説明

撮像装置

【課題】 安定した露出制御が行なわれる、違和感のない自動露出制御回路を備えた撮像装置の提供。
【解決手段】 撮像光を映像信号に光電変換する撮像素子を有し、その撮像素子からのアナログ映像信号をデジタル信号に変換してデジタル信号処理を行う撮像装置において、被写体の明るさの変化に伴い適正露光レベルを保つために制御されるアイリス制御において、アイリスの開度を検出する検出手段とその検出手段から得られるアイリスの開度位置情報に応じて、アイリス制動回路のゲインを制御するための制御信号を演算する演算回路とその演算回路の演算結果に基づきアイリス制動回路のゲインを可変する手段により構成された撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオカメラ等の撮像装置、特に撮像素子で得られた映像信号をデジタル化して信号処理する撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図5は一般的な光電変換素子を使用した撮像装置の構成を示すブロック図である。
【0003】
同図において、1は撮像レンズ、2はこの撮像レンズ1を通った被写体からの撮像光の入射光量を制御するアイリス、3はアイリス2を駆動するためのアイリスモータ、4はアイリス2の開度の変化を電圧に変換して出力するホール素子出力回路で、13は前記ホール素子出力回路4から出力される出力信号から前記アイリス2に制動を掛けるための制動信号を発生させるアイリス制動回路で、14は前記ホール素子出力回路4からの出力と後述するシステムコントロール回路15から出力されるアイリス制御信号から前記アイリス2を駆動するためのアイリスモータ3の駆動制御信号を生成するアイリス駆動回路である。
【0004】
5は画像光を光電変換して電気的な映像信号に変換するCCD等の撮像素子、6はこの撮像素子5から出力された映像信号に含まれている蓄積電荷ノイズを低減するためのS/H回路で7は映像信号のレベルを一定レベルに保つためのオ−トゲインコントロ−ル回路(以下AGC回路という)で、8は映像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、9はこのA/D変換器8からの出力されたデジタル信号をビデオ信号に変換するために必要なさまざまな信号処理を施す、デジタル信号処理(DSP)回路である。
【0005】
12は前記撮像素子5を駆動するための駆動パルス等を発生するタイミングジェネレータ回路(以下TG回路という)で、15は前記デジタル信号処理回路9を含むシステム全体を制御するマイクロコンピュータで構成されたシステムコントロール回路、10は前記デジタル信号処理回路9から出力されたデジタル映像信号を前記システムコントロール回路15からの制御信号により、記憶・出力するための画像メモリ、11は前記デジタル信号処理回路9から出力されたデジタル映像信号をアナログ信号に変換するためのD/A変換器である。16は前記システムコントロール回路15からシリアルデータで出力される撮像装置各部の制御を行うためのデジタルデータから任意のDC電圧に変換するためのD/A変換器である。
【0006】
ここで自動露出制御回路全体の詳細な動作について説明する。
【0007】
撮像レンズ1を通過した光は撮像素子5で光電変換されS/H回路6及びAGC回路7で信号レベルを適正に合わせてA/D変換器8でデジタル信号に変換されデジタル信号処理回路9に入力される。
【0008】
DSP回路9では入力されたデジタル映像信号を予め設定された一定時間積分してその積分値を前記システムコントロール回路15にシリアルデータに変換して出力する。
【0009】
システムコントロール回路15では前記DSP回路9から出力された積分値と適正露出が得られるように予め設定されたレベルとを比較し、その比較した差分値(ずれ量)から、アイリス2を制御するためのアイリス制御信号を演算して前記D/A変換機16にシリアルデータとしてデータを出力する。
【0010】
D/A変換機16はこのデジタルデータから任意のアナログ電圧に変換して、前記アイリス駆動回路14に出力する。
【0011】
ここで図6は、前記アイリス制動回路13の回路構成図である。
【0012】
前記ホール素子回路4によりアイリス2の開度位置を電圧値に変換された出力が前記アイリス制動回路13に入力される。その電圧の変化値をR1とC1の時定数により微分し増幅器1及び増幅器2でアイリス2を制動するために必要な信号レベルに増幅してアイリス駆動回路に出力する。
【0013】
アイリス駆動回路14ではD/A変換機16からの出力電圧とアイリス制動回路13の出力信号に基づきアイリスモータ3を駆動するための制御信号を生成すと共にそのアイリスモータ3を駆動することによってアイリス2を制御して適正露光レベルを保つ回路構成となっている。
【特許文献1】特開平10−155100号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記のような従来の撮像装置にあっては、ホール素子回路4の出力はアイリス2の開度に応じて電圧値を変化させるものであるが、図3に示すように前記撮像素子5の入射光量の変化はアイリス2の開放側では小さく、開口面積が小さくなるとその入射光量の変化は大きくなる。前記のようにアイリス2の制動はホール素子回路4の出力電圧の変化値であり開放側では充分な制動を得ることができるが、アイリス2の開口面積が小さくなる(絞る)と駆動と制動のバランスが崩れてくるために安定した露出制御が行なわれなくなるという問題があった。
【0015】
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたもので、違和感のない自動露出制御回路を備えた事を特徴とする撮像装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明に係る撮像装置は、次のように構成したものである。
【0017】
撮像光を映像信号に光電変換する撮像素子を有し、その撮像素子からのアナログ映像信号をデジタル信号に変換してデジタル信号処理を行う撮像装置において、被写体の明るさの変化に伴い適正露光レベルを保つために制御されるアイリス制御において、アイリスの開度を検出する検出手段とその検出手段から得られるアイリスの開度位置情報に応じて、アイリス制動回路のゲインを制御するための制御信号を演算する演算回路とその演算回路の演算結果に基づきアイリス制動回路のゲインを可変する手段により構成された撮像装置。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば従来に比べてアイリスの開口面積が小さい場合でもアイリス制御時の制動を充分に掛ける事が可能となり、アイリスのオーバーシュート等の不自然なアイリスの挙動を最小限に押さえることができ、良好な映像信号を得ることができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下本発明を実施するための最良の形態を、実施例により詳しく説明する。
【実施例】
【0020】
以下、本発明の詳細を図面に示す実施例に従って説明する。図1は本発明に係る撮像装置の全体のシステム構成を示すブロック図であり、図5と同一符号は同一構成要素を示している。
【0021】
図1において、1は撮像レンズ、2はこの撮像レンズ1を通った被写体からの撮像光の入射光量を制御するアイリス、3はそのアイリス2を駆動するためのアイリスモータ、4はアイリス2の開度を検出し電圧に変換するホール素子回路、5は画像光を光電変換して電気的な映像信号に変換するCCD等の撮像素子、6はこの撮像素子5から出力された映像信号に含まれている蓄積電荷ノイズを低減するためのS/H回路である。
【0022】
7は映像信号のレベルを一定レベルに保つためのオ−トゲインコントロ−ル回路(以下AGC回路という)、8はこのAGC回路5から出力された映像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器、9はこのA/D変換器7からの出力されたデジタル信号をビデオ信号に変換するために必要なさまざまな信号処理を施す、デジタル信号処理(DSP)回路である。
【0023】
15は前記デジタル信号処理回路9を含むシステム全体を制御するマイクロコンピュータで構成されたシステムコントロール回路、10は前記デジタル信号処理回路9から出力されたデジタル映像信号を、前記システムコントロール回路15からの制御信号により、記憶・出力するための画像メモリ装置、11はこの画像メモリ装置10から出力されたデジタル映像信号をアナログ信号に変換するためのD/A変換器である。
【0024】
16は前記システムコントロール回路15から出力されるシリアルデータに基づいて任意の電圧を出力するD/A変換器である。
【0025】
17はホール素子回路4の出力電圧値によりアイリス制動回路13のゲインを可変するホール素子回路出力電圧検出回路である。
【0026】
次に具体的な動作について説明する。尚、ここでは前述の従来例と本実施例の相異点に重点をおいて回路動作説明を行う。まず撮像レンズ1から入射された光は、従来と同様アイリス2で光量調整され撮像素子5に入り、ここで光電変換されて電気的な信号となる。この映像信号は、S/H回路6で蓄積電荷ノイズ成分を除去され、AGC回路7で適正な映像信号レベルに増幅され、A/D変換器8でデジタル信号に変換されてDSP回路9に入力される。
【0027】
DSP回路9では様々な信号処理を行いデジタルビデオ信号を生成する。
【0028】
本実施の場合でのアイリス制動ゲイン切り替え回路17の回路構成を図2に示す。
【0029】
基準電圧2(3V)基準電圧3(GND)間に接続されたR10・R11・R12・R13によって3つの閾値を設定し、この3つの閾値とホール素子回路4から出力された電圧値をコンパレータCOMP1・COMP2・COMP3で夫々比較する。
【0030】
COMP1・COMP2・COMP3の出力はそれぞれSW1・SW2・SW3に接続されており、COMP1・COMP2・COMP3の出力電圧によりSW1・SW2・SW3の切り替えが夫々行なわれる。
【0031】
例えば、COMP1の閾値を2.5Vに設定し、COMP2の閾値を2.0Vに設定し、COMP3の閾値を1.8Vに設定した場合、仮にホール素子回路4の出力電圧値が2.3Vの時、COMP1の出力はL、COMP2の出力はH、COMP3の出力はHとなる。
【0032】
COMP1の出力がLレベルであるためCOMP1に続されるSW1はOFFとなり、COMP2の出力はHレベルであるためCOMP2に続されるSW2はONとなり、COMP3の出力がHレベルであるためCOMP3に続されるSW3はONとなる。
【0033】
SW1はOFFするためR9は増幅器2のゲイン設定には無関係となるが、SW2及びSW3はONであるためR8及びR7は増幅器2に接続されることになる。
【0034】
この場合R6とR7とR8が並列に接続される回路構成になるためR6のみの場合に比べ増幅器2のゲインが小さくなる。
【0035】
更にホール素子回路4の出力電圧値が高くなるとCOMP1の出力もHレベルになりSW1がON状態に変わり、R9も増幅器2に接続されるため更に増幅器2のゲインが小さくなる。
【0036】
上記のようにホール素子回路4の出力電圧値により増幅器2のゲインを切り替えることにより前記アイリス制動回路13の制動ゲイン(増幅度)を切り替えることが可能となっている。
【0037】
本実施例ではホール素子回路の出力電圧の検出に際して3つの閾値を設定しているが、図2からも判るように更に微細な制御を行う必要がある場合には、閾値を更に増やすことによってゲインのより細かな切り替えも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る撮像装置の全体構成を示すブロック図
【図2】本実施例に係るホール素子回路出力の電圧検出回路とアイリス制動回路のブロック図
【図3】アイリスの開度におけるホール素子回路の出力電圧と光量変化を示す図
【図4】アイリス制動回路ゲイン切り替えのフローチャート
【図5】従来の全体構成を示す図
【図6】従来のアイリス制動回路のブロック図
【符号の説明】
【0039】
1 撮像レンズ
2 アイリス
3 アイリスモータ
4 ホール素子回路
5 撮像素子
6 S/H回路
7 AGC回路
8 A/D変換器
9 デジタル信号処理回路
10 画像メモリ
11 D/A変換器
12 TG回路
13 アイリス制御回路
14 アイリス駆動回路
15 システムコントロール回路
16 D/A変換器
17 ホール素子回路出力の電圧検出回路
18 D/A変換器
19 画像メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像光を映像信号に光電変換する撮像素子を有し、その撮像素子からのアナログ映像信号をデジタル信号に変換してデジタル信号処理を行う撮像装置において、前記撮像素子から出力された映像信号を予め設定された適正露光レベルに保つため、前記撮像素子への入射光量を制限するアイリスの開度を制御する自動露光制御回路において、アイリスの開度(絞り位置)を検出する検出手段とその検出値に応じてアイリス制動回路のゲインを可変する手段を備えたことを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
アイリス制動回路のゲインを複数段可変可能なゲイン切り替え回路を備えたことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−133388(P2006−133388A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−320776(P2004−320776)
【出願日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】