説明

撮像ユニット、電子カメラ

【課題】回路構成を複雑にすることなく、撮像ユニットから主信号処理回路へ出力される撮像信号の情報量を低く抑えつつ画質の高い撮像信号を得る。
【解決手段】撮像ユニット7は、二次元状に配列された複数の撮像用画素と、撮像用画素に混在して一次元または二次元状に配列された複数の焦点検出用画素とを有し、撮像用画素における光束の受光量に応じて被写体像を表すための撮像信号を出力すると共に、焦点検出用画素における光束の受光量に応じて撮影光学系3の焦点調節状態を瞳分割型位相差検出方式により検出するための焦点検出信号を出力する撮像素子8と、撮像素子8における焦点検出用画素の配列位置に対応して撮像信号を補間する補間処理を行った後に、撮像信号の情報量を削減するための信号処理を行い、処理後の撮像信号を主信号処理回路10へ出力する副信号処理回路9とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像ユニットおよびこれを搭載した電子カメラに関する。
【背景技術】
【0002】
撮像用画素の二次元配列中の限られた一部の領域に焦点検出用画素列を配置した撮像素子と、その撮像素子を用いた撮像装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この種の撮像素子を用いた撮像装置では、焦点検出用画素位置の画像信号を、焦点検出用画素の周囲の撮像用画素から出力された画像信号に基づいて補間により求め、焦点検出用画素位置の画像信号の欠落をなくしている。そして、補間後の画像信号を撮像素子からCPUへ出力して信号処理することにより、画像や映像を生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−279312号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の技術では、補間後の画像信号(撮像信号)を撮像素子からそのままCPUへ出力するため、撮像素子の画素数が増えるのに従って、その撮像素子から出力される撮像信号の情報量が増大する。ところで、近年のデジタルカメラでは、静止画の撮影に加えて動画撮影を行うこともできるようになっている。動画撮影では撮像素子からの撮像信号を所定のフレームレート毎に出力する必要があるので、撮像素子の画素数が増えることで撮像信号の情報量が増大すると、それに応じて信号伝送路の容量を大きくしなければならない。しかしながら、信号伝送路の容量を大きくすることは、カメラ内における各部品の配置や配線の制約上、困難な場合がある。
【0005】
また、上記のような問題点を解決するために、撮像素子において所定の割合で画素を読み飛ばしたり、複数の画素からの信号を内部加算して読み出したりすることで、撮像素子から出力される撮像信号の情報量を削減することもできる。しかしながら、このような読み飛ばしや内部加算を行うと、その分だけ撮像素子から出力される撮像信号の画質が大幅に劣化するという問題が生じる。また、焦点検出用画素の配置に応じて読み飛ばしや内部加算の対象とする画素を決定しなければならないため、撮像素子の回路構成が複雑になるという問題も生じる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による撮像ユニットは、撮影光学系を介して入射される光束により被写体像を撮像して得られる撮像信号に基づいて画像または映像を生成するための信号処理を行う主信号処理回路を有する電子カメラに搭載され、二次元状に配列された複数の撮像用画素と、撮像用画素に混在して一次元または二次元状に配列された複数の焦点検出用画素とを有し、撮像用画素における光束の受光量に応じて被写体像を表すための撮像信号を出力すると共に、焦点検出用画素における光束の受光量に応じて撮影光学系の焦点調節状態を瞳分割型位相差検出方式により検出するための焦点検出信号を出力する撮像素子と、撮像素子における焦点検出用画素の配列位置に対応して撮像信号を補間する補間処理を行った後に、撮像信号の情報量を削減するための信号処理を行い、処理後の撮像信号を主信号処理回路へ出力する副信号処理回路とを備えるものである。
本発明による電子カメラは、上記の撮像ユニットと、撮像ユニットの副信号処理回路から出力される処理後の撮像信号に基づいて画像または映像を生成するための信号処理を行う主信号処理回路とを備えるものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、回路構成を複雑にすることなく、撮像ユニットから主信号処理回路へ出力される撮像信号の情報量を低く抑えつつ画質の高い撮像信号を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】一実施の形態のデジタルカメラの構成図である。
【図2】固体撮像素子の部分正面図である。
【図3】撮影画面における焦点検出エリアの配置図である。
【図4】副信号処理回路の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は一実施の形態のデジタルカメラの構成を示す図である。図1において、カメラボディ1にはレンズ鏡筒2が着脱可能に装着される。レンズ鏡筒2には、撮影光学系を構成する撮影レンズ3、フォーカシングレンズ駆動装置4、絞り5などが設置されている。撮影レンズ3は、焦点調節を行うためのフォーカシングレンズを含む。フォーカシングレンズは、フォーカシングレンズ駆動装置4により駆動される。一方、カメラボディ1には撮像ユニット7、主信号処理回路10、制御装置11、モニター12、レリーズボタン19などが設置されている。
【0010】
撮影レンズ3を介してカメラボディ1に入射された被写体からの光束は、撮像ユニット7に導かれる。なお、カメラボディ1の上部に、接眼レンズ、ファインダー接眼窓などから構成される周知の光学ファインダーを設けておいても良い。撮影者は、撮像ユニット7で撮像された被写体像をモニター12上で視認することができる。
【0011】
撮像ユニット7は、撮像素子8および副信号処理回路9を有している。撮像素子8は、二次元状に配列された複数の撮像用画素と、撮像用画素に混在して一次元状に配列された複数の焦点検出用画素とを有している。
【0012】
図2は撮像素子8の焦点検出用画素配列部分を示す正面図である。撮像素子8には、R、GまたはBいずれかの色に対応する撮像用画素310がベイヤー配列に従って二次元状に配列されている。この撮像用画素310の配列中に、左半円形状と右半円形状の光電変換部をそれぞれ有する焦点検出用画素313,314が交互に、水平方向に直線状に配列されている。焦点検出用画素313,314の配列は、図3に示す撮影画面100に設定された焦点検出エリア101に対応して設けられている。なお、焦点検出用画素の形状および配列数、あるいは焦点検出エリアの位置および個数はこの一実施の形態に限定されない。たとえば、焦点検出用画素を横方向に直線状に配列してもよいし、あるいは平面状に、すなわち二次元状に配列してもよい。
【0013】
撮像素子8は、撮影レンズ3を介した被写体からの光束を受光することにより、撮像用画素310における受光量に応じて撮像信号を出力すると共に、焦点検出用画素313,314における受光量に応じて焦点検出信号を出力する。撮像信号は、被写体像を表すための信号である。一方、焦点検出信号は、撮影レンズ3の焦点調節状態を瞳分割型位相差検出方式により検出するための信号である。前述のように焦点検出用画素313,314は、左半円形状と右半円形状の光電変換部をそれぞれ有しているため、撮影レンズ3の異なる瞳位置を通過した光束をそれぞれ受光する。焦点検出用画素313からの焦点検出信号に対応する像の位置と、焦点検出用画素314からの焦点検出信号に対応する像の位置とを比較することで、瞳分割型位相差検出方式に従って、一対の像に対する像ずれ量を検出して撮影レンズ3のデフォーカス量を求めることができる。撮像素子8から出力された撮像信号および焦点検出信号は、副信号処理回路9に入力される。
【0014】
副信号処理回路9は、撮像素子8から入力された撮像信号および焦点検出信号に対して後述するような各種の信号処理を行い、処理後の信号を主信号処理回路10へ出力する。この副信号処理回路9が行う信号処理により、カメラボディ1の動作状況に応じて適切な信号を撮像ユニット7から主信号処理回路10に対して出力することができる。
【0015】
図4に副信号処理回路9の構成を示す。副信号処理回路9は、焦点検出用画素分離回路91、補間回路92、解像度変換回路93、階調変換回路94および信号選択回路95を有する。
【0016】
焦点検出用画素分離回路91は、撮像素子8から入力された撮像信号と焦点検出信号を分離するための信号分離処理を行う。分離された撮像信号は補間回路92へ出力され、焦点検出信号は信号選択回路95へ出力される。
【0017】
補間回路92は、焦点検出用画素分離回路91から出力された撮像信号を補間するための補間処理を行う。この補間処理では、撮像素子8における前述の焦点検出用画素313,314の配列位置に対応して撮像信号を補間する。すなわち、撮像素子8において焦点検出用画素313,314の配列位置からは撮像信号が出力されないため、補間処理を行う前の撮像信号ではこの配列位置に対応する信号が欠損している。したがって、焦点検出用画素313,314の配列位置に対応する撮像信号を周囲の撮像用画素310からの撮像信号に基づいて補間することで、撮像信号の欠損を補うようにする。補間回路92により補間処理が行われた撮像信号は、解像度変換回路93へ出力されると共に、静止画用撮像信号として信号選択回路95へ出力される。
【0018】
解像度変換回路93は、補間回路92から出力された補間処理後の撮像信号の解像度を下げるための解像度変換処理を行う。この解像度変換処理では、補間処理後の撮像信号の解像度を動画撮影に適した解像度に変換する。たとえば、補間処理後の撮像信号の解像度が1000万画素であり、この撮像素子8から出力される撮像信号に基づいてフルハイビジョン動画撮影を行う場合は、フルハイビジョンの解像度、すなわち約200万(1920×1080)画素の解像度となるように、解像度変換回路93において解像度変換処理が行われる。なお、このときのフレーム周波数は、たとえば30フレーム/秒となる。解像度変換回路93において解像度変換処理が行われた撮像信号は、階調変換回路94へ出力されると共に、動画用撮像信号として信号選択回路95へ出力される。
【0019】
階調変換回路94は、解像度変換回路93から出力された解像度変換処理後の撮像信号の階調を下げるための階調変換処理を行う。この階調変換処理では、解像度変換処理後の撮像信号の階調をモニター12におけるライブビュー表示に適した階調に変換する。たとえば、解像度変換処理後の撮像信号の階調が12bitであり、モニター12において表示可能な画像の階調が8bitである場合は、12bitから8bitへ階調を下げる処理が階調変換回路94において行われる。階調変換回路94において階調変換処理が行われた撮像信号は、ライブビュー用撮像信号として信号選択回路95へ出力される。
【0020】
以上説明した解像度変換回路93が行う解像度変換処理および/または階調変換回路94が行う階調変換処理により、撮像素子8から出力された撮像信号の情報量が副信号処理回路9において削減される。こうして撮像信号の情報量を削減することで、カメラボディ1内の回路構成を複雑にすることなく、撮像ユニット7から主信号処理回路10への信号伝送路の容量を小さくすることができる。
【0021】
信号選択回路95は、焦点検出用画素分離回路91、補間回路92、解像度変換回路93および階調変換回路94からそれぞれ出力された各信号のいずれかをカメラボディ1の動作状況に応じて選択し、選択した信号を主信号処理回路10へ出力する。すなわち、撮影レンズ3の焦点調節状態を瞳分割型位相差検出方式により検出するときには、焦点検出用画素分離回路91からの焦点検出信号を選択して主信号処理回路10へ出力する。また、静止画を撮影するときには補間回路92からの静止画用撮像信号を、動画を撮影するときには解像度変換回路93からの動画用撮像信号をそれぞれ選択して、主信号処理回路10へ出力する。さらに、ライブビュー表示を行うときには、階調変換回路94からのライブビュー用撮像信号を選択して主信号処理回路10へ出力する。なお、これらの信号選択の指示は、制御装置11から副信号処理回路9に対して行われる。
【0022】
以上説明したような出力信号の選択を信号選択回路95において行うことで、撮像ユニット7から主信号処理回路10へ出力される撮像信号の情報量を低く抑えつつ、各用途(静止画/動画/ライブビュー)に応じた画質の高い撮像信号を得ることができる。すなわち、静止画撮影時には、解像度の高い静止画用撮像信号を撮像ユニット7から低速で出力することで、これを低容量の信号伝送路でも出力可能とする。一方、動画撮影時やライブビュー表示時には、解像度変換処理や階調変換処理によって情報量を削減することで、従来の画素信号の読み飛ばしや内部加算よりも画質の劣化を抑えつつ、それぞれの動作に必要な情報量の撮像信号を高速に出力できるようにする。
【0023】
なお、上記の撮像ユニット7において、撮像素子8と副信号処理回路9の間で多量の情報量の信号を高速で授受できるように、撮像素子8と副信号処理回路9は互いに近接して配置されることが好ましい。このとき、上記の各回路に限定した構成とすることで、副信号処理回路9を小型化することができる。あるいは、撮像素子8と副信号処理回路9をそれぞれベアチップ化して単一基板上に搭載したMCM(Multi Chip Module)により撮像ユニット7を構成してもよい。
【0024】
主信号処理回路10は、撮像ユニット7から出力される上記の各信号に基づいて、カメラボディ1の動作状況に応じた各種の信号処理を行う。たとえば、静止画撮影時には、撮像ユニット7から出力される静止画用撮像信号に基づいて、図示しない記録媒体へ記録する画像を生成するための信号処理を行う。一方、動画撮影時には、撮像ユニット7から出力される動画用撮像信号に基づいて、図示しない記録媒体へ記録する映像を生成するための信号処理を行う。また、ライブビュー表示時には、撮像ユニット7から出力されるライブビュー用撮像信号に基づいて、モニター12においてライブビュー表示を行う映像を生成するための信号処理を行う。主信号処理回路10が行う信号処理によって生成されたこれらの画像または映像は、制御装置11へ出力される。なお、主信号処理回路10は、たとえば画像処理専用のDSP(Digital Signal Processor)等により構成される。
【0025】
制御装置11は、CPUやメモリなどを備えており、カメラボディ1の動作に応じた各種の処理や制御を行う。たとえば、前述の副信号処理回路9に対する信号選択の指示や、図示しない記録媒体に対する画像や映像の記録制御、モニター12に対する表示制御などが制御装置11において行われる。また、撮像ユニット7から主信号処理回路10を介して出力される焦点検出信号に基づいて撮影レンズ3のデフォーカス量を求め、求めたデフォーカス量に応じてフォーカシング駆動制御装置4を制御することにより、撮影レンズ3の焦点調節を行うこともできる。これ以外にも、カメラボディ1が動作するために必要な様々な処理が制御装置11において実行される。
【0026】
モニター12は、制御装置11の制御により画像、文字、記号などを表示可能な表示装置である。この一実施の形態ではモニター12にLCDを用いた例を示す。制御装置11は、モニター12を制御することにより、モニター12において撮像画像や各種の撮影情報を表示するとともに、ライブビュー表示を行う。ライブビューは、副信号処理回路9から出力される前述のライブビュー用撮像信号に基づいて、非撮影時に撮像素子8により連続的に撮像した被写体像をスルー画としてモニター12に表示する機能である。このライブビュー表示を行うことにより、撮影者はモニター画像を見ながら構図を決めることができる。このライブビューは、撮影者がカメラボディに設けられた電源スイッチ(不図示)をオンすると動作を開始する。
【0027】
以上説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
(1)カメラボディ1に搭載された撮像ユニット7は、撮像素子8と副信号処理回路9を有する。撮像素子8は、撮像用画素310における受光量に応じて撮像信号を出力すると共に、焦点検出用画素313,314における受光量に応じて焦点検出信号を出力する。副信号処理回路9は、撮像素子8における焦点検出用画素313,314の配列位置に対応して撮像信号を補間する補間処理を補間回路92において行った後に、撮像信号の情報量を削減するための解像度変換処理および階調変換処理を解像度変換回路93と階調変換回路94においてそれぞれ行い、処理後の信号を主信号処理回路10へ出力する。このようにしたので、カメラボディ1内の回路構成を複雑にすることなく、撮像ユニット7から主信号処理回路10へ出力される撮像信号の情報量を低く抑えつつ画質の高い撮像信号を得ることができる。
【0028】
(2)副信号処理回路9は、信号選択回路95において、上記の補間処理、解像度変換処理および階調変換処理を行った後の撮像信号と、焦点検出用画素分離回路91により撮像信号から分離された焦点検出信号とのいずれかを選択して出力することで、これらの信号を別々に主信号処理回路10へ出力する。これにより、信号処理後の撮像信号に基づいて画像または映像を生成するための信号処理を主信号処理回路10において行う一方で、焦点検出信号を主信号処理回路10を介して制御装置11へ出力することで、制御装置11において焦点検出信号に基づく撮影レンズ3の焦点調節を行うことができる。
【0029】
(3)副信号処理回路9は、撮像信号の解像度を下げるための解像度変換処理を解像度変換回路93において行うことにより、撮像信号の情報量を削減する。また、撮像信号の階調を下げるための階調変換処理を階調変換回路94において行うことにより、撮像信号の情報量を削減する。したがって、動画撮影時やライブビュー表示時に、従来の画素信号の読み飛ばしや内部加算よりも画質の劣化を抑えつつ、それぞれの動作に必要な情報量の撮像信号を撮像ユニット7から高速に出力することができる。
【0030】
なお、以上説明した実施の形態では、焦点検出用画素分離回路91からの焦点検出信号、補間回路92からの静止画用撮像信号、解像度変換回路93からの動画用撮像信号または階調変換回路94からのライブビュー用撮像信号のいずれかを、信号選択回路95において制御装置11からの信号選択指示に応じて選択することで、これらの信号のいずれかを副信号処理回路9から主信号処理回路10へ出力することとした。しかし、カメラボディ1の動作状況に応じて、焦点検出用画素分離回路91、補間回路92、解像度変換回路93および階調変換回路94の動作を許可または禁止(回路は動作せず、信号はこの回路をスルー)することで、副信号処理回路9から主信号処理回路10へ出力する信号を切り替えることとしてもよい。
【0031】
たとえば、撮影レンズ3の焦点調節を行うときには、焦点検出用画素分離回路91を動作させると共に、補間回路92、解像度変換回路93および階調変換回路94の動作を禁止(回路は動作せず、信号はこの回路をスルー)する。これにより、副信号処理回路9において、焦点調節に不要な回路の動作を停止(回路は動作せず、信号はこの回路をスルー)して、焦点検出用画素分離回路91からの焦点検出信号のみを出力するようにする。一方、静止画を撮影するときには、焦点検出用画素分離回路91に加えて補間回路92を動作させることで、補間回路92からの静止画用撮像信号を出力するようにする。
【0032】
動画を撮影するときには、副信号処理回路9において、焦点検出用画素分離回路91および補間回路92に加えてさらに解像度変換回路93を動作させ、解像度変換回路93からの動画用撮像信号を出力するようにする。このとき、階調変換回路94の動作は前述のように禁止された状態のままである。すなわち、動画撮影によって得られた映像を制御装置11の制御により記録媒体に記録するとき、副信号処理回路9は、階調変換回路94による階調変換処理を禁止して、階調変換されていない動画用撮像信号を主信号処理回路10へ出力する。
【0033】
ライブビュー表示を行うときには、副信号処理回路9において、焦点検出用画素分離回路91、補間回路92および解像度変換回路93に加えてさらに階調変換回路94を動作させ、階調変換回路94からのライブビュー用撮像信号を出力するようにする。すなわち、主信号処理回路10によって生成された映像をモニター12によりライブビュー表示するとき、副信号処理回路9は、階調変換回路94において階調変換処理を行い、処理後のライブビュー用撮像信号を主信号処理回路10へ出力する。
【0034】
以上説明したような出力信号の切替を副信号処理回路9において行うことで、前述した実施の形態と同様に、カメラボディ1の動作状況に応じて最適な信号を撮像ユニット7から主信号処理回路10へ出力することができる。
【符号の説明】
【0035】
1:カメラボディ、3:撮影レンズ、7:撮像ユニット、8:撮像素子、9:副信号処理回路、10:主信号処理回路、11:制御装置、12:モニター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系を介して入射される光束により被写体像を撮像して得られる撮像信号に基づいて画像または映像を生成するための信号処理を行う主信号処理回路を有する電子カメラに搭載される撮像ユニットであって、
二次元状に配列された複数の撮像用画素と、前記撮像用画素に混在して一次元または二次元状に配列された複数の焦点検出用画素とを有し、前記撮像用画素における前記光束の受光量に応じて前記被写体像を表すための撮像信号を出力すると共に、前記焦点検出用画素における前記光束の受光量に応じて前記撮影光学系の焦点調節状態を瞳分割型位相差検出方式により検出するための焦点検出信号を出力する撮像素子と、
前記撮像素子における前記焦点検出用画素の配列位置に対応して前記撮像信号を補間する補間処理を行った後に、前記撮像信号の情報量を削減するための信号処理を行い、処理後の撮像信号を前記主信号処理回路へ出力する副信号処理回路とを備えることを特徴とする撮像ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像ユニットにおいて、
前記副信号処理回路は、前記処理後の撮像信号と前記焦点検出信号とを別々に前記主信号処理回路へ出力することを特徴とする撮像ユニット。
【請求項3】
請求項1または2に記載の撮像ユニットにおいて、
前記副信号処理回路は、前記撮像信号の解像度を下げるための解像度変換処理を行うことにより、前記撮像信号の情報量を削減することを特徴とする撮像ユニット。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の撮像ユニットにおいて、
前記副信号処理回路は、前記撮像信号の階調を下げるための階調変換処理を行うことにより、前記撮像信号の情報量を削減することを特徴とする撮像ユニット。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載の撮像ユニットと、
前記撮像ユニットの前記副信号処理回路から出力される前記処理後の撮像信号に基づいて画像または映像を生成するための信号処理を行う主信号処理回路とを備えることを特徴とする電子カメラ。
【請求項6】
請求項4に記載の撮像ユニットと、
前記撮像ユニットの前記副信号処理回路から出力される前記処理後の撮像信号に基づいて画像または映像を生成するための信号処理を行う主信号処理回路と、
前記主信号処理回路により生成された前記画像または前記映像を記録媒体に記録する記録制御手段と、
前記主信号処理回路により生成された前記映像をライブビュー表示可能な表示手段とを備え、
前記副信号処理回路は、前記表示手段により前記映像をライブビュー表示するときには前記階調変換処理を行い、前記記録制御手段により前記映像を前記記録媒体に記録するときには前記階調変換処理を禁止することを特徴とする電子カメラ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−17842(P2011−17842A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−161720(P2009−161720)
【出願日】平成21年7月8日(2009.7.8)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】