説明

撮像装置、撮像装置の制御方法及びプログラム

【課題】被写体がマクロ領域内に存在するかどうかの判定の精度の向上及びかかる判定に要する時間の短縮を実現する新たな技術を提供する。
【解決手段】撮像光学系で形成された被写体の像を光電変換して画像信号を生成する撮像手段と、前記撮像手段で生成された画像信号から前記撮像光学系の合焦状態を表す評価値を生成する生成手段と、前記撮像光学系に含まれる焦点調整レンズを光軸方向に沿って第1の駆動量で駆動する第1の駆動と、前記焦点調整レンズを光軸方向に沿って前記第1の駆動量よりも大きい第2の駆動量で駆動する第2の駆動とを用いて、前記生成手段によって生成された前記評価値が最大となるように前記焦点調整レンズの位置を調整して焦点検出を行う調整手段と、前記調整手段により前記焦点検出が行われている間において、前記被写体が、予め定められた距離よりも近い前記撮像光学系のマクロ領域内に存在するかどうかの判定を行う判定手段と、を有することを特徴とする撮像装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
デジタルビデオカメラやデジタルスチルカメラなどの撮像装置として、通常撮像モード又はマクロ撮像モードを選択可能とする、所謂、マクロ撮像機能を有する撮像装置がある。かかる撮像装置では、ユーザ(撮像者)が被写体までの距離を目測し、選択ボタンなどを介して、どちらの撮像モードを使用するのかを選択している。そして、マクロ撮像モードが選択された場合には、被写体までの距離(即ち、撮像装置と被写体との間の距離)が近いため、ストロボの発光量を通常撮像モードにおける発光量よりも少なくするなどのマクロ撮像モードに特有な制御を行う。
【0003】
マクロ撮像機能を有する撮像装置において、通常撮像モード又はマクロ撮像モードの選択をユーザに委ねることは、ユーザの利便性(ユーザビリティ)を低下させることになる。また、被写体が近接位置に存在しているにもかかわらず、ユーザがマクロ撮像モードの選択を忘れてしまうこともある。
【0004】
そこで、画像信号の鮮鋭度(コントラスト)を表すAF評価値(焦点信号)や焦点調整レンズ(フォーカスレンズ)の位置に基づいて、通常撮像モード又はマクロ撮像モードの選択を自動的に行う技術が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1では、通常撮像モードにおいて、焦点調整レンズを光軸方向に駆動したときのAF評価値が所定の基準値を超えない場合やAF評価値のピークの方向が近距離の被写体に合焦する側である場合に、被写体がマクロ領域(至近側)に存在すると判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−225713号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、AF評価値や焦点調整レンズの位置だけに基づいて被写体がマクロ領域に存在するかどうかを判定すると、誤判定が生じてしまう可能性がある。
【0007】
具体的には、急激な明るさの変化によりAF評価値が変化した場合、例えば、焦点調整レンズの駆動方向が至近方向であるときにAF評価値が増加した場合には、被写体が至近側に存在していなくても、被写体が至近側に存在すると誤判定してしまう。また、コントラストが低い被写体を撮像する場合や被写体を暗所で撮像する場合には、AF評価値が緩やかに変化するため、所定の基準値を超えるAF評価値が得られずに誤判定が生じてしまう。なお、合焦時の焦点調整レンズの位置(即ち、焦点調整レンズが停止した位置)に基づいて被写体がマクロ領域に存在するかどうかを判定することで誤判定を防止することが可能であるが、焦点調整レンズが停止するまで判定を行うことができない。従って、被写体がマクロ領域に存在するかどうかの判定に長時間を要してしまう。
【0008】
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、被写体がマクロ領域内に存在するかどうかの判定の精度の向上及びかかる判定に要する時間の短縮を実現する新たな技術を提供することを例示的目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての撮像装置は、撮像光学系で形成された被写体の像を光電変換して画像信号を生成する撮像手段と、前記撮像手段で生成された画像信号から前記撮像光学系の合焦状態を表す評価値を生成する生成手段と、前記撮像光学系に含まれる焦点調整レンズを光軸方向に沿って第1の駆動量で駆動する第1の駆動と、前記焦点調整レンズを光軸方向に沿って前記第1の駆動量よりも大きい第2の駆動量で駆動する第2の駆動とを用いて、前記生成手段によって生成された前記評価値が最大となるように前記焦点調整レンズの位置を調整して焦点検出を行う調整手段と、前記調整手段により前記焦点検出が行われている間において、前記被写体が、予め定められた距離よりも近い前記撮像光学系のマクロ領域内に存在するかどうかの判定を行う判定手段と、を有し、前記判定手段は、前記焦点調整レンズが前記予め定められた距離に相当する閾値よりも至近側の領域に位置している場合であって、前記調整手段により前記焦点調整レンズが前記第1の駆動を用いて駆動され、且つ、前記焦点調整レンズが前記評価値の同一ピーク位置を予め定められた基準回数以上往復した場合には、前記マクロ領域内に前記被写体が存在すると判定することを特徴とする。
【0010】
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される好ましい実施形態によって明らかにされるであろう。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、例えば、被写体がマクロ領域内に存在するかどうかの判定の精度の向上及びかかる判定に要する時間の短縮を実現する新たな技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一側面としての撮像装置の構成を示す概略図である。
【図2】図1に示す撮像装置におけるオートフォーカス制御を説明するためのフローチャートである。
【図3】図2に示すS210の焦点調整レンズの微小駆動を詳細に説明するためのフローチャートである。
【図4】微小駆動における焦点調整レンズの駆動状態を示す図である。
【図5】図2に示すS224の焦点調整レンズの山登り駆動を詳細に説明するためのフローチャートである。
【図6】山登り駆動における焦点調整レンズの駆動状態を示す図である。
【図7】図1に示す撮像装置において、変倍レンズの位置と焦点調整レンズの位置との関係を示す図である。
【図8】図1に示す撮像装置において、焦点調整レンズの位置とAF評価値との関係を示す図である。
【図9】AF評価値の変化と焦点調整レンズの駆動状態との関係を示す図である。
【図10】AF評価値のピーク位置(合焦位置)の近傍における焦点調整レンズの駆動状態を示す図である。
【図11】図1に示す撮像装置におけるマクロ領域判定を説明するためのフローチャートである。
【図12】図1に示す撮像装置の表示部に表示されるマクロ領域判定の判定結果の一例を示す図である。
【図13】通常の被写体を撮像する場合に生成されるAF評価値、及び、コントラストが低い被写体を撮像する場合や被写体を暗所で撮像する場合に生成されるAF評価値の一例を示す図である。
【図14】AF評価値とマクロ領域判定の条件の1つである基準回数との関係を示す図である。
【図15】図1に示す撮像装置におけるマクロ領域判定を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施の形態について説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0014】
図1は、本発明の一側面としての撮像装置1の構成を示す概略図である。撮像装置1は、本実施形態では、被写体を撮像する撮像モードとして、通常撮像モード又はマクロ撮像モードとを選択可能なマクロ撮像機能を有するデジタルカメラとして具現化される。
【0015】
撮像装置1は、第1の固定レンズ102と、光軸方向に移動して変倍を行う変倍レンズ104と、絞り106と、第2の固定レンズ108と、焦点調整レンズ(フォーカスコンペンセータレンズ)110とを備える。なお、焦点調整レンズ110は、本実施形態では、変倍に伴う焦点面の移動を補正する機能と、フォーカシングの機能とを有する。第1の固定レンズ102、変倍レンズ104、絞り106、第2の固定レンズ108及び焦点調整レンズ110は、被写体の像を形成する撮像光学系10を構成する。
【0016】
また、撮像装置1は、撮像素子15と、CDS/AGC/AD回路部20と、FIFOメモリ25と、信号処理部30と、記録部35とを備える。撮像素子15は、例えば、CCDセンサやCMOSセンサで構成され、撮像光学系10で形成された被写体の像を光電変換する。CDS/AGC/AD回路部20は、撮像素子15からの出力をサンプリング、ゲイン調整及びデジタル化する。FIFOメモリ25は、CDS/AGC/AD回路部20の出力信号から、水平(H)方向について、信号処理部30で使用する領域の信号のみを切り出し、クロックのタイミングを合わせる。信号処理部30は、FIFOメモリ25からの出力信号に対して様々な画像処理を施して画像信号(映像信号)を生成する。記録部35は、信号処理部30から出力される画像信号を磁気テープ、光ディスク、半導体メモリなどの記録媒体に記録する。
【0017】
また、撮像装置1は、撮像素子15を駆動する駆動パルスを生成する駆動パルス生成部40と、焦点調整レンズ110を光軸方向に沿って駆動するレンズ駆動部45とを備える。レンズ駆動部45は、ステッピングモータ、DCモータ、振動型モータ及びボイスコイルモータなどのアクチュエータで構成される。
【0018】
また、撮像装置1は、FIFOメモリ25の出力信号から高周波成分や輝度差成分(FIFOメモリ25の出力信号の輝度レベルの最大値と最小値との差分)などを抽出してAF評価値(焦点信号)を生成して制御部70に入力する生成部50を有する。AF評価値は、撮像素子15からの出力信号に基づいて生成される画像の鮮鋭度(コントラスト)を表しているが、鮮鋭度は、撮像光学系10の合焦状態(焦点状態)に応じて変化する。従って、AF評価値は、撮像光学系10の合焦状態を表している。
【0019】
また、撮像装置1は、操作部55と、表示部60と、ストロボ部65と、制御部70とを備える。操作部55は、例えば、ユーザ(撮像者)からの操作(指示)を受け付ける各種のボタンや表示部60に設けられたタッチパネルなどを含む。本実施形態において、撮像モードの選択(即ち、通常撮像モードとマクロ撮像モードとの切り替え)などは、操作部55を介して、制御部70に入力される。表示部60は、例えば、LCDなどで構成され、信号処理部30から出力される画像信号に対応する画像や撮像装置1の状態(設定状態や撮像状態など)を表示する。また、表示部60は、本実施形態では、被写体が撮像光学系10のマクロ領域内に存在する旨を報知する表示も行う。ストロボ部65は、暗所で被写体を撮像する場合に、被写体に向けて光を照射する(即ち、発光を行う)。
【0020】
制御部70は、CPUやメモリなどを含み、撮像装置1の全体の動作を制御する。例えば、制御部70は、表示部60による画像の表示を制御したり、ストロボ部65による発光のタイミング及び発光量を制御したりする。また、制御部70は、レンズ駆動部45を介して、生成部50によって生成されるAF評価値が最大となるように焦点調整レンズ110の位置を調整して焦点検出(オートフォーカス制御)を行う。更に、本実施形態では、制御部70は、後で詳細に説明するように、焦点検出が行われている間において、被写体が、予め定められた距離よりも近い撮像光学系10のマクロ領域内に存在するかどうかの判定を行う。以下、かかる判定をマクロ領域判定と称する。
【0021】
図2を参照して、撮像装置1におけるオートフォーカス制御について説明する。なお、撮像装置1におけるオートフォーカス制御は、上述したように、制御部70が撮像装置1の各部を統括的に制御することによって実行される。
【0022】
S202では、制御部70は、オートフォーカス(AF)枠の位置及び大きさを生成部50に設定する。AF枠は、FIFOメモリ25の出力信号において、AF評価値の生成に用いられる領域を表す枠である。従って、AF枠の位置及び大きさを設定することによって、FIFOメモリ25の出力信号のうちAF枠に含まれる信号からAF評価値が生成されることになる。
【0023】
S204では、制御部70は、互いに異なる抽出特性を有する複数のバンドパスフィルタを生成部50に設定する。なお、抽出特性とは、バンドパスフィルタの周波数特性であり、バンドパスフィルタの設定とは、生成部50のバンドパスフィルタのフィルタ係数を設定(変更)することを意味する。
【0024】
S206では、制御部70は、生成部50で生成されたAF評価値を取得する。なお、S206で取得したAF評価値は所定比率で加算され、以降の処理で使用される。
【0025】
S208では、制御部70は、オートフォーカス制御における現在の焦点調整レンズ110の駆動モードが微小駆動モード(第1の駆動)であるかどうかを判定する。ここで、微小駆動モードとは、焦点調整レンズ110を光軸方向に沿って微小駆動する(第1の駆動量で駆動する)モードである。焦点調整レンズ110の駆動モードが微小駆動モードである場合には、S210に移行する。一方、焦点調整レンズ110の駆動モードが微小駆動モードでない場合には、S222に移行する。
【0026】
S210では、制御部70は、レンズ駆動部45を介して、焦点調整レンズ110を焦点深度内で微小駆動させて、AF評価値が最大となるように焦点調整レンズ110の位置を調整する。この際、撮像光学系10が合焦しているかどうかの検出、及び、至近側及び無限側のどちらの方向に合焦位置が存在するかの検出(即ち、合焦方向の検出)が行われる。
【0027】
S212では、制御部70は、焦点調整レンズ110の微小駆動(S210)により撮像光学系10の合焦が検出されたかどうかを判定する。撮像光学系10の合焦が検出されていない場合には、S214に移行する。一方、撮像光学系10の合焦が検出された場合には、S218に移行する。
【0028】
S214では、制御部70は、焦点調整レンズ110の微小駆動(S210)により合焦方向が検出されたかどうかを判定する。合焦方向が検出されていない場合には、焦点調整レンズ110の駆動モードとして微小駆動モードを維持し、S202に移行する。一方、合焦方向が検出された場合には、S216に移行する。
【0029】
S216では、制御部70は、焦点調整レンズ110の駆動モードを山登り駆動モード(第2の駆動)に変更する。ここで、山登り駆動モードとは、焦点調整レンズ110を光軸方向に沿って、微小駆動モードよりも大きい駆動量(第1の駆動量よりも大きい第2の駆動量)で駆動するモードである。
【0030】
S218では、制御部70は、撮像光学系10の合焦時のAF評価値をメモリに格納する。S220では、制御部70は、焦点調整レンズ110の駆動モードを再起動判定モードに変更する。
【0031】
S222では、制御部70は、オートフォーカス制御における現在の焦点調整レンズ110の駆動モードが山登り駆動モードであるかどうかを判定する。焦点調整レンズ110の駆動モードが山登り駆動モードである場合には、S224に移行する。一方、焦点調整レンズ110の駆動モードが山登り駆動モードでない場合には、S232に移行する。
【0032】
S224では、制御部70は、レンズ駆動部45を介して、焦点調整レンズ110を駆動させて、AF評価値が最大となるように焦点調整レンズ110の位置を調整する。具体的には、AF評価値が大きくなる方向に焦点調整レンズ110を駆動して、AF評価値のピーク位置の検出を行う。
【0033】
S226では、制御部70は、焦点調整レンズ110の山登り駆動(S224)によりAF評価値のピーク位置が検出されたかどうかを判定する。AF評価値のピーク位置が検出されていない場合には、焦点調整レンズ110の駆動モードとして山登り駆動モードを維持し、S202に移行する。一方、AF評価値のピーク位置が検出された場合には、S228に移行する。
【0034】
S228では、制御部70は、AF評価値のピーク位置に対応する焦点調整レンズ110の位置を、焦点調整レンズ110の目標位置として設定する。S230では、制御部70は、焦点調整レンズ110の駆動モードを停止モードに変更する。ここで、停止モードとは、S228で設定された目標位置に向けて焦点調整レンズ110を駆動するモードである。
【0035】
S232では、制御部70は、オートフォーカス制御における現在の焦点調整レンズ110の駆動モードが停止モードであるかどうかを判定する。焦点調整レンズ110の駆動モードが停止モードである場合には、S234に移行する。一方、焦点調整レンズ110の駆動モードが停止モードでない場合(再起動判定モードである場合)には、S238に移行する。
【0036】
S234では、制御部70は、焦点調整レンズ110がS228で設定された目標一に到達(位置)したかどうかを判定する。焦点調整レンズ110がS228で設定された目標位置に到達していない場合には、焦点調整レンズ110の駆動モードとして停止モードを維持し、S202に移行する。一方、焦点調整レンズ110がS228で設定された目標位置に到達した場合には、S236に移行する。
【0037】
S236では、制御部70は、焦点調整レンズ110の駆動モードを微小駆動モードに変更する。
【0038】
S238では、制御部70は、S218でメモリに格納したAF評価値と現在のAF評価値とを比較して、その変化量(S218でメモリに格納したAF評価値と現在のAF評価値との差分)が所定量以上であるかどうかを判定する。AF評価値の変化量が所定量以上である場合(換言すれば、焦点調整レンズ110が合焦状態ではなくなった場合)には、S240に移行する。一方、AF評価値の変化量が所定量以上でない場合(換言すれば、焦点調整レンズ110がほぼ合焦位置にあり合焦状態を保っている場合)には、S202に移行する。S240では、制御部70は、焦点調整レンズ110の駆動モードを微小駆動モードに変更する。
【0039】
図3を参照して、S210の焦点調整レンズ110の微小駆動について詳細に説明する。S302では、制御部70は、現在のカウンタの値が0であるかどうかを確認する。現在のカウンタの値が0である場合には、S304に移行する。一方、現在のカウンタの値が0ではない場合には、S306に移行する。
【0040】
S304では、制御部70は、焦点調整レンズ110が至近側に位置する場合の処理として、AF評価値をメモリに格納する。S304でメモリに格納されるAF評価値は、焦点調整レンズ110が無限側に位置するときに撮像素子15に蓄積された電荷に対応する画像信号から生成されたAF評価値である。
【0041】
S306では、制御部70は、現在のカウンタの値が1であるかどうかを確認する。現在のカウンタの値が1である場合には、焦点調整レンズ110を無限側に駆動するために、S308に移行する。一方、現在のカウンタの値が1ではない場合には、S318に移行する。
【0042】
S308では、制御部70は、振動振幅及び中心移動振幅を算出する。なお、これらの振幅は、一般的には、焦点深度内に設定される。
【0043】
S310では、制御部70は、S304でメモリに格納したAF評価値(無限側のAF評価値)がS320でメモリに格納したAF評価値(至近側のAF評価値)よりも大きいかどうかを判定する。無限側のAF評価値が至近側のAF評価値よりも大きい場合には、S312に移行する。一方、無限側のAF評価値が至近側のAF評価値よりも大きくない場合には、S314に移行する。
【0044】
S312では、制御部70は、S308で算出した振動振幅と中心移動振幅との和を焦点調整レンズ110の駆動振幅として設定する。また、S314では、制御部70は、S308で算出した振動振幅を焦点調整レンズ110の駆動振幅として設定する。
【0045】
S316では、制御部70は、レンズ駆動部45を介して、S312又はS314で設定した駆動振幅で、焦点調整レンズ110を無限方向(無限側)に駆動する。
【0046】
S318では、制御部70は、現在のカウンタの値が2であるかどうかを確認する。現在のカウンタの値が2である場合には、S320に移行する。一方、現在のカウンタの値が2ではない場合には、S322に移行する。
【0047】
S320では、制御部70は、焦点調整レンズ110が無限側に位置する場合の処理として、AF評価値をメモリに格納する。S320でメモリに格納されるAF評価値は、焦点調整レンズ110が至近側に位置するときに撮像素子15に蓄積された電荷に対応する画像信号から生成されたAF評価値である。
【0048】
S322では、制御部70は、振動振幅及び中心移動振幅を算出する。上述したように、これらの振幅は、一般的には、焦点深度内に設定される。
【0049】
S324では、制御部70は、S320でメモリに格納したAF評価値(至近側のAF評価値)がS304でメモリに格納したAF評価値(無限側のAF評価値)よりも大きいかどうかを判定する。至近側のAF評価値が無限側のAF評価値よりも大きい場合には、S326に移行する。一方、至近側のAF評価値が無限側のAF評価値よりも大きくない場合には、S328に移行する。
【0050】
S326では、制御部70は、S322で算出した振動振幅と中心移動振幅との和を焦点調整レンズ110の駆動振幅として設定する。また、S328では、制御部70は、S322で算出した振動振幅を焦点調整レンズ110の駆動振幅として設定する。
【0051】
S330では、制御部70は、レンズ駆動部45を介して、S326又はS328で設定した駆動振幅で、焦点調整レンズ110を至近方向(至近側)に駆動する。
【0052】
S332では、制御部70は、S316又はS330での焦点調整レンズ110の駆動によって、所定回数連続して同一方向に合焦位置が検出されたかどうかを判定する。所定回数連続して同一方向に合焦位置が検出された場合には、S334に移行し、制御部70は、撮像光学系10の合焦方向が検出されたと判別する。一方、所定回数連続して同一方向に合焦位置が検出されていない場合には、S336に移行する。
【0053】
S336では、制御部70は、焦点調整レンズ110がAF評価値のピーク位置を一定回数往復したかどうかを判定する。焦点調整レンズ110がAF評価値のピーク位置を一定回数往復した場合には、S338に移行し、制御部70は、撮像光学系10の合焦が検出されたと判別する。具体的には、焦点調整レンズ110が一定回数往復したAF評価値のピーク位置を合焦位置と決定し、焦点調整レンズ110の駆動を停止する。一方、焦点調整レンズ110がAF評価値のピーク位置を一定回数往復していない場合には、S340に移行する。
【0054】
S340では、制御部70は、現在のカウンタの値が0又は1である場合には、カウンタの値に1を加算し、現在のカウンタの値が3である場合には、カウンタの値を0に戻す。
【0055】
図4は、微小駆動における焦点調整レンズ110の駆動状態を示す図である。図4(a)は、画像信号の垂直同期信号を示し、図4(b)は、焦点調整レンズ110の位置と時間との関係を示している。図4(a)及び図4(b)を参照するに、ラベルLの時刻に撮像素子15に蓄積された電荷に対応する画像信号から生成されたAF評価値EVは、時刻Tで制御部70に取得される。同様に、ラベルLの時刻に撮像素子15に蓄積された電荷に対応する画像信号から生成されたAF評価値EVは、時刻Tで制御部70に取得される。制御部70は、時刻TでAF評価値EVとAF評価値EVとを比較し、AF評価値EVが大きい場合にのみ、振動中心を移動する。なお、微小駆動における焦点調整レンズ110の駆動は、焦点深度を基準として、撮像した画像においてユーザが認識できない程度の駆動量に設定する。
【0056】
図5を参照して、S224の焦点調整レンズ110の山登り駆動について詳細に説明する。S502では、制御部70は、現在のAF評価値が前回のAF評価値よりも大きいかどうかを判定する。現在のAF評価値が前回のAF評価値よりも大きい場合には、S504に移行する。一方、現在のAF評価値が前回のAF評価値よりも大きくない場合には、S506に移行する。
【0057】
S504では、制御部70は、レンズ駆動部45を介して、焦点調整レンズ110を順方向(即ち、これまで焦点調整レンズ110を駆動していた方向と同じ方向)に駆動する。
【0058】
S506では、制御部70は、現在のAF評価値がピーク(最大値)を超えて減少しているかどうかを判定する。現在のAF評価値がピークを越えて減少していない場合には、S508に移行する。一方、現在のAF評価値がピークを越えて減少している場合には、S510に移行する。
【0059】
S508では、制御部70は、レンズ駆動部45を介して、焦点調整レンズ110を逆方向(即ち、これまで焦点調整レンズ110を駆動していた方向と逆方向)に駆動する。S510では、制御部70は、AF評価値のピーク位置が検出されたと判別する。
【0060】
図6は、山登り駆動における焦点調整レンズ110の駆動状態を示す図である。図6を参照するに、焦点調整レンズ110をDに示す範囲で駆動する場合(駆動方向は矢印方向)は、AF評価値が増加するため、順方向への山登り駆動を維持する。ここで、焦点調整レンズ110をDに示す範囲で駆動する場合(駆動方向は矢印方向)には、AF評価値は、ピーク位置を越えて減少する。このような場合には、ピーク位置(合焦位置)が検出されたと判別して、焦点調整レンズ110をピーク位置まで戻した後、焦点調整レンズ110の駆動モードを微小駆動モードに変更する。一方、焦点調整レンズ110をDに示す範囲で駆動する場合(駆動方向は矢印方向)には、AF評価値は、ピーク位置を超えずに減少する。このような場合には、焦点調整レンズ110を駆動する方向を反転して、逆方向への山登り駆動を維持する。
【0061】
このように、撮像装置1におけるオートフォーカス制御では、微小駆動や山登り駆動とを用いて、AF評価値が最大となるように焦点調整レンズ110の位置を調整し、撮像光学系10の合焦状態を維持する。
【0062】
以下、撮像装置1におけるマクロ領域判定を説明する。なお、上述したように、かかるマクロ領域判定は、制御部70で行われる。
【0063】
まず、基本的なマクロ領域判定について説明する。図7は、変倍レンズ104の位置と焦点調整レンズ110の位置との関係を示す図である。図7を参照するに、変倍レンズ104の位置に応じて焦点調整レンズ110の駆動範囲は異なり、焦点調整レンズ110の駆動量に対する被写体距離(焦点距離)の敏感度も異なる。従って、変倍レンズ104の位置に応じて、焦点調整レンズ110の位置に対するマクロ領域を設定する必要がある。
【0064】
図8は、焦点調整レンズ110の位置とAF評価値との関係を示す図である。図8では、変倍レンズ104のある位置において、焦点調整レンズ110を至近側から無限側に駆動した際のAF評価値の変化を模式的に表している。
【0065】
マクロ領域判定においては、まず、焦点調整レンズ110がマクロ領域内に位置しているかどうかが条件となる。図8では、閾値Th1よりも至近側の領域をマクロ領域と設定しているため、焦点調整レンズ110が閾値Th1よりも至近側に位置していることが条件となる。なお、閾値Th1は、撮像光学系10のマクロ領域を規定するための被写体との予め定められた距離に相当する値を設定する。
【0066】
次に、AF評価値のピーク位置が閾値Th1よりも至近側の領域に存在しているかどうかが条件となる。AF評価値のピーク位置は、画像における被写体のコントラストが最大となる位置である。従って、AF評価値のピーク位置が閾値Th1よりも至近側の領域に存在していれば、マクロ領域内に被写体が存在していることになる。このように、AF評価値のピーク位置を検出することによって、マクロ領域判定が行われる。
【0067】
例えば、図8を参照するに、AF評価値Eのピーク位置P1は、閾値Th1よりも至近側の領域に存在しているため、マクロ領域内に被写体が存在している(即ち、マクロ領域内に存在する被写体を撮像している)ことを意味している。一方、AF評価値Eのピーク位置は、閾値Th1よりも無限側の領域に位置しているため、マクロ領域内に被写体が存在していない(即ち、マクロ領域外に存在する被写体を撮像している)ことを意味している。
【0068】
但し、上述したように、AF評価値や焦点調整レンズ110の位置だけに基づいてマクロ領域判定を行うと、誤判定を引き起こす可能性が高い。また、図8では、焦点調整レンズ110を無限側から至近側まで駆動してAF評価値を生成しているが、動画像を撮像する場合、画像にボケが生じてしまうため、焦点調整レンズ110を無限側から至近側まで駆動することはできない。実際には、図2に示すようなオートフォーカス制御において、AF評価値のピーク位置を特定している。
【0069】
そこで、本実施形態では、焦点調整レンズ110の駆動状態を考慮してマクロ領域判定を行う。上述したように、焦点調整レンズ110の駆動状態は、微小駆動と山登り駆動の2つに大別され、焦点調整レンズ110は、AF評価値の変化に応じて、微小駆動又は山登り駆動される。
【0070】
図9は、AF評価値の変化と焦点調整レンズ110の駆動状態との関係を示す図である。例えば、焦点調整レンズ110が至近に位置している場合、位置Pの近傍では、焦点調整レンズ110を微小駆動して、AF評価値が増加する方向(合焦方向)の検出する。次いで、AF評価値の増加する方向が検出されると、位置Pの近傍では、焦点調整レンズ110を山登り駆動して、AF評価値のピーク位置を検出する。そして、AF評価値が所定値よりも減少した位置で焦点調整レンズ110の山登り駆動を停止すると共に、合焦位置近傍の位置Cで焦点調整レンズ110を微小駆動して合焦位置を検出する。
【0071】
図9に示されているように、微小駆動時の焦点調整レンズ110の駆動範囲と比較して、山登り駆動時の焦点調整レンズ110の駆動範囲は広い。従って、焦点調整レンズ110を山登り駆動している状態において、マクロ領域判定を行うために焦点調整レンズ110の位置を特定することは非常に困難であり、誤判定を引き起こす原因となる。そこで、本実施形態では、焦点調整レンズ110を微小駆動しているときにのみ、マクロ領域判定において、マクロ領域内に被写体が存在するとの判定を有効にする。
【0072】
図10は、AF評価値のピーク位置(合焦位置)の近傍における焦点調整レンズ110の駆動状態を示す図である。上述したように、焦点調整レンズ110がAF評価値のピーク位置を一定回数往復した場合に、かかるピーク位置を合焦位置と決定し、焦点調整レンズ110の駆動を停止する。そこで、本実施形態では、焦点調整レンズ110がAF評価値のピーク位置を往復した回数をマクロ領域判定の条件に含める。具体的には、合焦位置の近傍、即ち、AF評価値のピーク位置を焦点調整レンズ110が基準回数以上往復したかどうかをマクロ領域判定の条件に含める。
【0073】
例えば、焦点調整レンズ110がAF評価値のピーク位置を往復した回数をマクロ領域判定の条件に含めない場合を考える。この場合、焦点調整レンズ110がマクロ領域内に位置し、且つ、山登り駆動モード中に何らかの影響でAF評価値が減少して微小駆動モードに変更しただけで、マクロ領域内に被写体が存在すると誤判定してしまう可能性がある。このような誤判定を防止するために、微小駆動モードに変更した後、焦点調整レンズ110がAF評価値の同一ピーク位置を往復した回数Kをカウントする。そして、回数Kが基準回数Nに到達したときに焦点調整レンズ110が合焦位置の近傍に位置しているとして、マクロ領域判定を行う。
【0074】
なお、基準回数Nは、合焦位置を決定するために必要なAF評価値のピーク位置を往復する一定回数Mよりも小さく、0より大きい値の範囲内(0<N<M)で設定する。合焦位置を決定し、焦点調整レンズ110の駆動を停止してからマクロ領域判定を行うことは、判定に長時間を要してしまうため実用的ではない。従って、一定回数Mよりも小さい値を基準回数Nに設定してマクロ領域判定を行うことによって、判定に要する時間を短縮することが可能である。但し、基準回数Nの設定には、十分な検証を行って誤判定が発生しないような値を設定することが必要である。基準回数Nは、制御部70が自動的に設定することも可能である。このように、制御部70は、基準回数Nを設定する回数設定部としても機能する。また、基準回数Nは、操作部55を介してユーザが設定することも可能である。
【0075】
図11を参照して、撮像装置1におけるマクロ領域判定を具体的に説明する。S1102では、制御部70は、焦点調整レンズ110がマクロ領域内に位置しているかどうかを判定する。焦点調整レンズ110がマクロ領域内に位置している場合には、S1104に移行する。一方、焦点調整レンズ110がマクロ領域内に位置していない場合には、S1110に移行する。
【0076】
S1104では、制御部70は、焦点調整レンズ110が微小駆動されているかどうかを判定する。焦点調整レンズ110が微小駆動されている場合には、S1106に移行する。一方、焦点調整レンズ110が微小駆動されていない場合には、S1110に移行する。
【0077】
S1106では、焦点調整レンズ110がAF評価値の同一ピーク位置を基準回数以上往復したかどうかを判定する。焦点調整レンズ110がAF評価値の同一ピーク位置を基準回数以上往復した場合には、S1108に移行する。一方、焦点調整レンズ110がAF評価値の同一ピーク位置を基準回数以上往復していない場合には、S1110に移行する。
【0078】
S1108では、制御部70は、撮像光学系10のマクロ領域内に被写体が存在すると判定する。また、S1110では、制御部70は、撮像光学系10のマクロ領域内に被写体が存在していないと判定する。
【0079】
S1110では、制御部70は、マクロ領域判定の判定結果を表示部60に表示する。例えば、図12に示すように、マクロ領域内に存在する被写体OTを撮像している場合には、その旨を報知するアイコンICを表示部60の画面の一部に表示する。但し、図12に示す表示は一例であり、マクロ領域内に被写体が存在していることを報知することができればよい。また、マクロ領域内に被写体が存在しない場合には、同様に、アイコンなどを用いて、その旨を報知する表示を行えばよい。なお、マクロ領域内に被写体が存在しない場合には、通常撮像モードで被写体を撮像すればよいため、その旨を報知する表示を特に行わなくてもよい。
【0080】
また、制御部70は、マクロ領域判定の判定結果に応じて、撮像装置1の撮像モードを通常撮像モード又はマクロ撮像モードに設定することも可能である。このように、制御部70は、撮像モードを設定するモード設定部としても機能する。具体的には、制御部70は、マクロ領域内に被写体が存在しないと判定した場合には、通常撮像モードを設定し、マクロ領域内に被写体が存在すると判定した場合には、マクロ撮像モードを設定する。これにより、マクロ撮像モードに特有な制御が行われる。
【0081】
例えば、ストロボ部65の発光量は、周囲の暗さに応じて、人物などの被写体が適切に撮像されるように調整されている。従って、マクロ領域内に存在する被写体に対しては、ストロボ部65の発光量が強すぎるため、白トビなどが発生してしまう。そこで、マクロ領域内に被写体が存在すると判定した場合には、マクロ撮像モードを設定し、発光量を通常(通常撮像モード)よりも少なくなくする。これにより、マクロ領域内に被写体が存在する場合であっても、白トビなどが発生することなく、被写体を良好に撮像することが可能となる。
【0082】
このように、撮像装置1では、焦点調整レンズ110の駆動状態及び焦点調整レンズ110がAF評価値のピーク位置を往復した回数をマクロ領域判定の条件に加えている。そして、焦点調整レンズ110がマクロ領域に位置している場合であって、焦点調整レンズ110が微小駆動され、且つ、焦点調整レンズ110がAF評価値の同一ピーク位置を基準回数以上往復した場合に、マクロ領域内に被写体が存在すると判定する。また、焦点調整レンズ110がマクロ領域に位置していない場合、焦点調整レンズ110が山登り駆動されている場合又は焦点調整レンズ110がAF評価値の同一ピーク位置を基準回数以上往復していない場合には、マクロ領域内に被写体が存在しないと判定する。これにより、撮像装置1は、マクロ領域判定の精度の向上及び判定に要する時間の短縮を実現している。
【0083】
なお、コントラストが低い被写体を撮像する場合や被写体を暗所で撮像する場合、通常の被写体を撮像するときのAF評価値に比べて、AF評価値に明確なピークが現れず、全体として緩やかに変化する(最大値と最小値との差が小さい)AF評価値が生成される。図13は、通常の被写体を撮像する場合に生成されるAF評価値Eα、及び、コントラストが低い被写体を撮像する場合や被写体を暗所で撮像する場合に生成されるAF評価値Eβの一例を示す図である。AF評価値Eβにおいては、ピークが急峻でないため、ピーク位置(合焦位置)を検出できたとしても、かかるピーク位置が正しいとは限らず、マクロ領域判定の精度の低下の要因となる。
【0084】
そこで、本実施形態では、コントラストが低い被写体を撮像する場合や被写体を暗所で撮像する場合、焦点調整レンズ110がAF評価値のピーク位置を往復した回数に関する条件、即ち、上述した基準回数を変更する。図14を参照して、基準回数の変更について具体的に説明する。図14に示すように、通常の被写体を撮像する場合に生成されるAF評価値の最大値と最小値との差をEv1とし、コントラストが低い被写体を撮像する場合や被写体を暗所で撮像する場合に生成されるAF評価値の最大値と最小値との差をEv2とする。この場合、制御部70は、最大値と最小値との差がEv1であるAF評価値に対しては、基準回数としてNを設定し、最大値と最小値との差がEv2であるAF評価値に対しては、基準回数としてN’(N’<N)を設定する。このように、AF評価値の最大値と最小値との差が小さいほど、回数が多くなるように、基準回数を設定する。これにより、コントラストが低い被写体を撮像する場合や被写体を暗所で撮像する場合であっても、マクロ領域判定の精度の低下を防止することができる。
【0085】
図15を参照して、コントラストが低い被写体を撮像する場合や被写体を暗所で撮像する場合を考慮した撮像装置1におけるマクロ領域判定を具体的に説明する。なお、図15に示すS1502及びS1504は、図11に示すS1102及びS1104と同様であるため、ここでの詳細な説明は省略する。
【0086】
S1506では、制御部70は、AF評価値の最大値と最小値との差に応じて、マクロ領域判定の条件(焦点調整レンズ110がAF評価値のピーク位置を往復した回数に関する条件)となる基準回数を設定する。
【0087】
S1508では、S1106では、焦点調整レンズ110がAF評価値の同一ピーク位置をS1506で設定した基準回数以上往復したかどうかを判定する。焦点調整レンズ110がAF評価値の同一ピーク位置を基準回数以上往復した場合には、S1510に移行する。一方、焦点調整レンズ110がAF評価値の同一ピーク位置を基準回数以上往復していない場合には、S1512に移行する。
【0088】
S1510では、制御部70は、撮像光学系10のマクロ領域内に被写体が存在すると判定する。また、S1512では、制御部70は、撮像光学系10のマクロ領域内に被写体が存在していないと判定する。そして、S1514では、制御部70は、図11のS1112と同様に、マクロ領域判定の判定結果を表示部60に表示する。
【0089】
このように、AF評価値の最大値と最小値との差に応じて、基準回数を変更し、被写体のコントラストが低い場合は、基準回数を多くしてマクロ領域判定の条件を厳しく設定する。これにより、AF評価値に明確なピークが現れず、マクロ領域判定において誤判定を招きやすい場合(コントラストが低い被写体を撮像する場合や被写体を暗所で撮像する場合)であっても、マクロ領域判定の精度の低下を防止することができる。
【0090】
本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0091】
なお、上述した実施形態では、被写体のコントラストが低い場合にマクロ領域判定の条件を厳しくする構成としているが、被写体のコントラストが低い場合には常にマクロ領域内に被写体が存在しないと判定する構成としてもよい。これにより、誤判定を防ぐことができる。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことはいうまでもなく、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光学系で形成された被写体の像を光電変換して画像信号を生成する撮像手段と、
前記撮像手段で生成された画像信号から前記撮像光学系の合焦状態を表す評価値を生成する生成手段と、
前記撮像光学系に含まれる焦点調整レンズを光軸方向に沿って第1の駆動量で駆動する第1の駆動と、前記焦点調整レンズを光軸方向に沿って前記第1の駆動量よりも大きい第2の駆動量で駆動する第2の駆動とを用いて、前記生成手段によって生成された前記評価値が最大となるように前記焦点調整レンズの位置を調整して焦点検出を行う調整手段と、
前記調整手段により前記焦点検出が行われている間において、前記被写体が、予め定められた距離よりも近い前記撮像光学系のマクロ領域内に存在するかどうかの判定を行う判定手段と、
を有し、
前記判定手段は、前記焦点調整レンズが前記予め定められた距離に相当する閾値よりも至近側の領域に位置している場合であって、前記調整手段により前記焦点調整レンズが前記第1の駆動を用いて駆動され、且つ、前記焦点調整レンズが前記評価値の同一ピーク位置を予め定められた基準回数以上往復した場合には、前記マクロ領域内に前記被写体が存在すると判定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記マクロ領域内に前記被写体が存在すると前記判定手段が判定した場合に、その旨を報知する表示を行う表示手段を更に有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記判定手段の判定に応じて、前記撮像手段の撮像モードを通常撮像モード又はマクロ撮像モードに設定するモード設定手段を更に有し、
前記モード設定手段は、前記マクロ領域内に前記被写体が存在すると前記判定手段が判定した場合に前記マクロ撮像モードを設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記基準回数を設定する回数設定手段を更に有し、
前記調整手段は、前記焦点調整レンズが前記同一ピーク位置を一定回数往復すると、前記ピーク位置を合焦位置と決定し、
前記回数設定手段は、前記一定回数よりも小さく、0より大きい値の範囲内で前記基準回数を設定することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記回数設定手段は、前記生成手段で生成される評価値の最大値と最小値との差が小さいほど、前記基準回数が多くなるように、前記基準回数を設定することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記判定手段は、前記生成手段で生成される評価値の最大値と最小値との差が閾値よりも小さい場合には、前記マクロ領域内に前記被写体が存在すると判定しないことを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
撮像光学系で形成された被写体の像を光電変換して画像信号を生成する撮像手段と、前記撮像手段で生成された画像信号から前記撮像光学系の合焦状態を表す評価値を生成する生成手段と、前記撮像光学系に含まれる焦点調整レンズを光軸方向に沿って第1の駆動量で駆動する第1の駆動と、前記焦点調整レンズを光軸方向に沿って前記第1の駆動量よりも大きい第2の駆動量で駆動する第2の駆動とを用いて、前記生成手段によって生成された前記評価値が最大となるように前記焦点調整レンズの位置を調整して焦点検出を行う調整手段とを備える撮像装置の制御方法であって、
前記調整手段により前記焦点検出が行われている間において、前記被写体が、予め定められた距離よりも近い前記撮像光学系のマクロ領域内に存在するかどうかの判定を行う判定ステップを有し、
前記判定ステップでは、前記焦点調整レンズが前記予め定められた距離に相当する閾値よりも至近側の領域に位置している場合であって、前記調整手段により前記焦点調整レンズが前記第1の駆動を用いて駆動され、且つ、前記焦点調整レンズが前記評価値の同一ピーク位置を予め定められた基準回数以上往復した場合には、前記マクロ領域内に前記被写体が存在すると判定することを特徴とする制御方法。
【請求項8】
撮像装置のコンピュータに、請求項7に記載の制御方法の各ステップを実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−137887(P2011−137887A)
【公開日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−296388(P2009−296388)
【出願日】平成21年12月25日(2009.12.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】