説明

撮像装置

【課題】 4つの無指向性集音素子により集音された音声信号を用いて、例えばマルチチャンネルのサラウンド音声信号を生成する際に、サラウンド音声信号生成の為の演算がしやすく、装置全体の大型化を防止する。
【解決手段】 第1の集音素子を装置の前方に配置し、第2の集音素子を装置の後方に配置し、第3の集音素子を第1の集音素子と第2の集音素子を結んだ線分を底辺とする略二等辺三角形の頂角に配置し、第4の集音素子を第1の集音素子と第2の集音素子とを結んだ線分を底辺とする略二等辺三角形の頂角であり且つ第1の集音素子と第2の集音素子と第3の集音素子とを頂点とする三角形の内側に配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に音声信号を処理することが可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、音声信号を処理する撮像装置としてビデオカメラ等が知られている。ビデオカメラでは、被写体の音声を集音素子(マイクロフォン)によって集音し、映像と共に記録する。
【0003】
これらビデオカメラのなかには、3つの無指向性集音素子により集音された音声信号を用いて、2チャンネルのステレオ音声信号を生成するものがある(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2000−224688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、音声技術や音声再生機器の発達により、DVD等においても、ステレオ音声ではなく、5.1チャンネル等のマルチチャンネルの音声を視聴することができるようになってきた。
【0005】
本発明は、4つの無指向性集音素子により集音された音声信号を用いて、例えばマルチチャンネルのサラウンド音声信号を生成する際に、サラウンド音声信号生成の為の演算がしやすい撮像装置を提供することを目的とする。さらに、上述の4つの無指向性集音素子の配置される面積を小さくすることで装置全体の大型化を防止することができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この様な課題を解決するために、本発明の撮像装置は、前方の被写体の光学像を撮像する撮像手段を有する撮像装置であって、周囲の音声を集音する集音手段と、前記集音手段により得られた音声信号に基づいて、複数のチャンネルの音声信号を生成する生成手段とを有し、前記集音手段は第1の集音素子と、前記第1の集音素子を通過する撮像手段の光軸と略平行な直線上であって前記第1の集音素子よりも後方に配置された第2の集音素子と、前記第1の集音素子と前記第2の集音素子とを頂点とし前記第1の集音素子と前記第2の集音素子と結んだ線分を底辺とする略二等辺三角形の頂角に配置された第3の集音素子と、前記第1の集音素子と前記第2の集音素子とを頂点とし前記第1の集音素子と前記第2の集音素子とを結んだ線分を底辺とする略二等辺三角形の頂角であり且つ前記第1の集音素子と前記第2の集音素子と前記第3の集音素子とを頂点とする三角形の内側に配置された第4の集音素子とからなり、前記生成手段は、前記第1の集音素子により得られた音声信号と前記第2の集音素子により得られた音声信号とから第1のチャンネルの音声信号を生成し、前記第1の集音素子により得られた音声信号と前記第4の集音素子により得られた音声信号とから第2のチャンネルの音声信号を生成し、前記第4の集音素子により得られた音声信号と前記第2の集音素子により得られた音声信号とから第3のチャンネルの音声信号を生成し、前記第2の集音素子により得られた音声信号と前記第3の集音素子により得られた音声信号とから第4のチャンネルの音声信号を生成し、前記第3の集音素子により得られた音声信号と前記第1の集音素子により得られた音声信号とから第5のチャンネルの音声信号を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、4つの無指向性集音素子により集音された音声信号を用いて、例えばマルチチャンネルのサラウンド音声信号を生成する際に、サラウンド音声信号生成の為の演算がしやすくなる。また、上述の4つの無指向性集音素子の配置される面積を小さくすることで装置全体の大型化を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施例を詳細に説明する。
【実施例1】
【0009】
4つの集音素子から入力されている音声信号に基づいてマルチチャンネルの音声信号を生成することができるビデオカメラについて説明する。
【0010】
図1は、本実施例のビデオカメラの斜視図である。
【0011】
図1において、100は本実施例のビデオカメラである。101は、被写体の光学像を取り込む撮影レンズである。102は、周囲の音声を集音する集音素子が4つ内蔵されたマイクユニットである。集音素子の配置については後述する。103は、撮影中は撮影レンズ101によって取り込まれた被写体の光学像を後述の映像処理部206で処理した映像を表示し、再生中は、後述の映像再生処理部211で処理した映像を表示しする他、メニュー画面等を表示する表示部である。
【0012】
本実施例では、図1に示すようにビデオカメラ100の前方を撮影レンズ101の配置されている方向としている。
【0013】
図2は、図1のビデオカメラのブロック図である。
【0014】
図2において、201はビデオカメラの各種機能に応じて、各ブロックを制御する制御部である。202は、外部からの指示をビデオカメラに入力するための操作部である。203は、制御部201からの制御信号や、操作部202からの指示信号等が行き来する制御信号バスである。204は、各ブロック間の画像データおよび音声データが行き来する画像/音声データバスである。
【0015】
205は、撮影レンズ101からの、光量を制御する絞り、光学像を電気信号に変換する撮像素子等からなる撮像部である。206は、撮像部205から得た映像信号を適正な信号レベルにし、デジタルデータに変換し、1フレーム分ずつ記録する等の映像記録方式に必要な処理を行う映像処理部である。
【0016】
207は、マイクユニット102により、得られた音声信号を適正なレベルまで増幅し、音声信号をデジタルデータに変換するする処理を行う音声処理部である。音声処理部では、マイクユニット102の4つの集音素子から得られた音声信号を例えば、5.1チャンネルの音声データに変換する等の処理を行う。音声処理部207については後述する。
【0017】
208は、表示部103の表示を制御するための表示制御部である。表示制御部208は、制御部201からの指示に応じて、各種モードに応じた情報を表示部103に表示させる。
【0018】
209は、映像処理部206から得られた映像データ、音声処理部207から得られた音声データ、その他のデータを必要に応じて関連づけて記録するための記録媒体としてのハードディスク(以後、HDD)である。210は、HDD209にアクセスし、上記の映像データ、音声データ、その他のデータ等を読み書きするためのアクセス部である。
【0019】
211は、アクセス部210によって読み出されたHDD209の映像データを映像記録方式に従って処理し、所定の形態に変換する映像再生処理部である。212は、映像再生処理部211で再生された映像信号を外部に出力するための映像出力端子である。
【0020】
213は、アクセス部210によって読み出されたHDD209の音声データを映像記録方式に従って再生する音声再生処理部である。214は、音声再生処理部213で再生された音声信号を外部に出力するための音声出力端子である。
【0021】
215は、PC等の外部機器と通信を行ったり、HDD209に記録された映像データ、音声データ等を外部機器とやり取したりするためのUSB端子である。216は、USB端子215と接続された外部機器とのデータのやり取りを制御するUSBコントローラである。
【0022】
217は、制御信号を外部機器に送信するための送信端子である。
【0023】
まず、本実施例のビデオカメラの基本的な撮影動作について説明する。
【0024】
操作部202の電源スイッチが操作されたことに応じて、ビデオカメラは撮影待機状態になる。この状態で、ユーザが操作部202の撮影ボタンを操作することにより、ビデオカメラに動画撮影開始の指示がなされる。この動画撮影開始の指示に応じて、制御部201は、撮像部205、映像処理部206等に撮影開始の指示信号を送信する。
【0025】
撮影が開始すると、撮像部205は撮影レンズ101により取り込まれた被写体の光学像の光量を、絞りにより制御し、撮像素子により電気信号に変換する。そして、変換された電気信号は、映像処理部206で、適正なレベルに調整され、デジタルデータに変換る。そしてデジタルデータに変換された映像信号は、映像処理部106の画素数調整回路等によって適切な画素数に調整され、所定の映像記録方式で圧縮符号化され、映像データとなる。
【0026】
また、音声処理部207は、マイクユニット102の4つの集音素子により集音された4つの音声信号を適正なレベルまで増幅する。そして、これら4つの音声信号を、デジタルデータに変換し、例えば、5.1チャンネルの音声データに変換する等の音声記録方式に必要な処理が施され音声データとなる。
【0027】
そして、制御部201は、上述の映像データと上述の音声データとを合成しデータストリームを形成し、アクセス部210に出力する。アクセス部210は、制御部201の指示に基づき、UDF、FAT等のファイルシステム管理のもとに、映像データと音声データのデータストリームを一つの動画ファイルとしてHDD209に書込みはじめる。ファイルシステムとは、ファイルの管理を行うための管理情報とファイルデータからなる構造体系を意味する。このファイルシステムを共通化することによって、異なった記憶媒体あるいは記録再生機器でも記録再生できる。
【0028】
データストリームは、必要に応じて表示制御部208を通して、表示部103に表示されることもある。
【0029】
そして、ユーザが操作部202の撮影ボタンを再度操作することにより、ビデオカメラに動画撮影終了の指示がなされたことに応じて、制御部201は、撮像部205、映像処理部206等に撮影終了の指示信号を送信する。
【0030】
動画撮影終了の指示信号を受信したことに応じて、撮像部205、映像処理部206は、撮影動作を終了する。アクセス部210は、制御部201の指示のもと、撮影開始から撮影終了までに記録された一連の映像データと音声データとを一つのファイルとしHDD209に書込み、記録動作を終了する。制御部201は、ビデオカメラを撮影待機状態に遷移させる。
【0031】
次に、本実施例のビデオカメラの通常の再生動作について説明する。
【0032】
制御部201は、操作部202の選択スイッチによって再生モードが指定されたことに応じて、HDD209から映像データや静止画データを読み出すよう、アクセス部210を制御する。そして、読み出された映像データや静止画データのサムネイルを並べたサムネイル画面や、映像データや静止画データのファイル名を表示部103に表示するよう、表示制御部208を制御する。また、最後に撮影した映像データや静止画データ等を表示部103に表示するよう、表示制御部208を制御してもよい。
【0033】
そして、サムネイル画面が表示された状態で、ユーザが操作部202を操作して、映像データや静止画データを再生する指示をすると、制御部201は、各画像データを再生するよう各ブロックを制御する。
【0034】
映像データを再生する際は、制御部201は、操作部202からの指示に応じて、HDD209から読み出したコンテンツデータを制御部201で音声データと映像データとを分離する。そして映像データは、映像再生処理部211で、復号されている情報量が伸張され、表示制御部208によって表示部103で映像として表示される。このとき、映像端子212からも映像信号を出力するように構成されているので、映像端子212を通して接続された映像表示可能な装置が映像を表示することができる。音声データは、音声再生処理部213に送信され、復号された情報量が伸張されて、5.1チャンネルのサラウンド音声データまたサラウンド音声信号に変換され、音声端子214から出力される。これにより、音声端子214に接続された音声出力可能な装置から、音声が出力されることになる。
【0035】
ここで、本実施例のマイクユニット102と音声処理部207の構成について図3を用いて詳細に説明する。
【0036】
図3において、図1のビデオカメラ100の上面から見たときのマイクユニット102を示している。音声処理部207では、5.1チャンネルのサラウンド音声を生成している。ここでは、低域波成分の音声に対応するサブチャンネルの音声信号の生成については説明を省略する。
【0037】
まず、マイクユニット102について説明する。301から304は、集音素子である。それぞれの集音素子は、略無指向性の集音特性を有している。
【0038】
集音素子301は、マイクユニット102内でビデオカメラ100の撮像方向の前方に配置されている。集音素子302は、マイクユニット内でビデオカメラ100の撮像方向の後方に配置されている。そして、集音素子302は、集音素子301を通過する撮像レンズ101の光軸と略平行な直線上であって集音素子301よりも後方に配置されている。そして、集音素子301と集音素子302の距離はLとする。距離Lは、例えば、14mm程度である。
【0039】
集音素子303は、集音素子301と集音素子302とを頂点とし集音素子301と集音素子302と結んだ線分を底辺とする略二等辺三角形の頂角に配置されている。そして、本実施例では、集音素子303は、集音素子301と集音素子302を結んだ線よりも右寄りに配置されている。集音素子304は、集音素子301と集音素子302とを頂点とし集音素子301と集音素子302と結んだ線分を底辺とする略二等辺三角形の頂角に配置されている。そして、集音素子301、集音素子302、集音素子303を頂点とする三角形の内側に配置されている。
【0040】
本実施例では、集音素子303を頂点とする二等辺三角形における、集音素子301と集音素子302の頂点の角度をθ1とし、例えば、略60度から80度を形成するように配置されている。また、集音素子304を頂点とする二等辺三角形における集音素子と集音素子302の頂点の角度をθ2とし、例えば略30度を形成するように配置されている。
【0041】
また、本実施例では、集音素子301、集音素子302、集音素子303からなる面は、ビデオカメラ100の底面と略平行になるよう配置されている。また、集音素子301、集音素子302、集音素子304からなる面は、ビデオカメラ100の底面と略平行になるよう配置されている。
【0042】
次に、音声処理部207について説明する。305は、各集音素子により集音された音声信号を適正なレベルに調整するオートゲインコントローラ(以後、AGC)である。306は、AGC305で適正なレベルに調整された音声信号をアナログデータからデジタルデータに変換するAD変換部(以後A/D)である。307は、入力された音声データを遅延させる遅延部である。308は、遅延されていない音声データから遅延部307により遅延された音声データを減算する減算器である。309は、高域周波数成分を減衰するためのイコライザ(以降、EQ)である。
【0043】
ここで、音声処理部207において、4つの略無指向性の集音素子により得られた音声信号から、5チャンネルのサラウンド音声データを生成する手順について説明する。
【0044】
フロントセンターチャンネル(FC)は、集音素子301により得られた音声信号と、集音素子302により得られた音声信号とから生成される。フロントレフトチャンネル(FL)は、集音素子301により得られた音声信号と、集音素子304により得られた音声信号とから生成される。フロントライトチャンネル(FR)は、集音素子302により得られた音声信号と、集音素子304により得られた音声信号とから生成される。サラウンドレフトチャンネル(SL)は、集音素子302により得られた音声信号と、集音素子303により得られた音声信号とから生成される。サラウンドライトチャンネル(SR)は、集音素子301により得られた音声信号と、集音素子303により得られた音声信号とから生成される。
【0045】
フロントセンターチャンネル(FC)を例にとって、5チャンネルのサラウンド音声データの個別のチャンネルの音声データを生成する方法について説明する。
【0046】
上述したように、フロントセンターチャンネル(FC)は、集音素子301により得られた音声信号と、集音素子302により得られた音声信号とから生成される。具体的には、集音素子302により得られた音声信号をある位相φ1だけ遅延させた音声データと、集音素子301から得られた音声データとから生成される。以下に具体的な算出方法を説明する。
【0047】
集音素子301により得られた音声信号は、AGC305により適正なレベルの音声に調整され、A/D306により第1の音声データに変換される。集音素子302により得られた音声信号は、AGC305により適正なレベルの音声に調整され、A/D306により第2の音声データに変換され、遅延部307により遅延される。そして、第1の音声データから第2の音声データを減算器309で減算して、フロントセンターチャンネル(FC)の音声を生成するように構成されている。
【0048】
ここで、ビデオカメラに対して、ある音源Aから正弦波sinωtの音声の入力に着目する。この音声は、右方を0度としたときにある角度Xから入力されているものとし、音源Aの位置は、集音素子301と集音素子302との間の距離Lに対して十分に遠い距離からの入力であるとする。音源の位置がビデオカメラに対して前方であったとすると、集音素子301に入力され、その後、集音素子302に入力されることになる。音源Aから各マイクまでの距離の差を一般式で示すと、以下の式(1)のようになる。
(距離の差)=L×sinX=L・sinX ・・・(1)
音速をcとすると、sinωtの音声の波長は、以下の式(2)で求められる。
(音声の波長)=c÷(ω/2π)=2π・c/ω ・・・(2)
集音素子301に入力された音声が集音素子302に入力されるまでの時間をsinωtの音声の位相の差φxで示すと以下の式(3)で示される。
φx=L・sinX÷(2π・c/ω)×2π
=(L・ω・sinX)/c ・・・(3)
この音源により出力された正弦波sinωtの音声は、集音素子301により音声信号aに変換される。音声信号aは、以下に示す式(4)で示される。
a=sinωt ・・・(4)
この音源により出力された正弦波sinωtの音声は、集音素子301より遅れて、集音素子302により音声信号bに変換される。音声信号bは、以下に示す式(5)で示される。
b=sin(ωt+φx) ・・・(5)
また、遅延部307では、集音素子302により得られた音声信号をある位相φ1だけ遅延させている。従って、遅延部307により遅延された音声データb´は、以下に示す式(6)で示される。
b´=sin(ωt+φx+φ1) ・・・(6)
式(4)と式(6)とから、減算器308から出力される音声データは、以下に示す式(7)で示される。
a−b´=sinωt−sin(ωt+φx+φ1) ・・・(7)
ここで、Xが270度の時について着目する。この時、集音素子301に入力された音声が集音素子302に入力されるまでの時間をsinωtの音声の位相の差φbで示すと以下に示す式(8)で示される。
φb=−(L・ω)/c ・・・(8)
Xが270度の時、式(7)は、以下の式(9)ように示される。
a−b´=sinωt−sin(ωt+φb+φ1) ・・・(9)
ここで、本説明では、フロントセンターチャンネル(FC)の音声を生成したいので、後方からの音声に対しては、感度を下げる必要がある。つまり、音源が後方(Xが270度)である場合に、式(9)の出力が0になるようにするのである。従って式(9)は、以下の式(10)ように書換えることができる。
0=sinωt−sin(ωt+φb+φ1) ・・・(10)
上述の式(10)を成立させるためには、φ1=−φbとなるように設定すればよい。したがって、φ1は以下の式(11)で示される
φ1=(L・ω)/c ・・・(11)
式(7)と式(11)とから、フロントセンターチャンネル(FC)の音声を示す一般式は、以下の式(12)で示される。
(FC)=a−b´=sinωt−sin(ωt+φx+φ1)
=sinωt
−sin(ωt+L・ω・(sinX+1)/c) ・・・(12)
また、EQ309においては、高周波成分を必要に応じて減衰させて、指向性の良い音声データを出力する。以上のようにしてフロントセンターチャンネル(FC)の音声が得られるのである。
【0049】
上述の説明では、フロントセンターチャンネル(FC)を例にとって、5チャンネルの音声データを生成する方法について説明したが、この他のチャンネルについても同様にして求めることができる。この方式で算出した5チャンネルの音声のポーラパターンを図4に示す。
【0050】
図4(a)は、集音素子301と集音素子302とから算出したフロントセンターチャンネル(FC)の音声のポーラパターンである。図4(b)は、集音素子301と集音素子304とから算出したフロントレフトチャンネル(FL)の音声のポーラパターンである。図4(c)は、集音素子304と集音素子302とから算出したフロントライトチャンネル(FR)の音声のポーラパターンである。図4(d)は、集音素子302と集音素子303とから算出したサラウンドレフトチャンネル(SL)の音声のポーラパターンである。図4(e)は、集音素子303と集音素子301とから算出したサラウンドライトチャンネル(SR)の音声のポーラパターンである。
【0051】
以上のようにして、図3に示すマイクの配置で、5チャンネルの音声データを生成することができる。
【0052】
このような、4つの略無指向性集音素子の配置にすることにより、サラウンド音声信号を生成する際に、サラウンド音声信号生成の為の演算がしやすく、4つの無指向性集音素子の配置される面積を小さくすることができる。したがって、装置全体の大型化を防止することができる。
【0053】
また、図4(b)(c)に示される角度θ2は、図3の角度θ2と対応しており、図(d)(e)に示される角度θ1は、図3の角度θ1と対応している。つまり、集音素子の配置を変更することで、算出結果として得られる音声の指向性を変更することができる。
【0054】
また、本実施例では、フロントレフトチャンネル(FL)は、集音素子301により得られた音声信号と、集音素子304により得られた音声信号とから生成されていた。しかし、集音素子301により得られた音声信号と、集音素子303により得られた音声信号とから生成されてもよい。また、フロントライトチャンネル(FR)は、集音素子302により得られた音声信号と、集音素子304により得られた音声信号とから生成されていた。しかし、の集音素子302により得られた音声信号と、集音素子303により得られた音声信号とから生成されてもよい。また、サラウンドレフトチャンネル(SL)は、集音素子302により得られた音声信号と、集音素子303により得られた音声信号とから生成されていた。しかし、集音素子302により得られた音声信号と、集音素子304により得られた音声信号とから生成されてもよい。また、サラウンドライトチャンネル(SR)は、集音素子301により得られた音声信号と、集音素子303により得られた音声信号とから生成されていた。しかし、集音素子301により得られた音声信号と、集音素子304により得られた音声信号とから生成されてもよい。
【0055】
本実施例では、マイクユニット102において、集音素子303及び集音素子304は、集音素子301と集音素子302を結んだ線よりも右寄りに配置されていたが、左寄りに配置されても良い。
【0056】
また、本実施例では、5チャンネルのマルチチャンネル音声データを生成することについて説明したが、低周波成分の音声に対応するサブチャンネルの音声データを同時に生成しても良い。その際、少なくとも1チャンネルのサブチャンネルの音声データを生成しても良いし、複数のサブチャンネルの音声信号を生成しても良い。さらに、5チャンネルの音声データの高周波成分の音声に対応するチャンネルの音声データを同時に生成しても良い。
【0057】
また、本実施例では、5チャンネルの音声データを生成したが、さらに、リアセンターチャンネル、レフトチャンネル、ライトチャンネルの音声データを生成するようにしてもよい。さらに、フロントレフトチャンネルとレフトチャンネルの間のチャンネル、フロントライトチャンネルとライトチャンネルの間のチャンネルの音声データを生成するようにしても良い。さらに、リアチャンネルとサラウンドレフトチャンネルの間のチャンネル、リアチャンネルとサラウンドライトチャンネルの間のチャンネルの音声データを生成するようにしても良い。これは、上述した算出方式により算出することができる。これを利用することにより、12チャンネルの音声データを生成することができる。
【0058】
本実施例では、遅延部307での位相遅延をφ1=(L・ω)/cとしている。従って、音声の周波数に応じて遅延角が変化するようになっている。すなわち、遅延部307のかわりに例えば3kHzにカットオフ周波数を設定したローパスフィルタ等で代用してもよい。ローパスフィルタを適用した場合、人の可聴領域の中心周波数付近である例えば1kHz付近での位相遅延が、上述したφ1(ω=1000・2π)なるようなローパスフィルタであればよい。また、高周波に向かうに従って位相遅延が増大するような周波数−位相特性を有するローパスフィルタでもよい。
【0059】
(他の実施例)
本発明は、実施例では、音声を集音する機能を有する装置として、ビデオカメラについて説明したが、これ以外の装置でもよい。
【0060】
また、本発明の目的は、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システム或いは装置に供給することによっても、達成されることは言うまでもない。このとき、供給されたシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU)は、記憶媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。
【0061】
この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、プログラムコード自体及びそのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0062】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM等を用いることができる。
【0063】
また、上述のプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼動しているOS(基本システムやオペレーティングシステム)などが処理の一部又は全部を行い、その処理によって前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0064】
さらに、記憶媒体から読み出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれ、前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。このとき、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU等が実際の処理の一部又は全部を行う。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明を適用したビデオカメラの斜視図である。
【図2】本発明を適用したビデオカメラのブロック図である。
【図3】本実施例のビデオカメラのマイクユニットと音声処理部の詳細を説明するための図である。
【図4】本実施例のビデオカメラにより生成された5チャンネルの音声のポーラパターンを示す図である。
【符号の説明】
【0066】
100 ビデオカメラ
101 撮影レンズ
102 マイクユニット
103 表示部
201 制御部
202 操作部
203 制御信号バス
204 画像/音声データバス
205 撮像部
206 映像処理部
207 音声処理部
208 表示制御部
209 HDD
210 アクセス部
211 映像再生処理部
212 映像出力端子
213 音声再生処理部
214 音声出力端子
215 USB端子
216 USBコントローラ
217 送信端子
301 集音素子
302 集音素子
303 集音素子
304 集音素子
305 AGC
306 A/D
307 遅延部
308 減算器
309 EQ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方の被写体の光学像を撮像する撮像手段を有する撮像装置であって、
周囲の音声を集音する集音手段と、
前記集音手段により得られた音声信号に基づいて、複数のチャンネルの音声信号を生成する生成手段とを有し、
前記集音手段は第1の集音素子と、前記第1の集音素子を通過する撮像手段の光軸と略平行な直線上であって前記第1の集音素子よりも後方に配置された第2の集音素子と、前記第1の集音素子と前記第2の集音素子とを頂点とし前記第1の集音素子と前記第2の集音素子と結んだ線分を底辺とする略二等辺三角形の頂角に配置された第3の集音素子と、前記第1の集音素子と前記第2の集音素子とを頂点とし前記第1の集音素子と前記第2の集音素子とを結んだ線分を底辺とする略二等辺三角形の頂角であり且つ前記第1の集音素子と前記第2の集音素子と前記第3の集音素子とを頂点とする三角形の内側に配置された第4の集音素子とからなり、
前記生成手段は、前記第1の集音素子により得られた音声信号と前記第2の集音素子により得られた音声信号とから第1のチャンネルの音声信号を生成し、前記第1の集音素子により得られた音声信号と前記第4の集音素子により得られた音声信号とから第2のチャンネルの音声信号を生成し、前記第4の集音素子により得られた音声信号と前記第2の集音素子により得られた音声信号とから第3のチャンネルの音声信号を生成し、前記第2の集音素子により得られた音声信号と前記第3の集音素子により得られた音声信号とから第4のチャンネルの音声信号を生成し、前記第3の集音素子により得られた音声信号と前記第1の集音素子により得られた音声信号とから第5のチャンネルの音声信号を生成することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記第1の集音素子、前記第2の集音素子、前記第3の集音素子、前記第4の集音素子は、それぞれ略無指向性の集音特性を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記集音手段は、前記撮像装置の上面に配置されていることを特徴とする請求項1または2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記第1の集音素子と前記第2の集音素子と前記第3の集音素子とを頂点とする三角形の前記第1の集音素子の配置されている頂点の角度が略30度であって、前記第1の集音素子と前記第2の集音素子と前記第4の集音素子とを頂点とする三角形の前記第1の集音素子の配置されている頂点の角度が略60度から80度の間であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の撮像装置。
【請求項5】
前記生成手段は、前記第1の集音素子により得られた音声信号と前記第2の集音素子により得られた音声信号とからフロントセンターチャンネルの音声信号を生成し、前記第1の集音素子により得られた音声信号と前記第4の集音素子により得られた音声信号とからフロントレフトチャンネルの音声信号を生成し、前記第4の集音素子により得られた音声信号と前記第2の集音素子により得られた音声信号とからフロントライトチャンネルの音声信号を生成し、前記第2の集音素子により得られた音声信号と前記第3の集音素子により得られた音声信号とからサラウンドレフトチャンネルの音声信号を生成し、前記第3の集音素子により得られた音声信号と前記第1の集音素子により得られた音声信号とからサラウンドライトの音声信号を生成することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の撮像装置。
【請求項6】
前記生成手段は、前記第1の集音素子により得られた音声信号と前記第2の集音素子により得られた音声信号とからフロントセンターチャンネルの音声信号を生成し、前記第1の集音素子により得られた音声信号と前記第4の集音素子により得られた音声信号とからサラウンドライトチャンネルの音声信号を生成し、前記第4の集音素子により得られた音声信号と前記第2の集音素子により得られた音声信号とからサラウンドレフトチャンネルの音声信号を生成し、前記第2の集音素子により得られた音声信号と前記第3の集音素子により得られた音声信号とからフロントライトチャンネルの音声信号を生成し、前記第3の集音素子により得られた音声信号と前記第1の集音素子により得られた音声信号とからフロントレフトチャンネルの音声信号を生成することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の撮像装置。
【請求項7】
前記第1の集音素子、前記第2の集音素子、前記第3の集音素子とからなされる面は、前記撮像装置の底面に平行であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第1の集音素子、前記第2の集音素子、前記第4の集音素子とからなされる面は、前記撮像装置の底面に平行であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項記載の撮像装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2009−147533(P2009−147533A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−320957(P2007−320957)
【出願日】平成19年12月12日(2007.12.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】