説明

撮像装置、撮像制御プログラム及び撮像制御方法

【課題】撮影終了後における煩雑な作業を強いられることなくシャッターチャンスに対応する被写体画像を記録する。
【解決手段】スロー釦が押下された場合には、撮像フレームレートで得られるフレーム画像データをバッファメモリに順次記憶させる処理を開始する(ステップS110)。バッファメモリから予め設定された表示フレームレートでフレーム画像データを読み出し(ステップS111)、この読み出したフレーム画像データに基づく画像を表示装置に表示させる(ステップS112)。シャッターキーが押下されると、ステップS111でバッファメモリから読み出されているフレーム画像データを保存メモリに記録する(ステップS114)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像して記録する撮像装置、撮像制御プログラム及び撮像制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シャッターチャンスを逃すのを防止するための機能を備えた撮像装置が知られている。この撮像装置は、シャッターキーが操作されると、予め取り込んでおいたシャッターキー操作前の画像と、シャッター操作時に取り込んだ画像、及びシャッター操作後に取り込んだ画像とを記録媒体に記録する。したがって、画面やファインダーに表示されるスルー画像を見ながらシャッターキーを操作したタイミングが、ユーザが所望するシャッターチャンスよりずれた場合であっても、シャッターチャンスに対応する被写体画像を記録することができるとするものである(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開平9−83849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このようにユーザがシャッターチャンスであるとしてシャッターキーを操作した時点と、その前後における被写体画像を記録媒体に記録すると、記録された画像には必然的にシャッターチャンス以外の画像が含まれることになる。したがって、ユーザは撮影終了後、記録媒体から画像を読み出して表示画面等に表示し、シャッターチャンスとした画像以外の画像を削除するといった煩雑な作業を強いられることとなる。
【0004】
本発明は、かかる従来の課題に鑑みてなされたものであり、撮影終了後における煩雑な作業を強いられることなく、シャッターチャンスに対応する被写体画像を記録することができる撮像装置、撮像制御プログラム及び撮像制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために請求項1記載の発明に係る撮像装置にあっては、所定の撮像フレームレートに従って被写体を順次撮像し、画像データを出力する撮像手段と、前記撮像手段から前記撮像フレームレートで出力される画像データを、該撮像フレームレートよりも低い表示フレームレートで表示手段に表示させる第1の被写体像表示処理を実行する第1の表示制御手段と、この第1の表示制御手段により前記第1の被写体像表示処理が実行されている状態における記録指示操作に応答して、前記表示手段に表示されている被写体像に対応する画像データを記録手段に記録させる記録制御手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2記載の発明に係る撮像装置にあっては、操作に応じて前記表示フレームレートを可変的に設定する設定手段を備え、前記第1の表示制御手段は、前記設定手段により設定された表示フレームレートで前記画像データを前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0007】
また、請求項3記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記撮像手段から前記撮像フレームレートで出力される画像データを、該撮像フレームレートと同じ表示フレームレートで前記表示手段に表示させる第2の被写体像表示処理を実行する第2の表示制御手段と、前記第2の表示制御手段により前記第2の被写体像表示処理が実行されている状態における第1の指示操作に応答して、前記第2の表示制御手段による第2の被写体像表示処理から、前記第1の表示制御手段による第1の被写体像表示処理に切り替える第1の表示切替手段とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項4記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記第1の表示制御手段により前記第1の被写体像表示処理が実行されている状態における第2の指示操作に応答して、前記第1の表示制御手段による前記第1の被写体像表示処理から、前記第2の表示制御手段による第2の被写体像表示処理に切り替える第2の表示切替手段を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、請求項5記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記第1の表示制御手段により前記第1の被写体像表示処理が実行されている状態における所定時間の経過に応答して、前記第1の表示制御手段による前記第1の被写体像表示処理から、前記第2の表示制御手段による第2の被写体像表示処理に切り替える第2の表示切替手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項6記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記第1の表示制御手段により前記第1の被写体像表示処理が実行されている状態における第2の指示操作と所定時間の経過とに応答して、前記第1の表示制御手段による前記第1の被写体像表示処理から、前記第2の表示制御手段による第2の被写体像表示処理に切り替える第2の表示切替手段を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項7記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記所定時間の残存時間に係る情報を報知する報知手段を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項8記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記記録制御手段は、前記第2の表示制御手段により前記第2の被写体像表示処理が実行されている状態における記録指示操作に応答して、前記表示手段に表示されている被写体像に対応する画像データを記録手段に記録させる手段を含むことを特徴とする。
【0013】
また、請求項9記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記記録制御手段は、前記第2の表示制御手段により前記第2の被写体像表示処理が実行されている状態における記録指示操作に応答して、前記撮像手段に撮像処理を実行させ、該撮像処理により得られた画像データを記録手段に記録させる手段を含むことを特徴とする。
【0014】
また、請求項10記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記撮像手段から前記撮像フレームレートで出力される画像データを順次記憶する記憶手段を備え、前記第1の表示制御手段は、前記記憶手段から前記撮像フレームレートよりも低い表示フレームレートで画像データを順次読み出し、該読み出した画像データを前記表示手段に表示させる第1の被写体像表示処理を実行することを特徴とする。
【0015】
また、請求項11記載の発明に係る撮像装置にあっては、第1の指示操作に応答して、前記撮像手段から前記撮像フレームレートで出力される画像データを前記記憶手段に順次記憶させる記憶処理を開始する記憶制御手段を備えたことを特徴とする。
【0016】
また、請求項12記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記記憶制御手段は、第2の指示操作に応答して、前記記憶処理を終了する手段を含むことを特徴とする。
【0017】
また、請求項13記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記記憶制御手段は、前記第1の表示制御手段により前記第1の被写体像表示処理が実行されている状態における所定時間の経過に応答して、前記記憶処理を終了する手段を含むことを特徴とする。
【0018】
また、請求項14記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記第1の表示制御手段により前記第1の被写体像表示処理が実行された画像データ以外の前記記憶手段に記憶されている未表示画像データを、前記撮像フレームレートよりも高いフレームレートで前記表示手段に表示させる第3の被写体像表示処理を実行する第3の表示制御手段を備えることを特徴とする。
【0019】
また、請求項15記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記記録指示操作とは、シャッターキーの押下であることを特徴とする。
【0020】
また、請求項16記載の発明に係る撮像装置にあっては、前記第1の指示操作と第2の指示操作とは、時間的に異なる同一の操作であることを特徴とする。
【0021】
また、請求項17記載の発明に係る撮像制御プログラムにあっては、表示手段と、所定の撮像フレームレートに従って被写体を順次撮像し、画像データを出力する撮像手段とを備える撮像装置が有するコンピュータを、前記撮像手段から前記撮像フレームレートで出力される画像データを、該撮像フレームレートよりも低い表示フレームレートで前記表示手段に表示させる被写体像表示処理を実行する表示制御手段と、この表示制御手段により前記被写体像表示処理が実行されている状態における記録指示操作に応答して、前記表示手段に表示されている被写体像に対応する画像データを記録手段に記録させる記録制御手段として機能させることを特徴とする撮像制御プログラム。
【0022】
また、請求項18記載の発明に係る撮像制御方法にあっては、所定の撮像フレームレートに従って被写体を順次撮像し、画像データを出力する撮像ステップと、前記撮像ステップにより前記撮像フレームレートで出力される画像データを、該撮像フレームレートよりも低い表示フレームレートで表示手段に表示させる被写体像表示処理を実行する表示制御ステップと、この表示制御ステップにより前記被写体像表示処理が実行されている状態における記録指示操作に応答して、表示手段に表示されている被写体像に対応する画像データを記録手段に記録させる記録制御ステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、撮像フレームレートで出力される画像データを、該撮像フレームレートよりも低い表示フレームレートで前記表示手段に表示させ、記録指示操作に応答して、表示手段に表示されている被写体像に対応する画像データを記録させることから、撮影時においてユーザが意図するシャッターチャンスに対応する画像のみを確実に記録させることができる。したがって、撮影終了後に、シャッターチャンスに対応する画像以外の画像を削除する煩雑な作業が不要になり、撮影終了後における煩雑な作業を強いられることなく、シャッターチャンスに対応する被写体画像を記録することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明の一実施の形態を図にしたがって説明する。
図1は、本発明の各実施の形態に共通するデジタルカメラ1の回路構成を示すブロック図である。このデジタルカメラ1は、静止画撮影機能と動画撮影機能とを備えるものであり、CCD2とDSP/CPU3とを備えており、CCD2は、感光部にベイヤー配列の原色フィルターが設けられたものである。DSP/CPU3は、画像データの圧縮・伸張処理を含む各種のデジタル信号処理機能を有するとともにデジタルカメラ1の各部を制御するワンチップマイコンである。
【0025】
DSP/CPU3には、CCD2を「60f/s」等の設定されたフレームレートで駆動するTG(Timing Generator)4が接続されており、TG4には、CCD2から出力される被写体の光学像に応じたアナログの撮像信号が入力するユニット回路5が接続されている。ユニット回路5は、CCD2から出力された撮像信号に含まれるCCD2の駆動ノイズを減少させる相関二重サンプリング回路(CDS回路)と、ノイズ低減後における信号のゲインを調整する自動利得制御回路(AGC回路)、ゲイン調整後の信号をデジタル信号に変換するA/D変換器を含み、CCD2から入力したアナログの撮像信号をデジタルの画像信号に変換し、デジタル化したベイヤーデータをDSP/CPU3に送る。
【0026】
DSP/CPU3には、表示装置6、キー入力部7が接続されるとともに、アドレス・データバス10を介してバッファメモリ(DRAM)11、ROM12、保存メモリ13、及び入出力インターフェース14が接続されている。バッファメモリ11は、前記ベイヤーデータ等を一時保存するバッファであるとともに、DSP/CPU3のワーキングメモリ等としても使用される。
【0027】
すなわち、DSP/CPU3は、ユニット回路5から送られてきた前記ベイヤーデータに、ペデスタルクランプ等の処理を施した後、RGBデータに変換し、更にRGBデータを輝度(Y)信号及び色差(UV)信号に変換する。このDSP/CPU3で変換されたYUVデータは、1フレーム分のデータがバッファメモリ11に格納される。バッファメモリ11に格納された1フレーム分のYUVデータは表示装置6へ送られ、そこでビデオ信号に変換された後、スルー画像として表示される。
【0028】
また、静止画撮影モードにおいて使用者によるシャッターキー操作が検出されると、第1の実施の形態において実行する撮影処理Aと後述する第2の実施の形態で実行する撮影処理Bとを選択的に行う。すなわち、撮影処理Aにおいては、シャッターキーが押下された時にバッファメモリ11に格納されている1フレーム分の画像データ(YUVデータ)を、DSP/CPU3でJPEG方式等によるデータ圧縮後コード化し、バッファメモリ11内でファイル化した後、保存メモリ13に記録する。また、撮影処理Bにおいては、シャッターキー操作が検出されると、CCD2及びユニット回路5をスルー画像撮像時とは異なる静止画撮影用の駆動方式や駆動タイミングに切り替えることにより静止画撮影処理を実行し、この静止画撮影処理によりバッファメモリ11に1フレーム分のYUVデータを格納し、この格納した1フレーム分のYUVデータを、DSP/CPU3でJPEG方式等によるデータ圧縮後コード化し、バッファメモリ11内でファイル化された後、アドレス・データバス10を介して保存メモリ13に静止画データ(静止画ファイル)として記録する。
【0029】
また、動画撮影モードにおいて使用者による1回目のシャッターキー操作により動画撮影開始指示が検出されると、動画処理を開始し、2回目のシャッターキー操作により動画撮影終了指示が検出されるまでの複数フレーム分のYUVデータをバッファメモリ11に格納する。このバッファメモリ11に格納された複数フレーム分のYUVデータは順次DSP/CPU3へ送られ、所定のMPEGのコーデックによりデータ圧縮後コード化されて、バッファメモリ11及びアドレス・データバス10を介してフレームデータとしファイル名を付されて保存メモリ13に書き込まれる。また、DSP/CPU3は、静止画又は動画の再生時には保存メモリ13から読み出された静止画や動画のデータを伸張し、静止画データや動画のフレームデータとしてバッファメモリ11の画像データ作業領域に展開する。
【0030】
表示装置6は、カラーLCDとその駆動回路とを含み、撮影待機状態にあるときにはCCD2によって撮像された被写体画像をスルー画像として表示し、記録画像の再生時には保存メモリ13から読み出されて伸張された記録画像を表示する。キー入力部7は、シャッターキー、モード設定キー、スロー釦、電源キー等の複数の操作キーを含み、使用者によるキー操作に応じたキー入力信号をDSP/CPU3に出力する。
【0031】
そして、DSP/CPU3がフレームレートに基づき設定した電荷蓄積時間はシャッターパルスとして、TG4を介してCCD2に供給され、これに従いCCD2が動作することにより電荷蓄積時間すなわち露光時間が制御される。つまりCCD2は電子シャッターとして機能する。さらに、ROM12には、後述するフローチャートに示すプログラム及びデジタルカメラとして機能するに必要な各種プログラムが格納されている。
【0032】
なお、このデジタルカメラ1は、前記入出力インターフェース14を備えており、よって、この入出力インターフェース14を介してプリンタやパソコンやTV受像機等の外部機器に接続することが可能である。
【0033】
図2は、第1の実施の形態の処理手順を示すフローチャートである。キー入力部7の電源キーが操作されて電源オンになると、DSP/CPU3はROM12に格納されているプログラムに従ってこのフローチャートに示すように処理を実行する。すなわち、キー入力部7に設けられているモード設定キーの操作により、静止画撮影モードが設定されているか否かを判断する(ステップS101)。静止画撮影モードが設定されていない場合には、表示フレームレート設定モードが設定されているか否かを判断し(ステップS102)、設定されていない場合に他のモード処理に移行する。
【0034】
表示フレームレート設定モードが設定されている場合には、後述するように本実施の形態における撮像フレームレートである「60f/s」よりも低い複数種のフレームレートを表示した画面からなるフレームレート選択画面を表示装置6に表示させる(ステップS103)。そして、このフレームレート選択画面からキー入力部7での操作より選択されたいずれかのフレームレートを表示フレームレートとして設定し、バッファメモリ11に記憶する(ステップS104)。
【0035】
他方、ステップS101での判断の結果、静止画撮影モードが設定されている場合には、TG4を制御してCCD2を本実施の形態の撮像フレームレートである「60f/s」での駆動を開始し(ステップS105)、このフレームレートで得られるフレーム画像データに基づき、表示装置6にスルー画像を略リアルタイムで表示させる(ステップS106)。ここで、バッファメモリ11には1フレーム分の画像データのみが記憶されるものとし、前述のフレームレートで順次得られるフレーム画像データはバッファメモリ11に更新記憶(上書記憶)されていき、このバッファメモリ11に更新記憶される画像データが直ちに表示装置6にスルー画像として順次表示されていくものとする。次に、シャッターキーが押下されたか否かを判断し(ステップS107)、シャッターキーが押下されなければスロー釦が押下されたか否かを判断する(ステップS109)。そして、スロー釦も押下されなければステップS106に戻る。
【0036】
したがって、シャッターキー及びスロー釦の操作がない場合には、S106→S107→S109→S106のループが繰り返し実行されて、図3に示すように、撮像フレームレート=表示フレームレートの状態となり、表示装置6の表示画面は撮像フレームレートで変化するスルー画像が表示される。また、この状態において、シャッターキーが押下されると、ステップS107の判断がYESとなって、ステップS108に進み、シャッターキーが押下された時にバッファメモリ11に格納されている(つまり、表示装置6に表示されている)1フレーム分の画像データを、JPEG方式等によるデータ圧縮後コード化し、バッファメモリ11内でファイル化した後、保存メモリ13に記録する。したがって、本実施の形態に係るデジタルカメラ1は、スロー釦が押下されるまでは、一般的なデジタルカメラと同様に機能して、通常の撮影を行うことができる。
【0037】
しかし、ユーザがステップS106の処理により表示変化するスルー画像を見て、自己が有する応答速度能力では、シャッターチャンスにシャッターキーを押下することが困難であると判断した場合、あるいは被写体の動きが速く、シャッターチャンスにシャッターキーを押下することは困難であると判断した場合には、スロー釦を押下する。これにより、ステップS109の判断がYESとなる。したがって、ステップS109からステップS110に進み、前記撮像フレームレートで得られるフレーム画像データをバッファメモリ11に順次更新(上書き)することなく記憶させる処理を開始する(ステップS110)。これにより、図3に示すように、バッファメモリ11には撮像フレームレート(「60f/s」)で得られる複数のフレーム画像データが順次記憶されていく。
【0038】
次に、このバッファメモリ11から前記ステップS104で設定された表示フレームレートでフレーム画像データを撮像順に表示選択して読み出し(ステップS111)、この読み出したフレーム画像データに基づく画像を表示装置6に表示させる(ステップS112)。ここで、バッファメモリ11に記憶されている複数のフレーム画像データのうち、表示装置6への表示が完了したフレーム画像データに対しては、その完了時点で消去(削除)処理を実行したり、更新(上書き)記憶を許可する処理を実行するものとする。引き続き、シャッターキーが押下されたか否かを判断し(ステップS113)、シャッターキーが押下されなければスロー釦が押下されたか否かを判断する(ステップS115)。そして、スロー釦も押下されなければステップS111に戻る。
【0039】
したがって、シャッターキー及びスロー釦の押下がない場合には、S111→S112→S113→S115→S111のループが繰り返し実行されて、表示装置6には前記フレーム画像データに基づく被写体像が表示フレームレートで表示される。このとき、前述のように、表示フレームレートは撮像フレームレートよりも低いことから、図3に示すように、表示装置6の表示画面には被写体像がスロー表示されることとなる。
【0040】
この状態において、シャッターキーが押下されると、ステップS113の判断がYESとなって、ステップS114に進み、シャッターキーが押下された時にバッファメモリ11から読み出されている(表示選択されている)フレーム画像データ、つまり表示装置6に表示されている画像に対応するフレーム画像データを、JPEG方式等によるデータ圧縮後コード化し、バッファメモリ11内でファイル化した後、保存メモリ13に記録する(ステップS114)。このステップS114の記録処理は、ステップS111〜S115のループが実行されている状態において、シャッターキーが押下される都度(ステップS113がYESとなる都度)実行される。したがって、図3に示すように、この間におけるシャッターキーの押下「シャッター1」〜「シャッター(n)」に応答して、保存メモリ13には「記録1」〜「記録(n)」の各フレーム画像データが記録されることとなる。
【0041】
そして、ユーザが再度スロー釦を押下すると、ステップS115の判断がYESとなる。したがって、ステップS116に進みバッファメモリ11に記憶されている全てのフレーム画像データに対する消去(削除)処理、又は更新(上書き)記憶を許可する処理を実行した後、ステップS106に戻る。このとき、図3に示すように、再び撮像フレームレート=表示フレームレートの状態となり、表示装置6の表示画面は撮像フレームレートで変化するスルー画像が表示されることとなる。
【0042】
図4は、第2の実施の形態の処理手順を示すフローチャートである。キー入力部7の電源キーが操作されて電源オンになると、DSP/CPU3はROM12に格納されているプログラムに従ってこのフローチャートに示すように処理を実行する。すなわち、キー入力部7に設けられているモード設定キーの操作により、静止画撮影モードが設定されているか否かを判断する(ステップS201)。静止画撮影モードが設定されていない場合には、表示フレームレート設定モードが設定されているか否かを判断し(ステップS202)、設定されていない場合に他のモード処理に移行する。
【0043】
フレームレート設定モードが設定されている場合には、後述するように本実施の形態における通常の撮像フレームレートである「60f/s」よりも低い複数種のフレームレートを表示した画面からなる表示フレームレート選択画面を表示装置6に表示させる(ステップS203)。そして、このフレームレート選択画面からキー入力部7での操作より選択されたいずれかのフレームレートを表示フレームレートとして、バッファメモリ11に記憶する(ステップS204)。
【0044】
他方、ステップS201で判断の結果、静止画撮影モードが設定されている場合には、TG4を制御してCCD2を通常の撮像フレームレートである「60f/s」での駆動を開始し(ステップS205)、このフレームレートで得られるフレーム画像データに基づき、表示装置6にスルー画像を表示させる(ステップS206)。ここで、バッファメモリ11には1フレーム分の画像データのみが記憶されるものとし、前述のフレームレートで順次得られるフレーム画像データはバッファメモリ11に更新記憶(上書記憶)されていき、このバッファメモリ11に更新記憶される画像データが直ちに表示装置6にスルー画像として順次表示されていくものとする。次に、シャッターキーが押下されたか否かを判断し(ステップS207)、シャッターキーが押下されなければスロー釦が押下されたか否かを判断する(ステップS209)。そして、スロー釦も押下されなければステップS206に戻る。
【0045】
したがって、シャッターキー及びスロー釦の押下がない場合には、S206→S207→S209→S206のループが繰り返し実行されて、図5に示すように、通常の撮像フレームレート=表示フレームレートの状態となり、表示装置6の表示画面は撮像フレームレートで変化するスルー画像が表示される。また、この状態において、シャッターキーが押下されると、ステップS207の判断がYESとなって、ステップS208に進み、静止画撮影記録処理を実行する。つまり、前述したように、CCD2及びユニット回路5をスルー画像撮像時とは異なる静止画撮影用の駆動方式や駆動タイミングに一時的に切り替えることにより静止画撮影処理を実行し、この静止画撮影処理によりバッファメモリ11に1フレーム分のYUVデータを格納し、この格納した1フレーム分のYUVデータを、DSP/CPU3でJPEG方式等によるデータ圧縮後コード化し、バッファメモリ11内でファイル化された後、アドレス・データバス10を介して保存メモリ13に静止画データ(静止画ファイル)として記録する。
【0046】
しかし、ユーザがステップS206の処理により表示変化するスルー画像を見て、自己が有する応答速度能力では、シャッターチャンスにシャッターキーを押下することが困難であると判断した場合、あるいは被写体の動きが速く、シャッターチャンスにシャッターキーを押下することは困難であると判断した場合には、スロー釦を押下する。これにより、ステップS209の判断がYESとなる。したがって、ステップS209からステップS210に進み、このバッファメモリ11から前記ステップS204で設定された表示フレームレートでフレーム画像データを撮像順に表示選択して読み出し(ステップS210)、この読み出したフレーム画像データに基づく画像を表示装置6に表示させる(ステップS211)。ここで、バッファメモリ11に記憶されている複数のフレーム画像データのうち、表示装置6への表示が完了したフレーム画像データに対しては、その完了時点で消去(削除)処理を実行したり、更新(上書き)記憶を許可する処理を実行するものとする。
【0047】
引き続きカウントダウン表示処理を実行する(ステップS212)。すなわち、本実施の形態においては、所定時間である30秒間のみ前記表示フレームレートでフレーム画像データをスロー表示させ、30秒が経過した時点でスロー表示を強制終了させるものである。このため、このステップS212では、初期値「30秒」を表示させるとともに、1秒経過する毎にカウントダウン表示処理を行って、スロー表示の残り時間を警告表示する。
なお、このスロー表示時間(30秒)は、ユーザの設定操作により任意に設定できるようにしてもよいし、設定された表示フレームレートに基づき算出して設定するようにしてもよい。また、残り10秒となった時点でその旨の警告表示を行ったり、残り10秒となった時点からカウントダウン表示を開始するようにしてもよい。
【0048】
引き続き、シャッターキーが押下されたか否かを判断し(ステップS212)、シャッターキーが押下されなければスロー釦が押下されたか、スロー表示時間がタイムオーバーとなったか否かを判断する(ステップS215)。そして、スロー釦も押下さず、且つタイムオーバーともなっていなければ、ステップS210に戻る。
【0049】
したがって、シャッターキー及びスロー釦の押下がない場合には、S210→S211→S212→S215→S210のループが繰り返し実行されて、表示装置6には前記フレーム画像データに基づく被写体像が表示フレームレートで表示される。このとき、前述のように、表示フレームレートは撮像フレームレートよりも低いことから、図5に示すように、表示装置6の表示画面には被写体像がスロー表示されることとなる。
【0050】
この状態において、シャッターキーが押下されると、ステップS213の判断がYESとなって、ステップS214に進み、シャッターキーが押下された時にバッファメモリ11から読み出されている(表示選択されている)フレーム画像データ、つまり表示装置6に表示されている画像に対応するフレーム画像データを、JPEG方式等によるデータ圧縮後コード化し、バッファメモリ11内でファイル化した後、保存メモリ13に記録する(ステップS214)。このステップS214の記録処理は、ステップS210〜S215のループが実行されている状態において、シャッターキーが押下される都度(ステップS213がYESとなる都度)実行される。したがって、図5に示すように、この間におけるシャッターキーの押下「シャッター1」〜「シャッター(n)」に応答して、保存メモリ13には「記録1」〜「記録(n)」の各フレーム画像データが記録されることとなる。
【0051】
そして、ユーザが再度スロー釦を押下するか、タイムオーバーになると、ステップS215の判断がYESとなる。したがって、ステップS216に進みバッファメモリ11内に記憶されたフレーム画像データにおいて、ステップS211で表示されなかった残りの未表示枚数Nを検出する(ステップS216)。引き続き、この検出したNを用いて、1/(N+60)の表示フレームレートを算出する(ステップS217)。さらに、この算出した表示フレームレート1/Nで残りの未表示画像データを表示装置6に表示させる(ステップS218)。
【0052】
つまり、この実施の形態においては、図5に示すように、未表示画像データ(N)の表示時間を1秒と固定的に設定しており、この1秒内において全ての未表示画像(ステップS216でスロー釦押下が検出された後もバッファメモリ11に引き続き撮像フレームレートで蓄積され続けられている画像を含む。)を表示させる。しかし、この未表示画像の表示時間をユーザが設定できるようしてもよい。また、未表示画像の表示フレームレートをユーザが選択的に設定できるようにしてもよい。この場合、未表示画像の数とユーザにより選択的に設定された未表示画像の表示フレームレートとに応じて未表示画像の表示時間が変化することになり、加えて、未表示画像の表示フレームレートは、少なくとも撮像フレームレートよりも高いレートであること、すなわち前記ステップS204で設定された表示フレームレートよりも遙かに高いレートであることが必須条件となる。また、未表示画像の表示フレームレートとして予め決められた固定のレートを用いるようにしてもよい。この場合、未表示画像の数に応じて未表示画像の表示時間が変化することになる。
【0053】
更に、ステップS219でバッファメモリ11に記憶されている全てのフレーム画像データに対する消去(削除)処理、又は更新(上書き)記憶を許可する処理を実行した後、ステップS206に戻る。したがって、図5に示すように、1秒後に再び撮像フレームレート=表示フレームレートの状態となり、表示装置6の表示画面は撮像フレームレートで変化するスルー画像が表示されることとなる。
【0054】
なお、前述した実施の形態においては、複数種のフレームレートを表示した画面からユーザが選択することよりフレームレートを設定できるようにしたが、メーカーにおいてスロー表示に適切である低いフレームレートを固定的に設定しておき、このフレームレートでバッファメモリ11からの読み出しを行うようにしてもよい。また、実施の形態においては、スロー表示の開始と解除とを同一のスロー釦操作に応答して行うようにしたが、異なる操作に応答して行うようにしてもよい。また、実施の形態においては、スロー表示の開始と解除とをスロー釦操作に応答して行うようにしたが、シャッターキーを半押し(1段押し)操作と全押し(2段押し)操作とが可能なシャッタキーとし、このシャッタキーの半押し操作が検出された場合にスロー表示を開始したり、シャッタキーの半押し操作の解除が検出された場合にスロー表示を解除するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態に係るデジタルカメラのブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態の処理手順を示すフローチャートである。
【図3】同実施の形態の動作を示す説明図である。
【図4】本発明の第2の実施の形態の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】同実施の形態の動作を示す説明図である。
【符号の説明】
【0056】
1 デジタルカメラ
2 CCD
3 DSP/CPU
4 TG
5 ユニット回路
6 表示装置
7 キー入力部
10 データバス
11 バッファメモリ
12 ROM
13 保存メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の撮像フレームレートに従って被写体を順次撮像し、画像データを出力する撮像手段と、
前記撮像手段から前記撮像フレームレートで出力される画像データを、該撮像フレームレートよりも低い表示フレームレートで表示手段に表示させる第1の被写体像表示処理を実行する第1の表示制御手段と、
この第1の表示制御手段により前記第1の被写体像表示処理が実行されている状態における記録指示操作に応答して、前記表示手段に表示されている被写体像に対応する画像データを記録手段に記録させる記録制御手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
操作に応じて前記表示フレームレートを可変的に設定する設定手段を備え、
前記第1の表示制御手段は、前記設定手段により設定された表示フレームレートで前記画像データを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像手段から前記撮像フレームレートで出力される画像データを、該撮像フレームレートと同じ表示フレームレートで前記表示手段に表示させる第2の被写体像表示処理を実行する第2の表示制御手段と、
前記第2の表示制御手段により前記第2の被写体像表示処理が実行されている状態における第1の指示操作に応答して、前記第2の表示制御手段による第2の被写体像表示処理から、前記第1の表示制御手段による第1の被写体像表示処理に切り替える第1の表示切替手段とを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の表示制御手段により前記第1の被写体像表示処理が実行されている状態における第2の指示操作に応答して、前記第1の表示制御手段による前記第1の被写体像表示処理から、前記第2の表示制御手段による第2の被写体像表示処理に切り替える第2の表示切替手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の表示制御手段により前記第1の被写体像表示処理が実行されている状態における所定時間の経過に応答して、前記第1の表示制御手段による前記第1の被写体像表示処理から、前記第2の表示制御手段による第2の被写体像表示処理に切り替える第2の表示切替手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1の表示制御手段により前記第1の被写体像表示処理が実行されている状態における第2の指示操作と所定時間の経過とに応答して、前記第1の表示制御手段による前記第1の被写体像表示処理から、前記第2の表示制御手段による第2の被写体像表示処理に切り替える第2の表示切替手段を備えたことを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項7】
前記所定時間の残存時間に係る情報を報知する報知手段を備えることを特徴とする請求項5又は6記載の撮像装置。
【請求項8】
前記記録制御手段は、
前記第2の表示制御手段により前記第2の被写体像表示処理が実行されている状態における記録指示操作に応答して、前記表示手段に表示されている被写体像に対応する画像データを記録手段に記録させる手段を含むことを特徴とする請求項3乃至7にいずれか記載の撮像装置。
【請求項9】
前記記録制御手段は、
前記第2の表示制御手段により前記第2の被写体像表示処理が実行されている状態における記録指示操作に応答して、前記撮像手段に撮像処理を実行させ、該撮像処理により得られた画像データを記録手段に記録させる手段を含むことを特徴とする請求項3乃至7にいずれか記載の撮像装置。
【請求項10】
前記撮像手段から前記撮像フレームレートで出力される画像データを順次記憶する記憶手段を備え、
前記第1の表示制御手段は、
前記記憶手段から前記撮像フレームレートよりも低い表示フレームレートで画像データを順次読み出し、該読み出した画像データを前記表示手段に表示させる第1の被写体像表示処理を実行することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の撮像装置。
【請求項11】
第1の指示操作に応答して、前記撮像手段から前記撮像フレームレートで出力される画像データを前記記憶手段に順次記憶させる記憶処理を開始する記憶制御手段を備えたことを特徴とする請求項10記載の撮像装置。
【請求項12】
前記記憶制御手段は、第2の指示操作に応答して、前記記憶処理を終了する手段を含むことを特徴とする請求項11記載の撮像装置。
【請求項13】
前記記憶制御手段は、前記第1の表示制御手段により前記第1の被写体像表示処理が実行されている状態における所定時間の経過に応答して、前記記憶処理を終了する手段を含むことを特徴とする請求項11記載の撮像装置。
【請求項14】
前記第1の表示制御手段により前記第1の被写体像表示処理が実行された画像データ以外の前記記憶手段に記憶されている未表示画像データを、前記撮像フレームレートよりも高いフレームレートで前記表示手段に表示させる第3の被写体像表示処理を実行する第3の表示制御手段を備えることを特徴とする請求項10又は11記載の撮像装置。
【請求項15】
前記記録指示操作とは、シャッターキーの押下であることを特徴とする請求項1乃至14にいずれか記載の撮像装置。
【請求項16】
前記第1の指示操作と第2の指示操作とは、時間的に異なる同一の操作であることを特徴とする請求項4記載の撮像装置。
【請求項17】
表示手段と、所定の撮像フレームレートに従って被写体を順次撮像し、画像データを出力する撮像手段とを備える撮像装置が有するコンピュータを、
前記撮像手段から前記撮像フレームレートで出力される画像データを、該撮像フレームレートよりも低い表示フレームレートで前記表示手段に表示させる被写体像表示処理を実行する表示制御手段と、
この表示制御手段により前記被写体像表示処理が実行されている状態における記録指示操作に応答して、前記表示手段に表示されている被写体像に対応する画像データを記録手段に記録させる記録制御手段と
して機能させることを特徴とする撮像制御プログラム。
【請求項18】
所定の撮像フレームレートに従って被写体を順次撮像し、画像データを出力する撮像ステップと、
前記撮像ステップにより前記撮像フレームレートで出力される画像データを、該撮像フレームレートよりも低い表示フレームレートで表示手段に表示させる被写体像表示処理を実行する表示制御ステップと、
この表示制御ステップにより前記被写体像表示処理が実行されている状態における記録指示操作に応答して、表示手段に表示されている被写体像に対応する画像データを記録手段に記録させる記録制御ステップと
を含むことを特徴とする撮像制御方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2008−85689(P2008−85689A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−263745(P2006−263745)
【出願日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】