説明

携帯電話における迷惑メール撃退システムとその方法

【課題】増加の一途を辿る携帯電話の迷惑メールにおいて迷惑メールを防止するメールの拒否設定に効果がなかった。また、メールアドレス変更には労力がかかった。また、迷惑メール受信により無駄な出費を強いられていた。更に、携帯電話会社は対抗策に多額の経費をかけていた。
【解決手段】携帯電話において、受信した迷惑メールに未開封を記録して返信する返信手段と、返信する迷惑メールを受信した際に課金されたパケット通信料又は通信料を送信主へ逆課金する逆課金手段と、フラグに基づき未開封の迷惑メールを送信元へ返信する際課金されるパケット通信料又は通信料を返信メール受信者に課金する課金手段と、を備えてなることを特徴とする携帯電話の迷惑メール撃退システム。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は携帯電話における迷惑メール撃退システムとその方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来携帯電話における迷惑メール撃退の対策としては、携帯電話のメールアドレスを初期設定である「電話番号@・・・」から電話番号の部分を好きな英数字を組み合わせたものに変更することによって電話番号の部分を無作為に組み替えることで不特定多数に送っている迷惑メールを防ぐ方法や、携帯電話の機種によっては指定した電話番号から送られてくるメールを拒否できる機能を用いて5から10件程度のメールアドレスを登録し迷惑メールを指定拒否する方法及びインターネットから送信されるメールに限り若しくは携帯電話から送信されるメールに限りメールの受信を拒否できる携帯電話の機能を用いて一括拒否する方法や、携帯電話会社が一月分の迷惑メール受信見込み分のパケット通信料又は通信料を事前に利用者へ支払うことにより清算する方法等があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、メールアドレスを変更すると以前のメールアドレスを知らせておいた知人すべてに変更後のメールアドレスを伝達せねばならず大変面倒である。また、迷惑メール送信主のアドレス及び送信端末は際限なく増えるので拒否設定をどんなに登録しても対応しきれないことがある。
【0004】更に、拒否設定によっては必要なメールをも拒否せねばならぬことがあるためむやみに拒否設定をできないことがある。また、利用者は迷惑メールであってもメールを受信した時点でパケット通信料及び通信料を課金されており無駄な出費を強いられていた。
【0005】また、携帯電話会社は利用者すべてに迷惑メール分のパケット通信料又は通信料を支払う場合多大な損害を被ることになっていた(事例を挙げると、NTTドコモがi−mode(登録商標)利用者一人あたり月額120円相当の迷惑メール受信分のパケット通信料を無料にすることを発表したが、その場合の減収額は約270億円にのぼる)。本発明はこれらの課題を解決するためになされたものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】これらの課題を解決する本発明は、受信した電子メールを不要と判断し、未開封電子メールを送信元利用者端末へ返信する際に、添付フラグに未開封を記録して返信する返信手段と、前記不要と判断した電子メールを受信した際に課金されたパケット通信料又は通信料を送信元利用者端末に逆課金する逆課金手段と、前記フラグに基づき、未開封電子メールを送信元利用者端末へ返信する際に課金されるパケット通信料又は通信料を送信先利用者端末に課金する課金手段と、を備えてなることを特徴とする。
【0007】更に、受信した電子メールを不要と判断し、未開封電子メールを送信元利用者端末へ返信する際に、添付フラグに未開封を記録して返信する返信手順と、前記不要と判断した電子メールを受信した際に課金されたパケット通書ン料又は通信料を送信元利用者端末に逆課金する逆課金手順と、前記フラグに基づき、未開封電子メールを送信元利用者端末へ返信する際に課金されるパケット通信料又は通信料を送信先利用者端末に課金する課金手順と、を備えてなることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明に係る携帯電話の迷惑メール撃退システムとその方法の実施態様を図面を参照して説明する。図1、図2及び図3は、本発明に係る一実施例を示している。
【0009】図1は本発明における一実施例を示す携帯電話の迷惑メール撃退システムの構成図であり図に示すように、携帯電話端末B100と、携帯電話端末Bの移動体通信網300と、メールサーバー400と、携帯電話端末Aの移動体通信網500と、携帯電話端末A200とから構成され、前記携帯電話端末B100とは、迷惑メールの発信主が所持しメール情報を送受信できる携帯電話端末であり、また101は前記携帯電話端末B100における表示部であり、102の操作部にて指示入力した内容を画面表示するものである。尚、本発明における迷惑メールを発信する携帯電話端末Bはパソコン等の電子メールを発信できる情報端末に置き換えてもよい。
【0010】前記携帯端末Bの移動体通信網300とは、無線基地局やデジタル携帯電話網などで構成されており、各携帯電話端末とメールサーバー400との間で双方向のデータ通信を実現している。
【0011】前記メールサーバー400とは、携帯電話端末から受けたメール情報をその宛名に基づいて端末に配信するものである。
【0012】前記携帯電話端末Aの移動体通信網500とは、前記携帯電話端末Bの移動体通信網300と同一のものである。
【0013】前記携帯電話端末A200とは、前記携帯電話端末B100より送信されたメールを携帯電話端末Bの移動体通信網300及びメールサーバー400を介して受信する携帯電話端末である。
【0014】次に本発明の携帯電話における迷惑メール撃退システムとその方法における一実施例の流れを図2のフローチャートを用いて説明する。
【0015】まず、携帯電話端末B100及びその利用者によって作成及び送信された、最近増加の一途を辿る出会い系サイトのDMや各種勧誘メール等の迷惑メールを、携帯電話端末A200において受信すると(ステップ100)、受信による課金が行われ(ステップ101)、着信メール確認の操作後、携帯電話端末A200の表示部201にメールのタイトル及び発信者のメールアドレスが表示される。
【0016】携帯電話端末A200の利用者は、タイトル及び発信者のメールアドレス表記の内容によって必要なメールであるか迷惑メールであるかを判断し(ステップ102)、必要であれば開封の操作指示のもとメールを開封する(ステップ103)。
【0017】一方、要不要の判断(ステップ102)において携帯電話端末Aの利用者が着信メールのタイトル及び発信者のメールアドレスをもとに不要であると判断した迷惑メールについては開封せずに、202の操作部を操作し発信者へ返信の操作指示をする(ステップ104)。その際、携帯電話端末A200の表示部201には例えば「メールを返信する YES・NO」のように確認指示が表示され、操作部202を操作して「YES」を選択指示することにより携帯電話端末Aから携帯電話端末Bへと迷惑メールを返信する。
【0018】更に返信操作により、迷惑メール受信時に課金されたパケット通信料又は通信料が、迷惑メールによる出費を補う形で携帯電話端末Aの利用者へ逆に課金される(通常メールを受信することで必然的に課金されるが、迷惑メールを返信することで料金が補充され、利用者に負担はなくなる)。また、携帯電話端末Aへ逆に課金された分のパケット通信料又は通信料は、迷惑メール送信元の携帯電話端末Bが携帯電話端末Aからの返信メールを受信する際に携帯電話端末Bの利用者に課金される。この課金方法を逆課金と呼ぶ。尚、逆課金とは前記のような方法に限らず、迷惑メールを受信した携帯電話端末利用者へは課金が行われず、その分のパケット通信料又は通信料を迷惑メール送信元へ課金請求するあらゆる方法であってよい。
【0019】更に返信の操作指示をする際、返信する迷惑メールに添付されたフラグをオンにし未開封を記録する。このフラグがオンになっていることにより携帯電話端末Aが迷惑メールを返信する際に発生するはずのパケット通信料又は通信料が課金されない。
【0020】図3はメール送信時と返信時のデータの内訳である。送信時はメールを返信するわけではないのでフラグは000(オフ)の状態であるが、送信されてきたメールに返信の操作をすると、メール未開封という意味を示す001(オン)が記録される。このフラグがオンになっていることで返信メールを受信した際に返信に伴うパケット通信料又は通信料の課金が成される仕組みである。また、フラグがオンになっていることにより、返信されてきたメールを再度送信主へ返信すること及び他のメールアドレスへ転送することは不可能となる。尚、フラグは前記のような表記に限らず、未開封を識別できるものであればよい。
【0021】携帯電話端末B100によって作成・送信され携帯電話端末A200において受信・確認及び返信されたメールは、携帯電話端末Aの移動体通信網500及びメールサーバー400を介して携帯電話端末A200に配信される。
【0022】配信されたメールを携帯電話端末B100にて受信すると(ステップ105)、携帯電話端末A200からの返信による前記フラグを認識しそれに基づき課金が成される(ステップ106)。
【0023】課金の内容は次のようなものである。携帯電話端末Aから携帯電話端末Bへ返信された迷惑メールを受信する際に発生する携帯電話端末Bへの課金は、携帯電話端末Aからの返信メールを受信することで通常発生するパケット通信料又は通信料。携帯電話端末Aにおいて携帯電話端末Bから迷惑メールを受信することで発生したパケット通信料又は通信料。携帯電話端末Aにおいて携帯電話端末Bからの迷惑メールを返信することで本来発生するはずのパケット通信料又は通信料。となり、従来であれば携帯電話端末Bの利用者はメールを受信する際に必ず発生する前記(1)のみを課金されるだけでメールを受信することができたが、本発明においては、本来であれば携帯電話端末Aに課金されるべきメールの受信・送信に伴うパケット通信料又は通信料である前記(2)及び(3)が、携帯電話端末Bの利用者に課金されることとなる。
【0024】そのため迷惑メールの受信者には発信者へメールを返信することにより一切の課金がされず本来迷惑メールを発信者へ返信することにより発生するパケット通信料又は通信料をすべて迷惑メールの送信者へと課金するものである。
【0025】これらを具体的な金額を例に上げて説明すると、携帯電話端末B100の作成・送信した迷惑メールの情報量に伴うパケット通信料を2円とすると、前記(1)において2円の課金、(2)において2円の課金、(3)において2円の課金となり(1)(2)(3)合計で6円の課金となる。
【0026】迷惑メールを作成し携帯電話端末Aへ送信した際のパケット通信料2円と合わせると8円となり、従来は迷惑メールを送信するには送信にかかるパケット通信料だけで済んでいたので本発明の場合、携帯電話端末B100の利用者は従来の4倍を課金されることになる。尚、携帯電話端末Aは迷惑メールを返信する場合、受信や返信に掛かるパケット通信料または通信料を課金されることはない。
【0027】このことにより、今まで時間を選ばず大量に送られていた迷惑メールに対して、携帯電話端末利用者は泣き寝入りせず対抗手段を行使することで迷惑メールを撃退できるようになる。
【0028】それだけでなく、利用者は迷惑メールを返信することで受信や送信に掛かる一切のパケット通信料又は通信料が課金されることがないため迷惑メールによる無駄な出費をなくすことができる。
【0029】また、迷惑メールの作成及び送信者には、送信した迷惑メールを受信者から返信されることにより従来の4倍の課金が成されるため、迷惑メールを送信するリスクが大きくなり送信回数を控えざるを得なくなる。その結果迷惑メールの流通量を減らすことができる。
【0030】更に、流通量は減っても迷惑メールが完全になくなるというわけではなく、携帯電話会社は一件につき従来の2倍のパケット通信料又は通信料(従来は送信・受信のみ、本発明の場合、送信・受信・返信に伴う送信・受信となるので従来の2倍)を回収できるので迷惑メールのパッケト通信料又は通信料により潤っていた利益を流通量の低下によって減少させる恐れがない。
【0031】
【発明の効果】以上の説明により本発明の携帯電話における迷惑メール撃退システムとその方法は、メールアドレスを変更する必要がなくなる。
【0032】また、インターネットを介した迷惑メール・携帯電話端末からの迷惑メールのどちらにも対応できるので、迷惑メールを避けるための無理な拒否設定を行う必要がない。
【0033】更に、利用者は迷惑であると判断した不要なメールに対し返信操作によって受信料が課金されないので、迷惑メールの受信者は無駄な出費を被ることがない。
【0034】また、携帯電話会社は利用者に迷惑メール受信分のパケット通信料又は通信料を支払う必要がなくなり、損害を被ることもなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る携帯電話における迷惑メール撃退システムとその方法の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明に係る携帯電話における迷惑メール撃退システムとその方法の一実施例を示すフローチャートである。
【図3】本発明に係る携帯電話におけるメールの送信時と返信時それぞれの一実施例の送信データの内訳を示す表である。
【符号の説明】
100・・携帯電話端末B
101・・表示部
102・・操作部
200・・携帯電話端末A
201・・表示部
202・・操作部
300・・携帯電話端末Bの移動体通信網
400・・メールサーバー
500・・携帯電話端末Aの移動体通信網

【特許請求の範囲】
【請求項1】受信した電子メールを不要と判断し、未開封電子メールを送信元利用者端末へ返信する際に、添付フラグに未開封を記録して返信する返信手段と、前記不要と判断した電子メールを受信した際に課金されたパケット通信料又は通信料を送信元利用者端末に逆課金する逆課金手段と、前記フラグに基づき、未開封電子メールを送信元利用者端末へ返信する際に課金されるパケット通信料又は通信料を送信先利用者端末に課金する課金手段と、を備えてなることを特徴とする迷惑メール撃退システム。
【請求項2】受信した電子メールを不要と判断し、未開封電子メールを送信元利用者端末へ返信する際に、添付フラグに未開封を記録して返信する返信手順と、前記不要と判断した電子メールを受信した際に課金されたパケット通信料又は通信料を送信元利用者端末に逆課金する逆課金手順と、前記フラグに基づき、未開封電子メールを送信元利用者端末へ返信する際に課金されるパケット通信料又は通信料を送信先利用者端末に課金する課金手順と、を備えてなることを特徴とする迷惑メール撃退方法。

【図3】
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【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2003−18220(P2003−18220A)
【公開日】平成15年1月17日(2003.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2001−201323(P2001−201323)
【出願日】平成13年7月2日(2001.7.2)
【出願人】(301029399)株式会社アイティージェム (1)
【Fターム(参考)】