摩擦点接合装置
【課題】 複数の被接合材を摩擦点接合により接合する際に、回転ツールの被接合材への押し込み量のばらつきを抑制し、接合品質をより安定化させることができる摩擦点接合装置を提供する。
【解決手段】 複数の被接合材を重ね合わせ、回転ツールを回転させながら前記回転ツールの先端部を前記被接合材の一方向側から押し込み、この回転ツールの押し込みによって発生した摩擦熱で前記被接合材を軟化せしめて塑性流動させることにより、前記複数の被接合材を接合する摩擦点接合装置が、前記回転ツールと同軸状に回動可能に配置され、且つ、前記回転ツールの軸方向に固定され、前記回転ツールの先端部を前記被接合材に押し込む際に、それらの接合部近傍の被接合材表面に当接して前記回転ツールの先端部の前記被接合材への押し込み量を規制する規制部材、を備えたことを特徴とする。
【解決手段】 複数の被接合材を重ね合わせ、回転ツールを回転させながら前記回転ツールの先端部を前記被接合材の一方向側から押し込み、この回転ツールの押し込みによって発生した摩擦熱で前記被接合材を軟化せしめて塑性流動させることにより、前記複数の被接合材を接合する摩擦点接合装置が、前記回転ツールと同軸状に回動可能に配置され、且つ、前記回転ツールの軸方向に固定され、前記回転ツールの先端部を前記被接合材に押し込む際に、それらの接合部近傍の被接合材表面に当接して前記回転ツールの先端部の前記被接合材への押し込み量を規制する規制部材、を備えたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の金属板材の点接合に適用し得る摩擦点接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2枚の金属板材を点接合する方法として、アルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)或いはその合金等の軽金属を対象に、重ね合わせた2枚の金属板材の一方側からピン部を有する回転ツールを回転させながら押し込み、この回転ツールの押し込みによって発生した摩擦熱で金属板材を軟化せしめ塑性流動させることにより、両金属板材どうしを接合する摩擦点接合方法が知られている。また、かかる摩擦点接合法を適用して、鋼板とアルミニウム合金板などの異種金属板材どうしを接合する方法も知られている。
【0003】
上記のように2枚の金属板材を重ね合わせて摩擦点接合で接合する場合には、回転ツールのピン部の先端が両金属板材の接合部の界面近くに至るまで回転ツールを押し込むことが好ましいのであるが、ピン部の先端が受け具側の金属板材の表面にまで達し、押し込み側の金属板材に貫通孔があいてしまうと、その貫通孔部分に水など溜まり易いこともあり、その部分から腐食が生じるという問題がある。
【0004】
特に、回転ツールが押し込まれる金属板材の板厚が薄い場合には、回転ツールの最大押し込み深さを受け具側の金属板材の表面近傍で制御することは、実際上難しい。このため、押し込み深さが不足して所要の接合強度が得られないか、或いは、押し込み深さが過剰となって押し込み側の金属板材に貫通孔があいてしまい、耐食性が損なわれる場合が生じるという問題がある。このように、回転ツールの押し込み量の精度を良好に確保することは、安定した接合品質を得る上で非常に重要である。
【0005】
尚、回転ツールの押し込み量の精度確保に直接に関連したものではないが、例えば、特許文献1では、被接合物の接合点近傍を押圧する押圧手段を用いて、2枚の被接合物の間に隙間がある場合であっても前記押圧手段で押圧することによって接合点での隙間をなくすようにすることが開示されている。
【特許文献1】特開2002−120076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、摩擦点接合で接合される板厚には限りがあり、その板厚の範囲内で回転ツールの押し込み量を精度よく確保することはなかなかに難しい。また、摩擦点接合は一般にかなり短時間に行われることもあり、上記回転ツールの被接合材への押し込み量のばらつきを制御することは一般に困難である。例えば、自動車の車体部材の接合にこの摩擦点接合を適用する場合、ロボット装置の接合ガンを使用して接合が行われることが多いが、ロボット装置による位置制御では、回転ツールの被接合材への押し込み量の精度を良好に確保することは一般に難しい。この押し込み量にばらつきが生じると、前述のように、接合強度の不足や貫通孔があいてしまうなど、安定した接合品質が得られなくなる。
【0007】
本発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、複数の被接合材を摩擦点接合により接合する際に、回転ツールの被接合材への押し込み量のばらつきを抑制し、接合品質をより安定化させることができる摩擦点接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本願の請求項1に係る発明は、複数の被接合材を重ね合わせ、回転ツールを回転させながら前記回転ツールの先端部を前記被接合材の一方向側から押し込み、この回転ツールの押し込みによって発生した摩擦熱で前記被接合材を軟化せしめて塑性流動させることにより、前記複数の被接合材を接合する摩擦点接合装置において、前記回転ツールと同軸状に回動可能に配置され、且つ、前記回転ツールの軸方向に固定された規制部材であり、前記回転ツールの先端部を前記被接合材に押し込む際に、前記回転ツールと前記被接合材との接合部近傍の被接合材表面に当接して前記回転ツールの先端部の前記被接合材への押し込み量を規制する規制部材を備えたことを特徴としたものである。
【0009】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記規制部材が、前記回転ツールに軸受を介して装着された筒状体と、前記筒状体に固定され、前記回転ツールの先端部を前記被接合材に押し込む際に、前記接合部近傍の前記被接合材表面に当接する当接部材と、を有することを特徴としたものである。
【0010】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記当接部材が、前記筒状体に対して着脱可能であり、前記回転ツールの先端部の前記被接合材への押し込み量に対応した当接部材が前記筒状体に組み付けられることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本願の請求項1の発明によれば、複数の被接合材を点接合する摩擦点接合装置が、回転ツールの先端部を上記被接合材に押し込む際に、上記回転ツールと上記被接合材との接合部近傍の被接合材表面に当接して上記回転ツールの先端部の上記被接合材への押し込み量を規制する規制部材を備えているので、上記回転ツールの先端部が上記被接合材に押し込まれる量を一定にすることができ、接合品質を安定化させることができる。
【0012】
また、本願の請求項2の発明によれば、上記請求項1と同様の効果を得ることができる。特に、規制部材が、回転ツールに軸受を介して装着された筒状体と、上記筒状体に固定され、上記回転ツールの先端部を上記被接合材に押し込む際に、上記接合部近傍の上記被接合材表面に当接する当接部材と、により別体で構成されているので、上記回転ツールの被接合材への押し込み量が変更される場合には、上記当接部材のみを交換することにより対応することができる。また、被接合材の厚さが異なる場合にも当接部材を交換することにより容易に対応することができる。
【0013】
また、本願の請求項3の発明によれば、上記請求項1又は2と同様の効果を得ることができる。特に、当接部材が、筒状体に対して着脱可能であり、回転ツールの先端部の被接合材への押し込み量に対応した当接部材が上記筒状体に組み付けられているので、上記回転ツールの被接合材への押し込み量が変更される場合には、上記当接部材を容易に交換することができる。また、被接合材の厚さが異なる場合にも当接部材を交換することにより容易に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0015】
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る接合装置の構成を概略的に示す説明図である。この接合装置は、例えば自動車の車体等に用いられるアルミニウム合金板と鋼板とを重ね合わせた状態で点接合する接合工程などで用いることができる。上記接合装置は、接合ガン1と、該接合ガン1がその手首に取り付けられているロボット2と、それらを制御する制御盤3と、を備えている。
【0016】
上記ロボット2としては、例えば汎用の6軸垂直多関節型ロボットが用いられる。このロボット2は、接合ガン1を、例えば上記アルミニウム合金板と上記鋼板との接合の接合位置に位置付ける機能を有している。
【0017】
また、上記制御盤3は、図1に示されるように、上記ロボット2にハーネス31を介して接続されると共に、上記接合ガン1に、ハーネス33、中継ボックス34、ハーネス32を介して接続されている。この制御盤3は、ロボット2の6軸と、接合ガン1における回転軸モータ11及び加圧軸モータ12の2軸の合計8軸を同期制御するように構成されている。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係る接合ガン1の構成を概略的に示す説明図である。この図に示すように、上記接合ガン1は、接合用の工具として回転ツール組立体4と受け具5とを備えている。
【0019】
上記回転ツール組立体4は、その回転中心軸が接合ガン1の接合軸Xと一致するように配設されており、ガン本体1に固定された加圧軸モータ12により上記接合軸Xに沿って昇降させられ、且つ、回転軸モータ11により接合軸Xと一致した中心軸回りに回転させられるようになっている。上記回転軸モータ11としては、例えばインダクションモータやサーボモータを好適に用いることができ、また、加圧軸モータ12としては、例えばサーボモータを好適に用いることができる。
【0020】
上記受け具5は、回転ツール組立体4に対向して配置されるもので、この配置状態は、ガン本体1の下部に位置する略L字形状のアーム13の先端に受け具5を取り付けることにより保持されている。この受け具5及び上記回転ツール組立体4は共に、接合ガン1に対して着脱することができるように取り付けられている。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係る回転ツール組立体4の断面図である。図3に示されるように、上記回転ツール組立体4は、回転ツール7と規制部材8とを有する。更に、上記規制部材8は、筒状体9と当接部材10とを有している。
【0022】
上記筒状体9は、後述するように略円筒形に形成されており、上記筒状体9には、軸受16、17とカラー23、24とが止め輪6により固定されて組み込まれている。また、上記筒状体9には、スリーブ14、軸受15が取り付けられており、上記軸受15には、オイルシール20及びスプリング21が備えられている。
図に示されるように、この筒状体9が上記回転ツール7に嵌め込まれ、上記筒状体9に固定された軸受17に回転ツール7を介してナット22を締め付けることにより上記筒状体が上記回転ツールに取り付けられる。
上記当接部材10は、後述するようにその先端部と反対側の端部が略円筒形に形成されており、上記筒状体9の下部の外周面9bに上記当接部材10の上記端部の内周面10cを嵌め込み、止めねじ18とナット19とを用いて上記筒状体9に着脱可能に組み付けて固定される。
【0023】
このようにして、上記筒状体9は、上記回転ツール7と同軸状に回動可能に配置され、且つ、上記回転ツール7の軸方向に固定される。また、上記規制部材8は、回転ツール7の先端部を重ね合わせられた複数の被接合材に押し込む際に、上記当接部材10を上記回転ツール7と上記被接合材との接合部近傍の上記被接合材表面に当接させて、上記回転ツール7の先端部の上記被接合材への押し込み量を規制することができる。
【0024】
上記回転ツール組立体4の回転ツール7、筒状体9及び当接部材10がそれぞれ図4〜10に示されている。
図4は上記回転ツール7の正面図であり、図5は図4に示した上記回転ツール7の平面図である。図4及び5に示されるように、上記回転ツール7は、その先端部に、被接合材に押し込まれるピン部7a及びショルダ部7bを有している。
上記回転ツール7はまた、雌ネジ部7cを有しており、上記のように上記筒状体が上記回転ツール7に嵌め込まれ、上記筒状体に固定された軸受に対して上記雌ネジ部7cを介してナットを締め付けることにより上記筒状体が上記回転ツールに取り付けられて、上記規制部材の筒状体が上記回転ツールの軸方向に固定される。更に、上記回転ツール7は、取付フランジ部7dを有しており、この取付フランジ部7dを用いて回転軸モータ11及び加圧軸モータ12による昇降動駆動及び回転駆動が伝達される。なお、図に示されるように、上記回転ツール7の各部分は、略円柱状に形成されている。
【0025】
図6は、上記筒状体9の平面図であり、図7は図6に示した上記筒状体9のA―A線に沿った断面図、図8は図7に示した上記筒状体9を下方から見た底面図である。図6〜8に示されるように、上記筒状体9は略円筒形状に形成されており、その内部に上記軸受が組み込まれる。
また、上記筒状体9の外周部には、略円錐状に形成された切欠き部9aが形成されている。この切欠き部9aを用いて、上記当接部材が上記筒状体9に固定される。
【0026】
図9は、上記当接部材の断面図であり、図10は図9に示した上記当接部材の平面図である。図9及び10に示されるように、当接部材10の先端部10aは、上記回転ツールの先端部を被接合材に押圧させる際に、それらの接合部近傍の上記被接合材表面に当接するために平面状に形成されている。
また、上記当接部材10には、雌ねじ部10bが設けられており、当接部材10は雌ねじ部10bに対して止めねじを締め付けることによって上記筒状体に固定される。更に、上記当接部材10は先端部と反対側の端部が略円筒形に形成され、その外径寸法が先端部より大きいテーパ状に形成されるので、被接合材の接合作業時及びロボットによる移動時などに他の部品等に干渉することが抑制される。
【0027】
図11は、上記回転ツール組立体4の先端部を拡大して模式的に示した説明図である。図に示されるように上記回転ツール7は、略円柱状のショルダ部7bと、該ショルダ部7bの先端部における中心から突出する円柱状のピン部7aとを備えている。このピン部7aの回転中心軸はショルダ部7bの回転中心軸と一致しており、両中心軸は接合ガン1の接合軸Xと一致するものである。つまり、上記ピン部7aは、回転ツール7のセンタリング機能を有しているといえる。
【0028】
図11では、図に示されるように、上記当接部材10に対して上記回転ツール7のピン部7a及びショルダ部7bが突出した状態で位置付けられている。それにより、上記回転ツール7の先端部を重ね合わせられた複数の被接合材に押し込む際に、上記回転ツール7の先端部の上記被接合材への押し込み量を規制することができる。この突出した位置については、上記当接部材10を交換することにより変更することができる。
【0029】
また、ショルダ部7bの先端面には、径方向における内方に向かって深くなる凹部7eが形成されている。ショルダ部7bの先端側にこのような凹部7eを設けたことにより、回転ツール7を被接合材に押し込んだ際に、回転ツール7の回転による摩擦熱で軟化し塑性流動する被接合材の材料が外周側に流動して逃げることを抑制し、回転ツール7の加圧力を被接合材に対してより有効に作用させることができる。
【0030】
上記回転ツールの別の態様が図12及び13に示されている。図12では、回転ツール27のショルダ部27bが、略円柱状に形成され、その先端が中央を膨らませた曲面形状に形成されたものである。図13では、回転ツール37のショルダ部37bが、図12に示したショルダ部27bの中心にピン部37aが形成されたものである。これらの回転ツール27,37が、上記回転ツール7の代わりに使用されてもよい。
【実施例1】
【0031】
以下、本実施形態に係る装置を用いた摩擦点接合の第1の実施例について説明する。
図14は、本発明の第1の実施例の接合用工具及び被接合材を模式的に示した説明図である。上記回転ツールとしては、ショルダ部47bがテーパ状に形成された凹部47eを有する回転ツール47が使用されており、図11に示された上記回転ツールの凹部7eと同様の機能を有する。
【0032】
本実施例では、被接合材Wとして異種金属である金属板材が用いられ、アルミニウム合金板W1と鋼板W2とが接合される。特に、鋼板W2の接合側の表面には、防食性の金属メッキとして亜鉛メッキが施されている。従って、アルミニウム合金板W1の母相と鋼板W2の母相の間には亜鉛メッキ層25が介在することになる。
【0033】
図に示されるように、回転ツール47のピン部47a及びショルダ部47bが、当接部材50に対して突出した状態で位置付けられている。上記回転ツール47に対向して受け具45が配置されている。
【0034】
図15〜19は、図14の状態から引き続いて行われる一連の接合工程を示す部分断面説明図である。
まず、図14に示された状態から、図15に示すように、受け具45の受承面45aで鋼板W2及びアルミニウム合金板W1を順に受承させるとともに、回転ツール47を回転させながらアルミニウム合金板W1側に(つまり、加圧方向に)前進させる。図15に示すように、回転ツール47のピン部47aがアルミニウム合金板W1の表面に当接し、その押し込みが開始されることにより、ピン部47aの先端を中心にした一定範囲の領域26が、ピン部47aの回転による摩擦熱の作用で軟化し始める。なお、当接部材50は、回転ツール47の回転により回転するとともに、アルミニウム合金板W1側に移動させられる。
【0035】
図15の状態から回転ツール47がアルミニウム合金板W1内への押し込みが始まると、図16に示すように、ショルダ部47bの先端の外周部でアルミニウム合金板W1が表面側から剪断され、また、摩擦熱の作用による軟化の領域(図15参照)が更に広がるとともに温度も上昇し、亜鉛メッキ層25の拡散が始まり、また、摩擦熱で軟化したアルミニウム合金板W1の材料が塑性流動し始める。なお、当接部材50は、回転ツール47の回転により回転するととともに、アルミニウム合金板W1側に更に移動させられる。
【0036】
上記当接部材50は、回転ツール47とアルミニウム合金板W1との接合部近傍に位置付けられるが、上記ショルダ部47bにより剪断され、アルミニウム合金板W1上に押し出された材料に干渉しないように配置されている。
【0037】
尚、アルミニウム合金板W1の表面には、通常雰囲気下で生成されるアルミニウム酸化物(Al2O3)の被膜が一般に形成されるが、このアルミニウム酸化被膜Al2O3は、比較的脆いので、アルミニウム合金板W1の材料の塑性流動によって比較的容易に細かく破壊され、アルミニウム合金板W1の表面には、新生面(酸化被膜に覆われずアルミニウム合金自体からなる面)が表れる。従って、このアルミニウム酸化被膜Al2O3が接合面に存在して接合強度に悪影響を及ぼすことはまずない。
【0038】
図16の状態から回転ツール47が更に押し込まれると、鋼板W2の表面の亜鉛メッキ層25は、その一部はアルミニウム合金板W1側に取り込まれるものの、その大部分は、図17において符号28で示すように、回転ツール47の押し込みによる加圧力と摩擦熱および塑性流動により、両金属板W1、W2の接合面の周囲に押し出される。これにより、両金属板W1、W2の母相どうしが直接に接触し、両者どうしが固相接合されて所要の接合強度を得ることができるようになる。なお、この状態では、当接部材50は、回転ツール47の回転により回転すると共に、アルミニウム合金板W1側に更に移動させられるが、アルミニウ合金板W1の表面には当接していない。
【0039】
図17の状態から回転ツール47が更に押し込まれると、図18に示すように、当接部材50がアルミニウム合金板W1表面に当接する。この当接部材50がアルミニウム合金板W1表面に当接することにより、当接部材50の回転が止められるとともに、回転ツール47の先端部のアルミニウム合金板W1への押し込みを機械的に止めることができる。
【0040】
また、図18に示されるように、亜鉛メッキ層25の接合面周囲に押し出された部分28の直ぐ内側の領域、つまり、回転ツール47のショルダ部47bの外周部に略対応する領域には、亜鉛メッキ層25が若干残存して、亜鉛−アルミニウム−鉄化合物の金属間化合物29が生成される場合があるが、アルミニウム合金板W1と鋼板W2とは、前記金属間化合物29を介して接合される。つまり、かかる金属間化合物29も、アルミニウム合金板W1と鋼板W2の固相接合に寄与するものである。
【0041】
このように、上記接合方法においては、回転ツール47の押し込みによってアルミニウム合金板W1の酸化被膜Al2O3が破壊されてアルミニウム合金の新生面が形成され、その直後に(極めて短時間内に)、回転ツール47の押し込みに基づく加圧力,摩擦熱および塑性流動によって亜鉛メッキ層25が接合面から周囲に押し出されて、アルミニウム合金板W1と鋼板W2の母相どうしが直接に接触することになる。この状態下で摩擦接合が行われることにより、その接合部に酸化被膜やメッキ層25を介在させないようにして、両者の直接的な固相接合の状態で接合することができ、その接合強度を高めることができる。
【0042】
尚、本実施形態では、接合品質を安定化させるためには、上記回転ツールのピン部の先端と両金属板W1、W2の接合部の界面との距離は、例えば0.2〜0.6mmが好ましい。
【0043】
この後、設定時間が経過すると、図19に示すように、回転ツール47と受け具45とは、両金属板W1、W2から離間させられ、次の接合処理まで離間位置で待機するようになっている。上記当接部材50も上記回転ツール47とともに離間させられる。
【0044】
以上、説明したように、本実施形態によれば、複数の被接合材を点接合する摩擦点接合装置が、回転ツールの先端部を上記被接合材に押し込む際に、上記回転ツールと上記被接合材との接合部近傍の被接合材表面に当接して上記回転ツールの先端部の上記被接合材への押し込み量を規制する規制部材を備えているので、上記回転ツールの先端部が上記被接合材に押し込まれる量を一定にすることができ、接合品質を安定化させることができる。
このように回転ツールの被接合材への押し込み量を規定することができるので、この押し込み量の精度が要求される異種材料の接合に有効に適用することができる。
【0045】
また、規制部材が、回転ツールに軸受を介して装着された筒状体と、上記筒状体に固定され、上記回転ツールの先端部を上記被接合材に押し込む際に、上記接合部近傍の上記被接合材表面に当接する当接部材と、により別体で構成されているので、上記回転ツールの被接合材への押し込み量が変更される場合には、上記当接部材のみを交換することにより対応することができる。また、被接合材の厚さが異なる場合にも当接部材を交換することにより容易に対応することができる。
【0046】
更に、当接部材が、筒状体に対して着脱可能であり、回転ツールの先端部の被接合材への押し込み量に対応した当接部材が前記筒状体に組み付けられる。これにより、上記回転ツールの被接合材への押し込み量が変更される場合にも、上記当接部材を容易に交換することにより対応することができる。また、被接合材の厚さが異なる場合にも当接部材を交換することにより容易に対応することができる。
【実施例2】
【0047】
次に、本実施形態に係る装置を用いた摩擦点接合の第2の実施例について説明する。尚、以下の説明において、上述の第1の実施例の場合と、同様の構成を備え同様の作用をなすものについては、それ以上の説明は省略する。
【0048】
第2の実施例では、被接合材として同種の金属板材が用いられ、2枚のアルミニウム合金板W11、W12が共に接合される。この実施例においても、第1の実施例における場合と同様の工程で摩擦点接合が行われる。
【0049】
図20及び21は、本発明の第2の実施例に係る摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。第2の実施例においても、第1の実施例と同様の接合工程(図14〜図16参照)が行われる。
アルミニウム合金板W11、W12を重ね合わせ、先端にピン部57aを有する回転ツール57を回転させながら前記回転ツール57の先端部をアルミニウム合金W11側から押し込み、この回転ツール57の押し込みによって発生した摩擦熱で上記アルミニウム合金板W11、W12を軟化せしめて塑性流動させる。
【0050】
回転ツール57が更に押し込まれると、図20に示すように、当接部材60がアルミニウム合金板W11の表面に当接して、回転ツール57の先端部のアルミニウム合金板W11への押し込みを機械的に止めることができる。
【0051】
アルミニウム合金板W11、W12の表面には、アルミニウム酸化物(Al2O3)の被膜が形成されているが、アルミニウム合金板W11、W12の材料の塑性流動によって破壊され、アルミニウム合金板W11、W12の表面には、新生面が表れ、両金属板W11、W12の母相どうしが直接に接触し、固相接合されて所要の接合強度を得ることができるようになる。
【0052】
この後、設定時間が経過すると、図21に示すように、回転ツール57と受け具55とは、両金属板W11、W12から離間させられ、次の接合処理まで離間位置で待機する。上記当接部材60も上記回転ツール57とともに離間させられる。
【0053】
上記実施例と同様に、回転ツールの先端部を上記被接合材に押し込む際に、上記回転ツールと上記被接合材との接合部近傍の被接合材の表面に当接して上記回転ツールの先端部の上記被接合材への押し込み量を規制する規制部材を備えているので、上記回転ツールの先端部が上記被接合材に押し込まれる量を一定にすることができ、接合品質を安定化させることができる。
【0054】
上記実施形態では、回転ツールが当接する被接合材として融点の低いアルミニウム合金材料が記述されているが、例えばマグネシウム合金材料など、他の材料においても同様に適用することができる。
【0055】
以上のように、本発明は、例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、複数の金属板材を点接合する摩擦点接合において、回転ツールの先端部の被接合材への押し込み量を規制する規制部材を備えた摩擦点接合装置であり、例えば自動車等の車体構成部材などの接合に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係る接合装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る接合ガンの構成を概略的に示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る回転ツール組立体の断面図である。
【図4】上記回転ツール組立体の回転ツールの正面図である。
【図5】図4に示した上記回転ツールの平面図である。
【図6】上記回転ツール組立体の筒状体の平面図である。
【図7】図6に示した上記筒状体のA―A線に沿った断面図である。
【図8】図7に示した上記筒状体を下方から見た底面図である。
【図9】上記回転ツール組立体の当接部材の断面図である。
【図10】図9に示した当接部材の平面図である。
【図11】上記回転ツール組立体の先端部を拡大して模式的に示した説明図である。
【図12】上記回転ツールの別の態様を示した説明図である。
【図13】上記回転ツールの更に別の態様を示した説明図である。
【図14】本発明の第1の実施例の接合用工具及び被接合材を模式的に示した説明図である。
【図15】上記第1の実施例に係る摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【図16】上記摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【図17】上記摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【図18】上記摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【図19】上記摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【図20】本発明の第2の実施例に係る摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【図21】上記摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1 接合ガン
2 ロボット
3 制御盤
4 回転ツール組立体
5、45、55 受け具
7、47、57 回転ツール
8 規制部材
9 筒状体
10、50、60 当接部材
15、16、17 軸受
W 被接合材
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の金属板材の点接合に適用し得る摩擦点接合装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2枚の金属板材を点接合する方法として、アルミニウム(Al)やマグネシウム(Mg)或いはその合金等の軽金属を対象に、重ね合わせた2枚の金属板材の一方側からピン部を有する回転ツールを回転させながら押し込み、この回転ツールの押し込みによって発生した摩擦熱で金属板材を軟化せしめ塑性流動させることにより、両金属板材どうしを接合する摩擦点接合方法が知られている。また、かかる摩擦点接合法を適用して、鋼板とアルミニウム合金板などの異種金属板材どうしを接合する方法も知られている。
【0003】
上記のように2枚の金属板材を重ね合わせて摩擦点接合で接合する場合には、回転ツールのピン部の先端が両金属板材の接合部の界面近くに至るまで回転ツールを押し込むことが好ましいのであるが、ピン部の先端が受け具側の金属板材の表面にまで達し、押し込み側の金属板材に貫通孔があいてしまうと、その貫通孔部分に水など溜まり易いこともあり、その部分から腐食が生じるという問題がある。
【0004】
特に、回転ツールが押し込まれる金属板材の板厚が薄い場合には、回転ツールの最大押し込み深さを受け具側の金属板材の表面近傍で制御することは、実際上難しい。このため、押し込み深さが不足して所要の接合強度が得られないか、或いは、押し込み深さが過剰となって押し込み側の金属板材に貫通孔があいてしまい、耐食性が損なわれる場合が生じるという問題がある。このように、回転ツールの押し込み量の精度を良好に確保することは、安定した接合品質を得る上で非常に重要である。
【0005】
尚、回転ツールの押し込み量の精度確保に直接に関連したものではないが、例えば、特許文献1では、被接合物の接合点近傍を押圧する押圧手段を用いて、2枚の被接合物の間に隙間がある場合であっても前記押圧手段で押圧することによって接合点での隙間をなくすようにすることが開示されている。
【特許文献1】特開2002−120076号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、摩擦点接合で接合される板厚には限りがあり、その板厚の範囲内で回転ツールの押し込み量を精度よく確保することはなかなかに難しい。また、摩擦点接合は一般にかなり短時間に行われることもあり、上記回転ツールの被接合材への押し込み量のばらつきを制御することは一般に困難である。例えば、自動車の車体部材の接合にこの摩擦点接合を適用する場合、ロボット装置の接合ガンを使用して接合が行われることが多いが、ロボット装置による位置制御では、回転ツールの被接合材への押し込み量の精度を良好に確保することは一般に難しい。この押し込み量にばらつきが生じると、前述のように、接合強度の不足や貫通孔があいてしまうなど、安定した接合品質が得られなくなる。
【0007】
本発明は、上記技術的課題に鑑みてなされたもので、複数の被接合材を摩擦点接合により接合する際に、回転ツールの被接合材への押し込み量のばらつきを抑制し、接合品質をより安定化させることができる摩擦点接合装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このため、本願の請求項1に係る発明は、複数の被接合材を重ね合わせ、回転ツールを回転させながら前記回転ツールの先端部を前記被接合材の一方向側から押し込み、この回転ツールの押し込みによって発生した摩擦熱で前記被接合材を軟化せしめて塑性流動させることにより、前記複数の被接合材を接合する摩擦点接合装置において、前記回転ツールと同軸状に回動可能に配置され、且つ、前記回転ツールの軸方向に固定された規制部材であり、前記回転ツールの先端部を前記被接合材に押し込む際に、前記回転ツールと前記被接合材との接合部近傍の被接合材表面に当接して前記回転ツールの先端部の前記被接合材への押し込み量を規制する規制部材を備えたことを特徴としたものである。
【0009】
また、本願の請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明において、前記規制部材が、前記回転ツールに軸受を介して装着された筒状体と、前記筒状体に固定され、前記回転ツールの先端部を前記被接合材に押し込む際に、前記接合部近傍の前記被接合材表面に当接する当接部材と、を有することを特徴としたものである。
【0010】
更に、本願の請求項3に係る発明は、請求項1又は2に係る発明において、前記当接部材が、前記筒状体に対して着脱可能であり、前記回転ツールの先端部の前記被接合材への押し込み量に対応した当接部材が前記筒状体に組み付けられることを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0011】
本願の請求項1の発明によれば、複数の被接合材を点接合する摩擦点接合装置が、回転ツールの先端部を上記被接合材に押し込む際に、上記回転ツールと上記被接合材との接合部近傍の被接合材表面に当接して上記回転ツールの先端部の上記被接合材への押し込み量を規制する規制部材を備えているので、上記回転ツールの先端部が上記被接合材に押し込まれる量を一定にすることができ、接合品質を安定化させることができる。
【0012】
また、本願の請求項2の発明によれば、上記請求項1と同様の効果を得ることができる。特に、規制部材が、回転ツールに軸受を介して装着された筒状体と、上記筒状体に固定され、上記回転ツールの先端部を上記被接合材に押し込む際に、上記接合部近傍の上記被接合材表面に当接する当接部材と、により別体で構成されているので、上記回転ツールの被接合材への押し込み量が変更される場合には、上記当接部材のみを交換することにより対応することができる。また、被接合材の厚さが異なる場合にも当接部材を交換することにより容易に対応することができる。
【0013】
また、本願の請求項3の発明によれば、上記請求項1又は2と同様の効果を得ることができる。特に、当接部材が、筒状体に対して着脱可能であり、回転ツールの先端部の被接合材への押し込み量に対応した当接部材が上記筒状体に組み付けられているので、上記回転ツールの被接合材への押し込み量が変更される場合には、上記当接部材を容易に交換することができる。また、被接合材の厚さが異なる場合にも当接部材を交換することにより容易に対応することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。
【0015】
まず、本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る接合装置の構成を概略的に示す説明図である。この接合装置は、例えば自動車の車体等に用いられるアルミニウム合金板と鋼板とを重ね合わせた状態で点接合する接合工程などで用いることができる。上記接合装置は、接合ガン1と、該接合ガン1がその手首に取り付けられているロボット2と、それらを制御する制御盤3と、を備えている。
【0016】
上記ロボット2としては、例えば汎用の6軸垂直多関節型ロボットが用いられる。このロボット2は、接合ガン1を、例えば上記アルミニウム合金板と上記鋼板との接合の接合位置に位置付ける機能を有している。
【0017】
また、上記制御盤3は、図1に示されるように、上記ロボット2にハーネス31を介して接続されると共に、上記接合ガン1に、ハーネス33、中継ボックス34、ハーネス32を介して接続されている。この制御盤3は、ロボット2の6軸と、接合ガン1における回転軸モータ11及び加圧軸モータ12の2軸の合計8軸を同期制御するように構成されている。
【0018】
図2は、本発明の実施形態に係る接合ガン1の構成を概略的に示す説明図である。この図に示すように、上記接合ガン1は、接合用の工具として回転ツール組立体4と受け具5とを備えている。
【0019】
上記回転ツール組立体4は、その回転中心軸が接合ガン1の接合軸Xと一致するように配設されており、ガン本体1に固定された加圧軸モータ12により上記接合軸Xに沿って昇降させられ、且つ、回転軸モータ11により接合軸Xと一致した中心軸回りに回転させられるようになっている。上記回転軸モータ11としては、例えばインダクションモータやサーボモータを好適に用いることができ、また、加圧軸モータ12としては、例えばサーボモータを好適に用いることができる。
【0020】
上記受け具5は、回転ツール組立体4に対向して配置されるもので、この配置状態は、ガン本体1の下部に位置する略L字形状のアーム13の先端に受け具5を取り付けることにより保持されている。この受け具5及び上記回転ツール組立体4は共に、接合ガン1に対して着脱することができるように取り付けられている。
【0021】
図3は、本発明の実施形態に係る回転ツール組立体4の断面図である。図3に示されるように、上記回転ツール組立体4は、回転ツール7と規制部材8とを有する。更に、上記規制部材8は、筒状体9と当接部材10とを有している。
【0022】
上記筒状体9は、後述するように略円筒形に形成されており、上記筒状体9には、軸受16、17とカラー23、24とが止め輪6により固定されて組み込まれている。また、上記筒状体9には、スリーブ14、軸受15が取り付けられており、上記軸受15には、オイルシール20及びスプリング21が備えられている。
図に示されるように、この筒状体9が上記回転ツール7に嵌め込まれ、上記筒状体9に固定された軸受17に回転ツール7を介してナット22を締め付けることにより上記筒状体が上記回転ツールに取り付けられる。
上記当接部材10は、後述するようにその先端部と反対側の端部が略円筒形に形成されており、上記筒状体9の下部の外周面9bに上記当接部材10の上記端部の内周面10cを嵌め込み、止めねじ18とナット19とを用いて上記筒状体9に着脱可能に組み付けて固定される。
【0023】
このようにして、上記筒状体9は、上記回転ツール7と同軸状に回動可能に配置され、且つ、上記回転ツール7の軸方向に固定される。また、上記規制部材8は、回転ツール7の先端部を重ね合わせられた複数の被接合材に押し込む際に、上記当接部材10を上記回転ツール7と上記被接合材との接合部近傍の上記被接合材表面に当接させて、上記回転ツール7の先端部の上記被接合材への押し込み量を規制することができる。
【0024】
上記回転ツール組立体4の回転ツール7、筒状体9及び当接部材10がそれぞれ図4〜10に示されている。
図4は上記回転ツール7の正面図であり、図5は図4に示した上記回転ツール7の平面図である。図4及び5に示されるように、上記回転ツール7は、その先端部に、被接合材に押し込まれるピン部7a及びショルダ部7bを有している。
上記回転ツール7はまた、雌ネジ部7cを有しており、上記のように上記筒状体が上記回転ツール7に嵌め込まれ、上記筒状体に固定された軸受に対して上記雌ネジ部7cを介してナットを締め付けることにより上記筒状体が上記回転ツールに取り付けられて、上記規制部材の筒状体が上記回転ツールの軸方向に固定される。更に、上記回転ツール7は、取付フランジ部7dを有しており、この取付フランジ部7dを用いて回転軸モータ11及び加圧軸モータ12による昇降動駆動及び回転駆動が伝達される。なお、図に示されるように、上記回転ツール7の各部分は、略円柱状に形成されている。
【0025】
図6は、上記筒状体9の平面図であり、図7は図6に示した上記筒状体9のA―A線に沿った断面図、図8は図7に示した上記筒状体9を下方から見た底面図である。図6〜8に示されるように、上記筒状体9は略円筒形状に形成されており、その内部に上記軸受が組み込まれる。
また、上記筒状体9の外周部には、略円錐状に形成された切欠き部9aが形成されている。この切欠き部9aを用いて、上記当接部材が上記筒状体9に固定される。
【0026】
図9は、上記当接部材の断面図であり、図10は図9に示した上記当接部材の平面図である。図9及び10に示されるように、当接部材10の先端部10aは、上記回転ツールの先端部を被接合材に押圧させる際に、それらの接合部近傍の上記被接合材表面に当接するために平面状に形成されている。
また、上記当接部材10には、雌ねじ部10bが設けられており、当接部材10は雌ねじ部10bに対して止めねじを締め付けることによって上記筒状体に固定される。更に、上記当接部材10は先端部と反対側の端部が略円筒形に形成され、その外径寸法が先端部より大きいテーパ状に形成されるので、被接合材の接合作業時及びロボットによる移動時などに他の部品等に干渉することが抑制される。
【0027】
図11は、上記回転ツール組立体4の先端部を拡大して模式的に示した説明図である。図に示されるように上記回転ツール7は、略円柱状のショルダ部7bと、該ショルダ部7bの先端部における中心から突出する円柱状のピン部7aとを備えている。このピン部7aの回転中心軸はショルダ部7bの回転中心軸と一致しており、両中心軸は接合ガン1の接合軸Xと一致するものである。つまり、上記ピン部7aは、回転ツール7のセンタリング機能を有しているといえる。
【0028】
図11では、図に示されるように、上記当接部材10に対して上記回転ツール7のピン部7a及びショルダ部7bが突出した状態で位置付けられている。それにより、上記回転ツール7の先端部を重ね合わせられた複数の被接合材に押し込む際に、上記回転ツール7の先端部の上記被接合材への押し込み量を規制することができる。この突出した位置については、上記当接部材10を交換することにより変更することができる。
【0029】
また、ショルダ部7bの先端面には、径方向における内方に向かって深くなる凹部7eが形成されている。ショルダ部7bの先端側にこのような凹部7eを設けたことにより、回転ツール7を被接合材に押し込んだ際に、回転ツール7の回転による摩擦熱で軟化し塑性流動する被接合材の材料が外周側に流動して逃げることを抑制し、回転ツール7の加圧力を被接合材に対してより有効に作用させることができる。
【0030】
上記回転ツールの別の態様が図12及び13に示されている。図12では、回転ツール27のショルダ部27bが、略円柱状に形成され、その先端が中央を膨らませた曲面形状に形成されたものである。図13では、回転ツール37のショルダ部37bが、図12に示したショルダ部27bの中心にピン部37aが形成されたものである。これらの回転ツール27,37が、上記回転ツール7の代わりに使用されてもよい。
【実施例1】
【0031】
以下、本実施形態に係る装置を用いた摩擦点接合の第1の実施例について説明する。
図14は、本発明の第1の実施例の接合用工具及び被接合材を模式的に示した説明図である。上記回転ツールとしては、ショルダ部47bがテーパ状に形成された凹部47eを有する回転ツール47が使用されており、図11に示された上記回転ツールの凹部7eと同様の機能を有する。
【0032】
本実施例では、被接合材Wとして異種金属である金属板材が用いられ、アルミニウム合金板W1と鋼板W2とが接合される。特に、鋼板W2の接合側の表面には、防食性の金属メッキとして亜鉛メッキが施されている。従って、アルミニウム合金板W1の母相と鋼板W2の母相の間には亜鉛メッキ層25が介在することになる。
【0033】
図に示されるように、回転ツール47のピン部47a及びショルダ部47bが、当接部材50に対して突出した状態で位置付けられている。上記回転ツール47に対向して受け具45が配置されている。
【0034】
図15〜19は、図14の状態から引き続いて行われる一連の接合工程を示す部分断面説明図である。
まず、図14に示された状態から、図15に示すように、受け具45の受承面45aで鋼板W2及びアルミニウム合金板W1を順に受承させるとともに、回転ツール47を回転させながらアルミニウム合金板W1側に(つまり、加圧方向に)前進させる。図15に示すように、回転ツール47のピン部47aがアルミニウム合金板W1の表面に当接し、その押し込みが開始されることにより、ピン部47aの先端を中心にした一定範囲の領域26が、ピン部47aの回転による摩擦熱の作用で軟化し始める。なお、当接部材50は、回転ツール47の回転により回転するとともに、アルミニウム合金板W1側に移動させられる。
【0035】
図15の状態から回転ツール47がアルミニウム合金板W1内への押し込みが始まると、図16に示すように、ショルダ部47bの先端の外周部でアルミニウム合金板W1が表面側から剪断され、また、摩擦熱の作用による軟化の領域(図15参照)が更に広がるとともに温度も上昇し、亜鉛メッキ層25の拡散が始まり、また、摩擦熱で軟化したアルミニウム合金板W1の材料が塑性流動し始める。なお、当接部材50は、回転ツール47の回転により回転するととともに、アルミニウム合金板W1側に更に移動させられる。
【0036】
上記当接部材50は、回転ツール47とアルミニウム合金板W1との接合部近傍に位置付けられるが、上記ショルダ部47bにより剪断され、アルミニウム合金板W1上に押し出された材料に干渉しないように配置されている。
【0037】
尚、アルミニウム合金板W1の表面には、通常雰囲気下で生成されるアルミニウム酸化物(Al2O3)の被膜が一般に形成されるが、このアルミニウム酸化被膜Al2O3は、比較的脆いので、アルミニウム合金板W1の材料の塑性流動によって比較的容易に細かく破壊され、アルミニウム合金板W1の表面には、新生面(酸化被膜に覆われずアルミニウム合金自体からなる面)が表れる。従って、このアルミニウム酸化被膜Al2O3が接合面に存在して接合強度に悪影響を及ぼすことはまずない。
【0038】
図16の状態から回転ツール47が更に押し込まれると、鋼板W2の表面の亜鉛メッキ層25は、その一部はアルミニウム合金板W1側に取り込まれるものの、その大部分は、図17において符号28で示すように、回転ツール47の押し込みによる加圧力と摩擦熱および塑性流動により、両金属板W1、W2の接合面の周囲に押し出される。これにより、両金属板W1、W2の母相どうしが直接に接触し、両者どうしが固相接合されて所要の接合強度を得ることができるようになる。なお、この状態では、当接部材50は、回転ツール47の回転により回転すると共に、アルミニウム合金板W1側に更に移動させられるが、アルミニウ合金板W1の表面には当接していない。
【0039】
図17の状態から回転ツール47が更に押し込まれると、図18に示すように、当接部材50がアルミニウム合金板W1表面に当接する。この当接部材50がアルミニウム合金板W1表面に当接することにより、当接部材50の回転が止められるとともに、回転ツール47の先端部のアルミニウム合金板W1への押し込みを機械的に止めることができる。
【0040】
また、図18に示されるように、亜鉛メッキ層25の接合面周囲に押し出された部分28の直ぐ内側の領域、つまり、回転ツール47のショルダ部47bの外周部に略対応する領域には、亜鉛メッキ層25が若干残存して、亜鉛−アルミニウム−鉄化合物の金属間化合物29が生成される場合があるが、アルミニウム合金板W1と鋼板W2とは、前記金属間化合物29を介して接合される。つまり、かかる金属間化合物29も、アルミニウム合金板W1と鋼板W2の固相接合に寄与するものである。
【0041】
このように、上記接合方法においては、回転ツール47の押し込みによってアルミニウム合金板W1の酸化被膜Al2O3が破壊されてアルミニウム合金の新生面が形成され、その直後に(極めて短時間内に)、回転ツール47の押し込みに基づく加圧力,摩擦熱および塑性流動によって亜鉛メッキ層25が接合面から周囲に押し出されて、アルミニウム合金板W1と鋼板W2の母相どうしが直接に接触することになる。この状態下で摩擦接合が行われることにより、その接合部に酸化被膜やメッキ層25を介在させないようにして、両者の直接的な固相接合の状態で接合することができ、その接合強度を高めることができる。
【0042】
尚、本実施形態では、接合品質を安定化させるためには、上記回転ツールのピン部の先端と両金属板W1、W2の接合部の界面との距離は、例えば0.2〜0.6mmが好ましい。
【0043】
この後、設定時間が経過すると、図19に示すように、回転ツール47と受け具45とは、両金属板W1、W2から離間させられ、次の接合処理まで離間位置で待機するようになっている。上記当接部材50も上記回転ツール47とともに離間させられる。
【0044】
以上、説明したように、本実施形態によれば、複数の被接合材を点接合する摩擦点接合装置が、回転ツールの先端部を上記被接合材に押し込む際に、上記回転ツールと上記被接合材との接合部近傍の被接合材表面に当接して上記回転ツールの先端部の上記被接合材への押し込み量を規制する規制部材を備えているので、上記回転ツールの先端部が上記被接合材に押し込まれる量を一定にすることができ、接合品質を安定化させることができる。
このように回転ツールの被接合材への押し込み量を規定することができるので、この押し込み量の精度が要求される異種材料の接合に有効に適用することができる。
【0045】
また、規制部材が、回転ツールに軸受を介して装着された筒状体と、上記筒状体に固定され、上記回転ツールの先端部を上記被接合材に押し込む際に、上記接合部近傍の上記被接合材表面に当接する当接部材と、により別体で構成されているので、上記回転ツールの被接合材への押し込み量が変更される場合には、上記当接部材のみを交換することにより対応することができる。また、被接合材の厚さが異なる場合にも当接部材を交換することにより容易に対応することができる。
【0046】
更に、当接部材が、筒状体に対して着脱可能であり、回転ツールの先端部の被接合材への押し込み量に対応した当接部材が前記筒状体に組み付けられる。これにより、上記回転ツールの被接合材への押し込み量が変更される場合にも、上記当接部材を容易に交換することにより対応することができる。また、被接合材の厚さが異なる場合にも当接部材を交換することにより容易に対応することができる。
【実施例2】
【0047】
次に、本実施形態に係る装置を用いた摩擦点接合の第2の実施例について説明する。尚、以下の説明において、上述の第1の実施例の場合と、同様の構成を備え同様の作用をなすものについては、それ以上の説明は省略する。
【0048】
第2の実施例では、被接合材として同種の金属板材が用いられ、2枚のアルミニウム合金板W11、W12が共に接合される。この実施例においても、第1の実施例における場合と同様の工程で摩擦点接合が行われる。
【0049】
図20及び21は、本発明の第2の実施例に係る摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。第2の実施例においても、第1の実施例と同様の接合工程(図14〜図16参照)が行われる。
アルミニウム合金板W11、W12を重ね合わせ、先端にピン部57aを有する回転ツール57を回転させながら前記回転ツール57の先端部をアルミニウム合金W11側から押し込み、この回転ツール57の押し込みによって発生した摩擦熱で上記アルミニウム合金板W11、W12を軟化せしめて塑性流動させる。
【0050】
回転ツール57が更に押し込まれると、図20に示すように、当接部材60がアルミニウム合金板W11の表面に当接して、回転ツール57の先端部のアルミニウム合金板W11への押し込みを機械的に止めることができる。
【0051】
アルミニウム合金板W11、W12の表面には、アルミニウム酸化物(Al2O3)の被膜が形成されているが、アルミニウム合金板W11、W12の材料の塑性流動によって破壊され、アルミニウム合金板W11、W12の表面には、新生面が表れ、両金属板W11、W12の母相どうしが直接に接触し、固相接合されて所要の接合強度を得ることができるようになる。
【0052】
この後、設定時間が経過すると、図21に示すように、回転ツール57と受け具55とは、両金属板W11、W12から離間させられ、次の接合処理まで離間位置で待機する。上記当接部材60も上記回転ツール57とともに離間させられる。
【0053】
上記実施例と同様に、回転ツールの先端部を上記被接合材に押し込む際に、上記回転ツールと上記被接合材との接合部近傍の被接合材の表面に当接して上記回転ツールの先端部の上記被接合材への押し込み量を規制する規制部材を備えているので、上記回転ツールの先端部が上記被接合材に押し込まれる量を一定にすることができ、接合品質を安定化させることができる。
【0054】
上記実施形態では、回転ツールが当接する被接合材として融点の低いアルミニウム合金材料が記述されているが、例えばマグネシウム合金材料など、他の材料においても同様に適用することができる。
【0055】
以上のように、本発明は、例示された実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々の改良及び設計上の変更が可能であることは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、複数の金属板材を点接合する摩擦点接合において、回転ツールの先端部の被接合材への押し込み量を規制する規制部材を備えた摩擦点接合装置であり、例えば自動車等の車体構成部材などの接合に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施形態に係る接合装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態に係る接合ガンの構成を概略的に示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態に係る回転ツール組立体の断面図である。
【図4】上記回転ツール組立体の回転ツールの正面図である。
【図5】図4に示した上記回転ツールの平面図である。
【図6】上記回転ツール組立体の筒状体の平面図である。
【図7】図6に示した上記筒状体のA―A線に沿った断面図である。
【図8】図7に示した上記筒状体を下方から見た底面図である。
【図9】上記回転ツール組立体の当接部材の断面図である。
【図10】図9に示した当接部材の平面図である。
【図11】上記回転ツール組立体の先端部を拡大して模式的に示した説明図である。
【図12】上記回転ツールの別の態様を示した説明図である。
【図13】上記回転ツールの更に別の態様を示した説明図である。
【図14】本発明の第1の実施例の接合用工具及び被接合材を模式的に示した説明図である。
【図15】上記第1の実施例に係る摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【図16】上記摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【図17】上記摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【図18】上記摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【図19】上記摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【図20】本発明の第2の実施例に係る摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【図21】上記摩擦点接合の一連の接合工程の一部を示す説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1 接合ガン
2 ロボット
3 制御盤
4 回転ツール組立体
5、45、55 受け具
7、47、57 回転ツール
8 規制部材
9 筒状体
10、50、60 当接部材
15、16、17 軸受
W 被接合材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の被接合材を重ね合わせ、回転ツールを回転させながら前記回転ツールの先端部を前記被接合材の一方向側から押し込み、この回転ツールの押し込みによって発生した摩擦熱で前記被接合材を軟化せしめて塑性流動させることにより、前記複数の被接合材を接合する摩擦点接合装置において、
前記回転ツールと同軸状に回動可能に配置され、且つ、前記回転ツールの軸方向に固定された規制部材であり、前記回転ツールの先端部を前記被接合材に押し込む際に、前記回転ツールと前記被接合材との接合部近傍の被接合材表面に当接して前記回転ツールの先端部の前記被接合材への押し込み量を規制する規制部材を備えたことを特徴とする摩擦点接合装置。
【請求項2】
前記規制部材が、
前記回転ツールに軸受を介して装着された筒状体と、
前記筒状体に固定され、前記回転ツールの先端部を前記被接合材に押し込む際に、前記接合部近傍の前記被接合材表面に当接する当接部材と、
を有することを特徴とする請求項1記載の摩擦点接合装置。
【請求項3】
前記当接部材が、前記筒状体に対して着脱可能であり、前記回転ツールの先端部の前記被接合材への押し込み量に対応した当接部材が前記筒状体に組み付けられることを特徴とする請求項2記載の摩擦点接合装置。
【請求項1】
複数の被接合材を重ね合わせ、回転ツールを回転させながら前記回転ツールの先端部を前記被接合材の一方向側から押し込み、この回転ツールの押し込みによって発生した摩擦熱で前記被接合材を軟化せしめて塑性流動させることにより、前記複数の被接合材を接合する摩擦点接合装置において、
前記回転ツールと同軸状に回動可能に配置され、且つ、前記回転ツールの軸方向に固定された規制部材であり、前記回転ツールの先端部を前記被接合材に押し込む際に、前記回転ツールと前記被接合材との接合部近傍の被接合材表面に当接して前記回転ツールの先端部の前記被接合材への押し込み量を規制する規制部材を備えたことを特徴とする摩擦点接合装置。
【請求項2】
前記規制部材が、
前記回転ツールに軸受を介して装着された筒状体と、
前記筒状体に固定され、前記回転ツールの先端部を前記被接合材に押し込む際に、前記接合部近傍の前記被接合材表面に当接する当接部材と、
を有することを特徴とする請求項1記載の摩擦点接合装置。
【請求項3】
前記当接部材が、前記筒状体に対して着脱可能であり、前記回転ツールの先端部の前記被接合材への押し込み量に対応した当接部材が前記筒状体に組み付けられることを特徴とする請求項2記載の摩擦点接合装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2006−102756(P2006−102756A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−289278(P2004−289278)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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