説明

携帯電子機器

【課題】ループアンテナで受信した信号がいずれの処理部に適したものかを判断し、異なる種類の非接触通信を好適に行うことができる携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】
筐体のそれぞれ異なる位置に配置される第1ループ部31および第2ループ部32を有するアンテナ33と、アンテナ33により受信される信号を処理する信号処理部(第1信号処理部34および第2信号処理部35)と、アンテナ33により受信される第1の信号または第2の信号を検出する信号検出部36と、第1ループ部31および第2ループ部32により形成される一つのループアンテナが信号検出部36に接続された状態で、信号検出部36により第1の信号が検出された場合には一つのループアンテナにより受信される信号を信号処理部に伝送し、信号検出部36により第2の信号が検出された場合には第1ループ部により受信される信号を信号処理部に伝送する制御部38を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ループアンテナを有する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電子機器は、筐体内に配置されているループアンテナを利用して、外部機器との間で非接触通信を行う通信処理部(RFID、Radio Frequency Identification)を有するものがある(例えば、特許文献1を参照)。携帯電子機器は、この通信処理部を利用して、例えば、施設における入退室時の認証処理を行っている。
【0003】
また、携帯電子機器は、筐体内に配置されているループアンテナを利用して、外部機器との間で電磁結合を行い、電力の供給を受ける電力処理部を有するものがある(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−336480号公報
【特許文献2】特開平05−114055号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この通信処理部および電力処理部は、所定範囲内において、外部機器から放射される電磁波をループアンテナで受信することによって各処理を行っている。
ここで、この通信処理部と電力処理部の双方を備える携帯電子機器を想定した場合には、ループアンテナで受信した通信用の信号が電力処理部に供給されたり、ループアンテナで受信した電力供給用の信号が通信処理部に供給されたりすることを回避するために、ループアンテナで受信した信号がいずれの処理部に適したものかを判断して切り替える構成が必要である。
【0006】
本発明は、ループアンテナで受信した信号がいずれの処理部に適したものかを判断し、異なる種類の非接触通信を好適に行うことができる携帯電子機器を提供することを一つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る携帯電子機器は、上記課題を解決するために、筐体と、前記筐体のそれぞれ異なる位置に配置される第1ループ部および第2ループ部を有するアンテナと、前記アンテナにより受信される信号を処理する信号処理部と、前記アンテナにより受信される第1の信号または第2の信号を検出する信号検出部と、前記第1ループ部および前記第2ループ部により形成される一つのループアンテナが前記信号検出部に接続された状態で、前記信号検出部により前記第1の信号が検出された場合には前記一つのループアンテナにより受信される信号を前記信号処理部に伝送し、前記信号検出部により前記第2の信号が検出された場合には前記第1ループ部により受信される信号を前記信号処理部に伝送する制御部と、を備える構成である。
【0008】
また、携帯電子機器では、前記制御部は、前記第1ループ部および前記第2ループ部により形成される一つのループアンテナが前記信号検出部に接続された状態で、前記信号検出部により前記第2の信号が検出された場合には前記第1ループ部により受信される信号を前記信号処理部に伝送すると共に前記第2ループ部により受信される信号を前記信号検出部に伝送し、前記第2ループ部と接続された前記信号検出部により前記第2の信号が検出された場合には、前記第1ループ部により受信される信号を前記信号検出部に伝送すると共に前記第2ループ部により受信される信号を前記信号処理部に伝送する構成でも良い。
【0009】
また、携帯電子機器では、前記筐体は、互いに対向する第1面および第2面を有し、前記第1ループ部は、前記筐体の前記第1面に配置され、前記第2ループ部は、前記筐体の前記第2面に配置される構成でも良い。
【0010】
また、携帯電子機器では、前記筐体は、前記第1面を有する第1筐体と、前記第2面を有する第2筐体と、前記第1筐体における前記第1面と反対側の面と前記第2筐体における前記第2面と反対側の面とが互いに対向した状態で前記第1筐体と前記第2筐体とが積層配置された閉状態と、前記第1面と前記第2面とが互いに離間した状態で前記第1筐体と前記第2筐体とが所定方向に並ぶように配置される開状態とをとり得るように前記第1筐体と前記第2筐体とを開閉軸を中心に開閉可能に連結する連結部と、を有し、前記第1ループ部および前記第2ループ部は、前記開状態において前記一つのループアンテナが形成される際に、前記第1ループ部により受信される信号と前記第2ループ部により受信される信号とが打ち消しあわないよう前記第1筐体または前記第2筐体それぞれに配置される構成でも良い。
【0011】
また、携帯電子機器では、前記第1ループ部および前記第2ループ部は、前記閉状態において前記第1筐体および前記第2筐体の積層方向にみた場合における前記第1ループ部のループ方向と、前記積層方向にみた前記第2ループ部のループ方向とが互いに反対の方向になるよう前記第1筐体または前記第2筐体それぞれに配置され、前記第1筐体および前記第2筐体の少なくとも一方に配置される磁界遮蔽部材を有し、前記磁界遮蔽部材は、前記閉状態において、前記第1ループ部と前記第2ループ部との間に配置される構成でも良い。
【0012】
また、携帯電子機器では、前記第1ループ部は、前記第1筐体における前記連結部側の領域に配置され、前記第2ループ部は、前記第2筐体における前記連結部側の領域に配置される構成でも良い。
【0013】
また、本発明に係る携帯電子機器は、上記課題を解決するために、筐体と、前記筐体のそれぞれ異なる位置に配置される第1ループ部および第2ループ部を有するアンテナと、前記アンテナにより受信される信号をそれぞれ処理する第1信号処理部および第2信号処理部と、前記第1信号処理部に接続されると共に、前記アンテナにより受信される第1の信号または第2の信号を検出する信号検出部と、前記第1ループ部および前記第2ループ部により形成される一つのループアンテナが前記信号検出部に接続された状態で、前記信号検出部により前記第1の信号が検出された場合には前記第1信号処理部により前記一つのループアンテナにより受信される信号を処理し、前記信号検出部により前記第2の信号が検出された場合には前記第1ループ部と前記第2信号処理部とを接続すると共に前記第2ループ部と前記信号検出部とを接続する制御部と、を備える構成である。
【0014】
また、携帯電子機器では、前記制御部は、前記第2ループ部と接続された前記信号検出部により前記第2の信号が検出された場合には、前記第1ループ部と前記信号検出部とを接続すると共に前記第2ループ部と前記第2信号処理部とを接続する構成でも良い。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る携帯電子機器によれば、ループアンテナで受信した信号がいずれの処理部に適したものかを判断し、異なる種類の非接触通信を好適に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】携帯電話装置の外観を示す図である。
【図2】携帯電話装置の機能を示す機能ブロック図である。
【図3】第1状態における選択部の切替状態についての説明に供する図である。
【図4】第2状態における選択部の切替状態についての説明に供する図である。
【図5】操作部側筐体部を充電器に対向させて載置し、表示部側筐体部に外部機器を近接させたときの様子を示す図である。
【図6】第3状態における選択部の切替状態についての説明に供する図である。
【図7】表示部側筐体部を充電器に対向させて載置し、操作部側筐体部に外部機器を近接させたときの様子を示す図である。
【図8】携帯電話装置の動作についの説明に供するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る携帯電子機器の一例である携帯電話装置1の外観斜視図を示す。なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話装置の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話装置の形態としては特にこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)でも良い。
【0018】
携帯電話装置1は、図1に示すように、操作部側筐体部2(第1筐体)と、表示部側筐体部3(第2筐体)とを備えて構成される。操作部側筐体部2は、表面部10(第1面)に、操作ボタン群11と、携帯電話装置1の使用者が通話時に発した音声が入力される音声入力部12とを備えて構成される。操作ボタン群11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作ボタン13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作ボタン14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作ボタン15とから構成されている。
【0019】
また、表示部側筐体部3は、表面部20(第2面)に、各種情報を表示するためのディスプレイ21と、通話の相手側の音声を出力する音声出力部22とを備えて構成されている。また、上述した操作ボタン群11、音声入力部12、ディスプレイ21および音声出力部22は、詳細は後述する処理部71の一部を構成している。
【0020】
また、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話装置1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが互いに開いた状態(開放状態)と、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを折り畳んだ状態(折畳み状態)との間を相対移動可能に構成される。
【0021】
このように構成される携帯電話装置1は、内蔵するループアンテナで受信した信号に基づいて、好適な通信処理と電力処理を行う機能を有している。以下に、当該機能を実現するための一の構成例について説明する。
【0022】
携帯電話装置1は、図2に示すように、アンテナ33と、第1信号処理部34と、第2信号処理部35と、信号検出部36と、選択部37と、制御部38と、充電池39を備える。なお、本実施例では、第1信号処理部34と、信号検出部36と、制御部38が表示部側筐体部3に配置され、第2信号処理部35と、充電池39が操作部側筐体部2に配置され、選択部37がヒンジ機構4付近に配置される構成を一例として説明するが、各部の配置は、これに限られない。
【0023】
アンテナ33は、筐体の内部においてそれぞれ異なる位置に配置される第1ループ部31および第2ループ部32を有する。なお、図2においては、アンテナ33は、操作部側筐体部2および表示部側筐体部3の内部に配置されているが、それぞれの筐体の外観をなす表面に配置されていても良い。
【0024】
第1ループ部31は、図2に示すように、操作部側筐体部2において、所定の直径(例えば、0.1mm程度)を有する銅線等が、所定の大きさのループを描くように、複数回渦巻き状に巻かれてコイルを形成する。
【0025】
また、第2ループ部32は、図2に示すように、表示部側筐体部3において、所定の直径(例えば、0.1mm程度)を有する銅線等が、所定の大きさのループを描くように、複数回渦巻き状に巻かれてコイルを形成する。
【0026】
第1信号処理部34は、RFID処理部を構成しており、アンテナ33により受信された第1の信号S1に基づいて所定の信号処理を行い、例えば、施設における入退室時の認証処理を行う。
【0027】
第2信号処理部35は、充電器(充電台)からのワイヤレス(非接触)給電に基づいて、充電池39に充電を行う機能(ワイヤレス充電機能)を有する充電回路部を構成しており、アンテナ33により受信される第2の信号S2に基づいて所定の処理を行い、充電池39に対して充電を行う。
【0028】
また、信号検出部36は、アンテナ33と第1信号処理部34との間に設けられ、第1の信号S1または第2の信号S2を検出する。
【0029】
選択部37は、第1ループ部31および第2ループ部32のそれぞれの一方端部同士が接続されて一つのループ状のアンテナ33が形成されると共に第1ループ部31および第2ループ部32のそれぞれの他方端部が信号検出部36に接続される第1状態と、第1ループ部31の一方端部および他方端部が第2信号処理部35と接続されると共に第2ループ部32の一方端部および他方端部が信号検出部36と接続される第2状態とを制御部38の制御により選択可能に構成されている。
【0030】
また、選択部37は、図2に示すように、第1選択部37aと第2選択部37bにより構成されている。第1選択部37aは、A端子、B端子、C端子およびD端子を有する。第2選択部37bは、a端子、b端子、c端子、d端子、e端子、f端子、g端子およびh端子を有する。
【0031】
また、アンテナ33を構成する第1ループ部31は、一方端側が第1選択部37aに接続され、他方端側が第2選択部37bに接続されている。また、アンテナ33を構成する第2ループ部32は、一方端側が第1選択部37aに接続され、他方端側が第2選択部37bに接続されている。
【0032】
制御部38は、第1状態において、信号検出部36により第1の信号S1が検出された場合には、第1信号処理部34により第1の信号S1を処理するように制御し、また、信号検出部36により第2の信号S2が検出された場合には、選択部37を制御して、第1状態から第2状態に切り替える。
【0033】
ここで、第1状態における第1選択部37aと第2選択部37bの切替状態について説明する。制御部38は、第1状態においては、図3に示すように、第1選択部37aのA端子とB端子が電気的に接続されるように切替制御を行い、かつ、第2選択部37bのa端子とc端子、およびd端子とf端子が電気的に接続されるように切替制御を行う。
【0034】
つぎに、第2状態における第1選択部37aと第2選択部37bの切替状態について説明する。制御部38は、第2状態においては、図4に示すように、第1選択部37aのA端子とC端子、およびB端子とD端子が電気的に接続されるように切替制御を行い、かつ、第2選択部37bのa端子とe端子、b端子とf端子、c端子とh端子、およびd端子とg端子が電気的に接続されるように切替制御を行う。
【0035】
ここで、第1信号処理部34の具体的な動作について説明する。以下では、施設への入場処理を想定して説明を行う。また、携帯電話装置1は、予め、施設の外部に設置されているリーダ・ライタ装置(外部機器)に対して、施設への入場を許可させるための所定の登録処理が行われており、所定のパスワードを取得しているものとする。
【0036】
ユーザは、携帯電話装置1を施設の外部に設置されている外部機器に対して、所定距離まで接近させる。
第1信号処理部34は、アンテナ33により外部機器から送信される信号(第1の信号S1)を受信する。なお、第1の信号S1は、所定の使用周波数(例えば、13.56MHz)を搬送波とする信号である。
【0037】
第1信号処理部34は、アンテナ33により受信した信号に対して復調等の信号処理を行い、処理後の信号(パスワード要求信号)に基づいて、パスワードをメモリ(不図示)から読み出して、所定の使用周波数を搬送波とする信号を生成する。
【0038】
携帯電話装置1は、生成した信号を外部機器に送信する。外部機器は、受信した信号に基づいてパスワードを抽出し、認証処理を行い、パスワードが正当であると判断した場合には、施設の扉を開く等の処理を行う。
【0039】
また、第1信号処理部34は、充電池39から供給された電流に基づいて駆動する能動型(Active)であっても良いし、外部機器によって発せられている電磁波を利用して電磁誘導作用により起電力が発生する、いわゆる受動型(Passive)の誘導電磁界方式(電磁誘導方式)や、受動型の相互誘導方式(電磁結合方式)や、放射電磁界方式(電波方式)等であっても良い。また、第1信号処理部34のアクセス方式として、リード・ライト型であっても良いし、リードオンリー型や、ライトワンス型等であっても良い。
【0040】
次に、第2信号処理部35の具体的な動作について説明する。なお、ワイヤレス充電においては、現在、電磁誘導方式、電波受信方式および共鳴方式が提案されているが、本実施例では、電磁誘導方式を採用した場合を例にして説明を行なう。
【0041】
ユーザは、携帯電話装置1を充電器の上に載置する。
第2信号処理部35は、充電器から送信される信号(第2の信号S2)をアンテナ33により受信し、電磁誘導により生じた電流を所定の電流に変換し、変換後の電流を充電池39に供給することにより、充電池39に対して充電を行う。
【0042】
携帯電話装置1は、初期(デフォルト)状態において第1状態に切替制御を行うことにより、第1ループ部31と第2ループ部32とを連結するので、どちらのループで信号を受信しても必ず信号検出部36に信号を供給することができる。
【0043】
よって、携帯電話装置1は、信号検出部36によりアンテナ33(第1ループ部31または第2ループ部32)で受信した信号が第1の信号S1であると判断された場合には、第1の信号S1をそのまま第1信号処理部34に伝送することができるので、好適な通信処理を行うことができる。
【0044】
また、携帯電話装置1は、信号検出部36によりアンテナ33(第1ループ部31または第2ループ部32)で受信した信号が第2の信号S2であると判断された場合には、選択部37を第1状態から第2の状態に切り替えて、第1ループ部31を第2信号処理部35に接続し、かつ第2ループ部32を第1信号処理部34に接続する。
【0045】
これにより、第1ループ部31で受信した信号が第2信号処理部35に伝送されるので、当該信号が第2の信号S2であれば、第2信号処理部35で好適に充電処理を行うことができる。
【0046】
また、第2ループ部32で受信した信号が信号検出部36に伝送されるので、当該信号が第1の信号S1であれば、第1信号処理部34で好適に通信処理を行うことができる。
【0047】
なお、図4は、携帯電話装置1が閉状態のときの第1選択部37aと第2選択部37bの切替状態を示している。例えば、携帯電話装置1は、閉状態において、操作部側筐体部2が充電器101(充電台)に対向して載置されることにより、第1ループ部31で受信した第2の信号S2を第2信号処理部35に伝送することで充電処理を行い、かつ、表示部側筐体部3が外部機器102に対向することにより、第2ループ部32で受信した第1の信号S1を第1信号処理部34に伝送することで通信処理を行うことができる(図5を参照)。
【0048】
選択部37は、第1状態および第2状態に加え、第1ループ部31の一方端部および他方端部が信号検出部36と接続されると共に第2ループ部32の一方端部および他方端部が第2信号処理部35と接続される第3状態を制御部38の制御により選択可能に構成される。制御部38は、第2状態において信号検出部36により第2の信号S2が検出された場合には、選択部37により第3状態を選択する。
【0049】
具体的には、制御部38は、図6に示すように、第1選択部37aのA端子とC端子、およびB端子とD端子が電気的に接続されるように切替制御を行い、かつ、第2選択部37bのa端子とh端子、b端子とg端子、c端子とe端子、およびd端子とf端子が電気的に接続されるように切替制御を行うことにより第3状態を選択する。
【0050】
携帯電話装置1は、第2状態において信号検出部36によりアンテナ33(第2ループ部32)で受信した信号が第2の信号S2であると判断された場合には、選択部37を第2の状態から第3の状態に切り替えて、第1ループ部31を信号検出部36に接続し、かつ第2ループ部32を第2信号処理部35に接続する。
【0051】
よって、携帯電話装置1は、第2ループ部32で受信した信号(第2の信号S2)を第2信号処理部35に供給するので、好適に充電処理を行うことができる。
【0052】
また、携帯電話装置1は、第1ループ部31で受信した信号を信号検出部36に供給するので、当該信号が第1の信号S1であれば、第1信号処理部34で好適に通信処理を行うことができる。
【0053】
なお、図6は、携帯電話装置1が閉状態のときの第1選択部37aと第2選択部37bの切替状態を示している。例えば、携帯電話装置1は、閉状態において、表示部側筐体部3が充電器101(充電台)に対向して載置されることにより、第2ループ部32で受信した第2の信号S2を第2信号処理部35に供給することで充電処理を行い、かつ、操作部側筐体部2が外部機器102に対向することにより、第1ループ部31で受信した第1の信号S1を第1信号処理部34に供給することで通信処理を行うことができる(図7を参照)。
【0054】
また、携帯電話装置1は、上述したように、互いに対向する第1面(操作部側筐体部2の表面部10)および第2面(表示部側筐体部3の表面部20)を有する。また、第1ループ部31は、操作部側筐体部2に配置され、第2ループ部32は、表示部側筐体部3に配置される。
このようにして、携帯電話装置1は、折り畳み型に適用することができ、閉状態において上述の認証処理および充電処理を好適に行うことができる。
【0055】
また、一つの筐体を有するいわゆるストレートタイプの携帯電話装置においても、筐体の互いに対向する第1面と第2面にそれぞれループ部が配置されていれば、同様の効果を奏する。
【0056】
また、携帯電話装置1は、上述したように、表面部10を有する操作部側筐体部2と、表面部20を有する表示部側筐体部3と、表面部10と反対側の面と、表面部20と反対側の面とが互いに対向した状態で操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが積層配置された閉状態と、表面部10と表面部20とが互いに離間した状態で操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とが所定方向に並ぶように配置される開状態とをとり得るように操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを開閉軸を中心に開閉可能に連結するヒンジ機構4(連結部)を有する。
【0057】
第1ループ部31および第2ループ部32は、開状態において一つのループ状のアンテナ33が形成される際に、第1ループ部31により受信される信号と第2ループ部32により受信される信号とが打ち消しあわないよう操作部側筐体部2または表示部側筐体部3それぞれに配置される。
【0058】
携帯電話装置1は、このようにして、第1ループ部31により受信される信号と第2ループ部32により受信される信号とが打ち消しあわないよう操作部側筐体部2または表示部側筐体部3それぞれに配置されるので、好適に通信処理と電力処理を同時に行うことができる。
【0059】
また、第1ループ部31および第2ループ部32は、閉状態において操作部側筐体部2および表示部側筐体部3の積層方向にみた場合における第1ループ部31のループ方向と、積層方向にみた第2ループ部32のループ方向とが互いに反対の方向になるよう操作部側筐体部2または表示部側筐体部3それぞれに配置される。
【0060】
また、携帯電話装置1は、図2に示すように、操作部側筐体部2および表示部側筐体部3の少なくとも一方に配置される磁界遮蔽部材40を有する。磁界遮蔽部材40は、閉状態において、第1ループ部31と第2ループ部32との間に配置される。なお、図2(a)においては、磁界遮蔽部材40が操作部側筐体部2側に配置されている例を示している。また、第1ループ部31は、操作部側筐体部2における連結部側の領域に配置される。第2ループ部32は、表示部側筐体部3における連結部側の領域に配置される。また、携帯電話装置1は、磁界遮蔽部材40を専用の部材で構成しなくても良く、回路基板やシールド基板を磁界遮蔽部材として利用する構成であっても良い。
【0061】
よって、携帯電話装置1は、複数のループ部で同時に信号を受信した際に、閉状態において、上記積層方向に見た第1ループ部31のループ方向と第2ループ部32のループ方向とが反対の方向となることに起因する各ループ部で発生する磁束の打ち消しあいを低減することができる。
【0062】
つぎに、携帯電話装置1の動作について、図8に示すフローチャートを参照しながら説明する。
【0063】
ステップST1において、制御部38は、第1選択部37aと第2選択部37bを制御して、デフォルト状態である第1状態に切替制御を行う(図3を参照)。
【0064】
ステップST2において、信号検出部36は、アンテナ33(第1ループ部31または第2ループ部32)により受信した信号を検出し、検出した信号が第1の信号S1であるか第2の信号S2であるかを判断する。第1の信号S1であると判断した場合には、ステップST3に進み、第2の信号S2であると判断した場合には、ステップST4に進む。
【0065】
ここで、第1の信号S1と第2の信号S2は、搬送波の周波数や、変調方法等が異なっている。よって、制御部38は、これらの違いに基づいて、アンテナ33により受信した信号が第1の信号S1であるか第2の信号S2であるかを判断すれば良い。
【0066】
ステップST3において、第1信号処理部34は、第1の信号S1に基づいて所定の通信処理を行う。
【0067】
ステップST4において、制御部38は、選択部37を制御して、第1状態から第2状態に切り替える(図4を参照)。なお、第2状態では、信号検出部36には、第2ループ部32のみが接続されている。
【0068】
ステップST5において、信号検出部36は、アンテナ33(第2ループ部32)により信号(第2の信号S2)を受信したかどうかを判断する。受信していると判断した場合(Yes)には、ステップST6に進み、受信していないと判断した場合(No)には、ステップST7に進む。
【0069】
ステップST6において、制御部38は、選択部37を制御して、第2状態から第3状態に切り替える(図6を参照)。なお、第3状態では、信号検出部36には、第1ループ部31のみが接続されている。
【0070】
ステップST7において、第2信号処理部35は、第2の信号S2に基づいて充電処理を行う。
【0071】
このようにして、携帯電話装置1は、アンテナ33で受信した信号がいずれの処理部に適したものかを判断し、好適な通信処理と電力処理を行うことができる。
【0072】
なお、本実施例においては、信号検出部36は、第1信号処理部34と選択部37の間に配置されるものとして説明したが、これに限られず、第2信号処理部35と選択部37の間に配置される構成であっても良い。
【0073】
また、上述の実施形態では、第2状態においては第2ループ部32が信号検出部36に接続されると共に第1ループ部31が第2信号処理部35に接続され、第3状態においては第1ループ部31が信号検出部36に接続されると共に第2ループ部32が第2信号処理部35に接続されるが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2状態において第1ループ部31が信号検出部36に接続されると共に第2ループ部32が第2信号処理部35に接続され、第3状態において第2ループ部32が信号検出部36に接続されると共に第1ループ部31が第2信号処理部35に接続されても良い。
【0074】
また、上述の実施形態では、第1信号処理部34と第2信号処理部35とがそれぞれ独立して携帯電話装置1に設けられているが、本発明はこれに限定されない。一の信号処理部が第1信号処理部34および第2信号処理部35を有していても良いし、一の信号処理部がアンテナ33により受信される第1の信号S1および第2の信号S2のそれぞれを処理することができても良い。
【0075】
この場合、制御部38は、第1ループ部31および第2ループ部32により形成される一つのループアンテナが信号検出部に接続された状態で、信号検出部36により第1の信号S1が検出された場合には上記一つのループアンテナにより受信される信号を一の信号処理部に伝送し、信号検出部36により第2の信号S2が検出された場合には第1ループ部31により受信される信号を一の信号処理部に伝送すると共に第2ループ部32により受信される信号を信号検出部36に伝送しても良い。そして、制御部38は、第2ループ部32と接続された信号検出部36により第2の信号S2が検出された場合には、第1ループ部31により受信される信号を信号検出部36に伝送すると共に第2ループ部32により受信される信号を一の信号処理部に伝送しても良い。
【0076】
また、上述の実施形態では、第1信号処理部34は、外部機器102との間で施設の入場処理に用いられる信号を送信または受信するが、本発明はこれに限定されない。例えば、コンビニエンスストア等に設置されている外部機器との間で非接触通信により課金処理を行うための信号を送受信しても良い。
【0077】
また、上述の実施形態では、第1の信号S1および第2の信号S2を送受信する処理として、例えば13.56MHzの信号による非接触通信および非接触充電を想定しているが、本発明はこれに限定されず、ループアンテナにより外部の機器と通信を行うものであれば良い。
【0078】
また、上述の実施形態では、信号検出部36は、第1ループ部31、第2ループ部32ならびに第1ループ部31および第2ループ部32からなるアンテナ33のいずれかにより受信される信号が第1の信号S1であるかもしくは第2の信号S2であるかを判定するが、本発明はこれに限定されない。信号検出部36は、アンテナ33により受信される信号の一部(例えば、ヘッダ)を読み出し、当該読み出した一部に基づいてアンテナ33により受信される信号の種類を判定しても良い。
【符号の説明】
【0079】
1 携帯電話装置
2 操作部側筐体部(第1筐体)
3 表示部側筐体部(第2筐体)
31 第1ループ部
32 第2ループ部
33 アンテナ
34 第1信号処理部
35 第2信号処理部
36 信号検出部
37 選択部
38 制御部
39 充電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体のそれぞれ異なる位置に配置される第1ループ部および第2ループ部を有するアンテナと、
前記アンテナにより受信される信号を処理する信号処理部と、
前記アンテナにより受信される第1の信号または第2の信号を検出する信号検出部と、
前記第1ループ部および前記第2ループ部により形成される一つのループアンテナが前記信号検出部に接続された状態で、前記信号検出部により前記第1の信号が検出された場合には前記一つのループアンテナにより受信される信号を前記信号処理部に伝送し、前記信号検出部により前記第2の信号が検出された場合には前記第1ループ部により受信される信号を前記信号処理部に伝送する制御部と、を備える携帯電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1ループ部および前記第2ループ部により形成される一つのループアンテナが前記信号検出部に接続された状態で、前記信号検出部により前記第2の信号が検出された場合には前記第1ループ部により受信される信号を前記信号処理部に伝送すると共に前記第2ループ部により受信される信号を前記信号検出部に伝送し、前記第2ループ部と接続された前記信号検出部により前記第2の信号が検出された場合には、前記第1ループ部により受信される信号を前記信号検出部に伝送すると共に前記第2ループ部により受信される信号を前記信号処理部に伝送する請求項1に記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記筐体は、互いに対向する第1面および第2面を有し、
前記第1ループ部は、前記筐体の前記第1面に配置され、
前記第2ループ部は、前記筐体の前記第2面に配置される請求項1または2に記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記筐体は、
前記第1面を有する第1筐体と、
前記第2面を有する第2筐体と、
前記第1筐体における前記第1面と反対側の面と前記第2筐体における前記第2面と反対側の面とが互いに対向した状態で前記第1筐体と前記第2筐体とが積層配置された閉状態と、前記第1面と前記第2面とが互いに離間した状態で前記第1筐体と前記第2筐体とが所定方向に並ぶように配置される開状態とをとり得るように前記第1筐体と前記第2筐体とを開閉軸を中心に開閉可能に連結する連結部と、を有し、
前記第1ループ部および前記第2ループ部は、前記開状態において前記一つのループアンテナが形成される際に、前記第1ループ部により受信される信号と前記第2ループ部により受信される信号とが打ち消しあわないよう前記第1筐体または前記第2筐体それぞれに配置される請求項3に記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記第1ループ部および前記第2ループ部は、前記閉状態において前記第1筐体および前記第2筐体の積層方向にみた場合における前記第1ループ部のループ方向と、前記積層方向にみた前記第2ループ部のループ方向とが互いに反対の方向になるよう前記第1筐体または前記第2筐体それぞれに配置され、
前記第1筐体および前記第2筐体の少なくとも一方に配置される磁界遮蔽部材を有し、
前記磁界遮蔽部材は、前記閉状態において、前記第1ループ部と前記第2ループ部との間に配置される請求項4に記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記第1ループ部は、前記第1筐体における前記連結部側の領域に配置され、
前記第2ループ部は、前記第2筐体における前記連結部側の領域に配置される請求項4または請求項5に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体のそれぞれ異なる位置に配置される第1ループ部および第2ループ部を有するアンテナと、
前記アンテナにより受信される信号をそれぞれ処理する第1信号処理部および第2信号処理部と、
前記第1信号処理部に接続されると共に、前記アンテナにより受信される第1の信号または第2の信号を検出する信号検出部と、
前記第1ループ部および前記第2ループ部により形成される一つのループアンテナが前記信号検出部に接続された状態で、前記信号検出部により前記第1の信号が検出された場合には前記第1信号処理部により前記一つのループアンテナにより受信される信号を処理し、前記信号検出部により前記第2の信号が検出された場合には前記第1ループ部と前記第2信号処理部とを接続すると共に前記第2ループ部と前記信号検出部とを接続する制御部と、を備える携帯電子機器。
【請求項8】
前記制御部は、前記第2ループ部と接続された前記信号検出部により前記第2の信号が検出された場合には、前記第1ループ部と前記信号検出部とを接続すると共に前記第2ループ部と前記第2信号処理部とを接続する請求項7に記載の携帯電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−175596(P2012−175596A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37889(P2011−37889)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】