撮像装置及びその制御方法
【課題】 被写体輝度が高く、電荷蓄積時間による露出制御時に、電荷蓄積時間が短いことに起因する動解像度の低下を緩和すること。
【解決手段】 複数の光電変換部とマイクロレンズとをそれぞれ有する複数の画素を含み、被写体を撮像して、複数の光電変換部それぞれから独立に、周期的に(tf)画像信号を出力することが可能な撮像素子と、被写体の輝度を測光する測光手段と、測光された被写体の輝度に基づいて、撮像素子における電荷蓄積時間(ta)を決定する決定手段と、決定された電荷蓄積時間が、予め設定された電荷蓄積時間よりも短い場合に、撮像素子が画像信号を出力する周期内で、撮像素子の各画素における複数の光電変換部の電荷蓄積時間を互いにずらす(Δt)ように制御する制御手段と、複数の光電変換部からそれぞれ独立に出力された画像信号を、各画素毎に加算する合成手段とを有する。
【解決手段】 複数の光電変換部とマイクロレンズとをそれぞれ有する複数の画素を含み、被写体を撮像して、複数の光電変換部それぞれから独立に、周期的に(tf)画像信号を出力することが可能な撮像素子と、被写体の輝度を測光する測光手段と、測光された被写体の輝度に基づいて、撮像素子における電荷蓄積時間(ta)を決定する決定手段と、決定された電荷蓄積時間が、予め設定された電荷蓄積時間よりも短い場合に、撮像素子が画像信号を出力する周期内で、撮像素子の各画素における複数の光電変換部の電荷蓄積時間を互いにずらす(Δt)ように制御する制御手段と、複数の光電変換部からそれぞれ独立に出力された画像信号を、各画素毎に加算する合成手段とを有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法に関し、更に詳しくは、光電変換部が複数に分割された画素が2次元状に配置された撮像素子を有する撮像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置では、例えば、図9に示すような制御線図に基づいて、自動露出制御が行われている。図9において、Open、F4およびF8は絞りの開口径を示し、Openでは絞りの開口径が最大となり、F値の値が大きくなるほど絞りの開口径が小さくなる。また、1/60、1/500および1/2000はシャッタースピードを示しており、値が小さくなるほど電荷蓄積時間が短くなる。図9では、被写体輝度が高い場合には、シャッタースピードを上げて電荷蓄積時間を短くしたり、絞りを絞ることにより、センサへの入射光量を抑えている。
【0003】
ここで、近年の撮像素子の小型化により、回折による小絞りボケが顕著であるため、高輝度側の露出制御を、なるべく、電荷蓄積時間の制御によって調整したいという要望がある。しかし、動画撮影時に周期的に画像信号を出力する場合、図10に示すように、各画素の電荷蓄積時間taを短くしていくと、各周期tfにおいて蓄積が行われない期間tbが長くなってしまい、特に、動きのある被写体を撮影したときに、動解像度が低下する。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の従来技術では、高輝度被写体を撮影しているときに、短秒蓄積を行った後、LCDシャッタを調整して長秒蓄積を行い、短秒蓄積の信号と長秒蓄積の信号を合成し、非蓄積期間ができないようにしている。
【0005】
また、特許文献2では、被写体輝度が高くなってきたときに、NDフィルタで露出を制御してから、シャッタースピードを制御するようにすることで、高輝度被写体撮影時の動解像度の低下を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平02−241281号公報
【特許文献2】特開2006−135479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の従来技術では、短秒蓄積で読み出された信号と長秒蓄積で読み出された信号とで、蓄積期間中の動きブレ量に差があるため、合成後の画像が、二重像のように見える場合がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の従来技術では、NDフィルタが必要であり、撮像装置の製造コスト増、及び、撮像装置の本体サイズが大きくなるという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、被写体輝度が高く、電荷蓄積時間による露出制御時に、電荷蓄積時間が短いことに起因する動解像度の低下を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、複数の光電変換部とマイクロレンズとをそれぞれ有する複数の画素を含み、被写体を撮像して、前記複数の光電変換部それぞれから独立に、周期的に画像信号を出力することが可能な撮像素子と、被写体の輝度を測光する測光手段と、前記測光手段により測光された前記被写体の輝度に基づいて、前記撮像素子における電荷蓄積時間を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された電荷蓄積時間が、予め設定された電荷蓄積時間よりも短い場合に、前記撮像素子が画像信号を出力する前記周期内で、前記撮像素子の各画素における前記複数の光電変換部の前記電荷蓄積時間を互いにずらすように制御する制御手段と、前記複数の光電変換部からそれぞれ独立に出力された画像信号を、各画素毎に加算する合成手段とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被写体輝度が高く、電荷蓄積時間による露出制御時に、電荷蓄積時間が短いことに起因する動解像度の低下を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態における撮像装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態における撮像素子の一部画素の概略構成を示す平面図。
【図3】第1の実施形態における各画素の複数の光電変換部の駆動タイミングをずらす場合の撮像素子の駆動タイミングを示すタイミングチャート。
【図4】第1の実施形態における各画素の複数の光電変換部の駆動タイミングが共通の場合の撮像素子の駆動タイミングを示すタイミングチャート。
【図5】第1の実施形態における被写体輝度に応じた露出制御を説明するプログラム線図。
【図6】第2の実施形態における撮像装置の概略構成を示すブロック図。
【図7】第2の実施形態における撮像素子の断面図並びに光学系の射出瞳を示した概略図。
【図8】第2の実施形態における画像信号と焦点状態との関係を示す図。
【図9】従来の露出制御を説明するプログラム線図。
【図10】従来の高速シャッターによる露出制御の課題を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態における撮像装置の概略構成を示すブロック図である。図1において、1は撮像レンズ、2は絞り、3は撮像素子、4A〜4DはA/D変換器、5は、A/D変換器4A〜4Dから出力されるデジタル信号を合成し、1画素に相当する信号を生成する画素値合成部である。また、6は露出制御のための測光部、7は撮像装置全体を制御する制御部、8は画素値合成部5の出力信号に対して、カメラ信号処理を行うカメラ信号処理部、9は表示・記録部である。
【0015】
図2は、本第1の実施形態における撮像素子3を構成する多数の画素の内、2×2画素分の概略構成を示す平面図である。撮像素子3は、1画素内に複数個の光電変換部を有し、20は1画素を示す領域、21はマイクロレンズ、A、B、C、Dは光電変換部を示す。なお、図2では、マイクロレンズと光電変換部以外の要素については、省略している。また、図1の信号線に付された記号A、B、C、Dは、光電変換部A、B、C、Dにそれぞれ対応している。
【0016】
また、本第1の実施形態における撮像素子3では、1画素内の各光電変換部A、B、C、Dにおいて、電荷蓄積と読み出しを独立に制御できる特徴をもっている。本第1の実施形態では、このような撮像素子3の特徴を利用し、露出制御のために、電荷蓄積時間を短縮せざるを得ない場合でも、後述するようにして動解像度を低下させない撮像動作を実現する。
【0017】
次に、本第1の実施形態の撮像装置の動作について説明する。撮像レンズ1、絞り2を介して、撮像素子3に入射した光は、撮像素子3内の光電変換部A、B、C、Dで電荷に変換され、それぞれ、電荷蓄積、読み出し制御が行われる。そして、撮像素子3内の各光電変換部A、B、C、Dから読み出されたアナログ信号は、A/D変換器4A〜4Dに出力され、それぞれデジタル信号に変換される。
【0018】
その後、A/D変換器4A〜4Dにより変換されたデジタル信号を、画素値合成部5で、画素毎に加算することで、1画素分の画素値が出力される。画素値合成部5の出力信号は、順次、カメラ信号処理部8に入力されて、輝度、色差信号の生成、輪郭補償、ガンマ処理等の処理が行われる。カメラ信号処理部8の出力は、表示・記録部9を介して、不図示の本体内の表示パネル、記憶媒体にそれぞれ表示、記録される。
【0019】
また、画素値合成部5から出力される信号は、測光部6にも入力され、測光部6は撮影画像の信号レベルを解析し、解析結果を制御部7に送出する。制御部7では、測光部6の結果に基づいて、絞り2及び撮像素子3を制御し、撮像素子3に入射される光量が適正となるよう、露出調整を行う。
【0020】
次に、撮像素子3の駆動制御と、画素値合成部5による画素値合成処理によって、露出レベルは変えずに、擬似的に長い蓄積時間を実現し、高速シャッター撮影時の動解像度の低下(動画のパラパラ感)を緩和する方法について、図3を用いて説明する。
【0021】
図3において、VDの立下りから次の立下りまでの期間は、動画像の1フレーム期間であり、tf秒であるものとする。撮像素子3は、動画像撮影時には、この1フレーム期間毎に周期的に画像信号を出力することが可能である。また、A、B、C、Dは、それぞれ、撮像素子3の各画素内の光電変換部A、B、C、Dの蓄積期間を示している。光電変換部A、B、C、Dの電荷蓄積期間ta秒は、制御部7によって、適正露出となるよう算出された時間である。ここで、本第1の実施形態の撮像装置では、図2に示すように、マイクロレンズを共有する4個の光電変換部A、B、C、Dの出力を加算して、1画素分の信号を生成する。従って、ta秒の蓄積によって得られる、光電変換部A、B、C、D1個あたりの信号レベルをL/4とすると、1画素の信号レベルとしては、Lの信号レベルが得られる。
【0022】
ここで、制御部7によって、適正露出となるよう算出された電荷蓄積時間ta秒が、動画像の1フレーム期間tf秒よりも短い場合、1画素内の各光電変換部A、B、C、Dの蓄積開始、読み出し開始の時刻を、それぞれ所定の時間ずらし、順次蓄積を行う。また、1画素内の各光電変換部A、B、C、Dの電荷蓄積期間が互いに等しくなるように駆動タイミングを制御する。なお、光電変換部に蓄積されている電荷をリセットすることにより、読み出し開始の時刻を制御することができる。従って、各フレーム期間内(周期内)において、光電変換部A、B、C、Dの電荷がリセットされた時刻から、蓄積された電荷の読み出し時刻までが、電荷蓄積時間taとなる。
【0023】
具体的には、図3に示すように、各画素の光電変換部Aでは、VDの立下りと同時刻のt0で蓄積を開始し、そこからta秒間電荷蓄積を行って、時刻t4で読み出しを開始する。また、光電変換部Bでは、光電変換部Aの蓄積開始時刻t0からΔt秒後の時刻t1で蓄積を開始し、そこからta秒間電荷蓄積を行って、時刻t5で読み出しを開始する。時刻t5は、光電変換部Aの読み出し開始時刻t4からΔt秒後となる。同様に、光電変換部Cでは、光電変換部Bの蓄積開始時刻t1からΔt秒後の時刻t2で蓄積を開始し、そこからta秒間電荷蓄積を行って、時刻t6で読み出しを開始する。時刻t6は、光電変換部Bの読み出し開始時刻t5からΔt秒後となる。そして光電変換部Dでは、光電変換部Cの蓄積開始時刻t2からΔt秒後の時刻t3で蓄積を開始し、そこからta秒間電荷蓄積を行って、時刻t7で読み出しを開始する。時刻t7は、光電変換部Cの読み出し開始時刻t6からΔt秒後となる。
【0024】
このように電荷蓄積を制御すると、各画素の各光電変換部A、B、C、Dの電荷蓄積時間は、それぞれta秒であるが、光電変換部Aの蓄積開始時刻t0から、光電変換部Dの読み出し開始時刻t7までの期間は、tm秒となる(ta<tm)。
【0025】
以上のような駆動制御を行い、1画素内の各光電変換部A、B、C、Dから順次読み出された信号を加算して1画素分の信号を取得することは、ta秒の蓄積で得られる信号レベルを、ta秒よりも長いtm秒かけて取得することであると言える。
【0026】
すなわち、適正露出を得るために設定された電荷蓄積時間が、動画像の1フレーム期間よりも短く、動解像度の低下が懸念される場合に、設定された電荷蓄積時間よりも見かけ上長い電荷蓄積時間で、所望の露出レベルを得ることができる。従って、動解像度の低下を防ぐことができる。
【0027】
次に、第1の実施形態の撮像装置における、被写体輝度に応じた露出制御の一例を、図5の制御線図と、図3及び図4の駆動タイミングチャートを用いて説明する。
【0028】
なお、第1の実施形態の撮像装置において、露出は、絞り2の絞り値と、撮像素子3における電荷蓄積時間との組み合わせで制御される。以下に示す例では、動画像の1フレーム期間tfは1/60秒、動解像度の低下が許容できる限度の電荷蓄積時間は1/500秒以下、また、絞りについては、F値がF4よりも大きくなると、回折による小絞りボケで、解像度低下が発生するものとする。
【0029】
図5において、500は、被写体輝度に対する電荷蓄積時間の制御特性、501は、被写体輝度に対する絞りの制御特性を示している。
【0030】
図5において、被写体輝度がL0までは、電荷蓄積時間を1/60秒に固定し、絞りを、開放からF4までの範囲で、被写体輝度に応じて制御することにより、撮像素子への入射光量を調整する。このときの撮像素子3の駆動タイミングを、図4(a)に示す。図4(a)において、1画素内の光電変換部A、B、C、Dにおいて、蓄積開始と読み出し開始のタイミングを同一とし、それぞれ、電荷蓄積時間taが1/60秒となるように駆動を制御する。
【0031】
次に、被写体輝度がL0を超えたら、小絞りボケを回避するために、絞りはF4に固定し、電荷蓄積時間を制御することにより、撮像素子3への入射光量を調整する。
【0032】
ここで、被写体輝度がL0からL1まで、すなわち、電荷蓄積時間SSが、1/60(秒)>SS>1/500(秒)である場合の、撮像素子3の駆動タイミングを、図4(b)に示す。図4(b)においても、1画素内の光電変換部A、B、C、Dにおいて、電荷蓄積開始と読み出し開始のタイミングを同一とし、それぞれ、電荷蓄積時間taが、適正露出を得るために決定された時間となるよう、駆動を制御する。被写体輝度がL0からL1までの範囲では、適正露出を得るための電荷蓄積時間は、出力映像の1フレーム期間tfよりも短くなる。そのため、図4(b)に示すように、1フレーム期間tf内で、蓄積されない期間が発生してしまうが、ここでは、1/60秒のフレーム期間に対して、電荷蓄積時間が1/500秒程度までであれば、動解像度の低下は許容できるので問題ない。
【0033】
また、被写体輝度がL1からL2までの場合には、適正露出を得るために定められた電荷蓄積時間SSが、1/500(秒)≧SS>1/2000(秒)となり、動解像度の低下が許容できない電荷蓄積時間で、撮影を行うことになる。
【0034】
そこで、各画素内の光電変換部A、B、C、Dの電荷蓄積開始と読み出し開始のタイミングを、図3を参照して上述したように制御する。すなわち、各光電変換部A、B、C、Dの電荷蓄積時間taは保持したまま、フレーム期間内(周期内)でそれぞれ、互いにΔt秒ずつずらすことで、適正露出を得るために決定された時間となるよう、撮像素子3の駆動を制御する。このとき、Δtは、1画素に含まれる光電変換部の個数nと、適正露出を得るために、制御部7によって決定された電荷蓄積時間taと、動解像度の低下が許容できる電荷蓄積時間tmとを用いて、制御部7で計算される。計算式は以下の式(1)のようになる。
Δt = (tm - ta)/(n-1) …(1)
【0035】
このような駆動制御によって、順次読み出された光電変換部A、B、C、Dからの信号を各画素毎に加算して各画素の信号を取得することにより、動解像度の低下が許容できない短い電荷蓄積時間が設定されても、電荷蓄積時間を見かけ上伸ばすことができる。従って、動解像度の低下を回避することができる。
【0036】
図5に示す制御線図の場合、適正露出を得るために定められた電荷蓄積時間SSが1/500(秒)>SS>1/2000(秒)である場合、見かけ上の電荷蓄積時間は、1/500(秒)とみなすことができる。
【0037】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、適正露出を得るために設定された電荷蓄積時間が短く、動解像度の低下が懸念される場合でも、設定された電荷蓄積時間より、見かけ上長い電荷蓄積時間で、所望の露出レベルを得ることができる。これにより、動解像度の低下を防ぐことができる。
【0038】
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態における撮像装置の概略構成を示すブロック図である。図1を参照して上述した第1の実施形態における撮像装置との違いは、第2の実施形態では位相差検出部10が追加されていることであり、撮像処理と、位相差検出部10を用いた焦点検出処理とを同時に行う。それ以外の構成及び、撮像素子3の各画素における複数の光電変換部の電荷蓄積の制御は、図1〜図5を参照して説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0039】
次に、本第2の実施形態の撮像装置の動作の概要を説明する。撮像レンズ1、絞り2を介して、撮像素子3に入射した光は、撮像素子3内の光電変換部A、B、C、Dで電荷に変換され、それぞれ、電荷蓄積、読み出しが行われる。この時、撮像素子3においては、制御部7からの制御信号に基づいて適正露出が得られるよう、被写体輝度に応じて上述したようにして各画素の各光電変換部A、B、C、Dでの駆動が独立に制御される。
【0040】
撮像素子3から、各画素の光電変換部A、B、C、Dからそれぞれ出力されたアナログ信号は、A/D変換器4A〜4Dでデジタル信号に変換される。そして、A/D変換器4A〜4Dから出力されるデジタル信号は、画素値合成部5と位相差検出部10にそれぞれ入力される。
【0041】
画素値合成部5より後段で行われる処理は、上述した第1の実施形態で行われる処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0042】
一方、位相差検出部10では、A/D変換器4A〜4Dから出力されたデジタル信号から、焦点調節のための位相差検出処理を行う。ここで、位相差検出処理について図7、図Gを用いて説明する。
【0043】
図7は、図2に示すA−A’の断面を模式的に示したものである。701は、像側から見た、撮像レンズ1の射出瞳を示し、704、705はそれぞれマイクロレンズ21によって射出瞳位置に投影された光電変換部A、Bの射出瞳を示している。光電変換部Aへは、射出瞳705を通る光束703が入るように設計されており、逆に、光電変換部Bへは、射出瞳704を通る光束702が入るように設計される。なお、撮像素子3を構成する他の画素部についても同様に設計されており、1画素内の光電変換部Aでは、撮像レンズ1の射出瞳701内の左側手前の領域704で見た像が得られる。同様に、1画素内の光電変換部Bでは、撮像レンズ1の射出瞳701内の右側手前の領域705で見た像が得られる。
【0044】
なお、図7では、光電変換部A、Bについてのみ説明しているが、光電変換部C、Dが図7の手前側に存在している。そして、撮像レンズ1の射出瞳701の内、不図示の左側奥の領域を通る光束が光電変換部Dに、また、右側奥の領域を通る光束が光電変換部Cに入射する。
【0045】
いま、光束702によって撮像素子3上で得られる画像をA像、光束703によって撮像素子3上で得られる画像をB像とすると、A像、B像は、それぞれ、撮像レンズ1(結像光学系)の異なる瞳領域を通過した光束による像といえる。
【0046】
ここで、撮像レンズ1が被写体に対して合焦している場合、異なる瞳領域に対応した、2つ像の相関は高い。一方、撮像レンズ1が合焦していない場合、異なる瞳領域に対応した、2つの像の相関は低い。そこで、本第2の実施形態では、異なる瞳領域を通過した2つの像の相関に基づいて、焦点調整を行う。
【0047】
例えば、位相差検出部10では、A/D変換器4A、4Bの出力から出力される、光電変換部Aに対応したA像と、光電変換部Bに対応したB像を、不図示の内部メモリに格納し、A像とB像の相関演算を行って、2つの像の像間隔及び位置関係を求める。
【0048】
A像とB像との関係は、例えば、図8のようになり、802はA像を、801はB像を示している。図8(a)は前ピン状態、図8(b)は後ピン状態、図8(c)は合焦状態を示している。A像とB像の画素位置の位置関係と、A像とB像の像間隔803に基づいて、現在の撮像レンズ1が、合焦状態なのか、非合焦状態なのか、また、非合焦状態の場合には、どのくらい前ピンなのか、後ピンなのかを検出する。
【0049】
ここで、本第2の実施形態における撮像装置では、測光部6の結果に基づき、露出調整を行うために、撮像素子3の各画素の光電変換部A、B、C、Dの駆動タイミングを、ずらしている場合がある。したがって、位相差検出部10において、異なる瞳領域を通過した2つの像の相関演算を行う際に、光電変換部の駆動タイミングのずれを考慮して、相関演算を行う。例えば、位相差検出部10では、2つの画像の差分が、所定の閾値THよりも小さい場合に、相関があると判断する。そして、制御部7では、位相差検出部10での、相関演算のための閾値THを、光電変換部A、B、C、Dの駆動タイミングのずれ量Δt秒に比例して、大きくするというような制御を行う。
【0050】
なお、上述した説明においては、1画素を構成する複数個の光電変換部のうち、水平方向に隣接したA、Bを用いて、位相差検出を行う場合について説明したが、使用する光電変換部A、B、C、Dの組み合わせは、これ以外のものでも構わない。
【0051】
以上説明したように、本第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ると共に、位相差検出方式の焦点調節を行うことができる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置及びその制御方法に関し、更に詳しくは、光電変換部が複数に分割された画素が2次元状に配置された撮像素子を有する撮像装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撮像装置では、例えば、図9に示すような制御線図に基づいて、自動露出制御が行われている。図9において、Open、F4およびF8は絞りの開口径を示し、Openでは絞りの開口径が最大となり、F値の値が大きくなるほど絞りの開口径が小さくなる。また、1/60、1/500および1/2000はシャッタースピードを示しており、値が小さくなるほど電荷蓄積時間が短くなる。図9では、被写体輝度が高い場合には、シャッタースピードを上げて電荷蓄積時間を短くしたり、絞りを絞ることにより、センサへの入射光量を抑えている。
【0003】
ここで、近年の撮像素子の小型化により、回折による小絞りボケが顕著であるため、高輝度側の露出制御を、なるべく、電荷蓄積時間の制御によって調整したいという要望がある。しかし、動画撮影時に周期的に画像信号を出力する場合、図10に示すように、各画素の電荷蓄積時間taを短くしていくと、各周期tfにおいて蓄積が行われない期間tbが長くなってしまい、特に、動きのある被写体を撮影したときに、動解像度が低下する。
【0004】
そこで、特許文献1に記載の従来技術では、高輝度被写体を撮影しているときに、短秒蓄積を行った後、LCDシャッタを調整して長秒蓄積を行い、短秒蓄積の信号と長秒蓄積の信号を合成し、非蓄積期間ができないようにしている。
【0005】
また、特許文献2では、被写体輝度が高くなってきたときに、NDフィルタで露出を制御してから、シャッタースピードを制御するようにすることで、高輝度被写体撮影時の動解像度の低下を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平02−241281号公報
【特許文献2】特開2006−135479号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1に記載の従来技術では、短秒蓄積で読み出された信号と長秒蓄積で読み出された信号とで、蓄積期間中の動きブレ量に差があるため、合成後の画像が、二重像のように見える場合がある。
【0008】
また、特許文献2に記載の従来技術では、NDフィルタが必要であり、撮像装置の製造コスト増、及び、撮像装置の本体サイズが大きくなるという問題がある。
【0009】
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、被写体輝度が高く、電荷蓄積時間による露出制御時に、電荷蓄積時間が短いことに起因する動解像度の低下を緩和することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、複数の光電変換部とマイクロレンズとをそれぞれ有する複数の画素を含み、被写体を撮像して、前記複数の光電変換部それぞれから独立に、周期的に画像信号を出力することが可能な撮像素子と、被写体の輝度を測光する測光手段と、前記測光手段により測光された前記被写体の輝度に基づいて、前記撮像素子における電荷蓄積時間を決定する決定手段と、前記決定手段により決定された電荷蓄積時間が、予め設定された電荷蓄積時間よりも短い場合に、前記撮像素子が画像信号を出力する前記周期内で、前記撮像素子の各画素における前記複数の光電変換部の前記電荷蓄積時間を互いにずらすように制御する制御手段と、前記複数の光電変換部からそれぞれ独立に出力された画像信号を、各画素毎に加算する合成手段とを有する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、被写体輝度が高く、電荷蓄積時間による露出制御時に、電荷蓄積時間が短いことに起因する動解像度の低下を緩和することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態における撮像装置の概略構成を示すブロック図。
【図2】第1の実施形態における撮像素子の一部画素の概略構成を示す平面図。
【図3】第1の実施形態における各画素の複数の光電変換部の駆動タイミングをずらす場合の撮像素子の駆動タイミングを示すタイミングチャート。
【図4】第1の実施形態における各画素の複数の光電変換部の駆動タイミングが共通の場合の撮像素子の駆動タイミングを示すタイミングチャート。
【図5】第1の実施形態における被写体輝度に応じた露出制御を説明するプログラム線図。
【図6】第2の実施形態における撮像装置の概略構成を示すブロック図。
【図7】第2の実施形態における撮像素子の断面図並びに光学系の射出瞳を示した概略図。
【図8】第2の実施形態における画像信号と焦点状態との関係を示す図。
【図9】従来の露出制御を説明するプログラム線図。
【図10】従来の高速シャッターによる露出制御の課題を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態における撮像装置の概略構成を示すブロック図である。図1において、1は撮像レンズ、2は絞り、3は撮像素子、4A〜4DはA/D変換器、5は、A/D変換器4A〜4Dから出力されるデジタル信号を合成し、1画素に相当する信号を生成する画素値合成部である。また、6は露出制御のための測光部、7は撮像装置全体を制御する制御部、8は画素値合成部5の出力信号に対して、カメラ信号処理を行うカメラ信号処理部、9は表示・記録部である。
【0015】
図2は、本第1の実施形態における撮像素子3を構成する多数の画素の内、2×2画素分の概略構成を示す平面図である。撮像素子3は、1画素内に複数個の光電変換部を有し、20は1画素を示す領域、21はマイクロレンズ、A、B、C、Dは光電変換部を示す。なお、図2では、マイクロレンズと光電変換部以外の要素については、省略している。また、図1の信号線に付された記号A、B、C、Dは、光電変換部A、B、C、Dにそれぞれ対応している。
【0016】
また、本第1の実施形態における撮像素子3では、1画素内の各光電変換部A、B、C、Dにおいて、電荷蓄積と読み出しを独立に制御できる特徴をもっている。本第1の実施形態では、このような撮像素子3の特徴を利用し、露出制御のために、電荷蓄積時間を短縮せざるを得ない場合でも、後述するようにして動解像度を低下させない撮像動作を実現する。
【0017】
次に、本第1の実施形態の撮像装置の動作について説明する。撮像レンズ1、絞り2を介して、撮像素子3に入射した光は、撮像素子3内の光電変換部A、B、C、Dで電荷に変換され、それぞれ、電荷蓄積、読み出し制御が行われる。そして、撮像素子3内の各光電変換部A、B、C、Dから読み出されたアナログ信号は、A/D変換器4A〜4Dに出力され、それぞれデジタル信号に変換される。
【0018】
その後、A/D変換器4A〜4Dにより変換されたデジタル信号を、画素値合成部5で、画素毎に加算することで、1画素分の画素値が出力される。画素値合成部5の出力信号は、順次、カメラ信号処理部8に入力されて、輝度、色差信号の生成、輪郭補償、ガンマ処理等の処理が行われる。カメラ信号処理部8の出力は、表示・記録部9を介して、不図示の本体内の表示パネル、記憶媒体にそれぞれ表示、記録される。
【0019】
また、画素値合成部5から出力される信号は、測光部6にも入力され、測光部6は撮影画像の信号レベルを解析し、解析結果を制御部7に送出する。制御部7では、測光部6の結果に基づいて、絞り2及び撮像素子3を制御し、撮像素子3に入射される光量が適正となるよう、露出調整を行う。
【0020】
次に、撮像素子3の駆動制御と、画素値合成部5による画素値合成処理によって、露出レベルは変えずに、擬似的に長い蓄積時間を実現し、高速シャッター撮影時の動解像度の低下(動画のパラパラ感)を緩和する方法について、図3を用いて説明する。
【0021】
図3において、VDの立下りから次の立下りまでの期間は、動画像の1フレーム期間であり、tf秒であるものとする。撮像素子3は、動画像撮影時には、この1フレーム期間毎に周期的に画像信号を出力することが可能である。また、A、B、C、Dは、それぞれ、撮像素子3の各画素内の光電変換部A、B、C、Dの蓄積期間を示している。光電変換部A、B、C、Dの電荷蓄積期間ta秒は、制御部7によって、適正露出となるよう算出された時間である。ここで、本第1の実施形態の撮像装置では、図2に示すように、マイクロレンズを共有する4個の光電変換部A、B、C、Dの出力を加算して、1画素分の信号を生成する。従って、ta秒の蓄積によって得られる、光電変換部A、B、C、D1個あたりの信号レベルをL/4とすると、1画素の信号レベルとしては、Lの信号レベルが得られる。
【0022】
ここで、制御部7によって、適正露出となるよう算出された電荷蓄積時間ta秒が、動画像の1フレーム期間tf秒よりも短い場合、1画素内の各光電変換部A、B、C、Dの蓄積開始、読み出し開始の時刻を、それぞれ所定の時間ずらし、順次蓄積を行う。また、1画素内の各光電変換部A、B、C、Dの電荷蓄積期間が互いに等しくなるように駆動タイミングを制御する。なお、光電変換部に蓄積されている電荷をリセットすることにより、読み出し開始の時刻を制御することができる。従って、各フレーム期間内(周期内)において、光電変換部A、B、C、Dの電荷がリセットされた時刻から、蓄積された電荷の読み出し時刻までが、電荷蓄積時間taとなる。
【0023】
具体的には、図3に示すように、各画素の光電変換部Aでは、VDの立下りと同時刻のt0で蓄積を開始し、そこからta秒間電荷蓄積を行って、時刻t4で読み出しを開始する。また、光電変換部Bでは、光電変換部Aの蓄積開始時刻t0からΔt秒後の時刻t1で蓄積を開始し、そこからta秒間電荷蓄積を行って、時刻t5で読み出しを開始する。時刻t5は、光電変換部Aの読み出し開始時刻t4からΔt秒後となる。同様に、光電変換部Cでは、光電変換部Bの蓄積開始時刻t1からΔt秒後の時刻t2で蓄積を開始し、そこからta秒間電荷蓄積を行って、時刻t6で読み出しを開始する。時刻t6は、光電変換部Bの読み出し開始時刻t5からΔt秒後となる。そして光電変換部Dでは、光電変換部Cの蓄積開始時刻t2からΔt秒後の時刻t3で蓄積を開始し、そこからta秒間電荷蓄積を行って、時刻t7で読み出しを開始する。時刻t7は、光電変換部Cの読み出し開始時刻t6からΔt秒後となる。
【0024】
このように電荷蓄積を制御すると、各画素の各光電変換部A、B、C、Dの電荷蓄積時間は、それぞれta秒であるが、光電変換部Aの蓄積開始時刻t0から、光電変換部Dの読み出し開始時刻t7までの期間は、tm秒となる(ta<tm)。
【0025】
以上のような駆動制御を行い、1画素内の各光電変換部A、B、C、Dから順次読み出された信号を加算して1画素分の信号を取得することは、ta秒の蓄積で得られる信号レベルを、ta秒よりも長いtm秒かけて取得することであると言える。
【0026】
すなわち、適正露出を得るために設定された電荷蓄積時間が、動画像の1フレーム期間よりも短く、動解像度の低下が懸念される場合に、設定された電荷蓄積時間よりも見かけ上長い電荷蓄積時間で、所望の露出レベルを得ることができる。従って、動解像度の低下を防ぐことができる。
【0027】
次に、第1の実施形態の撮像装置における、被写体輝度に応じた露出制御の一例を、図5の制御線図と、図3及び図4の駆動タイミングチャートを用いて説明する。
【0028】
なお、第1の実施形態の撮像装置において、露出は、絞り2の絞り値と、撮像素子3における電荷蓄積時間との組み合わせで制御される。以下に示す例では、動画像の1フレーム期間tfは1/60秒、動解像度の低下が許容できる限度の電荷蓄積時間は1/500秒以下、また、絞りについては、F値がF4よりも大きくなると、回折による小絞りボケで、解像度低下が発生するものとする。
【0029】
図5において、500は、被写体輝度に対する電荷蓄積時間の制御特性、501は、被写体輝度に対する絞りの制御特性を示している。
【0030】
図5において、被写体輝度がL0までは、電荷蓄積時間を1/60秒に固定し、絞りを、開放からF4までの範囲で、被写体輝度に応じて制御することにより、撮像素子への入射光量を調整する。このときの撮像素子3の駆動タイミングを、図4(a)に示す。図4(a)において、1画素内の光電変換部A、B、C、Dにおいて、蓄積開始と読み出し開始のタイミングを同一とし、それぞれ、電荷蓄積時間taが1/60秒となるように駆動を制御する。
【0031】
次に、被写体輝度がL0を超えたら、小絞りボケを回避するために、絞りはF4に固定し、電荷蓄積時間を制御することにより、撮像素子3への入射光量を調整する。
【0032】
ここで、被写体輝度がL0からL1まで、すなわち、電荷蓄積時間SSが、1/60(秒)>SS>1/500(秒)である場合の、撮像素子3の駆動タイミングを、図4(b)に示す。図4(b)においても、1画素内の光電変換部A、B、C、Dにおいて、電荷蓄積開始と読み出し開始のタイミングを同一とし、それぞれ、電荷蓄積時間taが、適正露出を得るために決定された時間となるよう、駆動を制御する。被写体輝度がL0からL1までの範囲では、適正露出を得るための電荷蓄積時間は、出力映像の1フレーム期間tfよりも短くなる。そのため、図4(b)に示すように、1フレーム期間tf内で、蓄積されない期間が発生してしまうが、ここでは、1/60秒のフレーム期間に対して、電荷蓄積時間が1/500秒程度までであれば、動解像度の低下は許容できるので問題ない。
【0033】
また、被写体輝度がL1からL2までの場合には、適正露出を得るために定められた電荷蓄積時間SSが、1/500(秒)≧SS>1/2000(秒)となり、動解像度の低下が許容できない電荷蓄積時間で、撮影を行うことになる。
【0034】
そこで、各画素内の光電変換部A、B、C、Dの電荷蓄積開始と読み出し開始のタイミングを、図3を参照して上述したように制御する。すなわち、各光電変換部A、B、C、Dの電荷蓄積時間taは保持したまま、フレーム期間内(周期内)でそれぞれ、互いにΔt秒ずつずらすことで、適正露出を得るために決定された時間となるよう、撮像素子3の駆動を制御する。このとき、Δtは、1画素に含まれる光電変換部の個数nと、適正露出を得るために、制御部7によって決定された電荷蓄積時間taと、動解像度の低下が許容できる電荷蓄積時間tmとを用いて、制御部7で計算される。計算式は以下の式(1)のようになる。
Δt = (tm - ta)/(n-1) …(1)
【0035】
このような駆動制御によって、順次読み出された光電変換部A、B、C、Dからの信号を各画素毎に加算して各画素の信号を取得することにより、動解像度の低下が許容できない短い電荷蓄積時間が設定されても、電荷蓄積時間を見かけ上伸ばすことができる。従って、動解像度の低下を回避することができる。
【0036】
図5に示す制御線図の場合、適正露出を得るために定められた電荷蓄積時間SSが1/500(秒)>SS>1/2000(秒)である場合、見かけ上の電荷蓄積時間は、1/500(秒)とみなすことができる。
【0037】
以上説明したように、本第1の実施形態によれば、適正露出を得るために設定された電荷蓄積時間が短く、動解像度の低下が懸念される場合でも、設定された電荷蓄積時間より、見かけ上長い電荷蓄積時間で、所望の露出レベルを得ることができる。これにより、動解像度の低下を防ぐことができる。
【0038】
<第2の実施形態>
図6は、本発明の第2の実施形態における撮像装置の概略構成を示すブロック図である。図1を参照して上述した第1の実施形態における撮像装置との違いは、第2の実施形態では位相差検出部10が追加されていることであり、撮像処理と、位相差検出部10を用いた焦点検出処理とを同時に行う。それ以外の構成及び、撮像素子3の各画素における複数の光電変換部の電荷蓄積の制御は、図1〜図5を参照して説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0039】
次に、本第2の実施形態の撮像装置の動作の概要を説明する。撮像レンズ1、絞り2を介して、撮像素子3に入射した光は、撮像素子3内の光電変換部A、B、C、Dで電荷に変換され、それぞれ、電荷蓄積、読み出しが行われる。この時、撮像素子3においては、制御部7からの制御信号に基づいて適正露出が得られるよう、被写体輝度に応じて上述したようにして各画素の各光電変換部A、B、C、Dでの駆動が独立に制御される。
【0040】
撮像素子3から、各画素の光電変換部A、B、C、Dからそれぞれ出力されたアナログ信号は、A/D変換器4A〜4Dでデジタル信号に変換される。そして、A/D変換器4A〜4Dから出力されるデジタル信号は、画素値合成部5と位相差検出部10にそれぞれ入力される。
【0041】
画素値合成部5より後段で行われる処理は、上述した第1の実施形態で行われる処理と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0042】
一方、位相差検出部10では、A/D変換器4A〜4Dから出力されたデジタル信号から、焦点調節のための位相差検出処理を行う。ここで、位相差検出処理について図7、図Gを用いて説明する。
【0043】
図7は、図2に示すA−A’の断面を模式的に示したものである。701は、像側から見た、撮像レンズ1の射出瞳を示し、704、705はそれぞれマイクロレンズ21によって射出瞳位置に投影された光電変換部A、Bの射出瞳を示している。光電変換部Aへは、射出瞳705を通る光束703が入るように設計されており、逆に、光電変換部Bへは、射出瞳704を通る光束702が入るように設計される。なお、撮像素子3を構成する他の画素部についても同様に設計されており、1画素内の光電変換部Aでは、撮像レンズ1の射出瞳701内の左側手前の領域704で見た像が得られる。同様に、1画素内の光電変換部Bでは、撮像レンズ1の射出瞳701内の右側手前の領域705で見た像が得られる。
【0044】
なお、図7では、光電変換部A、Bについてのみ説明しているが、光電変換部C、Dが図7の手前側に存在している。そして、撮像レンズ1の射出瞳701の内、不図示の左側奥の領域を通る光束が光電変換部Dに、また、右側奥の領域を通る光束が光電変換部Cに入射する。
【0045】
いま、光束702によって撮像素子3上で得られる画像をA像、光束703によって撮像素子3上で得られる画像をB像とすると、A像、B像は、それぞれ、撮像レンズ1(結像光学系)の異なる瞳領域を通過した光束による像といえる。
【0046】
ここで、撮像レンズ1が被写体に対して合焦している場合、異なる瞳領域に対応した、2つ像の相関は高い。一方、撮像レンズ1が合焦していない場合、異なる瞳領域に対応した、2つの像の相関は低い。そこで、本第2の実施形態では、異なる瞳領域を通過した2つの像の相関に基づいて、焦点調整を行う。
【0047】
例えば、位相差検出部10では、A/D変換器4A、4Bの出力から出力される、光電変換部Aに対応したA像と、光電変換部Bに対応したB像を、不図示の内部メモリに格納し、A像とB像の相関演算を行って、2つの像の像間隔及び位置関係を求める。
【0048】
A像とB像との関係は、例えば、図8のようになり、802はA像を、801はB像を示している。図8(a)は前ピン状態、図8(b)は後ピン状態、図8(c)は合焦状態を示している。A像とB像の画素位置の位置関係と、A像とB像の像間隔803に基づいて、現在の撮像レンズ1が、合焦状態なのか、非合焦状態なのか、また、非合焦状態の場合には、どのくらい前ピンなのか、後ピンなのかを検出する。
【0049】
ここで、本第2の実施形態における撮像装置では、測光部6の結果に基づき、露出調整を行うために、撮像素子3の各画素の光電変換部A、B、C、Dの駆動タイミングを、ずらしている場合がある。したがって、位相差検出部10において、異なる瞳領域を通過した2つの像の相関演算を行う際に、光電変換部の駆動タイミングのずれを考慮して、相関演算を行う。例えば、位相差検出部10では、2つの画像の差分が、所定の閾値THよりも小さい場合に、相関があると判断する。そして、制御部7では、位相差検出部10での、相関演算のための閾値THを、光電変換部A、B、C、Dの駆動タイミングのずれ量Δt秒に比例して、大きくするというような制御を行う。
【0050】
なお、上述した説明においては、1画素を構成する複数個の光電変換部のうち、水平方向に隣接したA、Bを用いて、位相差検出を行う場合について説明したが、使用する光電変換部A、B、C、Dの組み合わせは、これ以外のものでも構わない。
【0051】
以上説明したように、本第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を得ると共に、位相差検出方式の焦点調節を行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の光電変換部とマイクロレンズとをそれぞれ有する複数の画素を含み、被写体を撮像して、前記複数の光電変換部それぞれから独立に、周期的に画像信号を出力することが可能な撮像素子と、
被写体の輝度を測光する測光手段と、
前記測光手段により測光された前記被写体の輝度に基づいて、前記撮像素子における電荷蓄積時間を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された電荷蓄積時間が、予め設定された電荷蓄積時間よりも短い場合に、前記撮像素子が画像信号を出力する前記周期内で、前記撮像素子の各画素における前記複数の光電変換部の前記電荷蓄積時間を互いにずらすように制御する制御手段と、
前記複数の光電変換部からそれぞれ独立に出力された画像信号を、各画素毎に加算する合成手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記複数の光電変換部それぞれの電荷蓄積開始と電荷の読み出し開始のタイミングを互いにずらすことにより、前記電荷蓄積時間を互いにずらすように制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記決定手段により決定された電荷蓄積時間が、前記予め設定された電荷蓄積時間より短くない場合に、前記制御手段は、前記撮像素子の各画素における前記複数の光電変換部の前記電荷蓄積時間が前記周期内で同じタイミングとなるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記予め設定された電荷蓄積時間は、前記周期において、動解像度の低下が許容できる限度の電荷蓄積時間であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記複数の光電変換部の内の1つの光電変換部から得られる画像信号と、前記複数の光電変換部の内の別の1つの光電変換部から得られる画像信号との位相差を求める位相差検出手段と、
前記位相差検出手段により求めた位相差が予め決められた閾値よりも小さい場合に、合焦状態であると判断する判断手段とを有し、
前記制御手段が前記閾値を設定し、前記制御手段によりずらされた前記電荷蓄積時間のずれ量が大きい程、より大きい値となるように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
複数の光電変換部とマイクロレンズとをそれぞれ有する複数の画素を含み、被写体を撮像して、前記複数の光電変換部それぞれから独立に、周期的に画像信号を出力すること可能な撮像素子を有する撮像装置の制御方法であって、
測光手段が、被写体の輝度を測光する測光工程と、
決定手段が、前記測光工程で測光された前記被写体の輝度に基づいて、前記撮像素子における電荷蓄積時間を決定する決定工程と、
制御手段が、前記決定工程で決定された電荷蓄積時間が、予め設定された電荷蓄積時間よりも短い場合に、前記撮像素子が画像信号を出力する前記周期内で、前記撮像素子の各画素における前記複数の光電変換部の前記電荷蓄積時間を互いにずらすように制御する制御工程と、
合成手段が、前記複数の光電変換部からそれぞれ独立に出力された画像信号を、各画素毎に加算する合成工程と
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項1】
複数の光電変換部とマイクロレンズとをそれぞれ有する複数の画素を含み、被写体を撮像して、前記複数の光電変換部それぞれから独立に、周期的に画像信号を出力することが可能な撮像素子と、
被写体の輝度を測光する測光手段と、
前記測光手段により測光された前記被写体の輝度に基づいて、前記撮像素子における電荷蓄積時間を決定する決定手段と、
前記決定手段により決定された電荷蓄積時間が、予め設定された電荷蓄積時間よりも短い場合に、前記撮像素子が画像信号を出力する前記周期内で、前記撮像素子の各画素における前記複数の光電変換部の前記電荷蓄積時間を互いにずらすように制御する制御手段と、
前記複数の光電変換部からそれぞれ独立に出力された画像信号を、各画素毎に加算する合成手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記複数の光電変換部それぞれの電荷蓄積開始と電荷の読み出し開始のタイミングを互いにずらすことにより、前記電荷蓄積時間を互いにずらすように制御することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記決定手段により決定された電荷蓄積時間が、前記予め設定された電荷蓄積時間より短くない場合に、前記制御手段は、前記撮像素子の各画素における前記複数の光電変換部の前記電荷蓄積時間が前記周期内で同じタイミングとなるように制御することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記予め設定された電荷蓄積時間は、前記周期において、動解像度の低下が許容できる限度の電荷蓄積時間であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記複数の光電変換部の内の1つの光電変換部から得られる画像信号と、前記複数の光電変換部の内の別の1つの光電変換部から得られる画像信号との位相差を求める位相差検出手段と、
前記位相差検出手段により求めた位相差が予め決められた閾値よりも小さい場合に、合焦状態であると判断する判断手段とを有し、
前記制御手段が前記閾値を設定し、前記制御手段によりずらされた前記電荷蓄積時間のずれ量が大きい程、より大きい値となるように制御することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
複数の光電変換部とマイクロレンズとをそれぞれ有する複数の画素を含み、被写体を撮像して、前記複数の光電変換部それぞれから独立に、周期的に画像信号を出力すること可能な撮像素子を有する撮像装置の制御方法であって、
測光手段が、被写体の輝度を測光する測光工程と、
決定手段が、前記測光工程で測光された前記被写体の輝度に基づいて、前記撮像素子における電荷蓄積時間を決定する決定工程と、
制御手段が、前記決定工程で決定された電荷蓄積時間が、予め設定された電荷蓄積時間よりも短い場合に、前記撮像素子が画像信号を出力する前記周期内で、前記撮像素子の各画素における前記複数の光電変換部の前記電荷蓄積時間を互いにずらすように制御する制御工程と、
合成手段が、前記複数の光電変換部からそれぞれ独立に出力された画像信号を、各画素毎に加算する合成工程と
を有することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2013−16999(P2013−16999A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147738(P2011−147738)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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