説明

撮像装置および画像変換プログラム

【課題】静止画の撮影中にアスペクト比が異なる動画撮影に切換えられた場合に、撮影者が意図しない構図から動画撮影が開始されることを防止することができる撮像装置を提供する。
【解決手段】システムコントローラ15が、静止画撮影中に動画レリーズスイッチ9cによって動画撮影の指示が入力された場合、領域設定部15iが設定する変換領域の縦横比率を時系列に沿って小さくしていき、固定領域および変換領域を含む画像全体の縦横比率が第2比率になった時点で変換領域の縦横比率を固定し、この時点以後に生成された撮影画像の画像データを動画データとして揮発性メモリ14に記憶させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体を撮像して電子的な画像データを生成する撮像装置および画像変換プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラなどの撮像装置は、多様な撮影シーンにそれぞれ適した撮影を行うことができる。たとえば、撮像した画像データのアスペクト比の値と異なるアスペクト比の値で画像データを記憶媒体に記憶させる場合に、アスペクト比の値が異なることにより生じる画像データの欠落や余白の発生を防止し、記録媒体に記録できる技術が知られている(特許文献1参照)。この技術では、アスペクト比変換手段が、撮像した画像データのアスペクト比の値を記憶媒体のアスペクト比の値に変換して記憶させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−72231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年のデジタルカメラは、静止画のみならず、動画も撮影することができるうえ、静止画の撮影中に動画撮影に切換えて瞬時に動画撮影を行うことができるのが一般的である。しかしながら、静止画の撮影中に動画撮影に切換えられた場合に、静止画のアスペクト比と動画のアスペクト比とが異なるため、撮影者の意図しない構図から動画撮影が開始されるという問題点があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、静止画の撮影中にアスペクト比が異なる動画撮影に切換えられた場合に、撮影者が意図しない構図から動画撮影が開始されることを防止することができる撮像装置および画像変換プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る撮像装置は、視野領域からの光を集光するレンズ部と、前記レンズ部が集光した光を用いて電子的な画像データを連続的に生成する撮像部と、前記撮像部が生成した画像データを記憶する記憶部と、前記撮像部が生成する画像データに対応する画像を表示する表示部と、撮影指示を含む情報が入力される入力部とを備え、撮像した画像の縦横比が互いに異なる静止画撮影および動画撮影が可能な撮像装置であって、前記撮像部が生成する画像データに含まれる画像に対し、静止画撮影時の画像の縦横比率である第1比率と、動画撮影時の画像の縦横比率であって前記第1比率より小さい縦横比率である第2比率との間の縦横比率で切出した撮影画像を生成する画像切出し部と、前記画像切出し部が生成した前記撮影画像の領域内で縦横比率が固定される固定領域および縦横比率を変換する変換領域を設定する領域設定部と、前記領域設定部が設定した前記変換領域の縦横比率を変換することにより、前記固定領域を含む画像全体の縦横比率が前記第2比率であるトリミング画像を生成するトリミング部と、静止画撮影中に前記入力部によって動画撮影の指示が入力された場合、前記領域設定部が設定する前記変換領域の縦横比率を時系列に沿って小さくしていき、前記固定領域および前記変換領域を含む画像全体の縦横比率が前記第2比率になった時点で前記変換領域の縦横比率を固定し、前記時点以後に生成された前記撮影画像の画像データを動画データとして前記記憶部に記憶させる制御を行う制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明に係る撮像装置は、上記発明において、前記トリミング部は、前記変換領域における画像データの垂直画素列の隣接する垂直画素列とのピッチ幅を前記固定領域から離れるほど大きくすることを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る撮像装置は、上記発明において、前記制御部は、前記画像切出し部によって生成される前記撮影画像の縦横比率が前記第2比率に近づくにつれて、前記トリミング部が同じ縦横比率で時間的に連続して生成する前記トリミング画像の数を少なくする制御を行うことを特徴とする。
【0009】
また、本発明に係る撮像装置は、上記発明において、前記撮像部が生成する前記画像データに対応する画像に含まれる被写体の顔を検出する顔検出部を備え、前記領域設定は、前記顔検出部が検出した被写体の顔領域を少なくとも含む領域を前記固定領域として設定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に係る撮像装置は、上記発明において、前記入力部は、前記表示部の画像表示面上に設けられ、外部からの物体の接触位置に応じた信号の入力を受け付けるタッチパネルを備え、前記領域設定部は、前記タッチパネルにおける外部からの物体の接触位置に応じた領域を前記固定領域として設定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る画像変換プログラムは、視野領域からの光を集光するレンズ部と、前記レンズ部が集光した光を用いて電子的な画像データを連続的に生成する撮像部と、前記撮像部が生成した画像データを記憶する記憶部と、前記撮像部が生成する画像データに対応する画像を表示する表示部と、動画撮影の指示が入力される入力部とを備え、撮像した画像の縦横比が互いに異なる静止画撮影および動画撮影が可能な撮像装置に実行させる画像変換プログラムであって、前記撮像部が生成する画像データに含まれる画像に対し、静止画撮影時の画像の縦横比率である第1比率と、動画撮影時の画像の縦横比率であって前記第1比率より小さい縦横比率である第2比率との間の縦横比率で切出した撮影画像を生成する画像切出しステップと、前記画像切出しステップが生成した前記撮影画像の領域内で縦横比率が固定される固定領域および縦横比率を変換する変換領域を設定する領域設定ステップと、前記領域設定ステップが設定した前記変換領域の縦横比率を変換することにより、前記固定領域を含む画像全体の縦横比率が前記第2比率であるトリミング画像を生成するトリミングステップと、静止画撮影中に前記入力部によって動画撮影の指示が入力された場合、前記領域設定部が設定する前記変換領域の縦横比率を時系列に沿って小さくしていき、前記固定領域および前記変換領域を含む画像全体の縦横比率が前記第2比率になった時点で前記変換領域の縦横比率を固定し、前記時点以後に生成された前記撮影画像の画像データを動画データとして前記記憶部に記憶させる制御を行う変換ステップと、を実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、制御部が、静止画撮影の撮影中に動画撮影の指示があった場合に、画像切出し部が撮像部によって生成される画像データに対応する撮影領域を切出して生成する撮影画像のアスペクト比の値を第1アスペクト比の値から第2アスペクト比の値に向けて段階的に小さくさせながらトリミング部が時系列に沿って連続的に変換するトリミング画像を記憶部に記憶させる制御を行うとともに、画像切出し部によって生成される撮影画像のアスペクト比の値が第2アスペクト比の値になった時点から画像切出し部が時系列に沿って連続的に生成する撮影画像を記憶部に記憶させる制御を行う。この結果、静止画撮影の撮影中にアスペクト比が異なる動画撮影に切換えられた場合に、撮影者が意図しない構図から動画撮影が開始されることを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の前面側の構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の背面側の構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置が静止画撮影または動画撮影で生成する画像の縦横比率の一例を示す図である。
【図5】図5は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の画像切出し部が生成する撮影画像の縦横比率の変化を示す図である。
【図6】図6は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置が静止画撮影の撮影中に縦横比率が異なる動画撮影に切換えられた場合に表示部が表示する画像の一例を示す図である。
【図7】図7は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置が行う処理の概要を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置が行う画像変換処理の概要を示すフローチャートである。
【図9】図9は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の画像変換処理のタイムチャートである。
【図10】図10は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の画像変換処理を説明する図である。
【図11】図11は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の画像変換処理を説明する図である。
【図12】図12は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置のトリミング部がトリミング画像を生成する生成方法の概要を説明する模式図である。
【図13】図13は、本発明の実施の形態1に係る変形例において撮像装置が行う画像変換処理の概要を示すタイムチャートである。
【図14】図14は、本発明の実施の形態2に係る撮像装置のトリミング部が撮影画像をトリミング画像に生成する生成方法の概要を説明する模式図である。
【図15】図15は、本発明の実施の形態2に係る撮像装置のトリミング部が変換領域の各垂直画素列をそれぞれ水平方向に引き伸ばす際のピッチ幅の算出方法を説明する図である。
【図16】図16は、本発明の実施の形態2に係る算出方法の算出結果を用いて算出した変換領域における画像データの隣接する垂直画素列の各ピッチ幅の結果を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、「実施の形態」という)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一の部分には同一の符号を付している。
【0015】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。図2は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の被写体に面する側(前面側)の構成を示す斜視図である。図3は、本発明の実施の形態1に係る撮像装置の撮影者に面する側(背面側)の構成を示す図である。
【0016】
図1〜図3に示すように、撮像装置1は、レンズ部2と、レンズ駆動機構3と、絞り駆動機構4と、シャッタ駆動機構5と、撮像素子6と、信号処理部7と、音声入出力部8と、操作入力部9と、表示部10と、タッチパネル11と、記録媒体インタフェース12と、不揮発性メモリ13と、揮発性メモリ14と、システムコントローラ15とを備える。
【0017】
レンズ部2は、フォーカスレンズ及びズームレンズ等によって構成され、所定の視野領域から光を集光する。レンズ部2は、ズームレンズが光軸Q上を移動することによって画角を変化させる光学ズーム機能を有する。
【0018】
レンズ駆動機構3は、DCモータ等によって構成され、レンズ部2のフォーカスレンズやズームレンズを光軸Q上で移動させることによってレンズ部2の焦点位置や焦点距離の変更を行う。
【0019】
絞り駆動機構4は、絞り4a及びステッピングモータ等によって構成され、絞り4aを駆動することによってレンズ部2が集光した光の入射量を調整する。
【0020】
シャッタ駆動機構5は、シャッタ5a及びステッピングモータ等によって構成され、シャッタ5aを駆動することによって撮像素子6の状態を露光状態または遮光状態に設定する。
【0021】
撮像素子6は、レンズ部2が集光した光を受光して電気信号(アナログ信号)に変換するCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等によって実現され、変換した電気信号を信号処理部7に出力する。
【0022】
信号処理部7は、撮像素子6から出力される電気信号に増幅等の信号処理を施した後、A/D変換を行うことによってデジタルの画像データに変換し、システムコントローラ15を介して揮発性メモリ14に出力する。なお、撮像素子6および信号処理部7を含む構成は、レンズ部2が集光した光を用いて電子的な画像データを連続的に生成する撮像部として機能する。
【0023】
音声入出力部8は、マイクやスピーカ等によって構成され、たとえば音声情報の取得または出力を行う。
【0024】
操作入力部9は、図2および図3に示すように、撮像装置1の電源状態をオン状態またはオフ状態に切換える電源スイッチ9aと、静止画撮影の指示を与えるレリーズ信号を入力する静止画レリーズスイッチ9bと、動画撮影の指示を与えるレリーズ信号を入力する動画レリーズスイッチ9cと、撮像装置1の各種撮影モードを切換えるモード切換スイッチ9dと、撮像装置1の各種設定を行う操作スイッチ9eと、レンズ部2のズーム操作を行うズームスイッチ9fとを有する。
【0025】
表示部10は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)等からなる表示パネルを用いて実現される。表示部10は、撮像素子6が生成する画像データに対応する画像を表示する。撮像装置1の操作情報および撮影に関する情報を適宜表示する。表示部10は、図3に示すように、表示画面の縦(垂直画素列に平行な方向)と横(水平画素列に平行な方向)との比が9:16であるが、たとえば表示画面の縦と横との比が3:4であってもよい。
【0026】
タッチパネル11は、表示部10の表示画面上に重ねて設けられる(図3を参照)。タッチパネル11は、撮影者が表示部10で表示される情報に基づいて接触(タッチ)した位置を検出し、この接触位置に応じた操作信号の入力を受け付ける。一般に、タッチパネルとしては、抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等がある。本実施の形態では、いずれの方式のタッチパネルであっても適用可能である。
【0027】
記録媒体インタフェース12は、撮像装置1の外部から装着される記録媒体のメモリカード12aに対して画像データ等の情報を記憶する一方、メモリカード12aが記憶する情報を読み出す。
【0028】
不揮発性メモリ13は、フラッシュメモリ等によって実現される。不揮発性メモリ13は、撮像装置1を動作させるための各種プログラムや本実施の形態に係る画像変換プログラムを記憶したプログラムコード13aと、プログラムの実行中に使用される各種データ等を記憶した制御パラメータ13bとを有する。
【0029】
揮発性メモリ14は、SDRAM(Synchronous Dynamic Random Access Memory)によって実現される。揮発性メモリ14は、信号処理部7から出力される画像データやシステムコントローラ15による処理中の情報が一時的に記録されるワークエリア14aを有する。具体的には、揮発性メモリ14は、撮像素子6が1フレーム(例えば1/30秒)毎に出力する画像データに対応する画像(ライブビュー画像)や静止画レリーズスイッチ9bが操作された際に撮像素子6が出力する画像データに対応する画像等を一時的に記憶する。
【0030】
システムコントローラ15は、CPU(Central Processing Unit)等によって実現され、操作入力部9からの操作信号等に応じて不揮発性メモリ13のプログラムコード13aからプログラムを読み出して実行し、撮像装置1を構成する各部に対する指示やデータの転送等を行って撮像装置1の動作を統括的に制御する。システムコントローラ15は、画像処理部15aと、圧縮・伸長部15bと、AF制御部15cと、AE制御部15dと、タイマカウンタ15eと、顔検出部15fと、画素数変換部15gと、画像切出し部15hと、領域設定部15iと、トリミング部15jとを有する。
【0031】
画像処理部15aは、信号処理部7から出力された画像データに対して各種の画像処理を施し、揮発性メモリ14に出力する。具体的には、画像処理部15aは、信号処理部7から出力される画像データに対してエッジ強調、色補正およびγ補正等の処理を施す。
【0032】
圧縮・伸長部15bは、揮発性メモリ14のワークエリア14aに記憶された画像データをメモリカード12aに記憶させる場合またはメモリカード12aに記録されている画像データを表示部10に表示させる場合に、JPEG(Joint Photographic Experts Group)圧縮方式等に基づいて画像データの圧縮処理や伸長処理を行う。
【0033】
AF制御部15cは、信号処理部7から出力される画像データに基づいて、自動焦点調整を行う。たとえば、AF制御部15cは、画像データのコントラストに基づいて、レンズ駆動機構3を駆動し、撮影する被写体像の鮮鋭度が最大となるようにレンズ部2を光軸Q上で移動させる。
【0034】
AE制御部15dは、信号処理部7から出力される画像データに基づいて、静止画撮影を行う際の条件、たとえば絞り4aの設定値、シャッタ速度等を決定することで自動露出を行う。
【0035】
タイマカウンタ15eは、撮像装置1の動作の基準となる時間信号を生成する。これにより、システムコントローラ15は、画像データの取得間隔、撮像素子6の露光時間等を設定することができる。
【0036】
顔検出部15fは、信号処理部7が出力する画像データに対応する画像に含まれる被写体の顔をパターンマッチング等で検出する。なお、本実施の形態1では、顔検出部15fは、人物の顔を検出するようにしているが、たとえば犬や猫等の動物の顔であってもよい。
【0037】
画素数変換部15gは、信号処理部7から出力される画像データに対して撮像装置1の各種撮影モードに応じた画素数に変換する。具体的には、画素数変換部15gは、画像データを静止画撮影や動画撮影それぞれに対応する画素数に変換する。
【0038】
画像切出し部15hは、撮像素子6が生成する画像データに含まれる画像に対し、静止画撮影時の画像の縦横比率である第1比率3/4(アスペクト比3:4に対応)と、動画撮影時の画像の縦横比率であって第1比率より小さい縦横比率である第2比率9/16に(アスペクト比9:16に対応)との間の縦横比率で切出した撮影画像を生成する。
【0039】
領域設定部15iは、画像切出し部15hが生成した撮影画像の領域内で縦横比率を固定する固定領域および縦横比率を変換する変換領域を設定する。
【0040】
トリミング部15jは、領域設定部15iが設定した変換領域の縦横比率を変換することにより、固定領域を含む画像全体の縦横比率が第2比率であるトリミング画像を生成する。
【0041】
上述した各部を有するシステムコントローラ15は、静止画撮影中に動画レリーズスイッチ9cによって動画撮影の指示が入力された場合、領域設定部15iが設定した変換領域の縦横比率を時系列に沿って小さくしていき、固定領域および変換領域を含む画像全体の縦横比率が第2比率になった時点で変換領域の縦横比率を固定し、この時点以後に生成された撮影画像の画像データを動画データとして揮発性メモリ14に記憶させる制御を行う。また、システムコントローラ15は、顔検出部15fが画像切出し部15hによって生成された撮影画像の領域内で検出した被写体の顔領域を少なくとも含む領域を固定領域として設定する。なお、本実施の形態では、システムコントローラ15が制御部として機能する。
【0042】
以上の構成を有する撮影画像1が静止画撮影または動画撮影で生成する画像の縦横比率について説明する。図4は、撮像装置1が静止画撮影または動画撮影で生成する画像の縦横比率の一例を示す図である。図4において、図4(a)の画像W1が、画像の縦横比率を本実施の形態1における第1比率で表した静止画撮影時の画像であり、図4(b)の画像W2が、画像の縦横比率を本実施の形態1における第2比率で表した動画撮影時の画像である。また、第2比率は、第1比率より小さく設定される。具体的には、第1比率がアスペクト比3:4(480×640ピクセル)に対応する比率であり、第2比率がアスペクト比9:16(1080×1920ピクセル)に対応する比率である。
【0043】
撮像装置1は、撮影者が静止画撮影の撮影中に動画レリーズスイッチ9cを操作した場合に、静止画の縦横比率と動画の縦横比率とが異なるにも関わらず、動画撮影を瞬時に開始する。このため、撮影者が意図しない構図(アングル)から動画撮影が開始され、撮影者が所望する領域が画像からはみ出してしまうことがある。具体的には、図4に示すように、被写体の顔の頭部が画像W2からはみ出し、撮像素子6の撮影領域外のマスク領域M1に入り込んでしまうことがある。
【0044】
そこで、このような状況を回避するために、本実施の形態1では、まず、システムコントローラ15は、顔検出部15fが画像切出し部15hによって生成された撮影画像の領域内で検出した被写体の顔領域を少なくとも含む領域を固定領域として設定する。その後、システムコントローラ15は、静止画撮影中に動画レリーズスイッチ9cによって動画撮影の指示が入力された場合、領域設定部15iが設定した変換領域の縦横比率を時系列に沿って小さくしていき、固定領域および変換領域を含む画像全体の縦横比率が第2比率になった時点で変換領域の縦横比率を固定し、この時点以後に生成された撮影画像の画像データを動画データとしてメモリカード12aに記憶させる制御を行う。
【0045】
図5は、撮像装置1の画像切出し部15hが撮像素子6によって生成された画像データに含まれる画像を切出して生成する撮影画像の縦横比率の変化を示す図である。図5において、静止画撮影中に動画レリーズスイッチ9cによって動画撮影の指示が入力された場合、画像切出し部15hが第1比率と第2比率との間の縦横比率で生成する撮影画像のうち代表的な4枚の撮影画像W11〜W14(図5(a)〜(d))を示す。なお、各撮影画像W11〜W14の間には、複数の撮影画像が存在する。
【0046】
図5に示すように、画像切出し部15hは、撮像装置1が静止画撮影中(図5(a))に撮影者によって動画レリーズスイッチ9cが操作(押下)された場合、撮像素子6が生成する画像データに含まれる画像を時系列に沿って第1比率から第2比率に向けて小さくすることによって(3/4→2/3→9/16)、縦横比率が異なる撮影画像を生成する(撮影画像W12→撮影画像W13→撮影画像W14)。これにより、撮像装置1は、静止画撮影の撮影中に縦横比率が異なる動画撮影に切換えられた場合であっても、撮影者の意図しない構図から動画撮影が瞬時に開始されることを防止することができる。
【0047】
ここで、撮像装置1が静止画撮影の撮影中に動画撮影に切換えられた場合に表示部10が表示する画像について説明する。図6は、撮像装置1が静止画撮影の撮影中に縦横比率が異なる動画撮影に切換えられた場合に表示部10が表示する画像の一例を示す図である。図6において、表示部10が表示する複数の画像のうち、代表的な4枚の画像W21〜W24(図6(a)〜(d))を示す。なお、各画像W21〜W24の間には、複数の画像が存在する。
【0048】
図6に示すように、表示部10は、撮像装置1が静止画撮影の撮影中(図6(a))に撮影者によって動画レリーズスイッチ9cが操作(押下)された場合、画像切出し部15hが生成した撮影画像(図5(a)〜(b)を参照)の縦横比率に関わらず、第2比率の撮影画像に一致する画像を表示する(図6(b)〜(c))。その後、表示部10は、画像切出し部15hによって生成される撮影画像の縦横比率が第2比率になった時点(図5(d))から通常の動画撮影で生成される第2比率の撮影画像(図6(d))を表示する。これにより、撮影者は、表示部10に表示される画像を見ながら、意図しない構図から動画撮影が行われないように撮像装置1の構図を所望の領域に合わせながら撮影を行うことができる。
【0049】
つぎに、本実施の形態1に係る撮像装置1が行う処理について説明する。図7は、撮像装置1が行う処理の概要を示すフローチャートである。
【0050】
図7において、まず、システムコントローラ15は、撮像装置1の電源がオンになっているか否かを判断する(ステップS101)。撮像装置1の電源がオンになっている場合(ステップS101:Yes)、撮像装置1はステップS102に移行する。一方、撮像装置1の電源がオンになっていない場合(ステップS101:No)、撮像装置1は本処理を終了する。
【0051】
続いて、システムコントローラ15は、表示部10に撮像素子6が生成する画像データに対応するライブビュー画像(スルー画像)を表示させる(ステップS102)。具体的には、システムコントローラ15は、図6(a)に示す撮影画像W21(アスペクト比3:4)を表示部10に表示させる。
【0052】
その後、顔検出部15fは、撮像素子6が生成する画像データに対応する画像に対して被写体の顔の検出を開始する(ステップS103)。
【0053】
続いて、システムコントローラ15は、撮影者によって静止画レリーズスイッチ9bが操作されて静止画撮影のレリーズ信号が入力されたか否かを判断する(ステップS104)。静止画撮影のレリーズ信号が入力された場合(ステップS104:Yes)、撮像装置1はステップS105に移行する。一方、静止画撮影のレリーズ信号が入力されない場合(ステップS104:No)、撮像装置1はステップS107に移行する。
【0054】
まず、撮影者によって静止画レリーズスイッチ9bが操作されて静止画撮影のレリーズ信号が入力された場合(ステップS104:Yes)について説明する。この場合、システムコントローラ15は、現在の表示部10が表示するライブビュー画像に対して撮影を行い(ステップS105)、撮像素子6によって生成されて画像データに対して信号処理部7及び画像処理部15aで各種の画像処理を施してワークエリア14aに一時的に記憶させる。
【0055】
その後、システムコントローラ15は、ワークエリア14aに記憶された画像データを圧縮・伸長部15bで圧縮等の処理を施してメモリカード12aに記憶させ(ステップS106)、撮像装置1はステップS101に戻る。
【0056】
つぎに、撮影者によって静止画レリーズスイッチ9bが操作されていない場合(ステップS104:No)について説明する。この場合、システムコントローラ15は、撮影者によって動画レリーズスイッチ9cが操作されて動作撮影開始のレリーズ信号が入力されたか否かを判断する(ステップS107)。動画撮影開始のレリーズ信号が入力された場合(ステップS107:Yes)、撮像装置1はステップS108に移行する。一方、動画撮影開始のレリーズ信号が入力されない場合(ステップS107:No)、撮像装置1はステップS104に戻る。
【0057】
続いて、システムコントローラ15は、撮像素子6が一定の微小な時間間隔で連続的に生成する画像データをワークエリア14aに一時的に記憶させる動画撮影を開始する(ステップS108)。
【0058】
その後、システムコントローラ15は、顔検出部15fが撮像素子6によって生成された画像データに対応する画像内で被写体の顔を検出したか否かを判断する(ステップS109)。顔検出部15fが撮像素子6によって生成された画像データに対応する画像内で被写体の顔を検出した場合(ステップS109:Yes)、撮像装置1はステップS110に移行する。一方、顔検出部15fが撮像素子6によって生成された画像データに対応する画像内で被写体の顔を検出していない場合(ステップS108:No)、撮像装置1はステップS111に移行する。
【0059】
まず、顔検出部15fが撮像素子6によって生成された画像データに対応する画像内で被写体の顔を検出した場合(ステップS109:Yes)について説明する。この場合、システムコントローラ15は、後述する画像変換処理を実行し(ステップS110)、撮像装置1はステップS113に移行する。
【0060】
つぎに、顔検出部15fが撮像素子6によって生成された画像データに対応する画像内で被写体の顔を検出していない場合(ステップS109:No)について説明する。この場合、システムコントローラ15は、画像切出し部15hが撮像素子6によって生成される画像データに含まる画像を切出して生成する撮影画像の縦横比率を第1比率から第2比率に変更する(ステップS111)。この場合、ワークエリア14aは、画像切出し部15hによって一定の微小な時間間隔で連続的に生成される複数の撮影画像を一時的に記憶する。
【0061】
続いて、システムコントローラ15は、画素数変換部15gが変換する画像データの画素数数を静止画撮影の画素数から動画撮影の画素数に変更し(ステップS112)、撮像装置1はステップS113に移行する。
【0062】
その後、システムコントローラ15は、撮像装置1が撮影中であって動画撮影終了の操作が入力されたか否かを判断する(ステップS113)。具体的には、システムコントローラ15は、撮影者によって動画レリーズスイッチ9cが操作されたか否かを判断する。動画撮影終了の操作が入力された場合(ステップS113:Yes)、撮像装置1はステップS114に移行する。一方、動画撮影終了の操作が入力されない場合(ステップS113:No)、撮像装置1は、この判断を繰り返し、動画撮影を続ける。
【0063】
ステップS114において、システムコントローラ15は、ワークエリア14aに記憶された一連の動画データである撮影画像を圧縮・伸長部15bで圧縮してメモリカード12aに記憶させ、撮像装置1における動画撮影を終了する制御を行い、撮像装置1はステップS101に戻る。
【0064】
図8は、図7の画像変換処理の概要を示すフローチャートである。図9は、撮像装置1の画像変換処理のタイムチャートである。図10および図11は、撮像装置1の画像変換処理を説明する図である。なお、図9においては、画像変換処理の各期間で生成される画像のうち、代表的な画像(W22〜W24)を抽出して表示している。
【0065】
図8に示すように、まず、システムコントローラ15は、画像切出し部15hが撮像素子6によって生成される画像データに含まれる画像を切出して生成する撮影画像の縦横比率を第1比率に設定する(ステップS201)。具体的には、図10(a)に示すように、画像切出し部15hは、撮像素子6が生成する画像データに含まれる画像を第1比率(アスペクト比3:4)で切出して撮影画像W31を生成する。
【0066】
その後、システムコントローラ15は、画素数変換部15gが変換する画像データの画素数を静止画の画素数から動画の画素数に変更する(ステップS202)。
【0067】
続いて、システムコントローラ15は、顔検出部15fが画像切出し部15hによって生成された撮影画像内で検出した被写体の顔を含む領域を、撮影画像の縦横比率に関わらず撮影画像内で縦横比率が固定される固定領域として設定する(ステップS203)。具体的には、図10(b)に示すように、システムコントローラ15は、顔検出部15fが撮影画像W32から検出した被写体の顔領域G1を少なくとも含む領域を撮影画像内で縦横比率が固定される固定領域R1として設定する。
【0068】
その後、領域設定部15iは、画像切出し部15hによって生成された撮影画像の領域内に設定された縦横比率が固定される固定領域の位置情報と撮影画像の縦横比率とに基づいて、縦横比率を変換する変換領域を設定する(ステップS204)。具体的には、図10(b)に示すように、領域設定部15iは、システムコントローラ15が設定した固定領域R1の位置情報と撮影画像W32の縦横比率(第1比率)とに基づいて、変換領域R2を設定する。
【0069】
続いて、トリミング部15jは、領域設定部15iが設定した変換領域R2の縦横比率を変換することにより、固定領域R1を含む画像全体の縦横比率が第2比率であるトリミング画像を生成する(ステップS205)。具体的には、図10(b)〜(c)に示すように、トリミング部15jは、撮影画像W32の変換領域R2を固定領域R1から外縁に向けて水平方向に引き伸ばすことにより、固定領域R1を含む画像全体の縦横比率が第2比率であるトリミング画像W33を生成する。
【0070】
図12は、トリミング部15jがトリミング画像を生成する生成方法の概要を説明する模式図である。図12において、帯状領域d1は、水平方向に引き伸ばす前の変換領域R2における画像データの垂直画素列の元データを示し、帯状領域d2は、変換領域R2の画像データから線形補間等で求めた補間データを示す。図12に示すように、トリミング部15jは、変換領域R2における画像データの垂直画素列を固定領域R1から外縁に向けて等間隔に配置することによって、変換領域R2を水平方向に引き伸ばす。これにより、トリミング部15jは、第1比率の撮像画像W32を、固定領域R1を含む全体画像の縦横比率が第2比率を有するトリミング画像に生成することができる。なお、図12においては、垂直画素列と垂直画素列との間に補間データを1列ずつ挿入していたが、たとえば、垂直画素列と垂直画素列との間に補間データを2列挿入してもよく、撮影画像の縦横比率に応じて補間データの挿入数を設定するようにすればよい。
【0071】
ステップS206において、システムコントローラ15は、トリミング部15jが時系列に沿って連続的に変換したトリミング画像をワークエリア14aに規定フレーム数記憶させたか否かを判断する。具体的には、図9に示すように、システムコントローラ15は、トリミング部15jが時系列にそって連続的に生成するトリミング画を規定フレーム数、たとえば10フレーム(10枚)をワークエリア14aに記憶させたか否かを判断する。この規定フレーム数の画像中には、たとえば図9に示す画像W22や図10(d)の画像W34が含まれる。トリミング画像がワークエリア14aに規定フレーム数記憶された場合(ステップS206:Yes)、撮像装置1はステップS207に移行する。一方、トリミング画像がワークエリア14aに規定フレーム数記憶されていない場合(ステップS206:No)、撮像装置1はこの処理を繰り返す。
【0072】
続いて、システムコントローラ15は、画像切出し部15hが撮像素子6によって生成される画像データに含まれる画像を切出して生成する撮影画像の縦横比率を変更する(ステップS207)。具体的には、図11(a)に示すように、画像切出し部15hは、撮像素子6が生成する画像データに含まれる画像の縦横比率をアスペクト比2:3の縦横比率で切り出して撮影画像W41を生成する。
【0073】
続いて、システムコントローラ15は、画素数変換部15gが変換する画像データの画素数を静止画の画像数から動画の画素数に変更する(ステップS208)。
【0074】
その後、システムコントローラ15は、顔検出部15fが画像切出し部15hによって生成された撮影画像内で検出した被写体の顔を含む領域を、撮影画像の縦横比率に関わらず固定する固定領域として設定する(ステップS209)。具体的には、図11(b)に示すように、システムコントローラ15は、撮影画像W42の縦横比率に関わらず、顔検出部15fが撮影画像W42から検出した被写体の顔領域G11を少なくとも含む領域を固定領域R11として設定する。
【0075】
続いて、領域設定部15iは、画像切出し部15hによって生成された撮影画像の領域内に設定された固定領域の位置情報と撮影画像の縦横比率に基づいて、縦横比率を変換する変換領域を設定する(ステップS210)。具体的には、図11(b)に示すように、領域設定部15iは、システムコントローラ15が設定した固定領域R11の位置情報と撮影画像W42の縦横比率に基づいて、縦横比率を変換する変換領域R12を設定する。
【0076】
その後、トリミング部15jは、領域設定部15iが設定した変換領域R12の縦横比率を変換することにより、固定領域R11を含む画像全体の縦横比率が第2比率であるトリミング画像を生成する(ステップS211)。具体的には、図11(b)〜(c)に示すように、トリミング部15jは、撮影画像W42の変換領域R12を固定領域R11から外縁に向けて水平方向に引き伸ばすことにより、固定領域R11を含む画像全体の縦横比率が第2比率であるトリミング画像W43を生成する。なお、トリミング部15jは、ステップS211においても、ステップS205と同様の方法でトリミング画像W43を生成する。
【0077】
続いて、システムコントローラ15は、トリミング部15jが時系列に沿って連続的に変換したトリミング画像をワークエリア14aに規定フレーム数記憶させたか否かを判断する(ステップS212)。具体的には、図9に示すように、システムコントローラ15は、トリミング部15jが時系列にそって連続的に変換するトリミング画像の規定フレーム数(11〜20)をワークエリア14aに記憶させたか否かを判断する。この規定フレーム数の画像の中には、たとえば図9に示す画像W23や図11(d)の画像W44が含まれる。トリミング画像がワークエリア14aに規定フレーム数記憶された場合(ステップS212:Yes)、撮像装置1はステップS213に移行する。一方、トリミング画像がワークエリア14aに規定フレーム数記憶されていない場合(ステップS212:No)、撮像装置1は、この処理を繰り返す。
【0078】
その後、システムコントローラ15は、画像切出し部15hが撮像素子6によって生成される画像データに含まれる画像を切出して生成する撮像画像の縦横比率を第2比率に変更する(ステップS213)。
【0079】
続いて、システムコントローラ15は、画素数変換部15gが変換する画像データの画素数を動画の画素数に変換する(ステップS214)。
【0080】
その後、システムコントローラ15は、画像切出し部15hが撮像素子6によって生成される画像データに含まれる画像を第2比率で切り出して生成した撮影画像をワークエリア14aに一時的に記憶させる通常の動画撮影を開始し(ステップS215)、撮像装置1はメインルーチンに戻る。具体的には、図9に示すように、システムコントローラ15は、画像切出し部15hが時系列に沿って連続的に切出して生成した第2比率の撮影画像W24をワークエリア14aに一時的に記憶させる。
【0081】
以上説明した本発明の実施の形態1では、まず、システムコントローラ15は、顔検出部15fが画像切出し部15hによって生成された撮影画像の領域内で検出した被写体の顔領域を少なくとも含む領域を固定領域として設定する。その後、システムコントローラ15は、静止画撮影中に動画レリーズスイッチ9cによって動画撮影の指示が入力された場合、領域設定部15iが設定した変換領域の縦横比率を時系列に沿って小さくしていき、固定領域および変換領域を含む画像全体の縦横比率が第2比率になった時点で変換領域の縦横比率を固定し、この時点以後に生成された撮影画像の画像データを動画データとしてメモリカード12aに記憶させる制御を行う。この結果、静止画撮影中にアスペクト比が異なる動画撮影に切換えられた場合に、撮影者が意図しない構図から動画撮影が開始されることを防止することができる。さらに、撮影者は、画像切出し部15hが生成する撮影画像の縦横比率が時系列に沿って小さくなるので、被写体が画像からはみ出す前に撮像装置1の構図を変更することができる。
【0082】
また、上述した本発明の実施の形態1では、システムコントローラ15は、トリミング部15jが時系列に沿って連続的に変換するトリミング画像を所定の規定フレーム数ごとにワークエリア14aに一時的に記憶させていたが、たとえば、画像切出し部15hによって生成される撮影画像の縦横比率が第2比率に近づくにつれてトリミング部15jが変換するトリミング画像の数を少なくしてもよい。具体的には、図16に示すように、システムコントローラ15は、画像切出し部15hが生成する撮影画像の第1比率の場合、トリミング部15jが時系列に沿って連続的に変換するトリミング画像の枚数をワークエリア14aに15枚記憶させ、画像切出し部15hが生成する撮影画像のアスペクト比2:3の値の場合、トリミング部15jが時系列に沿って連続的に変換するトリミング画像の枚数をワークエリア14aに10枚記憶させる。これにより、撮影者は、被写体が撮影領域からはみ出す前に撮像装置1の構図を変更する時間的余裕がより持てる。
【0083】
(実施の形態2)
つぎに、本実施の形態2について説明する。上述した本実施の形態1では、トリミング部15が、変換領域における画像データの垂直画素列を固定領域から外縁に向けて等間隔に配置することによって第2比率のトリミング画像を生成していたが、本実施の形態2では、トリミング部が、変換領域における画像データの垂直画素列の隣接する垂直画素列とのピッチ幅を固定領域から離れるほど大きくすることによって第2比率のトリミング画像を生成する。なお、本実施の形態2の撮像装置は、上述した本実施の形態1の撮像装置1と同様の構成を有し、トリミング画像の生成方法のみ異なる。このため、本実施の形態2では、トリミング部によるトリミング画像の生成方法のみ説明する。
【0084】
図14は、本実施の形態2に係る撮像装置1のトリミング部15jが生成するトリミング画像の生成方法の概要を説明する模式図である。図14において、帯状領域d11が、水平方向に引き伸ばす前の変換領域R2における画像データの垂直画素列の元データを示し、帯状領域d12が、水平方向に引き伸ばす前の変換領域R2における画像データの垂直画素列の元データを所定のピッチ間隔で引き伸ばした際に隣接する画素データから線形補間等で求めた補間データを示す。なお、図14においては、第1比率の撮影画像を第2比率のトリミング画像に生成する場合について説明する。
【0085】
図14に示すように、トリミング部15jは、変換領域R2における画像データの垂直画素列を固定領域R1から外縁に向けて離れるほど隣接する垂直画素列のピッチ幅を大きくすることによって、変換領域R2を水平方向に引き伸ばす。これにより、トリミング部15jは、第1比率を有する撮像画像W32を、固定領域R1を含む全体画像の縦横比率が第2比率を有するトリミング画像W33に生成することができる。
【0086】
つぎに、トリミング部15jが変換領域R2の各垂直画素列をそれぞれ水平方向に引き伸ばす際のピッチ幅の算出方法について説明する。図15は、トリミング部15jが変換領域R2の各垂直画素列をそれぞれ水平方向に引き伸ばす際のピッチ幅の算出方法を説明する図である。図15において、原点が固定領域R1と変換領域R2との境界を示し(図14参照)、横軸が変換領域R2における画像データの垂直画素列の位置を示し、縦軸が固定領域R1から各垂直画素列をそれぞれ水平方向に引き伸ばした際のピッチ幅を示す。なお、図15では、一つの変換領域R2(図14の右領域)のみについて説明するが、他方の変換領域R2(図14の左領域)も同様の算出方法によってピッチ幅が算出される。
【0087】
図15に示すように、トリミング部15jは、固定領域R1に最も近い変換領域R2の垂直画素列をJ1とし、順にJ2、J3・・・Jnとしたとき(図14参照)、各垂直画素列がそれぞれ固定領域R1から離れるにしたがって(J1→J2→J3→・・・Jn)、直線L1に沿って各垂直画素列それぞれの間のピッチ幅を大きくする。具体的には、直線L1は、以下の式(1)で設定される。
【数1】

【0088】
式(1)は、水平方向に引き伸ばす前の変換領域R2における垂直画素列の数を用いて設定する。具体的には、各垂直画素列は、水平方向に引き伸ばす前の変換領域R2内でそれぞれ密に隣接している。このため、変換領域R2における垂直画素列の端部の位置をnとした場合、式(1)に基づいて算出される固定領域R1からのピッチ幅が変換領域R2における垂直画素列の間のピッチ幅の総和S(P1+P2+P3+・・・Pn)となる。すなわち、ピッチ幅の総和Sは、nが十分に大きいので、直線L1と直線L2(x=n)と横軸Xとで囲まれた範囲の面積となる。よって、近似的に以下の関係が成立する。
【数2】

【0089】
式(2)の右辺は、水平方向に引き伸ばし後の変換領域R2における補間データ(図14を参照)を含めた垂直画素列の総数であり、この総数をmとおき、式(2)に式(1)を代入すると、次式(3)が成立する。
【数3】

【0090】
この結果、直線L1の傾きaは以下の式(4)になる。
【数4】

【0091】
ここで、上述した算出方法を用いて本実施の形態におけるアスペクト比を用いて垂直画素列のピッチ幅を算出する。以下、具体例として、第1比率の垂直方向のデータ数が第2比率の垂直方向のデータ数(1080)になった時点で垂直画素列の50%を固定領域R1とした場合において、変換領域R2を水平方向に引き伸ばすことによって、固定領域R1を含む画像全体の縦横比率が第2比率であるトリミング画像(1080×1440ピクセル→1080×1920ピクセル)を生成する場合を示す。なお、上述した算出方法は、一次関数を用いた線形伸張だけでなく、二次関数等を用いた場合の線形伸長にも適用することができる。
【0092】
まず、垂直画素列の50%を固定領域R1とした場合、第1比率の片側の変換領域R2の垂直画素列数nは、
n=(1440−1440×0.5)/2=360
となる。
そして、第2比率の変換領域R2の補間データを含む垂直画素列数mは、
m=(1920−1440×0.5)/2=600
となる。よって、式(4)より
a=2m/n=2×600/360=0.09259・・・(5)
となる。
【0093】
図16は、上述した算出結果の式(5)を用いて算出した変換領域R2における画像データの隣接する垂直画素列の各ピッチ幅の結果を示す図である。図16に示すように、算出結果テーブルT1は、引き伸ばし前の垂直画素列の位置nと、式(1)の結果(a×n)と、ピッチ幅Pnと、引き伸ばし後の垂直画素列の位置Knとが記載されている。
【0094】
図16に示すように、式(1)の計算結果が「1」より小さい値となった場合は算出結果を切り上げてピッチ幅Pnを「1」とする。具体的には、引き伸ばし前の垂直画素列の位置「1」の場合、式(1)の算出結果が「1」より小さい「0.009259」であるため、ピッチ幅Pnを「1」とする。
【0095】
また、図16に示すように、ピッチ幅Pnは、整数の値になる必要があるため、式(1)の計算結果が「1」以上の場合も小数点以下を切り捨て、切り上げまたは四捨五入等の処理を行う必要がある。たとえば、引き伸ばし前の垂直画素列の位置[1]〜[160]までピッチ幅がそれぞれ[1]となる。しかしながら、何れかの方法で処理を行った場合、小数点以下の誤差が蓄積し、引き伸ばし前の変換領域R2の画像データの端部の配置位置が引き伸ばし後の変換領域R2の位置に対して大幅に足りない位置やオーバーした位置になる可能性がある。
【0096】
そこで、本実施の形態2では、ピッチ幅Pnを算出する際に切り捨てと四捨五入とを引き伸ばし前の垂直画素列を1列単位で交互に行う。たとえば、引き伸ばし前の垂直画素列の位置「160」〜「164」の算出結果に示すように交互に切り捨てと四捨五入とを行う。この場合、引き伸ばし前の垂直画素列の位置「160」〜「164」のピッチ幅Pnがそれぞれ「1」、「1」、「2」、「1」および「2」になる。そして、引き伸ばし前の垂直画素列の位置「162」のピッチ幅Pnが「2」となるため、引き伸ばし後の垂直画素列の位置Knが「163」となる。
【0097】
また、引き伸ばし前の変換領域R2における垂直画素列の画像データの端部の位置が引き伸ばし後の変換領域R2における垂直画素列の画像データの端部に一致しない場合に、引き伸ばし後の変換領域R2の垂直画素列の画像データを線形補間等で求めた補間データを挿入する。たとえば、引き伸ばし後に垂直画素列の位置「597」〜「600」に示すように線形補間で求めた補間データを挿入する。これにより、トリミング部15jは、第1比率を有する撮像画像W32を、固定領域R1を含む全体画像の縦横比率が第2比率を有するトリミング画像に生成することができる。
【0098】
以上説明した本発明の実施2の形態では、上述した本実施の形態と同様に、静止画撮影中にアスペクト比が異なる動画撮影に切換えられた場合に、撮影者が意図しない構図から動画撮影が開始されることを防止することができる。さらに、撮影者は、画像切出し部15hが生成する撮影画像の縦横比率が時系列に沿って小さくなるので、被写体が画像からはみ出す前に撮像装置1の構図を変更することができる。
【0099】
また、本発明の実施の形態1,2では、システムコントローラ15は、顔検出部15fが検出した被写体の顔領域を少なくとも含む領域を固定領域として設定していたが、たとえば、タッチパネル11における外部からの物体の接触位置に応じた領域を固定領域として設定してもよい。これにより、被写体が人物でない場合であっても、撮影者が所望する領域が撮影領域からはみ出すことを防止することができる。
【0100】
また、本発明の実施の形態1,2では、画像切出し部15hが生成する撮影領域の中央を固定領域としていたが、たとえば、撮影領域の左領域を固定領域としてもよい。これにより、被写体が撮像装置1の撮影領域の中央に存在しなくても被写体が撮影領域からはみ出すことを防止することができる。
【0101】
また、本発明の実施の形態1,2では、静止画撮影時の画像の縦横比率である第1比率が3/4(アスペクト比3:4に対応)であったが、たとえば第1比率を2/3(アスペクト比2:3に対応)としてもよい。要は、第1比率の縦横比率が第2比率より大きければよい。
【0102】
また、本発明の実施の形態1,2では、システムコントローラ15は、画像切出し部15hが生成する撮影画像の縦横比率を段階的に変更していたが、たとえば一次関数になるように一定の傾斜で縦横比率を変更してもよい。
【0103】
また、本発明の実施の形態1,2では、撮像装置1を一眼デジタルカメラとして説明しているが、例えばデジタルビデオカメラやカメラ付き携帯電話など、静止画撮影と動画撮影とを行うことができる各種電子機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0104】
1 撮像装置
2 レンズ部
3 レンズ駆動機構
4 絞り駆動機構
4a 絞り
5 シャッタ駆動機構
5a シャッタ
6 撮像素子
7 信号処理部
8 音声入出力部
9 操作入力部
9a 電源スイッチ
9b 静止画レリーズスイッチ
9c 動画レリーズスイッチ
9d モード切換スイッチ
9e 操作スイッチ
9f ズームスッチ
10 表示部
11 タッチパネル
12 記録媒体インタフェース
12a メモリカード
13 不揮発性メモリ
14 揮発性メモリ
15 システムコントローラ
15a 画像処理部
15b 圧縮・伸長部
15c AF制御部
15d AE制御部
15e タイマカウンタ
15f 顔検出部
15g 画素数変換部
15h 画像切出し部
15i 領域設定部
15j トリミング部
Q 光軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
視野領域からの光を集光するレンズ部と、前記レンズ部が集光した光を用いて電子的な画像データを連続的に生成する撮像部と、前記撮像部が生成した画像データを記憶する記憶部と、前記撮像部が生成する画像データに対応する画像を表示する表示部と、撮影指示を含む情報が入力される入力部とを備え、撮像した画像の縦横比が互いに異なる静止画撮影および動画撮影が可能な撮像装置であって、
前記撮像部が生成する画像データに含まれる画像に対し、静止画撮影時の画像の縦横比率である第1比率と、動画撮影時の画像の縦横比率であって前記第1比率より小さい縦横比率である第2比率との間の縦横比率で切出した撮影画像を生成する画像切出し部と、
前記画像切出し部が生成した前記撮影画像の領域内で縦横比率を固定する固定領域および縦横比率を変換する変換領域を設定する領域設定部と、
前記領域設定部が設定した前記変換領域の縦横比率を変換することにより、前記固定領域を含む画像全体の縦横比率が前記第2比率であるトリミング画像を生成するトリミング部と、
静止画撮影中に前記入力部によって動画撮影の指示が入力された場合、前記領域設定部が設定する前記変換領域の縦横比率を時系列に沿って小さくしていき、前記固定領域および前記変換領域を含む画像全体の縦横比率が前記第2比率になった時点で前記変換領域の縦横比率を固定し、前記時点以後に生成された前記撮影画像の画像データを動画データとして前記記憶部に記憶させる制御を行う制御部と、
を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記トリミング部は、前記変換領域における画像データの垂直画素列の隣接する垂直画素列とのピッチ幅を前記固定領域から離れるほど大きくすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記画像切出し部によって生成される前記撮影画像の縦横比率が前記第2比率に近づくにつれて、前記トリミング部が同じ縦横比率で時間的に連続して生成する前記トリミング画像の数を少なくする制御を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記撮像部が生成する前記画像データに対応する画像に含まれる被写体の顔を検出する顔検出部を備え、
前記領域設定は、前記顔検出部が検出した被写体の顔領域を少なくとも含む領域を前記固定領域として設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の撮像装置。
【請求項5】
前記入力部は、前記表示部の画像表示面上に設けられ、外部からの物体の接触位置に応じた信号の入力を受け付けるタッチパネルを備え、
前記領域設定部は、前記タッチパネルにおける外部からの物体の接触位置に応じた領域を前記固定領域として設定することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の撮像装置。
【請求項6】
視野領域からの光を集光するレンズ部と、前記レンズ部が集光した光を用いて電子的な画像データを連続的に生成する撮像部と、前記撮像部が生成した画像データを記憶する記憶部と、前記撮像部が生成する画像データに対応する画像を表示する表示部と、動画撮影の指示が入力される入力部とを備え、撮像した画像の縦横比が互いに異なる静止画撮影および動画撮影が可能な撮像装置に実行させる画像変換プログラムであって、
前記撮像部が生成する画像データに含まれる画像に対し、静止画撮影時の画像の縦横比率である第1比率と、動画撮影時の画像の縦横比率であって前記第1比率より小さい縦横比率である第2比率との間の縦横比率で切出した撮影画像を生成する画像切出しステップと、
前記画像切出しステップが生成した前記撮影画像の領域内で縦横比率を固定する固定領域および縦横比率を変換する変換領域を設定する領域設定ステップと、
前記領域設定ステップが設定した前記変換領域の縦横比率を変換することにより、前記固定領域を含む画像全体の縦横比率が前記第2比率であるトリミング画像を生成するトリミングステップと、
静止画撮影中に前記入力部によって動画撮影の指示が入力された場合、前記領域設定部が設定する前記変換領域の縦横比率を時系列に沿って小さくしていき、前記固定領域および前記変換領域を含む画像全体の縦横比率が前記第2比率になった時点で前記変換領域の縦横比率を固定し、前記時点以後に生成された前記撮影画像の画像データを動画データとして前記記憶部に記憶させる制御を行う変換ステップと、
を実行させることを特徴とする画像変換プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−259244(P2011−259244A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−132404(P2010−132404)
【出願日】平成22年6月9日(2010.6.9)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】