23は、第1開状態において連結部4と対向する端部に所定形状の第7スリット28が形成され、第2開状態において連結部4と対向する端部に所定形状の第8スリット29が形成され、かつ、第8スリット29の延長線上に所定形状の第9スリット30が形成されている。第3導電部41は、長手方向に所定形状の第10スリット44が形成されている。
【0049】
このような構成において、第6スリット20、第7スリット28及び第10スリット44は、第1開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットSL5を形成し、給電部17により給電されて磁流アンテナとして動作する(図7(a)を参照)。
【0050】
また、第6スリット20、第8スリット29、第9スリット30及び第10スリット44は、第2開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットSL6を形成し、給電部17により給電されて磁流アンテナとして動作する(図7(b)を参照)。
【0051】
ここで、第7スリット28の長さは、第8スリット29と第9スリット30を足し合わせた長さに相当するように形成しても良い。このように形成される場合には、第1開状態において一体的に形成されるスリットSL5(第6スリット20、第7スリット28及び第10スリット44により結合されて形成されるスリット)と、第2開状態において形成されるスリットSL6(第6スリット20、第8スリット29、第9スリット30及び第10スリット44により結合されて形成されるスリット)とは、同じ長さにすることができ、いずれの状態においても同一の周波数の信号によって通信を行うことができる。
【0052】
また、携帯電話装置1は、第1開状態において、第8スリット29と第9スリット30に対してそれぞれ給電部(不図示)により給電する構成でも良い。このような構成の場合には、携帯電話装置1は、第1開状態において複数の独立した磁流アンテナを動作させることができる。
【0053】
また、携帯電話装置1は、第2開状態において、第7スリット28に対して給電部(不図示)により給電する構成でも良い。このような構成の場合には、第2開状態においても、複数の独立した磁流アンテナを動作させることができる。
【符号の説明】
【0054】
1 携帯電話装置
2 操作部側筐体
3 表示部側筐体
4 連結部
16 第1導電部
17、19、26、27 給電部
18 第5スリット
20 第6スリット
23 第2導電部
24 第1スリット
25 第2スリット
28 第7スリット
29 第8スリット
30 第9スリット
41 第3導電部
42 第3スリット
43 第4スリット
44 第10スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電部を有する第1筐体と、
第2導電部を有する第2筐体と、
第3導電部を有すると共に、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面を対向させて積層配置させた閉状態と、前記閉状態から第1方向へ回転させる第1回転軸を中心として、前記第1筐体を前記第2筐体に対して所定角度回転させて、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面を同一方向から視認可能に露出させた第1開状態と、前記第1開状態から前記第1方向と直交する第2方向へ回転させる第2回転軸を中心として、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面とが前記同一方向から視認可能なまま前記第2筐体を平面方向に所定角度回転させた第2開状態と、を取りうるように前記第1筐体と前記第2筐体とを連結する連結部と、
給電部とを備え、
前記第1開状態において、
前記第1導電部と前記第2導電部とは、前記第3導電部を介して電気的に接続され、
前記第1導電部と前記第2導電部と前記第3導電部とにより少なくとも三方を囲われて形成される対向領域は、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する携帯電子機器。
【請求項2】
前記第2開状態において、
前記第1導電部と前記第2導電部とは、前記第3導電部を介して電気的に接続され、
前記第1導電部と前記第2導電部と前記第3導電部とにより少なくとも三方を囲われて形成される対向領域は、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する請求項1記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記第2導電部は、前記第1開状態において前記連結部と対向する端部に所定形状の第1スリットが形成されると共に、前記第2開状態において前記連結部と対向する端部に所定形状の第2スリットが形成され、
前記第3導電部は、長手方向に所定形状の第3スリットが形成され、短手方向に所定形状の第4スリットが形成され、
前記第3スリットの一方端部と前記第4スリットの一方端部は、結合して一体的に形成され、
前記第2スリット、前記第3スリット及び前記第4スリットは、前記第1開状態において、前記第2スリットの端部と、前記第4スリットの他方端部が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作し、
前記第1スリット、前記第3スリット及び前記第4スリットは、前記第2開状態において、前記第1スリットの端部と、前記第3スリットの他方端部が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する請求項1記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記第1導電部は、前記連結部と対向する端部に所定形状の第5スリットが形成され、
前記第1スリットと前記第5スリットとは、前記第1開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作し、
前記第2スリットと前記第5スリットとは、前記第2開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する請求項3記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記第1スリットと前記第2スリットとは、同程度の大きさで構成される請求項3又は4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記第1導電部は、前記連結部と対向する端部に所定形状の第6スリットが形成され、
前記第2導電部は、前記第1開状態において前記連結部と対向する端部に所定形状の第7スリットが形成され、前記第2開状態において前記連結部と対向する端部に所定形状の第8スリットが形成され、かつ、前記第8スリットの延長線上に所定形状の第9スリットが形成され、
前記第3導電部は、長手方向に所定形状の第10スリットが形成され、
前記第6スリット、前記第7スリット及び前記第10スリットは、前記第1開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作し、
前記第6スリット、前記第8スリット、前記第9スリット及び前記第10スリットは、前記第2開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する請求項1記載の携帯電子機器。
【請求項7】
第1導電部を有する第1筐体と、
第2導電部を有する第2筐体と、
第3導電部を有すると共に、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面を対向させて積層配置させた閉状態と、前記閉状態から第1方向へ回転させる第1回転軸を中心として、前記第1筐体を前記第2筐体に対して所定角度回転させて、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面を同一方向から視認可能に露出させた第1開状態と、前記第1開状態から前記第1方向と直交する第2方向へ回転させる第2回転軸を中心として、前記第1筐体の主面と前記第2筐体の主面とが前記同一方向から視認可能なまま前記第2筐体を平面方向に所定角度回転させた第2開状態と、を取りうるように前記第1筐体と前記第2筐体とを連結する連結部と、
給電部とを備え、
前記第1導電部は、前記連結部と対向する端部に所定形状の第6スリットが形成され、
前記第2導電部は、前記第1開状態において前記連結部と対向する端部に所定形状の第7スリットが形成され、前記第2開状態において前記連結部と対向する端部に所定形状の第8スリットが形成され、かつ、前記第8スリットの延長線上に所定形状の第9スリットが形成され、
前記第3導電部は、長手方向に所定形状の第10スリットが形成され、
前記第6スリット、前記第7スリット及び前記第10スリットは、前記第1開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作し、
前記第6スリット、前記第8スリット、前記第9スリット及び前記第10スリットは、前記第2開状態において、端部同士が結合することにより一体的なスリットを形成し、前記給電部により給電されて磁流アンテナとして動作する携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−156859(P2012−156859A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−15271(P2011−15271)
【出願日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】