説明

携帯電話機、報知停止方法

【課題】携帯電話機でキー入力よりも簡単な操作で通話を拒否する。
【解決手段】携帯電話機100に加速度センサを搭載する。予め加速度の変化を示した加速度変化データを記憶しておく。そして、着信があったときに、携帯電話機をユーザが揺らしたことで加速度センサが検出する加速度の変化と、予め記憶している加速度変化データとの一定以上の相関があるか否かを判定する。一定以上の相関があると判定した場合に、携帯電話機は、発信先に対して通話できない旨を通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機に関し、特に着信の報知の停止方法に係る。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機には、着信を受けた場合において、ユーザが通話に応じられないときに、ユーザからの特定の入力操作(例えば、メニューボタンの押下及び通話拒否のメニューの選択)を受け付けて、通話ができない旨を示す音声メッセージを送信するものがある。この機能は通話拒否と称され、着信そのものを拒否する着信拒否とは異なるものである。通話拒否は、通話できない旨を通知するいう機能と同時に、着信の報知を停止させるという機能も果たす。
【0003】
通話拒否を実行できる電話機として、特許文献1に記されたものがある。
【特許文献1】特開2006−237993号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、ユーザがおかれている環境によっては、携帯電話機を取り出して、上述の特定の入力操作を実行できない状況に置かれる場合もある。上述の通話拒否の機能を実行するためには、ユーザは、携帯電話機が例えば折畳み型携帯電話機であった場合には、携帯電話機を開き、キーを確認して、メニューボタンを押下し、表示されたメニューを確認して、表示されたメニューの中から、通話拒否のメニューにカーソルを移動させる方向キーの押下を実行し、通話拒否のメニューを選択、押下するという煩雑な操作を行う必要がある。会議中などでは、携帯電話機を大っぴらに操作することはマナーに反することから、机の下で、携帯電話機の状況を確認できないまま、手探りで上記特定の入力操作を行うことも考えられるが、表示画面やキーを確認できないために正しく操作できるキー入力を実行できる保証はない。よって、携帯電話機は報知を中止して、通話できない旨を示す音声メッセージを送信できないことがある。
【0005】
会議等に出席している場合などにおいては、例え携帯電話機をマナーモードに設定してあってもバイブレータの振動音が聞こえるので、着信の報知はなるべく早く止めるべきである。また、着信の報知を止めると同時に通話できない旨を発信相手に通知できる通話拒否の機能はユーザにとって有意のものであるが、正確に操作できなくては意味がない。
【0006】
そこで、本発明は上記問題を鑑みてなされたものであり、より簡単な操作でユーザが携帯電話機の状況を確認できずとも報知をとめることができる携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る携帯電話機は、自機の振動を検出する検出手段と、着信を受けたときに着信があったことを報知する報知手段と、着信後の一定期間において前記検出手段が検出した振動パターンが予め定められた特定パターンに該当するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により、前記特定パターンに該当すると判定された場合に、前記報知を停止させる報知停止手段とを備えることを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、自機の振動を検出する検出手段を備えた携帯電話機における報知を停止させる報知停止方法でって、着信を受けたときに着信があったことを報知する報知ステップと、着信後の一定期間において前記検出手段が検出した振動パターンが予め定められた特定パターンに該当するか否かを判定する判定ステップと、前記判定手段の判定結果に応じて、前記特定パターンに該当すると判定された場合に、前記報知を停止させる報知停止ステップとを含むことを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
上述のような構成によって、ユーザは、携帯電話機のキーを確認することなく、通話拒否のための操作を実行でき、携帯電話機は、ユーザの携帯電話機を振る動作を検出して、着信の報知を止めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
<実施の形態1>
<概要>
携帯電話機で、通話に対する拒否をキーを押下することなく実行するために、ユーザが携帯電話機を振る動作を実行した場合にそれを検知して、通話拒否を実行する。本実施の形態では、図3の携帯電話機の使用形態図に示すように携帯電話機をユーザが振り、携帯電話機は当該振りを加速度センサを用いて検出すると、着信の報知を停止し、発呼相手に対して通話できない旨を通知する。
<構成>
以下、本発明の一実施形態である携帯電話機について図面を用いて説明する。
【0011】
図1は、携帯電話機100の機能構成を示した機能ブロック図であり、図2は、携帯電話機100の概観を示した図である。
【0012】
図2(a)に示すように携帯電話機100は、上部筐体181と下部筐体182とがヒンジ部180で接続されてなる折畳み型携帯電話機であり、下部筐体182は、その内部に加速度センサ150を備えている。
【0013】
図2(b)は、携帯電話機100を折りたたんだ状態の正面図を示しており、図2(c)は、折りたたんだ状態での携帯電話機100の側面図を示している。加速度センサ150は、図2(a)〜(c)に示される3軸座標系を有している。
【0014】
図1に示すように携帯電話機100は、通信部110と、表示部120と、音声処理部130と、操作部140と、加速度センサ150と、記憶部160と、制御部170とを含んで構成される。
【0015】
通信部110は、アンテナ111から受け取った受信信号を受話音声信号及び受信データ信号に復調し、復調した受話音声信号や、受信データ信号を制御部170に出力する機能を有する。また、通信部110は、音声処理部130でA/D変換された送話音声信号、及び制御部170から与えられる電子メールなどの送信データ信号を変調し、通信用アンテナ111から出力する機能を有する。
【0016】
表示部120は、LCD(Liquid Crystal Display)などによって実現されるディスプレイを含み、制御部170の指示による画像をディスプレイに表示する機能を有する。
【0017】
音声処理部130は、通信部110から出力された受話音声信号をD/A変換してスピーカ132に出力する機能と、マイク131から取得した送話音声信号をA/D変換し、変換された信号を制御部170に出力する機能を有する。
【0018】
操作部140は、テンキー群、オンフックキー、オフフックキー、方向キー、決定キー、メールキー、サイドキーなどを含み、ユーザの操作を受け付け、受け付けた操作内容を制御部170に出力する機能を有する。
【0019】
加速度センサ150は、3軸加速度センサであり、制御部170からの指示を受けて、逐次加速度を検出し、携帯電話機100の運動加速度(X成分、Y成分、Z成分)の計測値を逐次制御部170に出力する機能を有する。
【0020】
記憶部160は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を含んで構成され、小型ハードディスクや不揮発性メモリなどによって実現される。記憶部160は、携帯電話機100の動作上必要な各種データやプログラムの他、音楽データや画像データなどを記憶する機能を有する。音楽データは、例えば、通信部110を介して、ネットからダウンロードされたコンテンツであり、操作部140でユーザからの指示を受け付けて、スピーカ132からその音声が出力される。また、画像データは、例えば、携帯電話機100に備えられたカメラ(図示せず)により撮影された画像であり、画像データの内容が表示部140において表示されたり、画像データがメールに添付されて通信部110を介して通信先に送信されたりする。
【0021】
また、記憶部160は、加速度変化データ161と、着信履歴リスト162と、通話拒否履歴リスト162とを記憶している。また、記憶部160は、化速度の相関値に基づく制御を実行するための相関閾値を「0.6」で記憶している。
【0022】
加速度変化データ161は、加速度センサ150が検出する加速度と、比較するための加速度の時間軸方向の変化を示すデータである。ここでは、図4に示すようなデータを保持していることとする。図4に示した加速度データは、携帯電話機100の加速度センサ150の出力値のX軸方向の変化を時間軸方向で示した所定時間分(例えば2秒)のデータである。制御部170は、当該データと、加速度センサ150が検出する加速度との相関を計算することになる。
【0023】
着信履歴リスト162は、携帯電話機100で受けた着信に関する情報のリストである。着信履歴リスト162の詳細については後述する。
【0024】
通話拒否リスト163は、携帯電話機100で受けた着信に対して通話拒否を実行した着信に関する情報のリストである。通話拒否リスト163の詳細については後述する。
【0025】
制御部170は、CPU(Central Processing Unit)であり、携帯電話機100の各部を制御する機能を有し、通常の携帯電話機が保持する機能の他、以下の機能を有する。制御部170は、判定部171を含んで構成され、判定部171は、加速度変化データ161と、加速度センサ150が検出する加速度とが一定以上の相関を有するか否かを判定する機能を有する。これは、所定時間分(例えば2秒)の加速度センサが検出した加速度値について、加速度パターンで示される加速度値の±3cm/s内に当てはまる一致率が相関閾値である0.6、即ち6割を超えるか否かによって判定する。
【0026】
なお、本実施の形態では、加速度変化データ161は、携帯電話機100の加速度センサ150のX軸方向の成分に関するデータであり、制御部170は、加速度センサ150が検出する加速度成分のX軸方向についての相関を判定する。これは、相関の計算の簡略化を行うとともに、ユーザは携帯電話機を揺らす際に、図3のように揺らすことが多いと考えられ、X軸方向の変化が検出しやすいと考えられるためである。
【0027】
制御部170は、通信部110から着信があった旨を通知されると、加速度センサ150に加速度の検出の実行開始を指示する。制御部170は、記憶部160から加速度変化データ161を読み出し、加速度センサ150が伝達する加速度との相関を計算する。制御部170は、計算した相関値が相関閾値0.6以上であるか否かを判定する。そして、相関値が0.6以上になった場合に、制御部170は、通信部110に通話回線を開かせ、発呼相手に、通話できない旨を示す音声メッセージを送信させた後に通話を終了させる。また、制御部170は、音声メッセージを送信し終えると、加速度センサ150に加速度の検出を終了させる。そして、制御部170は、着信があったことを示す情報を着信時に取得できる発信者情報と着信時間とを対応付けて着信履歴リスト162に記憶する。また、制御部170は、通話拒否を実行した場合に着信時に取得できる発信者情報と着信時間とを対応付けて通話拒否リスト163に記憶する。このとき通話拒否リスト163に記録される拒否方法は振動によるものであることを示す「1」が登録される。
【0028】
また、制御部170は、着信中に操作部120がユーザから、通話拒否を実行するための所定の入力操作を受け付けた場合に、通信部110に通話回線を開いて発呼側の電話機に対して通話を拒否する旨を音声で通知させ、通話を終了する。このとき、制御部170は、着信があったことを示す情報を着信時に取得できる発信者情報と着信時間とを対応付けて着信履歴リスト162に記憶する。また、制御部170は、通話拒否を実行した場合に着信時に取得できる発信者情報と着信時間とを対応付けて通話拒否リスト163に記憶する。このとき通話拒否リスト163に記録される拒否方法は通常のユーザからの所定ノ入力によるものであることを示す「0」が登録される。
<データ>
ここで、着信履歴リスト162と、通話拒否リスト163について説明し、それぞれのリストを用いた表示例について説明する。
【0029】
着信履歴リスト162は、携帯電話機100で受けた着信に関する情報である。図5は、着信履歴リスト162の、データ概念図の一例である。
【0030】
図5に示すように、着信履歴リスト162は、管理番号欄501と、発信者欄502と、電話番号欄503と、着信日時欄504とを含んで構成され、各々が対応付けられて記憶されている。
【0031】
管理番号欄501は、制御部170が、各着信履歴を管理するための管理番号を示す情報を含む。
【0032】
発信者欄502には、発呼側の名前の情報を含む。当該名前は着信時の発信者情報で示される電話番号と、携帯電話機100が保持するアドレス帳に電話番号との一致を見て、一致するものがあった場合に、対応する名前が記録される。
【0033】
電話番号欄503には、発信者情報に含まれる電話番号が記録される。
【0034】
着信日時欄504には、着信を受けたときの日時の情報が含まれる。
【0035】
図5に示すように、例えば、管理番号「002」の、発信者は、「安岡圭吾」であり、その電話番号は「09088896061」であり、着信があった日時は、「2月27日水曜日の13時45分」となっている。
【0036】
次に、携帯電話機100で通話拒否を行った場合に、通話拒否を実行したことを示す情報を登録する通話拒否リスト163について、図6を用いて説明する。
【0037】
図6は、通話拒否リスト163のデータ概念図の一例を示している。図6に示すように、通話拒否リスト163は、管理番号601と、発信者欄602と、電話番号欄603と、着信日時欄604と、拒否方法欄605とを含んで構成され、各々が対応付けられて記憶されている。
【0038】
管理番号欄601は、制御部170が、各着信履歴を管理するための管理番号を示す情報を含む。
【0039】
発信者欄602には、発呼側の名前の情報を含む。当該名前は着信時の発信者情報で示される電話番号と、携帯電話機100が保持するアドレス帳に電話番号との一致を見て、一致するものがあった場合に、対応する名前が記録される。
【0040】
電話番号欄603には、発信者情報に含まれる電話番号が記録される。
【0041】
着信日時欄604には、着信を受けたときの日時の情報が記録される。
【0042】
拒否方法欄605には、着信を受けたときに通話を拒否した制御方法の情報が記録される。通話拒否方法が「0」の場合には、ユーザから、通話拒否を実行するための所定の入力操作を受け付けて通話拒否を実行した場合を示す。通話拒否方法が「1」の場合には、ユーザが携帯電話機100を振ることで検出される加速度が、加速度変化データ161とが一定以上相関すると制御部170が判断して通話拒否を実行した場合を示す。
【0043】
図7は、それぞれのリストを用いて携帯電話機100で表示される表示例を示している。
【0044】
図7(a)は、着信履歴の表示例であり、着信履歴リスト162を基に表示データが作成されている。選択状態になっている着信は、白抜きで表示され、選択されているメールに関する情報が表示画面下部に示されている。
【0045】
図7(b)は、通話拒否履歴の表示例であり、通話拒否リスト163を基に表示データが作成されている。選択状態になっている着信は、白抜きで表示され、選択されているメールに関する情報が表示画面下部に示されている。図7(b)に示されるように、通話拒否を実行した場合であって、携帯電話機を揺らして通話拒否を実行したときには、その旨を示すアイコン700が表示される。当該アイコン700の表示は、通話拒否リスト163の拒否方法欄605に基づいて実行され、拒否方法欄605の数値が「1」である場合に表示される。
<動作>
次に、着信時における携帯電話機100の動作を図8のフローチャートに基づいて説明する。
【0046】
まず、アンテナ111を介して通信部110は、着信を受け付けて制御部170にその旨を通知する。当該通知を受けて制御部170は、音声処理部130に着信があったことを示す音声を報知させるとともに、加速度センサ150に加速度の検出を開始させる(ステップS801)。
【0047】
制御部170は、加速度センサ150が検出する所定時間分(例えば2秒)以上の加速度のデータを取得し(ステップS802)、以降も加速度のデータを取得し続ける。
【0048】
制御部170は、記憶部160から加速度変化データ161を読み出し、加速度センサ150により検出された加速度のデータとの相関をとって相関値を得る(ステップS803)。相関値は、検出された加速度成分のX軸成分を、加速度変化データ161に代入し、図4に示す曲線に近似するタイミングが所定時間内(ここでは2秒)あるか否かによって算出する。
【0049】
制御部170は、逐次相関値を算出し、算出した相関値が閾値0.6以上であるか否かを判定する(ステップS804)。
【0050】
相関値が0.6以上である場合(ステップS804のYES)には、制御部170は、ユーザが携帯電話機100を予め定められたパターン、即ち加速度変化データ161に似た方法で揺らしたものと判断し、発呼側の電話機に対して、通話できない旨を示す音声メッセージを送信する。また、制御部170は、音声処理部130に着信の報知を停止させる(ステップS805)。
【0051】
そして、制御部170は、通話の終了を通信部110に指示し、通話拒否リスト163に、発信者情報、即ち、発信者の名前、電話番号、着信した日時の情報を記録する(ステップS806)。また、制御部170は、着信履歴リスト162にも同様の情報を記録して、加速度の検出を停止させて処理を終了する。
【0052】
ステップS804において、制御部170が相関値が0.6未満であると判定した場合に、制御部170は、操作部120でユーザからのオフフック操作を受け付けたか否かを判定する(ステップS807)。
【0053】
オフフック操作を受け付けた場合(ステップS807)には、制御部170は、通信部110に通話回線を開かせ、通常の通話を実行して終了する。
【0054】
オフフック操作を受け付けていない場合(ステップS808)には、発呼側電話機におけるオンフック操作により、発呼が中止されていないかを判定する(ステップS809)。中止していた場合(ステップS809のYES)には、制御部170は、本フローにおける処理を終了する。
【0055】
発呼が中止されていない場合(ステップS809のNO)には、制御部170は、ステップS803に戻り、以降の処理を実行する。
【0056】
以上が携帯電話機100の着信を受けたときの動作である。上述したように、携帯電話機100に対してなされたユーザが携帯電話機100を揺らす行為を加速度センサ150を用いて検出し、検出した加速度のパターンが予め記憶している加速度変化パターンに類似するか否かによって、着信の報知を止め、発呼相手に対して通話できない旨を通知できる。これにより、ユーザが携帯電話機を揺らすという簡単な操作で着信の報知を終了し、発呼相手に通話できない旨を通知できる。
<実施の形態2>
上記実施の形態1では、携帯電話機100をユーザが揺らしたことを検出して通話拒否を実行することを示した。しかしながら、発呼相手によっては、重要な案件を電話で連絡しようとしている可能性が考えられる。重要な案件というのは得てしてユーザの身内などから通知されることが多い。よって、本変形例では、報知の停止についてユーザに再確認を促すことを示す。
<構成>
ここでは、実施の形態1に示した携帯電話機100に加えられる機能構成について説明する。
【0057】
まず、記憶部150は、更に、制御リスト900と、アドレス帳1000とを記憶している。
【0058】
制御リスト900は、着信時における携帯電話機100の制御方法の切替を示す表であり、詳細についてはッ図9を用いて後述する。
【0059】
また、アドレス帳1000は、携帯電話機に記憶されている連絡先に関する情報である。これも詳細については図10を用いて後述する。
【0060】
制御部170は、実施の形態1で示した機能に加え、着信時の発信者情報を分析する機能を有し、分析した発信者情報と制御リスト900に基づいて、着信時の制御方法を切り替える機能を有する。
<データ>
では、制御リスト900について説明する。
【0061】
制御リスト900は、着信時における制御部170の図8で示したフローチャートにおける制御方法を切り替える内容を示した表である。
【0062】
制御リスト900は、発信者情報欄901と、制御方法欄902とを含んで構成され、発信者情報に応じて、制御方法を切り替えることを示している。
【0063】
制御リスト900によれば、制御部170は、着信を受けたときに受信した発信者情報が「非通知」、「通知不可能」、「公衆電話」である場合には、図8のステップS804で制御部170が計算して比較対象とする相関値の閾値を通常0.6のところを0.4に変更して、図8に示す制御を実行する。また、制御部170は、発信者情報に含まれる電話番号がアドレス帳1000に登録されている場合であって、当該電話番号に対応する拒否フラグが「0」であるときには、通常通り図8に示す制御を実行する。また、制御部170は、発信者情報に含まれる電話番号がアドレス帳1000に登録されている場合であって、当該電話番号に対応する拒否フラグが「1」であるときには、ステップS805で一旦報知を停止させた後、再度報知方法を変えて再報知する。報知方法を変えるとは、例えば、音量を大きくしたり、最初の報知がバイブレータによる振動であった場合には、音声による報知を行ったりすることをいう。なお、通知不可能は、非通知設定にしていないけれども電話番号が通知できない場合に通知不可能となり、例えば、国際電話で、電話番号を通知できないサービスからの電話である場合などがある。
【0064】
図10は、連絡先の情報であるアドレス帳1000のデータ概念図であり、その一例を示している。
【0065】
図10に示すようにアドレス帳1000は、管理番号欄1001と、名前欄1002と、電話番号欄1003と、メールアドレス欄1004と、拒否フラグ欄1005とを含んで構成され、各々が対応付けられて記録されている。このほかにも、アドレス帳1000には、住所欄、誕生日欄などが構成されていてもよい。
【0066】
管理番号欄1001は、制御部170が、各着信履歴を管理するための管理番号を示す情報を含む。
【0067】
名前欄1002には、連絡先を示す名前が記録されている。
【0068】
電話番号欄1003は、連絡先の電話番号が記録されている。
【0069】
メールアドレス欄1004は、連絡先のメールアドレスが記録されている。
【0070】
拒否フラグ欄1005は、着信を受けたときに、その着信をユーザの携帯電話機を揺らした動作に対して報知を停止して通話拒否を実行するか否かを示すフラグが記録されている。「0」は、報知を停止して通話拒否を実行することを示し、「1」は、報知を停止したあと、再度報知を実行することを示す。
<動作>
次に、本実施の形態2における制御方法の切替における動作を図11に示すフローチャートを用いて説明する。
【0071】
携帯電話機100は、着信を受けると、制御部170は、着信時に受信する発信者情報を分析して、誰からの発呼であるのかを特定する(ステップS1101)。
【0072】
発信者情報が、非通知、あるいは通知不可能、公衆電話を示す場合には(ステップS1102のYES)、制御部170は、記憶部160が記憶している閾値0.6を一時的に0.4に変更する。すると制御部170は、図8のステップS804における相関値の判定を閾値0.4で実行する。なお、当該閾値は通信の終了後に0.4から0.6に戻される。
【0073】
発信者情報が、非通知、通知不可能、公衆電話でなかった場合(ステップS1102のNO)には、制御部170は、発信者情報で示される電話番号が、アドレス帳に登録されているか否か、登録されているならば、その拒否フラグが1であるか否かを、アドレス帳1000を参照して判定する(ステップS1104)。
【0074】
発信者情報で示される電話番号が、アドレス帳に登録され、その電話番号の拒否フラグが「1」である場合(ステップS1104のYES)には、携帯電話機100は、ステップS805において、報知を一旦停止した後に、報知方方法を換えて再報知する制御に切り替える(ステップS1105)。なお、再報知した上で、その後に携帯電話機100がユーザからの携帯電話機100を揺らす動作を検出した場合には、通話拒否を実行する。
【0075】
ステップS1104において、制御部170が、発信者情報で示される電話番号がアドレス帳に登録され、その電話番号の拒否フラグが「1」でないと判定した場合(ステップS1104のNO)、即ち、電話番号が未登録か、登録されていても拒否フラグが「0」であった場合には、通常通り、図8に示す処理を実行する。
【0076】
なお、ステップS1101は、図8のステップS801の段階で実行され、ステップS1102は、図8のステップS801からS804の間に実行される。また、ステップS1103は、図8のステップS804の前に実行される。そして、ステップS1104及びS1105は、ステップS804とステップS805の間に実行される。
【0077】
以上が、携帯電話機100において、発呼相手に応じて通話拒否方法を切り替える制御方法の説明である。上記構成を備えることにより、携帯電話機は、ユーザにとって重要な相手からの発呼に対しては、例え、ユーザから携帯電話機を振る入力を受け付けて通話拒否の実行を指示されても、発呼してきた通話相手が重要案件を通知したいのかもしれないとユーザに確認を促すことができる。
<補足>
上記実施形態において、本発明の実施の手法について説明してきたが、本発明の実施形態がこれに限られないことは勿論である。以下、上記実施形態以外に本発明の思想として含まれる各種の変形例について説明する。
(1)上記実施の形態において、加速度センサ150のX軸方向における成分のみによって相関を検出することとしたが、これは、X軸成分のみに限る必要はなく、Y軸成分、Z軸成分を用いて相関をとってもよい。
【0078】
また、それぞれの閾値は、同じものであってもよいし、別々のものであってもよい。
(2)上記実施の形態において、加速度の相関をとる方法、即ち、所定時間分(例えば2秒)の加速度センサが検出した加速度値について、加速度パターンで示される加速度値の±3cm/s内に当てはまる一致率が相関閾値である0.6、即ち6割を超えるか否かによって判定するという方法は一例に過ぎない。ここで、「±3cm/s」や、相関閾値の「0.6」はその他の数値であってもよく、これは相関をとるための実験を繰り返すことにより最適値を定めればよい。
【0079】
また、判定方法は、上述したものには限定されず、その他にも例えば以下に示す方法で相関を検出してもよい。
【0080】
例えば、検出した加速度のデータから加速度の変化を示す関数を算出する。そして加速度変化データが示す関数との乗算、積分により相関値を求める構成にしてもよい。
【0081】
あるいは、加速度センサ150が出力する3軸成分からベクトル方向を算出できるので、このベクトル方向が90度以上変化したことを所定回数(例えば、6回)以上、所定時間内(例えば2秒)に検出した場合に、相関があると判定し、報知をとめることとしてもよい。当該所定回数は、ユーザが携帯電話機を持ち運びする上で通常検出されないような加速度パターンとなるように設定する。
【0082】
また、これは、加速度ベクトルの第1の方向と、第2の方向とがなす角度が鈍角であり、当該第1の方向と当該第2の方向間の所定回数の往復を検出することとしてもよい。
(3)上記実施の形態においては、着信を受けたときに、携帯電話機100に対してユーザが実行した所定の揺れ動作を検出して通話拒否を実行した場合に、当該着信に関する情報を通話拒否リスト163に登録することとした。
【0083】
しかし、携帯電話機の機能によっては、通話拒否リスト163に登録せず、着信履歴リスト162にのみ登録する構成も考えられる。このとき、ユーザによっては、この着信を区別するために、通話拒否リスト163への記録を希望するかもしれない。
【0084】
そこで、携帯電話機100には、着信履歴を図7(a)に示すように表示しているときに、ユーザからの選択入力を受け付けて、選択した着信の情報について通話拒否リスト163に登録する構成を設けてもよい。
(4)上記実施の形態においては、加速度パターンは、予め記憶していることとしたが、これはユーザが予め設定しておくこととしてよい。そのために、携帯電話機100は、更に以下の機能を備えていてもよい。
【0085】
即ち、携帯電話機100は、加速度パターンを設定するためのメニューと、当該メニューが選択され、加速度の検出を開始、及び終了する操作を受け付けて、その間の加速度を検出し記憶部160に記憶する機能を備えていてもよい。
(5)上記実施の形態においては、加速度センサ150は、着信時の加速度を検出することとした。しかし、加速度センサ150は、それ以外の場合でも加速度を検出してよく、例えば、携帯電話機がナビゲーション機能を備える場合に、ナビゲーション機能実行時に加速度を検出して、ユーザの進行方向を表示することに用いたりしてもよい。
(6)上記実施の形態においては、着信があると自動的に加速度を検出し、所定の揺れを検出した場合に着信を止める制御を実行した。しかし、これは、ユーザが、予めこの処理を実行するか否かを設定できるようにしてもよい。そのために、携帯電話機100には、当該処理を実行するか否かのフラグを記憶する領域を記憶部160に設け、ユーザは当該フラグを設定できてもよい。
(7)上記実施の形態においては、ユーザによる携帯電話機に対する揺らす動作を検出した場合に通話拒否を実行した。しかし、ユーザによっては、通話拒否を実行したものの、場合によっては、やはり通話したいと考えるかもしれない。そこで、通話拒否機能を起動させてから通話できない旨を発呼相手に通知している間に、所定の操作(例えばオフフックキーの押下)をユーザから受け付けた場合に、携帯電話機100は通話拒否機能を停止し、通話を実行する構成にしてもよい。
(8)上記実施の形態2においては、アドレス帳に通話拒否フラグを設けて、当該通話拒否フラグが「1」である場合に、ユーザからの通話拒否のための携帯電話機を揺らす入力を受け付けたときであっても、再度報知方法を変えて報知を実行し、ユーザに発信者の確認を促すこととした。
【0086】
しかし、通話拒否フラグは、ユーザに再度確認を促すために報知を再実行させるトリガになるものであればよく、通話拒否フラグ以外の条件をトリガに実行しても良い。例えば、送信側の電話機に、通話が重要なものであることを示す情報を含ませて、発呼を実行してもよい。そして、着信側の電話機では、発呼に含まれる情報から、通話が重要な案件を通知するためのものであると認識し、ユーザからの通話拒否のための携帯電話機を揺らす操作を受け付けても、再度報知を実行してもよい。
(9)上記実施の形態2においては、アドレス帳に通話拒否フラグを設けて、当該通話拒否フラグが「1」である場合に、ユーザからの通話拒否のための携帯電話機を揺らす入力を受け付けたときであっても、再度報知方法を変えて報知を実行し、ユーザに発信者の確認を促すこととした。
【0087】
しかし、これはユーザに再確認をさせるものであればよく、報知方法を変えずとも、再度同じ内容で報知を実行してもよい。
(10)上記実施の形態においては、加速度センサ150を備えて、自機の振動を検出することとした。しかし、これは、自機の振動を検出するものであればよく、例えば、携帯電話機の筐体内部において、電極と、ある程度移動が自由で当該電極との接触非接触が可能な、導電体(球状導電体、板金等)とを設け、携帯電話機が揺らされることにより発生する電極と導電体との接触、非接触のリズムを以って上記加速度パターンの代わりとする構成にしてもよい。
(11)上述の実施形態で示した通話拒否に係る動作、自機のユーザによる揺れを検出する処理等(図8参照)を携帯電話機等のプロセッサ、及びそのプロセッサに接続された各種回路に実行させるためのプログラムコードからなる制御プログラムを、記録媒体に記録すること、又は各種通信路等を介して流通させ頒布させることもできる。このような記録媒体には、ICカード、ハードディスク、光ディスク、フレキシブルディスク、ROM等がある。流通、頒布された制御プログラムはプロセッサに読み出され得るメモリ等に格納されることにより利用に供され、そのプロセッサがその制御プログラムを実行することにより、実施形態で示したような各種機能が実現されるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0088】
本発明に係る携帯電話機は、簡単な操作で通話を拒否できる電話機として活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】携帯電話機100の機能構成を示した機能構成図である。
【図2】携帯電話機100の概観図であり、(a)は携帯電話機の正面図であり、(b)は携帯電話機を折りたたんだ状態の正面図であり、(c)は携帯電話機の側面図である。
【図3】携帯電話機100の着信時に通話を拒否するための使用形態を示した図である。
【図4】携帯電話機100に記憶されている加速度変化パターン161の一例を示した図である。
【図5】携帯電話機100に記憶されている着信履歴リスト162の一例を示した図である。
【図6】携帯電話機100に記憶されている通話拒否リスト163の一例を示した図である。
【図7】(a)は、着信履歴の表示例を示した図である。(b)は、通話拒否履歴の表示例を示した図である。
【図8】携帯電話機100の着信時の動作を示したフローチャートである。
【図9】携帯電話機100の着信時の制御方法を示した制御リストである。
【図10】携帯電話機100が保持するアドレス帳の一例を示した図である。
【図11】携帯電話機100が着信時の発信者情報に基づいて、通話拒否における制御を変更する動作を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0090】
100 携帯電話機
110 通信部
111 アンテナ
120 表示部
130 音声処理部
131 マイク
132 スピーカ
140 操作部
150 加速度センサ
160 記憶部
161 加速度変化データ
162 着信履歴リスト
163 通話拒否リスト
170 制御部
180 ヒンジ部
181 上部筐体
182 下部筐体
900 制御リスト
1000 アドレス帳

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自機の振動を検出する検出手段と、
着信を受けたときに着信があったことを報知する報知手段と、
着信後の一定期間において前記検出手段が検出した振動パターンが予め定められた特定パターンに該当するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により、前記特定パターンに該当すると判定された場合に、前記報知を停止させる報知停止手段とを備える
ことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記検出手段は、加速度センサであり、
前記特定パターンは、加速度の変化を示すものであり、
前記判定手段は、
前記加速度センサが検出した加速度の変化と、前記特定パターンで示される加速度の変化との所定時間分の相関を示す相関値が、予め定められた閾値以上である場合に、前記特定パターンに該当すると判定する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記検出手段は、加速度センサであり、
前記特定パターンは、加速度の変化を示すものであり、
前記特定のパターンは、加速度のベクトル方向が一の方向と、前記一の方向とは逆方向になる他の方向との切り替わりが所定時間内に所定回数発生するものであり、
前記判定手段は、
前記加速度センサが検出する加速度のベクトル方向が、前記一の方向と、前記他の方向との間で前記所定時間内に前記所定回数以上切り替わった場合に、前記特定パターンに該当すると判定する
ことを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記判定手段は、前記加速度センサが検出した加速度成分のうち、自機の筐体に配される主表示画面の短辺方向の加速度成分を用いて前記判定を行う
ことを特徴とする請求項2又は3記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記携帯電話機は、更に、
ユーザからの前記特定パターンを記憶するための入力を受け付けたときから所定時間内に前記検出手段により検出された振動の変化を前記特定パターンとして記憶する特定パターン記憶手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項6】
前記携帯電話機は、更に、
前記報知停止手段が、報知を停止させた場合に、発信側の電話機に対して、通話の拒否を示すメッセージを送信する送信手段を備える
ことを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項7】
前記送信手段は、更に、
着信があって、ユーザからの所定のキー入力による通話の拒否の場合にも前記メッセージを送信し、
前記携帯電話機は、更に、
通話を拒否したことを、発信元に関する情報に対応付けて通話拒否リストとして記憶する記憶手段と、
前記通話拒否リストを前記報知停止手段が報知を停止させて前記メッセージを送信したときと、ユーザからの前記所定のキー入力によって前記メッセージを送信したときとで発信元に関する情報を区別して表示するリスト表示手段とを備える
ことを特徴とする請求項6記載の携帯電話機。
【請求項8】
前記携帯電話機は、更に、
着信があったことを発信元に関する情報に対応付けて示す着信履歴リストと、着信があって通話を拒否したことを発信元に関する情報に対応付けて示すための通話拒否履歴リストとを記憶する履歴記憶手段と、
前記送信手段が前記メッセージを送信した場合に、ユーザからの選択入力を受け付けて前記着信履歴リストに記憶されている発信元に関する情報を前記通話拒否履歴リストに転記する転記手段を備え、
前記送信手段は、発信側の電話機に対して通話に応答して前記メッセージを音声で送信する
ことを特徴とする請求項6記載の携帯電話機。
【請求項9】
前記携帯電話機は、更に、
着信時に、発信者情報を受信する受信手段と、
発信者情報を分類する分類情報を記憶する分類情報記憶手段を備え、
前記判定手段は、受信した発信者情報が第1の分類である場合に、報知を停止すると判定するための前記閾値を低くし、
前記判定手段が報知を停止させると判定した場合であって、受信した発信者情報が第1の分類である場合に、報知方法を変更して報知する報知制御手段とを備える
ことを特徴とする請求項2記載の携帯電話機。
【請求項10】
前記携帯電話機は、更に、
着信時に、発信者情報を受信する受信手段と、
発信者情報を分類する分類情報を記憶する分類情報記憶手段を備え、
前記判定手段は、受信した発信者情報が第1の分類である場合に、報知を停止すると判定するための前記所定回数を減じ、
前記判定手段が報知を停止させると判定した場合であって、受信した発信者情報が第1の分類である場合に、報知方法を変更して報知する報知制御手段とを備える
ことを特徴とする請求項3記載の携帯電話機。
【請求項11】
自機の振動を検出する検出手段を備えた携帯電話機における報知を停止させる報知停止方法でって、
着信を受けたときに着信があったことを報知する報知ステップと、
着信後の一定期間において前記検出手段が検出した振動パターンが予め定められた特定パターンに該当するか否かを判定する判定ステップと、
前記判定手段の判定結果に応じて、前記特定パターンに該当すると判定された場合に、前記報知を停止させる報知停止ステップとを含む
ことを特徴とする報知停止方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−224928(P2009−224928A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−65257(P2008−65257)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】