説明

携帯電話機

【課題】
ユーザ操作の手間をかけないで、国際ローミングサービスを受けるために必要な、現在いる国の設定を行う携帯電話機を提供する。
【解決手段】
世界の国々について、各国の識別名と、当該国でのFM放送の許容周波数を示す許容周波数情報とを対応付けて記載したFM周波数情報と、各国の通信事業者別の通信周波数とを記載した通信事業者リストとを記憶する記憶部170と、前記FM周波数情報に記載されたすべての国の許容周波数情報に基づいて選局を順次行う選局指示部182と、選局された周波数のうち電波強度が良好なすべての周波数が、前記許容周波数情報にて示される許容周波数に該当する国を自機の現在位置する国候補として一つ以上特定する国候補特定部181と、国候補のうちから現在位置する国を特定し、国設定する国設定部185とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機に関し、特にFM放送受信機能を有する携帯電話機の技術に関する。
【背景技術】
【0002】
国外に出張あるいは観光で出かける人はますます増えているが、外国でも手持ちの携帯電話を利用したいという要望に答えるため、国内で契約している通信事業者の提携先通信事業者の通信設備を利用することで、出先の外国にて携帯電話で通話等ができる国際ローミングというサービスが普及し始めている。
携帯電話の通信方式には、GSM(Global System for Mobile Communications)、CDMA(Code Division Multiple Access)等があり、手持ちの携帯電話機がそれらの通信方式に対応していれば、国際ローミングのサービスが受けられる。
【0003】
国際ローミングサービスを実際に利用するには、携帯電話機自体が現在位置する国の設定を行う必要がある。特許文献1には、国内移動に関してではあるが、GPSまたは手操作により決定した現在位置を利用する技術が開示されている。
上記国際ローミングサービスの場合、国の設定はユーザによる手操作で行っているのが現状である。
【特許文献1】特開平6−90183号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、国境を移動するたびに携帯電話機が現在位置する国の設定を手操作で行なうのは不便である。
本発明はかかる課題に鑑み、ユーザによる手操作を必要とせず、国の設定を行うための一助としてFM受信機能を利用する携帯電話機を提供することを第1の目的とする。
また、設定された国に応じてFM出力補正を行なうことを第2の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために本発明の携帯電話機は、国内外のFM放送の受信機能を有する携帯電話機であって、世界の国々について、各国の識別名と、当該国においてFM放送の許容周波数を示す許容周波数情報とを対応付けて記載したFM周波数情報を記憶する記憶手段と、前記FM周波数情報に記載されたすべての国の許容周波数情報に基づいて選局を順次行う選局手段と、選局された周波数のうち電波強度が第1の基準値以上であるすべての周波数が、前記許容周波数情報にて示される許容周波数に該当する国を自機の現在位置する国候補として一つ以上特定する国候補特定手段とを備えることとしている。
【発明の効果】
【0006】
上記構成により、FM放送電波の許容周波数の国単位での情報を利用し、FM放送の現在の受信状況から、携帯電話機自身が現在位置する国の候補を絞り込むことができる。
また、前記記憶手段は、さらに、前記各国の識別名と、当該国での携帯電話サービスの通信事業者の識別名と、当該通信事業者の通信周波数の情報とを対応付けた通信事業者リストを記憶し、指定された通信周波数の電波をサーチするサーチ手段と、前記国候補特定手段にて特定された国候補が一つの場合、当該国候補を現在位置する国として設定し、前記候補特定手段により特定された国候補が複数の場合、当該複数の各国候補毎に、当該国候補の前記通信事業者の通信周波数の電波を前記サーチ手段にサーチさせ、当該通信周波数の電波強度が第2の基準値以上である場合、当該通信周波数に対応付けられた通信事業者の識別名が当該通信周波数で送信されている報知のための制御情報に含まれている通信事業者の識別名に該当するとき、当該国候補を現在位置する国として設定する国設定手段とをさらに備えることとしている。
【0007】
これにより、絞りこんだ現在位置の国候補が一つなら当該国を現在位置する国として設定し、また、複数なら候補国の通信事業者の情報をもとに基地局のサーチを行って、基地局からのSYNC情報をもとに一つの国を特定し設定することができる。
また、前記許容周波数の情報は、FM放送の周波数帯とステップ周波数とを国別に記載した情報であり、当該国での許容周波数は、前記周波数帯の最低周波数にステップ周波数の非負整数倍を加えた周波数のうち前記周波数帯の最高周波数以下の周波数であり、前記選局手段は、前記FM周波数情報に記載されたすべての国の許容周波数を重複しないようにして選局を順次行い、前記国候補特定手段は、電波強度が第1の基準値以上である周波数のいずれもが、前記許容周波数に該当する国を国候補として一つ以上特定することとしている。
【0008】
これにより、周波数帯とステップ周波数とから国毎のFM放送の許容周波数を得ることができる。
また、FM放送を受信して再生出力するFM放送再生手段を、さらに備え、前記FM周波数リストは、さらに、国毎に、前記FM放送受信手段による再生出力を補正するための補正情報を記載し、前記FM周波数リストにおいて、前記国設定手段により設定された国の前記補正情報に基づいて前記FM放送再生手段に対し再生出力の補正を行なわせるFM補正手段をさらに備えることとしている。
【0009】
これにより、国に準じてFM放送の再生出力を補正するので、ユーザは国による再生出力の補正をする必要がない。
また、前記補正情報は変調度であり、前記再生出力の補正は前記変調度に基づく音量の補正であることとしている。
これにより、ユーザは国による音量調整をする必要がない。
【0010】
上記課題を解決するために本発明の携帯電話機の方法は、国内外のFM放送の受信機能を有する携帯電話機の現在位置する国の候補を特定する国候補特定方法であって、世界の国々について、各国の識別名と、当該国においてFM放送の許容周波数を示す許容周波数情報とを対応付けて記載したFM周波数情報を記憶領域に記録する記録ステップと、前記FM周波数情報に記載されたすべての国の許容周波数情報に基づいて選局を順次行う選局ステップと、選局された周波数のうち電波強度が第1の基準値以上であるすべての周波数が、前記許容周波数情報にて示される許容周波数に該当する国を自機の現在位置する国候補として一つ以上特定する国候補特定ステップとを備えることとしている。
【0011】
上記方法により、FM放送電波の許容周波数の国単位での情報を利用し、FM放送の現在の受信状況から、携帯電話機自身が現在位置する国の候補を絞り込むことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明に係る携帯電話機の一実施の形態について図面を用いて説明する。
(一実施の形態)
図1は、本実施の形態の携帯電話機の機能の構成を示す図である。
携帯電話機は、アンテナ105、通信部110、イヤホン(FMアンテナ)115、FMチューナ120、FM音量制御部125、音声処理部130、操作部150、表示部160、記憶部170、制御部180から構成される。
【0013】
アンテナ105は、不図示の通信基地局から通話を含む各種の通信データの信号で変調された高周波を受け取り、通信部110に伝達する。また、逆に通信部110から伝達された各種の通信データ等の信号で変調された高周波を通信基地局に送る。
通信部110は、アンテナ105から受け取った高周波の変調信号を、通話相手の声等のベースバンド信号に復調し、音声は音声処理部120に出力する。また逆に、当電話機の話者の音声等の変調信号により高周波を変調し、変調された高周波をアンテナ105に伝達する。
【0014】
通信部110は、また、通信事業者が管轄する基地局から発信されていて、制御部180の国設定部185から指示された通信周波数の電波をサーチ(探索)する。そして、その周波数の電界強度を電波強度とみなして検出する。検出した電界強度が所定の基準値(第2の基準値)以上であるか否かチェックし、基準値以上であれば電波強度が良好と判断し、基準値未満であれば電波強度が不良と判断し、判断結果を国設定部185に伝達する。電界強度が良好であるとき、通信事業者から発信されている報知のための制御情報(以下「SYNC情報」という)を受信し、国設定部185に伝達する。ここで、上記の電界強度の基準値を、たとえば―100dBmとする。
【0015】
イヤホン(FMアンテナ)115は、音声処理部130から伝達された音声の出力を行なう。また、FM放送用アンテナの機能も兼ね、FM放送の放送波を受信し、FMチューナ120に伝達する。
FMチューナ120は、イヤホン(FMアンテナ)115が受信した放送波のうち、制御部180の選局指示部182から指示された周波数の放送波を選局、検波し、検波された信号である音声信号をFM音量制御部125に伝達する。また、指示された周波数の放送波の電波強度を検出し、検出結果を選局指示部182に伝達する。ここで、周波数の代わりにチャネル番号であってもよい。
【0016】
音量制御部125は、FMチューナ120から伝達された音声信号を出力補正の指示情報に基づいて増幅して、音声処理部130に出力する。FM音量制御部125は、制御部180のFM補正部186から、出力補正の指示情報として音量の補正係数を受け取る。そして、再生出力する音量を20xlog(補正係数)dB増幅して音声処理部130に伝達する。
音声処理部130は、不図示のマイクを通じて当携帯電話機の話者の音声を受け取り、通信部110に伝達する。また、通信部110から伝達された通話の音声信号、あるいはFM音量制御部125から伝達された音声信号を受け取り、イヤホン(FMアンテナ)115あるいは不図示のスピーカを通じて音声出力する。
【0017】
操作部150は、ユーザによる操作を受付ける不図示の各種キーからなり、通話、メールの送受信等の各種通信のための操作、およびFM受信のための操作に使用される。
表示部160は、例えば液晶パネルで実現され、制御部180による国の設定の通知などの表示に使用される。
記憶部170は、RAM(Random Access Memory)およびROM(Read Only Memory)で実現され、FM周波数リスト、通信事業者リストを記憶している。
【0018】
図3は、国別FM周波数リスト301の一例を示す。
FM周波数リスト301には、国名311、当該国で許容されている周波数帯312とステップ周波数313、変調度314、補正係数315の項目が記載されている。
国名311は、国を識別する記号であり、数字等の符号であっても良い。周波数帯は最低周波数と最高周波数との数値情報であり、当該国でFM放送するとき、放送が認可される可能性のある周波数を意味する許容周波数は、ここで示される最低周波数と最高周波数とで示される範囲になければならない。
【0019】
ステップ周波数313は、上記の放送周波数のステップ値(刻み値)であり、許容周波数は、最低周波数にステップ周波数の非負の整数倍を加えた数値、つまり最低周波数からのステップ周波数毎の周波数でなければならない。
変調度314は、音の強度を周波数変調するときの値であり、最大75KHzと40KHzのいずれかとなる。
【0020】
図4は、変調度と音の強度の関係を示す図である。
図4(a)は、FM放送の搬送波(周波数fc)にたいして変調度が75KHzのとき、ある音を示す周波数411の変化が、図4(b)の音の強度412の変化に対応していることを示している。周波数411が最大421のとき、音の強度412も最大422となる。
ここで、変調度が45KHzのときは、周波数411はfc+45KHzの周波数値431が最大となり、そのため音の強度も強度432が最大となる。したがって、例えば変調度が75KHzを基準として音量設定がされているとき、変調度が40KHzの国に移動したときは、ユーザによる音量設定の操作を不要とするためには、音量レベルを補正(この場合は増幅)して出力する必要がある。補正係数315は、その増幅のための係数である。なお、上記の補正係数は、変調度が40KHzを基準とした値でもよい。
【0021】
図5は、通信事業者リスト501の一例を示す図である。
国別通信事業者リスト501には、国名511、当該国の通信事業者名512、当該通信事業者に割り当てられている通信サービスのための通信周波数514(単位MHz)の項目が記載されている。
国名511は、図3の国名と同様である。通信事業者名512は通信事業者を識別する記号であり、後述のSIDを記載している。なお、通信事業者は必ずしも契約事業者の提携先とは限られず、通信事業者名512に割り当てられる通信周波数514は複数の場合もある。また、通信事業者名512と通信周波数514との組は、ユニーク(一意的)であり、通信事業者名512と通信周波数514とが決まれば、一つの国が特定できる。
【0022】
制御部180は、通信の制御、FM放送受信の制御および国の設定の各処理を行なう。
制御部180は、操作部150からユーザ操作の情報を受け取り、通信部110を制御して通信の処理を行い、表示部FMチューナ120、FM音量制御部125を制御してFM放送受信の処理を行なう。
制御部180は、また、携帯電話機が現在位置する国を特定し、特定された国を現在位置する国として設定する。現在位置する国の特定を行うために、制御部180は、図2に示すように、国候補特定部181、選局指示部182、国設定部185、FM補正部186を有している。上記の各構成部を次に説明する。
【0023】
国候補特定部181は、携帯電話機の現在位置している国の候補を特定する。国候補特定部181は、携帯電話機が通信する基地局の圏外に一定時間、たとえば1分いると国候補の特定の処理を開始する。
国候補特定部181は、記憶部170から図3のFM周波数リスト301を読み込み、すべての国の各周波数帯312とステップ周波数とから得られる許容周波数をすべて算出する。
【0024】
ある国の周波数帯がf1〜f2(MHz)、ステップ周波数がS(MHz)、nを非負の整数(0,1,2,3・・・)とすると、許容周波数fは、
f=f1+nxS ただしf≦f2
で得られる。
例えば、英国は、f=87.5+nx0.05 ただしf≦108.0
で得られる。周波数帯とステップ周波数とが同じ国々については、一度算出するだけでよい。たとえば、仏、独の各国も英国と同じ値が得られるので、英国を算出すれば、これらの国については算出不要である。周波数帯とステップ周波数が異なる国について、許容周波数をすべて算出し、算出した許容周波数の和集合をとって、周波数値が重複のないようにする。なお、上記のようにして得られた世界の許容周波数を予め算出し、記憶部170に世界の許容周波数の情報として記憶しておき、必要なときに読み出すようにしてもよい。
【0025】
国候補特定部181は、上記のようにして得られた許容周波数値の若い順(または大きい順)に当該周波数値のFM放送波の選局を行なう。
国候補特定部181は、許容周波数の若い順に、当該許容周波数を選局指示部182に指示して受信させるようにし、その応答として、選局指示部182から当該許容周波数の電波強度が良好か否かの情報を受け取る。良好のとき、当該許容周波数を受信良好周波数として良好選局情報に記載し、さらに当該受信良好周波数を許容周波数としている国に該当するか否かをチェックし、チェック結果をマークする。ここで、当該許容周波数を許容周波数としているとは、当該国の周波数帯とステップ周波数とで決まる許容周波数のいずれかに合致することをいう。
【0026】
図6は、良好選局情報の一例を示す図である。良好選局情報601では、87.8MHzをはじめ3つの許容周波数の電波強度が良好であったことを示している。〇と×とは、各許容周波数が、当該国の許容周波数に該当していることを示す該当マークと、いないことを示す非該当マークとを示す。
国候補特定部181は、以上のようにして得られた良好選局情報601において、電波強度が良好な周波数のすべてが該当する国を、携帯電話機が現在位置する国の候補として特定(以下「国候補の特定」という)する。国候補特定部181は、国候補の特定後、国設定部185を起動し、国設定の処理を行なわせる。
【0027】
選局指示部182は、国候補特定部181から、選局する周波数の指示を受け取り、FMチューナ120に対して当該周波数での選局を指示する。また、FMチューナから当該周波数の電界強度を電波強度とみなして受け取る。受け取った電界強度が所定の基準値(第1の基準値)以上であれば電波強度が良好と判断して、基準値未満であれば電波強度が不良と判断し、判断結果を国候補特定部181に伝達する。ここで、上記の電界強度の基準値を、たとえばー74dBmとする。
【0028】
国設定部185は、国候補特定部181により特定された国候補から、携帯電話機の現在位置する国を特定し、その国を現在位置の国として設定する。国候補特定部181により特定された国候補が一つのときは、その国を現在の国として設定する。また、国候補が複数のときは、さらに、一国に特定するために、通信周波数のサーチを次のように行なう。
【0029】
国設定部185は、記憶部170の通信事業者リスト501を読み込み、国候補にあげられた複数の国について、通信事業者リスト501の先頭から順に、さらに当該国の通信事業者名512(SIDであり後述)を先頭から順に、当該通信事業者に割当てられた通信周波数514の周波数で基地局からの通信電波をサーチするように通信部110に指示する。
【0030】
そして、通信部110から、当該サーチの結果が良好か否かの結果を受け取り、良好のときはさらにSYNC情報も受け取る。このSYNC情報には、SID(System ID)と呼ばれる情報が含まれ、SIDにより通信事業者を特定することができる。以降では、このSIDを以って、通信事業者名とみなす。国設定部185は、SYNC情報を受け取ったとき、SYNC情報に含まれているSIDの通信事業者名が、サーチした当該周波数の通信事業者名512と一致するか否かチェックし、一致すればサーチ中の当該国を携帯電話機の現在位置の国として特定し、当該国を現在の国として設定し、国設定した旨の表示を表示部160に行なう。そして、FM補正部186に対して、当該国におけるFM出力の補正を行なわせる。
【0031】
FM補正部186は、国設定部185からの指示で、国設定部185が設定した国に準じたFM出力補正の処理を行なう。FM補正部186は、FM周波数リスト301から国設定部185が設定した国の補正係数315を読みだし、その補正係数315をFM音量制御部125に渡して、FM放送の出力補正を行わせる。
図7は国候補特定の動作を、また、図8は国設定の動作をそれぞれ示すフローチャートである。これらの図を用いて、各動作について説明する。
【0032】
国候補特定の動作は、まず、携帯電話機が通信する基地局の圏外に一定時間以上、たとえば1分以上いると判断すると(図7のS10)、開始される。
国候補特定部181は、記憶部170から図3のFM周波数リスト301を読み込み(S20)、各国の周波数帯312とステップ周波数とから得られる許容周波数をすべて算出し、算出した許容周波数全部の和集合をとって、周波数値が重複のないようにする(S25)。そして、こうして得られた周波数について、順次選局していく。
【0033】
国候補特定部181は、許容周波数の若い順に(S30)、選局指示部182に対して当該許容周波数で選局するように指示する(S40)、選局指示部182は、当該周波数で選局し、その周波数の電界強度を検出する(S50)。当該電界強度が良好か否かを所定の基準値により判断し(S60)、国候補特定部181に伝達する。良好と判断されたとき、国候補特定部181は、電波強度が良好とみなし、当該許容周波数を良好選局情報601に記載し、さらに、当該許容周波数が許容周波数に該当している国に該当マークを、該当していない国に非該当マークを記載する。そして、良好選局情報601に記載されたすべての良好な周波数がすべて該当する国(国候補)を検索し(S70)、その数をチェックする(S75)。該当する国の数が一つのとき、処理が途中であっても終了する。該当する国の数が複数なら、次の許容周波数の選局処理に移る。
【0034】
国候補特定の動作が終了すると、国設定の動作が開始される。
国設定部185は、国候補特定部181により起動され、国候補特定部181により特定された国候補が複数か否かをチェックし(図8のS100)、複数でないとき、つまり一つのとき、その国候補を携帯電話機が現在位置する国として携帯電話機の国設定を行う(S160)。さらに、国設定した旨の表示を表示部160に行なうとともに、FM補正部186に対して、当該国に準じたFM出力補正を行うように指示してから(S170)、国設定の処理を終了する。
【0035】
国候補が複数のとき、図5の通信事業者リスト501を読み込み(S105)、国候補にあげられた複数の国について、通信事業者リスト501の先頭側から順に(S110)、さらに当該国の通信事業者名512で示される通信事業者から順に(S120)、当該通信事業者に割当てられた通信周波数514の周波数で基地局からの通信電波をサーチするように通信部110に指示する(S130)。
【0036】
通信部110は、指示された周波数の電界強度を検出する(S140)。検出した電界強度が所定の基準値以上であるか否かチェックし(S150)、基準値以上であれば電波強度が良好と、また基準値未満であれば電波強度が不良と判断し、判断結果を国設定部185に伝達する。
さらに、電界強度が良好であるとき、通信事業者から発信されているSYNC情報を受信し、国設定部185に伝達する。
【0037】
国設定部185は、通信部110からサーチの結果が良好か否かの結果を受け取り、良好のときはさらにSYNC情報も受け取る。
国設定部185は、SYNC情報を受け取ったとき、当該SYNC情報に含まれているSID(通信事業者名)が、サーチした当該通信周波数514の通信事業者名512と一致するか否かチェックし(S155)、一致している場合は、当該候補国を現在位置する国として国設定するためS160の処理に移行する。
なお、当該通信事業者に割当てられた周波数が複数ある場合、順次サーチ処理を同様に行なう。
【0038】
以上、本発明を上記の実施の形態に基づいて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのは勿論である。以下のような場合も本発明に含まれる。
本発明は、実施の形態では、携帯電話機として説明したが、通信機能とFM放送受信機能を有する携帯端末、例えばPDA(Personal Data Assistant)に適用してもよいのは勿論である。
【0039】
また、電波の強度として電界強度を用いたが、これに限られないのは勿論であり、また電波強度が良好かどうかの判断基準となる電界強度の基準値が可変であるのは勿論である。
本発明は、実施の形態では、FM放送受信により国候補を特定し、特定された国候補の国について、通信事業者リストをもとに通信周波数をサーチして国を特定するとしたが、これを、国候補の特定をしないで、はじめから、通信事業者リストをもとに、先頭の国から順に、各通信事業者の通信周波数を順にサーチして、一つの国の特定を行なうようにしてもよいのは勿論である。
【0040】
また、実施の形態では、FM放送の許容周波数の情報として、国別の周波数帯とステップ周波数としたが、一つ以上の特定の周波数の情報としてもよく、また、国別の代わりに、近隣の国々で同一の許容周波数を有するものを地域(たとえば西欧地域)としてとらえ、国候補の特定に代えて地域の特定とするようにしてもよい。
また、受信により国候補を特定し、特定された国候補の国について、通信事業者リストをもとに通信周波数をサーチして国を特定するとしたが、これを、国候補の特定をしないで、はじめから、通信事業者リストをもとに、先頭の国から順に、各通信事業者の通信周波数を順にサーチして、一つの国の特定を行なうようにしてもよい。
【0041】
本発明の方法を、コンピュータシステムを用いて実現するためのコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記プログラムを表すデジタル信号であるとしてもよい。
また、本発明は、前記プログラム又は前記デジタル信号を記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体、例えば半導体メモリ等であるとしてもよい。
また、本発明は、電気通信回線、無線又は有線通信回線、若しくはインターネットに代表されるネットワーク等を経由して伝送される前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号であるとしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明に係る携帯電話機は、海外での国際ローミングサービスの利用で活用される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る携帯端末の携帯電話機の一実施の形態の構成図である。
【図2】上記実施の形態の携帯電話機がFM放送波および基地局電波を受信する様子を示す図である。
【図3】上記実施の形態の国別FM周波数の例を示す図である。
【図4】上記実施の形態のFM周波数の変調度と音の強さの関係を示す図である。
【図5】上記実施の形態の通信事業者リストの一例を示す図である。
【図6】上記実施の形態のFM放送の受信良好周波数と、当該周波数が該当する許容される国の一例を示す図である。
【図7】上記実施の形態の国候補特定の動作を示すフローチャートである。
【図8】上記実施の形態の国設定の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0044】
105 アンテナ
110 通信部
115 イヤホン(FMアンテナ)
120 FMチューナ
125 FM音量制御部
130 音声処理部
150 操作部
160 表示部
170 記憶部
180 制御部
181 国候補特定部
182 選局指示部
185 国設定部
186 FM補正部
210 FM放送局
211 通信基地局
301 FM周波数リスト
501 通信事業者リスト
601 良好選局情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
国内外のFM放送の受信機能を有する携帯電話機であって、
世界の国々について、各国の識別名と、当該国においてFM放送の許容周波数を示す許容周波数情報とを対応付けて記載したFM周波数情報を記憶する記憶手段と、
前記FM周波数情報に記載されたすべての国の許容周波数情報に基づいて選局を順次行う選局手段と、
選局された周波数のうち電波強度が第1の基準値以上であるすべての周波数が、前記許容周波数情報にて示される許容周波数に該当する国を自機の現在位置する国候補として一つ以上特定する国候補特定手段とを備えることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記記憶手段は、さらに、
前記各国の識別名と、当該国での携帯電話サービスの通信事業者の識別名と、当該通信事業者の通信周波数の情報とを対応付けた通信事業者リストを記憶し、
指定された通信周波数の電波をサーチするサーチ手段と、
前記国候補特定手段にて特定された国候補が一つの場合、当該国候補を現在位置する国として設定し、
前記候補特定手段により特定された国候補が複数の場合、当該複数の各国候補毎に、当該国候補の前記通信事業者の通信周波数の電波を前記サーチ手段にサーチさせ、当該通信周波数の電波強度が第2の基準値以上である場合、当該通信周波数に対応付けられた通信事業者の識別名が当該通信周波数で送信されている報知のための制御情報に含まれている通信事業者の識別名に該当するとき、当該国候補を現在位置する国として設定する国設定手段とをさらに備えることを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記許容周波数の情報は、FM放送の周波数帯とステップ周波数とを国別に記載した情報であり、
当該国での許容周波数は、前記周波数帯の最低周波数にステップ周波数の非負整数倍を加えた周波数のうち前記周波数帯の最高周波数以下の周波数であり、
前記選局手段は、前記FM周波数情報に記載されたすべての国の許容周波数を重複しないようにして選局を順次行い、
前記国候補特定手段は、電波強度が第1の基準値以上である周波数のいずれもが、前記許容周波数に該当する国を国候補として一つ以上特定することを特徴とする請求項1記載の携帯電話機
【請求項4】
FM放送を受信して再生出力するFM放送再生手段を、さらに備え、
前記FM周波数リストは、さらに、
国毎に、前記FM放送受信手段による再生出力を補正するための補正情報を記載し、
前記FM周波数リストにおいて、前記国設定手段により設定された国の前記補正情報に基づいて前記FM放送再生手段に対し再生出力の補正を行なわせるFM補正手段をさらに備えることを特徴とする請求項2記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記補正情報は変調度であり、
前記再生出力の補正は前記変調度に基づく音量の補正であることを特徴とする請求項4記載の携帯電話機。
【請求項6】
国内外のFM放送の受信機能を有する携帯電話機の現在位置する国の候補を特定する国候補特定方法であって、
世界の国々について、各国の識別名と、当該国においてFM放送の許容周波数を示す許容周波数情報とを対応付けて記載したFM周波数情報を記憶領域に記録する記録ステップと、
前記FM周波数情報に記載されたすべての国の許容周波数情報に基づいて選局を順次行う選局ステップと、
選局された周波数のうち電波強度が第1の基準値以上であるすべての周波数が、前記許容周波数情報にて示される許容周波数に該当する国を自機の現在位置する国候補として一つ以上特定する国候補特定ステップとを備えることを特徴とする携帯電話機の国候補特定方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−20256(P2006−20256A)
【公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−198615(P2004−198615)
【出願日】平成16年7月5日(2004.7.5)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】