説明

撮像装置、その制御方法及びプログラム

【課題】焦点調整中においても合焦位置を正確に把握できるようにする。
【解決手段】焦点調整を行う焦点調整手段と撮像素子14を有し、システムコントローラ50は、撮像素子14により撮像された画像データに基づいて静止画データを生成し、焦点調整手段が被写体の焦点を調整している時に、当該静止画データに合焦位置を示す情報を重畳させて画像表示部28に表示させる。また、撮像装置のブレ量を検出する検出手段を有し、検出されたブレ量に応じて、静止画データあるいは合焦位置を示す情報のうち何れか一方の表示位置を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、焦点調整機能による合焦位置をユーザに提示する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
コンパクトカメラでは、光学ファインダの代わりに外部表示装置に撮像素子のスルー画像を表示する、所謂ライブビュー表示を用いてフレーミング、撮影する撮影スタイルが一般的になっている。デジタル一眼レフカメラでもライブビューを実現する手法が各種提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−261783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、デジタル一眼レフカメラで外部表示装置に撮像素子のスルー画像を表示する、所謂ライブビュー表示を行うためには撮像素子に撮影レンズからの光束を導くためミラーアップを行う必要がある。一方、位相差AFを行うためには位相差AFの焦点検出部に撮影レンズからの光束を導くためミラーダウンを行う必要がある。そのため、位相差AF時にはライブビュー表示を行うことはできず、AF動作中にモニタで合焦位置を参照することはできなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、焦点調整中においても合焦位置を正確に把握できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、撮像手段と、焦点調整を行う焦点調整手段と、前記撮像手段により撮像された画像データに基づいて静止画データを生成する生成手段と、前記焦点調整手段による焦点調整中において、前記静止画データに合焦位置を示す情報を重畳させて表示手段に表示させる表示制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、焦点調整中において、撮像手段により撮像された画像データに基づく静止画データに合焦位置を示す情報を重畳して表示させるため、焦点調整中においても合焦位置を正確に把握することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1−1】本発明の実施形態に係るデジタル一眼レフカメラを前面側よりみた斜視図である。
【図1−2】本発明の実施形態に係るデジタル一眼レフカメラを上面側よりみた図である。
【図1−3】本発明の実施形態に係るデジタル一眼レフカメラを背面側よりみた図である。
【図2】本発明の実施形態に係るデジタル一眼レフカメラの電気的な構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施形態におけるライブビュー表示動作を示すフローチャートである。
【図4】ライブビュー表示中の画像表示部の表示例を示す図である。
【図5】図3のS306のサブルーチンの処理を示すフローチャートである。
【図6】本発明の第1の実施形態における表示位置の補正処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】図6に示す表示位置の補正処理で静止画データをシフトした表示例を示す図である。
【図8】本発明の第2の実施形態における表示位置の補正処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】図8に示す表示位置の補正処理で測距枠をシフトした表示例を示す図である。
【図10】本発明の第3の実施形態における表示位置の補正処理の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の第4の実施形態における表示位置の補正処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を適用した好適な実施形態を、添付図面を参照しながら詳細に説明する。
【0010】
図1−1乃至図1−3は、本発明の実施形態に係るデジタル一眼レフカメラ(以下、単にカメラと称す)の外観を示す図である。より具体的には、図1−1はカメラを前面側よりみた斜視図であって、撮影レンズユニットを外した状態を示している。図1−2はカメラを上面側よりみた図である。図1−3はカメラを背面側よりみた図である。なお、本カメラは、本発明の撮像装置の適用例となる構成である。
【0011】
図1−1において、100はカメラ本体であり、撮影時に使用者がカメラを安定して握り易いように前方に突出したグリップ部1102が設けられている。カメラの前面側において、1105はレンズマウントであり、着脱可能な撮影レンズユニットをカメラ本体に固定させることができる。マウント接点1104は、カメラ本体と撮影レンズユニットとの間で制御信号、状態信号、データ信号等を介在するとともに、撮影レンズユニット側に電力を供給する機能を有する。1107は撮影レンズユニットを取り外す際に押し込むレンズロック解除釦である。1103はカメラ筐体内に配置されたミラーボックスであり、撮影レンズユニットを通過した光束はここへ導かれる。グリップ部1102に対して反対側の側面には、開閉可能な外部端子蓋1108が設けられている。この外部端子蓋1108を開けた内部には、外部インタフェースとしてビデオ信号出力用ジャックとUSB出力用コネクタとが納められている。
【0012】
図1−2において、カメラ上部のグリップ部1102側には、撮影開始の起動スイッチとしてのシャッタ釦1206と、撮影時の動作モードに応じてシャッタスピードやレンズ絞り値を設定するためのメイン電子ダイヤル1205が配置されている。シャッタ釦1206は、第1ストロークでSW1(後述する図2の63)がオンし、第2ストロークにてSW2(後述する図2の64)がオンする構成となっている。カメラ上部中央には、カメラ本体に対してポップアップするストロボユニット1101、フラッシュ取付け用のアクセサリシュー1202及びフラッシュ接点1201があり、カメラ上部右よりには撮影モードダイヤル1203が配置されている。1204はカメラの動作を起動もしくは停止するための電源スイッチである。
【0013】
図1−3において、カメラ背面側には、ファインダ接眼窓1303、表示手段としての液晶モニタ(画像表示部)28が設けられている。カメラ背面側に配置された設定釦として、液晶モニタの表示/非表示の切替等の操作を行うDISP釦1302、メニュー画面の呼び出し等の操作を行うMENU釦1301、撮影した画像データの再生等の操作を行う再生釦1309、撮影した画像の消去等の操作を行う消去釦1310、ライブビューの開始、終了のためのライブビュー釦1308、測距点選択釦1305、AEロック釦1304、露出補正設定釦1307がある。
【0014】
カメラの電源が入っている状態でライブビュー釦1308を押下する。これにより、ファインダ接眼窓1303から被写体を観察するファインダ観察状態と、撮像素子14の出力をライブビュー画像として画像表示部28に表示するライブビュー状態とを相互に切り替えることができる。なお、撮像素子14は、本発明の撮像手段の適用例となる構成である。
【0015】
図2は、本発明の実施形態に係るカメラの電気的な構成を示すブロック図である。図2において、100はカメラ本体である。1はメインミラーである。メインミラー1は可動ミラーであり、ファインダ観察状態及び位相差AF動作中は撮影光路内に斜設され(ミラーダウン)、撮像素子14への光の入射が妨げられる。一方、ライブビュー状態及び撮影状態では撮影光路外に退避する(ミラーアップ)。また、メインミラー1はハーフミラーとなっており、撮影光路内に斜設されているときは、後述する焦点検出光学系へ被写体からの光線の約半分を透過させる。
【0016】
2はピント板であり、後述の撮影レンズ301で結像された被写体の光学像が投影される。3はサブミラーであり、斜設されたメインミラー1を透過した光線を下方に折り曲げて、後述の焦点検出部8の方に導くものである。このサブミラー3は可動ミラーであり、メインミラー1と連動して、ファインダ観察状態及び位相差AF動作中は撮影光路内に斜設され、ライブビュー状態及び撮影状態では撮影光路外に退避する。
【0017】
4はファインダ光路変更用のペンタプリズムである。5はファインダ接眼窓1303内に設けられている接眼レンズである。6及び7はそれぞれ、ファインダ観察画面内の被写体輝度を測定するための測光レンズ及び測光センサであり、測光センサ7は内部に公知の対数圧縮回路を持っているので、その出力は対数圧縮されたものとなる。8は公知の位相差方式の焦点検出部である。
【0018】
14はCCD、CMOS等の撮像素子である。撮像素子14はブレ補正制御部132により上下左右方向に変位可能に支持され、後述のブレ検出部131で検出したブレを補正する機械的ブレ補正手段として機能する。11はフォトインタラプタやフォトリフレクター、或いはメカ的にオン/オフするSW等で構成されるミラー位置検出部であり、メインミラー1が所定の位置にあることを検出する。ミラーアップやミラーダウンの制御を行なった際には、このミラー位置検出部11により、ミラーが所定の位置にあることをチェックする。
【0019】
9はフォーカルプレーン型シャッタである。フォーカルプレーン型シャッタ9はライブビュー状態では撮影レンズユニット300からの光束を撮像素子14に導くため開放保持されるように制御される。16は撮像素子14から出力されるアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器である。18は撮像素子14、A/D変換器16、D/A変換器26にクロック信号や制御信号を供給するタイミング発生回路であり、メモリ制御回路22及びシステムコントローラ50により制御される。
【0020】
20は画像処理回路であり、A/D変換器16からのデータ或いはメモリ制御回路22からのデータに対して所定の画素補間処理や色変換処理を行う。画像処理回路20においては、撮像素子14で撮像した画像データを用いて所定の演算処理を行い、得られた演算結果とカメラの設定値に基づいてホワイトバランスを調整する処理も行っている。
【0021】
22はメモリ制御回路であり、A/D変換器16、タイミング発生回路18、画像処理回路20、画像表示メモリ24、D/A変換器26、第1のメモリ30、圧縮・伸長回路32を制御する。A/D変換器16のデータが画像処理回路20、メモリ制御回路22を介して、或いはA/D変換器16のデータが直接メモリ制御回路22を介して、画像表示メモリ24或いは第1のメモリ30に書き込まれる。
【0022】
24は画像表示メモリである。26はD/A変換器である。28はTFTLCDから成る画像表示部であり、画像表示メモリ24に書き込まれた表示用の画像データは、D/A変換器26を介して画像表示部28により表示される。
【0023】
30は撮影した画像データを格納するための第1のメモリであり、所定枚数の静止画データを格納するのに十分な記憶量を備えている。また、第1のメモリ30は、システムコントローラ50の作業領域としても使用することが可能である。
【0024】
32は画像データを圧縮伸長する圧縮・伸長回路であり、第1のメモリ30に格納された画像データを読み込んで圧縮処理或いは伸長処理を行い、処理を終えた画像データを第1のメモリ30に書き込む。
【0025】
40はフォーカルプレーン型シャッタ9を制御するシャッタ制御部である。41はメインミラー1をアップ、ダウンさせるためのモータと駆動回路からなるミラー制御部である。50はカメラ本体100の全体を制御するシステムコントローラである。52はシステムコントローラ50の動作用の定数、変数、プログラム等を記憶する第2のメモリである。44は光学フィルタであり、水晶の複屈折板、位相板、赤外カットフィルタから構成されている。120はカメラ本体100に内蔵され、被写体に対して閃光を発する内蔵ストロボ(内蔵閃光装置)である。内蔵ストロボ120において、121はXe管、122は反射笠、123はXe管121の発光を制御するIGBT等で構成された発光制御回路、124はXe管121に給電する300V程度の電圧を発生する充電回路である。
【0026】
54はシステムコントローラ50でのプログラムの実行に応じて、カメラの動作状態やメッセージ等を表示する、液晶表示装置からなるファインダ内表示部である。ファインダ内表示部54の表示内容としては、合焦表示、AEロック/FEロック表示、フラッシュ充電表示、赤目緩和設定表示、シャッタスピード表示、絞り値表示、露出レベル/露出補正表示、連続撮影可能枚数表示等がある。56は電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、例えばEEPROM等が用いられる。
【0027】
以下、本実施形態におけるカメラの操作手段の説明を行う。操作手段はシステムコントローラ50への各種の動作指示を入力するものであり、スイッチやダイヤル、レバー等で構成される。
【0028】
1203はモードダイヤルであり、撮影モードを切り替える設定を行うことができる。63は第1のシャッタスイッチSW1であり、シャッタ釦1206(図1−2)の半押しでオンとなり、AF(オートフォーカス)処理、AE(自動露出)処理等の動作開始を指示する。また、このSW1のオンで所定時間の測光タイマが起動し、この測光タイマ中はファインダ内表示部54や画像表示部28に測光結果より演算されたシャッタスピードや絞り値、露出レベル表示が表示される。測光タイマは第1のシャッタスイッチSW1のオンの継続やメイン電子ダイヤル1205、AEロック釦1304などの操作部材の操作により更新される。
【0029】
64は第2のシャッタスイッチSW2であり、シャッタ釦1206(図1−2)の全押しでオンとなり、一連の撮影処理の動作開始を指示する。1204はカメラの電源をオン/オフする電源スイッチである。1205は撮影に関する選択、設定に使用するメイン電子ダイヤルで、1クリック回転操作することにより、位相のずれた2ビットの信号をシステムコントローラ50に送ることにより、回転方向と回転クリック数が検出される。
【0030】
101は各種釦類からなる操作部であり、具体的には図1−3に示したDISP釦1302、MENU釦11301、再生釦1309、消去釦1310、ライブビュー釦1308、測距点選択釦1305、AEロック釦1304、露出補正設定釦1307がある。
【0031】
80は電源制御部であり、電池検出回路、DC−DCコンバータ、通電するブロックを切り替えるスイッチ回路等により構成されている。電源制御部80は、電源部86の装着の有無、電池の種類、電池残量の検出を行い、検出結果及びシステムコントローラ50の指示に基づいて内部のDC−DCコンバータを制御し、各部へ電力を供給する。
【0032】
82はボディ側の電源部端子、84は電源側の電源部端子であり、86はアルカリ電池やリチウム電池等の一次電池やNiCd電池やNiMH電池、Li電池等の二次電池、ACアダプタ等からなる電源部である。
【0033】
90はメモリカードやハードディスク等の記録媒体200とのインタフェース(I/F)である。92はメモリカードやハードディスク等の記録媒体200と接続を行うボディ側記録媒体コネクタである。このインタフェース90及びボディ側記録媒体コネクタ92としては、SDカードやCF(コンパクトフラッシュ(登録商標))カード等の規格に準拠したものを用いて構成している。
【0034】
110は通信部であり、USBやIEEE1394の通信機能を有する。112は通信部110によりカメラ本体100を他の機器と接続するコネクタである。200はメモリカードやハードディスク等の記録媒体である。記録媒体200は、半導体メモリや磁気ディスク等から構成される記録部202、カメラ本体100とのインタフェース(I/F)204、カメラ本体100と接続を行うコネクタ206を備えている。
【0035】
1104は後述の撮影レンズユニット300とカメラ本体100側のシステムコントローラ50との通信を行う通信線(マウント接点)であり、1201は後述の外付けストロボ400とカメラ本体100側のシステムコントローラ50との通信を行う通信線である。
【0036】
次に、撮影レンズユニット300の説明をする。301は被写体の光学像を内部に通過させ、撮像素子14に結像する為の撮影レンズである。302は撮影レンズ301を光軸方向に駆動して、ピントを合わせるためのモータ及びモータ駆動回路からなるフォーカス制御部である。なお、フォーカス制御部302は、本発明の焦点調整手段の適用例となる構成である。
【0037】
303は撮影レンズ301の位置情報から被写体までの距離を検出するためのエンコーダからなる被写体距離検出部である。304はシャッタ9との組み合わせで撮影時の撮像素子14への露光量を調整するための絞りであり、305は絞り304を駆動するモータ及びモータ駆動回路からなる絞り制御部である。306は前述のフォーカス制御部302や絞り制御部305等を制御するとともに、カメラ本体100側のシステムコントローラ50との通信を制御するレンズ制御マイコンである。
【0038】
また、撮影レンズユニット300は、レンズマウント1105を介して、着脱可能にカメラ本体100に装着される。また、電気的にはシリアル通信線と電源部からなるマウント接点1104でカメラ本体100に接続される。
【0039】
次に、カメラ本体100に外付けされ、被写体に対して閃光を発する外付けストロボ(外付け閃光装置)400について説明する。
【0040】
401はXe管である。402は反射笠である。403はXe管401の発光を制御するIGBT等で構成された発光制御回路である。404はXe管401に給電する300V程度の電圧を発生する充電回路である。また、405は充電回路404に給電する電池等の電源部、406は外付けストロボ400の発光、充電等を制御するとともに、カメラ本体100側のシステムコントローラ50との通信を制御するストロボ制御マイコンである。
【0041】
また、外付けストロボ400は、アクセサリシュー1202を介して、着脱可能にカメラ本体100に装着される。また、電気的にはシリアル通信線とX端子(発光端子)からなるフラッシュ接点1201でカメラ本体100に接続される。131はブレ検出部であり、ジャイロセンサ、角速度センサ、加速度センサ等、振動を測定し、電気信号に変換してシステムコントローラ50に出力する。
【0042】
図3は、本実施形態におけるライブビュー表示動作を示すフローチャートである。以下、図3を用いて本実施形態におけるライブビュー表示動作について説明する。カメラの電源が入っている状態で、且つファインダ観察状態のときにライブビュー釦71を押すと、本シーケンスの処理が開始される。
【0043】
S301において、システムコントローラ50は、ミラーアップの制御を行い、メインミラー1及びサブミラー3を撮影光路外に退避するとともに、フォーカルプレーン型シャッタ9を開放する。S302において、システムコントローラ50は、画像表示部28にライブビュー表示を行う。
【0044】
図4は、ライブビュー表示中の画像表示部28の表示例を示す図であり、被写体の人物の右目にAFの測距点を合わせている状態である。ライブビュー画像401は撮像素子14から取り込んで画像処理したデータを1秒あたり30フレーム程度で連続的に表示しているものである。選択されている測距枠402を黄色等の判別容易な色でライブビュー画像401に重畳表示することにより、選択した測距点の位置が判別可能なように構成されている。なお、測距枠とは、フォーカス制御部302の焦点調整機能によって得られる合焦位置を示す枠である。
【0045】
S303において、システムコントローラ50は、SW1がONされたか否かを判定する。SW1がONされていればS304の処理へ進み、ONされていなければS314の処理へ進む。S304において、システムコントローラ50は、カメラの設定に基づきAE(自動露出)処理を行い、シャッタスピード、絞り値、ISO感度等を算出する。S305において、システムコントローラ50は測光タイマを起動する。なお、既に測光タイマ起動中である場合には測光タイマを更新する。
【0046】
S316において、システムコントローラ50はAFが有効に設定されているか否かを判定する。AFモードがONに設定されていればS306の処理へ進み、AFモードがONに設定されていなければS308の処理へ進む。S306において、システムコントローラ50はLV位相差AFの一連の処理のサブルーチンを起動する。S306の処理の詳細については後述する。
【0047】
S307において、システムコントローラ50はS306の処理において被写体への焦点合わせが成功したか否かを判定する。成功していればS317の処理へ進み、失敗していればS312の処理へ進む。S317において、システムコントローラ50は画像表示部28にAFが成功した旨の表示を行う。具体的には、測距枠402の表示を緑色にする等の表示を行う。
【0048】
S308において、システムコントローラ50はSW1がONされたか否か判定する。SW1がONされていればS309の処理へ進み、ONされていなければS314の処理へ進む。S309において、システムコントローラ50は測光タイマを更新する。S310において、システムコントローラ50はSW2がONされたか否かを判定する。SW2がONされていればS311の処理へ進み、ONされていなければS308の処理へ戻る。S311において、システムコントローラ50は一連の撮影処理を行う。
【0049】
また、S312において、システムコントローラ50はSW1がONされたか否か判定する。SW1がONされていればS313の処理へ進み、ONされていなければS314の処理へ進む。S313において、システムコントローラ50は画像表示部28にAFが失敗した旨の表示を行う。具体的には、測距枠402の表示を赤く点滅させる等の表示を行う。
【0050】
S314において、システムコントローラ50はライブビュー表示を終了するか否かを判定する。具体的にはライブビュー釦1308が押されたり、電源スイッチ1204がOFFされる、撮影レンズユニット300が外される等の操作がなされた場合、ライブビューを終了すると判定する。終了する場合にはS315の処理へ進み、終了しない場合にはS602の処理へ戻る。S315において、システムコントローラ50はライブビュー表示を終了する。S318において、システムコントローラ50はミラーダウンの制御を行い、メインミラー1及びサブミラー3を撮影光路内に斜設する位置に戻すとともに、フォーカルプレーン型シャッタ9を閉じ、一連の処理を終了する。
【0051】
図5は、図3のS306のサブルーチンの処理を示すフローチャートである。本サブルーチンが呼び出されると、先ずS501において、システムコントローラ50は最新のフレームの画像データから静止画データを作成して第1のメモリ30に書き込む。この静止画データはライブビュー表示用の画像データを用いて作成するのでなく、別途静止画データ作成のために撮像して作成してもよい。なお、S501は、本発明の生成手段の処理例である。
【0052】
S502において、システムコントローラ50は上記静止画データを処理して表示のための静止画データを作成し、測距枠等を重畳表示する。この状態の表示は図4で説明した表示において、本サブルーチンが呼び出される直前の状態でライブビュー画像401を静止させたのと同等の表示となっている。S511において、システムコントローラ50は表示位置の補正処理を開始する。表示位置の補正処理の詳細については後述する。なお、S502は、本発明の表示制御手段の処理例である。
【0053】
S503において、システムコントローラ50はミラーダウンの制御を行い、メインミラー1及びサブミラー3を撮影光路内に斜設する位置に戻すとともに、フォーカルプレーン型シャッタ9を閉じる。S504において、システムコントローラ50は焦点検出部8からの信号に基づき、撮影レンズ301の駆動量を算出するAF演算を開始する。
【0054】
S507において、システムコントローラ50はAF演算が成功したか否かを判定する。AF演算が成功してレンズの駆動量が算出できていればS508の処理に進み、AF演算が成功せず、レンズの駆動量が算出できていなければS512の処理に進む。S508において、システムコントローラ50はS504のAF演算結果に基づいて撮影レンズ301を駆動制御する。
【0055】
S512において、システムコントローラ50はミラーアップの制御を行う。処理の内容はS301と同様である。S513において、システムコントローラ50は画像表示部28にライブビュー表示を行い、本サブルーチンを終了する。
【0056】
以下、図5のS511における表示位置の補正処理の詳細について説明する。図6は、本発明の第1の実施形態における表示位置の補正処理の動作を示すフローチャートである。
【0057】
表示位置の補正処理の開始が指示されると、S601において、システムコントローラ50はブレ検出部131の出力からカメラのブレ量(振動量を含む)を算出する。このブレ量とは、S502で表示されている静止画データを撮影した時点からのカメラの縦横方向の回転角として求められる。S602において、システムコントローラ50は表示画像のシフト量を演算し、S502で表示されている静止画データをシフト表示させる。具体的には、システムコントローラ50は、S601で求めたブレ量、並びに、装着されている撮影レンズユニット300の焦点距離及び撮影距離情報から、実際に焦点検出部8が検出している被写体位置を求める。そして、システムコントローラ50は上記静止画データと測距枠とが重なる位置が焦点検出部8が検出している被写体位置と同じとなるように静止画データをシフトさせる。なお、S601は、本発明の検出手段の処理例である。
【0058】
図7は、図6に示す表示位置の補正処理で静止画データをシフトした表示例を示す図である。図7では、位相差AF開始時に測距位置を被写体の右目にあわせていたものが、カメラが左下方向にブレて測距位置が背景に向いている状態を表している。実際に焦点検出部8が検出している位置と、静止画データ703と測距枠702とが重なる位置が同じとなるように静止画データ703を右上方向にシフト(移動)させている。
【0059】
S603において、システムコントローラ50は処理を終了するか否か判定する。位相差AF処理が継続していて静止画データ表示を継続する場合はS601に戻って処理を継続し、静止画データ表示を終了する場合は本処理を終了する。
【0060】
以上説明したように本実施形態によれば、ライブビュー表示中の位相差AF実行中は、画像表示部28に位相差AF動作によってミラーダウンする直前の静止画データ及び選択されている測距枠が表示される。更にその静止画データがカメラのブレに対応してシフト表示される。そのため、位相差AF実行中でライブビュー画像が確認できない場合にも現在AFしている被写体位置の目安が確認できるとともに、ブレにより意図しない場所に焦点が合う等の不具合を防ぐことができる。また、ブレにより撮影範囲から外れる部分は画像表示部28の表示でも表示範囲から外れるため、撮影範囲から外れる被写体を確認することができる。
【0061】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図8は、本発明の第2の実施形態における表示位置の補正処理の動作を示すフローチャートである。以下、図8を用いて本実施形態における表示位置の補正処理について説明する。
【0062】
表示位置の補正処理の開始が指示されると、S801において、システムコントローラ50はブレ検出部131の出力からカメラのブレ量(振動量を含む)を算出する。このブレ量とは、S502で表示されている静止画データを撮影した時点からのカメラの縦横方向の回転角として求められる。
【0063】
S802において、システムコントローラ50は表示画像のシフト量を演算し、S502で表示されている測距枠をシフト表示させる。具体的には、システムコントローラ50は、S801で求められたブレ量、及び、装着されている撮影レンズユニット300の焦点距離及び撮影距離情報から、実際に焦点検出部8が検出している被写体位置を求める。そして、システムコントローラ50は、上記静止画データと測距枠とが重なる位置が焦点検出部8によって検出されている被写体位置と同じとなるように測距枠をシフトさせる。
【0064】
図9は、図8に示す表示位置の補正処理で測距枠をシフトした表示例を示す図である。図9では、位相差AF開始時に測距位置を被写体の右目にあわせていたものが、カメラが左下方向にブレて測距位置が背景に向いている状態を表している。実際に焦点検出部8が検出している位置と、静止画データ903と測距枠902が重なる位置とが同じとなるように測距枠902を左下方向にシフトさせている。
【0065】
S803において、システムコントローラ50は処理を終了するか否かを判定する。位相差AF処理が継続していて静止画データ表示を継続する場合はS801に戻って処理を継続し、静止画データ表示を終了する場合は本処理を終了する。なお、本実施形態におけるその他の処理については第1の実施形態と同様である。
【0066】
以上説明したように本実施形態によれば、ライブビュー表示中の位相差AF実行中は液晶モニタに位相差AF動作によってミラーダウンする直前の静止画データ及び選択されている測距枠が表示される。更にその測距枠がカメラのブレに対応してシフト表示される。そのため、位相差AF実行中でライブビュー画像が確認できない場合にも現在AFしている被写体位置の目安が確認できることとなり、ブレにより意図しない場所に焦点が合う等の不具合を防ぐことができる。また、静止画データはシフトしないため、表示画面に対して画像がけられたり、画像の余白が出たりすることがないため表示の品位を下げることがない。
【0067】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図10は、本発明の第3の実施形態における表示位置の補正処理の動作を示すフローチャートである。以下、図10を用いて本実施形態における表示位置の補正処理について説明する。
【0068】
表示位置の補正処理の開始が指示されると、S1001において、システムコントローラ50はブレ検出部131の出力からカメラのブレ量(振動量を含む)を算出する。このブレ量とは、S502で表示されている静止画データを撮影した時点からのカメラの縦横方向の回転角として求められる。
【0069】
S1004において、システムコントローラ50は機械的ブレ補正を実施する。具体的には、システムコントローラ50は、S1001で求められたブレ量、及び、装着されている撮影レンズユニット300の焦点距離及び撮影距離情報から補正量を求め、ブレ補正制御部132で撮像素子14を変位させる。ブレ量がブレ補正制御部132で補正できる量(補正範囲)を超えている場合、システムコントローラ50は補正できる量のみを補正するようブレ補正制御部132を制御する。本実施形態では、機械的ブレ補正手段として、撮像素子14を変位させる方法を用いているが、撮影レンズユニット300の光学系部品の一部を変位させることによりブレ補正する方法を用いることもできる。
【0070】
S1005において、システムコントローラ50は、S1001で求めたブレ量とS1004で機械的に補正したブレ補正量とを比較し、補正残りがあるか否かを判定する。補正残りがある場合はS1006の処理へ、補正残りがない場合はS1003の処理へ進む。S1006において、システムコントローラ50は、S1001で求めたブレ量とS1004で機械的に補正したブレ補正量との差分を演算する。
【0071】
S1002において、システムコントローラ50は静止画データのシフト量を演算し、S502で表示している静止画データをシフト表示させる。具体的には、システムコントローラ50は、S1006で求めたブレ補正量の差分、並びに、装着されている撮影レンズユニット300の焦点距離及び撮影距離情報から、実際に焦点検出部8が検出している被写体位置を求める。そして、システムコントローラ50は、上記静止画データと測距枠とが重なる位置が焦点検出部8によって検出されている被写体位置と同じとなるように静止画データをシフトさせる。
【0072】
S1003において、システムコントローラ50は処理を終了するか否かを判定する。位相差AF処理が継続していて静止画データ表示を継続する場合はS1001に戻って処理を継続し、静止画データ表示を終了する場合は本処理を終了する。なお、本実施形態におけるその他の処理については第1の実施形態と同様である。
【0073】
以上説明したように、本実施形態によれば、位相差AF開始後に多少のブレが発生しても機械的手ぶれ補正を行うことによって、現在AFしている被写体位置と静止画データ上で測距枠が表示されている位置がずれることを防ぐことができる。更にブレ量が増えて機械的補正できるブレ量を超えた場合は、その静止画データがカメラのブレに対応してシフト表示される。そのため、位相差AF実行中の表示の変化を極力抑えて視認性を向上した上で、ライブビュー画像が確認できない場合にも現在AFしている被写体位置の目安が確認できることとなり、ブレにより意図しない場所に焦点が合う等の不具合を防ぐことができる。
【0074】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図11は、本発明の第4の実施形態における表示位置の補正処理の動作を示すフローチャートである。第3の実施形態における表示位置の補正処理と異なる点は、第3の実施形態では、S1002において静止画データのシフト量を演算し、表示されている静止画データをシフト表示させるのに対し、第4の実施形態では、S1102において測距枠のシフト量を演算し、表示されている測距枠をシフト表示させる点にある。それ以外の処理は、図10に示す処理と同様であるため、説明を省略する。また、本実施形態におけるその他の処理についても第1の実施形態と同様である。
【0075】
以上説明したように、本実施形態によれば、位相差AF開始後に多少のブレが発生しても機械的手ぶれ補正を行なうことによって、現在AFしている被写体位置と静止画データ上で測距枠が表示されている位置がずれることを防ぐことができる。更にブレ量が増えて機械的補正できるブレ量を超えた場合は、その測距枠がカメラのブレに対応してシフト表示される。そのため、位相差AF実行中の表示の変化を極力抑えて視認性を向上した上で、ライブビュー画像が確認できない場合にも現在AFしている被写体位置の目安が確認できることとなり、ブレにより意図しない場所に焦点が合う等の不具合を防ぐことができる。また、静止画データはシフトしないため、表示画面に対して画像がけられたり、画像の余白が出たりすることがないため表示の品位を下げることがない。
【0076】
なお、システムコントローラ50の制御は一つのハードウェアが行ってもよいし、複数のハードウェアが処理を分担することで、装置全体の制御を行ってもよい。
【0077】
また、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。さらに、上述した各実施形態は本発明の一実施形態を示すものにすぎず、各実施形態を適宜組み合わせることも可能である。
【0078】
また、上述した実施形態においては、本発明をカメラに適用した場合を例にして説明したが、これはこの例に限定されない。すなわち、本発明はカメラから出力された画像をリアルタイムに表示可能なパーソナルコンピュータ等の表示制御装置にも適用可能である。
【0079】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)をネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムコードを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0080】
1:メインミラー、3:サブミラー、8:焦点検出部、50:システムコントローラ、131:ブレ検出部、132:ブレ補正制御部、300:撮影レンズユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像手段と、
焦点調整を行う焦点調整手段と、
前記撮像手段により撮像された画像データに基づいて静止画データを生成する生成手段と、
前記焦点調整手段による焦点調整中において、前記静止画データに合焦位置を示す情報を重畳させて表示手段に表示させる表示制御手段とを有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記焦点調整手段による焦点調整中における前記撮像装置のブレ量を検出する検出手段を更に有し、
前記表示制御手段は、前記検出手段により検出されたブレ量に応じて、前記静止画データ及び前記合焦位置を示す情報のうちの少なくとも何れか一方の表示位置を移動させることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像装置の部品の一部を変位させることにより前記撮像装置のブレを補正する補正手段を更に有し、
前記表示制御手段は、前記検出手段により検出されたブレ量が前記補正手段によるブレの補正範囲を超える場合、前記検出手段により検出されたブレ量と前記補正手段で補正されたブレ量との差分に応じて、前記静止画データ及び前記合焦位置を示す情報のうちの少なくとも何れか一方の表示位置を移動させることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記生成手段は、前記焦点調整手段によって焦点調整が開始される直前の画像データに基づいて前記静止画データを生成することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記焦点調整手段による焦点調整中において、撮影光路内に斜設され、前記撮像手段への光の入射を妨げる可動ミラーを更に有することを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記焦点調整手段は、位相差AFを実行することを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像手段を有する撮像装置の制御方法であって、
焦点調整を行う焦点調整ステップと、
前記撮像手段により撮像された画像データに基づいて静止画データを生成する生成ステップと、
前記焦点調整ステップによる焦点調整中において、前記静止画データに合焦位置を示す情報を重畳させて表示手段に表示させる表示制御ステップとを含むことを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項8】
撮像手段を有する撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
焦点調整を行う焦点調整ステップと、
前記撮像手段により撮像された画像データに基づいて静止画データを生成する生成ステップと、
前記焦点調整ステップによる焦点調整中において、前記静止画データに合焦位置を示す情報を重畳させて表示手段に表示させる表示制御ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項9】
撮像手段を有する撮像装置の制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
焦点調整を行う焦点調整ステップと、
前記撮像手段により撮像された画像データに基づいて静止画データを生成する生成ステップと、
前記焦点調整ステップによる焦点調整中において、前記静止画データに合焦位置を示す情報を重畳させて表示手段に表示させる表示制御ステップとをコンピュータに実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図1−3】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−155505(P2011−155505A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15902(P2010−15902)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】