撮像装置、撮像方法、及びプログラム
【課題】 撮像時の眩しさを低減するための新しい枠組みを提供する。
【解決手段】 撮像装置は、下方にカメラ及び光源を有し、タッチパネル13(透光性パネル)上に被写体を載置して、このタッチパネル13で受け付けた操作に応じて透光性パネル3上の領域を設定し、設定済み領域54を透明にし、かつ、撮影用の光を照射すると共に、余白領域55を半透明にし、かつ、より暗い光を照射し、照射された光の透光性パネル3からの反射光をカメラで撮影する。
【解決手段】 撮像装置は、下方にカメラ及び光源を有し、タッチパネル13(透光性パネル)上に被写体を載置して、このタッチパネル13で受け付けた操作に応じて透光性パネル3上の領域を設定し、設定済み領域54を透明にし、かつ、撮影用の光を照射すると共に、余白領域55を半透明にし、かつ、より暗い光を照射し、照射された光の透光性パネル3からの反射光をカメラで撮影する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像機能及び表示機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタとCCDカメラとを用いて構成された投射表示機能及び撮像機能を有する装置が知られている。かかる装置は、プロジェクタが読取面に画像を投影する機能、及び読取面上に配置された被写体をCCDカメラで撮影する機能等を有する。また、撮影の際には、プロジェクタは撮影用の光を照射するストロボとして機能する。
例えば下記特許文献1には、中央部分にスクリーンがはめ込まれた平面部と、平面部を支える筐体と、筐体内に設けられ、スクリーンに画像を投影するプロジェクタと、スクリーンの裏面側全体が視野角となる位置に配置され、スクリーンを裏面側から撮影するCCDカメラとを備えている画像表示装置が開示されている。
また、下記特許文献2には、入力画像信号に応じて画像を生成する画像形成手段と、画像形成手段で生成された画像を拡大投射するための投射光学系とからなる画像投射装置と、投射画像を背面から透過させて表示する表示部材と、該表示部材の表示面に形成された情報を撮像する手段とを有し、撮像時に、撮像光の光量を制御する手段として調光シートを設けた撮像機能付投射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−11276号公報
【特許文献2】特開2009−171442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、投射表示機能及び撮像機能を有する従来の装置では、撮影時に、読取面全体(例えば、特許文献1におけるスクリーンの下面全体や、特許文献2における表示部材の下面全体)に撮影用の光を照射するので、読取面における被写体に対応しない部分から強い光が透過し、利用者の目が眩むという問題がある。
本発明は、投射表示機能及び撮像機能を有する装置による撮像時の眩しさを低減するための新しい枠組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の撮像装置は、透光性パネルと、前記透光性パネル上の領域を設定する領域設定部と、前記設定された領域に撮影用の光を照射する光照射部と、前記照射された光の前記透光性パネルからの反射光を撮影する撮影部と 、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の実施態様では、前記透光性パネルはタッチパネルであり、前記領域設定部は、前記タッチパネルで受け付けた操作に基づいて領域を設定する。
別の実施態様では、前記光照射部は、前記設定された領域に応じた画像を投影するプロジェクタである。
また別の実施態様では、前記光照射部は、前記設定された領域以外の領域に前記撮影用の光より暗い光を投影する。
また別の実施態様では、さらに、前記透光性パネルを上方から撮影する上方カメラを備え、前記領域設定部は、前記上方カメラが前記透光性パネル上に配置された被写体を撮影した場合に、該被写体を含む画像に基づき、前記透光性パネル上における該被写体の位置に対応する領域を設定するように構成され、前記光照射部は、前記透光性パネルの下方から前記光を照射するように配置され、前記撮影部は、前記透光性パネルの下方から前記反射光を撮影するように配置されている。
【0007】
また別の実施態様では、前記透光性パネルは、部分的に透光性を変化させることができるように構成されており、前記撮像装置は、さらに、前記透光性パネルの前記設定された領域に対応する部分の透光性が、それ以外の部分の透光性より高くなるように、前記透光性パネルの透光性を変化させる透光性制御部を備える。
本発明の撮像方法は、透光性パネル上の領域を設定するステップと、前記設定された領域に撮影用の光を照射するステップと、前記照射された光の前記透光性パネルからの反射光を撮影するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明のコンピュータプログラムは、上記撮像方法を撮像装置に実行させるためのコンピュータプログラムである。
なお、本発明において、1つの機能部や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の機能部や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、透光性パネル上で設定された領域に撮影用の光が照射されるので、被写体の位置に応じた領域を設定すれば、撮影用の光は、被写体に遮られ、利用者側に直接照射されないため、撮影時における眩しさが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態の撮像装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】撮像装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】制御装置の機能構成を示す図である。
【図4】撮像装置による領域設定処理及び撮像処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】設定された領域に応じた光が照射された場合の透光性パネルの状態を示す図である。
【図6】領域設定方法の一例を説明する図である。
【図7】領域設定方法の一例を説明する図である。
【図8】領域設定方法の一例を説明する図である。
【図9】領域設定方法の一例を説明する図である。
【図10】領域設定方法の一例を説明する図である。
【図11】部分的にスクリーンの透光性を変化させることができる場合における撮影方法を説明する図である。
【図12】上方カメラを備える撮像装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図13】上方カメラを備える撮像装置の撮像装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態として、投射表示機能及び撮像機能を有する撮像装置1による撮像時の眩しさを低減するための新しい枠組みについて、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態の撮像装置1の全体構成を模式的に示す。
撮像装置1は、透光性パネル3と、制御装置5と、プロジェクタ7と、カメラ9とを備える。第1実施形態では、例えば、透光性パネル3は筐体11の上面の一部をなすように配置され、制御装置5、プロジェクタ7、及びカメラ9は、筐体11内に適宜配置される。なお、図1では、各ハードウェア間を接続するコードや基板を省略している。
【0011】
透光性パネル3は、ユーザからの操作を受け付けるタッチパネル13と、画像を表示するスクリーン15とを適宜の間隔を空けて重ね又は隙間なく重ねてなる透光性を有するパネルを用いる。この透光性パネル3は、カメラ9によって撮影される被写体(例えば、文書や身分証など)を配置するための原稿台及び読み取り面を成す。
【0012】
タッチパネル13としては、指や専用のペン(スタイラスペンなど)で電子機器(ここでは撮像装置1)に対して動作を指示することができる透過率の高いタッチパネル(例えば、静電容量方式又は光学方式のものなど)を用いる。
また、スクリーン15としては、電圧に応じて透光性が変化する部材(例えば、UMUフィルム(登録商標)など)を用いる。
なお、図1では、透光性パネル3(タッチパネル13及びスクリーン15)の厚みを誇張して表示している。
第1実施形態では、図1に示すように、スクリーン15はタッチパネル13より大きいものを用いるが、透光性パネル3は、タッチパネル13のみが利用者に見えるように、筐体11に取り付けられているものとする。
【0013】
制御装置5は、透光性パネル3上の領域を設定する機能や、透光性パネル3の透光性(詳細には、スクリーン15の透光性)を変化させる機能を有する。制御装置5のハードウェア構成及び機能の詳細については、図2及び図3を参照して後述する。
【0014】
プロジェクタ7は、制御装置5によって設定された透光性パネル3上の領域に対して撮影用の光を照射する機能や、利用者に見せるための画像をスクリーン15に投影する機能などを有する光照射部である。プロジェクタの種類としては、CRTプロジェクタ、液晶プロジェクタ、又はDLPプロジェクタ等の周知のものを用いることができる。撮影用の光は、上記設定された領域に応じた画像(例えば、白一色の画像など)をスクリーン15のうち、上記設定された領域に対応する範囲に投影するための光であり、所謂ストロボの役割を果たす。なお、図において、プロジェクタ7とスクリーン15との間に示した破線は、プロジェクタ7による光の照射範囲を表す。
【0015】
カメラ9は、透光性パネル3(詳細にはスクリーン15)に照射された光の透光性パネル3からの反射光を撮影する撮影部であり、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子を備える周知のデジタルカメラを用いることができる。なお、図において、カメラ9とスクリーン15との間に示した破線は、カメラ9による撮像範囲を表す。
【0016】
図2は、撮像装置1のハードウェア構成を示す。
第1実施形態の撮像装置1では、タッチパネル13、スクリーン15、プロジェクタ7、及びカメラ9は、それぞれ制御装置5と通信可能に接続される。制御装置5は、バスを介して通信可能に接続される、CPU21、ROM22、RAM23、HDD(ハードディスク)24、及び通信装置25等の構成要素を含んで構成される。
【0017】
図3は、制御装置5の機能構成を示す。
制御装置5は、領域設定部31、透光性制御部32、照射制御部33、及び撮影制御部34を備える。これら機能部は、例えばCPU21がHDD24やROM22等の記憶装置からRAM23上に所定のプログラムを読み出して実行することにより機能的に実現される。以下、各機能部について説明する。
【0018】
領域設定部31は、タッチパネル13で利用者から受け付けた操作に基づいて透光性パネル3上の領域を設定する。具体的には、タッチパネル13上に配置された被写体について、タッチパネル13上における位置がタッチパネル操作によって指定された場合に、該指定された位置に対応する領域を、カメラ9によって撮影すべき領域として設定する。領域の詳細な設定方法については、図4〜10等を参照して後述する。
【0019】
透光性制御部32は、スクリーン15の透光性を変化させる。例えば、利用者に見せるための画像をプロジェクタ7によってスクリーン15に投射表示する時には、スクリーン15の透光性を下げ(より不透明(例えば半透明)に変化させ)、カメラ9によって撮影を行う時には、スクリーン15の透光性を上げる(より透明に変化させる)。
【0020】
照射制御部33は、プロジェクタ7からスクリーン15に対して照射する光の条件(例えば、画像パターン、輝度、色など)を決定し、該決定した条件で光を照射するようにプロジェクタ7を制御する。
【0021】
撮影制御部34は、プロジェクタ7が透光性パネル3に対して撮影用の光を照射したタイミングに合わせて、該光の透光性パネル3からの反射光を撮影するようにカメラ9を制御する。
【0022】
図4は、撮像装置1による領域設定処理及び撮像処理の流れを示すフローチャートであり、図5は、設定された領域に応じた光が照射された場合の透光性パネル3の状態を示し、図6〜10は、領域設定方法の具体例を示す。以下、図4〜10を参照して、かかる領域設定処理及び撮像処理の内容を説明する。
なお、領域設定部31による領域設定処理が実行されるまでは、撮像装置1の透光性制御部32は、透光性パネル3を不透明(例えば半透明)な状態に維持しており、照射制御部33は、プロジェクタ7を制御し、所定の光をスクリーン15に対して照射させ、図5(A)に示すような画面(画像)を表示しているものとする。また、図5(A)において、タッチパネル13上に示した斜線は、スクリーン15が不透明な状態であることを表す。
【0023】
まず、撮像装置1の領域設定部31は、利用者によるタッチパネル操作に応じて透光性パネル3上の領域を設定する(S41)。
例えば、領域設定部31は、図5(A)に示すように、利用者が被写体(例えば、何らかの文書)51をタッチパネル13上に配置し、タッチパネル操作によってタッチパネル13上における被写体51の位置を指定したうえで、撮影を指示するためのボタン(図では“Scan”ボタン)52を押下したことをトリガとして、該文書の位置に対応する領域を設定する。なお、以下、透光性パネル3において、設定された領域を“設定済み領域”と称し、それ以外の領域を“余白領域”と称する。
【0024】
領域が設定されると、透光性制御部32は、透光性パネル3のスクリーン15の透光性を上げる(S42)。例えば、スクリーン15を透明な状態に変化させる。
【0025】
照射制御部33は、スクリーン15の透光性が上がるタイミング(例えば、透明になるタイミング)に合わせてプロジェクタ7を制御し、図5(B)に示すように、設定済み領域54に撮影用の光を照射させ、余白領域55により暗い光を照射させる(S43)。
これにより、タッチパネル13上に配置された被写体に撮影用の光が照射される。なお、図5(B)において、余白領域55に示したドット模様は、該余白領域55全体に暗い色が照射されていることを表す。また、図5(B)では、プロジェクタ7による光照射時の透光性パネル3の状態を説明するため、被写体51の図示を省略した。
【0026】
そして、撮影制御部34は、プロジェクタ7が透光性パネル3に撮影用の光を照射したタイミングに合わせてカメラ9を制御し、照射された光の透光性パネル3からの反射光を撮影し(S44)、撮影により生成された画像を記憶装置(例えばHDD24など)に格納する(S45)。これにより、設定済み領域54、すなわちタッチパネル13上に配置された被写体が鮮明に表示され、かつ、余白部分55が暗い色(黒色など)で表示される画像が生成され、記憶装置に格納される。
【0027】
このように、第1実施形態の撮像装置1では、撮影時には、プロジェクタ7が余白領域55に対してより暗い色を照射するので、投射表示機能及び撮像機能を有する従来の装置とは異なり、余白領域55から眩しい光が漏れることがなく、利用者の目が眩むという状況を回避することができる。
【0028】
次に、タッチパネル操作に応じた透光性パネル3上の領域の設定方法について詳細に説明する。第1実施形態の撮像装置1では、以下の5種類の方法で領域を設定することができるものとする。
【0029】
[タッチパネル上の一点を押下して領域を指定する方法]
図6(A)に示すように、被写体51がタッチパネル13の上辺及び左辺に沿って配置され、図6(B)に示すように、タッチパネル13上のポイント(例えば、被写体51の右下の角)が押下された後、Scanボタン52(図5(A)参照)が押下された場合、領域設定部31は、タッチパネル13の左上の角(例えば、平面座標における原点)を、領域を指定するための第1のポイント(領域指定ポイント)P1として設定するとともに、押下されたポイントを第2の領域指定ポイントP2として設定する。
そして、領域設定部31は、上記領域指定ポイントP1及びP2の座標を対角の座標とする正方形又は長方形の領域を設定する。
これにより、図6(C)に示すように、撮影時には、タッチパネル13の上辺及び左辺に沿って位置する設定済み領域54に撮影用の光が照射され、余白領域55にはより暗い光が照射される。
【0030】
[タッチパネル上の二点を押下して領域を指定する方法]
図7(A)に示すように、タッチパネル13上のポイント(例えば、タッチパネル13上の任意の位置に配置された被写体51の左上の角)が押下され、続いて図7(B)に示すように、タッチパネル13上のポイント(例えば、被写体51の右下の角)が押下された後、Scanボタン52が押下された場合、領域設定部31は、押下された2箇所のポイントを領域指定ポイントP1及びP2として設定する。
そして、領域設定部31は、上記領域指定ポイントP1及びP2の座標を対角の座標とする正方形又は長方形の領域を設定する。
これにより、図7(C)に示すように、撮影時には、タッチパネル13上の設定済み領域54に撮影用の光が照射され、余白領域55にはより暗い光が照射される。
【0031】
[ドラッグによって領域を指定する方法]
図8(A)に示すように、タッチパネル13上のポイント(例えば、タッチパネル13上の任意の位置に配置された被写体51の左上の角)が押下され、そのままの状態でタッチパネル13上の別のポイント(例えば、被写体51の右下の角)まで指でなぞって押下が終了した後(指が離れた後)、Scanボタン52が押下された場合、領域設定部31は、指によるトレース(ドラッグ)の始点と終点を領域指定ポイントP1及びP2として設定する。
そして、領域設定部31は、上記領域指定ポイントP1及びP2の座標を対角の座標とする正方形又は長方形の領域を設定する。
これにより、図8(B)に示すように、撮影時には、タッチパネル13上の設定済み領域54に撮影用の光が照射され、余白領域55にはより暗い光が照射される。
【0032】
[タッチパネル上の三点を押下して領域を指定する場合]
図9(A)に示すように、タッチパネル13上の3つのポイントが押下された後、Scanボタン52が押下された場合、領域設定部31は、押下された3箇所のポイントを領域指定ポイントP1、P2、及びP3として設定する。
そして、領域設定部31は、上記領域指定ポイントP1、P2、P3の座標を3つの角の座標とする正方形、長方形、又は平行四辺形の領域を設定する。
これにより、図9(B)に示すように、撮影時には、タッチパネル13上の設定済み領域54に撮影用の光が照射され、余白領域55にはより暗い光が照射される。
【0033】
[任意の形状の領域を指定する方法]
図10(A)に示すように、タッチパネル13上のポイント(例えば、タッチパネル13上の任意の位置に配置された被写体51の角の一つ)が押下され、そのままの状態で、設定すべき領域の外形(被写体の外形)を指でなぞって押下が終了した後(指が離れた後)、Scanボタン52が押下された場合、領域設定部31は、指によってトレース(ドラッグ)された形状に対応する領域を設定する。
これにより、図10(B)に示すように、撮影時には、タッチパネル13上の設定済み領域54に撮影用の光が照射され、余白領域55にはより暗い光が照射される。
なお、この方法の別の態様として、タッチパネル13上の任意のポイントが順次押下(例えば、被写体の角が、その外周に沿って左回りに順次押下)された後、Scanボタン52が押下された場合、領域設定部31は、押下されたポイントをそれぞれ領域指定ポイントとして設定する。
そして、領域設定部31は、設定した領域指定ポイントの座標を角の座標とし、設定した順に領域指定ポイントを結ぶ線分を辺とする形状の領域を設定することができる。
【0034】
なお、撮像装置1は、上記5種類の領域設定方法を必ずしも全て実施可能に構成する必要はなく、いずれかの方法を任意に選択して実施可能に構成してもよい。
以上のように、第1実施形態の撮像装置1によれば、余白領域55には撮影用の光が照射されないので、利用者の目を眩ませることなく、透光性パネル3上に配置される被写体51を撮影することができる。また、タッチパネル13で受け付けた操作に応じて被写体51の読み取り範囲(撮影すべき領域、被写体51の位置に対応する領域、或いは撮影用の光を照射すべき領域ともいえる。)を設定することができるので、被写体51の配置及び読み取り範囲の指定を容易に行うことができる。
【0035】
以上、本発明の第1実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々に変形して適用することが可能である。
[変形例]
例えば、透光性パネル3のスクリーン15は、部分的に透光性を変化させることができるように構成することができる。そして、撮像装置1の透光性制御部32は、被写体の撮影時には、透光性パネル3上の設定済み領域に対応する部分の透光性が、それ以外の部分の透光性より高くなるように、透光性パネルの透光性を変化させるようにしてもよい。
【0036】
具体的には、スクリーン15は、図11(A)に示すように、透光性を個別に制御可能な複数の区画(ここでは、第1の区画111、第2の区画112、第3の区画113、及び第4の区画114)によって構成することができる。なお、図において、タッチパネル13上に示した斜線は、該タッチパネル13の模様ではなく、透光性パネル3(詳細にはスクリーン15)が不透明であることを表している。
そして、領域設定部31は、第1実施形態において説明した方法で領域を仮設定し、該仮設定された領域にほぼ一致する1つの区画又は複数の区画の組み合わせを、撮影すべき被写体に対応する領域として設定する。例えば、領域設定部31は、図11(A)において仮設定した領域が第1の区画111とほぼ一致する場合(例えば、第1の区画111内に収まる場合)、第1の区画111を、撮影すべき被写体に対応する領域として設定する。この場合、透光性制御部32は、図11(B)に示すように、設定済み領域54(第1の区画111)についてのみ透光性を上げ(より透明にし)、余白領域55(その他の区画112〜114)については透光性を変化させない(不透明な状態を維持する)。
【0037】
或いは、領域設定部31は、図11(A)において仮設定した領域が第1の区画111、第2の区画112、及び第3の区画113を組み合わせた区画とほぼ一致する場合、これらを組み合わせた区画を、撮影すべき被写体に対応する領域として設定する。この場合、透光性制御部32は、図11(C)に示すように、設定済み領域54(第1の区画111、第2の区画112、及び第3の区画113)についての透光性を上げ(より透明にし)、余白領域55(第4の区画114)についてのみ透光性を変化させない(不透明な状態を維持する)。
【0038】
なお、この例では、プロジェクタ7は、第1実施形態と同様に、設定済み領域54に対しては撮影用の光を照射し、余白領域に対してはより暗い光を照射する。また、図11(B)及び図11(C)に示すように、余白領域55のうち、設定済み領域54からより離れた位置に、利用者の目を引くための情報(アイキャッチャー)115を提示してもよい。例えば、図11(B)及び図11(C)に示すように、被写体が読み取り中(撮影中)であることを表す「ただいま読み取り中です・・・」というメッセージを提示することができる。或いは、動画や広告をアイキャッチャー115として提示してもよい。
【0039】
以上のように、かかる変形例では、撮影時には、設定済み領域54についてのみ透光性を上げ、余白領域55については不透明な状態を維持することにより、余白領域55からの光の透過をより抑えることができるので、利用者の目が眩むという状況をより確実に回避することができる。さらに、余白領域55のうち設定済み領域54からより離れた位置に提示されるアイキャッチャー115が利用者の目を引くので、利用者の目が眩むという状況をより一層回避することができる。
【0040】
また例えば、図12及び図13に示すように、第1実施形態で説明したのとほぼ同様の機能を有する撮像装置1に、透光性パネル3を上方から撮影する上方カメラ(例えばデジタルカメラ)121を備えるようにしてもよい。この例における撮像装置122は、第1実施形態と同様に、制御装置5の光照射部(プロジェクタ)7は、透光性パネル3の下方から光を照射するように配置され、撮影部(カメラ)9は、透光性パネル3の下方から透光性パネル3からの反射光を撮影するように配置されている。
撮像装置122が第1実施形態の撮像装置1と異なる点は、制御装置5の領域設定部31は、上方カメラ121が透光性パネル(詳細にはタッチパネル13)上に配置された被写体を撮影した場合に、該被写体を含む画像に基づき、透光性パネル3上における該被写体の位置に対応する領域を設定するように構成されている点である。かかる画像に基づき領域を設定する方法は、画像中の特定の物体の位置を認識する周知の画像処理技術を用いて実現することができる。
【0041】
詳細には、撮像装置122の撮影制御部34(図3参照)は、利用者によってタッチパネル3上に被写体が配置され、透光性パネル3に表示されているScanボタン52(図5参照)が押下されたことをトリガとして、上方カメラ121を制御し、被写体を含む透光性パネル3を撮影する。そして、領域設定部31は、該撮影により生成された画像に基づき、透光性パネル3上における領域を設定する。なお、透光性パネル3上の領域が設定された後の情報処理については、第1実施形態と同様である。
【0042】
また例えば、図1及び図12に示すように、透光性パネル3を構成するスクリーン15がタッチパネル13より大きく作られている場合には、透光性パネル3は、タッチパネル13及びスクリーン15それぞれの全体が利用者に見えるように筐体11に取り付けてられていてもよい。この場合、被写体の撮影時には、スクリーン15のうちタッチパネル13と重なっていない部分に、利用者の目を引くための情報(アイキャッチャー)を提示してもよい。
【0043】
また例えば、撮像装置1及び撮像装置122では、透光性パネル3からの反射光を撮影する撮影部としてカメラ9を備えているが、周知のイメージスキャナを採用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,122…撮像装置
3…透光性パネル
5…制御装置
7…プロジェクタ
9…カメラ
11…筐体
13…タッチパネル
15…スクリーン
31…領域設定部
32…透光性制御部
33…照射制御部
34…撮影制御部
54…設定済み領域
55…余白領域
115…アイキャッチャー
121…上方カメラ
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像機能及び表示機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタとCCDカメラとを用いて構成された投射表示機能及び撮像機能を有する装置が知られている。かかる装置は、プロジェクタが読取面に画像を投影する機能、及び読取面上に配置された被写体をCCDカメラで撮影する機能等を有する。また、撮影の際には、プロジェクタは撮影用の光を照射するストロボとして機能する。
例えば下記特許文献1には、中央部分にスクリーンがはめ込まれた平面部と、平面部を支える筐体と、筐体内に設けられ、スクリーンに画像を投影するプロジェクタと、スクリーンの裏面側全体が視野角となる位置に配置され、スクリーンを裏面側から撮影するCCDカメラとを備えている画像表示装置が開示されている。
また、下記特許文献2には、入力画像信号に応じて画像を生成する画像形成手段と、画像形成手段で生成された画像を拡大投射するための投射光学系とからなる画像投射装置と、投射画像を背面から透過させて表示する表示部材と、該表示部材の表示面に形成された情報を撮像する手段とを有し、撮像時に、撮像光の光量を制御する手段として調光シートを設けた撮像機能付投射装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−11276号公報
【特許文献2】特開2009−171442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、投射表示機能及び撮像機能を有する従来の装置では、撮影時に、読取面全体(例えば、特許文献1におけるスクリーンの下面全体や、特許文献2における表示部材の下面全体)に撮影用の光を照射するので、読取面における被写体に対応しない部分から強い光が透過し、利用者の目が眩むという問題がある。
本発明は、投射表示機能及び撮像機能を有する装置による撮像時の眩しさを低減するための新しい枠組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の撮像装置は、透光性パネルと、前記透光性パネル上の領域を設定する領域設定部と、前記設定された領域に撮影用の光を照射する光照射部と、前記照射された光の前記透光性パネルからの反射光を撮影する撮影部と 、を備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の実施態様では、前記透光性パネルはタッチパネルであり、前記領域設定部は、前記タッチパネルで受け付けた操作に基づいて領域を設定する。
別の実施態様では、前記光照射部は、前記設定された領域に応じた画像を投影するプロジェクタである。
また別の実施態様では、前記光照射部は、前記設定された領域以外の領域に前記撮影用の光より暗い光を投影する。
また別の実施態様では、さらに、前記透光性パネルを上方から撮影する上方カメラを備え、前記領域設定部は、前記上方カメラが前記透光性パネル上に配置された被写体を撮影した場合に、該被写体を含む画像に基づき、前記透光性パネル上における該被写体の位置に対応する領域を設定するように構成され、前記光照射部は、前記透光性パネルの下方から前記光を照射するように配置され、前記撮影部は、前記透光性パネルの下方から前記反射光を撮影するように配置されている。
【0007】
また別の実施態様では、前記透光性パネルは、部分的に透光性を変化させることができるように構成されており、前記撮像装置は、さらに、前記透光性パネルの前記設定された領域に対応する部分の透光性が、それ以外の部分の透光性より高くなるように、前記透光性パネルの透光性を変化させる透光性制御部を備える。
本発明の撮像方法は、透光性パネル上の領域を設定するステップと、前記設定された領域に撮影用の光を照射するステップと、前記照射された光の前記透光性パネルからの反射光を撮影するステップと、を含むことを特徴とする。
本発明のコンピュータプログラムは、上記撮像方法を撮像装置に実行させるためのコンピュータプログラムである。
なお、本発明において、1つの機能部や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の機能部や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、透光性パネル上で設定された領域に撮影用の光が照射されるので、被写体の位置に応じた領域を設定すれば、撮影用の光は、被写体に遮られ、利用者側に直接照射されないため、撮影時における眩しさが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態の撮像装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図2】撮像装置のハードウェア構成を示す図である。
【図3】制御装置の機能構成を示す図である。
【図4】撮像装置による領域設定処理及び撮像処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】設定された領域に応じた光が照射された場合の透光性パネルの状態を示す図である。
【図6】領域設定方法の一例を説明する図である。
【図7】領域設定方法の一例を説明する図である。
【図8】領域設定方法の一例を説明する図である。
【図9】領域設定方法の一例を説明する図である。
【図10】領域設定方法の一例を説明する図である。
【図11】部分的にスクリーンの透光性を変化させることができる場合における撮影方法を説明する図である。
【図12】上方カメラを備える撮像装置の全体構成を模式的に示す図である。
【図13】上方カメラを備える撮像装置の撮像装置のハードウェア構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態として、投射表示機能及び撮像機能を有する撮像装置1による撮像時の眩しさを低減するための新しい枠組みについて、図面を参照して説明する。
図1は、第1実施形態の撮像装置1の全体構成を模式的に示す。
撮像装置1は、透光性パネル3と、制御装置5と、プロジェクタ7と、カメラ9とを備える。第1実施形態では、例えば、透光性パネル3は筐体11の上面の一部をなすように配置され、制御装置5、プロジェクタ7、及びカメラ9は、筐体11内に適宜配置される。なお、図1では、各ハードウェア間を接続するコードや基板を省略している。
【0011】
透光性パネル3は、ユーザからの操作を受け付けるタッチパネル13と、画像を表示するスクリーン15とを適宜の間隔を空けて重ね又は隙間なく重ねてなる透光性を有するパネルを用いる。この透光性パネル3は、カメラ9によって撮影される被写体(例えば、文書や身分証など)を配置するための原稿台及び読み取り面を成す。
【0012】
タッチパネル13としては、指や専用のペン(スタイラスペンなど)で電子機器(ここでは撮像装置1)に対して動作を指示することができる透過率の高いタッチパネル(例えば、静電容量方式又は光学方式のものなど)を用いる。
また、スクリーン15としては、電圧に応じて透光性が変化する部材(例えば、UMUフィルム(登録商標)など)を用いる。
なお、図1では、透光性パネル3(タッチパネル13及びスクリーン15)の厚みを誇張して表示している。
第1実施形態では、図1に示すように、スクリーン15はタッチパネル13より大きいものを用いるが、透光性パネル3は、タッチパネル13のみが利用者に見えるように、筐体11に取り付けられているものとする。
【0013】
制御装置5は、透光性パネル3上の領域を設定する機能や、透光性パネル3の透光性(詳細には、スクリーン15の透光性)を変化させる機能を有する。制御装置5のハードウェア構成及び機能の詳細については、図2及び図3を参照して後述する。
【0014】
プロジェクタ7は、制御装置5によって設定された透光性パネル3上の領域に対して撮影用の光を照射する機能や、利用者に見せるための画像をスクリーン15に投影する機能などを有する光照射部である。プロジェクタの種類としては、CRTプロジェクタ、液晶プロジェクタ、又はDLPプロジェクタ等の周知のものを用いることができる。撮影用の光は、上記設定された領域に応じた画像(例えば、白一色の画像など)をスクリーン15のうち、上記設定された領域に対応する範囲に投影するための光であり、所謂ストロボの役割を果たす。なお、図において、プロジェクタ7とスクリーン15との間に示した破線は、プロジェクタ7による光の照射範囲を表す。
【0015】
カメラ9は、透光性パネル3(詳細にはスクリーン15)に照射された光の透光性パネル3からの反射光を撮影する撮影部であり、例えばCCDイメージセンサやCMOSイメージセンサ等の撮像素子を備える周知のデジタルカメラを用いることができる。なお、図において、カメラ9とスクリーン15との間に示した破線は、カメラ9による撮像範囲を表す。
【0016】
図2は、撮像装置1のハードウェア構成を示す。
第1実施形態の撮像装置1では、タッチパネル13、スクリーン15、プロジェクタ7、及びカメラ9は、それぞれ制御装置5と通信可能に接続される。制御装置5は、バスを介して通信可能に接続される、CPU21、ROM22、RAM23、HDD(ハードディスク)24、及び通信装置25等の構成要素を含んで構成される。
【0017】
図3は、制御装置5の機能構成を示す。
制御装置5は、領域設定部31、透光性制御部32、照射制御部33、及び撮影制御部34を備える。これら機能部は、例えばCPU21がHDD24やROM22等の記憶装置からRAM23上に所定のプログラムを読み出して実行することにより機能的に実現される。以下、各機能部について説明する。
【0018】
領域設定部31は、タッチパネル13で利用者から受け付けた操作に基づいて透光性パネル3上の領域を設定する。具体的には、タッチパネル13上に配置された被写体について、タッチパネル13上における位置がタッチパネル操作によって指定された場合に、該指定された位置に対応する領域を、カメラ9によって撮影すべき領域として設定する。領域の詳細な設定方法については、図4〜10等を参照して後述する。
【0019】
透光性制御部32は、スクリーン15の透光性を変化させる。例えば、利用者に見せるための画像をプロジェクタ7によってスクリーン15に投射表示する時には、スクリーン15の透光性を下げ(より不透明(例えば半透明)に変化させ)、カメラ9によって撮影を行う時には、スクリーン15の透光性を上げる(より透明に変化させる)。
【0020】
照射制御部33は、プロジェクタ7からスクリーン15に対して照射する光の条件(例えば、画像パターン、輝度、色など)を決定し、該決定した条件で光を照射するようにプロジェクタ7を制御する。
【0021】
撮影制御部34は、プロジェクタ7が透光性パネル3に対して撮影用の光を照射したタイミングに合わせて、該光の透光性パネル3からの反射光を撮影するようにカメラ9を制御する。
【0022】
図4は、撮像装置1による領域設定処理及び撮像処理の流れを示すフローチャートであり、図5は、設定された領域に応じた光が照射された場合の透光性パネル3の状態を示し、図6〜10は、領域設定方法の具体例を示す。以下、図4〜10を参照して、かかる領域設定処理及び撮像処理の内容を説明する。
なお、領域設定部31による領域設定処理が実行されるまでは、撮像装置1の透光性制御部32は、透光性パネル3を不透明(例えば半透明)な状態に維持しており、照射制御部33は、プロジェクタ7を制御し、所定の光をスクリーン15に対して照射させ、図5(A)に示すような画面(画像)を表示しているものとする。また、図5(A)において、タッチパネル13上に示した斜線は、スクリーン15が不透明な状態であることを表す。
【0023】
まず、撮像装置1の領域設定部31は、利用者によるタッチパネル操作に応じて透光性パネル3上の領域を設定する(S41)。
例えば、領域設定部31は、図5(A)に示すように、利用者が被写体(例えば、何らかの文書)51をタッチパネル13上に配置し、タッチパネル操作によってタッチパネル13上における被写体51の位置を指定したうえで、撮影を指示するためのボタン(図では“Scan”ボタン)52を押下したことをトリガとして、該文書の位置に対応する領域を設定する。なお、以下、透光性パネル3において、設定された領域を“設定済み領域”と称し、それ以外の領域を“余白領域”と称する。
【0024】
領域が設定されると、透光性制御部32は、透光性パネル3のスクリーン15の透光性を上げる(S42)。例えば、スクリーン15を透明な状態に変化させる。
【0025】
照射制御部33は、スクリーン15の透光性が上がるタイミング(例えば、透明になるタイミング)に合わせてプロジェクタ7を制御し、図5(B)に示すように、設定済み領域54に撮影用の光を照射させ、余白領域55により暗い光を照射させる(S43)。
これにより、タッチパネル13上に配置された被写体に撮影用の光が照射される。なお、図5(B)において、余白領域55に示したドット模様は、該余白領域55全体に暗い色が照射されていることを表す。また、図5(B)では、プロジェクタ7による光照射時の透光性パネル3の状態を説明するため、被写体51の図示を省略した。
【0026】
そして、撮影制御部34は、プロジェクタ7が透光性パネル3に撮影用の光を照射したタイミングに合わせてカメラ9を制御し、照射された光の透光性パネル3からの反射光を撮影し(S44)、撮影により生成された画像を記憶装置(例えばHDD24など)に格納する(S45)。これにより、設定済み領域54、すなわちタッチパネル13上に配置された被写体が鮮明に表示され、かつ、余白部分55が暗い色(黒色など)で表示される画像が生成され、記憶装置に格納される。
【0027】
このように、第1実施形態の撮像装置1では、撮影時には、プロジェクタ7が余白領域55に対してより暗い色を照射するので、投射表示機能及び撮像機能を有する従来の装置とは異なり、余白領域55から眩しい光が漏れることがなく、利用者の目が眩むという状況を回避することができる。
【0028】
次に、タッチパネル操作に応じた透光性パネル3上の領域の設定方法について詳細に説明する。第1実施形態の撮像装置1では、以下の5種類の方法で領域を設定することができるものとする。
【0029】
[タッチパネル上の一点を押下して領域を指定する方法]
図6(A)に示すように、被写体51がタッチパネル13の上辺及び左辺に沿って配置され、図6(B)に示すように、タッチパネル13上のポイント(例えば、被写体51の右下の角)が押下された後、Scanボタン52(図5(A)参照)が押下された場合、領域設定部31は、タッチパネル13の左上の角(例えば、平面座標における原点)を、領域を指定するための第1のポイント(領域指定ポイント)P1として設定するとともに、押下されたポイントを第2の領域指定ポイントP2として設定する。
そして、領域設定部31は、上記領域指定ポイントP1及びP2の座標を対角の座標とする正方形又は長方形の領域を設定する。
これにより、図6(C)に示すように、撮影時には、タッチパネル13の上辺及び左辺に沿って位置する設定済み領域54に撮影用の光が照射され、余白領域55にはより暗い光が照射される。
【0030】
[タッチパネル上の二点を押下して領域を指定する方法]
図7(A)に示すように、タッチパネル13上のポイント(例えば、タッチパネル13上の任意の位置に配置された被写体51の左上の角)が押下され、続いて図7(B)に示すように、タッチパネル13上のポイント(例えば、被写体51の右下の角)が押下された後、Scanボタン52が押下された場合、領域設定部31は、押下された2箇所のポイントを領域指定ポイントP1及びP2として設定する。
そして、領域設定部31は、上記領域指定ポイントP1及びP2の座標を対角の座標とする正方形又は長方形の領域を設定する。
これにより、図7(C)に示すように、撮影時には、タッチパネル13上の設定済み領域54に撮影用の光が照射され、余白領域55にはより暗い光が照射される。
【0031】
[ドラッグによって領域を指定する方法]
図8(A)に示すように、タッチパネル13上のポイント(例えば、タッチパネル13上の任意の位置に配置された被写体51の左上の角)が押下され、そのままの状態でタッチパネル13上の別のポイント(例えば、被写体51の右下の角)まで指でなぞって押下が終了した後(指が離れた後)、Scanボタン52が押下された場合、領域設定部31は、指によるトレース(ドラッグ)の始点と終点を領域指定ポイントP1及びP2として設定する。
そして、領域設定部31は、上記領域指定ポイントP1及びP2の座標を対角の座標とする正方形又は長方形の領域を設定する。
これにより、図8(B)に示すように、撮影時には、タッチパネル13上の設定済み領域54に撮影用の光が照射され、余白領域55にはより暗い光が照射される。
【0032】
[タッチパネル上の三点を押下して領域を指定する場合]
図9(A)に示すように、タッチパネル13上の3つのポイントが押下された後、Scanボタン52が押下された場合、領域設定部31は、押下された3箇所のポイントを領域指定ポイントP1、P2、及びP3として設定する。
そして、領域設定部31は、上記領域指定ポイントP1、P2、P3の座標を3つの角の座標とする正方形、長方形、又は平行四辺形の領域を設定する。
これにより、図9(B)に示すように、撮影時には、タッチパネル13上の設定済み領域54に撮影用の光が照射され、余白領域55にはより暗い光が照射される。
【0033】
[任意の形状の領域を指定する方法]
図10(A)に示すように、タッチパネル13上のポイント(例えば、タッチパネル13上の任意の位置に配置された被写体51の角の一つ)が押下され、そのままの状態で、設定すべき領域の外形(被写体の外形)を指でなぞって押下が終了した後(指が離れた後)、Scanボタン52が押下された場合、領域設定部31は、指によってトレース(ドラッグ)された形状に対応する領域を設定する。
これにより、図10(B)に示すように、撮影時には、タッチパネル13上の設定済み領域54に撮影用の光が照射され、余白領域55にはより暗い光が照射される。
なお、この方法の別の態様として、タッチパネル13上の任意のポイントが順次押下(例えば、被写体の角が、その外周に沿って左回りに順次押下)された後、Scanボタン52が押下された場合、領域設定部31は、押下されたポイントをそれぞれ領域指定ポイントとして設定する。
そして、領域設定部31は、設定した領域指定ポイントの座標を角の座標とし、設定した順に領域指定ポイントを結ぶ線分を辺とする形状の領域を設定することができる。
【0034】
なお、撮像装置1は、上記5種類の領域設定方法を必ずしも全て実施可能に構成する必要はなく、いずれかの方法を任意に選択して実施可能に構成してもよい。
以上のように、第1実施形態の撮像装置1によれば、余白領域55には撮影用の光が照射されないので、利用者の目を眩ませることなく、透光性パネル3上に配置される被写体51を撮影することができる。また、タッチパネル13で受け付けた操作に応じて被写体51の読み取り範囲(撮影すべき領域、被写体51の位置に対応する領域、或いは撮影用の光を照射すべき領域ともいえる。)を設定することができるので、被写体51の配置及び読み取り範囲の指定を容易に行うことができる。
【0035】
以上、本発明の第1実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されることなく種々に変形して適用することが可能である。
[変形例]
例えば、透光性パネル3のスクリーン15は、部分的に透光性を変化させることができるように構成することができる。そして、撮像装置1の透光性制御部32は、被写体の撮影時には、透光性パネル3上の設定済み領域に対応する部分の透光性が、それ以外の部分の透光性より高くなるように、透光性パネルの透光性を変化させるようにしてもよい。
【0036】
具体的には、スクリーン15は、図11(A)に示すように、透光性を個別に制御可能な複数の区画(ここでは、第1の区画111、第2の区画112、第3の区画113、及び第4の区画114)によって構成することができる。なお、図において、タッチパネル13上に示した斜線は、該タッチパネル13の模様ではなく、透光性パネル3(詳細にはスクリーン15)が不透明であることを表している。
そして、領域設定部31は、第1実施形態において説明した方法で領域を仮設定し、該仮設定された領域にほぼ一致する1つの区画又は複数の区画の組み合わせを、撮影すべき被写体に対応する領域として設定する。例えば、領域設定部31は、図11(A)において仮設定した領域が第1の区画111とほぼ一致する場合(例えば、第1の区画111内に収まる場合)、第1の区画111を、撮影すべき被写体に対応する領域として設定する。この場合、透光性制御部32は、図11(B)に示すように、設定済み領域54(第1の区画111)についてのみ透光性を上げ(より透明にし)、余白領域55(その他の区画112〜114)については透光性を変化させない(不透明な状態を維持する)。
【0037】
或いは、領域設定部31は、図11(A)において仮設定した領域が第1の区画111、第2の区画112、及び第3の区画113を組み合わせた区画とほぼ一致する場合、これらを組み合わせた区画を、撮影すべき被写体に対応する領域として設定する。この場合、透光性制御部32は、図11(C)に示すように、設定済み領域54(第1の区画111、第2の区画112、及び第3の区画113)についての透光性を上げ(より透明にし)、余白領域55(第4の区画114)についてのみ透光性を変化させない(不透明な状態を維持する)。
【0038】
なお、この例では、プロジェクタ7は、第1実施形態と同様に、設定済み領域54に対しては撮影用の光を照射し、余白領域に対してはより暗い光を照射する。また、図11(B)及び図11(C)に示すように、余白領域55のうち、設定済み領域54からより離れた位置に、利用者の目を引くための情報(アイキャッチャー)115を提示してもよい。例えば、図11(B)及び図11(C)に示すように、被写体が読み取り中(撮影中)であることを表す「ただいま読み取り中です・・・」というメッセージを提示することができる。或いは、動画や広告をアイキャッチャー115として提示してもよい。
【0039】
以上のように、かかる変形例では、撮影時には、設定済み領域54についてのみ透光性を上げ、余白領域55については不透明な状態を維持することにより、余白領域55からの光の透過をより抑えることができるので、利用者の目が眩むという状況をより確実に回避することができる。さらに、余白領域55のうち設定済み領域54からより離れた位置に提示されるアイキャッチャー115が利用者の目を引くので、利用者の目が眩むという状況をより一層回避することができる。
【0040】
また例えば、図12及び図13に示すように、第1実施形態で説明したのとほぼ同様の機能を有する撮像装置1に、透光性パネル3を上方から撮影する上方カメラ(例えばデジタルカメラ)121を備えるようにしてもよい。この例における撮像装置122は、第1実施形態と同様に、制御装置5の光照射部(プロジェクタ)7は、透光性パネル3の下方から光を照射するように配置され、撮影部(カメラ)9は、透光性パネル3の下方から透光性パネル3からの反射光を撮影するように配置されている。
撮像装置122が第1実施形態の撮像装置1と異なる点は、制御装置5の領域設定部31は、上方カメラ121が透光性パネル(詳細にはタッチパネル13)上に配置された被写体を撮影した場合に、該被写体を含む画像に基づき、透光性パネル3上における該被写体の位置に対応する領域を設定するように構成されている点である。かかる画像に基づき領域を設定する方法は、画像中の特定の物体の位置を認識する周知の画像処理技術を用いて実現することができる。
【0041】
詳細には、撮像装置122の撮影制御部34(図3参照)は、利用者によってタッチパネル3上に被写体が配置され、透光性パネル3に表示されているScanボタン52(図5参照)が押下されたことをトリガとして、上方カメラ121を制御し、被写体を含む透光性パネル3を撮影する。そして、領域設定部31は、該撮影により生成された画像に基づき、透光性パネル3上における領域を設定する。なお、透光性パネル3上の領域が設定された後の情報処理については、第1実施形態と同様である。
【0042】
また例えば、図1及び図12に示すように、透光性パネル3を構成するスクリーン15がタッチパネル13より大きく作られている場合には、透光性パネル3は、タッチパネル13及びスクリーン15それぞれの全体が利用者に見えるように筐体11に取り付けてられていてもよい。この場合、被写体の撮影時には、スクリーン15のうちタッチパネル13と重なっていない部分に、利用者の目を引くための情報(アイキャッチャー)を提示してもよい。
【0043】
また例えば、撮像装置1及び撮像装置122では、透光性パネル3からの反射光を撮影する撮影部としてカメラ9を備えているが、周知のイメージスキャナを採用してもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,122…撮像装置
3…透光性パネル
5…制御装置
7…プロジェクタ
9…カメラ
11…筐体
13…タッチパネル
15…スクリーン
31…領域設定部
32…透光性制御部
33…照射制御部
34…撮影制御部
54…設定済み領域
55…余白領域
115…アイキャッチャー
121…上方カメラ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性パネルと、
前記透光性パネル上の領域を設定する領域設定部と、
前記設定された領域に撮影用の光を照射する光照射部と、
前記照射された光の前記透光性パネルからの反射光を撮影する撮影部と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記透光性パネルはタッチパネルであり、
前記領域設定部は、前記タッチパネルで受け付けた操作に基づいて領域を設定する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記光照射部は、前記設定された領域に応じた画像を投影するプロジェクタである、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光照射部は、前記設定された領域以外の領域に前記撮影用の光より暗い光を投影する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記透光性パネルを上方から撮影する上方カメラ
をさらに備え、
前記領域設定部は、前記上方カメラが前記透光性パネル上に配置された被写体を撮影した場合に、該被写体を含む画像に基づき、前記透光性パネル上における該被写体の位置に対応する領域を設定するように構成され、
前記光照射部は、前記透光性パネルの下方から前記光を照射するように配置され、
前記撮影部は、前記透光性パネルの下方から前記反射光を撮影するように配置されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記透光性パネルは、部分的に透光性を変化させることができるように構成されており、
前記撮像装置は、さらに、前記透光性パネルの前記設定された領域に対応する部分の透光性が、それ以外の部分の透光性より高くなるように、前記透光性パネルの透光性を変化させる透光性制御部を備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
透光性パネル上の領域を設定するステップと、
前記設定された領域に撮影用の光を照射するステップと、
前記照射された光の前記透光性パネルからの反射光を撮影するステップと、
を含む撮像方法。
【請求項8】
透光性パネル上の領域を設定するステップと、
前記設定された領域に撮影用の光を照射するステップと、
前記照射された光の前記透光性パネルからの反射光を撮影するステップと
を撮像装置に実行させるプログラム。
【請求項1】
透光性パネルと、
前記透光性パネル上の領域を設定する領域設定部と、
前記設定された領域に撮影用の光を照射する光照射部と、
前記照射された光の前記透光性パネルからの反射光を撮影する撮影部と、
を備える撮像装置。
【請求項2】
前記透光性パネルはタッチパネルであり、
前記領域設定部は、前記タッチパネルで受け付けた操作に基づいて領域を設定する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記光照射部は、前記設定された領域に応じた画像を投影するプロジェクタである、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記光照射部は、前記設定された領域以外の領域に前記撮影用の光より暗い光を投影する、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記透光性パネルを上方から撮影する上方カメラ
をさらに備え、
前記領域設定部は、前記上方カメラが前記透光性パネル上に配置された被写体を撮影した場合に、該被写体を含む画像に基づき、前記透光性パネル上における該被写体の位置に対応する領域を設定するように構成され、
前記光照射部は、前記透光性パネルの下方から前記光を照射するように配置され、
前記撮影部は、前記透光性パネルの下方から前記反射光を撮影するように配置されている、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記透光性パネルは、部分的に透光性を変化させることができるように構成されており、
前記撮像装置は、さらに、前記透光性パネルの前記設定された領域に対応する部分の透光性が、それ以外の部分の透光性より高くなるように、前記透光性パネルの透光性を変化させる透光性制御部を備える、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
透光性パネル上の領域を設定するステップと、
前記設定された領域に撮影用の光を照射するステップと、
前記照射された光の前記透光性パネルからの反射光を撮影するステップと、
を含む撮像方法。
【請求項8】
透光性パネル上の領域を設定するステップと、
前記設定された領域に撮影用の光を照射するステップと、
前記照射された光の前記透光性パネルからの反射光を撮影するステップと
を撮像装置に実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−254268(P2011−254268A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−126363(P2010−126363)
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月1日(2010.6.1)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】
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