説明

撥液性を有する光硬化性インクジェット用インク

【課題】インクジェット法に適用でき、さらに描画したパターン表面が高度な撥液性を保持する光硬化性インクジェット用インクを提供すること。
【解決手段】(A)下記(a−1)成分および/または下記(a−2)成分と、(B)ラジカル重合性モノマーと、(C)光重合開始剤とを含有する光硬化性インクジェット用インク:(a−1);置換されていてもよいオキシラニルまたは置換されていてもよいオキセタニルを有するモノマー(a−2);(メタ)アクリロイルを有するシラン化合物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示素子や有機EL表示素子などの表示素子を製造するための光硬化性インクジェット用インク、該インクから製造した硬化膜等に関する。
【背景技術】
【0002】
パターン化された硬化膜は、スペーサー、絶縁膜、保護膜など液晶表示素子の多くの部分で使用されており、これまで様々な感光性組成物が、この用途に用いられてきた(例えば特許文献1参照)。
【0003】
感光性組成物を用いてパターン化された硬化膜を作成する方法としては、所望のパターンを有するマスクを介して紫外線を感光性組成物の塗布膜に照射し、紫外線の当たっていない部分(感光性組成物がネガ型の場合)または紫外線の当たった部分(感光性組成物がポジ型の場合)を現像により除去する、フォトリソグラフィ法が一般的である。
【0004】
しかしながら、フォトリソグラフィ法では露光機、現像機等を備えた専用ラインが必要であり、設備投資も大きな金額になる。また、現像工程で多くのレジスト材料を無駄に廃棄してしまう。さらにフォトリソグラフ法で必要となる現像工程で、紫外線の当たった部分または当たっていない部分が完全に現像液に溶解しきれず、基板表面に溶け残ってしまうことが問題となることもある。
【0005】
そこで最近は、上記のような問題のないインクジェット法による表示素子等の形成が多くなされている。先に本出願人はかかるインクジェット塗布に不可欠となる隔壁を形成するためのバンク材料として、感光性組成物を提案してきた(特許文献2〜3参照)。バンク材料は表示素子における画素間の仕切りであり、基板上にバンク材料を形成した後に、インクジェット法によって画素などが形成され、表示素子が製造されている。
【0006】
そのようなバンク材料には、インクジェットのヘッドノズルから噴出された液状物質が付着しない特性、すなわち撥液性が求められる。インクジェットノズルを継続使用していると、ノズルの先端でインクが固まり、インクが真下に噴出されなくなることがある。そのような場合に、バンク材料にインクが飛び散ってくることがあるが、バンク材料が撥液性を有していれば、インクはバンク材料に付着せず、インクが所望の場所へ滑り落ちていく(図1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−287232号公報
【特許文献2】特開2007−119728号公報
【特許文献3】特開2008−209739号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献2および3に記載の技術では、バンク材料となる組成物はスピンコートなどにより塗布され、マスクを介して塗布膜の一部を硬化させてバンク材料が形成されている。すなわちバンク材料はフォトリソグラフィ法によって形成されている。
【0009】
フォトリソグラフィ法には上記のような問題点があるため、バンク材料もインクジェット法によって形成することができれば、コストなどの面で有利であると考えられる。
【0010】
本発明の課題は、インクジェット法に適用でき、さらに描画したパターン表面が高度な撥液性を保持する光硬化性インクジェット用インクを提供することである。また本発明の別の課題は、該インク組成物を用いて透明膜、絶縁膜および保護膜などの用途に使用することができる硬化膜を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、特定の成分、ラジカル重合性モノマーおよび光重合開始剤を含有する光硬化性インクジェット用インクが、光照射により硬化膜を形成することができ、かつその硬化膜が前述の特性、すなわち撥液性に優れていることを見出し、発明を完成させた。
【0012】
すなわち本発明の要旨は、以下の通りである。
【0013】
[1](A)下記(a−1)成分および/または下記(a−2)成分と、
(B)ラジカル重合性モノマーと、
(C)光重合開始剤と
を含有する光硬化性インクジェット用インク:
(a−1);置換されていてもよいオキシラニルまたは置換されていてもよいオキセタニルを有するモノマー
(a−2);(メタ)アクリロイルを有するシラン化合物。
ここで、本発明の光硬化性インクジェット用インクは、前記(A)成分として(a−1)成分を含有することが好ましい。
【0014】
[2]前記(A)成分が、下記式(1)で表される化合物であることを特徴とする[1]に記載の光硬化性インクジェット用インク:
【0015】
【化1】

【0016】
(式中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルコキシまたは炭素数1〜20のアルキルで置換されていてもよいシロキシであり、
1は、置換されていてもよいオキシラニル、置換されていてもよいオキセタニルもし
くは(メタ)アクリロイルを有する炭素数1〜20のアルキルである。)。
【0017】
[3]前記(A)成分が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレートおよび下記(2)式で表されるエポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする[1]または[2]に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0018】
【化2】

【0019】
[4]前記光硬化性インクジェット用インクからなる塗膜に波長365nmの紫外線を露光量500mJ/cm2で照射して、さらに230℃で30分加熱して得られる硬化膜
の表面における、25℃での純水の接触角が80度以上であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0020】
[5]前記硬化膜に波長254nmの紫外線を露光量1800mJ/cm2で照射して
UV/オゾンアッシング処理を行なった後の硬化膜表面における、25℃での純水の接触角が70度以上であることを特徴とする[4]に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0021】
[6]前記ラジカル重合性モノマー(B)が、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレートおよびジプロピレングリコールジアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0022】
[7]前記光重合開始剤(C)が、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチルー1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパンー1−オン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする[1]〜[6]のいずれかに記載の光硬化性インクジェット用インク。
【0023】
[8]さらに着色剤(D)を含有することを特徴とする[1]〜[7]のいずれかに記載の光硬化性インクジェット用インク。
ここで、前記着色剤(D)は顔料であることが好ましく、特にカーボンブラックであることが好ましい。
【0024】
[9][1]〜[8]のいずれかに記載された光硬化性インクジェット用インクを硬化
させて得られる硬化膜。
【0025】
[10][1]〜[8]のいずれかに記載された光硬化性インクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって基板に塗布して塗膜を形成する工程、および当該塗膜に光を照射することによって硬化膜を形成する工程を含む硬化膜の形成方法。
【0026】
[11]基板上に[9]に記載の硬化膜が形成されてなる電子部品。
【発明の効果】
【0027】
本発明の光硬化性インクジェット用インクは、十分な撥液性を有する硬化膜を形成することができ、特にプラスティックなどの比較的耐熱性の低い基板上に電子回路を形成する用途に最適である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は、バンク材料の機能を説明する概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[1.本発明の光硬化性インクジェット用インク]
本発明の光硬化性インクジェット用インク(以下単に「本発明のインク」ともいう)は、(A)下記(a−1)成分および/または(a−2)成分と、(B)ラジカル重合性モノマーと、(C)光重合開始剤とを含有する。
(a−1)置換されていてもよいオキシラニルまたは置換されていてもよいオキセタニルを有するモノマー
(a−2)(メタ)アクリロイルを有するシラン化合物。
【0030】
本発明のインクは、無色であっても有色であってもよい。また本発明のインクは、必要に応じて、たとえば後述する各種のその他の成分を含んでいてもよい。特に有色のインクジェット用インクが求められる時は、本発明のインクは着色剤(D)を含有することが好ましい。以下、上記(A)、(B)および(C)成分の順に説明し、さらに前記着色剤(D)および前記その他の成分について説明する。
【0031】
<1.1.(A)成分>
本発明の光硬化性インクジェット用インクは、(A)成分として、置換されていてもよいオキシラニルまたは置換されていてもよいオキセタニルを有するモノマー(a−1)および/または(メタ)アクリロイルを有するシラン化合物(a−2)を含有する。本発明のインクは、得られる硬化膜の撥液性の観点から(A)成分として(a−1)成分を含有していることが好ましい。
【0032】
前記オキシラニルまたはオキセタニルに結合してもよい置換基の例としては、アルコキシル、ビニル、アリル、カルボキシル、ヒドロキシルなどが挙げられる。前記アルコキシルとして好ましいのは、炭素数1〜20のアルコキシルである。
【0033】
前記(a−1)成分の例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、下記式(2)で表わされる化合物、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼンなどが挙げられる。
【0034】
【化3】

【0035】
前記「(メタ)アクリレート」とは、メタクリレートまたはアクリレートを表す。
【0036】
次に、上記(a−2)成分について、「(メタ)アクリロイル」とは、メタクリロイルまたはアクリロイルを表す。(a−2)成分の例としては、(メタ)アクリロイロキシプロピル−トリス−トリメチルシロキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシランが挙げられる

【0037】
また、(A)成分は下記式(1)で表わされる化合物であってもよい。
【0038】
【化4】

【0039】
上記式において、R1〜R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルコキシまたは炭素数1〜20のアルキルで置換されていてもよいシロキシである。またA1は、置換されていてもよいオキシラニル、置換されていてもよいオキセタ
ニルもしくは(メタ)アクリロイルを有する炭素数1〜20のアルキルである。
【0040】
前記炭素数1〜20のアルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシルなどが挙げられる。
【0041】
前記炭素数1〜20のアルコキシとしては、メトキシ、エトキシ、プロキシ、イソプロキシなどが挙げられる。
【0042】
前記オキシラニルまたはオキセタニルに結合してもよい置換基の例としては、アルコキシル、ビニル、アリルなどが挙げられる。前記アルコキシルとして好ましいのは、炭素数1〜20のアルコキシルである。
【0043】
またR1〜R3としては、炭素数1〜10のアルキル、炭素数1〜10のアルコキシおよび炭素数1〜10のアルキルで置換されたシロキシが好ましく、炭素数1〜5のアルキル、炭素数1〜5のアルコキシおよび炭素数1〜5のアルキルで置換されたシロキシがより好ましい。
【0044】
1としては、グリシドキシ、(メタ)アクリルまたはビニルを有する基が好ましく、
3−グリシドキシプロピル、メタクリロイロキシがより好ましい。
【0045】
(A)成分としては、ジェッティング時の本発明のインクの吐出安定性および膜の硬化性の観点から3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレートおよび上記式(2)で表わされるエポキシ化合物が好ましい。
【0046】
このような特定の(A)成分を含有する本発明の光硬化性インクジェット用インクを硬化させて得られる硬化膜は、撥液性が優れている。(A)成分は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。また(A)成分は市販されており、公知の方法で製造することもできる。
【0047】
<1.2.(B)ラジカル重合性モノマー>
本発明の光硬化性インクジェット用インクに含まれるラジカル重合性モノマー(B)は、ラジカル重合性基を1つ以上有している化合物であれば特に限定されない。なお、ラジカル重合性モノマー(B)におけるラジカル重合性基の数は、通常6個以下である。
【0048】
ラジカル重合性モノマー(B)の具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、3−メチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、3−エチル−3−(メタ)アクリロキシエチルオキセタン、2−トリフロロメチル−3−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、4−トリフロロメチル−2−(メタ)アクリロキシメチルオキセタン、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、(3−エチル−3−オキセタニル)メチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー、ラウリルアルコールのエチレンオキシド付加物の(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、α−クロルアクリル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、コハク酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、マレイン酸モノ[2−(メタ)アクリロイロキシエチル]、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ビスフェノールFエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエチレンオキシド変性ジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性ジ/トリ(メ
タ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートモノステアレート、ペンタエリスリトールトリ/テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ/ヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ/トリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ/トリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エピクロルヒドリン変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、カプロラクトン変性トリス[(メタ)アクリロキシエチル]イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレートおよびジプロピレングリコールジアクリレートを挙げることができる。
【0049】
これらの中でも、本発明のインクのジェッティング時の吐出安定性及び該インクから得られる塗膜の硬化性を良好にする観点から、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ウレタン(メタ)アクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレートおよびジプロピレングリコールジアクリレートが望ましい。
【0050】
これらのラジカル重合性モノマー(B)を含有する光硬化性インクジェット用インクはジェッティング性が良好であるとともに、紫外線に対して高感度である。そのため紫外線照射のみで形成した該インクの硬化膜は充分な耐熱性や絶縁性を有し、表示素子における保護膜や絶縁膜の用途に好適である。
【0051】
本発明のインクに含まれるラジカル重合性モノマー(B)は、1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
【0052】
<1.3.光重合開始剤(C)>
本発明の光硬化性インクジェット用インクに含まれる光重合開始剤(C)は、光の照射によりラジカルを発生する性質を有する限り特に限定されない。
【0053】
光重合開始剤(C)の具体例としては、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、4,4'
−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、キサントン、チオキサントン、イソプロピルキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、アセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−4'−イソプロピルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、イ
ソプロピルベンゾインエーテル、イソブチルベンゾインエーテル、2,2−ジエトキシア
セトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、カンファーキノン、ベンズアントロン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4,4'−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4,
4'−トリ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、ビス(2,4,6,−
トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、2−(4'−メトキシスチリル)−4,6−
ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(3',4'−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2',4'−ジメトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(2'−メトキシス
チリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4'−ペンチル
オキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、4−[p−N,N−ジ(エトキシカルボニルメチル)]−2,6−ジ(トリクロロメチル)−s−トリアジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(2'−クロロフェニル)−s−トリ
アジン、1,3−ビス(トリクロロメチル)−5−(4'−メトキシフェニル)−s−ト
リアジン、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、3,3'−カ
ルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、2−(o−クロロフェニル)−4,4'
,5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2−クロロフ
ェニル)−4,4',5,5'−テトラキス(4−エトキシカルボニルフェニル)−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4−ジブロモフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイミダゾール、2,2'−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4',5,5'−テトラフェニル−1,2'−ビイ
ミダゾール、3−(2−メチル−2−ジメチルアミノプロピオニル)カルバゾール、3,6−ビス(2−メチル−2−モルホリノプロピオニル)−9−n−ドデシルカルバゾール、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス(η5−2,4−シクロペンタジ
エン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、下記式(3)で表される化合物および下記式(4)で表される化合物が挙げられる。
【0054】
【化5】

【0055】
(式(3)中、複数存在するR14はそれぞれ独立して炭素数1〜13のアルキルであり、複数存在するX1はそれぞれ独立して−O−、−O−O−又は−NH−である。)
【0056】
【化6】

【0057】
(式(4)中、複数存在するR15はそれぞれ独立して水素又は炭素数1〜5のアルキルであり、R16は炭素数1〜15のアルキルである。)。
【0058】
ここで、前記式(3)で表される化合物の具体例として、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3',4,4'−テトラ(t−ヘキシルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,3'−ジ(メトキシカルボニル)−
4,4'−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノン、3,4'−ジ(メトキシカルボニル)−4,3'−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよ
び4,4'−ジ(メトキシカルボニル)−3,3'−ジ(t−ブチルペルオキシカルボニル)ベンゾフェノンが挙げられる。
【0059】
また、前記式(4)で表される化合物の具体例としては、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−,2−(o−ベンゾイルオキシム)が挙げられる。
【0060】
以上例示した化合物のうち、本発明で用いる光重合開始剤(C)として好ましいのは、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチルー1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパンー1−オン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である。
【0061】
これらの好ましい化合物(単数又は複数)の、本発明のインクに含まれる光重合開始剤(C)の全重量に対する割合を20重量%以上、より好ましくは30重量%以上、特に好ましくは40重量%以上とすると、得られる光硬化性インクジェット用インクが光に対して高感度となる。
【0062】
また前記2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドの具体的な市販品としては、「DAROCUR TPO」が挙げられ、前記2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1の具体的な市販品としては、「IRGACURE 369」(何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)が挙げられる。
【0063】
本発明のインクに含まれる光重合開始剤(C)は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
【0064】
{(A)成分、ラジカル重合性モノマー(B)および光重合開始剤(C)の含有量}
本発明の光硬化性インクジェット用インクは、上述した(A)成分、ラジカル重合性モノマー(B)および光重合開始剤(C)を必須成分として含有する。
【0065】
本発明のインクにおける(A)成分の含有量は、3〜60重量%であることが好ましく、5〜50重量%であることがさらに好ましく、8〜40重量%であることが特に好ましい。(A)成分の濃度をこの範囲にすると、得られる光硬化性インクジェット用インクの吐出性と光感度、ならびに該インクから得られる硬化膜の耐熱性等のバランスが良好となる。なお、本発明のインクはインクジェットノズルからの吐出性を高めるために溶媒を含有してもよいが、その場合には、(A)成分の本発明のインクにおける含有量は、溶媒を除く全重量に対して、上記の範囲となる量である。ただし、本発明のインクが溶媒を含有する場合には、加温ジェッティング時に溶媒が揮発し、長時間ジェッティングするとインクが増粘して吐出の安定性が損なわれることがあるので、本発明のインクは溶媒を含まないことが好ましい。
【0066】
本発明のインクにおけるラジカル重合性モノマー(B)の含有量は、溶媒を除く全重量に対して、40〜90重量%であることが好ましく、50〜88重量%であることがさらに好ましく、60〜87重量%であることが特に好ましい。ラジカル重合性モノマー(B)の含有量をこの範囲にすると、得られる光硬化性インクジェット用インクが光に対して高感度となり、また該インクから得られる硬化膜の耐熱性等が高くなる。
【0067】
また、(A)成分100重量部に対して、ラジカル重合性モノマー(B)は好ましくは80〜1000重量部、より好ましくは90〜800重量部、さらに好ましくは100〜700重量部の割合で本発明のインクに含まれると、本発明のインクは光に対して高感度となる。
【0068】
光重合開始剤(C)は、(A)成分およびラジカル重合性モノマー(B)の合計100重量部に対して、好ましくは1〜50重量部、より好ましくは3〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部の割合で本発明のインクに含まれると、本発明のインクは光に対して高感度となる。
【0069】
<1.4.着色剤(D)>
本発明の光硬化性インクジェット用インクには、本発明のインクの特性を損なわない範囲で、着色剤(D)を含有させてもよい。本発明のインクに着色剤(D)を含有させることにより、本発明のインクから得られる硬化膜をLCDのカラーフィルターに用いられるブ
ラックマトリックス等の用途に用いることができる。
【0070】
着色剤(D)は、顔料であっても染料であってもよい。本発明のインクのその他の成分との相溶性の観点からは染料であることが好ましく、一方該インクから形成される硬化膜の耐熱性を考慮すると、着色剤(D)は顔料であることが好ましい。
【0071】
着色剤(D)が顔料である場合、本発明のインク(該インクが溶媒を含む場合には、溶媒を除く全成分)における着色剤(D)の含有量を1〜50重量%程度とすると、該インクから形成される硬化膜の状態を検査する際に、硬化膜と基板との識別を容易にすることができる。
【0072】
着色剤(D)が染料である場合、本発明のインク(該インクが溶媒を含む場合には、溶媒を除く全成分)における着色剤(D)の含有量を0.05〜2重量%程度とすると、インクの着色を確認でき、無色の場合に比べて本発明のインクの存在が確認しやすくなり、またインクの吐出性も妨げられることがない。
【0073】
着色剤(D)として用いられる顔料としては、C.I.ピグメント レッド 177、C.I.ピグメント レッド 178、C.I.ピグメント レッド 202、C.I.ピグメント レッド 209、C.I.ピグメント レッド 254、C.I.ピグメント レッド 255、C.I.ピグメント グリーン 7、C.I.ピグメント グリーン 36、C.I.ピグメント ブルー 15、C.I.ピグメント ブルー 15:3、C.I.ピグメント ブルー 15:4、C.I.ピグメント ブルー 15:6、C.I.ピグメント ブルー 16、C.I.ピグメント イエロー 83、C.I.ピグメント イエロー 128、C.I.ピグメント イエロー 138、C.I.ピグメント イエロー 139、C.I.ピグメント イエロー 150、C.I.ピグメント バイオレット 23、C.I.ピグメント バイオレット 37、C.I.ピグメント オレンジ 43、C.I.ピグメント オレンジ 71、C.I.ピグメント ブラック
1、C.I.ピグメント ブラック 6、C.I.ピグメント ブラック 7(カーボンブラック)、C.I.ピグメント ブラック 8、C.I.ピグメント ブラック 9、C.I.ピグメント ブラック 10、C.I.ピグメント ブラック 11、C.I.ピグメント ブラック 31、C.I.ピグメント ホワイト 6、及びチタンブラックなどを挙げることができる。
【0074】
着色剤(D)として黒色の着色剤を用いると、本発明のインクはブラックマトリクスを形成するための材料として使用することができる。黒色の着色剤として好ましいのは、高OD値や高耐熱性の観点からカーボンブラックである。
【0075】
また本発明において、着色剤(D)は、1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
【0076】
<1.5.その他の成分>
本発明の光硬化性インクジェット用インクは、インクの吐出特性、保存安定性や、得られる硬化膜の耐久性等を向上させるために、溶媒、重合禁止剤、アルカリ可溶性ポリマー、界面活性剤、帯電防止剤、カップリング剤、pH調整剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート化剤、水溶性ポリマーなどの添加剤を含むことができる。これらの成分は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。なお、本発明のインクが溶媒を含有すると、加温ジェッティング時に溶媒が揮発し、長時間ジェッティングすると増粘してインクの吐出の安定性が損なわれることがあるため、本発明のインクには溶媒が含まれないことが好ましいのは、前述のとおりである。
【0077】
また本発明の光硬化性インクジェット用インクの水分量は特に限定されないが、10,000ppm以下が好ましく、5,000ppm以下がさらに好ましい。これらの水分量であると、本発明のインクの経時的な粘度変化が少なく保存安定性に優れるので、好ましい。
【0078】
(1.5.1.溶媒)
本発明の光硬化性インクジェット用インクは、インクの吐出特性を向上させるなどのため、必要に応じて溶媒を含有してもよい。光硬化性インクジェット用インクに含まれる溶媒としては、ジェッティング時の吐出安定性の観点から沸点が100℃以上の溶媒が好ましい。溶媒は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物の混合物であってもよい。
【0079】
沸点が100℃以上である溶媒の具体例としては、水、酢酸ブチル、プロピオン酸ブチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢
酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル、ジオキサン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トルエン、キシレン、アニソール、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルイミダゾリジノンが挙げられる。
【0080】
これらの溶媒の中でもジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル等を用いると、本発明のインクの吐出性が安定するので好ましい。
【0081】
(1.5.2.重合禁止剤)
本発明の光硬化性インクジェット用インクは、その保存安定性を向上させるために重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤は1種の化合物であっても、2種以上の異なる化合物
の混合物であってもよい。
【0082】
重合禁止剤の具体例としては、4−メトキシフェノール、ヒドロキノン、フェノチアジンを挙げることができる。これらの中でも、本発明のインクに含有させてもインクの粘度をほとんど増加させない点から、重合禁止剤としてフェノチアジンを用いることが好ましい。
【0083】
本発明のインクの保存安定性と光に対する高い感度とを両立させるという点からは、前記重合禁止剤は、(A)成分およびラジカル重合性モノマー(B)の合計100重量部に対して、0.01〜1重量部程度含まれることが好ましい。
【0084】
(1.5.3.界面活性剤)
本発明の光硬化性インクジェット用インクの塗布性向上などを望むときには、かかる目
的にそった界面活性剤を含有させることができる。
【0085】
前記界面活性剤の具体例としては、商品名「Byk−300」、「Byk−306」、「Byk−335」、「Byk−310」、「Byk−341」、「Byk−344」、「Byk−370」(ビック・ケミー(株)製)等のシリコン系界面活性剤;
商品名「Byk−354」、「Byk−358」、「Byk−361」(ビック・ケミー(株)製)等のアクリル系界面活性剤;
商品名「DFX−18」、「フタージェント250」、「フタージェント251」(ネオス(株)製)等のフッ素系界面活性剤を挙げることができる。これらの界面活性剤は、1種のみを用いてもよく、また2種以上を混合して用いてもよい。
【0086】
界面活性剤は、インクの下地基板への濡れ性、レベリング性、または塗布性を向上させるために使用するものであり、本発明のインク(該インクに溶媒が含まれる場合には、溶媒を除く全成分)100重量%中、0.5〜2重量%含有されることが好ましい。
【0087】
<1.6.本発明の光硬化性インクジェット用インクの調製方法>
本発明の光硬化性インクジェット用インクは、原料となる各成分を公知の方法により混合することで調製することができる。特に、本発明のインクは、前記(A)、(B)、(C)成分および必要に応じて上記の着色剤(D)やその他の成分を混合し、得られた溶液をろ過して脱気することにより調製されることが好ましい。そのようにして調製された本発明のインクは、吐出安定性に優れる。前記ろ過には、例えばフッ素樹脂製のメンブレンフィルターなどが用いられる。
【0088】
<1.7.光硬化性インクジェット用インクの粘度>
光硬化性インクジェット用インクの粘度は特に限定されないが、25℃における粘度が3〜300mPa・sであると、インクジェット塗布方法によるジェッティング精度が高いので好ましい。より好ましくは5〜200mPa・s、さらに好ましくは10〜150mPa・sである。なお、本明細書において「粘度」とは、JIS K−7117−2に準拠してE型粘度計(東機産業(株)製 TV−22)を用いて測定した粘度である。
【0089】
本発明のインクの25℃における粘度が30mPa・sを超える場合は、インクジェットヘッドを加熱して吐出時のインクの粘度を下げると、安定した吐出が可能である。インクジェットヘッドを加熱してジェッティングを行なう場合は、加熱温度(好ましくは40〜120℃)における本発明のインクの粘度は3〜30mPa・sであることが好ましく、5〜25mPa・sであればさらに好ましく、10〜20mPa・sであることが特に好ましい。
【0090】
なお、インクジェットヘッドを加熱せずに安定して吐出する場合は、25℃における粘度を30mPa・s以下にしなければならないが、(A)成分の種類と、ラジカル重合性モノマー(B)の種類と、それら二成分の重量比とを調整することにより、本発明のインクの25℃における粘度を30mPa・s以下に調整することができる。
【0091】
例えば、(A)成分としてメタクリロイロキシプロピル‐トリス‐トリメチルシロキシ
シランを30重量部と、(B)成分として、ジシクロペンタニルアクリレート100重量
部およびトリシクロデカンジメタノールジアクリレート100重量部とを混合した溶液の場合、その粘度は51mPa・sであるが、(B)成分であるジシクロペンタニルアクリレ
ートおよびトリシクロデカンジメタノールジアクリレートの使用量の比を140対60にすることで粘度は23mPa・sにまで低下し、さらに180対20にすることで14mPa・sになる。また(A)成分として3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシランを30
重量部と、(B)成分として1,6ヘキサンジオールジアクリレート100重量部およびε
‐カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート100重量部とを混合した溶液の場合、その粘度は38mPa・sであるが、(B)成分である1,6ヘキサンジオールジアクリレートおよびε‐カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレートの使用量の比を150対50にすることで粘度は14mPa・sに低下する。
【0092】
なお、本発明のインクには光重合開始剤(C)が必須の成分であるが、上記(A)成分
および(B)成分の混合溶液に光重合開始剤(C)を加えると、(A)成分および(B)成
分のみの場合に比べて粘度が2〜6mPa・s程度上昇する。
【0093】
また、たとえ25℃における粘度が30mPa・s以下に調整された本発明のインクであっても、気温の変動に関わらずジェッティング時にこの粘度を実現するために、ヘッドを一定温度に加熱する場合がある。
【0094】
<1.8.光硬化性インクジェット用インクの保存>
本発明の光硬化性インクジェット用インクは、−20〜20℃で保存すると粘度変化が小さく、保存安定性が良好である。
【0095】
[2.インクジェット法による光硬化性インクジェット用インクの塗布]
本発明の光硬化性インクジェット用インクは、公知のインクジェット塗布法に用いることが出来る。インクジェット塗布法としては、例えばインクに力学的エネルギーを作用させてインクを塗布する方法、及びインクに熱エネルギーを作用させてインクを塗布する方法がある。インクジェット塗布法を用いることにより、本発明のインクを予め定められたパターン状に塗布(描画)することが出来る。これによって、必要な箇所だけにインクを塗布でき、コスト削減となる。
【0096】
本発明のインクを用いたインクジェット塗布を行なうのに好ましい塗布ユニットとしては、例えばこれらのインクを収容するインク収容部と、塗布ヘッドとを備えた塗布ユニットが挙げられる。塗布ユニットとしては、例えば塗布信号に対応した熱エネルギーをインクに作用させ、前記エネルギーによりインク液滴を発生させながら、前記塗布信号に対応した塗布(描画)を行う塗布ユニットが挙げられる。前記塗布ヘッドとしては、例えば金属及び/又は金属酸化物を含有する発熱部接液面を有するものが挙げられる。前記金属及び/又は金属酸化物の具体例としては、Ta、Zr、Ti、Ni、Al等の金属、及びこれらの金属の酸化物が挙げられる。
【0097】
本発明のインクを用いて塗布を行なうのに好ましい塗布装置としては、例えばインクが収容されるインク収容部を有する塗布ヘッドの室内のインクに、塗布信号に対応したエネルギーを与え、前記エネルギーによりインク液滴を発生させながら、前記塗布信号に対応した塗布(描画)を行う装置が挙げられる。
【0098】
インクジェット塗布装置は、塗布ヘッドとインク収容部とが分離されているものに限らず、それらが分離不能に一体になったものを用いてもよい。また前記インク収容部は、前記塗布ヘッドに対し分離可能又は分離不能に一体化されてキャリッジに搭載されるもののほか、装置の固定部位に設けられて、インク供給部材、例えばチューブを介して塗布ヘッドにインクを供給する形態のものでもよい。
【0099】
[3.硬化膜の形成]
本発明の光硬化性インクジェット用インクから得られる硬化膜は、インクジェット塗布方法を用いて基板にインクを塗布し、塗膜を形成した後に、当該塗膜に紫外線や可視光線等の光を照射することによって形成することができる。
【0100】
塗膜のうち光が照射された部分は、例えばラジカル重合性モノマー(B)の重合により三次元架橋体となって硬化し、また(A)成分のうち(a−2)が光重合して硬化し、塗膜を構成するインクの広がりを効果的に抑えられる。したがって、本発明の光硬化性インクジェット用インクを用いると、高精細なパターン描画が可能になる。
【0101】
照射する光の量は本発明のインクの組成に依存するが、照射する光として紫外線を用いた場合には、照射する紫外線の量は、ウシオ電機(株)製の受光器UVD−365PDを取り付けた積算光量計UIT−201で測定して、10〜1,000mJ/cm2程度と
なる量が好ましい。
【0102】
また、必要に応じて、光照射により得られる硬化膜をさらに加熱することにより焼成(ポストベイク)してより強く硬化させてもよく、特に120〜250℃で10〜60分間加熱することが好ましい。
【0103】
このようにして本発明のインクを硬化させて得られる硬化膜は撥液性に優れ、たとえば本発明のインクからなる塗膜を波長365nmの紫外線で、露光量500mJ/cm2
硬化させ、その塗膜をさらに230℃で30分加熱して得られる硬化膜の表面における、25℃での純水の接触角は通常80度以上であり、好ましくは90〜110度である。
【0104】
本発明のインクを基板に塗布し、光硬化させて得られる硬化膜は、上述のように優れた撥液性を有するため、表示素子の製造におけるバンク材料として好適である。
【0105】
上記のようにして基板上に硬化膜を形成した後、表示素子を形成するための様々な材料の基板への塗布性向上を目的として、必要に応じてUV/オゾンアッシング処理を行うことがある。本発明のインクは、短時間のUV/オゾンアッシング処理に対しての耐性を兼ね備えており、100〜3000mJ/cm2のUV照射によるUV/オゾンアッシング処理であれば、形成された硬化膜表面の撥液性の低下が抑えられる。
【0106】
より具体的には、たとえば本発明のインクからなる塗膜を波長365nmの紫外線で、露光量500mJ/cm2で硬化させ、その塗膜をさらに230℃で30分加熱して得ら
れる硬化膜に、波長254nmの紫外線を露光量1800mJ/cm2で照射してUV/
オゾンアッシング処理を行った後の硬化膜表面における、25℃での純水の接触角は、通常70度以上であり、好ましくは75〜100度である。
【0107】
本明細書中、上記「基板」とは、本発明の光硬化性インクジェット用インクが塗布される対象となりうるものであれば特に限定されず、その形状は平板状に限られず、曲面状であってもよい。
【0108】
また、使用できる基板の材質は特に限定されないが、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド等のプラスティックフィルム、セロハン、アセテート、金属箔、ポリイミドと金属箔の積層フィルム、目止め効果があるグラシン紙、パーチメント紙、あるいはポリエチレン、クレーバインダー、ポリビニルアルコール、でんぷん、カルボキシメチルセルロース(CMC)などで目止め処理した紙、ガラスなどを挙げることができる。
【0109】
尚、これらの基板を構成する物質は、本発明の効果に悪影響を及ぼさない範囲において、さらに顔料、染料、酸化防止剤、劣化防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤及び
/又は電磁波防止剤等の添加剤を含んでもよい。
【0110】
上記基板の厚さは特に限定されないが、通常10μm〜2mm程度であり、使用する目的により適宜調整されるが、15〜500μmが好ましく、20〜200μmがさらに好ましい。上記の基板の硬化膜を形成する面には、必要によりコロナ処理、プラズマ処理、ブラスト処理等の易接着処理を施したり、易接着層を設けてもよい。
【0111】
本発明の光硬化性インクジェット用インクは表示素子、例えばLCDにおけるカラーフィ
ルターにおける、各画素をインクジェット方式で印刷する際のバンク材料(いわゆるブラックマトリックス)として使用される。初めに上記基板上にインクジェットでバンクパターンを印刷し、その後必要な箇所にカラーインクをインクジェット印刷することで、LCD
におけるカラーフィルターが得られる。
【0112】
また本発明のインクは、例えば基板上に、ゲート電極、ゲート絶縁膜、ソース・ドレイン電極、半導体および保護膜が形成されてなる有機薄膜トランジスタの製造工程において、インクジェット方式で前記電極を塗布する際にバンク材料として使用することにより、電極形成の効率や電極層の均一性を高めることができる。さらに本発明のインクは前記トランジスタに加えて、コイル、コンデンサーおよび抵抗器などの電子部品の製造にも利用することができる。
【0113】
このように本発明のインクを使用して製造された電子部品を搭載したプラスティック基板などの電子回路基板も、本発明の範囲に含まれる。
【実施例】
【0114】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0115】
実施例または比較例では、以下の化合物について、以下のような記号で表すことにする。
【0116】
<(A)成分>
A−1:グリシジルメタクリレート
A−2:メタクリロイロキシプロピル‐トリス‐トリメチルシロキシシラン
A−3:3‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン
A−4:ジグリシジルヘキサヒドロフタレート
A−5:下記式(2)に記載の化合物
【0117】
【化7】

【0118】
A−6:3−エチル−3[[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル]オキセタン。
【0119】
<ラジカル重合性モノマー(B)>
B−1:1,6ヘキサンジオールジアクリレート
B−2:ジシクロペンタニルアクリレート
B−3:ε‐カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート
B−4:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート
B−5:テトラヒドロフルフリルアクリレート
B−6:R−1214(商品名:第一工業製薬(株)製ウレタンアクリレート(ニューフロンティア))
B−7:プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート
B−8:ジプロピレングリコールジアクリレート。
【0120】
<光重合開始剤(C)>
C−1:Darocur TPO(商品名:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
C−2:Irgacure 369(商品名:チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)。
【0121】
実施例または比較例で得られたインクジェット用インクおよび硬化膜の評価方法は以下の通りである。
【0122】
(粘度)
JIS K−7117−2に準拠して、E型粘度計(東機産業(株)製 TV−22)により各光硬化性インクジェット用インクの粘度を測定した。なお、測定温度は25℃である。
【0123】
[実施例1〜10および比較例1〜4]
各実施例および比較例において、表1に示す配合割合(表1内の数値は「重量部」を表す)で各配合成分を混合溶解した後、得られた混合液をフッ素樹脂製のメンブレンフィルター(0.5μm)で濾過し、光硬化性インクジェット用インクを調製した。
【0124】
【表1】

【0125】
これらの光硬化性インクジェット用インクを用い、インクジェット印刷装置を用いて、以下の条件で基板(厚さ0.7mm)上にパターンを描画し、次いで硬化させて試験基板を作製した。
【0126】
(インクジェット印刷装置による描画条件)
印刷装置:DMP−2831(FUJIFILM Dimatix社製)
諸設定値:ヘッド温度(30℃)、ピエゾ電圧(19V)、駆動周波数(5kHz)。
【0127】
(光硬化の条件)
露光装置:TME−400PRC((株)トプコン製)
諸設定値:露光紫外線波長(365nm)、露光量(500mJ/cm2)。
【0128】
(Bake条件)
上記の条件で光硬化性インクジェット用インクを光硬化させた後、さらにオーブン内で、光硬化により得られた硬化膜を230℃で30分間ポストベイクした。
【0129】
(UV/オゾンアッシング条件)
装置:PL2003N−12(セン特殊光源(株)社製PHOTO SURFACE PROCESSOR)
諸設定値:紫外線波長(254nm)、露光量(1800mJ/cm2
照射時間:120秒
以上の条件で、ポストベイクした硬化膜をUV/オゾンアッシング処理した。
【0130】
(接触角の測定)
硬化膜上の水(純水)の接触角の測定は、以下の装置、条件にて行なった。
測定装置:DropMaster500(協和界面化学(株)製)
諸設定値:測定温度(25℃)、水滴着弾1秒後の値を計測。なお、接触角の測定はポス
トベイク後およびUV/オゾンアッシング後の硬化膜について実施した。
【0131】
上記のようにして作製した光硬化性インクジェット用インク及び硬化膜を形成した試験基板について、下記表2に示す各特性について試験・評価した。結果を表2に示す。
【0132】
【表2】

【0133】
表2に示されるように、実施例1〜10の光硬化性インクジェット用インクは、ベイク後の純水25℃の接触角が100度程度と高く、またUV/オゾンアッシング後の接触角も80度以上あり、その撥液性を維持していた。
【産業上の利用可能性】
【0134】
以上説明したように、本発明の光硬化性インクジェット用インクは、既存のインクジェット用印刷装置で容易に塗布印刷が可能であり、得られた硬化膜はバンク材料としての十分な撥液性は無論のこと、保護膜といった用途としての十分な耐熱性も有する。前記硬化膜は高度な撥液性を有することから、液晶ディスプレイのカラーフィルター用のマトリッ
クス材料や、その他表示素子等を形成する際のバンク材料としても使用できる。
【符号の説明】
【0135】
10 基板
12 画素
14 バンク材料
16 インクジェットノズル
18 インク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記(a−1)成分および/または下記(a−2)成分と、
(B)ラジカル重合性モノマーと、
(C)光重合開始剤と
を含有する光硬化性インクジェット用インク:
(a−1);置換されていてもよいオキシラニルまたは置換されていてもよいオキセタニルを有するモノマー
(a−2);(メタ)アクリロイルを有するシラン化合物。
【請求項2】
前記(A)成分が、下記式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化性インクジェット用インク:
【化1】

(式中、R1〜R3はそれぞれ独立に水素、炭素数1〜20のアルキル、炭素数1〜20のアルコキシまたは炭素数1〜20のアルキルで置換されていてもよいシロキシであり、
1は、置換されていてもよいオキシラニル、置換されていてもよいオキセタニルもし
くは(メタ)アクリロイルを有する炭素数1〜20のアルキルである。)。
【請求項3】
前記(A)成分が、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、グリシジルメタクリレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレートおよび下記(2)式で表されるエポキシ化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【化2】

【請求項4】
前記光硬化性インクジェット用インクからなる塗膜に波長365nmの紫外線を露光量
500mJ/cm2で照射して、さらに230℃で30分加熱して得られる硬化膜の表面
における、25℃での純水の接触角が80度以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項5】
前記硬化膜に波長254nmの紫外線を露光量1800mJ/cm2で照射してUV/
オゾンアッシング処理を行なった後の硬化膜表面における、25℃での純水の接触角が70度以上であることを特徴とする請求項4に記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項6】
前記ラジカル重合性モノマー(B)が、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ε―カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレートおよびジプロピレングリコールジアクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種のモノマーであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項7】
前記光重合開始剤(C)が、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ビス(2,4,6,−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、2−メチルー1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパンー1−オン及び2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項8】
さらに着色剤(D)を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の光硬化性インクジェット用インク。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載された光硬化性インクジェット用インクを硬化させて得られる硬化膜。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれかに記載された光硬化性インクジェット用インクをインクジェット塗布方法によって基板に塗布して塗膜を形成する工程、および当該塗膜に光を照射することによって硬化膜を形成する工程を含む硬化膜の形成方法。
【請求項11】
基板上に請求項9に記載の硬化膜が形成されてなる電子部品。

【図1】
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【公開番号】特開2011−1538(P2011−1538A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−89565(P2010−89565)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【出願人】(000002071)チッソ株式会社 (658)
【Fターム(参考)】