説明

撮像レンズ

【課題】諸収差が良好に補正されており、かつ光学長が短く、しかも十分なバックフォーカスが確保されている。
【解決手段】開口絞りS1、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3を具え、物体側から像側に向かって、開口絞り、第1レンズ、第2レンズ及び第3レンズの順に配列されて構成される。第1レンズは、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第2レンズは、像側に凸面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状レンズである。第3レンズは、物体側に凸面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。また、第1レンズの両面が非球面、かつ第2レンズの両面が非球面、かつ第3レンズの両面が非球面である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮像レンズに係り、特にCCD(Charge Coupled Devices)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を撮像素子として用いる、携帯電話機やパーソナルコンピュータへの画像入力装置、デジタルカメラ、監視用CCDカメラ、検査装置等に搭載して好適な撮像レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
上述の撮像レンズにおいては、この撮像レンズの物体側の入射面から結像面(CCD等の撮像面)までの距離として定義される、光学長が短い必要がある。すなわち、レンズの設計において、撮像レンズの合成焦点距離に対する光学長の比を小さくする工夫が必要である。以後、光学長が短い、合成焦点距離に対する光学長の比が小さい撮像レンズを、コンパクトなレンズということもある。
【0003】
携帯電話機を例にとると、少なくともこの光学長は、携帯電話機本体の厚みより短くなければならない。一方、撮像レンズの像側の出射面から撮像面までの距離として定義されるバックフォーカスは、可能な限り長いのが好都合である。すなわち、レンズの設計において、焦点距離に対するバックフォーカスの比はできるだけ大きくする工夫が必要である。これは、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入する必要があるためである。
【0004】
上述した以外にも、撮像レンズとして、諸収差が、像の歪みが視覚を通じて意識されず、かつ撮像素子(「画素」ともいう。)の集積密度から要請される十分な程度に小さく補正されていることが当然に要請される。すなわち、諸収差が良好に補正されている必要があり、以下、このように諸収差が良好に補正された画像を「良好な画像」ということもある。
【0005】
以下に掲げるとおり、携帯型コンピュータやテレビ電話装置等で代表される、CCD、CMOS等の固体撮像素子を利用した撮像装置に用いて好適な、3枚構成の撮像レンズが開示されている。これらのレンズは、いずれも広い画角を確保するとともに、小型軽量化が図られている。
【0006】
そのうち、第1の3枚構成レンズとして、広い画角を確保しながら、良好な画像が得られる撮像レンズが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
しかしながら、物体側から順に第1、第2及び第3レンズとして配列されるこれらの3枚のレンズの形状が、第1レンズが像側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカスレンズ、第2レンズが物体側に凸面を向けた負の屈折力を有するメニスカスレンズ、第3レンズが正の屈折力を有する凸レンズで構成されており、バックフォーカスの長さに対して光学長が長すぎる構造となっている。結果としてコンパクトなレンズとすることができない。
【0008】
第2から第4の3枚構成レンズとして、広い画角を確保しながら、諸収差が良好に補正され、短焦点化を図った撮像レンズがそれぞれ開示されている(例えば、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【0009】
これらの撮像レンズも上述の撮像レンズ同様に、物体側から順に第1、第2及び第3レンズとして配列されるこれらの3枚のレンズの屈折力は、第1レンズが正の屈折力、第2レンズが負の屈折力、第3レンズが正の屈折力である。そして、撮像レンズとしての合成焦点距離は短く設定されているが、合成焦点距離に対して、バックフォーカスが長く、光学長も長すぎる構成となっている。これに加えて、ガラス素材を用いたレンズであるので、高コストなレンズである。
【0010】
第5の3枚構成レンズとして、非球面レンズを用いるとともにパワー配分および面形状を適切に設定することにより小型化された撮像レンズが開示されている(例えば、特許文献5参照)。
【0011】
しかしながら、この撮像レンズは、物体側から順に第1、第2及び第3レンズとして配列されるこれらの3枚のレンズが持つ屈折力が、第1レンズが負の屈折力、第2レンズが正の屈折力、第3レンズが負の屈折力を有する構成とされており、その結果、合成焦点距離に対して光学長の長い撮像レンズとなっている。これに加えて、ガラス素材を用いたレンズであるので、高コストなレンズである。
【0012】
第6の3枚構成レンズとして、互いに凹面を向けたメニスカス形状の一組のレンズを、それぞれ少なくとも一つの非球面を有するプラスチックレンズとし、全レンズ系を3枚レンズ構成とすることにより、小型化および低コスト化を達成するとともに、温度変化に伴うピント移動の抑制を容易に行なえる撮像レンズが開示されている(例えば、特許文献6参照)。
【0013】
しかしながら、この撮像レンズは、物体側から順に第1、第2及び第3レンズとして配列されるこれらの3枚のレンズがそれぞれに持つ屈折力が、第1レンズが弱い屈折力、第2レンズが弱い屈折力、第3レンズが正の屈折力を有する構成とされているために、第1レンズと第2レンズの屈折力を第3レンズだけで補いきれず、その結果、合成焦点距離に対してバックフォーカスが長くなり光学長も長くなっている。しかも、第3レンズがガラス素材のレンズであるために、低コスト化も不完全である。
【0014】
第7の3枚構成レンズとして、レンズ系全体を前群、後群の二つに分け、前群は正の屈折力を持たせ、後群は負の屈折力を持たせたレンズ構成とした望遠タイプとし、光学長が短く安価なレンズ系が開示されている(例えば、特許文献7参照)。
【0015】
しかしながら、このレンズ系は、物体側から順に第1、第2及び第3レンズとして配列されるこれらの3枚のレンズがそれぞれに持つ屈折力が、第1レンズが負の屈折力、第2レンズが正の屈折力、第3レンズが負の屈折力を有し、第2レンズと第3レンズとの間隔が広い構成とされている。このために、合成焦点距離に対して光学長が長く、また第3レンズが大口径化してしまうという問題があり、携帯電話機やパーソナルコンピュータへの画像入力装置、デジタルカメラ、監視用CCDカメラ、検査装置等に搭載するには、不向きである。
【0016】
第8の3枚構成レンズとして、物体側より2枚の正レンズ、および両面が非球面とされ、レンズの中心から周辺にいくに従い負のパワーが次第に弱まり周辺部で正のパワーを有する、像側に凹面を向けた負のレンズを配した撮像レンズが開示されている(例えば、特許文献8参照)。
【0017】
しかしながら、このレンズ系は、第3レンズL3に相当するレンズが、そのレンズの中心から周辺にいくに従い負のパワーが次第に弱まり、正のパワーに転ずる位置が、レンズの中心からレンズの有効口径の0.7倍から1.0倍の範囲に存在する点が特徴である。実施例として開示されているレンズでは、この正のパワーに転ずる位置がレンズの中心からレンズの有効口径のそれぞれ0.96倍及び0.97倍となっており、ほとんどレンズの周辺部に設定されている。
【0018】
正のパワーに転ずる位置をレンズの周辺部に設定すれば、レンズ光軸と撮像面との交点付近及び周辺部へ入射する光は撮像素子への入射角が直角に近くなるが、レンズ光軸と撮像面との交点とレンズ周辺部との中間の位置では、撮像素子への入射角が直角とは大きく離れる。従って、画像の重要な部分を占めるレンズ周辺部との中間の位置では光の入射角が直角から大きく離れることにより、撮像素子の斜め方向から撮像素子に入射することになり入射面での反射量が増えて、撮像素子の光電変換面に届く光のエネルギーが小さくなる。このことによって、この部分の画像が暗くなるという問題が発生する。
【0019】
また、第1レンズが正の屈折力、第2レンズも正の屈折力、第3レンズが負の屈折力を有しているため、光学長が長くなりコンパクト化が難しい。その上、開口絞りが第1レンズと第2レンズとの間に設置されるので、第1レンズの有効口径を大きくすることが必要となり、その結果第1レンズの物体側に機械式シャッターを設置しにくくなる。
【0020】
第9の3枚構成レンズとして、物体側から順に開口絞り、正の屈折力を有する両凸形状の第1レンズ、負の屈折力を有し物体側に凹面を向けた第2レンズ、物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第3レンズを配した撮像レンズが開示されている(例えば、特許文献9参照)。
【0021】
このレンズ系は、第1レンズの物体側に開口絞りを配置した場合に良好な画像が得られるように設計されている。開口絞りを第1レンズの物体側に配置することによって、入射瞳の位置を物体に近づけて形成できる。このことによって、主光線を画像面に垂直に近い角度で入射できるという特長を有している。主光線が画像面に斜めに入射すると、画像面に配置されている画素(撮像素子)への入射光量が減少するシェーディング(shading)が発生し、画面の周辺部で画像が暗くなるという問題が生じる。
【0022】
この問題は、撮像素子の斜め方向から撮像素子に光線が入射すると、撮像素子の表面での反射量が増えて、撮像素子の光電変換面に届く光のエネルギーが小さくなることに起因する。すなわち、開口絞りを第1レンズの物体側に配置することによって、シェーディングの発生しにくい撮像レンズが設計可能となる。
【0023】
このような設計指針に基づいて設計されたレンズ系に対して、更に画像のコントラストが減少する現象であるフレアー(flare)あるいは、画像の滲み現象であるスミア(smear)を防ぐことを目的に、第1レンズと第2レンズとの間に更に絞りを配置すると、次のことが起こる。すなわち、開口絞りを通過した主光線の内、撮像レンズの光軸に対して大きな入射角度で入射する主光線が、この絞りによって遮断されてしまう。このことによって、画質を落とすフレアーあるいはスミア等の原因となる迷光を遮断することができる代わりに、上述のように主光線の一部が遮断されてしまうため、場合によっては、画像の周辺における光量が減少し、画像の周辺部が暗くなるという問題が発生することがある。
【0024】
また、このレンズ系は、第3レンズに相当するレンズが正の屈折力を有するメニスカスレンズであるための特徴として、光学長に対する、バックフォーカスが相対的に短い。したがって、撮像レンズと撮像面との間にフィルタやカバーガラス等の部品を挿入するために、バックフォーカスを長く取ると光学長も長くなり、レンズ系そのものが大きくなりすぎてしまうという問題がある。
【0025】
第10の3枚構成レンズとして、物体側から順に、物体側の面を凸面形状とした正の屈折力を有する第1レンズ、絞り、プラスチック材料よりなり少なくとも1面を非球面形状とした、物体側に凹面を向けた正または負の屈折力を有する第2レンズ、両面を非球面として物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第3レンズを配した撮像レンズが開示されている(例えば、特許文献10参照)。
【0026】
第10の3枚構成レンズは、第1レンズと第2レンズとの間に絞りを設定し、この絞りを開口絞りとして機能させることを前提にして、良好な画像が得られるように設計されている。したがって、第1レンズの物体側にシャッター等を配置すると、このシャッター等のためにレンズの入射開口が狭められる。すなわち、このシャッター等が実質的な絞りとして機能するために、絞りに入射する主光線の一部が遮断されてしまう。レンズの光軸に対して大きな角度で入射する主光線は、画像の周辺部を形成する光線であるが、この光線が第1レンズの物体側に設置されたシャッター等によって遮断され、画像の周辺部分が暗くなるという問題が発生する可能性がある。
【0027】
この他に、このレンズ系においても、上述の第9の3枚構成レンズと同様に第3レンズに相当するレンズが正の屈折力を有するメニスカスレンズである。したがって、このレンズ系においても、第9の3枚構成レンズと同様に、バックフォーカスを長く取ると光学長も長くなり、レンズ系そのものが大きくなりすぎてしまうという問題もある。
【0028】
第11の3枚構成レンズとして、物体側から順に、ガラス材料よりなり、かつ物体側の面を凸面形状とした正の屈折力を有する第1レンズと、絞りと、プラスチック材料よりなり、少なくとも1面を非球面とし、かつ物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、プラスチック材料よりなり、両面を非球面として、かつ物体側に凸面を向けた正または負の屈折力を有する第3レンズとを、配した撮像レンズが開示されている(例えば、特許文献11参照)。
【0029】
第11の3枚構成レンズの基本的な構成は、第10の3枚構成レンズと同一であるので、第10の3枚構成レンズと同様の上述した問題がある。
【0030】
第12の3枚構成レンズとして、物体側から順に、少なくとも1面を非球面とし、かつ両凸面形状とした正の屈折力を有する第1レンズと、絞りと、少なくとも1面を非球面とし、かつ物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、両面を非球面とし、かつ正または負の屈折力を有し、物体側の面が凸面形状のプラスチック材料よりなる第3レンズを配した撮像レンズが開示されている(例えば、特許文献12参照)。
【0031】
第12の3枚構成レンズの基本的な構成は、上述の第10及び第11の3枚構成レンズと同様である。したがって、第10及び第11の3枚構成レンズと同様の上述した問題がある。
【0032】
第13の3枚構成レンズとして、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正の屈折力を持つ第1レンズと、像側に凸面を向けた負の屈折力を持つメニスカス形状の第2レンズと、物体側に凸面を向けた正の屈折力を持つ第3レンズを配した撮像レンズが開示されている。そして、第1レンズの物体側に絞りを配した撮像レンズと、第1レンズと第2レンズとの間に絞りを配した撮像レンズについて開示されている(例えば、特許文献13参照)。
【0033】
すなわち、第1レンズの物体側に配した絞りを開口絞りとして機能させることを前提にして良好な画像が得られるように設計された撮像レンズと、第1レンズと第2レンズとの間に配した絞りを開口絞りとして機能させることを前提にして良好な画像が得られるように設計された撮像レンズとが開示されている。
【0034】
上述したように、第1レンズの物体側に配した絞りを開口絞りとして機能させることを前提にして良好な画像が得られるように設計された撮像レンズに対して、第1レンズと第2レンズとの間に更に絞りを配置すると、開口絞りを通過した主光線の内、撮像レンズの光軸に対して大きな入射角度で入射する主光線が、更に配置された絞りによって遮断されてしまう。また、同様に、第1レンズと第2レンズとの間に配した絞りを開口絞りとして機能させることを前提にして良好な画像が得られるように設計された撮像レンズに対して、更に、第1レンズの物体側に絞りを配置すると、絞りを通過した主光線の内、撮像レンズの光軸に対して大きな入射角度で入射する主光線が、更に配置された開口絞りによって遮断されてしまう。
【0035】
このことによって、上述したように、画質を落とすフレアーあるいはスミア等の原因となる迷光を遮断することができる代わりに、上述のように主光線の一部が遮断されてしまうため、場合によっては、画像の周辺における光量が減少し、画像の周辺部が暗くなるという問題が発生することがある。
【0036】
第13の3枚構成レンズにおいても、上述の第9の3枚構成レンズと同様に第3レンズに相当するレンズが正の屈折力を有するメニスカスレンズである。したがって、このレンズ系においても、第9の3枚構成レンズと同様に、バックフォーカスを長く取ると光学長も長くなり、レンズ系そのものが大きくなりすぎてしまうという問題もある。
【0037】
第14の3枚構成レンズとして、物体側から順に、正の屈折力を有し物体側に凸面を向けた第1レンズ、開口絞り、正の屈折力を有し像側に凸面を向けたメニスカス形状の第2レンズ、及び負の屈折力を有し像側に凹面を向けた第3レンズを配した撮像レンズが開示されている(例えば、特許文献14参照)。
【0038】
この撮像レンズは、第1レンズの焦点距離f1と撮像レンズ全系の焦点距離fとの比f1/fの値が、0.8<f1/f<2.0を満たすように設定されている。このため第1レンズの屈折力が弱く、光学長を長く設定せざるを得ない。そのため、コンパクト化が困難となる。また、第2レンズに正の屈折力を有するレンズを採用しているので、この第2レンズの像側の面(像側に凸面を向けた面)の曲率半径を短く設定しなければならない。そのため、レンズ面の曲率が大きくなるために、金型の加工が難しくなる。
【0039】
第15の3枚構成レンズとして、物体側より順に、開口絞り、正の屈折力を有する第1レンズ、負の屈折力を有する第2レンズ、正または負の屈折力を有する第3レンズからなり、条件の一つとして、0.9<f/f1<1.3を満たす小型結像レンズが開示されている(例えば、特許文献15参照)。条件式0.9<f/f1<1.3は、0.769<f1/f<1.111と書き直すことができる。
【0040】
この小型結像レンズでは、第1レンズの屈折力をこの条件式0.769<f1/f<1.111の下限以下(f1/fを0.769以下)とすると、諸収差が増大し良好な画像が得られなくなることを意味している。このため、結果として光学長が長くなってしまい、コンパクト化が難しいという問題がある。
【0041】
第16の3枚構成レンズとして、物体側から像側に向かって順に、物体側に凸面を向けた主たる正の屈折力を有する第1レンズ、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の第2レンズ、及び補正レンズとして機能する第3レンズを具えて構成される撮像レンズが開示されている(例えば、特許文献16参照)。この撮像レンズは、第1レンズと第2レンズとの間に開口絞りを設置することによって、良好な画像が得られる構成である。
【0042】
最近のCCD、CMOS等の電子撮像素子は、100万画素〜320万画素といった、メガピクセル化が進んでいる。このように多くの画素を具える撮像面を利用する撮影装置においては、動画を撮影すると画像が歪んでしまうという問題が発生しやすい。この問題を回避するには、シャッターを撮像レンズの入射面に設置する必要があり、しかもシャッター径を小さくする必要がある。すなわち、シャッターは絞りとしての機能を併せ持つので、一般に、絞りを撮像レンズの入射面に設置するという前提で設計する必要がある。また、シャッターを撮像レンズの入射面に設置することによってスミアを防止する効果も期待できる。
【0043】
特許文献16に開示されている撮像レンズは、メガピクセルの撮像面に対応すべく考慮がされていない。そのため、この撮像レンズは、撮像レンズの入射面に設置したシャッターによって入射光線の一部が遮断されるために、周辺光量が減少するという問題が生じる。
【0044】
撮像レンズの入射面にあたる第1レンズの物体側にシャッターを設置すると、入射開口が狭められる。すなわち、第1レンズと第2レンズとの間に開口絞りを設置する構成の撮像レンズは、CCDカメラ等に装着されて利用される際に、第1レンズの物体側にシャッターが設けられる。このシャッターが実質的な第2の絞りとして機能し、入射光線の一部を遮断する結果となる。すなわち、光軸に対して大きな角度でレンズに入射する主光線は、画像の周辺部分を形成するために寄与するが、この主光線がシャッターによって遮断されるために、画像の周辺部分が暗くなる。
【0045】
また、特許文献16に開示されている撮像レンズは、f1/fの値が0.65から0.736の範囲に収まっている。すなわちこの撮像レンズは第1レンズの屈折力が弱く設定されており、その結果光学長が長くなりコンパクト化が困難なレンズである。
【0046】
第17の3枚構成レンズとして、物体側から順に、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第1レンズと、開口絞りと、像側に凸面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズが配置された撮影レンズが開示されている(例えば、特許文献17参照)。この撮影レンズの特徴は、第1レンズに強い正の屈折力を持たせて、第2及び第3レンズが補助レンズとしての機能を果たすようにされている。
【0047】
この撮影レンズは、光軸に対する入射角度が十分に大きな主光線も含めて取り込むことによって、画像の周辺部分まで均一な明るさとなるように配慮されている。このため、第1レンズの物体側面に機械式シャッターを設置すると、この機械式シャッターによって入射光線の一部が遮断されてしまい、画像の周辺光量が減少し暗くなるという問題点がある。すなわち、この撮影レンズは、光軸に対する入射角度が小さな主光線だけを取り込むことによって、画像の周辺部分まで均一な明るさとなるような配慮がされていない。
【0048】
また、第1レンズの物体側面の曲率半径Rと像側面の曲率半径R2との比である、R/R2の値が大きく設定されているために、歪曲収差等の諸収差を十分に小さくして良好な画像を得ることが難しい構成である。
【0049】
第18の3枚構成レンズとして、物体側から順に、両面が凸面である第1レンズ、物体側に凹面を向けたメニスカス形状の第2レンズ、及び物体側に凸面を向けたメニスカス形状の第3レンズが配置された構成の、撮像レンズが開示されている(例えば、特許文献18参照)。しかしながら、この撮像レンズは、第3レンズが正の屈折力を有するメニスカスレンズであるために、光学長Lと、撮像レンズの像面に設置される固体撮像素子の矩形受光面における対角線の長さとして定義される像高2Yとの比であるL/2Yが1.0以上の値をとり、撮像レンズのコンパクト化が難しい構成となっている。
【特許文献1】特開2001-075006号公報
【特許文献2】特開2003-149548号公報
【特許文献3】特開2002-221659号公報
【特許文献4】特開2002-244030号公報
【特許文献5】特開2003-149545号公報
【特許文献6】特開平10-301022号公報
【特許文献7】特開平10-301021号公報
【特許文献8】特開2003-322792号公報
【特許文献9】特開2004-004566号公報
【特許文献10】特開2004-302058号公報
【特許文献11】特開2004-302059号公報
【特許文献12】特開2004-302060号公報
【特許文献13】特開2005-004045号公報
【特許文献14】特開2005-242286号公報
【特許文献15】特開2005-227755号公報
【特許文献16】特開2005-309210号公報
【特許文献17】特開2004-219982号公報
【特許文献18】特開2005-173319号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0050】
そこで、この発明の目的は、CCDまたはCMOSを撮像素子として用いるカメラに搭載することに好適な、光学長が短く、バックフォーカスは可能な限り長く、かつ良好な画像が得られる撮像レンズを提供することにある。光学長が短いとは、具体的には、焦点距離に対する光学長の比が小さいことを意味する。バックフォーカスが長いとは、具体的には、焦点距離に対するバックフォーカスの比が大きいことを意味する。
【0051】
また、この発明の撮像レンズを構成する全てのレンズ(3枚)をプラスチック材料で実現することにより、低コストでかつ軽量化を図った撮像レンズを提供することにある。ここで、プラスチック材料とは、熱と圧力あるいはその両者によって塑性変形させて成型することで、レンズを形成することができる高分子物質であって、可視光に対して透明である素材をいう。
【課題を解決するための手段】
【0052】
上述の目的を達成するため、この発明の撮像レンズは、開口絞りS1、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3を具え、物体側から像側に向かって、開口絞りS1、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3の順に配列されて構成される。第1レンズL1は、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第2レンズL2は、像側に凸面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第3レンズL3は、物体側に凸面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。
【0053】
また、第1レンズL1の両面が非球面、かつ第2レンズL2の両面が非球面、かつ第3レンズL3の両面が非球面である。
【0054】
また、この撮像レンズは、以下の条件(1)から(4)を満たす。
【0055】
0.57 < f1/f < 0.65 (1)
0.01 ≦ r2/r3 ≦ 0.05 (2)
0.1 ≦ d3/f < 0.15 (3)
0.6 < L/2Y < 0.9 (4)
ただし、
f :撮像レンズの合成焦点距離
f1 :第1レンズL1の焦点距離
r2 :第1レンズL1の物体側面の光軸近傍における曲率半径(光軸上曲率半径)
r3 :第1レンズL1の像側面の光軸近傍における曲率半径(光軸上曲率半径)
d3 :第1レンズL1と第2レンズL2との光軸上の間隔
L :第1レンズL1の物体側面から像面までの光軸上の空気中の距離(光学長)
2Y :撮像レンズの像面に設置される固体撮像素子の矩形受光面における対角線の長さ
である。
【0056】
ここで、空気中の距離とは、フィルタやカバーガラス等の部品等の平行平板が第3レンズL3と像面との間に挿入されている場合には、この平行平板部分は空気換算距離として上述のLの値を計算するものとする。以後の説明においても同様に、空気中の距離と言う場合には、平行平板部分を空気換算距離として計算して求めた距離を意味するものとする。すなわち、平行平板部分の幾何学的距離がaであり、その屈折率がnである場合には、この距離aをa/nと換算する。
【0057】
撮像レンズの像側の出射面から撮像面までの距離として定義されるバックフォーカスbfは、ここでは、第3レンズL3の像側面から像面までの光軸上の距離である。像高2Yは、有効画面対角線長、すなわち、撮像レンズの像面に設置される固体撮像素子の矩形受光面における対角線の長さである。
【0058】
この発明の撮像レンズにおいて、第2レンズL2の素材の屈折率が、第1レンズL1及び第3レンズL3の素材の屈折率よりも高く、第2レンズL2の素材のアッベ数が、第1レンズL1及び第3レンズL3の素材のアッベ数よりも小さいことが好ましい。
【0059】
また、この発明の撮像レンズにおいて、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3をアッベ数が30から60の範囲内の値である素材で形成したレンズとすることが好適である。また、第1レンズL1及び前記第3レンズL3が、シクロオレフィン系プラスチックを素材として形成したレンズであり、第2レンズL2がポリカーボネートを素材として形成したレンズとするのがよい。
【発明の効果】
【0060】
第1レンズL1を物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状のレンズとし、第2レンズL2を像側に凸面を向けた負の屈折力を有するメニスカス状のレンズとし、第3レンズL3を物体側に凸面を向けた負の屈折力を有するメニスカス状のレンズとすることで、後述するように、光学長Lを短くすることができる。
【0061】
条件式(1)から(4)を満たすことによって得られる、この発明の撮像レンズに対する効果は、以下のとおりである。
【0062】
上述の条件式(1)は、第1レンズの屈折力を規定する条件式であって、f1/fの値が上限よりも小さければ、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3のうち、唯一正の屈折力を有する第1レンズL1の屈折力を適度の大きさに設定することができ、すなわち良好な画像が得られないほどの大きな収差を発生させることがない範囲で第1レンズL1の屈折力の大きさを設定でき、撮像レンズの全長を短くできる。
【0063】
また、f1/fの値が下限よりも大きければ、第1レンズL1の正の屈折力が必要以上に大きくなりすぎず、第1レンズL1で発生する高次の球面収差やコマ収差を小さくできる。
【0064】
上述の条件式(2)は、第1レンズL1の第1面(物体側の面)の光軸上曲率半径と第2面(像側の面)の光軸上曲率半径の比を定める条件式である。この比が、条件式(2)が与える下限より大きければ、この撮像レンズのバックフォーカスbfを、撮像レンズと撮像面との間にカバーガラスあるいはフィルタ等の部品を挿入するに十分であって、かつこの撮像レンズを搭載する機器のコンパクト性を損なわない範囲の長さに設定できる。また球面収差も大きくなりすぎることはなく、第1レンズL1の第1面の加工も容易である。
【0065】
第1レンズL1の第1面(物体側の面)の光軸上曲率半径と第2面(像側の面)の光軸上曲率半径の比が、条件式(2)が与える上限より小さければ、バックフォーカスbfを短くできるので、撮像レンズのコンパクト化が図られる。また、球面収差及び非点収差が正の値で大きくなりすぎない。その上歪曲収差は、負の値をとるがその絶対値は大きくなりすぎることがない。そのため、第2レンズL2及び第3レンズL3によってこれらの収差を必要な範囲に収まるように補正することが可能となる。また、第1レンズL1の主点を前方へ配置しやすいので、像面に入射する光線の入射角度を小さくすることができる。そのため、シェーディングを起こしにくいという効果が得られる。
【0066】
上述の条件式(3)は、第1レンズL1と第2レンズL2との光軸上の間隔d3がとるべき値の範囲を撮像レンズの合成焦点距離fで正規化して定める条件式である。
【0067】
d3/fの値が、条件式(3)の定める下限よりも大きければ、像面に入射する外周辺の光線の入射角度が大きくなりすぎず、像面上のマイクロレンズにより、いわゆる「けられ」が発生しない。そのため、画像の周辺部分が暗くなることがなく、良質な画質が得られる。また、バックフォーカスbfが長くなりすぎない。d3/fの値が、条件式(3)の定める上限よりも小さければ、第3レンズL3の口径を大きくする必要がなく、撮像レンズ全体としてコンパクト化が図られる。d3/fの値が、条件式(3)の定める範囲内であれば、歪曲収差、球面収差及び像面湾曲の大きさを十分に小さくすることが可能である。
【0068】
上述の条件式(4)は、像高、すなわち、撮像レンズの像面に設置される固体撮像素子の矩形受光面における対角線の長さ2Yに対する、光学長Lの比がとるべき値の範囲を規定する条件式である。
【0069】
L/2Yの値が、条件式(4)が定める下限よりも大きければ、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3の厚みを、レンズ形成時に必要とされる厚み以上に確保することが可能である。すなわち、樹脂素材で第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3を構成する場合、射出成形時にレンズの厚みが薄いと樹脂素材を鋳型に均等に行き渡るように注入することが難しくなる。したがって樹脂素材でレンズを形成する場合、レンズの厚みはある程度厚い必要がある。L/2Yの比が条件式(4)の下限よりも大きければこのレンズの厚みが十分に確保できる。
【0070】
また、L/2Yの値が、条件式(4)が定める上限よりも小さければ、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3の外径を、コンパクト性を損なうほどに大きく確保しなくとも、撮像レンズの周辺光量比が小さくなりすぎないようにすることが可能である。外径が小さく形成できれば、第1レンズL1の物体側面から像面までの光軸上の空気中の距離、すなわち、レンズ全長も相乗的に短く形成できる。
【0071】
よって、上述のこの発明の撮像レンズそれぞれに対する、条件式(1)から(4)の四つの条件を、それぞれ満足するレンズ構成とすることにより、上述の問題点は解消し、小型で良好な画像が得られるコンパクトな撮像レンズを提供でき、また、光軸に対する入射角度が小さな主光線だけを取り込むことによって、画像の周辺部分まで均一な明るさとすることが可能である撮像レンズが提供できる。
【0072】
この発明の撮像レンズは、入射瞳を確定する開口絞りS1を第1レンズL1の前面、すなわち第1レンズL1の物体側に配置されていることが特徴である。このことによって、入射瞳を物体側に近づけることができ、主光線を画像面に垂直に近い角度で入射させられ、シェーディングの発生を防止することが可能となる。
【0073】
また、第2レンズL2の素材の屈折率が、第1レンズL1及び第3レンズL3の素材の屈折率よりも高く、第2レンズL2の素材のアッベ数が、第1レンズL1及び第3レンズL3の素材のアッベ数よりも小さければ、色・球面収差を効果的に低減することが可能である。
【0074】
第2レンズL2をポリカーボネートで形成し、第1レンズL1及び第3レンズL3をシクロオレフィン系プラスチックで形成すれば、第2レンズL2の素材の屈折率が、第1レンズL1及び第3レンズL3の素材の屈折率よりも高く、第2レンズL2の素材のアッベ数が、第1レンズL1及び第3レンズL3の素材のアッベ数よりも小さくできる。
【0075】
シクロオレフィン系プラスチックの屈折率は1.5300、ポリカーボネートの屈折率は1.5830であり、シクロオレフィン系プラスチックのアッベ数は56.0、ポリカーボネートのアッベ数は30.0であるので、これらの素材をこの発明の撮像レンズに利用できる。
【0076】
シクロオレフィン系プラスチック及びポリカーボネート素材は、既に確立された製造技術である射出成形方法でレンズを形成するには適した材料であることが知られている。もちろん、特定のプラスチック材料に限定されず、アッベ数が30から60の範囲内であるプラスチック材料やモールドガラス素材を利用できる。
【0077】
後述する実施例1から実施例5において、第1レンズL1及び第2レンズL2は、シクロオレフィン系プラスチックで形成され、第2レンズL2は、ポリカーボネートで形成されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0078】
以下、図を参照して、この発明の実施の形態例につき説明する。なお、これらの図は、この発明が理解できる程度に構成要素の形状、大きさ及び配置関係を概略的に示してあるにすぎず、また、以下に説明する数値的条件及びその他の条件は単なる好適例であり、この発明はこの発明の実施の形態にのみ何等限定されるものではない。
【0079】
図1は、この発明の撮像レンズの構成図である。図1において定義されている面番号や面間隔等の記号は、図2、図6、図10、図14、図18において共通して用いるものとする。
【0080】
物体側から数えて第1、第2及び第3のレンズをそれぞれL1、L2及びL3で示し、第1レンズL1の前面に配置される開口絞りをS1で表す。また、誤解の生じない範囲でri(i=1, 2, 3, …,10)を光軸上曲率半径の値を意味する変数として用いるほか、レンズやカバーガラスあるいは撮像面を識別する記号(例えばr2を第1レンズの物体側の面の意味に用いる等)としても用いる。
【0081】
これらの図に示すri(i=1, 2, 3, …,10)及びdi(i=1, 2, 3, …,9)等のパラメータは、以下に示す表1から表5に具体的数値として与えてある。添え字iは、物体側から像側に向かって順に、各レンズの面番号あるいはレンズの厚みもしくはレンズ面間隔等に対応させて付したものである。
すなわち、
ri は i番目の面の光軸上曲率半径、
di は i番目の面からi+1番目の面までの距離、
Ni は i番目の面とi+1番目の面から成るレンズの素材の屈折率及び
νi は i番目の面とi+1番目の面から成るレンズの素材のアッベ数
をそれぞれに示す。
【0082】
図1においては、絞りの開口部を線分で示してある。これは、レンズ面から絞り面までの距離を定義するためには、絞り面と光軸との交点が明確に示されなければならないためである。また、実施例1から5の撮像レンズのそれぞれの断面図である、図2、図6、図10、図14、図18においては、上記の図1とは逆に、絞りの開口部を開けて、開口部の端を始点とした2本の直線で光を遮断する絞りの本体を示してある。これは、主光線等の光線を記入するために、絞りの実態を反映させて、絞りの開口部を開けて示す必要があるためである。
【0083】
光学長Lは、絞りS1から撮像面までの距離である。バックフォーカスbfは、光軸上での第3レンズL3の像側の面から撮像面までの距離である。
【0084】
非球面データは、表1から表5のそれぞれの欄に面番号とともに示した。絞りS1及びカバーガラス(あるいはフィルター等)の面、また撮像面は、平面であるので曲率半径∞と表示している。
【0085】
この発明で使用される非球面は、次の式で与えられる。
【0086】
Z = ch2/[1+ [1−(1+k)c2h2]+1/2]+A0h4+B0h6+C0h8+D0h10
ただし、
Z : 面頂点に対する接平面からの深さ
c : 面の光軸上の曲率
h : 光軸からの高さ
k : 円錐定数
A0 : 4次の非球面係数
B0 : 6次の非球面係数
C0 : 8次の非球面係数
D0 : 10次の非球面係数
である。
【0087】
この明細書中の表1から表5において、非球面係数を示す数値は指数表示であり、例えば「e−1」は、「10の−1乗」を意味する。また、焦点距離fとして示した値は、第1から第3のレンズから成るレンズ系の合成焦点距離である。
【0088】
以下、図1から図21を参照して実施例1から実施例5を説明する。
【0089】
図3、図7、図11、図15、図19に示す歪曲収差曲線は、光軸からの距離(縦軸に像面内での光軸からの最大距離を100として百分率表示してある。)に対して、収差(横軸に正接条件の不満足量を百分率表示してある。)を示した。図4、図8、図12、図16、図20に示す非点収差曲線は、歪曲収差曲線と同様に、縦軸に示す光軸からの距離に対して、収差量(mm単位)を横軸にとって示し、メリジオナル面とサジタル面とにおける収差量(mm単位)を表示した。図5、図9、図13、図17、図21に示す色・球面収差曲線においては、縦軸の入射高h(Fナンバー)に対して、収差量(mm単位)を横軸にとって示した。
【0090】
また、色・球面収差曲線においては、C線(波長656.3nmの光)、d線(波長587.6 nmの光)、e線(波長546.1 nmの光)、F線(波長486.1 nmの光)及びg線(波長435.8 nmの光)に対する収差値を示した。屈折率は、d線(587.6 nmの光)における屈折率である。
【0091】
以下に、実施例1から実施例5に関する構成レンズの曲率半径(mm単位)、レンズ面間隔(mm単位)、レンズ素材の屈折率、レンズ素材のアッベ数、焦点距離、Fナンバー及び非球面係数を表1から表5に一覧にして掲げる。実施例1から5において、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3のそれぞれの焦点距離をf1、f2、f3で示す。実施例1から5において、いずれの場合も、f1が正の値、f2及びf3が負の値となっている。すなわち、第1レンズL1が正の屈折力を有するレンズであり、第2レンズL2及び第3レンズレンズL3が負の屈折力を有するレンズである。なお、撮像レンズの合成焦点距離fの値は1.00 mmに正規化してある。
【0092】
また、光軸上曲率半径の値ri(i=1, 2, 3, …,10)は、物体側に凸である場合を正の値、像側に凸である場合を負の値として示してある。レンズを構成する曲面の曲率半径の値の符号から、第1レンズL1は物体側及び像側に凸面を向けた凸レンズ、第2レンズL2は像側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズ、第3レンズL3は物体側に凸面を向けたメニスカス形状のレンズであることが読み取れる。
【0093】
以下に、各実施例の特徴を示す。実施例1から実施例5において、第1レンズL1、及び第3レンズL3の素材に、シクロオレフィン系プラスチックであるゼオネックスE48R(ゼオネックスは日本ゼオン株式会社の登録商標で、E48Rは商品番号である。)を用いた。また、第2レンズL2の素材に、ポリカーボネートを用いた。
【0094】
ゼオネックスE48Rのd線に対する屈折率は1.5300であり、ポリカーボネートのd線に対する屈折率は、1.5830である。また、ゼオネックスE48Rのアッベ数は、56.0、ポリカーボネートのアッベ数は30.0である。
【0095】
また、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3のそれぞれの両面を非球面とした。
【0096】
この発明の撮像レンズは、図1に示すように、開口絞りS1、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3を具え、物体側から像側に向かって、開口絞りS1、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3の順に配列されて構成される。第3レンズL3と撮像素子10との間には、カバーガラス12が挿入されている。カバーガラスの素材は屈折率が1.5613、アッベ数が61であるBK7ガラスである。
【0097】
【表1】

【0098】
【表2】

【0099】
【表3】

【0100】
【表4】

【0101】
【表5】

【実施例1】
【0102】
第1レンズL1、及び第3レンズL3の素材に、ゼオネックスE48Rを用い、第2レンズL2の素材に、ポリカーボネートを用いた。
(A)第1レンズL1の焦点距離f1は、f1=0.58 mmである。
(B)第1レンズL1の物体側曲率半径r2は、r2=0.297 mmである。
(C)第1レンズL1の像側曲率半径r3は、r3=5.941 mmである。
(D)第2レンズL2と第3レンズL3との光軸上の間隔Dは、d3=0.1020 mmである。
(E)光学長Lは、L=0.997 mmである。
(F)像高(有効画面対角線長)2Yは、2Y=1.18 mmである。
よって、
(1) f1/f =0.58/1.00=0.58
(2) r2/r3 =0.297/5.941=0.0500
(3) d3/f =0.1020/1.00=0.1020
(4) L/2Y =0.997/1.18=0.8449
となるので、実施例1のレンズ系は、以下の条件式(1)から条件式(4)までのいずれをも満たしている。
【0103】
0.57 < f1/f < 0.65 (1)
0.01 ≦ r2/r3 ≦ 0.05 (2)
0.1 ≦ d3/f < 0.15 (3)
0.6 < L/2Y < 0.9 (4)
以後、この発明における条件式とは上記(1)から(4)までの4つの式を指すものとする。
【0104】
表1に示すとおり、絞りS1は、第1レンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。すなわち、絞り面は平面であるので、表1にr1=∞と示してあることから、面r1の位置に絞りS1が配置されていることを示している。またFナンバーは、3.4である。
【0105】
図2に実施例1の撮像レンズの断面図を示す。焦点距離1.00 mmに対するバックフォーカスは0.357 mmと、十分な長さに確保できている。
【0106】
図3に示す歪曲収差曲線20、図4に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線22及びサジタル面に対する収差曲線24)、図5に示す色・球面収差曲線(C線に対する収差曲線26、d線に対する収差曲線28、e線に対する収差曲線30、F線に対する収差曲線32及びg線に対する収差曲線34)について、それぞれグラフによって示してある。
【0107】
図3及び図4の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図3及び図4中で、100%は0.590 mmに対応している。また、図5の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が3.4に対応する。図3の横軸は収差(%)を示し、図4、図5の横軸は、収差の大きさを示している。
【0108】
歪曲収差は、像高60%(像高 0.354mm)位置において収差量の絶対値が1.4195%と最大になっており、像高0.590 mm以下の範囲で収差量の絶対値が1.4195%以内に収まっている。
【0109】
非点収差は、像高100%(像高0.590 mm)位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0595 mmと最大になっており、また、像高0.590 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0595 mm以内に収まっている。
【0110】
色・球面収差は、入射高hの100% においてg線に対する収差曲線34の絶対値が0.0135 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0135 mm以内に収まっている。
【実施例2】
【0111】
第1レンズL1、及び第3レンズL3の素材に、ゼオネックスE48Rを用い、第2レンズL2の素材に、ポリカーボネートを用いた。
(A)第1レンズL1の焦点距離f1は、f1=0.61 mmである。
(B)第1レンズL1の物体側曲率半径r2は、r2=0.323 mmである。
(C)第1レンズL1の像側曲率半径r3は、r3=32.244 mmである。
(D)第2レンズL2と第3レンズL3との光軸上の間隔Dは、d3=0.1108 mmである。
(E)光学長Lは、L=1.042 mmである。
(F)像高(有効画面対角線長)2Yは、2Y=1.18 mmである。
よって、
(1) f1/f =0.61/1.00=0.61
(2) r2/r3 =0.323/32.244=0.0100
(3) d3/f =0.1108/1.00=0.1108
(4) L/2Y =1.042/1.18=0.8831
となるので、実施例1のレンズ系は、以下の条件式(1)から条件式(4)までのいずれをも満たしている。
【0112】
0.57 < f1/f < 0.65 (1)
0.01 ≦ r2/r3 ≦ 0.05 (2)
0.1 ≦ d3/f < 0.15 (3)
0.6 < L/2Y < 0.9 (4)
表2に示すとおり、絞りS1は、第1レンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。すなわち、絞り面は平面であるので、表1にr1=∞と示してあることから、面r1の位置に絞りS1が配置されていることを示している。またFナンバーは、3.4である。
【0113】
図6に実施例2の撮像レンズの断面図を示す。焦点距離1.00 mmに対するバックフォーカスは0.347 mmと、十分な長さに確保できている。
【0114】
図7に示す歪曲収差曲線36、図8に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線38及びサジタル面に対する収差曲線40)、図9に示す色・球面収差曲線(C線に対する収差曲線42、d線に対する収差曲線44、e線に対する収差曲線46、F線に対する収差曲線48及びg線に対する収差曲線50)について、それぞれグラフによって示してある。
【0115】
図7及び図8の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図7及び図8中で、100%は0.590 mmに対応している。また、図9の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が3.4に対応する。図7の横軸は収差(%)を示し、図8、図9の横軸は、収差の大きさを示している。
【0116】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.590mm)位置において収差量の絶対値が0.7512%と最大になっており、像高0.590 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.7512%以内に収まっている。
【0117】
非点収差は、像高100%(像高0.590 mm)位置においてサジタル面における収差量の絶対値が0.0046 mmと最大になっており、また、像高0.590 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0046 mm以内に収まっている。
【0118】
色・球面収差は、入射高hの30% においてg線に対する収差曲線50の絶対値が0.0168 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0168 mm以内に収まっている。
【実施例3】
【0119】
第1レンズL1、及び第3レンズL3の素材に、ゼオネックスE48Rを用い、第2レンズL2の素材に、ポリカーボネートを用いた。
(A)第1レンズL1の焦点距離f1は、f1=0.62 mmである。
(B)第1レンズL1の物体側曲率半径r2は、r2=0.326 mmである。
(C)第1レンズL1の像側曲率半径r3は、r3=20.315 mmである。
(D)第2レンズL2と第3レンズL3との光軸上の間隔Dは、d3=0.1118 mmである。
(E)光学長Lは、L=1.071 mmである。
(F)像高(有効画面対角線長)2Yは、2Y=1.20 mmである。
よって、
(1) f1/f =0.62/1.00=0.62
(2) r2/r3 =0.326/20.315=0.0160
(3) d3/f =0.1118/1.00=0.1118
(4) L/2Y =1.071/1.20=0.8925
となるので、実施例1のレンズ系は、以下の条件式(1)から条件式(4)までのいずれをも満たしている。
【0120】
0.57 < f1/f < 0.65 (1)
0.01 ≦ r2/r3 ≦ 0.05 (2)
0.1 ≦ d3/f < 0.15 (3)
0.6 < L/2Y < 0.9 (4)
表3に示すとおり、絞りS1は、第1レンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。すなわち、絞り面は平面であるので、表1にr1=∞と示してあることから、面r1の位置に絞りS1が配置されていることを示している。またFナンバーは、3.4である。
【0121】
図10に実施例3の撮像レンズの断面図を示す。焦点距離1.00 mmに対するバックフォーカスは0.37 mmと、十分な長さに確保できている。
【0122】
図11に示す歪曲収差曲線52、図12に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線54及びサジタル面に対する収差曲線56)、図13に示す色・球面収差曲線(C線に対する収差曲線58、d線に対する収差曲線60、e線に対する収差曲線62、F線に対する収差曲線64及びg線に対する収差曲線66)について、それぞれグラフによって示してある。
【0123】
図11及び図12の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図11及び図12中で、100%は0.600 mmに対応している。また、図13の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が3.4に対応する。図11の横軸は収差(%)を示し、図12、図13の横軸は、収差の大きさを示している。
【0124】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.600mm)位置において収差量の絶対値が0.6561%と最大になっており、像高0.600 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.6561%以内に収まっている。
【0125】
非点収差は、像高100%(像高0.600 mm)位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0079 mmと最大になっており、また、像高0.600 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0079 mm以内に収まっている。
【0126】
色・球面収差は、入射高hの30% においてg線に対する収差曲線66の絶対値が0.0173 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0173 mm以内に収まっている。
【実施例4】
【0127】
第1レンズL1、及び第3レンズL3の素材に、ゼオネックスE48Rを用い、第2レンズL2の素材に、ポリカーボネートを用いた。
(A)第1レンズL1の焦点距離f1は、f1=0.58 mmである。
(B)第1レンズL1の物体側曲率半径r2は、r2=0.302 mmである。
(C)第1レンズL1の像側曲率半径r3は、r3=20.172 mmである。
(D)第2レンズL2と第3レンズL3との光軸上の間隔Dは、d3=0.1004 mmである。
(E)光学長Lは、L=1.043 mmである。
(F)像高(有効画面対角線長)2Yは、2Y=1.18 mmである。
よって、
(1) f1/f =0.58/1.00=0.58
(2) r2/r3 =0.302/20.172=0.0150
(3) d3/f =0.1004/1.00=0.1004
(4) L/2Y =1.043/1.18=0.8839
となるので、実施例1のレンズ系は、以下の条件式(1)から条件式(4)までのいずれをも満たしている。
【0128】
0.57 < f1/f < 0.65 (1)
0.01 ≦ r2/r3 ≦ 0.05 (2)
0.1 ≦ d3/f < 0.15 (3)
0.6 < L/2Y < 0.9 (4)
表4に示すとおり、絞りS1は、第1レンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。すなわち、絞り面は平面であるので、表1にr1=∞と示してあることから、面r1の位置に絞りS1が配置されていることを示している。またFナンバーは、3.4である。
【0129】
図14に実施例4の撮像レンズの断面図を示す。焦点距離1.00 mmに対するバックフォーカスは0.358 mmと、十分な長さに確保できている。
【0130】
図15に示す歪曲収差曲線68、図16に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線70及びサジタル面に対する収差曲線72)、図17に示す色・球面収差曲線(C線に対する収差曲線74、d線に対する収差曲線76、e線に対する収差曲線78、F線に対する収差曲線80及びg線に対する収差曲線82)について、それぞれグラフによって示してある。
【0131】
図15及び図16の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図15及び図16中で、100%は0.590 mmに対応している。また、図17の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が3.4に対応する。図15の横軸は収差(%)を示し、図16、図17の横軸は、収差の大きさを示している。
【0132】
歪曲収差は、像高100%(像高 0.590mm)位置において収差量の絶対値が0.4874%と最大になっており、像高0.590 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.4874%以内に収まっている。
【0133】
非点収差は、像高100%(像高0.590 mm)位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0065 mmと最大になっており、また、像高0.590 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0065 mm以内に収まっている。
【0134】
色・球面収差は、入射高hの100% においてg線に対する収差曲線82の絶対値が0.0185 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0185 mm以内に収まっている。
【実施例5】
【0135】
第1レンズL1、及び第3レンズL3の素材に、ゼオネックスE48Rを用い、第2レンズL2の素材に、ポリカーボネートを用いた。
(A)第1レンズL1の焦点距離f1は、f1=0.62 mmである。
(B)第1レンズL1の物体側曲率半径r2は、r2=0.323 mmである。
(C)第1レンズL1の像側曲率半径r3は、r3=20.179 mmである。
(D)第2レンズL2と第3レンズL3との光軸上の間隔Dは、d3=0.1499 mmである。
(E)光学長Lは、L=1.045 mmである。
(F)像高(有効画面対角線長)2Yは、2Y=1.18 mmである。
よって、
(1) f1/f =0.62/1.00=0.62
(2) r2/r3 =0.323/20.179=0.0160
(3) d3/f =0.1499/1.00=0.1499
(4) L/2Y =1.045/1.18=0.8856
となるので、実施例1のレンズ系は、以下の条件式(1)から条件式(4)までのいずれをも満たしている。
【0136】
0.57 < f1/f < 0.65 (1)
0.01 ≦ r2/r3 ≦ 0.05 (2)
0.1 ≦ d3/f < 0.15 (3)
0.6 < L/2Y < 0.9 (4)
表5に示すとおり、絞りS1は、第1レンズL1の第1面(物体側の面)と光軸との交点の位置に設けられている。すなわち、絞り面は平面であるので、表1にr1=∞と示してあることから、面r1の位置に絞りS1が配置されていることを示している。またFナンバーは、3.4である。
【0137】
図18に実施例5の撮像レンズの断面図を示す。焦点距離1.00 mmに対するバックフォーカスは0.310 mmと、十分な長さに確保できている。
【0138】
図19に示す歪曲収差曲線84、図20に示す非点収差曲線(メリジオナル面に対する収差曲線86及びサジタル面に対する収差曲線88)、図21に示す色・球面収差曲線(C線に対する収差曲線90、d線に対する収差曲線92、e線に対する収差曲線94、F線に対する収差曲線96及びg線に対する収差曲線98)について、それぞれグラフによって示してある。
【0139】
図19及び図20の収差曲線の縦軸は、像高を光軸からの距離の何%であるかで示している。図19及び図20中で、100%は0.590 mmに対応している。また、図21の収差曲線の縦軸は、入射高h(Fナンバー)を示しており、最大が3.4に対応する。図19の横軸は収差(%)を示し、図20、図21の横軸は、収差の大きさを示している。
【0140】
歪曲収差は、像高60%(像高 0.354mm)位置において収差量の絶対値が0.9796%と最大になっており、像高0.590 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.9796%以内に収まっている。
【0141】
非点収差は、像高100%(像高0.590 mm)位置においてメリジオナル面における収差量の絶対値が0.0149 mmと最大になっており、また、像高0.590 mm以下の範囲で収差量の絶対値が0.0149 mm以内に収まっている。
【0142】
色・球面収差は、入射高hの85% においてg線に対する収差曲線98の絶対値が0.0227 mmと最大になっており、収差量の絶対値が0.0227 mm以内に収まっている。
【0143】

この発明の撮像レンズの説明から明らかなように、撮像レンズの各構成レンズを条件式(1)から(4)を満たすように設計することで、この発明が解決しようとする課題が解決する。すなわち、諸収差が良好に補正され、十分なバックフォーカスが得られかつ光学長が短く保たれた撮像レンズが得られる。
【0144】
なお、上述した実施例において第1レンズL1及び第3レンズL3にはシクロオレフィン系プラスチックを、第2レンズL2にはポリカーボネートというプラスチック素材を用いたが、実施例に掲げた以外のプラスチック材料はもとより、プラスチック素材でなくとも、例えば、モールドガラス等でも、実施例等で説明した諸条件を満たす素材であれば、ガラスその他の材料を用いることができることは言うまでもない。
【0145】
以上、説明したように、この発明の撮像レンズによれば、諸収差が良好に補正され、光学長が短いにもかかわらず、良好な画像が得られ、バックフォーカスも十分に確保できる。
【0146】
以上説明したことから、この発明の撮像レンズは、携帯電話機、パーソナルコンピュータあるいはデジタルカメラに内蔵するカメラ用レンズとしての利用はもとより、携帯情報端末(PDA:personal digital assistants)に内蔵するカメラ用レンズ、画像認識機能を具えた玩具に内蔵するカメラ用レンズ、監視、検査あるいは防犯機器等に内蔵するカメラ用レンズとして適用しても好適である。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】この発明の撮像レンズの断面図である。
【図2】実施例1の撮像レンズの断面図である。
【図3】実施例1の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図4】実施例1の撮像レンズの非点収差図である。
【図5】実施例1の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図6】実施例2の撮像レンズの断面図である。
【図7】実施例2の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図8】実施例2の撮像レンズの非点収差図である。
【図9】実施例2の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図10】実施例3の撮像レンズの断面図である。
【図11】実施例3の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図12】実施例3の撮像レンズの非点収差図である。
【図13】実施例3の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図14】実施例4の撮像レンズの断面図である。
【図15】実施例4の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図16】実施例4の撮像レンズの非点収差図である。
【図17】実施例4の撮像レンズの色・球面収差図である。
【図18】実施例5の撮像レンズの断面図である。
【図19】実施例5の撮像レンズの歪曲収差図である。
【図20】実施例5の撮像レンズの非点収差図である。
【図21】実施例5の撮像レンズの色・球面収差図である。
【符号の説明】
【0148】
10:撮像素子
12:カバーガラス
S1:開口絞り
L1:第1レンズ
L2:第2レンズ
L3:第3レンズ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口絞りS1、第1レンズL1、第2レンズL2及び第3レンズL3を具え、
物体側から像側に向かって、該開口絞りS1、該第1レンズL1、該第2レンズL2及び該第3レンズL3の順に配列されて構成され、
該第1レンズL1は、物体側に凸面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状のレンズであり、
該第2レンズL2は、像側に凸面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状のレンズであり、
該第3レンズL3は、物体側に凸面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状のレンズであって、
該第1レンズL1の両面が非球面、かつ該第2レンズL2の両面が非球面、かつ該第3レンズL3の両面が非球面であり、
以下の条件を満たすことを特徴とする撮像レンズ。
0.57 < f1/f < 0.65 (1)
0.01 ≦ r2/r3 ≦ 0.05 (2)
0.1 ≦ d3/f < 0.15 (3)
0.6 < L/2Y < 0.9 (4)
ただし、
f :撮像レンズの合成焦点距離
f1 :第1レンズL1の焦点距離
r2 :第1レンズL1の物体側面の光軸近傍における曲率半径(光軸上曲率半径)
r3 :第1レンズL1の像側面の光軸近傍における曲率半径(光軸上曲率半径)
d3 :第1レンズL1と第2レンズL2との光軸上の間隔
L :第1レンズL1の物体側面から像面までの光軸上の空気中の距離(光学長)
2Y :撮像レンズの像面に設置される固体撮像素子の矩形受光面における対角線の長さ
【請求項2】
請求項1に記載の撮像レンズであって、前記第2レンズL2の素材の屈折率が、前記第1レンズL1及び前記第3レンズL3の素材の屈折率よりも高く、前記第2レンズL2の素材のアッベ数が、前記第1レンズL1及び前記第3レンズL3の素材のアッベ数よりも小さいことを特徴とする撮像レンズ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の撮像レンズであって、該撮像レンズを構成する前記第1レンズL1及び前記第3レンズL3が、シクロオレフィン系プラスチックを素材として形成したレンズであり、
前記第2レンズL2が、ポリカーボネートを素材として形成したレンズであることを特徴とする撮像レンズ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2008−309810(P2008−309810A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−363087(P2005−363087)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【特許番号】特許第3816095号(P3816095)
【特許公報発行日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【出願人】(399036110)マイルストーン株式会社 (11)
【出願人】(501243018)
【Fターム(参考)】