説明

撮像装置の接続試験システム

【課題】 従来例による信号線の接続試験システムでは、撮像装置側に接続試験用に信号線数分の接点を設ける必要があり、撮像装置の小型化を妨げるという欠点があった。
【解決手段】 撮像装置の接続試験システムにおいて、撮像素子からのアナログ画像信号をA/D変換し画像データ信号を出力するA/D変換部、この画像データ信号を出力可否の制御に基づき外部へ出力する画像データ出力バッファ部、撮像装置外部からの試験開始コマンドに基づき上記画像データ出力バッファ部へ出力否の制御を行うデータ制御部とを含む撮像装置と、この撮像装置の接続試験のための試験開始コマンド及び接続試験データ信号を生成する試験制御部と、上記画像データ出力バッファ部の出力端子を経由して上記試験制御部からの制御に基づき上記接続試験データ信号を上記データ制御部へ出力する試験データ出力バッファ部とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置の接続試験システム、特にカメラモジュールの画像出力インターフェース回路の導通接続の試験システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
信号伝送用多芯ケーブルの導通確認方法として、例えば特開2001−235499号公報に示されるように、ケーブル両端にスイッチを接続して各芯の導通をテストする方法が提案されている。
【0003】
【特許文献1】特開2001−235499号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、携帯機器の小型化が進み、携帯機器へ組み込まれる部品も更なる小型化が求められている。一方、携帯機器への組み込み用撮像装置は接続信号線数が多く、すべての信号線が確実に接続されなければならない。上記従来例による信号線の接続試験では、撮像装置側に接続試験用に信号線数分の接点を設ける必要があり、撮像装置の小型化を妨げるという欠点があった。
【0005】
本発明は、上記従来技術の欠点を解消するため、接点を設ける代りに、撮像装置の画像データ出力部を入出力双方向バッファ回路またはデータセレクタで構成し、接続試験データを用いて接続確認を行うようにしたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明である撮像装置の接続試験システムは、撮像素子からのアナログ画像信号をA/D変換し画像データ信号を出力するA/D変換部、この画像データ信号を出力可否の制御に基づき外部へ出力する画像データ出力バッファ部、撮像装置外部からの試験開始コマンドに基づき上記画像データ出力バッファ部へ出力否の制御を行うデータ制御部とを含む撮像装置と、この撮像装置の接続試験のための試験開始コマンド及び接続試験データ信号を生成する試験制御部と、上記画像データ出力バッファ部の出力端子を経由して上記試験制御部からの制御に基づき上記接続試験データ信号を上記データ制御部へ出力する試験データ出力バッファ部とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に係る発明である撮像装置の接続試験システムは、撮像素子からのアナログ画像信号をA/D変換し画像データ信号を出力するA/D変換部、撮像装置外部との接続を確認するための接続試験データ信号を生成し出力するデータ制御部、上記画像データ信号及び上記接続試験データ信号を入力とし撮像装置外部からの試験開始コマンドに基づき接続試験データ信号を選択し出力するデータセレクタ部とを含む撮像装置と、この撮像装置の接続試験のための試験開始コマンドを生成するとともに上記データセレクタ部からの出力信号を入力する試験制御部とを備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る撮像装置の試験システムでは、撮像装置の画像データ接続インターフェース部において、接続試験用接点を設ける代りに入出力双方向バッファ回路またはデータセレクタを設けるようにしたため、携帯機器に適した小型の撮像装置においても、確実に導通試験を実現できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施例1.
図1はこの発明の一実施例である撮像装置の接続試験システムの構成を示すものである。撮像装置は、信号処理回路1および撮像素子2で構成される。信号処理回路1はさらに、A/D変換回路110、制御回路(CPU)103、画像出力データバッファ101、テストデータ入力バッファ102で構成される。撮像装置は、画像データ信号端子および通信インタフェース信号端子を介して試験装置3に接続される。試験装置3は試験装置制御回路303およびテストデータ出力バッファで構成される。
【0010】
撮像装置の動作を図1に従って説明する。撮像素子2は例えばCCDイメージセンサにより構成され、光電変換によりアナログ信号の撮像素子信号出力を画像処理回路1へ出力する。撮像素子信号出力は信号処理回路1内のA/D変換回路110を通してデジタル信号に変換され、出力バッファ101および画像データ信号端子を介して外部回路へ接続される。なお、A/D変換回路110を通してデジタル信号に変換された画像データは、一般的に画素補間や色調補正等のデジタル信号変換を加えることがあるが、本発明の説明では記載を省略する。
【0011】
次に、導通テストを行う手順を図1に従って説明する。試験装置3の試験装置制御回路303は、通信インターフェース信号端子を介して撮像装置の制御回路103へ導通テストコマンドを所定の通信手順により送信する。導通テストコマンドを受信した制御回路103は画像データ出力バッファ101へ接続されたテストイネーブル信号をLレベルとすることで画像データ信号端子を開放状態にする。このとき、出力バッファ101はハイインピーダンス状態となる。一方、試験装置制御回路303はテストデータ出力バッファ301へ接続されたテストイネーブル信号をHレベルとし、所定のテストデータを、テストデータ出力バッファ301を介して、撮像装置の画像データ信号端子へ入力する。
【0012】
撮像装置の画像データ信号端子に入力された所定のテストデータは、テストデータ入力バッファ102を介して制御回路103へ入力される。制御回路103はテストデータ入力バッファ102を介して得た信号を、所定の通信手順により試験装置制御回路303へ送信する。試験装置制御回路303は制御回路103から送信された信号と、上記テストデータ出力バッファ301を介して出力した信号を比較し、一致すれば導通試験合格と判定し、一致しなければ不合格と判定する。以上の動作により、撮像装置と外部回路との接続信号線の導通を判定できる。
【0013】
前記の、制御回路103が画像データ出力バッファ101へ接続されたテストイネーブル信号をLレベルとしたあと、画像データ信号端子が開放状態になったことを示す情報を通信インタフェース信号端子を介して所定の通信手順により試験装置制御回路303へ送信する。試験装置制御回路303は、該情報を受信後、テストデータ出力バッファ301へ接続されているテストイネーブル信号をHレベルとすることで、画像データ信号端子を画像データ出力バッファ101とテストデータ出力バッファ301の両方から駆動することを防ぎ、撮像装置が導通試験によりダメージを受けることを防止する効果がある。
【0014】
あらかじめ前記所定のテストデータを制御回路103に記憶しておき、導通判定を制御回路103にて行い、試験装置制御回路303からの前記導通テストコマンド送信後、制御回路103が導通合否判定結果のみの送信とすれば、通信インタフェース信号端子を介した通信情報量が削減され、試験時間を短縮する効果がある。
【0015】
実施例2.
図2はこの発明の他の実施例である撮像装置の接続試験システムの構成を示すものである。撮像装置は、信号処理回路1および撮像素子2で構成される。信号処理回路1はさらに、A/D変換回路110、制御回路103、画像出力データバッファ104データセレクタ105で構成される。撮像装置は、画像データ信号端子および通信インタフェース信号端子を介して試験装置3に接続される。試験装置3は試験装置制御回路303および画像データ入力バッファ302で構成される。
【0016】
撮像装置の動作を図2に従って説明する。撮像素子2は例えばCCDイメージセンサにより構成され、光電変換により撮像素子信号出力を画像処理回路1へ出力する。撮像素子信号出力は信号処理回路1内のA/D変換回路110を通してデジタル信号に変換され、データセレクタ105を通り、出力バッファ104および画像データ信号端子を介して外部回路へ接続される。なお、A/D変換回路110を通してデジタル信号に変換された画像データは、一般的に画素補間や色調補正等のデジタル信号変換を加えることがあるが、本発明の説明では記載を省略する。
【0017】
次に、導通テストを行う手順を図2に従って説明する。試験装置3の試験装置制御回路303は、通信インタフェース信号端子を介して撮像装置の制御回路103へ導通テストコマンドを所定の通信手順により送信する。導通テストコマンドを受信した制御回路103はデータセレクタ102へ接続されたテストイネーブル信号をHレベルとすることで、制御回路103から出力されるテストデータを画像データ出力バッファ101および画像データ信号端子を通して試験装置3へ出力する。
【0018】
撮像装置の画像データ信号端子から出力された所定のテストデータは試験装置3に内蔵された画像データ入力バッファ302を介して試験装置制御回路303へ入力される。試験装置制御回路303は、あらかじめ試験装置制御回路に記憶された期待値と、上記画像データ入力バッファ302を介して出力した信号を比較し、一致すれば導通試験合格と判定し、一致しなければ不合格と判定する。以上の動作により、撮像装置と外部回路との接続信号線の導通を判定できる。
【0019】
前記の、制御回路103がデータセレクタ105へ出力するテストデータは1種類に限らず、時系列にテストデータを変更することにより、例えば隣接端子間のショートのような不具合内容を詳細にテストすることができる効果がある。
【0020】
前記所定のテストデータを試験装置制御回路303から制御回路103に所定の通信手順にて送信し、制御回路が出力するテストデータを時系列に変化させるように構成してもよい。この場合、制御回路103に所定のテストデータを記憶する必要がなく、コスト上昇を抑える効果がある。
【0021】
実施例3.
図3に、上記実施例1、2で示した撮像装置の概略構成を示す。(a)は平面図(上面側)、(b)は平面図(下面側)、(c)は側面図である。図において、4は光学部品、電子部品が実装される回路基板、5は撮像装置の内部と外部との間で画像、制御等の電気信号の授受が行われる信号ケーブル、11は回路基板上面側に実装される電子回路ブロック、12は回路基板下面側に実装される電子回路ブロック、21は回路基板上面側に実装される光学回路ブロックである。回路基板4はできる限り小型にするために、信号ケーブル5の横は切欠けとなっている。
【0022】
光学回路ブロック21は、CCD等の受光素子よりなるIC化された撮像素子2が実装されている。この撮像素子2上には、図示されていない複数のレンズを主要部とする撮像光学系が構成されている。
【0023】
電子回路ブロック11は、画素補間、色調補正等の機能部、A/D変換部110、CPU部103、バッファ部101、102、104等の信号処理機能の主要部がLSIパッケージ化され実装されている。これは撮像装置全体の小型化のためである。このLSIパッケージはパッケージ下面に信号端子が形成されており、回路基板4にハンダ付けで表面実装されている。
【0024】
また、電子回路ブロック12は、電源回路部、信号処理周辺機能等のアナログ機能回路が個別部品により構成・実装されている。この電子回路ブロック12は、主にアナログ回路系で構成され、ノイズ発生源となったり、逆に外部ノイズの影響を受けやすいので、全体が金属製のシールドカバーで覆われている。
【0025】
信号ケーブル5は撮像装置外部と信号入出力を行うためのケーブルであり、携帯電話などの小型機器への実装を考慮し、折り曲げ自由なフレキシブルケーブルが使用されている。図1または2では、信号処理回路1から画像データ信号端子、通信インターフェース信号端子までの経路が信号ケーブルに相当する。このケーブルの信号線はその両端が信号端子となっており、その一端の信号端子が回路基板4の端部(上面側)に形成された基板側の信号端子に表面実装されている。また、この表面実装部位の回路基板4の裏面側(下面側)には、上記信号端子に対応したテストポイントの金属パターンが形成されている。このテストポイントは、撮像装置の試験・調整の際に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明にかかる撮像装置の導通試験システムの一実施例を示すブロック図である。
【図2】本発明にかかる撮像装置の導通試験システムの他の実施例を示すブロック図である。
【図3】本発明にかかる撮像装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0027】
1 信号処理回路、 2 撮像素子、 3 試験装置、 4 回路基板、 5 信号ケーブル、 11、12 電子回路ブロック、 21 光学回路ブロック、 101 画像データ出力バッファ、 102 テストデータ入力バッファ、 103 制御回路、 104 画像データ出力バッファ、 105 データセレクタ、 110 A/D変換器、 301 テストデータ出力バッファ、 302 画像データ入力バッファ、 303 試験装置制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子からのアナログ画像信号をA/D変換し画像データ信号を出力するA/D変換部、この画像データ信号を出力可否の制御に基づき外部へ出力する画像データ出力バッファ部、撮像装置外部からの試験開始コマンドに基づき上記画像データ出力バッファ部へ出力否の制御を行うデータ制御部とを含む撮像装置と、この撮像装置の接続試験のための試験開始コマンド及び接続試験データ信号を生成する試験制御部と、上記画像データ出力バッファ部の出力端子を経由して上記試験制御部からの制御に基づき上記接続試験データ信号を上記データ制御部へ出力する試験データ出力バッファ部とを備えたことを特徴とする撮像装置の接続試験システム。
【請求項2】
撮像素子からのアナログ画像信号をA/D変換し画像データ信号を出力するA/D変換部、撮像装置外部との接続を確認するための接続試験データ信号を生成し出力するデータ制御部、上記画像データ信号及び上記接続試験データ信号を入力とし撮像装置外部からの試験開始コマンドに基づき接続試験データ信号を選択し出力するデータセレクタ部とを含む撮像装置と、この撮像装置の接続試験のための試験開始コマンドを生成するとともに上記データセレクタ部からの出力信号を入力する試験制御部とを備えたことを特徴とする撮像装置の接続試験システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−211235(P2006−211235A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−19868(P2005−19868)
【出願日】平成17年1月27日(2005.1.27)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】