撮像装置及びプログラム
【課題】観察者の好みに応じて、被検体を観察するために適した照明光の強度分布等を導き出す撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、被検体を撮像する撮像部80と、撮像部で撮像された画像の特徴量を出力する解析部202と、画像特徴量を変数とする画像を評価する評価関数を記憶する記憶部206と、評価関数の値に基づいて特定された画像を含む二以上の画像から一つの画像を選択する選択部203と、選択部で選択された一つの画像が特定された画像と異なる場合に、一つの画像に基づいて評価関数を変更する変更部204と、を備える。
【解決手段】撮像装置は、被検体を撮像する撮像部80と、撮像部で撮像された画像の特徴量を出力する解析部202と、画像特徴量を変数とする画像を評価する評価関数を記憶する記憶部206と、評価関数の値に基づいて特定された画像を含む二以上の画像から一つの画像を選択する選択部203と、選択部で選択された一つの画像が特定された画像と異なる場合に、一つの画像に基づいて評価関数を変更する変更部204と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察に適した照明光の強度分布を導き出す撮像装置及びプログラムに関する。特に観察者の好みに応じた画像が取得できる撮像装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、明視野顕微鏡では、照明光の強度分布の調整を円形の絞りを可変させて調整する。また、観察者の判断で絞りの形状を選択して使用することもあった。位相差顕微鏡では、一般にリング絞り及び位相リングが照明光の強度分布を形成している。
【0003】
照明光の強度分布は被検体の観察像に大きな影響を及ぼすため、円形の絞り、リング絞り及び位相リング等に改良を加えて被検体の観察画像をより良いものにするような工夫がされている。例えば、特許文献1では位相リングのリング状に設けられたリング領域を取り囲むように変調部を設け、変調部と変調部以外の領域との透過軸の方向が異なるように形成することによりコントラストを連続可変可能な位相差顕微鏡が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−237109
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような顕微鏡では、絞りの形状がある程度決まっており、照明光の強度分布の調整には制限があった。また、絞りの形状を選ぶ場合も観察者の判断又は経験を元にして選ぶため、必ずしも絞りの形状が観察中の被検体の像を最良の状態で観察できる形状になっているわけではなかった。さらに被検体の像の最良の状態は観察者の好みにより、個々に違いがある。そこで観察者の好みに応じて最良の状態で絞りの形状等を顕微鏡で自動的に設定して、被検体を観察することが困難であった。風景などを撮像するカメラ等においても同様に困難であった。
そこで本発明は、観察者の好みに応じて、被検体を観察するために適した照明光の強度分布等を導き出す撮像装置及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の撮像装置は、被検体を撮像する撮像部と、撮像部で撮像された画像の特徴量を出力する解析部と、画像特徴量を変数とする画像を評価する評価関数を記憶する記憶部と、評価関数の値に基づいて特定された画像を含む二以上の画像から一つの画像を選択する選択部と、選択部で選択された一つの画像が特定された画像と異なる場合に、一つの画像に基づいて評価関数を変更する変更部と、を備える。
【0007】
第2観点のプログラムは、被検体を撮像する撮像部と撮像部に接続されるコンピュータとを含む撮像装置を用いて被検体を撮像するプログラムである。そのプログラムは、コンピュータに、撮像部で撮像された画像の特徴量の出力と、画像特徴量を変数とする画像を評価する評価関数の記憶と、評価関数の値に基づいて特定された画像を含む二以上の画像から一つの画像の選択と、選択部で選択された一つの画像が特定された画像と異なる場合に、一つの画像に基づいて評価関数の変更と、を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被検体の像を観察者の好みに合うようにした撮像装置及びプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】顕微鏡システム100の概略構成図である。
【図2】コンピュータ200の概略構成図である。
【図3】記憶部206に記憶される第1例の評価関数Q(f)及びその概念図である。
【図4】顕微鏡システム100の動作のフローチャートの一例である。
【図5】選択部203が表示部21に複数の被検体の画像を表示した例である。
【図6】(a)は、顕微鏡システム300の概略構成図である。 (b)は、第1空間光変調素子390の平面図である。 (c)は、第2空間光変調素子396の平面図である。
【図7】コンピュータ220の概略構成図である。
【図8】記憶部206に記憶される第2例の評価関数Q(f)及びその概念図である。
【図9】顕微鏡システム300の動作のフローチャートの一例である。
【図10】遺伝的アルゴリズムによる第1空間光変調素子390の透過領域391の例である。
【図11】最適化計算前に観察者の好みを特定するフローチャートである。
【図12】照明光の強度分布を示した例とフーリエ変換した際の空間周波数成分を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態として、絞りの形状を自由に変えることができ明視野顕微鏡を有する顕微鏡システム100について説明する。顕微鏡システム100は、観察中の被検体の像を良い状態で観察するために適した照明光の強度分布を導き出して自動的に照明光の強度分布を調整する。
【0011】
<顕微鏡システム100>
図1は、顕微鏡システム100の概略構成図である。顕微鏡システム100は主に、照明光源30と、照明光学系40と、ステージ50と、結像光学系70と、イメージセンサ80とを有している。顕微鏡システム100はコンピュータ200に接続されている。以下、照明光源30から射出される光束の中心軸をZ軸方向とし、Z軸に垂直で互いに直交する方向をX軸方向及びY軸方向として説明する。
【0012】
照明光源30は、例えば被検体60に白色の照明光を照射する。照明光学系40は、第1コンデンサレンズ41、波長フィルタ44、第1空間光変調素子90及び第2コンデンサレンズ42を備えている。また、結像光学系70は対物レンズ71を備えている。ステージ50は、例えば細胞組織等の未知の構造を有する被検体60を載置してXY軸方向に移動可能である。また、結像光学系70は、被検体60の透過光又は反射光をイメージセンサ80に結像させる。
【0013】
照明光学系40の第1空間光変調素子90は、例えば照明光学系40の中の結像光学系70の瞳の位置に対して共役となる位置に配置される。第1空間光変調素子90は具体的には液晶パネル又はデジタルマイクロミラーディバイス(DMD)などを使用することができる。また、第1空間光変調素子90は自由に形状及び大きさを変化させることができる照明領域91を有しており、照明領域91の大きさ又は形状を変えて、照明光の強度分布を任意に可変させることができる。つまり、第1空間光変調素子90は結像光学系70の瞳の共役位置における照明光の強度分布を可変することができる。一般に第1空間光変調素子90の透過領域91の直径を大きくすると透過光の開口数が上がるため解像度を上げることができる。また波長フィルタ44は、透過する光束の波長を特定の範囲内に制限する。波長フィルタ44には、例えば特定範囲の波長の光のみを透過するバンドパスフィルタが用いられる。波長フィルタ44は脱着が可能であり、複数のそれぞれ異なる波長の光を透過するバンドパスフィルタを用意してその入れ替えを行うことにより波長フィルタ44を透過する光の波長を制御することができる。
【0014】
コンピュータ200はイメージセンサ80で検出される画像信号を受信し、その画像信号を画像処理して、被検体60の二次元画像がモニター等の表示部21に表示させる。またコンピュータ200は画像信号をフーリエ変換し、空間周波数成分を算出する。コンピュータ200が行う計算等については図2を使って後述する。
【0015】
図1では、照明光源30から射出された光が点線で示されている。照明光源30から射出された光LW11は第1コンデンサレンズ41で平行な光LW12に変換される。光LW12は、波長フィルタ44を透過することにより波長の範囲が特定されて第1空間光変調素子90に入射する。第1空間光変調素子90の照明領域91を通過した光LW13は第2コンデンサレンズ42を透過して光LW14になり、ステージ50に向かう。ステージ50を透過した光LW15は結像光学系70を透過して光LW16となり、イメージセンサ80に被検体60の像を形成する。
【0016】
<コンピュータ200の構成>
図2はコンピュータ200の構成を示した概念図である。コンピュータ200は、画像処理部201、フーリエ解析部202、選択部203、変更部204、最適化計算部205、記憶部206、素子変調部208及びフィルタ駆動部209を有している。コンピュータ200には表示部21及びキーボード等の入力部26が接続されている。これらはバスラインBUS等で互いに通信可能である。
【0017】
画像処理部201及びフーリエ解析部202は、イメージセンサ80からの画像信号を受け取る。画像処理部201は、イメージセンサ80からの画像信号を表示部21に表示するために画像処理する。画像処理された画像信号は表示部21に送られ、表示部21で被検体の像が表示される。画像処理された画像信号は記憶部206にも送られる。フーリエ解析部202はイメージセンサ80からの画像信号をフーリエ変換する。そしてフーリエ解析部202は被検体60のフーリエ変換値(空間周波数成分)を解析する。フーリエ変換値は最適化計算部205に送られるとともに、フーリエ変換値を記憶するために記憶部206にも送られる。
【0018】
選択部203は、観察者の好みを特定する。例えば表示部21に同一の被検体60に対して照明光の強度分布を変えた画像もしくは波長フィルタを変えた画像を2以上表示する。そして、観察者は入力部26を使って好ましい画像を1つ特定する。変更部204は、選択部203の結果に基づいて後述する評価関数Q(f)の係数αを変更する。
【0019】
最適化計算部205は、フーリエ解析部202で解析された被検体60のフーリエ変換値と予め記憶部206に記憶されている評価関数Q(f)とを使って被検体60の画像に関する評価を数値で求める。記憶部206は画像処理部201から送られてきた画像信号を記憶し、また評価関数Q(f)を記憶する。さらに、記憶部206は被検体60のフーリエ変換値を記憶する。
【0020】
最適化計算部205は、評価関数Q(f)の結果に基づいて、照明光の強度分布又は適した照明光の波長に関するデータを素子変調部208又はフィルタ駆動部209に送る。素子変調部208は、照明光の強度分布に基づいて第1空間光変調素子90の照明領域91の大きさ又は形状を変える。またフィルタ駆動部209は照明光の波長のデータに基づいて波長フィルタ44が透過する波長領域を変える。
【0021】
<評価関数Q(f):第1例>
図3は、記憶部206に記憶される評価関数Q(f)の第1例である。図3は、例えば評価関数Q(f)は画像のフーリエ変換値を含む式であり、以下に例示される。
Q(f) = α1×f1 + α2×f2
ここで、α1、α2は係数であり、f1、f2は変数(関数)である。
【0022】
変数f1、f2は、例えば被検体の画像のフーリエ変換値FTにフィルタff(ff1、ff2)を乗算した値を規格化した変数である。画像特徴量としてのフーリエ変換値FTは、フーリエ変換して求められた空間周波数成分の絶対値でもよいしフーリエ変換して求められた空間周波数成分を二乗した値でもよい。図3ではフーリエ変換の絶対値を使った変数f1、f2が示されている。
【0023】
フィルタff(ff1、ff2)は、画像の直流成分又は低周波成分を除去するフィルタである。図3ではそれらフィルタffを模式的に示している。ここで黒色領域は画像成分を除去することを示している。フィルタff1は被検体60の画像信号の直流成分を除去し、フィルタff2は被検体60の画像信号の直流成分及び低周波成分を除去している。フィルタff1とフィルタff2は画像信号の高周波成分をどれだけ強調するかが互いに異なっている。図3に示されたフィルタffだけでなく、異なるフィルタffを使用してもよい。
【0024】
変数f1、f2は、画像特徴量としてのフーリエ変換値FTとフィルタffとを乗じた値の面積積分を、フーリエ変換値FTの面積積分Nで除算されている。これにより変数f1、f2が規格化される。評価関数Q(f)はこの変数f1、f2に係数α1、α2を乗算している。係数α1、α2は図2で示された変更部204で変更される。例えば係数α1=1、α2=2である。
【0025】
本実施形態の評価関数Q(f)は、2つの変数f1、f2を使った例である。しかしこれに限られず、さらに別のフィルタffを用意し、3つの変数を使った評価関数で計算するようにしてもよい。
【0026】
<顕微鏡システム100の動作>
図4は顕微鏡システム100の動作を説明したフローチャートの一例である。
ステップS101では、評価関数Q(f)の係数αが初期値に設定される。この初期値は被検体60の画像が万人に好まれる画像が評価関数で高い値になるように設定される。例えば図3に示した係数α1、α2が、α1=1、α2=1と設定される。
【0027】
ステップS102では、第1空間光変調素子90の照明領域91が所定の照明光の強度分布に設定される。例えば、第1空間光変調素子90の照明領域91は全開口の形状である。また、波長フィルタ44は所定の波長フィルタに設定される。波長フィルタ44は例えば400nm〜800nmの可視光を透過する波長フィルタである。
【0028】
ステップS103では、ステップS102で設定された照明光の強度分布又は波長フィルタで被検体60の画像信号がイメージセンサ80で検出される。また、検出された二次元画像は画像処理部201で処理されて表示部21に表示される。なお、表示部21に表示された二次元画像のうち観察者が被検体60の一部領域を選択するようにしてもよい。一部領域は、被検体60の1カ所でもよいし2カ所以上でもよい。観察者は被検体60の観察したい領域を中央に移動させるため、自動的にイメージセンサ80の中央領域を一部領域として選択してもよい。一部領域の設定は、観察者が設定してもよいし、自動で設定されてもよい。
【0029】
ステップS104では、フーリエ解析部202が検出された画像信号をフーリエ変換し、最適化計算部205が、画像特徴量としてのフーリエ変換値FTを含む変数f1、f2を有する評価関数Q(f)を計算する。一部領域が選択された際にはフーリエ解析部202は選択された被検体60の一部領域の画像信号を解析してもよい。
【0030】
ステップS105では、最適化計算部205は、計算された評価関数Q(f)の値が閾値又は前回の評価関数Q(f)の値より良いか否かを判断する。第1実施形態では最適化計算部205は山登り法により照明光の強度分布又は波長フィルタの最適化を計算する。最初の計算では評価関数Q(f)の値は閾値と比較されるが、2回目以降の計算では評価関数Q(f)の値は前回に計算された評価関数Q(f)の値と比較される。今回の評価関数Q(f)の値が良ければ(YES)ステップS106に進み、評価関数Q(f)の値が悪ければ(NO)ステップS107に進む。
【0031】
ステップS106では、素子変調部208は第1空間光変調素子90の照明光の強度分布を少し変える。又はフィルタ駆動部209は波長フィルタ44が別の波長域を透過する波長フィルタに変える。そして、ステップS103に進む。ステップS103〜S106を繰り返すことにより、評価関数Q(f)の値が前回より悪くなるまで行う。前回より評価関数Q(f)の値が悪いということは前回の評価関数Q(f)の値が一番良いと推測される。
【0032】
ステップS107では、観察者が好みを選択するか否かを判断する。S105で得られた一番良い評価関数Q(f)の値に対応する被検体60の画像が表示部21に表示さる。そして選択部203は、被検体60の画像に隣接して好みを選択するボタンを表示部21に表示させる。観察者が表示部21に表示された被検体60の画像が好みに合うのであれば(NO)、S105で得られた一番良い画像を表示して終了する。観察者によって好みを選択するボタンがクリックされる(YES)と、ステップS108に進む。
【0033】
ステップS108では、選択部203が被検体60の観察に適した画像を二以上表示部21に表示する。例えば、選択部203は山登り法によって評価関数Q(f)の値が最高の被検体60の画像を表示したが、最高ではない複数の画像を表示する。
【0034】
図5は、表示部21に被検体60の4つの画像(IM1〜IM4)が表示された例である。最適化計算部205で求められた評価関数Q(f)の値が最高の画像が画像IM3であると仮定する。そしてステップS103からステップ106の繰り返しの途中で求められた画像IM1とIM2とが表示部21に表示される、そして、画像IM3の評価関数Q(f)の値より悪いと判断された画像IM4を表示する。観察者は入力部26を使って表示部21に表示された4つの画像(IM1〜IM4)から1つ又は2つ選択する。図5では画像IM4が選択された例を示している。
【0035】
ステップS109では、選択された画像IM4の評価関数Q(f)の値が一番良い値になるように変更部204が係数α1、α2を変更する。例えばこれまで評価関数Q(f)は、α1=1、α2=1であったが、α1=3、α2=2と変更する。そして、再び、ステップS102からステップ107までの工程が繰り返される。この係数αが変更された評価関数Q(f)で再び山登り法で計算すると、選択された画像IM4と同じ画像が評価関数Q(f)の値が一番良いものとなることもあるし、画像IM4とは異なる画像になることもある。いずれにしても観察者の好みが強調された被検体60の画像に近づくことになる。
【0036】
以上説明したように、第1実施形態の顕微鏡システム100は、被検体60を観察する際に、画像特徴量であるフーリエ変換値(空間周波数成分)を含む評価関数Q(f)を観察者の好みに応じて変更する。そして、その評価関数Q(f)が一番良い値になるように照明光の強度分布又は波長フィルタを選び出す。したがって、顕微鏡システム100は、観察者の好むに応じた被検体60の画像を得ることができる。
【0037】
図4に示したフローチャートの処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶させてもよい。そしてこの記憶媒体に記憶されているプログラムをコンピュータにインストールさせることで、このコンピュータに計算などを行わせることができる。
【0038】
(第2実施形態)
第1実施形態では明視野顕微鏡を有する顕微鏡システム100について説明したが、第2実施形態では、位相差顕微鏡を有する顕微鏡システム300について説明する。
【0039】
<顕微鏡システム300>
図6(a)は、顕微鏡システム300の概略構成図である。顕微鏡システム300は主に、照明光源30と、照明光学系40と、結像光学系70と、イメージセンサ80とにより構成されている。顕微鏡システム300はコンピュータ220に接続されている。また照明光学系40は、第1コンデンサレンズ41、第1空間光変調素子390及び第2コンデンサレンズ42を備えており、結像光学系70は対物レンズ71及び第2空間光変調素子396を含んでいる。また、照明光学系40と結像光学系70との間にはステージ50が配置され、ステージ50には被検体60が設置される。
【0040】
第2空間光変調素子396は、結像光学系70の瞳の位置又はその近傍に配置される。また、第1空間光変調素子390は、照明光学系40の中の結像光学系70の瞳に共役となる位置に配置される。第1空間光変調素子390は透過する光の強度分布を任意に可変することができる液晶パネル又はDMD等により構成される。第2空間光変調素子396は、位相を変えることができる液晶パネル等により構成される。また、第2空間光変調素子は、位相と共に光の強度分布も自由に変えられるような構成とすることが望ましい。
【0041】
図6(a)では、照明光源30から射出された光が点線で示されている。照明光源30から射出された照明光LW31は第1コンデンサレンズ41で光LW32になる。光LW32は、第1空間光変調素子390に入射する。第1空間光変調素子390を透過した光LW33は第2コンデンサレンズ42を透過して光LW34となり、被検体60に向かう。被検体60を通過した光LW35は、対物レンズ71を透過して光LW36となり第2空間光変調素子396に入射する。光LW36は第2空間光変調素子396を通過して光LW37となり、イメージセンサ80に結像する。イメージセンサ80に結像した画像の画像信号はコンピュータ220に送られる。コンピュータ220では、イメージセンサ80から得られた画像に基づいて、被検体60のフーリエ変換値(空間周波数成分)を解析する。そして、被検体60の観察に適した照明形状が第1空間光変調素子390及び第2空間光変調素子396に送信される。
【0042】
図6(b)は、第1空間光変調素子390の平面図である。第1空間光変調素子390には、リング状に光の透過領域(照明領域)391が形成されており、透過領域391以外の領域は遮光領域392となっている。
【0043】
図6(c)は第2空間光変調素子396の平面図である。第2空間光変調素子396にはリング状に位相変調領域397が形成されており、この位相変調領域397を透過する光は位相が4分の1波長だけずらされる。位相変調領域397以外の領域である回折光透過領域398を透過する光は位相がそのままである。位相変調領域397は、第1空間光変調素子390の透過領域391と共役になるように形成されている。
【0044】
顕微鏡システム300の0次光(透過光)は、第1空間光変調素子390の透過領域391を透過し、第2空間光変調素子396の位相変調領域397を透過してイメージセンサ80に至る。また、被検体60から発せられた回折光は、第2空間光変調素子396の回折光透過領域398を透過してイメージセンサ80に至る。そして、0次光と回折光とがイメージセンサ80上に像を形成する。一般に0次光は回折光に比べて光の強度が強いので、位相変調領域397の光の強度を調節することが望ましい。
【0045】
第1空間光変調素子390及び第2空間光変調素子396は、その透過領域391及び位相変調領域397の大きさ、形状を自由に変えることができる。また、第1実施形態で示したように記憶部に記憶された照明形状を導き出して第1空間光変調素子390の透過領域391の形状を最適化してもよい。第2空間光変調素子396のリング状の領域397は常に第1空間光変調素子390の透過領域391と共役になるように形成される。そのため、透過領域391とリング状の領域397とは同期して形状が変化することが望ましい。
【0046】
<コンピュータ220の構成>
図7はコンピュータ220の構成を示した概念図である。基本的に図3で示されたコンピュータ200と同じであるが、コンピュータ220は新たに判断部207を有しその一方でフィルタ駆動部209を有していない点でコンピュータ200と異なる。またコンピュータ220は1つの素子変調部208が第1空間光変調素子390と第2空間光変調素子396とに接続されている点でコンピュータ200と異なる。以下、コンピュータ200と異なる点を主に説明する。
【0047】
判断部207は、イメージセンサ80からの画像信号を受け取る。そして判断部207は、画像のコントラストに関連する信号に基づいて被検体60が位相物体と吸収物体とのいずれかであるかを判断する。位相物体とは,透過光では光の強度を変えず位相のみを変える無色透明な物体である。吸収物体とは,吸収物体とは、吸光物体又は強度物体とも呼ばれ、透過光において光の強度を変える有色な物体である。
【0048】
判断部207は、以下のように2つの条件で撮像された被検体60の画像に基づいて、位相物体と吸収物体とを判断する。第1の条件では、イメージセンサ80は、第1空間光変調素子390の透過領域391が円形で遮光領域392がなく、且つ第2空間光変調素子396は位相透過領域397がなく全面の位相差がない状態で、被検体60を検出する。第2の条件では、イメージセンサ80は、第1空間光変調素子390の透過領域391がリング状、且つ第2空間光変調素子396は位相透過領域397がリング状で位相差が4分の1波長ある状態で、被検体60を検出する。
【0049】
判断部207は、第1の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストが閾値よりも高いか否か、第2の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストが閾値より高いか否かを判断する。例えば被検体60が位相物体であれば、第1の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストは低くなり、第2の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストは高くなる。逆に被検体60が吸収物体であれば、第1の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストは高くなり、第2の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストは低くなる。このように、判断部207は、被検体60が位相物体と吸収物体とのいずれかであるかを判断する。判断部207が判断した結果は最適化計算部205に送られる。
【0050】
最適化計算部205は、被検体60のフーリエ変換値と予め記憶部206に記憶されているフーリエ変換値とを比較する際に、判断部207から送られてきた結果を利用する。
【0051】
素子変調部208は、適した照明光の強度分布に基づいて第1空間光変調素子390の照明領域391の大きさ又は形状を変える。また素子変調部208は、適した照明光の強度分布に基づいて第2空間光変調素子396の位相変調領域397の大きさ又は形状を変える。
【0052】
<評価関数Q(f):第2例>
図8は、記憶部206に記憶される評価関数Q(f)の第2例である。図8は、例えば評価関数Q(f)は画像のフーリエ変換値(空間周波数成分)FTを変数とする式であり、以下に例示される。
Q(f) = FT×(1−cos(α3r))
ここで、α3は係数であり、rは半径である。
【0053】
評価関数Q(f)は画像のフーリエ変換値FTにフィルタff3を乗算した値を規格化した数値である。画像特徴量としてのフーリエ変換値FTはフーリエ変換して求められた空間周波数成分の絶対値でもよいしフーリエ変換して求められた空間周波数成分を二乗した値でもよい。図8ではフーリエ変換の絶対値が示されている。
【0054】
フィルタff3は、第1実施形態と同じように、画像信号の直流成分及び低周波成分を除去するフィルタである。図8ではそのフィルタff3を模式的に示している。ここで黒色領域は画像信号を除去することを示している。フィルタff3は被検体60の画像信号の直流成分を除去し、且つ周波数が高くなるにしたがって画像信号を除去する割合を小さくしている。フィルタff3は、高周波成分の画像信号を活かしている。係数α3の大きさを変えることで、周波数が高くなるに従い画像信号の除去する割合を変えている。図9に示された評価関数Q(f)では、α3は0<α3<1の範囲であり、例えば図8ではα3=0.7である。
【0055】
評価関数Q(f)は、画像特徴量としてのフーリエ変換値FTとフィルタff3とを乗じた値の面積積分を、フーリエ変換値FTの面積積分Nで除算されている。これにより評価関数Q(f)が規格化され、第2実施例の評価関数Q(f)は0から1の間になる。
【0056】
第2実施形態の評価関数Q(f)は、cos関数を使用したが、これに限られず、別の数式のフィルタffを用意してもよい。
【0057】
<顕微鏡システム300の動作>
図9は顕微鏡システム300の動作を説明したフローチャートの一例である。
ステップS201では、第1空間光変換素子390及び第2空間光変換素子396が2つの所定の強度分布(第1条件:円形の均一照明、第2条件:リング照明(位相リング))に変調される。それぞれの条件で被検体60がイメージセンサ80で撮像される。
【0058】
ステップS202では、判断部207が被検体60の画像のコントラストに基づいて、被検体60が吸収物体又は位相物体であるかを判断する。例えば被検体60が位相物体であれば、第1の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストは低くなり、第2の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストは高くなる。このフローチャートでは判断部207が、被検体60が位相物体であると判断したことを前提に説明する。
【0059】
ステップS203では、評価関数Q(f)の係数α3が初期値に設定される。この初期値は被検体60の画像が万人に好まれる画像が評価関数で高い値になるように設定される。例えば図8に示した係数α3が、α1=0.8と設定される。
【0060】
ステップS204では、ステップS202で被検体60が位相物体であると判断されたため、位相物体用に第1空間光変調素子390の透過領域391及び第2空間光変調素子396の位相変調領域397が設定される。第2実施形態では最適化計算部205は遺伝的アルゴリズムにより照明光の強度分布又は波長フィルタの最適化を計算する。このため、最初に2つの現世代の照明光の強度分布を用意する。例えば図10(a)に示されるように、1つの強度分布は、照明領域391及び位相変調領域397が幅の広いリングの形状であり、もう一つの強度分布は4つの小さな開口が中心から均等に配置された形状である。
【0061】
ステップS205では、最適化計算部205は遺伝的アルゴリズムの交叉又は突然変異の手法によって次世代の照明光の強度分布を複数形成する。
ステップS206では、次世代の複数の照明光の強度分布を用いて被検体60の像がイメージセンサ80で検出される。また、検出された二次元画像は画像処理部201で処理されて表示部21に表示される。なお、表示部21に表示された二次元画像のうち観察者が被検体60の一部領域を選択するようにしてもよい。一部領域は、被検体60の1カ所でもよいし2カ所以上でもよい。観察者は被検体60の観察したい領域を中央に移動させるため、自動的にイメージセンサ80の中央領域を一部領域として選択してもよい。一部領域の設定は、観察者が設定してもよいし、自動で設定されてもよい。
【0062】
ステップS207では、フーリエ解析部202が複数の照明光の強度分布の画像信号をフーリエ変換し、最適化計算部205が、それぞれの複数の照明光の強度分布に対して画像特徴量としてのフーリエ変換値FTを含む評価関数Q(f)を計算する。一部領域が選択された際にはフーリエ解析部202は選択された被検体60の一部領域の画像信号を解析してもよい。
【0063】
ステップS208では、最適化計算部205が、ステップS207で入手した被検体60の画像の評価関数Q(f)の値を比較し、この中で最も評価関数Q(f)の値の照明光の強度分布である第1照明光強度分布と2番目に良い評価関数Q(f)の値の照明光の強度分布である第2照明光強度分布とが選択される。この選択された第1照明光強度分布と第2照明光強度分布とは、例えば図10(b)に示されるような透過領域391の形状である。
【0064】
ステップS209では、所定の世代、例えば1000世代まで交叉又は突然変異が行われたかを判断する。所定の世代まで交叉等が行われていない場合はステップS205に戻る。そしてステップS205では、ステップS208で選択された第1照明光強度分布及び第2照明光強度分布に基づいて、評価関数Q(f)がより高い照明強度分布を探索していく。所定の世代まで交叉等が行われればステップS210に進む。
【0065】
ステップS210では、観察者が好みを選択するか否かを判断する。例えばS208で得られた一番良い評価関数Q(f)の値に関する被検体60の画像を表示部21に表示する。そして選択部203が好みを選択するボタンを、被検体60の画像に隣接して表示部21に表示させる。観察者が表示部21に表示された画像で満足するならば、S208で得られた一番良い画像を表示して終了する。観察者によって好みを選択するボタンがクリックされると、ステップS211に進む。
【0066】
ステップS211では、選択部203が被検体60の観察に適した画像が二以上表示部21に表示する。例えば、選択部203は遺伝的アルゴリズム法によって得られた評価関数Q(f)の値が高い順に4つの画像を表示する。観察者は入力部26を使って表示部21に表示された4つの画像から1つ又は2つ選択する。
【0067】
ステップS212では、選択された画像の評価関数Q(f)の値が一番良い値になるように変更部204が係数α3を変更する。例えばこれまで評価関数Q(f)は、α3=0.8であったが、α3=0.7と変更する。そして、再び、ステップS204からステップ209までの工程が繰り返される。
【0068】
以上説明したように、第2実施形態の顕微鏡システム300は、被検体60を観察する際に、画像特徴量であるフーリエ変換値を含む評価関数Q(f)を観察者の好みに応じて変更する。そして、その評価関数Q(f)が一番良い値になるように照明光の強度分布を選び出す。したがって、顕微鏡システム300は、観察者の好むに応じた被検体60の画像を得ることができる。
【0069】
図9に示したフローチャートの処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶させてもよい。そしてこの記憶媒体に記憶されているプログラムをコンピュータにインストールさせることで、このコンピュータに計算などを行わせることができる。
【0070】
(第3実施形態)
第1実施形態では山登り法において評価関数Q(f)を適用し、その山登り法で得られた画像を表示した後に、観察者の好みを特定した。同様に、第2実施形態では、遺伝的アルゴリズムにおいて評価関数Q(f)を適用し、その遺伝的アルゴリズムで得られた画像を表示した後に、観察者の好みを特定した。第3実施形態では、山登り法又は遺伝的アルゴリズムの最適化計算前に、観察者の好みを特定する。
【0071】
図11は、最適化計算前に観察者の好みを特定するフローチャートである。また図12は、最適化計算前に被検体60を観察するための照明光の強度分布を示した例とフーリエ変換した際の空間周波数成分を示した図である。第1実施形態にも第2実施形態にも適用できるが、以下の説明では第2実施形態に適用した例を示す。
【0072】
ステップS301では、第1空間光変換素子390及び第2空間光変換素子396が2つの所定の強度分布(第1条件:円形の均一照明、第2条件:リング照明(位相リング))に変調される。それぞれの条件で被検体60がイメージセンサ80で撮像される。図9のステップS201と同様である。
【0073】
ステップS302では、判断部207が被検体60の画像のコントラストに基づいて、被検体60が吸収物体又は位相物体であるかを判断する。図9のステップS202と同様である。
【0074】
ステップS303では、照明光の強度分布を複数変えて、被検体60の像をイメージセンサ80で検出する。S302で被検体60が吸収物体と判断されれば、例えば図12(a)、(b)に示された第1空間光変調素子390(Ex1、Ex2)が使用される。例えば第1空間光変調素子390(Ex1)は透過領域391が大きく、第1空間光変調素子390(Ex2)は透過領域391が小さい。そのため被検体の画像のコントラストや明度が異なる。
【0075】
第1空間光変調素子390(Ex1)の場合には、図12(a)の右側に示されるように、フーリエ変換された空間周波数成分(縦軸:強度、横軸:周波数)が例えば低い周波数から高い周波数になるにつれ一定の傾きで強度(振幅)が下がっている。第1空間光変調素子390(Ex2)の場合には、図12(b)の右側に示されるように、空間周波数成分が例えば高い周波数が強調されている。
【0076】
S302で被検体60が位相物体と判断されれば、例えば図12(c)、(d)に示された第1空間光変調素子390(Ex3、Ex4)が使用される。第1空間光変調素子390(Ex3)のような径が大きく幅が狭いリング状の場合には、図12(c)の右側に示されるように、空間周波数成分が中間から高い周波数で強くなっている。径が小さく幅の広い第1空間光変調素子390(Ex4)の場合には、図12(d)の右側に示されるように、低い周波数から高い周波数になるにつれ一定の傾きで強度(振幅)が下がっている。
【0077】
ステップS304では、被検体が吸収物体の場合、選択部は被検体の第1空間光変調素子390(Ex1、Ex2)で撮像した2つの画像を表示部21に表示する。被検体が位相物体の場合、選択部は被検体の第1空間光変調素子390(Ex3、Ex4)で撮像した2つの画像を表示部21に表示する。
【0078】
ステップS305では、観察者が2つの画像のうちいずれかの画像を選択する。
ステップS306では、変更部204は、観察者の好みが活きるように評価関数Q(f)の係数α3を設定する。
【0079】
ステップS307では、いわゆる初期値の係数α3がステップS306で設定された係数α3にした評価関数Q(f)を使って、遺伝的アルゴリズムによる最適化計算が行われる。
【0080】
図11に示したフローチャートの処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶させてもよい。そしてこの記憶媒体に記憶されているプログラムをコンピュータにインストールさせることで、このコンピュータに計算などを行わせることができる。
【0081】
第1実施形態から第3実施形態を説明してきたが、更に様々な変更を加えることができる。例えば明視野顕微鏡及び位相差顕微鏡以外にも、風景などを撮像するカメラ等の撮像装置にも適用できる。
【0082】
例えば、顕微鏡システム100では照明光源30は白色の照明光を照射し、波長フィルタ44で透過する光束の波長を特定の範囲のみを透過させた。波長フィルタ44を用いる代わりに、異なる波長の光(例えば、赤色、緑色、青色)を照射するLEDを複数有する照明光源30を使用してもよい。例えば被検体60に白色光を照射する際には赤色、緑色及び青色のLEDを同時に点灯させ、被検体60に赤色を照射する際には赤色のLEDのみを点灯させる。このように、照明光の波長が選択されてもよい。
【0083】
また、第1実施形態では図4を使って山登り法を使った例を示した。また第2実施形態では図9を使って遺伝的アルゴリズムの例を示した。最適化計算方法にはその他、タブーサーチ法、焼きなまし法等があり、そのような最適化計算手法を使ってもよい。また、図6に示した顕微鏡システム300では波長フィルタを備えていなかったが、波長フィルタを備えてもよい。また、第1及び第2実施形態は、画像特徴量としてフーリエ変換値(空間周波数成分)を使用したがこれに限られない。例えば、階調値の出現頻度を表すヒストグラム(縦軸:出現頻度、横軸:階調値)も画像特徴量として使用することができる。さらに画像特徴量として画像のコントラスト又は最大傾斜量を使用することができる。最大傾斜量とは空間的な輝度値プロファイル(横軸:例えばX方向位置、縦軸:輝度値)での輝度値の変化の最大値である。
【符号の説明】
【0084】
21 … 表示部
30 … 照明光源
40 … 照明光学系
41 … 第1コンデンサレンズ、 42 … 第2コンデンサレンズ
44 … 波長フィルタ
50 … ステージ
60 … 被検体
70 … 結像光学系、 71 … 対物レンズ
80 … イメージセンサ
90、390 … 第1空間光変調素子
91,391 … 照明領域
92,392 … 遮光部
100、300 … 顕微鏡システム
200,220 … コンピュータ
201 … 画像処理部
202 … フーリエ解析部
203 … 選択部
204 … 変更部
205 … 最適化計算部
206 … 記憶部
207 … 判断部
208 … 素子変調部
209 … フィルタ駆動部
396 … 第2空間光変調素子
397 … 位相変調領域
398 … 回折光透過領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、観察に適した照明光の強度分布を導き出す撮像装置及びプログラムに関する。特に観察者の好みに応じた画像が取得できる撮像装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、明視野顕微鏡では、照明光の強度分布の調整を円形の絞りを可変させて調整する。また、観察者の判断で絞りの形状を選択して使用することもあった。位相差顕微鏡では、一般にリング絞り及び位相リングが照明光の強度分布を形成している。
【0003】
照明光の強度分布は被検体の観察像に大きな影響を及ぼすため、円形の絞り、リング絞り及び位相リング等に改良を加えて被検体の観察画像をより良いものにするような工夫がされている。例えば、特許文献1では位相リングのリング状に設けられたリング領域を取り囲むように変調部を設け、変調部と変調部以外の領域との透過軸の方向が異なるように形成することによりコントラストを連続可変可能な位相差顕微鏡が示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−237109
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記のような顕微鏡では、絞りの形状がある程度決まっており、照明光の強度分布の調整には制限があった。また、絞りの形状を選ぶ場合も観察者の判断又は経験を元にして選ぶため、必ずしも絞りの形状が観察中の被検体の像を最良の状態で観察できる形状になっているわけではなかった。さらに被検体の像の最良の状態は観察者の好みにより、個々に違いがある。そこで観察者の好みに応じて最良の状態で絞りの形状等を顕微鏡で自動的に設定して、被検体を観察することが困難であった。風景などを撮像するカメラ等においても同様に困難であった。
そこで本発明は、観察者の好みに応じて、被検体を観察するために適した照明光の強度分布等を導き出す撮像装置及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1観点の撮像装置は、被検体を撮像する撮像部と、撮像部で撮像された画像の特徴量を出力する解析部と、画像特徴量を変数とする画像を評価する評価関数を記憶する記憶部と、評価関数の値に基づいて特定された画像を含む二以上の画像から一つの画像を選択する選択部と、選択部で選択された一つの画像が特定された画像と異なる場合に、一つの画像に基づいて評価関数を変更する変更部と、を備える。
【0007】
第2観点のプログラムは、被検体を撮像する撮像部と撮像部に接続されるコンピュータとを含む撮像装置を用いて被検体を撮像するプログラムである。そのプログラムは、コンピュータに、撮像部で撮像された画像の特徴量の出力と、画像特徴量を変数とする画像を評価する評価関数の記憶と、評価関数の値に基づいて特定された画像を含む二以上の画像から一つの画像の選択と、選択部で選択された一つの画像が特定された画像と異なる場合に、一つの画像に基づいて評価関数の変更と、を実行させる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、被検体の像を観察者の好みに合うようにした撮像装置及びプログラムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】顕微鏡システム100の概略構成図である。
【図2】コンピュータ200の概略構成図である。
【図3】記憶部206に記憶される第1例の評価関数Q(f)及びその概念図である。
【図4】顕微鏡システム100の動作のフローチャートの一例である。
【図5】選択部203が表示部21に複数の被検体の画像を表示した例である。
【図6】(a)は、顕微鏡システム300の概略構成図である。 (b)は、第1空間光変調素子390の平面図である。 (c)は、第2空間光変調素子396の平面図である。
【図7】コンピュータ220の概略構成図である。
【図8】記憶部206に記憶される第2例の評価関数Q(f)及びその概念図である。
【図9】顕微鏡システム300の動作のフローチャートの一例である。
【図10】遺伝的アルゴリズムによる第1空間光変調素子390の透過領域391の例である。
【図11】最適化計算前に観察者の好みを特定するフローチャートである。
【図12】照明光の強度分布を示した例とフーリエ変換した際の空間周波数成分を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
第1実施形態として、絞りの形状を自由に変えることができ明視野顕微鏡を有する顕微鏡システム100について説明する。顕微鏡システム100は、観察中の被検体の像を良い状態で観察するために適した照明光の強度分布を導き出して自動的に照明光の強度分布を調整する。
【0011】
<顕微鏡システム100>
図1は、顕微鏡システム100の概略構成図である。顕微鏡システム100は主に、照明光源30と、照明光学系40と、ステージ50と、結像光学系70と、イメージセンサ80とを有している。顕微鏡システム100はコンピュータ200に接続されている。以下、照明光源30から射出される光束の中心軸をZ軸方向とし、Z軸に垂直で互いに直交する方向をX軸方向及びY軸方向として説明する。
【0012】
照明光源30は、例えば被検体60に白色の照明光を照射する。照明光学系40は、第1コンデンサレンズ41、波長フィルタ44、第1空間光変調素子90及び第2コンデンサレンズ42を備えている。また、結像光学系70は対物レンズ71を備えている。ステージ50は、例えば細胞組織等の未知の構造を有する被検体60を載置してXY軸方向に移動可能である。また、結像光学系70は、被検体60の透過光又は反射光をイメージセンサ80に結像させる。
【0013】
照明光学系40の第1空間光変調素子90は、例えば照明光学系40の中の結像光学系70の瞳の位置に対して共役となる位置に配置される。第1空間光変調素子90は具体的には液晶パネル又はデジタルマイクロミラーディバイス(DMD)などを使用することができる。また、第1空間光変調素子90は自由に形状及び大きさを変化させることができる照明領域91を有しており、照明領域91の大きさ又は形状を変えて、照明光の強度分布を任意に可変させることができる。つまり、第1空間光変調素子90は結像光学系70の瞳の共役位置における照明光の強度分布を可変することができる。一般に第1空間光変調素子90の透過領域91の直径を大きくすると透過光の開口数が上がるため解像度を上げることができる。また波長フィルタ44は、透過する光束の波長を特定の範囲内に制限する。波長フィルタ44には、例えば特定範囲の波長の光のみを透過するバンドパスフィルタが用いられる。波長フィルタ44は脱着が可能であり、複数のそれぞれ異なる波長の光を透過するバンドパスフィルタを用意してその入れ替えを行うことにより波長フィルタ44を透過する光の波長を制御することができる。
【0014】
コンピュータ200はイメージセンサ80で検出される画像信号を受信し、その画像信号を画像処理して、被検体60の二次元画像がモニター等の表示部21に表示させる。またコンピュータ200は画像信号をフーリエ変換し、空間周波数成分を算出する。コンピュータ200が行う計算等については図2を使って後述する。
【0015】
図1では、照明光源30から射出された光が点線で示されている。照明光源30から射出された光LW11は第1コンデンサレンズ41で平行な光LW12に変換される。光LW12は、波長フィルタ44を透過することにより波長の範囲が特定されて第1空間光変調素子90に入射する。第1空間光変調素子90の照明領域91を通過した光LW13は第2コンデンサレンズ42を透過して光LW14になり、ステージ50に向かう。ステージ50を透過した光LW15は結像光学系70を透過して光LW16となり、イメージセンサ80に被検体60の像を形成する。
【0016】
<コンピュータ200の構成>
図2はコンピュータ200の構成を示した概念図である。コンピュータ200は、画像処理部201、フーリエ解析部202、選択部203、変更部204、最適化計算部205、記憶部206、素子変調部208及びフィルタ駆動部209を有している。コンピュータ200には表示部21及びキーボード等の入力部26が接続されている。これらはバスラインBUS等で互いに通信可能である。
【0017】
画像処理部201及びフーリエ解析部202は、イメージセンサ80からの画像信号を受け取る。画像処理部201は、イメージセンサ80からの画像信号を表示部21に表示するために画像処理する。画像処理された画像信号は表示部21に送られ、表示部21で被検体の像が表示される。画像処理された画像信号は記憶部206にも送られる。フーリエ解析部202はイメージセンサ80からの画像信号をフーリエ変換する。そしてフーリエ解析部202は被検体60のフーリエ変換値(空間周波数成分)を解析する。フーリエ変換値は最適化計算部205に送られるとともに、フーリエ変換値を記憶するために記憶部206にも送られる。
【0018】
選択部203は、観察者の好みを特定する。例えば表示部21に同一の被検体60に対して照明光の強度分布を変えた画像もしくは波長フィルタを変えた画像を2以上表示する。そして、観察者は入力部26を使って好ましい画像を1つ特定する。変更部204は、選択部203の結果に基づいて後述する評価関数Q(f)の係数αを変更する。
【0019】
最適化計算部205は、フーリエ解析部202で解析された被検体60のフーリエ変換値と予め記憶部206に記憶されている評価関数Q(f)とを使って被検体60の画像に関する評価を数値で求める。記憶部206は画像処理部201から送られてきた画像信号を記憶し、また評価関数Q(f)を記憶する。さらに、記憶部206は被検体60のフーリエ変換値を記憶する。
【0020】
最適化計算部205は、評価関数Q(f)の結果に基づいて、照明光の強度分布又は適した照明光の波長に関するデータを素子変調部208又はフィルタ駆動部209に送る。素子変調部208は、照明光の強度分布に基づいて第1空間光変調素子90の照明領域91の大きさ又は形状を変える。またフィルタ駆動部209は照明光の波長のデータに基づいて波長フィルタ44が透過する波長領域を変える。
【0021】
<評価関数Q(f):第1例>
図3は、記憶部206に記憶される評価関数Q(f)の第1例である。図3は、例えば評価関数Q(f)は画像のフーリエ変換値を含む式であり、以下に例示される。
Q(f) = α1×f1 + α2×f2
ここで、α1、α2は係数であり、f1、f2は変数(関数)である。
【0022】
変数f1、f2は、例えば被検体の画像のフーリエ変換値FTにフィルタff(ff1、ff2)を乗算した値を規格化した変数である。画像特徴量としてのフーリエ変換値FTは、フーリエ変換して求められた空間周波数成分の絶対値でもよいしフーリエ変換して求められた空間周波数成分を二乗した値でもよい。図3ではフーリエ変換の絶対値を使った変数f1、f2が示されている。
【0023】
フィルタff(ff1、ff2)は、画像の直流成分又は低周波成分を除去するフィルタである。図3ではそれらフィルタffを模式的に示している。ここで黒色領域は画像成分を除去することを示している。フィルタff1は被検体60の画像信号の直流成分を除去し、フィルタff2は被検体60の画像信号の直流成分及び低周波成分を除去している。フィルタff1とフィルタff2は画像信号の高周波成分をどれだけ強調するかが互いに異なっている。図3に示されたフィルタffだけでなく、異なるフィルタffを使用してもよい。
【0024】
変数f1、f2は、画像特徴量としてのフーリエ変換値FTとフィルタffとを乗じた値の面積積分を、フーリエ変換値FTの面積積分Nで除算されている。これにより変数f1、f2が規格化される。評価関数Q(f)はこの変数f1、f2に係数α1、α2を乗算している。係数α1、α2は図2で示された変更部204で変更される。例えば係数α1=1、α2=2である。
【0025】
本実施形態の評価関数Q(f)は、2つの変数f1、f2を使った例である。しかしこれに限られず、さらに別のフィルタffを用意し、3つの変数を使った評価関数で計算するようにしてもよい。
【0026】
<顕微鏡システム100の動作>
図4は顕微鏡システム100の動作を説明したフローチャートの一例である。
ステップS101では、評価関数Q(f)の係数αが初期値に設定される。この初期値は被検体60の画像が万人に好まれる画像が評価関数で高い値になるように設定される。例えば図3に示した係数α1、α2が、α1=1、α2=1と設定される。
【0027】
ステップS102では、第1空間光変調素子90の照明領域91が所定の照明光の強度分布に設定される。例えば、第1空間光変調素子90の照明領域91は全開口の形状である。また、波長フィルタ44は所定の波長フィルタに設定される。波長フィルタ44は例えば400nm〜800nmの可視光を透過する波長フィルタである。
【0028】
ステップS103では、ステップS102で設定された照明光の強度分布又は波長フィルタで被検体60の画像信号がイメージセンサ80で検出される。また、検出された二次元画像は画像処理部201で処理されて表示部21に表示される。なお、表示部21に表示された二次元画像のうち観察者が被検体60の一部領域を選択するようにしてもよい。一部領域は、被検体60の1カ所でもよいし2カ所以上でもよい。観察者は被検体60の観察したい領域を中央に移動させるため、自動的にイメージセンサ80の中央領域を一部領域として選択してもよい。一部領域の設定は、観察者が設定してもよいし、自動で設定されてもよい。
【0029】
ステップS104では、フーリエ解析部202が検出された画像信号をフーリエ変換し、最適化計算部205が、画像特徴量としてのフーリエ変換値FTを含む変数f1、f2を有する評価関数Q(f)を計算する。一部領域が選択された際にはフーリエ解析部202は選択された被検体60の一部領域の画像信号を解析してもよい。
【0030】
ステップS105では、最適化計算部205は、計算された評価関数Q(f)の値が閾値又は前回の評価関数Q(f)の値より良いか否かを判断する。第1実施形態では最適化計算部205は山登り法により照明光の強度分布又は波長フィルタの最適化を計算する。最初の計算では評価関数Q(f)の値は閾値と比較されるが、2回目以降の計算では評価関数Q(f)の値は前回に計算された評価関数Q(f)の値と比較される。今回の評価関数Q(f)の値が良ければ(YES)ステップS106に進み、評価関数Q(f)の値が悪ければ(NO)ステップS107に進む。
【0031】
ステップS106では、素子変調部208は第1空間光変調素子90の照明光の強度分布を少し変える。又はフィルタ駆動部209は波長フィルタ44が別の波長域を透過する波長フィルタに変える。そして、ステップS103に進む。ステップS103〜S106を繰り返すことにより、評価関数Q(f)の値が前回より悪くなるまで行う。前回より評価関数Q(f)の値が悪いということは前回の評価関数Q(f)の値が一番良いと推測される。
【0032】
ステップS107では、観察者が好みを選択するか否かを判断する。S105で得られた一番良い評価関数Q(f)の値に対応する被検体60の画像が表示部21に表示さる。そして選択部203は、被検体60の画像に隣接して好みを選択するボタンを表示部21に表示させる。観察者が表示部21に表示された被検体60の画像が好みに合うのであれば(NO)、S105で得られた一番良い画像を表示して終了する。観察者によって好みを選択するボタンがクリックされる(YES)と、ステップS108に進む。
【0033】
ステップS108では、選択部203が被検体60の観察に適した画像を二以上表示部21に表示する。例えば、選択部203は山登り法によって評価関数Q(f)の値が最高の被検体60の画像を表示したが、最高ではない複数の画像を表示する。
【0034】
図5は、表示部21に被検体60の4つの画像(IM1〜IM4)が表示された例である。最適化計算部205で求められた評価関数Q(f)の値が最高の画像が画像IM3であると仮定する。そしてステップS103からステップ106の繰り返しの途中で求められた画像IM1とIM2とが表示部21に表示される、そして、画像IM3の評価関数Q(f)の値より悪いと判断された画像IM4を表示する。観察者は入力部26を使って表示部21に表示された4つの画像(IM1〜IM4)から1つ又は2つ選択する。図5では画像IM4が選択された例を示している。
【0035】
ステップS109では、選択された画像IM4の評価関数Q(f)の値が一番良い値になるように変更部204が係数α1、α2を変更する。例えばこれまで評価関数Q(f)は、α1=1、α2=1であったが、α1=3、α2=2と変更する。そして、再び、ステップS102からステップ107までの工程が繰り返される。この係数αが変更された評価関数Q(f)で再び山登り法で計算すると、選択された画像IM4と同じ画像が評価関数Q(f)の値が一番良いものとなることもあるし、画像IM4とは異なる画像になることもある。いずれにしても観察者の好みが強調された被検体60の画像に近づくことになる。
【0036】
以上説明したように、第1実施形態の顕微鏡システム100は、被検体60を観察する際に、画像特徴量であるフーリエ変換値(空間周波数成分)を含む評価関数Q(f)を観察者の好みに応じて変更する。そして、その評価関数Q(f)が一番良い値になるように照明光の強度分布又は波長フィルタを選び出す。したがって、顕微鏡システム100は、観察者の好むに応じた被検体60の画像を得ることができる。
【0037】
図4に示したフローチャートの処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶させてもよい。そしてこの記憶媒体に記憶されているプログラムをコンピュータにインストールさせることで、このコンピュータに計算などを行わせることができる。
【0038】
(第2実施形態)
第1実施形態では明視野顕微鏡を有する顕微鏡システム100について説明したが、第2実施形態では、位相差顕微鏡を有する顕微鏡システム300について説明する。
【0039】
<顕微鏡システム300>
図6(a)は、顕微鏡システム300の概略構成図である。顕微鏡システム300は主に、照明光源30と、照明光学系40と、結像光学系70と、イメージセンサ80とにより構成されている。顕微鏡システム300はコンピュータ220に接続されている。また照明光学系40は、第1コンデンサレンズ41、第1空間光変調素子390及び第2コンデンサレンズ42を備えており、結像光学系70は対物レンズ71及び第2空間光変調素子396を含んでいる。また、照明光学系40と結像光学系70との間にはステージ50が配置され、ステージ50には被検体60が設置される。
【0040】
第2空間光変調素子396は、結像光学系70の瞳の位置又はその近傍に配置される。また、第1空間光変調素子390は、照明光学系40の中の結像光学系70の瞳に共役となる位置に配置される。第1空間光変調素子390は透過する光の強度分布を任意に可変することができる液晶パネル又はDMD等により構成される。第2空間光変調素子396は、位相を変えることができる液晶パネル等により構成される。また、第2空間光変調素子は、位相と共に光の強度分布も自由に変えられるような構成とすることが望ましい。
【0041】
図6(a)では、照明光源30から射出された光が点線で示されている。照明光源30から射出された照明光LW31は第1コンデンサレンズ41で光LW32になる。光LW32は、第1空間光変調素子390に入射する。第1空間光変調素子390を透過した光LW33は第2コンデンサレンズ42を透過して光LW34となり、被検体60に向かう。被検体60を通過した光LW35は、対物レンズ71を透過して光LW36となり第2空間光変調素子396に入射する。光LW36は第2空間光変調素子396を通過して光LW37となり、イメージセンサ80に結像する。イメージセンサ80に結像した画像の画像信号はコンピュータ220に送られる。コンピュータ220では、イメージセンサ80から得られた画像に基づいて、被検体60のフーリエ変換値(空間周波数成分)を解析する。そして、被検体60の観察に適した照明形状が第1空間光変調素子390及び第2空間光変調素子396に送信される。
【0042】
図6(b)は、第1空間光変調素子390の平面図である。第1空間光変調素子390には、リング状に光の透過領域(照明領域)391が形成されており、透過領域391以外の領域は遮光領域392となっている。
【0043】
図6(c)は第2空間光変調素子396の平面図である。第2空間光変調素子396にはリング状に位相変調領域397が形成されており、この位相変調領域397を透過する光は位相が4分の1波長だけずらされる。位相変調領域397以外の領域である回折光透過領域398を透過する光は位相がそのままである。位相変調領域397は、第1空間光変調素子390の透過領域391と共役になるように形成されている。
【0044】
顕微鏡システム300の0次光(透過光)は、第1空間光変調素子390の透過領域391を透過し、第2空間光変調素子396の位相変調領域397を透過してイメージセンサ80に至る。また、被検体60から発せられた回折光は、第2空間光変調素子396の回折光透過領域398を透過してイメージセンサ80に至る。そして、0次光と回折光とがイメージセンサ80上に像を形成する。一般に0次光は回折光に比べて光の強度が強いので、位相変調領域397の光の強度を調節することが望ましい。
【0045】
第1空間光変調素子390及び第2空間光変調素子396は、その透過領域391及び位相変調領域397の大きさ、形状を自由に変えることができる。また、第1実施形態で示したように記憶部に記憶された照明形状を導き出して第1空間光変調素子390の透過領域391の形状を最適化してもよい。第2空間光変調素子396のリング状の領域397は常に第1空間光変調素子390の透過領域391と共役になるように形成される。そのため、透過領域391とリング状の領域397とは同期して形状が変化することが望ましい。
【0046】
<コンピュータ220の構成>
図7はコンピュータ220の構成を示した概念図である。基本的に図3で示されたコンピュータ200と同じであるが、コンピュータ220は新たに判断部207を有しその一方でフィルタ駆動部209を有していない点でコンピュータ200と異なる。またコンピュータ220は1つの素子変調部208が第1空間光変調素子390と第2空間光変調素子396とに接続されている点でコンピュータ200と異なる。以下、コンピュータ200と異なる点を主に説明する。
【0047】
判断部207は、イメージセンサ80からの画像信号を受け取る。そして判断部207は、画像のコントラストに関連する信号に基づいて被検体60が位相物体と吸収物体とのいずれかであるかを判断する。位相物体とは,透過光では光の強度を変えず位相のみを変える無色透明な物体である。吸収物体とは,吸収物体とは、吸光物体又は強度物体とも呼ばれ、透過光において光の強度を変える有色な物体である。
【0048】
判断部207は、以下のように2つの条件で撮像された被検体60の画像に基づいて、位相物体と吸収物体とを判断する。第1の条件では、イメージセンサ80は、第1空間光変調素子390の透過領域391が円形で遮光領域392がなく、且つ第2空間光変調素子396は位相透過領域397がなく全面の位相差がない状態で、被検体60を検出する。第2の条件では、イメージセンサ80は、第1空間光変調素子390の透過領域391がリング状、且つ第2空間光変調素子396は位相透過領域397がリング状で位相差が4分の1波長ある状態で、被検体60を検出する。
【0049】
判断部207は、第1の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストが閾値よりも高いか否か、第2の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストが閾値より高いか否かを判断する。例えば被検体60が位相物体であれば、第1の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストは低くなり、第2の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストは高くなる。逆に被検体60が吸収物体であれば、第1の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストは高くなり、第2の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストは低くなる。このように、判断部207は、被検体60が位相物体と吸収物体とのいずれかであるかを判断する。判断部207が判断した結果は最適化計算部205に送られる。
【0050】
最適化計算部205は、被検体60のフーリエ変換値と予め記憶部206に記憶されているフーリエ変換値とを比較する際に、判断部207から送られてきた結果を利用する。
【0051】
素子変調部208は、適した照明光の強度分布に基づいて第1空間光変調素子390の照明領域391の大きさ又は形状を変える。また素子変調部208は、適した照明光の強度分布に基づいて第2空間光変調素子396の位相変調領域397の大きさ又は形状を変える。
【0052】
<評価関数Q(f):第2例>
図8は、記憶部206に記憶される評価関数Q(f)の第2例である。図8は、例えば評価関数Q(f)は画像のフーリエ変換値(空間周波数成分)FTを変数とする式であり、以下に例示される。
Q(f) = FT×(1−cos(α3r))
ここで、α3は係数であり、rは半径である。
【0053】
評価関数Q(f)は画像のフーリエ変換値FTにフィルタff3を乗算した値を規格化した数値である。画像特徴量としてのフーリエ変換値FTはフーリエ変換して求められた空間周波数成分の絶対値でもよいしフーリエ変換して求められた空間周波数成分を二乗した値でもよい。図8ではフーリエ変換の絶対値が示されている。
【0054】
フィルタff3は、第1実施形態と同じように、画像信号の直流成分及び低周波成分を除去するフィルタである。図8ではそのフィルタff3を模式的に示している。ここで黒色領域は画像信号を除去することを示している。フィルタff3は被検体60の画像信号の直流成分を除去し、且つ周波数が高くなるにしたがって画像信号を除去する割合を小さくしている。フィルタff3は、高周波成分の画像信号を活かしている。係数α3の大きさを変えることで、周波数が高くなるに従い画像信号の除去する割合を変えている。図9に示された評価関数Q(f)では、α3は0<α3<1の範囲であり、例えば図8ではα3=0.7である。
【0055】
評価関数Q(f)は、画像特徴量としてのフーリエ変換値FTとフィルタff3とを乗じた値の面積積分を、フーリエ変換値FTの面積積分Nで除算されている。これにより評価関数Q(f)が規格化され、第2実施例の評価関数Q(f)は0から1の間になる。
【0056】
第2実施形態の評価関数Q(f)は、cos関数を使用したが、これに限られず、別の数式のフィルタffを用意してもよい。
【0057】
<顕微鏡システム300の動作>
図9は顕微鏡システム300の動作を説明したフローチャートの一例である。
ステップS201では、第1空間光変換素子390及び第2空間光変換素子396が2つの所定の強度分布(第1条件:円形の均一照明、第2条件:リング照明(位相リング))に変調される。それぞれの条件で被検体60がイメージセンサ80で撮像される。
【0058】
ステップS202では、判断部207が被検体60の画像のコントラストに基づいて、被検体60が吸収物体又は位相物体であるかを判断する。例えば被検体60が位相物体であれば、第1の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストは低くなり、第2の条件で撮像した被検体60の画像のコントラストは高くなる。このフローチャートでは判断部207が、被検体60が位相物体であると判断したことを前提に説明する。
【0059】
ステップS203では、評価関数Q(f)の係数α3が初期値に設定される。この初期値は被検体60の画像が万人に好まれる画像が評価関数で高い値になるように設定される。例えば図8に示した係数α3が、α1=0.8と設定される。
【0060】
ステップS204では、ステップS202で被検体60が位相物体であると判断されたため、位相物体用に第1空間光変調素子390の透過領域391及び第2空間光変調素子396の位相変調領域397が設定される。第2実施形態では最適化計算部205は遺伝的アルゴリズムにより照明光の強度分布又は波長フィルタの最適化を計算する。このため、最初に2つの現世代の照明光の強度分布を用意する。例えば図10(a)に示されるように、1つの強度分布は、照明領域391及び位相変調領域397が幅の広いリングの形状であり、もう一つの強度分布は4つの小さな開口が中心から均等に配置された形状である。
【0061】
ステップS205では、最適化計算部205は遺伝的アルゴリズムの交叉又は突然変異の手法によって次世代の照明光の強度分布を複数形成する。
ステップS206では、次世代の複数の照明光の強度分布を用いて被検体60の像がイメージセンサ80で検出される。また、検出された二次元画像は画像処理部201で処理されて表示部21に表示される。なお、表示部21に表示された二次元画像のうち観察者が被検体60の一部領域を選択するようにしてもよい。一部領域は、被検体60の1カ所でもよいし2カ所以上でもよい。観察者は被検体60の観察したい領域を中央に移動させるため、自動的にイメージセンサ80の中央領域を一部領域として選択してもよい。一部領域の設定は、観察者が設定してもよいし、自動で設定されてもよい。
【0062】
ステップS207では、フーリエ解析部202が複数の照明光の強度分布の画像信号をフーリエ変換し、最適化計算部205が、それぞれの複数の照明光の強度分布に対して画像特徴量としてのフーリエ変換値FTを含む評価関数Q(f)を計算する。一部領域が選択された際にはフーリエ解析部202は選択された被検体60の一部領域の画像信号を解析してもよい。
【0063】
ステップS208では、最適化計算部205が、ステップS207で入手した被検体60の画像の評価関数Q(f)の値を比較し、この中で最も評価関数Q(f)の値の照明光の強度分布である第1照明光強度分布と2番目に良い評価関数Q(f)の値の照明光の強度分布である第2照明光強度分布とが選択される。この選択された第1照明光強度分布と第2照明光強度分布とは、例えば図10(b)に示されるような透過領域391の形状である。
【0064】
ステップS209では、所定の世代、例えば1000世代まで交叉又は突然変異が行われたかを判断する。所定の世代まで交叉等が行われていない場合はステップS205に戻る。そしてステップS205では、ステップS208で選択された第1照明光強度分布及び第2照明光強度分布に基づいて、評価関数Q(f)がより高い照明強度分布を探索していく。所定の世代まで交叉等が行われればステップS210に進む。
【0065】
ステップS210では、観察者が好みを選択するか否かを判断する。例えばS208で得られた一番良い評価関数Q(f)の値に関する被検体60の画像を表示部21に表示する。そして選択部203が好みを選択するボタンを、被検体60の画像に隣接して表示部21に表示させる。観察者が表示部21に表示された画像で満足するならば、S208で得られた一番良い画像を表示して終了する。観察者によって好みを選択するボタンがクリックされると、ステップS211に進む。
【0066】
ステップS211では、選択部203が被検体60の観察に適した画像が二以上表示部21に表示する。例えば、選択部203は遺伝的アルゴリズム法によって得られた評価関数Q(f)の値が高い順に4つの画像を表示する。観察者は入力部26を使って表示部21に表示された4つの画像から1つ又は2つ選択する。
【0067】
ステップS212では、選択された画像の評価関数Q(f)の値が一番良い値になるように変更部204が係数α3を変更する。例えばこれまで評価関数Q(f)は、α3=0.8であったが、α3=0.7と変更する。そして、再び、ステップS204からステップ209までの工程が繰り返される。
【0068】
以上説明したように、第2実施形態の顕微鏡システム300は、被検体60を観察する際に、画像特徴量であるフーリエ変換値を含む評価関数Q(f)を観察者の好みに応じて変更する。そして、その評価関数Q(f)が一番良い値になるように照明光の強度分布を選び出す。したがって、顕微鏡システム300は、観察者の好むに応じた被検体60の画像を得ることができる。
【0069】
図9に示したフローチャートの処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶させてもよい。そしてこの記憶媒体に記憶されているプログラムをコンピュータにインストールさせることで、このコンピュータに計算などを行わせることができる。
【0070】
(第3実施形態)
第1実施形態では山登り法において評価関数Q(f)を適用し、その山登り法で得られた画像を表示した後に、観察者の好みを特定した。同様に、第2実施形態では、遺伝的アルゴリズムにおいて評価関数Q(f)を適用し、その遺伝的アルゴリズムで得られた画像を表示した後に、観察者の好みを特定した。第3実施形態では、山登り法又は遺伝的アルゴリズムの最適化計算前に、観察者の好みを特定する。
【0071】
図11は、最適化計算前に観察者の好みを特定するフローチャートである。また図12は、最適化計算前に被検体60を観察するための照明光の強度分布を示した例とフーリエ変換した際の空間周波数成分を示した図である。第1実施形態にも第2実施形態にも適用できるが、以下の説明では第2実施形態に適用した例を示す。
【0072】
ステップS301では、第1空間光変換素子390及び第2空間光変換素子396が2つの所定の強度分布(第1条件:円形の均一照明、第2条件:リング照明(位相リング))に変調される。それぞれの条件で被検体60がイメージセンサ80で撮像される。図9のステップS201と同様である。
【0073】
ステップS302では、判断部207が被検体60の画像のコントラストに基づいて、被検体60が吸収物体又は位相物体であるかを判断する。図9のステップS202と同様である。
【0074】
ステップS303では、照明光の強度分布を複数変えて、被検体60の像をイメージセンサ80で検出する。S302で被検体60が吸収物体と判断されれば、例えば図12(a)、(b)に示された第1空間光変調素子390(Ex1、Ex2)が使用される。例えば第1空間光変調素子390(Ex1)は透過領域391が大きく、第1空間光変調素子390(Ex2)は透過領域391が小さい。そのため被検体の画像のコントラストや明度が異なる。
【0075】
第1空間光変調素子390(Ex1)の場合には、図12(a)の右側に示されるように、フーリエ変換された空間周波数成分(縦軸:強度、横軸:周波数)が例えば低い周波数から高い周波数になるにつれ一定の傾きで強度(振幅)が下がっている。第1空間光変調素子390(Ex2)の場合には、図12(b)の右側に示されるように、空間周波数成分が例えば高い周波数が強調されている。
【0076】
S302で被検体60が位相物体と判断されれば、例えば図12(c)、(d)に示された第1空間光変調素子390(Ex3、Ex4)が使用される。第1空間光変調素子390(Ex3)のような径が大きく幅が狭いリング状の場合には、図12(c)の右側に示されるように、空間周波数成分が中間から高い周波数で強くなっている。径が小さく幅の広い第1空間光変調素子390(Ex4)の場合には、図12(d)の右側に示されるように、低い周波数から高い周波数になるにつれ一定の傾きで強度(振幅)が下がっている。
【0077】
ステップS304では、被検体が吸収物体の場合、選択部は被検体の第1空間光変調素子390(Ex1、Ex2)で撮像した2つの画像を表示部21に表示する。被検体が位相物体の場合、選択部は被検体の第1空間光変調素子390(Ex3、Ex4)で撮像した2つの画像を表示部21に表示する。
【0078】
ステップS305では、観察者が2つの画像のうちいずれかの画像を選択する。
ステップS306では、変更部204は、観察者の好みが活きるように評価関数Q(f)の係数α3を設定する。
【0079】
ステップS307では、いわゆる初期値の係数α3がステップS306で設定された係数α3にした評価関数Q(f)を使って、遺伝的アルゴリズムによる最適化計算が行われる。
【0080】
図11に示したフローチャートの処理は、プログラムとして記憶媒体に記憶させてもよい。そしてこの記憶媒体に記憶されているプログラムをコンピュータにインストールさせることで、このコンピュータに計算などを行わせることができる。
【0081】
第1実施形態から第3実施形態を説明してきたが、更に様々な変更を加えることができる。例えば明視野顕微鏡及び位相差顕微鏡以外にも、風景などを撮像するカメラ等の撮像装置にも適用できる。
【0082】
例えば、顕微鏡システム100では照明光源30は白色の照明光を照射し、波長フィルタ44で透過する光束の波長を特定の範囲のみを透過させた。波長フィルタ44を用いる代わりに、異なる波長の光(例えば、赤色、緑色、青色)を照射するLEDを複数有する照明光源30を使用してもよい。例えば被検体60に白色光を照射する際には赤色、緑色及び青色のLEDを同時に点灯させ、被検体60に赤色を照射する際には赤色のLEDのみを点灯させる。このように、照明光の波長が選択されてもよい。
【0083】
また、第1実施形態では図4を使って山登り法を使った例を示した。また第2実施形態では図9を使って遺伝的アルゴリズムの例を示した。最適化計算方法にはその他、タブーサーチ法、焼きなまし法等があり、そのような最適化計算手法を使ってもよい。また、図6に示した顕微鏡システム300では波長フィルタを備えていなかったが、波長フィルタを備えてもよい。また、第1及び第2実施形態は、画像特徴量としてフーリエ変換値(空間周波数成分)を使用したがこれに限られない。例えば、階調値の出現頻度を表すヒストグラム(縦軸:出現頻度、横軸:階調値)も画像特徴量として使用することができる。さらに画像特徴量として画像のコントラスト又は最大傾斜量を使用することができる。最大傾斜量とは空間的な輝度値プロファイル(横軸:例えばX方向位置、縦軸:輝度値)での輝度値の変化の最大値である。
【符号の説明】
【0084】
21 … 表示部
30 … 照明光源
40 … 照明光学系
41 … 第1コンデンサレンズ、 42 … 第2コンデンサレンズ
44 … 波長フィルタ
50 … ステージ
60 … 被検体
70 … 結像光学系、 71 … 対物レンズ
80 … イメージセンサ
90、390 … 第1空間光変調素子
91,391 … 照明領域
92,392 … 遮光部
100、300 … 顕微鏡システム
200,220 … コンピュータ
201 … 画像処理部
202 … フーリエ解析部
203 … 選択部
204 … 変更部
205 … 最適化計算部
206 … 記憶部
207 … 判断部
208 … 素子変調部
209 … フィルタ駆動部
396 … 第2空間光変調素子
397 … 位相変調領域
398 … 回折光透過領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像の特徴量を出力する解析部と、
前記画像特徴量を変数とする前記画像を評価する評価関数を記憶する記憶部と、
前記評価関数の値に基づいて特定された画像を含む二以上の画像から一つの画像を選択する選択部と、
前記選択部で選択された前記一つの画像が前記特定された画像と異なる場合に、前記一つの画像に基づいて前記評価関数を変更する変更部と、
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記評価関数は前記変数に乗ずる重み付け係数を有し、
前記変更部は前記重み付け係数を変更する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像部は前記被検体を照明する照明光学系を有し、
前記二以上の画像は、前記被検体を照明する照明光の強度分布を変えて撮像された画像である請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記照明光の強度分布を変化させる空間変調部と、
前記変更された評価関数で前記被検体の観察に適した前記照明光の強度分布を最適化計算する最適化計算部と、
前記空間変調部によって前記照明光の強度分布を変化させる毎に前記撮像部は撮像し、前記解析部は撮像された画像毎に画像特徴量を出力し、前記最適化計算部は前記変更された評価関数で計算する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像部は前記被検体を照明する照明光学系を有し、
前記二以上の画像は、前記被検体を照明する照明光の波長を変えて撮像された画像である請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記照明光の強度分布を変化させる空間変調部と、
前記変更された評価関数で前記被検体の観察に適した前記照明光の波長を最適化計算する最適化計算部と、
前記空間変調部によって前記波長を変化させる毎に前記撮像部は撮像し、前記解析部は撮像された画像毎に画像特徴量を出力し、前記最適化計算部は前記変更された評価関数で計算する請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記選択部は、観察者が一の画像を選択できるように、前記最適化計算部が計算した二以上の画像を表示させ、
前記変更部は選択された前記一の画像の評価関数が高くなるように、前記係数を変更する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記被検体が吸収物体か位相物体かを判断する判断部を備え、
前記最適化計算部による最適化計算前に、前記判断部は前記被検体が前記吸収物体か前記位相物体かを判断する請求項4又は請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記被検体の画像特徴量は前記被検体の画像の少なくとも一部における空間周波数成分、ヒストグラム、コントラスト又は最大傾斜量を含む請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
被検体を撮像する撮像部と、前記撮像部に接続されるコンピュータとを含む撮像装置を用いて、前記被検体を撮像するプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記撮像部で撮像された画像の特徴量の出力と、
前記画像特徴量を変数とする前記画像を評価する評価関数の記憶と、
前記評価関数の値に基づいて特定された画像を含む二以上の画像から一つの画像の選択と、
前記選択部で選択された前記一つの画像が前記特定された画像と異なる場合に、前記一つの画像に基づいて前記評価関数の変更と、
を実行させるプログラム。
【請求項1】
被検体を撮像する撮像部と、
前記撮像部で撮像された画像の特徴量を出力する解析部と、
前記画像特徴量を変数とする前記画像を評価する評価関数を記憶する記憶部と、
前記評価関数の値に基づいて特定された画像を含む二以上の画像から一つの画像を選択する選択部と、
前記選択部で選択された前記一つの画像が前記特定された画像と異なる場合に、前記一つの画像に基づいて前記評価関数を変更する変更部と、
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記評価関数は前記変数に乗ずる重み付け係数を有し、
前記変更部は前記重み付け係数を変更する請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記撮像部は前記被検体を照明する照明光学系を有し、
前記二以上の画像は、前記被検体を照明する照明光の強度分布を変えて撮像された画像である請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記照明光の強度分布を変化させる空間変調部と、
前記変更された評価関数で前記被検体の観察に適した前記照明光の強度分布を最適化計算する最適化計算部と、
前記空間変調部によって前記照明光の強度分布を変化させる毎に前記撮像部は撮像し、前記解析部は撮像された画像毎に画像特徴量を出力し、前記最適化計算部は前記変更された評価関数で計算する請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記撮像部は前記被検体を照明する照明光学系を有し、
前記二以上の画像は、前記被検体を照明する照明光の波長を変えて撮像された画像である請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記照明光の強度分布を変化させる空間変調部と、
前記変更された評価関数で前記被検体の観察に適した前記照明光の波長を最適化計算する最適化計算部と、
前記空間変調部によって前記波長を変化させる毎に前記撮像部は撮像し、前記解析部は撮像された画像毎に画像特徴量を出力し、前記最適化計算部は前記変更された評価関数で計算する請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記選択部は、観察者が一の画像を選択できるように、前記最適化計算部が計算した二以上の画像を表示させ、
前記変更部は選択された前記一の画像の評価関数が高くなるように、前記係数を変更する請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記被検体が吸収物体か位相物体かを判断する判断部を備え、
前記最適化計算部による最適化計算前に、前記判断部は前記被検体が前記吸収物体か前記位相物体かを判断する請求項4又は請求項6に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記被検体の画像特徴量は前記被検体の画像の少なくとも一部における空間周波数成分、ヒストグラム、コントラスト又は最大傾斜量を含む請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項10】
被検体を撮像する撮像部と、前記撮像部に接続されるコンピュータとを含む撮像装置を用いて、前記被検体を撮像するプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記撮像部で撮像された画像の特徴量の出力と、
前記画像特徴量を変数とする前記画像を評価する評価関数の記憶と、
前記評価関数の値に基づいて特定された画像を含む二以上の画像から一つの画像の選択と、
前記選択部で選択された前記一つの画像が前記特定された画像と異なる場合に、前記一つの画像に基づいて前記評価関数の変更と、
を実行させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−222672(P2012−222672A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87821(P2011−87821)
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月12日(2011.4.12)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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