説明

撮像装置、その制御方法、および制御プログラム

【課題】色補正を行う際、設定した被写体の識別が容易でしかも容易に色補正を行う。
【解決手段】構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、構図情報には閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれている。補正量算出部は画像データが示す画像について選択構図情報の閉領域に対応する領域毎に色情報を得て、選択構図情報の閉領域毎に色設定情報と色情報とを比較して、選択構図情報の閉領域毎に色補正量を求める。画像補正部15は画像データについて構図情報の閉領域毎に色補正量に応じて色補正を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影の際に、被写体の構図設定を行う撮像装置に関し、特に、表示部に表示される参照画像に含まれる色補正情報を用いて色補正処理を行う撮像装置、その制御方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、デジタルカメラなどの撮像装置において、LCD(液晶表示装置)などの表示部に表示された所謂スルー画上に参照画像の輪郭情報を重畳表示して、撮影の際に被写体に係る構図設定を行うようにしたものがある。
【0003】
例えば、モニタ表示装置(表示部)に表示された被写体画像に重畳して構図テンプレートを表示するようにしたものがある。ここでは、当該構図テンプレートを用いて被写体の構図を決定し、当該構図で容易に写真撮影ができるようにしている(特許文献1参照)。
【0004】
また、AF(オートフォーカス)フレームのフレーム枠(焦点検出エリアフレーム)、フレーム枠内に表示する至近優先エリアフレーム、およびダイナミックAFエリアフレームをそれぞれ異なる色で表示するようにしたものがある(特許文献2参照)。そして、これらフレームをファインダ内においてスルー画に重畳表示して、各フレームの役割を視覚的に見分けられるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−166250号公報
【特許文献2】特開2009−44382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の手法では、構図テンプレートの領域毎に色合いを変更する技術についての開示はない。各領域には、例えば空の領域では青をより青くする補正をかけるなど、領域毎に適した色補正を掛けることで、より好ましい画像となる。
【0007】
従って、本発明の目的は、撮影時に構図情報を用いて色補正を行うことのできる撮像装置、その制御方法、および制御プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明による撮像装置は、撮影の際に用いられる構図を示す複数の構図情報から選択された選択構図情報に応じて撮影を行う撮像装置であって、前記構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、前記構図情報には前記閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および前記閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれており、撮影が開始されると、撮像レンズを介して得られた画像データが示す画像について、前記選択構図情報の閉領域に対応する領域毎に色情報を得て、前記選択構図情報の閉領域毎に前記色設定情報と前記色情報とを比較して、前記選択構図情報の閉領域毎に色補正量を求める色補正量算出手段と、前記画像データについて前記構図情報の閉領域毎に前記色補正量に応じて色補正を行う画像補正手段とを有することを特徴とする。
【0009】
本発明による制御方法は、撮影の際に用いられる構図を示す複数の構図情報から選択された選択構図情報に応じて撮影を行う撮像装置の制御方法であって、前記構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、前記構図情報には前記閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および前記閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれており、撮影が開始されると、撮像レンズを介して得られた画像データが示す画像について、前記選択構図情報の閉領域に対応する領域毎に色情報を得て、前記選択構図情報の閉領域毎に前記色設定情報と前記色情報とを比較して、前記選択構図情報の閉領域毎に色補正量を求める色補正量算出ステップと、前記画像データについて前記構図情報の閉領域毎に前記色補正量に応じて色補正を行う画像補正ステップとを有することを特徴とする。
【0010】
本発明による制御プログラムは、撮影の際に用いられる構図を示す複数の構図情報から選択された選択構図情報に応じて撮影を行う撮像装置で用いられる制御プログラムであって、前記構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、前記構図情報には前記閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および前記閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれており、前記撮像装置が備えるコンピュータに、撮影が開始されると、撮像レンズを介して得られた画像データが示す画像について、前記選択構図情報の閉領域に対応する領域毎に色情報を得て、前記選択構図情報の閉領域毎に前記色設定情報と前記色情報とを比較して、前記選択構図情報の閉領域毎に色補正量を求める色補正量算出ステップと、前記画像データについて前記構図情報の閉領域毎に前記色補正量に応じて色補正を行う画像補正ステップとを実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、撮影時に構図情報を用いて色補正を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施の形態による撮像装置の一例であるデジタルカメラを示すブロック図である。
【図2A】図1に示す撮像装置よって撮影を行う際に構図テンプレートを用いた場合の処理の一例を説明するためのフローチャートである(その1)。
【図2B】図1に示す撮像装置よって撮影を行う際に構図テンプレートを用いた場合の処理の一例を説明するためのフローチャートである(その2)。
【図3】図1に示す撮像装置で用いられる構図テンプレートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態による撮像装置について図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施の形態による撮像装置の一例であるデジタルカメラを示すブロック図である。
【0015】
図1を参照して、図示のデジタルカメラは、撮像レンズを含む複数のレンズを有する光学部1を備えている。この光学部1はモータドライバ13によって光軸方向に駆動される。光学部1から入射した被写体からの光は光学像として撮像センサ5に結像する。
【0016】
撮像センサ5は光学像を光電変換して、光学像に応じた電気信号(アナログ画像信号)を出力する。AFE(アナログフロントエンド)4は、CPU2の制御下で撮像センサ5を駆動するとともに、撮像センサ5から出力されたアナログ信号をデジタル信号(画像データ)に変換する。そして、このデジタル信号はCPU2に与えられる。なお、AFE5はCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)/AD変換器(図示せず)を備えており、このCDS/AD変換器によってデジタルサンプリングを行ってデジタル信号を生成する。
【0017】
スルー画を表示する際には、AFE4はCPU2の制御下で撮像センサ5を間引き駆動した結果得られた画像データを画像一時メモリ6に格納する。そして、表示画像生成部(表示制御手段)7は画像一時メモリ6に格納された画像データを表示用データに変換する。表示用データは表示ドライバ8によってスルー画として表示部9に表示される。以下間引き駆動によって得られた画像データをスルー画像データと呼ぶ。
【0018】
撮影補助情報生成部10は、シャッタースピード、ISO感度値、および撮影可能枚数などを示す撮影補助情報を生成して、当該撮影補助情報を補助情報一時メモリ11に展開する。表示画像生成部7はスルー画を表示部9に表示する際、撮影補助情報をスルー画に重畳して表示部9に表示する。
【0019】
操作部12にはレリーズボタン(図示せず)が備えられており、ユーザがレリーズボタンを半押しすると、駆動制御部3はCPU2の制御下でAFE4を介して撮像センサ5をAF(オートフォーカス)用駆動制御する。そして、AFE4によって撮像センサ5から画像信号を取り込みつつ、駆動制御部3はモータドライバ13を制御して光学部1を駆動してAE(自動露出)およびAFを行う。
【0020】
その後、ユーザがレリーズボタンを全押しすると、駆動制御部3はCPU2の制御下でAFE4を介して撮像センサ5を本撮影用駆動制御する。これによって、AFE4は撮像センサ5から本撮影の画像信号を取り込んで、画像一時メモリ6に格納する(展開する)。以下本撮影駆動によって得られた画像を本撮影画像データと呼ぶ。
【0021】
補正量算出部(色補正量算出手段)14は画像一時メモリ6に展開された本撮影画像データに応じて、後述する各種補正量の算出を行う。そして、画像補正部(画像補正手段)15は本撮影画像データに対して光学系補正処理、色補正処理、およびノイズリダクション処理などの補正処理を行って、記録部16に静止画像データ又は動画像データとして記録する。
【0022】
ここで、本実施形態の特徴である撮影の際に用いる構図テンプレートについて説明する。構図テンプレートは撮影時に被写体画像に重畳するなどして、撮影者が好みの構図で撮影することを補助するものである。本実施形態では、各構図テンプレートは構図情報として、各領域の境界を表わす輪郭情報、各領域を分類して示す色情報、さらに各領域に対して領域ごとの色補正を行うための補正情報を有する。具体的には、図3(a)に示すような画像データを閉領域の輪郭を示す座標データの集合(輪郭情報)と色情報を含む構図情報として記憶し、各領域毎の補正情報として色差ゲインなどが各領域の位置に対応付けられて、画像データとセットで構図テンプレート保存部17に記憶されている。
【0023】
また、ここで、構図テンプレートにおける輪郭情報および色情報については、操作部12に備えられたタッチパネル(図示せず)を用いて新規作成される。または、構図テンプレート保存部17で保存された構図テンプレートを編集して輪郭情報および色情報を得るようにしてもよい。
【0024】
構図テンプレート(構図情報)、つまり、輪郭情報および色情報を新規にする場合には、操作部12を用いて表示部9の表示画面上に閉領域を作成して、閉領域毎に表示色を設定する。輪郭情報および色情報を編集して得る場合には、構図テンプレート保存部17に保存された構図テンプレートについて、ユーザは操作部12を操作して輪郭情報および表示色の少なくとも一方を修正する。そして、新規作成によって得られた構図テンプレート又は編集によって得られた構図テンプレートは構図テンプレート保存部17に上書き保存又は新規保存される。
【0025】
上記の構図テンプレートは、2つ以上の閉領域の集合で構成され、閉領域の各々には表示色が記録される。ユーザは、特に色補正の設定を意識することなく、出来上がりの表示色のイメージに合わせて表示色の設定を行うことができる。
【0026】
このように、構図テンプレートの各々は少なくとも2つの閉領域を有している。そして、構図テンプレートには閉領域の境界を輪郭として規定する輪郭情報(構図輪郭情報)および閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれている。
【0027】
図2Aおよび図2Bは、図1に示す撮像装置よって撮影を行う際に構図テンプレートを用いた場合の処理の一例を説明するためのフローチャートである。なお、図2Aおよび図2Bに示すフローチャートは図1に示すCPU2によって実行される。
【0028】
図1、図2A、および図2Bを参照して、まず、撮像装置は撮影の開始の前(撮影前)にユーザに対して構図テンプレートの選択を促す。この際には、例えば、表示部9に構図テンプレートの選択を促す画面(テンプレート選択画面)が表示される。テンプレート選択画面で構図テンプレートの選択ボタンを押すと、表示部9には構図テンプレート保存部18に保存された構図テンプレートの一覧(テンプレート一覧)が表示される。
【0029】
ユーザがテンプレート一覧から使用したい構図テンプレートを選択すると、当該選択された構図テンプレート(選択構図情報)の輪郭情報が構図テンプレート保存部17から補助情報一時メモリ11に展開される(ステップS201)。そして、当該選択された構図テンプレートに含まれる閉領域数kが補助情報一時メモリ11に読み込まれる(ステップS202)。
【0030】
表示画像生成部7は画像一時メモリ6に展開されたスルー画像データに構図テンプレートの輪郭情報を重畳して、輪郭情報が重畳されたスルー画を表示部9に表示する(ステップS203)。
【0031】
続いて、CPU2はユーザがレリーズボタンの半押し操作を行ったか否かを判定する(ステップS204)。レリーズボタンが半押し操作されないと(ステップS204において、NO)、CPU2は待機する。
【0032】
一方、レリーズボタンが半押し操作されると(ステップS204において、YES)、CPU2において前述したように、画像一時メモリ6にAF用画像データが格納される(ステップS205:AF用画像取り込み)。そして、CPU2はAF用画像データに応じてAF処理を行う(ステップS206)。
【0033】
次に、補正量算出部14が閉領域数カウンタ(図示せず)の変数nおよび色飽和カウンタ(図示せず)の変数sをゼロに初期化する(ステップS207)。続いて、補正量算出部14は閉領域カウンタの変数nが構図テンプレートの閉領域数kと等しい否かを確認する(ステップS208)。閉領域カウンタ変数nが閉領域数kに達していないと(ステップS208において、NO)、補正量算出部14は選択された構図テンプレート(選択構図情報)について変数nに対応する閉領域における色情報(色相HTn,明度VTn,彩度CTn)を補助情報一時メモリ11を介して構図テンプレート保存部17から取り込む(ステップS209)。構図テンプレートにおける色情報をテンプレート色情報と呼ぶ。
【0034】
続いて、補正量算出部14は、構図テンプレートの色情報との比較を行うため、AF用画像データについて、変数nの領域nにおける色情報の平均値を算出して、平均色情報(色相H,明度V,彩度C)を得る(ステップS210)。AF画像データにおける平均色情報を画像色情報と呼ぶ。
【0035】
補正量算出部14はテンプレート色情報における色相と画像色情報における色相を比較して、色相差(差分)ΔH=|H−HTn|を得る。そして、補正量算出部14は当該色相差ΔHnが予め定められた色相閾値値Hthよりも小さいか否かを確認する(ステップS211)。
【0036】
ΔH<Hth(閾値未満)であると(ステップS211において、YES)、補正量算出部14はテンプレート色情報と画像色情報とにおいて、明度差(差分)ΔV=|V−VTn|が予め定められた明度閾値Vthより小さいか否かを確認する(ステップS212)。ΔV<Vth(閾値未満)であると(ステップS211において、YES)、補正量算出部14はV−VTnを明度補正量Vcnとする(ステップS213)。
【0037】
一方、ΔV≧Vthであると(ステップS211において、NO)、補正量算出部14は構図テンプレートにおける被写体とAF画像データにおける被写体とが一致していないと判定する。そして、補正量算出部14は明度補正量Vcnをゼロに設定する(ステップS214)。つまり、補正量を算出しないことになる。
【0038】
続いて、補正量算出部14は、明度差ΔVn2=V−VTnが予め定められた正の色飽和閾値Vth2より大きいか否かを確認する(ステップS215)。ΔVn2>Vth2であると(ステップS215において、YES)、補正量算出部14はAF用画像データにおける明度が構図テンプレートの明度よりも所定の値以上高いと判定する。そして、補正量算出部14は色飽和カウンタ変数sをインクリメントする(ステップS216:S=S+1)。
【0039】
次に、補正量算出部14はテンプレート色情報と画像色情報とにおいて、彩度差ΔC=|C−CTn|が予め定められた彩度閾値Cthより小さいか否かを確認する(ステップS217)。ΔC<Cthであると(ステップS217において、YES)、補正量算出部14はCn−CTnを明度補正量Ccnとする(ステップS218)。
【0040】
一方、ΔC≧Cthのであると(ステップS217において、NO)、補正量算出部14は構図テンプレートにおける被写体とAF画像データにおける被写体とが一致していないと判定する。そして、補正量算出部14は明度補正量Ccnをゼロに設定する(ステップS219)。
【0041】
ここまでの一連の処理が終了すると、補正量算出部14は閉領域カウンタ変数nをカウントアップする(ステップS220:n=n+1)。そして、補正量算出部14はステップS208の処理に戻って、閉領域カウンタ変数nが閉領域数kに等しいか否かを確認する。なお、ステップS215において、ΔVn2≦Vth2であると(ステップS215において、NO)、補正量算出部14はステップS220の処理に進む。
【0042】
ステップS211において、ΔH≧Hthであると(ステップS211において、NO)、テンプレート色情報と画像色情報とにおいて色相が大きく異なるので、補正量算出部14は構図テンプレートと被写体とが異なると判定する。そして、補正量算出部14は当該閉領域における補正を行わない。つまり、補正量算出部14は明度補正値Vcnおよび彩度補正値Ccnをそれぞれゼロに設定する(ステップS221)。そして、補正量算出部14はステップS200の処理に移行して閉領域カウンタ変数nをカウントアップする(S220)。
【0043】
ステップS208において、閉領域領域カウンタ変数nが構図テンプレートの閉領域数kと等しいと(ステップS208において、YES)、補正量算出部14は全ての閉領域について処理が終了したとする。
【0044】
続いて、補正量算出部14は全ての閉領域中で色飽和と判定された割合(色飽和割合)s/kを算出する。そして、補正量算出部14は色飽和割合s/kが色飽和閾値sthより大きいか否かを確認する(ステップS222)。
【0045】
s/k>sthのであると(ステップS222において、YES)、補正量算出部14は露出が高すぎて色飽和の割合が多いと判定して露出の補正(露出の変更)を行う(ステップS223:Δe=f(s/k))。そして、補正量算出部14はステップS205の処理に戻って画像一時メモリ6からAF用画像データを取り込んで、ステップS206以降の一連の処理を行う。
【0046】
ここで、露出補正の際の露出変化量を予め色飽和割合s/k毎に定めて露出変化量テーブルを作成して、この露出変化量テーブルをメモリ(図示せず)に格納する。そして、露出補正を行う際には、補正量算出部14は色飽和割合s/kに応じて露出変化量テーブルを参照して、露出変化量を決定する。
【0047】
s/k≦sthであると(ステップS222において、NO)、補正量算出部14および画像補正部15は全ての閉領域について、閉領域毎に決定した明度補正値Vcnおよび彩度補正値Ccnを適用して色補正を行う(ステップS233)。そして、補正量算出部14および画像補正部15は処理を終了する。
【0048】
図3は、図1に示す撮像装置で用いられる構図テンプレートの一例を示す図である。
【0049】
図3には、富士山と桜の構図テンプレートが示されている。図3において、図示の構図テンプレートは3つの閉領域”0”〜”2”を有している。ここでは、閉領域”0”が空、閉領域”1”が桜、そして、閉領域”2”が富士山を表している。ここで、閉領域”0”〜”2”の各々についてその補正量の算出について説明する。
【0050】
いま、閉領域”0”〜”2”にそれぞれ(色相H,明度V,彩度C)として、(HT0,VT0,CT0)=(170,128,255)、(HT1,VT1,CT1)=(213,179,255)、(HT2,VT2,CT2)=(255,255,255)が設定されているものとする。さらに、ここでは、色相差閾値Hth=明度閾値Vth=彩度閾値Cth=30であるとする。
【0051】
図3に示す構図テンプレートについて色補正を行う際には、AF用画像データが示す画像を、まず構図テンプレートの閉領域”0”〜”2”に分割する。そして、分割によって得られた閉領域の各々について色相、明度、および彩度の平均値と構図テンプレートにおける色相、明度、および彩度を比較して、補正値(補正量)を算出する。
【0052】
ここで、AF用画像データにおいて、閉領域の色相、明度、および彩度の平均値がそれぞれ(H,V,C)=(149,153,255)、(H,V,C)=(234,210,255)、および(H,V,C)=(31,153,255)であったとする。従って、閉領域”0”については、ΔH=|H−HT0|=|149−170|=21<Hth=30、ΔV=|V−VT0|=|128−153|=25<Vth=30、そして、ΔC=|C−CT0|=|255−255|=0<Cth=30となる。この結果、図2Aおよび図2Bで説明したように、閉領域”0”については、明度補正値VC0=V−VT0=128−153=−25、彩度補正値CC0=C−CT0=2そして、55−255=0となる。
【0053】
閉領域”1”については、ΔH=|H−HT1|=|234−213|=21<Hth=30、そして、ΔC=|C−CT1|=|255−255|=0<Cth=30となる。一方、明度差|V−VT1|=|179−210|=31≧Vth=30となる。よって、閉領域”1”については、明度補正値VC1=0、彩度補正値CC0=255−255=0となる。
【0054】
閉領域”2”については、ΔH=|H−HT2|=|31−255|=224≧Hth=30であるので、当該閉領域では被写体相違と判定されて、明度補正値および彩度補正値ともに0に設定されることになる。
【0055】
このように、上述の実施形態では、色設定情報を含む構図テンプレートを用いて撮影を行う際、AF用画像データ(つまり、スルー画)の色情報と色設定情報とに応じて閉領域の色補正量を求めるようにしたので、構図テンプレートにおける被写体とおよび色補正量の双方がユーザにとって視覚的に分かりやすくしかも容易に色補正を行うことができる。
【0056】
以上、本発明を実施の形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0057】
例えば、上記の実施の形態では、デジタルカメラを例に挙げて説明したが、デジタルビデオカメラ又はカメラ付き携帯電話機などにも適用することができる。
【0058】
また、上記の実施の形態では、構図テンプレートを操作部からの入力するようしたが、ネットワークから構図テンプレートをダウンロードして構図テンプレート保存部17に保存するようにしてもよい。この場合、ネットワーク上に用意された複数の構図テンプレートの中からユーザ所望の構図テンプレートを選択して、構図テンプレート保存部17にダウンロードする。
【0059】
さらに、上記の実施の形態では、レリーズボタンを半押した際に色補正を行うようにしたが、レリーズボタンの全押し後に得られる本撮影データについて同様の処理を行うようにしてもよい。
【0060】
加えて、上記の実施の形態の機能を制御方法として、この制御方法を撮像装置に実行させるようにすればよい。また、上述の実施の形態の機能を有するプログラムを制御プログラムとして、この制御プログラムを撮像装置が備えるコンピュータに実行させるようにしてもよい。
【0061】
この際、制御方法および制御プログラムの各々は、少なくとも補正量算出ステップおよび画像補正ステップを有することになる。なお、制御プログラムは、例えば、コンピュータに読み取り可能な記録媒体に記録される。
【0062】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記録媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【符号の説明】
【0063】
4 AFE(アナログフロントエンド)
5 撮像センサ
7 表示画像生成部
9 表示部
12 操作部
14 補正量算出部
15 画像補正部
17 構図テンプレート保存部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影の際に用いられる構図を示す複数の構図情報から選択された選択構図情報に応じて撮影を行う撮像装置であって、
前記構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、前記構図情報には前記閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および前記閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれており、
撮影が開始されると、撮像レンズを介して得られた画像データが示す画像について、前記選択構図情報の閉領域に対応する領域毎に色情報を得て、前記選択構図情報の閉領域毎に前記色設定情報と前記色情報とを比較して、前記選択構図情報の閉領域毎に色補正量を求める色補正量算出手段と、
前記画像データについて前記構図情報の閉領域毎に前記色補正量に応じて色補正を行う画像補正手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮影前に前記撮像レンズを介して得られたスルー画像に前記選択された構図情報の輪郭を重畳して表示部に表示する表示制御手段を有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記色情報および前記色設定情報の各々として色相、明度、および彩度を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記補正量算出手段は、前記色情報と前記色設定情報との差分が予め設定された閾値未満であると前記色補正量を求めることを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記色情報および前記色設定情報の各々として色相を用いることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記補正量算出手段は、前記色情報と前記色設定情報との差分が前記閾値を超えた前記閉領域の数と前記選択構図情報の閉領域の数との割合が所定の割合を超えると、撮影の際の露出を変更することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記色情報および前記色設定情報の各々として明度を用いることを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記補正量算出手段は、前記露出を変更した後に得られた画像データを用いて前記色補正量の算出を行うことを特徴とする請求項6又は7に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮影の際に用いられる構図を示す複数の構図情報から選択された選択構図情報に応じて撮影を行う撮像装置の制御方法であって、
前記構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、前記構図情報には前記閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および前記閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれており、
撮影が開始されると、撮像レンズを介して得られた画像データが示す画像について、前記選択構図情報の閉領域に対応する領域毎に色情報を得て、前記選択構図情報の閉領域毎に前記色設定情報と前記色情報とを比較して、前記選択構図情報の閉領域毎に色補正量を求める色補正量算出ステップと、
前記画像データについて前記構図情報の閉領域毎に前記色補正量に応じて色補正を行う画像補正ステップとを有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
撮影の際に用いられる構図を示す複数の構図情報から選択された選択構図情報に応じて撮影を行う撮像装置で用いられる制御プログラムであって、
前記構図情報の各々は少なくとも2つの閉領域を有し、さらに、前記構図情報には前記閉領域の境界を輪郭として規定する構図輪郭情報および前記閉領域の各々についてその色を設定する色設定情報が含まれており、
前記撮像装置が備えるコンピュータに、
撮影が開始されると、撮像レンズを介して得られた画像データが示す画像について、前記選択構図情報の閉領域に対応する領域毎に色情報を得て、前記選択構図情報の閉領域毎に前記色設定情報と前記色情報とを比較して、前記選択構図情報の閉領域毎に色補正量を求める色補正量算出ステップと、
前記画像データについて前記構図情報の閉領域毎に前記色補正量に応じて色補正を行う画像補正ステップとを実行させることを特徴とする制御プログラム。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−46159(P2013−46159A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181675(P2011−181675)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】