説明

撥水性軽量気泡コンクリートパネル、短期保管用撥水性軽量気泡コンクリートパネル、それらの製造法および撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルション

【課題】少なくとも2〜3ヶ月間優れた撥水性を維持し、含有する水の蒸発を妨げず、撥水性表面への水性アクリル系シーラント等の接着が阻害されない撥水性軽量気泡コンクリートパネル、特には短期保管用撥水性軽量気泡コンクリートパネル、それらの製造方法を提供する。そのための噴霧塗装性とローラー塗布性が優れたオルガノポリシロキサン水性エマルションを提供する。
【解決手段】表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションによる撥水処理層を有する撥水性軽量気泡コンクリートパネル。軽量気泡コンクリートパネルの表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションを、噴霧法またはローラー塗装法により付着させ、乾燥する。アミン当量が500〜100,000グラム/モルであり、粘度が50〜1,000,000mPa・sである非造膜性のアミノ変性オルガノポリシロキサンのO/W型水性エマルション。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面に非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションによる撥水処理層を有する撥水性軽量気泡コンクリートパネル、特には短期保管用撥水性軽量気泡コンクリートパネル、それらの製造法、および、軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用の非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサン水性エマルションに関する。
【背景技術】
【0002】
軽量気泡コンクリートパネルは、その軽量性、耐火性、断熱性、施工性等の利点によりこれまで建築材料として外壁、間仕切り、床、屋根などに幅広く用いられている。このような軽量気泡コンクリートパネルは、粉末状の珪酸質物質及び石灰質物質とを主原料とし、気泡を含有せしめた後に半硬化させ、さらに高温高圧にて水蒸気養生されて製造される。製造直後の軽量気泡コンクリートパネルは約40重量%の水分を含有しており、保管・出荷・施工の期間に乾燥し、約10重量%の水分となる。
軽量気泡コンクリートパネルはサイズが大きく個数が多いので、屋内保管は無理であり、通常屋外にて保管される。軽量気泡コンクリートパネルを降雨や降雪から遮断するため、ビニールシートで覆う方策も考えられるが、軽量気泡コンクリートパネル製造工場での広大な敷地で行うには、段積みされた軽量気泡コンクリートパネルへの被覆或いは除去などに多大な手間が掛かるとともに、パネルの乾燥を阻害する。そして、該ビニールシートの購入・維持管理コストなどトータルコストを考慮すると甚だ実用的とはいえないものである。
【0003】
ところが、ビニールシートで覆うことなく、屋外にて保管された軽量気泡コンクリートパネルに降雨や降雪があると、外表面より吸水を来し、乾燥が遅れるだけでなく、やがては白色を呈する軽量気泡コンクリートパネルが灰色又は赤褐色へと変色する。この結果、外観および品質の低下や、軽量気泡コンクリートパネルの重量の増加を招く。
また、吸水による軽量気泡コンクリートパネル外表面の変色だけでなく、降雨時に空気中に浮遊する粉塵が軽量気泡コンクリートパネル表面に付着し、乾燥途中に汚れやシミとなって軽量気泡コンクリートパネル外表面に残り、外観および品質の低下をもたらす。
【0004】
そこで、屋外保管される軽量気泡コンクリートパネルの外表面からの吸水を防止するために、該軽量気泡コンクリートパネルの製造時、つまり、石灰質原料および珪酸質原料からなる主原料、水および金属アルミニウムなどの発泡剤を混合した原料スラリーにシリコーン系の撥水性物質を混合し、撥水性を付与した軽量気泡コンクリートパネルの製造方法が提案されている(特許文献1、特許文献2)。
【0005】
軽量気泡コンクリートパネルは、建築物の内部に取り付けられると、降雨や降雪に曝されることがなくなるため、また、建築物の外壁や屋根に取付け後、速やかに防水性の塗料が塗装されるため、恒久的な撥水性能でなく、該軽量気泡コンクリートパネルの施工までの短期間撥水性能が維持できれば十分である。そのため、軽量気泡コンクリートパネルの外表面に、アルキルアルコキシシランを主成分とする水性エマルション撥水剤、又はアルキルアルコキシシランとシロキサンとを主成分とする水性エマルション撥水剤を少量塗布して、撥水効果を付与し、短期間であれば、吸水による変色及び重量増加をきたさない軽量気泡コンクリートパネルが提案されている(特許文献3、特許文献4)。
【0006】
ところが、原料スラリーにシリコーン系の撥水性物質を混合して撥水性を付与するという製造方法は、撥水性が不要な内部まで撥水性にするために、撥水性物質の配合量を多くしないと軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水性が不十分という問題がある。かかる軽量気泡コンクリートパネルは、欠けた箇所をモルタル系補修剤により補修しようとしてもモルタル系補修剤が接着しにくいという問題がある。
【0007】
一方、アルキルアルコキシシランを主成分とする水性エマルション撥水剤、又はアルキルアルコキシシランとシロキサンとを主成分とする水性エマルション撥水剤を塗布して、短期間の撥水効果を付与した軽量気泡コンクリートパネルは、施工した複数の軽量気泡コンクリートパネル間の目地をモルタルやアクリル系水性シーラントによりシーリングしようとしても、モルタルやアクリル系水性シーラントが接着しにくいという問題があり、また施工後の軽量気泡コンクリートパネル表面に防水層を形成するために水性合成樹脂塗料を塗布したときに塗料が接着しにくいという問題がある。
【0008】
その解決手段として、特許文献5で提案されている、アルキルアルコキシシランを主成分とする水性エマルション撥水剤、又はアルキルアルコキシシランとシロキサンとを主成分とする水性エマルション撥水剤の塗布面に親水性界面活性剤を塗布するという方法が考えられるが、作業工程が多くなるとともにコストが掛かるという問題がある。
【0009】
一方、アルキルアルコキシシランを主成分とする水性エマルション撥水剤およびアルキルアルコキシシランとシロキサンとを主成分とする水性エマルション撥水剤の代わりに、特許文献6で提案されている環状ジオルガノポリシロキサンと官能基結合トリアルコキシシランの乳化重合ラテックスを塗布するという方法、特許文献7で提案されているアミノアルキルトリアルコキシシランとα,ω-ジヒドロキシポリジアルキルシロキサンのエマルションを塗布するという方法、および、特許文献8で提案されている、(A)(A1)C1〜C20−炭化水素−C1〜C6−アルコキシシラン及び(A2)C1〜C6−アルコキシ基を有する分枝状オルガノポリシロキサンから選択される成分、(B)(B1)アミノアルキル基を有するC1〜C6−アルコキシシラン及び(B2)アミノアルキル基を有する分枝状オルガノシロキサンから選択される成分、及び(C)乳化剤を含有するエマルションを塗布するという方法が考えられる。
【0010】
しかし、いずれも水分の蒸発とともに硬化被膜や固化被膜を形成するという造膜性のオルガノポリシロキサンのエマルションであるため、通常使用されるスプレー塗布、すなわち、噴霧塗装では、噴霧器のノズルおよび配管内で造膜のため、ノズルおよび配管内の詰まりを引起こすという問題がある。また、ローラーによる塗布では、連続塗布時にローラー表面に硬化被膜ないし固化被膜が形成されてローラー表面が撥水性となり、エマルションを吸込まなくなり、塗布できなくなるという問題がある。
【0011】
【特許文献1】特開昭55−42272号公報
【特許文献2】特公昭58−49507号公報
【特許文献3】特開2000−72567号公報
【特許文献4】特開2005−000742号公報
【特許文献5】特開2002−317524号公報
【特許文献6】特開昭57−95882号公報
【特許文献7】U.S. Patent No. 5,196,054
【特許文献8】特開平11−241025号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、製造直後から少なくとも2〜3ヶ月間優れた撥水性を維持し、製造直後の軽量気泡コンクリートパネルが含有する水の蒸発が妨げられず、撥水性表面への水性アクリル系シーラントや、モルタル系補修剤、水性合成樹脂塗料の接着が妨げられないという、撥水性軽量気泡コンクリートパネル、及び、その製造方法を提供することにある。
【0013】
また、製造直後から2〜3ヶ月間という短期間優れた撥水性を維持し、製造直後の軽量気泡コンクリートパネルが含有する水の蒸発が妨げられず、撥水性表面への水性アクリル系シーラントや、モルタル系補修剤、水性合成樹脂塗料の接着が妨げられないという、短期保管用撥水性軽量気泡コンクリートパネル、及び、その製造方法を提供することにある。
【0014】
さらには、噴霧塗装時に噴霧器のノズルや配管が詰まることなく、連続ローラー塗布時にローラー表面に防水膜が形成されることなく、軽量気泡コンクリートパネル外表面に撥水性を付与することができ、製造直後の軽量気泡コンクリートパネル表面に付着させると、少なくとも2〜3ヶ月間という短期間優れた撥水性を維持し、製造直後の軽量気泡コンクリートパネルが含有する水の蒸発を妨げず、撥水性表面への水性アクリル系シーラントや、モルタル系補修剤、水性合成樹脂塗料の接着が妨げられないという、オルガノポリシロキサン水性エマルションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題は、
「[1] 軽量気泡コンクリートパネルの表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションによる撥水処理層を有することを特徴とする、撥水性軽量気泡コンクリートパネル。
[2] 軽量気泡コンクリートパネルの表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションを、噴霧法またはローラー塗装法により付着させ、乾燥することを特徴とする、表面に撥水処理層を有する軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。」により達成される。
【0016】
上記課題は、
「[3] 珪酸質物質及び石灰質物質を主原料とし、気泡を含有せしめた後に半硬化させ、さらに高温高圧にて水蒸気養生して製造された含水軽量気泡コンクリートパネルの表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションを有効成分換算で0.6〜12.0g/m付着させることによる撥水処理層が形成されていることを特徴とする、短期保管用撥水性軽量気泡コンクリートパネル。
[4] 珪酸質物質及び石灰質物質を主原料とし、気泡を含有せしめた後に半硬化させ、さらに高温高圧にて水蒸気養生して製造された含水軽量気泡コンクリートパネルの表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションを、噴霧法またはローラー塗装法により、有効成分換算で0.6〜12.0g/m付着させ、乾燥することを特徴とする、表面に撥水処理層を有する短期保管用撥水性軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。」により達成される。
【0017】
上記課題は、
「[5] 軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルションにおいて、エマルションはO/W型であり、エマルション粒子の平均粒径が10〜1000nmであり、オルガノポリシロキサンは、非造膜性のアミノ変性オルガノポリシロキサンであり、アミン当量が500〜100,000グラム/モルであり、25℃における粘度が50〜1,000,000mPa・sであることを特徴とする、軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルション。
[6] 非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンは、非造膜性アミノ変性ジオルガノポリシロキサンであることを特徴とする、[5]に記載の軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルション。
[7] 非造膜性アミノ変性ジオルガノポリシロキサンは、末端ケイ素原子にメチル基のみ、またはメチル基と水酸基が結合したジメチルポリシロキサンであり、一部のメチル基がアミノアルキル基またはN-(アミノアルキル)アミノアルキル基で置換されていることを特徴とする、[6]に記載の軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルション。
[7-1] アミノアルキル基がアミノプロピル基であり、N-(アミノアルキル)アミノアルキル基がN-(アミノエチル)アミノプロピル基であることを特徴とする、[7]に記載の軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルション。
[8] 非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサン中のアミノ基の全部又は一部が、有機酸または鉱酸により中和されていることを特徴とする、[5]に記載の軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルション。
[8-1] 非造膜性のアミノ変性ジオルガノポリシロキサン中のアミノ基の全部又は一部が、有機酸または鉱酸により中和されていることを特徴とする、[6]、[7]または[7-1]に記載の軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルション。」により達成される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の撥水性軽量気泡コンクリートパネルは、その製造直後から少なくとも2〜3ヶ月間優れた撥水性を維持し、製造直後の軽量気泡コンクリートパネルが含有する水の蒸発が妨げられず、撥水性表面への水性アクリル系シーラントや、モルタル系補修剤、水性合成樹脂塗料の接着が妨げられない。
本発明の撥水性軽量気泡コンクリートパネルの製造方法によると、軽量気泡コンクリートパネル表面への噴霧塗装時に、噴霧器のノズルや配管が詰まることなく、連続ローラー塗布時にローラー表面に防水膜が形成されることがない。製造直後から少なくとも2〜3ヶ月間優れた撥水性を維持し、製造直後の軽量気泡コンクリートパネルが含有する水の蒸発が妨げられず、撥水性表面への水性アクリル系シーラントや、モルタル系補修剤、水性合成樹脂塗料の接着が妨げられない撥水性軽量気泡コンクリートパネルを製造することができる。
【0019】
本発明の短期保管用撥水性軽量気泡コンクリートパネルは、その製造直後から2〜3ヶ月間という短期間優れた撥水性を維持し、製造直後の軽量気泡コンクリートパネルが含有する水の蒸発が妨げられず、撥水性表面への水性アクリル系シーラントや、モルタル系補修剤、水性合成樹脂塗料の接着が妨げられない。
本発明の短期保管用撥水性軽量気泡コンクリートパネルの製造方法によると、軽量気泡コンクリートパネル表面への噴霧塗装時に、噴霧器のノズルや配管が詰まることなく、連続ローラー塗布時にローラー表面に防水膜が形成されることがない。製造直後から少なくとも2〜3ヶ月間優れた撥水性を維持し、製造直後の軽量気泡コンクリートパネルが含有する水の蒸発が妨げられず、撥水性表面への水性アクリル系シーラントや、モルタル系補修剤、水性合成樹脂塗料の接着が妨げられない、短期保管用撥水性軽量気泡コンクリートパネルを製造することができる。
【0020】
本発明の、軽量気泡コンクリートパネル、特には短期間保管用軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルションは、噴霧塗装時に噴霧器のノズルや配管が詰まることなく、連続ローラー塗布時にローラー表面に防水膜が形成されることなく、軽量気泡コンクリートパネル外表面に撥水性を付与することができ、製造直後の軽量気泡コンクリートパネル表面に付着させると、少なくとも2〜3ヶ月間優れた撥水性を維持し、製造直後の軽量気泡コンクリートパネルが含有する水の蒸発を妨げず、撥水性表面への水性アクリル系シーラントや、モルタル系補修剤、水性合成樹脂塗料の接着が妨げられない。
さらには、保存安定性が良好であり、軽量気泡コンクリートパネル内への浸透性が良好である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明の撥水性軽量気泡コンクリートパネルは、その表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションからなる撥水処理層を有することを特徴とする。
【0022】
本発明において、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションにより撥水処理される軽量気泡コンクリートパネルにおける軽量気泡コンクリートは、JISに規定している範囲のものに限定されず、広義の軽量気泡コンクリートを意味するものである。
【0023】
軽量気泡コンクリートは、一般に、珪石等の珪酸質原料と生石灰、セメント等の石灰質原料等からなる主原料に、石膏、発泡剤及び水を加え混合してできたスラリーを型枠に流し込み、発泡させ、半硬化させた後、オートクレーブ養生して完全に硬化させることにより製造される。
軽量気泡コンクリートパネルは、一般に、下記方法により製造される。
珪石等の珪酸質原料及び生石灰、セメント等の石灰質原料等からなる主原料に、石膏、発泡剤及び水を加え、ミキサーで混合する。混合してできたスラリーを予め補強筋を配した型枠内に流し込む。型枠内では、スラリーが発泡しつつ硬化して半硬化体が形成される。この半硬化体を型枠から脱型してピアノ線で所定の形状に切断する。所定形状の半硬化体をオートクレーブ釜に収容して高温高圧養生する。高温高圧養生により、半硬化体が完全硬化して軽量気泡コンクリートパネルが生成する。
【0024】
ここで、珪酸質原料としては一般的には平均単結晶粒径が10μm〜100μmの石英からなる珪石を使用するが、平均単結晶粒径範囲が異なる2種類または3種類の珪石を使用してもよい。
珪石の代わりに、珪砂を使用してもよく、珪石に珪藻土やフライアッシュ、高炉スラグ等の非晶質シリカなどを一部混合することも可能である。
石灰質原料として、通常、生石灰、消石灰及び/又は各種セメント等を使用する。
石膏として、通常、無水石膏や二水石膏を使用する。
発泡剤としては、通常、金属アルミニウム粉末を使用する。
その他の特性を付加するため、他の材料を配合しても良い。
【0025】
軽量気泡コンクリートは、一般的に、珪石の周りを、オートクレーブ養生中に珪酸質原料と石灰質原料との反応によって生成した結晶度が高いトバモライト(5CaO・6SiO2・5H2O)が取り囲んだ形態となっている。
軽量気泡コンクリートの空隙の体積分率は通常約80%である。一般に、密度は450〜550kg/m3であり、圧縮強度は4〜6N/mm2であり、曲げ強度は1〜1.5N/mm2の範囲にある。しかし、密度が200kg/m3以上450kg/m3未満の低密度の超軽量気泡コンクリートであってもよい。
建築用の軽量気泡コンクリートパネルは、一般に、厚さが75mm以上の厚型パネルと、厚さが75mm未満35mm以上の薄型パネルに大別されるが、当然、これらと異なるサイズであってもよい。
【0026】
本発明において、軽量気泡コンクリートパネルの表面処理に使用する非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションは、水分の蒸発とともに造膜せず、軽量気泡コンクリートパネルの表面に付着、浸透させ、乾燥しても、当該アミノ変性オルガノポリシロキサンが造膜しない、したがって、硬化被膜や固化被膜を形成しないタイプのものである。
【0027】
かかる非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンは、好ましくは直鎖状の分子構造を有しているが、重合度が大きい場合は分岐していてもよい。
かかる非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサン、特には非造膜性アミノ変性ジオルガノポリシロキサンは、軽量気泡コンクリートへの浸透性、撥水処理効果と撥水処理表面への水性アクリル系シーラントや、モルタル系補修剤、水性合成樹脂塗料の接着性の点で、常温で液状であり、アミン当量が500〜100,000グラム/モルであり、25℃における粘度が50〜1,000,000mPa・sであるものが好ましい。アミン当量が500〜100,000グラム/モルであり、25℃における粘度が100〜100,000mPa・sであるものが、より好ましい。25℃における粘度は、200〜10,000mPa・sであるものが、さらに好ましい。
【0028】
非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンは、メチルポリシロキサンの一部のメチル基がアミノアルキル基またはN-(アミノアルキル)アミノアルキル基で置換されているものが好ましい。非造膜性アミノ変性ジオルガノポリシロキサンは、末端ケイ素原子にメチル基のみが結合したジメチルポリシロキサンまたは末端ケイ素原子にメチル基と水酸基が結合したジメチルポリシロキサンの一部のメチル基がアミノアルキル基またはN-(アミノアルキル)アミノアルキル基で置換されているものが好ましい。
そのような非造膜性アミノ変性ジオルガノポリシロキサンとして、両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンの一部のメチル基、特には、側鎖または末端、あるいは両方の一部のメチル基がアミノアルキル基またはN-(アミノアルキル)アミノアルキル基で置換されているもの、および、両末端ジメチル(ヒドロキシ)シロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサンの一部のメチル基、特には、側鎖または末端、あるいは両方の一部のメチル基がアミノアルキル基またはN-(アミノアルキル)アミノアルキル基で置換されているものが例示される。アミノアルキル基またはN-(アミノアルキル)アミノアルキル基は、一分子中に1個以上存在すればよいが、アミン当量が500〜100,000グラム/モルとなる数存在することが好ましい。
【0029】
アミノアルキル基またはN-(アミノアルキル)アミノアルキル基として、-CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2NH2、-CH2CH2CH2CH2NH2、-CH2CH(CH3)CH2NH2、-CH2CH2CH2NHCH3、-CH2CH2CH2 (NHCH2CH2)NH2、-CH2CH2CH2(NHCH2CH2)NHCH3、-CH2CH(CH3)CH2 (NHCH2CH2) NH2が例示される。これらのうちでは-CH2CH2CH2NH2(3-アミノプロピル基)と-CH2CH2CH2(NHCH2CH2)NH2 [N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピル基]が好ましい。
【0030】
このような非造膜性アミノ変性ジオルガノポリシロキサンとして、下記平均構造式で示されるジオルガノポリシロキサンが例示される。式中、Meはメチル基を意味し、Bはアミノアルキル基またはN-(アミノアルキル)アミノアルキル基を意味する。mとnは1以上の数であり、m+nは非造膜性アミノ変性ジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度が50〜1,000,000mPa・sとなる数である。
Me3SiO(Me2SiO)m(MeBSiO)nSiMe3
HOMe2SiO(Me2SiO)m(MeBSiO)nSiMe2OH
BMe2SiO(Me2SiO)mSiMe2B
BMe2SiO(Me2SiO)m(MeBSiO)nSiMe2B
B(HO)MeSiO(Me2SiO)m(MeBSiO)nSiMe(OH)B
B(HO)Me SiO(Me2SiO)m(MeBSiO)nSiMe2B
上記非造膜性アミノ変性ジオルガノポリシロキサンは、2種以上を併用してもよい。
【0031】
本発明で撥水処理に使用する非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションは、水中油型、油中水型のいずれでもよいが、好ましくは水中油型である。但し、水分の除去により硬化ないし固化して防水膜を形成する性質のエマルションではない。エマルション粒子の平均粒径は、保存安定性の点から、好ましくは10〜1000nmである。なお、この平均粒径は、レーザー散乱式サブミクロン粒子分析装置(コールターエレクトロニクス社製のCOULTER N4型)により測定したエマルジョン粒子の体積粒径分布における体積平均粒径である。
【0032】
非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションは、非架橋性アミノ変性オルガノポリシロキサンを水に乳化することにより製造したもの(乳化タイプ)、乳化重合法により製造したもの(乳化重合タイプ)のいずれでもよい。その他の製造方法で製造されたものでもよい。
【0033】
非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションの原液は、常温で液状であり、保存安定性がよければ、その組成は特に限定されないが、通常、(A)非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサン100重量部、(B)乳化剤1〜20重量部、および(C)水50〜300重量部からなる。(B)乳化剤は、2〜15重量部が好ましく、(C)水は100〜200重量部が好ましい。軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理時には、水で5〜50倍に稀釈した水性エマルションが好ましい。
【0034】
(B)乳化剤は、(A)成分を水中に安定に乳化させる成分であり、乳化能が優れたノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、又はこれらの混合物が例示される。
【0035】
ノニオン系界面活性剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類やポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコール高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレングリセリン高級脂肪酸エステル類、ポリグリセリン高級脂肪酸エステル類が例示される。
【0036】
カチオン系界面活性剤として、アルキルトリメチルアンモニウム塩;ジアルキルジメチルアンモニウム塩などの第4級アンモニウム型塩の界面活性剤が例示される。
【0037】
非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションは、本発明の目的を損なわない限り、必要に応じて、増粘剤(例えば、水溶性高分子)、防腐剤、浸透剤、帯電防止剤、染料などを配合したものであってもよい。
【0038】
乳化タイプの水性エマルションは、上記(A)成分に(B)成分を添加し、これをホモミキサー,ホモジナイザー,コロイドミル,コンビミキサー等の乳化機を用いて水中に乳化させることにより製造することができる。乳化重合タイプの水性エマルションは、環状ジオルガノポリシロキサンとアミノアルキル(アルキル)ジアルコキシシランの水中乳化重合法により製造することができる。
【0039】
水性エマルション中の非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサン、特には非造膜性アミノ変性ジオルガノポリシロキサンは、アミノ基の全部又は一部が、有機酸(例えば、酢酸)または鉱酸(例えば、塩酸)により中和されていてもよく、一部が中和、すなわち、部分中和されていることが好ましい。部分中和されていると、水性エマルション自体の保存安定性が良好となる。また、軽量気泡コンクリートパネル表面に塗布したときに、水性エマルションが破壊されにくく、水性エマルション状態で内部に浸透していきやすいので、撥水処理効果が向上する。
【0040】
本発明の、表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションによる撥水処理層を有する軽量気泡コンクリートパネルは、製造直後または数日間屋内放置した含水軽量気泡コンクリートパネルの表面、好ましくは全表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションを塗布し、あるいは付着させ乾燥することにより容易に製造することができる。軽量気泡コンクリートパネルをローラーコンベアーに乗せ、固定スプレー塗布装置内を通過させるという連続的塗布方法は、パネル長さ1〜6mである多品種の軽量気泡コンクリートパネルの撥水処理に適している。
【0041】
含水軽量気泡コンクリートパネルの表面への非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサン水性エマルションの塗布量は、撥水処理した軽量気泡コンクリートパネルを2〜3ヶ月間という短期間屋外に保管することを意図しているときは、有効成分換算で0.6〜12.0g/mが好ましい。
撥水処理した軽量気泡コンクリートパネルを2〜3ヶ月間より長く屋外に保管することを意図しているときは、有効成分換算で12.0g/mより多く塗布させることが好ましく、12.0(12.0を含まない)〜24.0g/mが好ましい。
【0042】
該エマルションを含水軽量気泡コンクリートパネルの表面に塗布すると、該エマルションは該パネルの内部に浸透していく。通常、表面から1〜2mmの深さまで浸透する。もちろん、該エマルションの粘度が小さく、塗布量が多くなるほど、浸透距離は深くなる。長期間、屋外保管するときは、塗布量を多くするとよい。
【0043】
かくして得られた、表面に非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサン水性エマルションによる撥水処理層を有する含水軽量気泡コンクリートパネルは、屋外にそのまま保管しても、その表面が雨や雪により殆ど濡れず、変色せず、当初多量に含有していた水分が徐々に減少していく。厚さ35mmのパネルでは約2週間後に、厚さ100mm以上のパネルでは1〜2ヶ月後には、含水率が約10重量%未満となり、建築物の外壁材、床材、屋根材などとしての断熱性能が向上していく。
【実施例】
【0044】
次に、本発明の実施例と比較例を掲げる。
実施例用の非造膜性アミノ変性ジメチルポリシロキサンの水性エマルション(実施例1、実施例2)と、比較例用の造膜性アミノ変性ジメチルポリシロキサンの水性エマルション(比較例1、比較例2)、非造膜性エポキシ変性ジメチルポリシロキサンの水性エマルション(比較例3)、アルキルトリアルコシシランとシロキサンの混合物の水性エマルション(比較例4)について、それ自体の造膜性と希釈液の造膜性、製造直後の含水軽量気泡コンクリートパネル表面に噴霧して撥水処理したものの吸水防止効果、製造直後の含水軽量気泡コンクリートパネル表面に噴霧して撥水処理したものを屋内放置したときの乾燥性(水分含有量の減少度合い)、ならびに、製造直後の含水軽量気泡コンクリートパネル表面に噴霧して撥水処理した表面への水性アクリルシーリング材(プライマー含む)の付着性を評価した。
【0045】
[水性エマルション]
撥水処理に供したオルガノポリシロキサン水性エマルションの名称と種類と性状と特性を表1に示し、含有しているオルガノポリシロキサンの種類と性状と特性を表2に示す。表中の%は重量%を意味する。
【表1】


注:平均粒径は、レーザー散乱式サブミクロン粒子分析装置(コールターエレクトロニクス社製のCOULTER N4型)により測定したエマルジョン粒子の体積粒径分布における体積平均粒径である。乳化剤は界面活性剤系の乳化剤である。
【0046】
【表2】

【0047】
表2中、BX22-591は、両末端ケイ素原子にメチル基と水酸基が結合したジメチルポリシロキサンの一部のメチル基が-CH2CH2CH2(NHCH2CH2)NH2で置換されたものである。BX22-593は、末端がトリメチルシロキシ基とジメチル(ヒドロキシ)シロキシ基であるジメチルポリシロキサンの一部のメチル基が-CH2CH2CH2(NHCH2CH2)NH2で置換されたものである。BC22-971とBC22-972は、部分架橋したメチルポリシロキサンの一部のメチル基が-CH2CH2CH2(NHCH2CH2)NH2と水酸基で置換されたものである。
BC22-592は、メチル末端ジメチルポリシロキサンの側鎖の一部のメチル基が(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチル基で置換されたものである。
【0048】
アミン当量の単位はグラム/モルである。部分中和は酢酸による。
BX22-591とBX22-593とBC22-592中のオルガノポリシロキサンの粘度は、乳化に供するオルガノポリシロキサン自体を25℃で回転粘度計により測定して求めた。BC22-734中のオルガノポリシロキサンの粘度は、水性エマルションにアセトンを添加して乳化状態を破壊し、水を留去して残渣を25℃で回転粘度計により測定して求めた。BC22-971とBC22-972は、アセトンを添加して乳化状態を破壊し、水を留去したところ膜状物であるため、粘度測定不可能であった。
【0049】
[造膜状態]
各水性エマルションと、その水希釈液(有効成分換算で濃度1.5重量%)を、それぞれ容積1mlのアルミ皿に採取し、実験室内に1日間静置して乾燥させた。乾燥物が、造膜しているか、否かを肉眼観察した。
評価:乾燥物が液状であるものを○と表示し、乾燥物がフィルム状・ゴム状であり造膜しているものを×と表示した。
【0050】
[吸水防止効果]
各水性エマルションを有効成分換算で濃度1.5重量%とした水希釈液を、サイズが250mm×606mm×35mmのボード(製造直後の軽量気泡コンクリートパネル、含水率約40重量%、密度500kg/m3)の平滑面と気泡面(電気カンナにより切削加工した面)に、塗布量が有効成分換算で5g/mとなるようにスプレー塗布した。
塗布したボードを実験室内に静置して3日後に、平滑面と気泡面に水0.5mlを滴下し、蒸発防止のため容積20mlのビーカーで滴下箇所をカバーした。滴下1時間後に、滴下した水の残存状況を観察した。
また、同様に各水性エマルションを塗布したボードを2ヶ月間屋外暴露したものについて同様の評価を行った。
評価:水滴が半分以上残存を○と表示し、水滴が残存するものの半分未満を△と表示し、水滴が残存せずを×と表示した。
【0051】
[水性アクリル系シーリング材の付着強度]
各水性エマルションを有効成分換算で濃度1.5重量%とした水希釈液を、サイズが250mm×606mm×35mmのボード(製造直後の軽量気泡コンクリートパネル、含水率約40重量%、密度500kg/m3)の気泡面(電気カンナによる切削加工面)に、塗布量が有効成分換算で5g/mとなるようにスプレー塗布した。
塗布したボードを実験室内に静置して3日後に、塗布面に日本エヌエスシー株式会社製のアクリル系プライマー(商品名Gプライマー)を塗布した。
【0052】
半日後に、プライマー塗布面に、日本エヌエスシー株式会社製の水性アクリル系シーリング材(商品名ベルエースP4000K)を巾7mm,長さ220mmのビードとなるように打設した。実験室内に2ヶ月間養生して硬化させた後、長さ25mmピッチにカッターで切込みを入れた。引張り巾21mmのクリツパーとプッシュプルゲージ(最大100N)を使用して、硬化したシーリング材を引張り、付着強度を測定した(n=8)。
評価:無塗布(強度比100)と比較して、強度比が95以上を○と表示し、95未満を×と表示した。
【0053】
[乾燥性]
各水性エマルションを有効成分換算で濃度1.5重量%とした水希釈液を、サイズが250mm×606mm×35mmのボード(製造直後の軽量気泡コンクリートパネル、含水率約40重量%、密度500kg/m3)の全面に、塗布量が有効成分換算で5g/mとなるようにスプレー塗布した。25±5℃の実験室内に設置し、その直後から1日後、2日後、3日後、6日後、10日後、15日後、20日後、25日後に重量を測定し、表3に示した。表3中の数値は含水率(重量%)を示す。
【0054】
【表3】


評価:15日後の含水率が10重量%未満を○と表示し、10重量%以上を×と表示した。
【0055】
[総合評価]
全評価項目を、総合的に評価した。
総合評価:1評価項目でも×のないものを○と表示し、1評価でも×のあるものを×と表示した。
【0056】
各評価結果および総合評価を表4に示した。
【表4】

【0057】
[造膜状態]
非造膜性アミノ変性ジメチルポリシロキサンの水性エマルション(実施例1、実施例2)、非造膜性エポキシ変性ジメチルポリシロキサンの水性エマルション(比較例3)ならびにアルキルトリアルコキシシランとシロキサン混合物の水性エマルション(比較例4)は、原液の乾燥物と水希釈液の乾燥物は液状であり、造膜していなかった。本発明者の経験則によると、スプレー塗布装置のノズルと配管の詰まりを引起こす恐れがない。
これに対し、造膜性アミノ変性メチルポリシロキサンの水性エマルション(比較例1と比較例2)は、原液の乾燥物と水希釈液の乾燥物ともにフィルム状、ゴム状に造膜していた。本発明者の経験則によると、現場塗装において、スプレー塗布装置のノズルと配管の詰まりを引起こし、あるいは連続ローラー塗装時にローラー表面に防水膜ができて、使用不可である。
【0058】
[吸水防止効果]
非造膜性アミノ変性ジメチルポリシロキサンの水性エマルション(実施例1、実施例2)の吸水防止効果、撥水性は優れている。無塗布(比較例5)と非造膜性エポキシ変性ジメチルポリシロキサンの水性エマルション(比較例3)の吸水防止効果、撥水性は小さい。
【0059】
[水性アクリル系シーリング材の付着性]
非造膜性アミノ変性ジメチルポリシロキサンの水性エマルション(実施例1、実施例2)による撥水処理面への付着性は正常である。アルキルトリアルコキシシランとシロキサンの混合物の水性エマルション(比較例4)による撥水処理面への付着性は小さい。
【0060】
[乾燥性]
表3からわかるように、非造膜性アミノ変性ジメチルポリシロキサンの水性エマルション(実施例1、実施例2)の含水率の減少傾向は無塗布(比較例5)と同様に、塗布15日後の含水率は10重量%未満であり、差が認められない。
【0061】
[総合評価]
非造膜性アミノ変性ジメチルポリシロキサンの水性エマルション(実施例1、実施例2)は各評価とも満足する結果である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明の撥水性軽量気泡コンクリートパネルおよび撥水性短期保管用軽量気泡コンクリートパネルは、建築物の外壁材、床材、屋根材などとして有用である。
本発明の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルションは、軽量気泡コンクリートパネルおよび短期保管用軽量気泡コンクリートパネルの撥水処理に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量気泡コンクリートパネルの表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションによる撥水処理層を有することを特徴とする、撥水性軽量気泡コンクリートパネル。
【請求項2】
軽量気泡コンクリートパネルの表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションを、噴霧法またはローラー塗装法により付着させ、乾燥することを特徴とする、表面に撥水処理層を有する軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
【請求項3】
珪酸質物質及び石灰質物質を主原料とし、気泡を含有せしめた後に半硬化させ、さらに高温高圧にて水蒸気養生して製造された含水軽量気泡コンクリートパネルの表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションを有効成分換算で0.6〜12.0g/m付着させることによる撥水処理層が形成されていることを特徴とする、短期保管用撥水性軽量気泡コンクリートパネル。
【請求項4】
珪酸質物質及び石灰質物質を主原料とし、気泡を含有せしめた後に半硬化させ、さらに高温高圧にて水蒸気養生して製造された含水軽量気泡コンクリートパネルの表面に、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンの水性エマルションを、噴霧法またはローラー塗装法により、有効成分換算で0.6〜12.0g/m付着させ、乾燥することを特徴とする、表面に撥水処理層を有する短期保管用撥水性軽量気泡コンクリートパネルの製造方法。
【請求項5】
軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルションにおいて、エマルションはO/W型であり、エマルション粒子の平均粒径が10〜1000nmであり、オルガノポリシロキサンは、非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンであり、アミン当量が500〜100,000グラム/モルであり、25℃における粘度が50〜1,000,000mPa・sであることを特徴とする、軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルション。
【請求項6】
非造膜性アミノ変性オルガノポリシロキサンは、非造膜性アミノ変性ジオルガノポリシロキサンであることを特徴とする、請求項5に記載の軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルション。
【請求項7】
非造膜性アミノ変性ジオルガノポリシロキサンは、末端ケイ素原子にメチル基のみ、またはメチル基と水酸基が結合したジメチルポリシロキサンであり、一部のメチル基がアミノアルキル基またはN-(アミノアルキル)アミノアルキル基で置換されていることを特徴とする、請求項6に記載の軽量気泡コンクリートパネル表面の撥水処理用オルガノポリシロキサン水性エマルション。

【公開番号】特開2009−215118(P2009−215118A)
【公開日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−61679(P2008−61679)
【出願日】平成20年3月11日(2008.3.11)
【出願人】(000110077)東レ・ダウコーニング株式会社 (338)
【出願人】(000185949)クリオン株式会社 (105)
【Fターム(参考)】