説明

撮像方法および撮像装置

【課題】オンチップカラーフィルタ付き固体撮像素子から出力される画像信号の感度を向上し色と水平解像度を維持することを目的とする。
【解決手段】オンチップカラーフィルタ付き水平公称960画素素のIT−CCD撮像素子を1ヶ用いたカラー撮像装置において、全画素の暗電流を補正して3以上の奇数の水平画素電荷信号を加算し、各走査線で水平画素電荷信号加算の組み合わせを順番に変えていき、アナログーデジタル変換後に、左右加算で疑似輝度信号(2Y+G等)を算出し、組み合わせを順番方向と正負の斜め減算で(2R−G等)疑似色差信号を算出し疑似輝度信号の少なくとも高周波数成分を上下走査線の疑似輝度信号の少なくともの高周波数成分で補間し、7ヶ以上の走査線映像信号から垂直輪郭補正信号を作成し7ヶ以上の画素遅延映像信号から水平輪郭補正信号を作成し映像信号に加算する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子を有する撮像装置の感度向上に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CCD(Charge-Coupled-Device)撮像素子は固体撮像素子の中でも感度が高く暗電流レベルが異常に高い白キズと呼ばれる画素が少ないが、高温度時や高感度撮像時や蓄積時は白キズが多い。さらにCCD撮像素子の近赤外感度を高くすると、フォトダイオードが深くなり白キズが増加する。そのため、蓄積動作で感度を向上させると、さらに白キズが増加する。そのため、実効感度向上が制限される。
【0003】
そこで、従来、オンチップカラーフィルタ付き固体撮像素子を1ヶ用いたカラーテレビジョンカメラにおいて、夜間の高感度白黒撮影時に、高感度撮像を実現するため、水平2画素加算し、輪郭強調周波数を低下させ、高感度撮像の雑音を低減させていた(特許文献1参照)。
【0004】
また、デジタル信号処理回路の集積化が進み、複数ラインの出力信号を記憶し算術処理することが、映像専用のメモリ集積DSPだけでなく、安価な汎用のFPGA(Field-Programmable-Gate-Array)でも容易に実現できる様になった。ノイズ低減の対象画素に関して、周囲の画素との関連性から、信号成分かノイズ成分かを判断し、対象画素と、一定方向の隣接する画素とで信号レベル比較を行い、信号レベル差が判定基準値未満であれば、対象画素の信号レベルが信号成分であると判定し、信号レベル差が所定の値以上では、ノイズ成分と判定している(特許文献2参照)。
【0005】
さらに、CCDから出力された信号から雑音を除去するCDS(Correlated-Double-Sampling)と暗電流補正と利得可変増幅回路(Automatic-Gain-Control以下AGC)とデジタル映像信号Viに変換するADC(Analog-Digital- Converter)とを内蔵したAFE(Analog-Front-End)が普及し、AFEのADC階調は従来10ビットだったが、12ビットや14ビットが一般化し、16ビットも製品化された。ADCを22ビットとし、AGCをADCの後に配置したAFEも製品化された。
【0006】
Inter LineCCD撮像素子(以下IT−CCD)は単価が安い割に感度が高い。特に最近は、画面対角8mm(1/2型)や画面対角6mm(1/3型)の水平公称760画素のCCD撮像素子より高感度で飽和信号量も従来の1000mVから1400mVと高い、画面対角6mm(1/3型)画面アスペクト比4:3のCCD撮像素子で垂直公称485(有効494)画素または垂直公称575(有効582)画素で、水平公称960(有効972)画素のCCD撮像素子が発表された(非特許文献1参照)。また、1/3型用の小型低価格の55倍望遠ズームレンズも開発された(非特許文献2参照)。
電子増倍型CCD撮像素子(Electron-Multiplying-CCD以下EM−CCD)は、電子冷却部と組み合わせて感度を高くできるため、可視光と近赤外光の夜間の撮影用の照明なしの準動画監視が可能となった。ただし、高感度なIT−CCDもEM−CCDも暗電流が多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−102021
【特許文献2】特開2002−247412
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】水平960画素カラーCCD撮像素子ICX672AKA/ICX673AKA ソニーCX-PAL Vol.85 2010.07 http://www.sony.co.jp/Products/SC-HP/cx_pal/vol85/pdf/cxd4127_4816gg.pdf
【非特許文献2】タムロン1/3型6-330mmF/1.8ズームレンズDF014 http://www.tamron.co.jp/news/release_2010/0510.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、CCD撮像素子から出力される画像信号の感度の可変範囲を拡大し色を維持することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記課題を解決するため、オンチップカラーフィルタ付き固体撮像素子を1ヶ用いたカラー固体撮像装置において、3以上の奇数の水平画素信号電荷を加算し、各走査線で水平画素信号電荷加算の組み合わせを正の順番に変えていき、アナログーデジタル変換後に、画素信号の左右加算で疑似輝度信号(2Y+G等)を算出し、画素信号の正の順番方向の上下の斜め減算で疑似色差信号(2R−G等)を算出し、前記疑似輝度信号の高周波数成分を上下走査線の前記疑似輝度信号の高周波数成分で補間することと、前記疑似輝度信号と前記疑似色差信号との演算により、輝度信号(7.5Y等)と色差信号(2R−2Y等)とを算出し、前記輝度信号の高周波数成分を上下走査線の前記輝度信号の高周波数成分で補間することと、の少なくとも一方を行うことを特徴とする撮像方法である。
【0011】
さらに上記の撮像方法において、水平画素信号電荷加算する画素数+3ヶ以上の走査線映像信号から垂直輪郭補正信号を作成し、水平画素信号電荷加算する画素数+3ヶ以上の画素遅延映像信号から水平輪郭補正信号を作成し、前記垂直輪郭信号と前記水平輪郭信号とを映像信号に加算することを特徴とする撮像方法である。
さらに上記の撮像方法において、リセット付CDSと12bit以上のAFEとデジタルゲインアップ手段とを用い、前記リセット付CDSで上記3以上の奇数の水平画素信号電荷を加算の実施を行い、前記リセット付CDSのサンプルホールドスイッチの導通抵抗に対しリセット付CDSの積分容量の容量値を大きくするかサンプルホールド時間を狭くしてサンプルホールド時間の周波数での積分容量のインピーダンスを小さくすることと、前記12bit以上のAFE内のAGC増幅と、デジタルゲインアップ手段でのデジタルゲインアップと、を組み合わせることを特徴とする撮像方法である。
さらに上記の撮像方法において、上記固体撮像素子に飽和信号量がおよそ1400mV以上と高いCCDを用いることと、(上記固体撮像素子への入射光量または)上記固体撮像素子の出力の信号電荷の平均値と上記固体撮像素子の信号電荷を入力するリセット付CDSのCDSリセットパルスの位相の進相とを比例させること、の少なくとも一方を行うことを特徴とする撮像方法である。
さらに上記の撮像方法において、全画素の暗電流を補正して水平画素信号電荷を加算するか水平画素信号電荷を加算してから全画素の暗電流を加算して補正することと、固体撮像素子クロックに同期している論理回路からの全画素の飛び込みを補正して水平画素電荷信号を加算するか水平画素電荷信号を加算してから固体撮像素子クロックに同期している論理回路からの全画素の飛び込みを補正することと、の少なくとも一方を行うことを特徴とする撮像方法である。
【0012】
また、オンチップカラーフィルタ付き(水平有効約972等)水平公称約960画素以上のIT−CCD撮像素子を1ヶ用いたカラー固体撮像装置において、上記IT−CCD撮像素子の信号電荷を入力するクランプ機能とサンプルホールド(セット)機能とリセット機能を有する相関二重サンプリングホールド手段(Correlated Double Sampling-hold:CDS)と、3以上の奇数の水平画素電荷信号を加算する手段と、アナログーデジタル変換する手段と、該デジタル変換した信号を水平周期遅延する手段と、該デジタル変換した信号を画素単位で遅延する手段と、該デジタル変換した信号を加算する手段と、該デジタル変換した信号を減算する手段とを有し、上記CDSにおいて3以上の奇数の水平画素信号電荷を加算し、上記アナログーデジタル変換する手段においてアナログーデジタル変換後に、前記水平周期遅延する手段と前記画素単位で遅延する手段と前記加算する手段と前記減算する手段とを用いて、該デジタル変換した画素信号の左右加算で疑似輝度信号を算出し、該デジタル変換した画素信号の順番方向と正負の斜め減算で疑似色差信号を算出することを特徴とするカラー固体撮像装置である。
【0013】
または、オンチップカラーフィルタ付き固体撮像素子を1ヶ用いたカラー固体撮像装置において、上記IT−CCD撮像素子の信号電荷を入力するクランプ機能とサンプルホールド機能とリセット機能を有する相関二重サンプリングホールド手段(Correlated Double Sampling-hold:CDS)とアナログーデジタル変換する手段と水平周期遅延する手段と画素単位で遅延する手段と上下走査線の輝度信号の高周波数成分を抽出する手段を有し、上記CDSにおいて3以上の奇数の水平画素電荷信号を加算し、各走査線で水平画素電荷信号加算の組み合わせを順番に変えていき、アナログーデジタル変換後に、左右加算で疑似輝度信号(2Y+G等)を算出し、組み合わせを順番方向と正負の斜め減算で疑似色差信号(2R−G等)を算出し、前記疑似輝度信号の高周波数成分を上下走査線の前記疑似輝度信号の高周波数成分で補間すること、
前記疑似輝度信号と前記疑似色差信号との演算により、輝度信号(7.5Y等)と色差信号(2R−2Y等)とを算出し、前記輝度信号の高周波数成分を上下走査線の前記輝度信号の高周波数成分で補間すること、の少なくとも一つを行うことを特徴とするカラー固体撮像装置である。
【0014】
さらに上記において、水平画素電荷信号加算する画素数+2以上の2Nヶの水平周期遅延手段と、水平画素電荷信号加算する画素数+2以上の2Mヶとすると画素周期遅延手段を2N×2Mヶと、遅延しない映像と2Nヶの水平周期遅延の映像信号とから垂直輪郭信号を生成する手段と、N水平周期遅延した映像信号とN水平周期遅延した映像信号を画素周期遅延した2Mヶの映像信号とから水平輪郭信号を生成する手段と、垂直輪郭信号と水平輪郭信号とを映像信号に加算する手段とを有し、少なくとも3以上の奇数の水平画素電荷信号を加算する場合には、前記垂直輪郭信号と前記水平輪郭信号とをN水平周期とM画素遅延した映像信号に加算することと、全画素の暗電流を補正して水平画素電荷信号加算するか水平画素電荷信号加算してから全画素の暗電流を加算して補正することと、の少なくとも一つを行うことを特徴とするカラー固体撮像装置である。
【0015】
さらに上記において、撮像素子の温度検出手段を有し、CPUの動作クロック(約12MHz)をCCDクロック(960Hで約18MHz)と整数K:整数Lの比としてCCDクロックとに同期させ、(6℃上昇で約2倍になる)全画素の暗電流を記憶する画面メモリと、前記CCDクロックに同期させたCPUと元々CCDクロックに同期している論理回路とからの(温度での変化の少ない)飛び込みを記憶する画面メモリと、の温度での変化に対応した複数の固定雑音を記憶する画面メモリを有し、検出した撮像素子温度に合わせて、全画素の暗電流の補正値と、前記CCDクロックに同期させたCPUと前記元々CCDクロックに同期している論理回路とからの全画素の飛び込みの補正値とを加算してから画素電荷に加算して、全画素の暗電流と、前記CCDクロックに同期させたCPUと前記元々CCDクロックに同期している論理回路とからの全画素の飛び込みとを補正することと、上記固体撮像素子に飽和信号量もおよそ1400mV以上と高いCCDを用い、リセット付CDSと12bit以上のAFEとデジタルゲインアップ手段とを用い、前記リセット付CDSで上記3以上の奇数の水平画素信号電荷を加算の実施を行い、前記リセット付CDSのサンプルホールドスイッチの導通抵抗に対しリセット付CDSの積分容量の容量値を大きくするかサンプルホールド時間を狭くしてサンプルホールド時間の周波数での積分容量のインピーダンスを小さくすることと、前記12bit以上のAFE内のAGC増幅と、デジタルゲインアップ手段でのデジタルゲインアップと、を組み合わせることと、の少なくとも一つを特徴とするカラー固体撮像装置である。
【0016】
または、1つ以上のCCD撮像素子を用いたカラー固体撮像装置において、前記CCD撮像素子の出力の信号電荷を入力するリセット付CDSと該リセット付CDSの各CDSリセットパルス位相を可変する水平同期発生部とを有し、(前記固体撮像素子の各固体撮像素子への入射光量と)前記固体撮像素子の各固体撮像素子の出力の信号電荷の平均値と該固体撮像素子の信号電荷を入力するリセット付CDSのCDSリセットパルスの位相の進相とを比例させることを特徴とするカラー固体撮像装置である。
【発明の効果】
【0017】
上記の様に本発明によれば、CCD撮像素子から出力される画像信号の感度の可変範囲を拡大し色を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施例の全体構成の撮像装置を示すブロック図
【図2A】本発明の一実施例の映像信号処理部の奇数画素加算対応の色分離部を示すブロック図
【図2B】本発明の一実施例の映像信号処理部の多画素輪郭補正部を示すブロック図
【図2C】本発明の一実施例の映像信号処理部のリセット付CDSを示すブロック図
【図3A】本発明の1実施例の水平3画素加算動作を示す模式図
【図3B】本発明の1実施例の水平5画素加算動作を示す模式図
【図3C】本発明の1実施例の水平7画素加算動作を示す模式図
【図3D】本発明の1実施例の多画素輪郭補正動作を示す模式図
【図3E】本発明の一実施例の映像信号処理部のリセット付CDSの動作を示す模式図
【図4】従来技術の動作を示す模式図
【図5】従来技術の全体構成の撮像装置を示すブロック図
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0019】
本発明の一実施例の全体構成の撮像装置を示すブロック図の図1を用いて本発明の一実施例の全体構成を説明し、本発明の1実施例の動作を示す模式図の図3を用いて説明し、本発明の一実施例の映像信号処理部の画素補間部を示すブロック図の図2を用いて本発明の一実施例の詳細を説明する。
本発明の一実施例の全体構成の撮像装置を示すブロック図の図1において、1は撮像装置、2は入射光を結像するレンズ等の光学系で、4は撮像装置1内の各部とレンズ2とを制御するCPU(Central-Processing-Unit)である(CPUから各部への制御線は全ては図示せず)。
【0020】
また図1において、6は読出垂直転送駆動部(V−TG)で、9はEM−CCDで18はIT−CCD等のCCD撮像素子で、9と18とは光学系2から入射した光を電気信号に変換する。12はEM−CCDまたはCCD撮像素子から出力された信号から雑音を除去するCDSと暗電流補正と信号の利得を調整するAGCとデジタル映像信号Viに変換するADCと水平同期発生部(Timing-Generator:TG)からなるAFE(Analog Front End)である。但し、AGCやTGがAFEに含まれない構成を用いてもよい。さらに15はCMG駆動部で16は冷却部で17は冷却駆動部であり、19は水平転送駆動部(H−TG)で20はリセット付CDSである。さらに、7は温度センサ、M9は暗電流画面メモリ、8はD/Aであり、温度センサ7の検出したCCDの温度に基づき、暗電流画面メモリM9から全画素の暗電流補正値を発生し、D/A8経由でリセット付CDS20で暗電流を補正する。画素加算時も、CCDの温度に基づき全画素の暗電流をリセット付CDS20で暗電流を補正してから画素加算する。
また図1において、4は奇数画素加算色分離部と多画素輪郭補正部とを含む映像信号処理部であり、12のAFEから出力された信号に種々の映像処理を施しNTSC(National-Television-System-Committee)方式またはPAL(Phase-Alternating-by-Line)方式の複合映像信号(Video-Burst-Sync以下VBS)またはSDI(Serial-Digital-Interface)映像信号、あるいはHDTVのSDI(HD−SDI)等の所定方式の映像信号に変換して出力する映像信号処理部である。リセット付CDS20で暗電流を補正しない場合は、映像信号処理部4で、温度センサ7の検出したCCDの温度に基づき、全画素の暗電流補正値を発生し、AFE12内のAGC分を補正してから、画素加算分暗電流補正値を加算してから映像信号を補正することにより、全画素の暗電流を補正してから画素加算することと等価の補正を行う。
【0021】
本発明の一実施例の映像信号処理部のリセット付CDSを示すブロック図の図2Cにおいて、61は入力バッファ(Bi)、62はクランプ結合容量(Cci)、63はクランプスイッチ(Qq)、64は中間バッファ(Bm)、65はサンプルホールド(セット)スイッチ(Qs)、66はリセットスイッチ(Qr)、67は積分容量(Cl)、68は出力バッファ(Bo)である。
【0022】
本発明の一実施例の全体構成の撮像装置を示すブロック図の図1と、従来技術の全体構成の撮像装置を示すブロック図の図5との相違は、は水平転送駆動部(H−TG)19とリセット付CDSの20と温度センサ7と暗電流画面メモリM9とD/A8が追加され、映像信号処理部5に、奇数画素加算対応の色分離部の25と多画素輪郭補正部の26とを含むことである。
【0023】
本発明の一実施例の映像信号処理部の奇数画素加算対応の色分離部を示すブロック図の図2Aにおいて、M7〜M8はラインメモリ、37〜39は奇数画素遅延部、40〜41はbitシフト部(1/2乗算器)、44は加算器、42〜43は減算器、である。
【0024】
本発明の一実施例の映像信号処理部の奇数画素加算対応の色分離部を示すブロック図の図2Aと、本発明の1実施例の水平3画素加算動作を示す模式図の図3Aとにおいて、Nとmとを0以上の整数としm−3とm−2と垂直加算する走査線では3N+1,3N+2,3N+3の画素の信号電荷を水平3画素加算し、m−1とmと垂直加算する走査線では3N+2,3N+3,3N+4の画素の信号電荷を水平3画素加算し、m+1とm+2と垂直加算する走査線では3N+3,3N+4,3N+5の画素の信号電荷を水平3画素加算する。
H−TGを非加算の通常水平転送駆動の一つにして、高速論理ICでリセットパルスを間引いて水平3画素の信号電荷を加算しても良い。
【0025】
Cy+Ye+Mg+G=2Y+Gなので、各3画素加算は2YGCyMg=3YCy、2YGYeMg=3YYe、2Y2GYe、2Y2GCyとなる。
左右加算で 3YCy+2Y2GYe=6Y3Gとなり、水平画素加算しないで垂直画素加算して左右加算での2YGと同様の疑似輝度信号が算出できる。下記色分離した2G−Yを1.5倍して減算すれば7.5Yと輝度信号も算出できる。
輝度信号は上下走査線の信号を補間すれば、水平画素加算前の1画素単位の輝度信号解像度が維持できる。
【0026】
加算画素の組み合わせの走査線ごとの順次移動に合わせ、上と平均と下と平均とをさらに平均して加算画素位置のCyとYeとMgとGをと色分離する。
斜め加算で、2Y2GYe+2Y2GCy=5Y5Gとなる。減算すれば2Y2GYe−3YYe=2G−Yとなり疑似色差信号が算出できる。7.5Yを1/7.5に減衰して減算すれば2Gとなり色信号が算出できる。
【0027】
3YYe+2Y2GYe=5Y2GYeとなり、減算すれば2Ye−G−Y−(2G−Y)=2Ye−3G=2R−Gとなり疑似色差信号が算出できる。
さらに+G−2Yを加算すれば2R−2Yとなり色差信号が算出できる。
3YCy+2Y2GCy=5Y2G2Cyとなり、減算すれば2Cy−G−Y−(2G−Y)=2Cy−3G=2B−Gとなり疑似色差信号が算出できる。
さらに+G−2Yを加算すれば2B−2Yとなり色差信号が算出できる。
【0028】
各加算画素の位置で色分離したCyとYeとMgとGを減算した演算結果の各加算画素の位置の2Yを上下補間して、輝度信号とすれば、水平解像度は、加算前の画素単位となる。
つまり、水平3画素の信号電荷を加算することにより、雑音はそのままで、感度は3倍(+9dB)になる。水平解像度も加算前の水平画素数の分を確保できる。斜め解像度は1/3に低下する。色分離も可能で、カラー撮像を維持できる。
実施例1の水平3画素加算を前述の非特許文献1の画面対角6mm(1/3型)画面アスペクト比4:3の高感度な水平公称960(有効972)画素のCCD撮像素子に適用すれば、水平公称320(有効324)画素となる。これは一般的な水平公称760画素の従来の2画素加算の水平公称380画素の約14%低下であり、変調度低下も約14%低下で済み、許容できる。又、CCDクロックが18MHzであり、3画素加算して左右平均してもクロックが3MHz相当で色帯域は1.5MHzとなる。つまり、NTSCやPALの高帯域色差信号帯域の1.5MHzが確保できる。さらに、より多い水平画素の固体撮像素子に適用すれば、変調度低下も実用上問題なくなる。
【0029】
また、水平公称960(有効972)以上の画素のCCD撮像素子であれば、図示しないが、3以上の奇数の水平画素電荷信号を加算する手段とアナログーデジタル変換する手段と水平周期遅延する手段と画素単位で遅延する手段とを有し、各走査線で水平画素電荷信号加算の組み合わせを固定して3以上の奇数の水平画素電荷信号を加算し、アナログーデジタル変換後に、左右加算で3YCy+2Y2GYe=6Y3Gとなり、従来の水平画素加算しないで垂直画素加算して左右加算での2YGと同様の疑似輝度信号が算出できる。左右の斜め減算すれば2Ye−G−Y−(2G−Y)=2Ye−3G=2R−G、2Cy−G−Y−(2G−Y)=2Cy−3G=2B−Gとなり、従来の水平画素加算しないで垂直画素加算して左右の斜め減算の2R−G、2B−Gと同一の疑似色差信号が算出できる。
つまり、水平公称960(有効972)以上の画素のCCD撮像素子であれば、各走査線で水平画素電荷信号加算の組み合わせを順番に変えていかない簡易方式でも、一般的な水平公称760画素の従来の2画素加算の水平公称380画素の約14%低下であり、変調度低下も約14%低下で済み、許容できる。色帯域は1.5MHzとなり、実用上問題ない。つまり、高感度なカラー撮像が可能となる。
【実施例2】
【0030】
本発明の1実施例の水平5画素加算動作を示す模式図の図3Bにおいて、5画素加算は、5YGCy、5YGYe、4YYe3G、4YCy3Gとなる。
斜め加算で、5YGCy+5YGYe=10Y3Gとなり、水平画素加算しないで垂直画素加算して左右加算での2YGと同様の疑似輝度信号が算出できる。減算すれば4YYe3G−5YGYe=2G−Yとなり疑似色差信号が算出できる。10Y3Gを1/10に減衰して減算すれば1.7Gとなり色信号が算出できる。
【0031】
水平5画素の信号電荷を加算することにより、雑音はそのままで、感度は5倍(約+14dB)になる。水平解像度と斜め解像度は低下する。色分離も可能で、より高感度なカラー撮像が可能となる。
【実施例3】
【0032】
本発明の1実施例の水平5画素加算動作を示す模式図の図3Cにおいて、7画素加算は、7Y2GCy、7Y2GYe、6YYe4G、6YCy4Gとなる。
斜め加算で、7Y2GCy+7Y2GYe=15Y5Gとなり、水平画素加算しないで垂直画素加算して左右加算での2YGと同様の疑似輝度信号が算出できる。減算すれば、6YYe4G−7Y2GYe=2G−Yとなり疑似色差信号が算出できる。15Y5Gを1/15に減衰して減算すれば1.7Gとなり色信号が算出できる。
【0033】
水平7画素の信号電荷を加算することにより、雑音はそのままで、感度は7倍(約+17dB)になる。水平解像度と斜め解像度は低下する。色分離も可能で、さらにより高感度なカラー撮像が可能となる。
【実施例4】
【0034】
本発明の1実施例の多画素輪郭補正部のブロック図の図2Bにおいて、26は多画素輪郭補正部であり、27は映像レベル判定器、28は画素遅延6ヶ部、51〜58は加算器、59は小振幅大振幅の圧縮制限器、60は正負と増幅度を可変する掛け算器、29と30は輪郭信号生成部、M1〜M6はラインメモリ部、N0〜N6は負の掛け算器、P3は正の掛け算器である。
補正前信号は、M1〜M7のラインメモリ部で走査線(H)期間遅延し0Hから6Hの合計7Hの信号となる。3H信号は、さらに28の画素遅延22ヶ部で画素時間つまりCCDクロック時間し合計23組の遅延信号となる。合計7Hの信号と合計23組の遅延信号とは、29と30との輪郭信号生成部に入り、垂直輪郭信号と水平輪郭信号とになり、加算器57で加算され、小振幅大振幅圧縮制限部の59で小振幅と大振幅とを圧縮制限され、3H11画素遅延信号を入力した映像レベル判定部27の制御を受ける正負掛算器60で輪郭補正信号となり、3H11画素遅延信号に加算されて、補正後信号となる。3画素加算なら28の画素遅延部は10ヶ以上で良く、5画素加算なら28の画素遅延部は最低16以上で良く、7画素加算なら28の画素遅延部は22ヶ以上で良い。3H11画素遅延信号は、遅延の中央の信号を選択すれば良い。
【0035】
その結果、本発明の1実施例の多画素輪郭補正部の動作図の図3Dの(a)低周波数から低い変調度の補正前信号のように低周波数から変調度が低下していても、(b)輪郭補正7画素成分と、(c)輪郭補正5画素成分と、(d)輪郭補正3画素成分とを合成し、(e)本発明補正後信号のように、輪郭が補正できる。
【0036】
つまり、実施例4では、多数の水平画素加算により、低周波数から変調度が低下していても、図2Bの多画素輪郭補正部で、図3Dの(e)本発明補正後信号のように、映像信号の輪郭が再現できる。また、レンズの絞り開放や望遠端などで、低周波数から変調度が低下していても、変調度低下が補正でき、映像信号の輪郭が再現できる。さらに、多画素輪郭補正で、輪郭補正量を少なくすることができ、輪郭補正に伴う雑音の増加を低減でき、AFE内のAGC増幅またはデジタルゲインアップ手段でのデジタルゲインアップにより増幅度を高くすることが容易になる。つまり、鮮明なカラー撮像の実効的な感度の可変範囲がより拡大し、監視用途が広がる。
【0037】
実施例1を、前述のように水平3画素加算を非特許文献1の画面対角6mm(1/3型)画面アスペクト比4:3の高感度な水平公称960(有効972)画素のCCD撮像素子に適用すれば、水平公称320(有効324)画素となる。これは一般的な水平公称760画素の従来の2画素加算の水平公称380画素の約14%低下であり、変調度低下も約14%低下で済み、許容できる。水平公称960画素以上であれば、実用上問題ない。
実施例2を水平公称約1920画素以上のCCD撮像素子に適用すれば、水平公称約384画素以上となる。これは一般的な水平公称760画素の従来の2画素加算の水平公称380画素より多く、実用上問題ない。
実施例3を水平公称約2800画素以上のCCD撮像素子に適用すれば、水平公称約400画素以上となる。これは一般的な水平公称760画素の従来の2画素加算の水平公称380画素より多く、実用上問題ない。
さらに、実施例4の多画素輪郭補正を実施例1から実施例3の水平多画素加算に実施すれば、変調度低下も補正でき、高感度かつ鮮明なカラー撮像が実現でき、監視用途が広がる。
【0038】
実施例1から実施例3の水平多画素加算は、疑似輝度信号と疑似色差信号との演算により輝度信号と色差信号とを算出する方が、画面上で広い面積の色の再現性は高まるが、輪郭に偽色が付きやすいので、輪郭部分では色差信号を減衰させる。画面上で広い面積の色を用いて物体を検出する監視に適している。
実施例1から実施例3の水平多画素加算は、疑似輝度信号と疑似色差信号を出力する方が、輪郭に偽色が付きにくい。状況が変化する可能性が高い監視に適している。
【実施例5】
【0039】
上記の水平画素加算と組み合わせると、高感度化の効果が高まる雑音低減方法と増幅度向上を実施例5として、以下に記述する。
本発明の一実施例の全体構成の撮像装置を示すブロック図の図1のCPU4の動作クロック(約12MHz)を整数K:整数Lの比としてCCDクロック(960Hでは約18MHz)とに同期させる。奇数画素加算対応の色分離部と多画素輪郭補正部とを含む映像信号処理部5と読出垂直転送駆動部(V−TG)6とD/A8とAFE12とCMG駆動部15と水平転送駆動部(H−TG)19とは元々CCDクロックに同期している。
そうすれば、固定雑音は、CCDクロックに同期させたCPUと元々CCDクロックに同期している論理回路とからの飛び込みと、撮像素子のフォトダイオードの暗電流が主因である。したがって、残る固定雑音となる飛び込みは画素電荷加算で増幅されないから、画素電荷加算分、信号比低減する。しかし、上下走査線との平均や画面間の平均では、固定雑音は減衰しない。
【0040】
CPUと映像信号処理とTG等(FPGAに統合可能な)論理回路のCMOSスイッチングの貫通電流は、論理回路内のCMOSを構成するMOS−FETのゲートスレッシュホールド電圧の温度変化とgmの温度変化と、前記論理回路の電源のデカップリングコンデンサの温度変化等とによる温度変化はある。しかし、撮像素子のフォトダイオードの暗電流の温度変化と比較すれば、温度変化は少ない。つまり論理回路の温度は撮像素子の温度で代用しても精度の劣化は少ない。また、上記の水平画素加算で暗電流も加算され、暗電流むらが画面で目立ってしまう。
そこで、本発明の一実施例の全体構成の撮像装置を示すブロック図の図1において、撮像素子の温度検出手段の温度センサ7を有し、6℃上昇で約2倍になる全画素の暗電流を記憶する画面メモリM9と、CCDクロックに同期させたCPUと元々CCDクロックに同期している論理回路とからの飛び込みを記憶する画面メモリM10と、の温度での変化に対応した複数の固定雑音を記憶する画面メモリを有し、測定した撮像素子温度に合わせて、6℃上昇で約2倍になる全画素の暗電流の補正値と、温度での変化の少ないCCDクロックに同期させたCPUと元々CCDクロックに同期している論理回路とからの全画素の飛び込みの補正値とを加算器50で加算してからD/A8とリセット付CDS20とで画素電荷信号に加算して、6℃上昇で約2倍になる全画素の暗電流と、温度での変化の少ないCCDクロックに同期させたCPUと元々CCDクロックに同期している論理回路とからの全画素の飛び込みとを補正してセット付きCDS20で水平画素電荷信号を加算する。水平画素加算で暗電流も加算されても、暗電流は補正されており、暗電流むらが画面で目立たない。
また、図示しないが、水平画素電荷信号を加算してからCCDクロックに同期させたCPUと元々CCDクロックに同期している論理回路からの全画素の飛び込みを補正しても良い。
全画素の暗電流補正と論理回路からの全画素の飛び込み補正とにより、固定雑音が低減するので、AFE12内のAGC増幅と映像信号処理部5でのデジタルゲインアップと組み合わせると、高感度化の効果が高まる。
【0041】
スイッチング電源からの飛び込みは、主スイッチング素子のMOS−FETのturn-onが早すぎて、ダイオードまたは相補スイッチング素子のMOS−FETのturn-offの前に主スイッチング素子のMOS−FETがturn-onして主と相補とのスイッチング素子が同時onとなり貫通電流が流れるのが主因である。したがって、MOS−FETの制御電極電圧のバイアスをoff側にシフトし、MOS−FETの制御電極電圧の駆動インピーダンスをturn-on側はturn-off側よりも高くして、turn-onを遅くして、貫通電流を低減する。
【0042】
CCD水平転送駆動回路とAFEと前記論理回路との個々の回路の電源端子の直近にベタアースとのデカップリングコンデンサにB特性等温度特性の良い積層セラミックコンデンサ0.01μFから0.1μFを有して、CDS動作周波数の18x3=54MHzの電源インピーダンスを低くする。
個々の電源または近接配置してあれば共通の電源のデカップリングコンデンサにB特性等温度特性の良い積層セラミックコンデンサまたは導電高分子コンデンサまたはタンタルコンデンサまたはニオブコンデンサ等温度特性の良い低インピーダンスコンデンサ4.7μF以上を有し、水平帰線期間(H.BL)約11μSの周期約90kHzの電源インピーダンスが低くすれば、CDSのパルスの位相ゆらぎが低減し、1/f雑音がCDSでほぼ完全に低減できる。
【0043】
電子シャッターパルス印可するCCDの基板(SUB)と基板駆動回路との間にフェライトビーズ直列挿入し、電子シャッターパルスの不要な高周波数成分を制限して配線間での飛び込み雑音を低減し、H.BL内の電子シャッターパルスの主成分のみ通過させ、基板駆動回路の電源のデカップリングコンデンサにB特性積層セラミックコンデンサまたは導電高分子コンデンサまたはタンタルコンデンサ等温度特性の良い低インピーダンスコンデンサ4.7μF以上を有し、H.BL約11μSの周期約90kHzの電源インピーダンスが低くすれば、電子シャッターの電源と接地経由での飛び込み雑音が低減できる。
上記の電源インピーダンス低減による飛び込み雑音低減と、AFE12内のAGC増幅と映像信号処理部5でのデジタルゲインアップと組み合わせると、高感度化の効果が高まる。
【0044】
本発明の一実施例の映像信号処理部のリセット付CDSを示すブロック図の図2Cのリセット付CDS20は一般に、入力バッファ61と中間バッファ64と出力バッファ68とはエミッタフォロワである。クランプ結合容量62は47pF程度で、積分容量(Cl)67は約33pF程度である。クランプスイッチ(Qq)63とサンプルホールドスイッチ(Qs)65とリセットスイッチ(Qr)66とはMOS−FETから構成される。リセットスイッチ66を駆動するリセットパルスを奇数N周期間引けば、水平奇数N画素加算となる。リセット付CDS20はAFE12に集積されても構わない。
本発明の一実施例の映像信号処理部のリセット付CDSの動作を示す模式図の図3Eの(a)サンプルホールドスイッチQsの導通時間での積分容量ClのインピーダンスがサンプルホールドスイッチQsの導通抵抗と同等の場合と、(b)サンプルホールドスイッチQsの導通時間での積分容量ClのインピーダンスがサンプルホールドスイッチQsの導通抵抗の1/2の場合と、(c)サンプルホールドスイッチQsの導通時間での積分容量ClのインピーダンスがサンプルホールドスイッチQsの導通抵抗の1/4の場合のように、サンプルホールドスイッチ65の導通抵抗に対し積分容量67の容量値を大きくするかサンプルホールド時間を狭くして、サンプルホールド時間の周波数での積分容量67のインピーダンスを小さくすれば、CDS出力信号振幅は小さくAGC増幅度0の場合の感度は(a)に対し(b)で約93%(c)で約60%と少し下がるが、CDS出力の1/f雑音がより小さくなり、CDS出力の信号雑音比(S/N)が高くなる。そこで、AFE12内のAGC増幅度最大で、AFE12内の14bitA/D後の映像信号処理部5でのビットシフトのデジタルゲインアップした場合のS/Nが向上し、実効感度は高くなる。リセット付CDS20での奇数N画素加算はS/Nは一定で、リセット付CDS20の出力信号振幅は大きくなる。感度が高い非特許文献1のIT−CCDと組み合わせると、CDS出力信号振幅は小さくAGC増幅度0の場合の感度は下がることが補えるので、非常に実効感度は高くなる。特に、1/f雑音を低減するリセット付CDS20と1/f雑音を低減するAFE12とを直列接続すれば、より実効感度は高くなる。また、実施例4の多画素輪郭補正と組み合わせれば、輪郭補正量を少なく変調度低下が補正でき、雑音の増加特に高域雑音の増加を低減できる。また、レンズの絞り開放や望遠端などで、低周波数から変調度が低下していても、変調度低下が補正でき、映像信号の輪郭が再現できる。したがって、さらに実効感度は高くなる。また、非特許文献1のIT−CCDは飽和信号量も従来の1000mVから1400mVと高いので、AFE12内のAGC増幅度を低下すれば約3dB従来より高い入射光量にも対応でき、鮮明なカラー撮像の実効的な感度の可変範囲がより拡大し、監視用途が広がる。より高い入射光量に対応できるので、CCDの飽和信号量はより高い方が好ましい。
【0045】
したがって、撮像装置に感度が高く飽和信号量もおよそ1400mV以上と高いCCDとリセット付CDS20と12bit以上のAFEとデジタルゲインアップ機能付の映像信号処理部5とを用い、リセット付CDS20で奇数N画素加算し、リセット付CDS20のサンプルホールドスイッチ65の導通抵抗に対し積分容量67の容量値を大きくするかサンプルホールド時間を狭くして、サンプルホールド時間の周波数での積分容量67のインピーダンスを小さくすることと、14bitAFE12内のAGC増幅と、映像信号処理部5でのデジタルゲインアップと、を組み合わせると非常に実効感度は高くなる。デジタルゲインアップ機能はAFE12内に存在していても構わない。
つまり、実施例5の技術同士を自由に組み合わせて実施することにより、固定雑音を低減し、飛び込み雑音を低減し、1/f雑音を低減し、色を維持して実効的に感度を向上する。
また、実施例1から実施例5の技術は、上記説明や図示の組み合わせの例に限らず、個々の技術を自由に組み合わせて適用できる。実施例1から実施例5の技術の組み合わせにより、感度を向上するだけでなく、固定雑音を低減し、1/f雑音を低減し、色を維持して実効的に感度を向上することが可能である。
【0046】
非特許文献1の1/3型の960HのCCDを用いて実施例1から実施例3の水平画素加算による高感度化と、実施例5の固定雑音と1/f雑音との低減とによる実効的な高感度化を組み合わせれば、1/3型で色を維持して超高感度が実現する。さらに、実施例4の多画素輪郭補正による変調度低下の補正と組み合わせれば、高倍率望遠ズームレンズの望遠端の変調度低下と開放口径比低下とが許容できる。したがって、非特許文献1の1/3型の960HのCCDと、実施例1から実施例3の高感度化と、実施例4の変調度低下補正と、実施例5の雑音低減と、非特許文献2の1/3型で小型低価格の55倍望遠ズームレンズと、を組み合わせれば、国境監視に要求される窒素封入の雲台も小型低価格となり、総合的に小型低価格な超高感度のカラー監視装置が実現できる。
【実施例6】
【0047】
上記の水平画素加算の構成を応用する感度低減方法を実施例6として、以下に記述する。
本発明の一実施例の全体構成の撮像装置を示すブロック図の図1において、CCD撮像素子の出力の信号電荷を入力するリセット付CDS20と水平同期発生部19とが有る。リセット付CDS20のCDSリセットパルス位相を可変すれば、信号雑音比は一定で、リセット付CDSの出力信号振幅が可変し、感度が可変となる。そこで、水平同期発生部19で発生するCDSリセットパルス位相をCPU4制御で可変とする。特に、リセット付CDS20とAFE12とを直列接続すれば、リセットパルス位相を可変しても、AFE12により再度サンプルホールドされるので、変調度は変化しない。つまり、鮮明なカラー撮像の実効的な感度の可変範囲がより拡大し、監視用途が広がる。
雪や氷地面を覆っている晴天や夏至の晴天下の撮像等で、異常に入射光量の平均値の多いCCD撮像素子の出力の平均値の異常に多い信号電荷を入力した前記リセット付CDSのCDSリセットパルスの位相を進めて、リセット付CDSの出力信号振幅を小さくし、感度を低減する。その結果、EM−CCD等の電子シャッタ速度をあまり高速にできない撮像素子や、非特許文献1の1/3型の960HのCCD等の高感度すぎる撮像素子でも、感度低減が容易になり、変調度が低下するかまたは高価となるスポットNDフィルタまたは色温度変換フィルタやNDフィルタを入れ替える高価なリモートフィルタディスクが不要になる。その結果、低価格で高感度な昼夜兼用のカラー監視装置が実現できる。
【0048】
実施例6は、本発明の一実施例の全体構成の撮像装置を示すブロック図の図1に限らず、CDSリセットパルス位相を可変する水平同期発生部と、CCD撮像素子の出力の信号電荷を入力するリセット付CDSとがあれば良い。そこで、色分解光学系と3ヶ以上のCCD撮像素子と3ヶ以上のリセット付CDSとを用いた固体撮像装置においても、CDSリセットパルス位相を個別に可変する水平同期発生部とがあれば適用可能である。
ナトリウムランプ等のCCD撮像素子の分光感度の高い赤や緑に偏った照明、あるいは青色発光ダイオード等単色の照明下において、色分解光学系と3ヶ以上のCCD撮像素子を用い各色で共通の電子シャッタ駆動回路を備える固体撮像装置が撮影に用いられた場合は、照明の多く偏った色や単色照明の色のCCD撮像素子の入射光量とCCD撮像素子の出力との平均値が、他の色のCCD撮像素子の入射光量とCCD撮像素子の出力の平均値と比較して、異常に多くなる。そこで、平均値の多い入射光量の色のリセットパルスの位相を進めて、リセット付CDSの出力信号振幅を小さくし、感度を低減する。平均値の少ない入射光量の色のリセットパルスの位相を遅らせて、リセット付CDSの出力信号振幅を大きくし、感度を増加させても良い。つまり、各固体撮像素子への入射光量とCCD撮像素子の出力との平均値と、各固体撮像素子の信号電荷を入力するリセット付CDSのリセットパルスの位相の進相と、を比例させれば良い。各色で共通の電子シャッタ駆動回路を備えても、各色のリセット付CDSの出力信号振幅の平均値を均等に近づけることができ、AGCが感度可変に有効活用でき、オートホワイトで対応できる色温度範囲や、AGCで対応できる入射光量の範囲が拡張できる。
実施例5のサンプルホールドスイッチの導通抵抗に対し、積分容量の容量値を大きくするかサンプルホールド時間を狭くしてサンプルホールド時間の周波数での積分容量のインピーダンスを小さく、CDS出力信号振幅は小さくし、AGC増幅度0の場合の感度を下げる技術と、リセットパルスの位相可変の技術と、を組み合わせれば、さらに対応できる入射光量の範囲が拡張できる。特にリセットパルスの位相可変を、固体撮像素子への入射光量または固体撮像素子の出力の信号電荷の平均値と、上記固体撮像素子の信号電荷を入力するリセット付CDSのCDSリセットパルスの位相の進相とを比例させるとすれば、自動制御で対応できる入射光量の範囲が拡張できる。リセット付CDSのCDSリセットパルスの位相の進相と非特許文献1の感度が高く飽和信号量もおよそ1400mV以上と高いCCDとを組み合わせれば、更に自動制御で対応できる入射光量の範囲が拡張できる。
そのため、色温度変換フィルタやNDフィルタを入れ替える高価なリモートフィルタディスクが不要になる。また、ナトリウムランプや青色発光ダイオード等照明の自由度が拡張される。さらに、EM−CCD等の電子シャッタ速度をあまり高速にできない撮像素子や、非特許文献1の1/3型の960HのCCD等の高感度すぎる撮像素子でも、感度低減が容易になり変調度が低下するかまたは高価となるスポットNDフィルタが不要になる。その結果、色分解光学系と3ヶ以上のCCD撮像素子と3ヶ以上のリセット付CDSとを用いた固体撮像装置においても、低価格で高感度な昼夜兼用のカラー監視装置が実現できる。
【0049】
実施例1から実施例6の技術は、上記説明や図示の組み合わせの例に限らず、個々の技術を自由に組み合わせて適用できる。
実施例1から実施例3の高感度化と、実施例5の雑音低減による実効的な高感度化と、実施例6の感度低減と、を組み合わせれば、感度の可変範囲が拡大し、照明の自由度が拡張され、色を維持することができる。そのため、変調度が低下するかまたは高価となるスポットNDフィルタまたは色温度変換フィルタやNDフィルタを入れ替える高価なリモートフィルタディスクが不要になる。その結果、低価格で高感度な昼夜兼用のカラー監視装置が実現できる。さらに実施例4の変調度低下補正と組み合わせれば、レンズの収差による絞り値開放端付近の変調度低下も、レンズの回折による絞り値閉塞端付近の変調度低下も、補正して許容でき、さらに、感度の可変範囲を拡大し色を維持することができる。
簡易には、実施例1から実施例3の高感度化と実施例6の感度低減とを組み合わせても、実施例5の雑音低減による実効的な高感度化と実施例6の感度低減とを組み合わせても、感度の可変範囲を拡大し色を維持することができる。
【0050】
実施例1から実施例3の水平多画素加算は、疑似輝度信号と疑似色差信号を出力する方が、輪郭に偽色が付きにくい。そこで、実施例1から実施例3の水平多画素加算は、疑似輝度信号と疑似色差信号を出力し、実施例4の変調度低下補正と、実施例5の雑音低減による実効的な高感度化と、実施例6の感度低減と、を組み合わせれば、状況が大きく変化する監視に適している。
【0051】
本発明は、低価格なCCDを用いて、高感度なカラー画像を取得することと感度の可変範囲を拡大し色を維持することができ、低価格で高感度な昼夜兼用のカラー監視装置が実現できる。そのため、発電所や変電所や鉄道線路または道路等の広範囲の監視に適用することができる。
【符号の説明】
【0052】
1,21,22,23:撮像装置、2:レンズ、4:CPU、
5:奇数画素加算対応の色分離部と多画素輪郭補正部とを含む映像信号処理部、
6:読出垂直転送駆動部(V−TG)、7:温度センサ、8:D/A、
9:EM−CCD、12:AFE、
15:CMG駆動部、16:冷却部、17:冷却駆動部、18:IT−CCD、
19:水平転送駆動部(H−TG)、20:リセット付CDS、
24:映像信号処理部、25:奇数画素加算色分離部、26:多画素輪郭補正部、
27:映像レベル判定部、28:画素遅延6ヶ部、
29,30:輪郭信号生成部、
40〜41:bitシフト部(1/2乗算器)、44:加算器、42〜43:減算器,
50〜58:加算器、
59:小振幅大振幅の圧縮制限器、60:正負と増幅度を可変する掛け算器、
M1〜M8:ラインメモリ、M9:暗電流画面メモリ、M10:飛び込み画面メモリ、
37〜39:奇数画素遅延部、N0〜N6:負の掛け算器、P3:正の掛け算器、
61:入力バッファ(Bi)、62:クランプ結合容量(Cci)、63:クランプスイッチ(Qq)、
64:中間バッファ(Bm)、65:サンプルホールド(セット)スイッチ(Qs)、
66:リセットスイッチ(Qr)、67:積分容量(Cl)、68:出力バッファ(Bo)、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オンチップカラーフィルタ付き固体撮像素子を1ヶ用いたカラー固体撮像装置において、3以上の奇数の水平画素信号電荷を加算し、各走査線で水平画素信号電荷加算の組み合わせを正の順番に変えていき、アナログーデジタル変換後に、画素信号の左右加算で疑似輝度信号を算出し、画素信号の正の順番方向の上下の斜め減算で疑似色差信号を算出し、
前記疑似輝度信号の高周波数成分を上下走査線の前記疑似輝度信号の高周波数成分で補間することと、
前記疑似輝度信号と前記疑似色差信号との演算により、輝度信号と色差信号とを算出し、前記輝度信号の高周波数成分を上下走査線の前記輝度信号の高周波数成分で補間することと、
の少なくとも一方を行うことを特徴とする撮像方法。
【請求項2】
請求項1の撮像方法において、水平画素信号電荷加算する画素数+3ヶ以上の走査線映像信号から垂直輪郭補正信号を作成し、水平画素信号電荷加算する画素数+3ヶ以上の画素遅延映像信号から水平輪郭補正信号を作成し、前記垂直輪郭信号と前記水平輪郭信号とを映像信号に加算することを特徴とする撮像方法。
【請求項3】
請求項2の撮像方法において、リセット付CDSと12bit以上のAFEとデジタルゲインアップ手段とを用い、前記リセット付CDSで上記3以上の奇数の水平画素信号電荷を加算の実施を行い、前記リセット付CDSのサンプルホールドスイッチの導通抵抗に対しリセット付CDSの積分容量の容量値を大きくするかサンプルホールド時間を狭くしてサンプルホールド時間の周波数での積分容量のインピーダンスを小さくすることと、前記12bit以上のAFE内のAGC増幅と、デジタルゲインアップ手段でのデジタルゲインアップと、を組み合わせることを特徴とする撮像方法。
【請求項4】
請求項3の撮像方法において、上記固体撮像素子に飽和信号量がおよそ1400mV以上と高いCCDを用いることと、上記固体撮像素子の出力の信号電荷の平均値と上記固体撮像素子の信号電荷を入力するリセット付CDSのCDSリセットパルスの位相の進相とを比例させること、の少なくとも一方を行うことを特徴とする撮像方法。
【請求項5】
オンチップカラーフィルタ付き水平公称約960画素以上のIT−CCD撮像素子を1ヶ用いたカラー固体撮像装置において、
上記IT−CCD撮像素子の信号電荷を入力するクランプ機能とサンプルホールド(セット)機能とリセット機能を有する相関二重サンプリングホールド手段(Correlated Double Sampling-hold:CDS)と、3以上の奇数の水平画素電荷信号を加算する手段と、アナログーデジタル変換する手段と、該デジタル変換した信号を水平周期遅延する手段と、該デジタル変換した信号を画素単位で遅延する手段と、該デジタル変換した信号を加算する手段と、該デジタル変換した信号を減算する手段とを有し、
上記CDSにおいて3以上の奇数の水平画素信号電荷を加算し、
上記アナログーデジタル変換する手段においてアナログーデジタル変換後に、前記水平周期遅延する手段と前記画素単位で遅延する手段と前記加算する手段と前記減算する手段とを用いて、該デジタル変換した画素信号の左右加算で疑似輝度信号を算出し、該デジタル変換した画素信号の順番方向と正負の斜め減算で疑似色差信号を算出することを特徴とするカラー固体撮像装置。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図3E】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−65310(P2012−65310A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−167881(P2011−167881)
【出願日】平成23年7月31日(2011.7.31)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】