説明

撮像装置

【課題】デジタル信号処理部に接続された表示部と、この表示部より時間を要する他の画像表示部と、2つの表示部の表示を切り換える切り替え部と、撮像素子駆動部の動作速度を設定するクロック信号供給部とを備えた撮像装置に特有の問題を解消する。
【解決手段】画像処理後の画像を一の表示形式で表示するLCD21と、LCD21よりもスミアに対する改善が要望されかつ一の表示形式での表示処理に要する時間よりも表示処理に時間を要する他の表示形式で画像を表示するEVF2とを備えている。デジタル信号処理部は、LCD21からEVF2への切り換えに応じて撮像素子駆動部は動作速度変更部と、撮像素子により取得された画像データのスミア検出部とを有する。デジタル信号処理部は、スミア検出部の検出結果に基づきスミアが検出されなかったときにはEVF2に画像を表示させる際の動作速度をLCD21に画像を表示させる際の動作速度に維持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
撮像装置としてのデジタルスチルカメラの多くのものは光学ファインダを搭載している。近年、デジタルスチルカメラの技術の分野では、その開発が、小型化、長焦点化の方向に向かって進展している。その光学ファインダには、撮像レンズ系を通った光に基づく被写体像を見る方式のTTL形式の光学ファインダと、このTTL形式の光学ファインダとは異なる形式の光学ファインダとがある。
【0003】
そのTTL形式以外の光学ファインダは、長焦点に対応させつつかつ小型のボディにフィットする構造を実現することが難しい。従って、光学ファインダを搭載しないデジタルスチルカメラや電子ビューファインダ(以下、EVFという)を搭載したデジタルスチルカメラが増えてきている。
【0004】
この種のデジタルスチルカメラは、被写体を撮像する撮像素子と、この撮像素子から画像データを読み出すために撮像素子を駆動する撮像素子駆動部と、撮像素子から出力された画像データが入力されて画像データを処理するデジタル信号処理部とを備えている。
【0005】
また、デジタルスチルカメラには、デジタル信号処理部に接続されて画像処理後の画像データを一の表示形式で表示する一の画像表示部と、デジタル信号処理部に接続されて一の表示形式での表示処理に要する時間よりも処理に時間を要する他の表示形式で画像処理後の画像データを表示する他の画像表示部と、一の画像表示部と他の画像表示部との間で撮像素子により取得された画像の表示先を切り換えるための画像切り替え部と、撮像素子駆動部の動作速度を設定するクロック信号供給部とを備えたものも知られている。
【0006】
例えば、撮像装置としてのデジタルスチルカメラには、画像表示部として電子ビューファインダ(以下、EVFという)と、液晶表示装置(以下、LCDという)とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
このデジタルスチルカメラでは、ユーザが被写体のリアルタイム画像を視認しつつ撮影操作を行うときには、EVF又はLCDに画像をライブビューで表示する際のフレームレートが基準フレームレートに設定されている。
【0008】
また、ユーザが被写体のリアルタイム画像を視認しつつ撮影操作を行わないときには、EVF又はLCDに画像をライブビューで表示する際のフレームレートが、基準フレームレートよりも低いフレームレートに設定されている。
【0009】
更に、このデジタルスチルカメラでは、バッテリ検知回路の検知結果に基づきフレームレートを低下させたり、撮像素子としてのCCDの露光時間に応じてフレームレートを低下させたりしている。
【0010】
これらの処理により、このデジタルスチルカメラでは、デジタルスチルカメラに内蔵の処理回路の画像処理に関する負担が軽減され、単位時間当たりの電力消費量が低減される。
【0011】
その結果、バッテリの有効活用を図ることができ、1枚でも多くの画像の記録保存が可能になっている。
【0012】
また、例えば、デジタルスチルカメラには、CPU(中央演算処理装置)により電源の出力インピーダンス特性値と大消費電流動作モードとを識別し、電源の出力インピーダンス特性値が基準値を超えかつ大消費電流動作モード期間では、CCDの駆動周波数を通常周波数よりも低く設定し、電源の出力インピーダンス特性値が基準値以下の場合にはAF評価値取得時のCCDの駆動周波数を通常周波数よりも高く設定する構成のものも知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0013】
このデジタルスチルカメラでは、電源の出力インピーダンス特性値が基準値を超えかつ大消費電流動作モード期間では、CCDの駆動周波数を通常周波数よりも低く設定されているので、安定して高品質の画像が取得可能である。また、電源の出力インピーダンス特性値が基準値以下の場合には、AF評価値取得時のCCDの駆動周波数が通常周波数よりも高く設定されているので、AF評価値取得が高速度で行なわれ、全体の撮像時間の短縮化を図ることができる。
【特許文献1】特開2004−15595号
【特許文献2】特開2004−64161号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで、EVFを従来のLCDと比較した場合には、以下に説明するような問題がある。
【0015】
図1は画像表示部としてのEVF2を備えたデジタルカメラ1の外観図を示している。このEVF2は、図2に示すように、表示素子として小型のLCD3と拡大レンズ光学系4とこれらを覆って外光を遮光する筒状のカバー部材5とから大略構成されている。
【0016】
このEVF2を従来からデジタルスチルカメラにおいてフレーミングの確認や撮影画像の鑑賞のために使用されてきた画像表示部としてのLCDとをモニタリングで使用する際について比較すると、EVF2は、従来のLCDの表示画面の大きさに較べてLCD3の表示画面の大きさが小さいので、画面全体を見渡し易い。
【0017】
また、EVF2は、そのLCD3と拡大レンズ光学系4とがカバー部材5によって覆われているので、従来のLCDに較べて屋外における視認性が良好である。
【0018】
EVF2は上記のようなメリットがあるが、構造的に出力遅延の生じない光学ファインダと比較される傾向にある。すなわち、EVF2は表示画面の大きさが小さいので、ユーザは小さな画面範囲を凝視することになり、被写体の動きに対する画面上の被写体像の動きのずれ(追従性の速さ)が問題視される。
【0019】
また、デジタルスチルカメラを用いて屋外で撮影を行う場合、従来のLCDでモニタリングを行う際には、問題視されなかったスミアがEVF2では問題視される傾向がある。
【0020】
そのスミアは、高輝度被写体が撮影フレーム内に存在する場合に画面全体の広範囲に渡って薄く尾を引くように生じるといわれている。
【0021】
デジタルスチルカメラを用いて屋外で撮影を行う場合であってかつ従来のLCDを用いてモニタリングを行う場合、従来のLCDではもともと視認性が良好でない条件のもとで視認するために、このスミアはほとんど問題視されなかった。
【0022】
これに対して、EVF2は遮光した状態でLCD3を視認することになり、従来のLCDに較べて視認性が良好な条件のもとで視認するので、スミアが目立つことになる。
【0023】
また、ユーザはEVF2を用いてモニタリングする際、光学ファインダでは生じない屋内蛍光灯やスポットライトの輝点に起因するスミアに対しても、違和感を感じるという問題がある。
【0024】
このように、EVF2を搭載したデジタルスチルカメラでは、従来のLCDと異なり、光学ファインダの代用として用いられるために、EVF2に固有の問題がある。
【0025】
また、画像データの出力手段の種類によっては、一般的なビデオフォーマット(例えば、CCIR−601形式、CCIR−656形式、8ビットRGBシリアル形式のビデオフォーマット)から実際に表示素子としてのLCDに表示するためのビデオフォーマットに表示形式を変換しなければならないデジタルスチルカメラもある。
【0026】
例えば、EVF2の表示素子として、強誘電性液晶からなるLCD3を使用する場合には、一般的なビデオフォーマットで出力手段から出力された画像データをLCD3の内部エンコーダ回路を用いてRGB面順次データに変換しなければならない。
【0027】
この強誘電性液晶からなるLCD3を使用する場合、ビデオフォーマットの変換を必要としない表示形式のLCDに較べて、撮影時点からLCD3の画面に表示される表示時点までに60分の1秒程度の遅れが生じる。
【0028】
ここでは、LCD3の内部エンコーダ回路を用いて画像データのビデオフォーマットを変換する構成としたが、デジタルスチルカメラの画像処理部でビデオフォーマットを変換する場合も遅れが生じる。
【0029】
更に、従来のLCDとEVF2に用いられるLCD3とでは、消費電力が異なっている。一般的に、表示素子の消費電力は異なる。例えば、LEDを光源として用いたLCDの場合、単位面積当たりの輝度を一定にするためには、画像表示面積が大きければ大きいほど、消費電力が大きくなることは明白である。
【0030】
表示素子で消費する電力は、撮像装置の全体で消費する電力の約4分の1程度を占めるため、表示素子で消費する電力が変化すると、撮像装置の全体で消費する電力に少なからず影響がある。
【0031】
デジタルスチルカメラの消費電力が、画像データの出力先の画像表示部の切り替えによって変化すると、或る条件のもとで電池の放電カーブ特性に基づき設定されたバッテリチェック電圧の設定値を、出力先の表示素子によって変更する必要がある。
【0032】
というのは、電池の残量が同じであっても、画像表示部によって消費される電力が少なければその分だけ、撮影に振り分けることができる電力が多くなり、その結果、より多くの個数の撮影画像を得ることができるからである。その逆に、電池の残量が同じであっても、画像表示部によって消費される電力が多くなればその分だけ、撮影に振り分けることのできる電力が少なくなり、その結果、撮影できる撮影画像の個数が少なくなる。
【0033】
このように、電池の残量に基づき残り何枚の画像を撮影できるかの目安に用いられるバッテリチェック電圧の設定値を、画像データの出力先の表示素子の種類によって変更することにより、適切な撮影枚数をユーザに知らせることができる。
【0034】
ところが、このように、出力先の画像表示部の消費電力特性が異なる毎に、設定値を変更することにすると、消費電力特性の異なる画像表示部が設けられている個数のメモリを準備し、このメモリに設定値を記憶保存させることが必要となり、メモリー容量の増大、ひいては、デジタルスチルカメラのコストが増加する。
【0035】
従って、遅延と共にスミアがきびしく問題視されるが消費電力は少ない画像表示部と遅延と共にスミアがきびしく問題視されないが消費電力が大きい画像表示部とを切り換え可能な撮像装置では、モニタリングの際に用いる表示素子によって撮像装置全体としての特性が変化することになる。
【0036】
本発明は、上記の事情に鑑みて為されたもので、被写体を撮像する撮像素子と、この撮像素子から画像信号を読み出すために撮像素子を駆動する撮像素子駆動部と、撮像素子から出力された画像信号が入力されて画像信号を処理するデジタル信号処理部と、このデジタル信号処理部に接続されて画像処理後の画像を一の表示形式で表示する一の画像表示部と、デジタル信号処理部に接続されて一の表示形式での表示処理に要する時間よりも表示処理に時間を要する他の表示形式で画像処理後の画像を表示する他の画像表示部と、一の画像表示部と他の画像表示部との間で画像の表示先を切り換えるための画像切り替え部と、撮像素子駆動部の動作速度を設定するクロック信号供給部とを備えた撮像装置に特有の問題を解消することにある。
【課題を解決するための手段】
【0037】
請求項1に記載の撮像装置は、被写体を撮像する撮像素子と、該撮像素子から画像信号を読み出すために前記撮像素子を駆動する撮像素子駆動部と、前記撮像素子から出力された画像信号が入力されて該画像信号を処理するデジタル信号処理部と、前記デジタル信号処理部に接続されて画像処理後の画像を一の表示形式で表示する一の画像表示部と、前記デジタル信号処理部に接続されてかつスミアに対する改善が前記一の画像表示部よりも要望されしかも前記一の表示形式での表示処理に要する時間よりも表示処理に時間を要する他の表示形式で画像処理後の画像を表示する他の画像表示部と、前記一の画像表示部と前記他の画像表示部との間で画像表示先を切り換えるための画像切り替え部と、前記撮像素子駆動部の動作速度を設定するクロック信号供給部とを備え、前記デジタル信号処理部は、前記一の画像表示部から前記他の画像表示部への画像表示先の切り換えに応じて前記撮像素子駆動部の動作速度を早くするための動作速度変更部と、前記撮像素子により取得された画像データに基づきスミアを検出するスミア検出部とを有し、前記デジタル信号処理部は、前記スミア検出部の検出結果に基づきスミアが検出されなかったときには前記他の画像表示部に画像を表示させる際の動作速度を前記一の画像表示部に画像を表示させる際の動作速度に維持させることを特徴とする。
【0038】
請求項2に記載の撮像装置は、被写体を撮像する撮像素子と、該撮像素子から画像信号を読み出すために前記撮像素子を駆動する撮像素子駆動部と、前記撮像素子から出力された画像信号が入力されて該画像信号を処理するデジタル信号処理部と、前記デジタル信号処理部に接続されて画像処理後の画像を一の表示形式で表示する一の画像表示部と、前記デジタル信号処理部に接続されて前記一の表示形式での表示処理に要する時間よりも表示処理に時間を要する他の表示形式で画像処理後の画像を表示する他の画像表示部と、前記一の画像表示部と前記他の画像表示部との間で画像表示先を切り換えるための画像切り替え部と、前記撮像素子駆動部の動作速度を設定するクロック信号供給部と、前記被写体の相対移動を検出する被写体移動検出部とを備え、前記デジタル信号処理部は、前記一の画像表示部から前記他の画像表示部への画像表示先の切り換えに応じて前記撮像素子駆動部の動作速度を早くするための動作速度変更部を有し、前記デジタル信号処理部は、前記被写体移動検出部により被写体が移動していないと検出されたときには、前記他の画像表示部に画像を表示させる際の動作速度を前記一の画像表示部に画像を表示させる際の動作速度に維持することを特徴とする装置。
【0039】
請求項3に記載の撮像装置は、被写体を撮像する撮像素子と、該撮像素子から画像信号を読み出すために前記撮像素子を駆動する撮像素子駆動部と、前記撮像素子から出力された画像信号が入力されて該画像信号を処理するデジタル信号処理部と、前記デジタル信号処理部に接続されて画像処理後の画像を一の表示形式で表示する一の画像表示部と、前記デジタル信号処理部に接続されて前記一の表示形式での表示処理に要する時間よりも表示処理に時間を要する他の表示形式で画像処理後の画像を表示する他の画像表示部と、前記一の画像表示部と前記他の画像表示部との間で画像表示先を切り換えるための画像切り替え部と、前記撮像素子駆動部の動作速度を設定するクロック信号供給部とを備え、前記デジタル信号処理部は、前記一の画像表示部から前記他の画像表示部への画像表示先の切り換えに応じて前記撮像素子駆動部の動作速度を早くするための動作速度変更部を有し、前記デジタル信号処理部は、撮影スイッチの第1段レリーズ操作に基づいて前記動作速度変更部にクロック信号周波数を増加させる処理を実行させることを特徴とする。
【0040】
請求項4に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置において、前記他の画像表示部の表示処理に要する消費電力が前記一の画像表示部の表示処理に要する消費電力よりも小さいことを特徴とする。
【0041】
請求項5に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置において、前記他の画像表示部の表示面積が前記一の画像表示部の表示面積よりも小さいことを特徴とする。
【0042】
請求項6に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置において、前記一の画像表示部が液晶表示装置であり、前記他の画像表示部が電子ビューファインダ装置であり、該電子ビューファインダ装置は表示素子と該表示素子に表示された画像を拡大する拡大光学系と、前記表示素子と前記拡大光学系とを覆って外光を遮光するカバー部材とを備えていることを特徴とする。
【0043】
請求項7に記載の撮像装置は、請求項1又は請求項2に記載の撮像装置において、前記デジタル信号処理部は、撮影スイッチの第1段レリーズ操作に基づいて前記動作速度変更部に動作速度を速くする処理を実行させることを特徴とする。
【0044】
請求項8に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置において、前記画像の表示先が前記他の画像表示部であるときの前記撮像素子の水平駆動周波数が前記画像の表示先が前記一の画像表示部であるときの水平駆動周波数の略2倍であることを特徴とする。
【0045】
請求項9に記載の撮像装置は、請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置において、前記一の画像表示部から前記他の画像表示部への画像の表示先の切り替えに応じて前記撮像素子の動作速度を速くしたときに消費される消費電力の増加分が前記一の画像表示部から前記他の画像表示部への画像の表示先の切り替えに応じて減少する消費電力の減少分と同程度であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0046】
請求項1に記載の発明によれば、画像処理後の画像を一の表示形式で表示する一の画像表示部と、一の表示形式で表示処理に要する時間よりも処理に時間を要する他の表示形式で画像処理後の画像を表示する他の画像表示部とを有し、一の画像表示部から他の画像表示部への画像表示先の切り換えに応じて撮像素子駆動部の動作速度を早くする撮像装置において、スミアが検出されなかったときには、そもそもスミアの発生を抑制するために動作速度を早くする必要はなく、他の画像表示部に画像を表示させる際の動作速度を一の画像表示部に画像を表示する際の動作速度に維持することにしたので、消費電力の増加を防止できる。その結果、少しでも多くの撮影画像を得ることができる。
【0047】
請求項2に記載の発明によれば、被写体の相対移動が検出されなかったときには、例えば、撮像装置が静止状態にあって被写体が撮像装置に対して移動している状態が検出されなかったとき、被写体が静止状態にあって被写体に対して撮像装置が移動している状態が検出されなかったときには、そもそも被写体の移動に対する被写体像の追従性を考慮する必要がなく、他の画像表示部に画像を表示する際の動作速度を一の画像表示部に画像を表示する際の動作速度に維持することにしたので、消費電力の増加を防止できる。その結果、少しでも多くの撮影画像を得ることができる。
【0048】
請求項3に記載の撮像装置によれば、撮影スイッチの第1段レリーズ操作に基づいて動作速度を速くする処理を実行させることにしたので、ユーザの撮影実行直前に動作速度を早くさせて、追従性の向上を図ることができ、その結果、少しでも消費電力の増加を防止でき、ひいては、多くの撮影画像を得ることができる。
【0049】
請求項4ないし請求項8に記載の発明によれば、請求項1ないし請求項3に記載の発明と同様の効果を奏する。
【0050】
請求項9に記載の発明によれば、一の画像表示部から他の画像表示部への画像表示先の切り替えに応じて撮像素子の動作速度を速くしたときに消費される消費電力の増加分が一の画像表示部から他の画像表示部への出力先の切り替えに応じて減少する消費電力の減少分と同程度であるので、画像表示部の切り替えに応じて消費される消費電力を切り替え前と同程度に保つことができ、1個のバッテリチェック電圧で電池の電圧残量を評価できるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0051】
以下に、本発明に係わる撮像装置としてのデジタルスチルカメラの発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。
【実施例】
【0052】
図3は本発明に係わる撮像装置としてのデジタルスチルカメラの概要を示すブロック回路図である。この図3において、10は撮像レンズ、11は撮像素子としてのCCD、12は相関二重サンプリング及びアナログデジタルコンバータ回路、13は撮像素子駆動部の一部を構成する垂直ドライバ、14は水晶発振器、15はクロック信号供給部としてのクロックジェネレータ(CLK_GEN)、16はデジタル信号処理部としてのデジタルシグナルプロセッサ、17はユーザインターフェース、18はROM、19はSDRAM、20は記録媒体、21はLCD、22はEVF2とLCD21とを切り換えるための切り替えスイッチ、23は手ぶれ検出用のジャイロセンサである。
【0053】
ユーザインターフェース17は撮影スイッチを含み、撮影スイッチを操作すると、第1段レリーズ操作で測光・測距が行なわれ、第2段レリーズ操作で撮影が実行される。
【0054】
タイミングジェネレータ・垂直ドライバ(TG・VDr)13、水晶発振器14、クロックジェネレータ15、撮像レンズ10、CCD11は撮像系を構成している。タイミングジェネレータ・垂直ドライバ(TG・VDr)13はクロックジェネレータ15からのマスタークロック信号によって駆動される。EVF2、LCD21は表示系を構成している。
【0055】
クロックジェネレータ15はデジタルシグナルプロセッサ16からの制御信号に基づきマスタークロック信号の周波数が可変制御される。デジタルシグナルプロセッサ16はプリ処理部16A、画像処理部16B、中央演算処理装置(CPU)16C、ビデオエンコーダ(VENC)部16D、ダイレクトメモリアクセスコントローラ(DMA_CONT)部16E、カードインターフェース16F、スミア検出部16G、動作速度変更部16Hを有する。
【0056】
ROM18にはデジタルスチルカメラを動作させるための制御プログラムが保存されている。この制御プログラムはデジタルスチルカメラの電源をオンすると、CPU16Cにロードされる。SDRAM19については後述することにし、記録媒体20にはカードインターフェース16Fに装着され、記録媒体20とデジタルシグナルプロセッサ16との間でデータ授受が行なわれる。
【0057】
ROM18、SDRAM19とデジタルシグナルプロセッサ16との間での情報授受はDMA_CONT部16Eを介して行なわれる。動作速度変更部16Hはクロックジェネレータ15に制御信号を出力する。垂直ドライバ13は撮像素子11と相関二重サンプリング及びアナログデジタルコンバータ回路12とに駆動信号を出力すると共に同期信号をデジタルシグナルプロセッサ16に同期信号を出力する。
【0058】
撮像レンズ10を通じて入射した被写体光は、撮像素子11に結像される。撮像素子11には、例えば、原色ベイヤ配列のものが用いられる。撮像素子11の受光面にはその被写体光の光量に対応して電荷が蓄積される。
【0059】
撮像素子11は駆動信号によって映像信号を相関二重サンプリング及びアナログデジタルコンバータ回路12に出力する。相関二重サンプリング及びアナログデジタルコンバータ回路12はその映像信号をアナログデジタル変換して画像データとしてデジタルシグナルプロセッサ16に出力する。デジタルシグナルプロセッサ16はその画像データに所定の処理を行ってEVF2又はLCD21に向かって出力する。
【0060】
ここでは、LCD21はデジタルシグナルプロセッサ16により画像処理された画像処理後の画像データが一の表示形式で表示する一の画像表示部である。EVF2はデジタルシグナルプロセッサ16により画像処理された画像処理後の画像データが他の表示形式で表示される他の画像表示部である。
【0061】
ここでは、EVF2はスミアに対する改善が要望されかつ一の表示形式での表示処理に要する時間よりも表示処理に時間を要する他の画像表示部でもある。EVF2のLCD3の表示面積はLCD21の表示面積よりも小さい。また、EVF2により画像表示を行う際の消費電力はLCD21により画像表示を行う際の消費電力よりも小さい。
【0062】
図4はLCD21に画像を表示させて被写体をモニタリングしているときのデジタルスチルカメラの動作タイミングチャートを示している。
【0063】
その図4(a)において、VDは垂直同期信号を示している。ここでは、1垂直同期期間(1VD)は約33.33ミリ秒(msec)に設定されている。この1垂直同期期間は1画面分の最大露光時間に対応している。この1垂直同期期間(1VD)は、露光によって撮像素子11に蓄積された1画面分の画像データに対応する信号電荷を転送するのに要する時間から定められている。
【0064】
1画素を転送するのに要する時間は、例えば、ビデオグラフィックスアレイ(VGA)タイプのCCDの場合、有効画素数が(640×480)画素であるので、約108(=(33.33×106)/(640×480))ナノ秒(nsec)となる。周波数はこの1画素転送時間の逆数であるので、水平駆動周波数は約9.2MHzとなる。一般に、デジタルスチルカメラに用いられるCCDの場合、水平駆動周波数は最速で36MHz程度である。
【0065】
その理由は、水平駆動周波数をこれ以上早くすると、撮像系の消費電力が急激に増大し、電池駆動のデジタルスチルカメラに用いるのは好ましくないからである。
【0066】
なお、VGAタイプのCCDの場合、水平駆動周波数が通常約9.2MHzであるので、その3倍の水平駆動周波数で駆動したとしても、27.6MHzであり、撮像系の消費電力が急激に増大するという問題は生じない。
【0067】
図4(b)に示すように、モニタリング時には、所定期間の間、電子シャッターパルスによって、CCD11の各画素部11A(図5参照)に蓄積された信号電荷が掃き出され、電子シャッターパルスがオフされた時点からCCD11の各画素部に信号電荷の蓄積が開始される。
【0068】
ついで、適正露光量に対応する信号電荷が各画素部11Aに蓄積されると、各画素部11Aに蓄積された信号電荷は垂直同期信号VDの立ち下がりのタイミングで図5に示すように垂直転送部11Bに転送され、垂直転送部11Bに転送された信号電荷は1ラインずつ水平転送部11Cに垂直転送される。1ライン分の水平転送が終わると次のラインの信号電荷が垂直転送部11Bに転送され、ついで、垂直転送部11Bに転送された信号電荷が水平転送され、この繰り返しにより、1画面分の画像信号の転送が行われる。
【0069】
この1画面分の画像データは、デジタルシグナルプロセッサ16に入力され、SDRAM19に記憶される。より詳細に説明すると、CCD11から出力された映像信号は、相関二重サンプリング及びアナログデジタルコンバータ回路12のCDS回路(相関二重サンプリング回路)において1画素単位でサンプリングされ、次段のA/D変換回路に入力される。
【0070】
CCD11から出力された映像信号は、このA/D変換回路によって、アナログ・デジタル変換され、デジタル画像データ(RGB画像データ)としてデジタルシグナルプロセッサ16に入力される。シグナルプロセッサ16のプリ処理部16Aにおいては、黒レベルを揃えるためのペデスタル処理、ホワイトバランス調整のためのRGB積算値の取得処理が行われる。
【0071】
オートフォーカス機能を有するデジタルスチルカメラでは、これらの処理に加えて、デジタルシグナルプロセッサ16の回路部(図示を略す)で、オートフォーカス用の微分データを得るためのフォーカスデータの取得処理が行われる。
【0072】
デジタルシグナルプロセッサ16に入力された画像データは、これらの取得処理が行われた後、ダイレクトメモリアクセスコントローラ(DMA_CONT)部16Eを介して一旦SDRAM19にRGB画像データのまま保存される。
【0073】
これらの処理は、ほぼリアルタイムで処理されるため、この図4(c)に示すように、次の垂直同期信号VDの期間内に行われる。その図4(c)はCCD11から出力された映像信号がSDRAM19に画像データとして保存されるまでの状態を模式的に示している。なお、その図4(b)において、符号a、b、c、d、eはモニタリングの際に得られた適正露光量の画像データを意味している。
【0074】
SDRAM19に一旦保存された画像データ(RGB画像データ)は、次の1垂直同期VD内に図4(d)に示すように、ダイレクトメモリアクセスコントローラ(DMA_CONT)部16Eを介して画像処理部16Bに転送される。画像処理部16Bは、その画像データにホワイトバランス処理、γ変換処理、色補間処理、色変換処理、リサイズ処理を施す。ここでは、色変換処理とは、RGB画像データをYCrCb画像データに変換することをいう。リサイズ処理とは、画像データのサイズを出力先に適合する画像サイズに変換することをいう。そのYCrCb画像データは再度SDRAM19に保存される。
【0075】
8bitRGB画像データのデジタルインターフェース方式を採用する一般的な従来のLCD21の場合、SDRAM19に保存されたYCrCb画像データはビデオエンコーダ(VENC)部16Dに転送される。そして、このYCrCb画像データはビデオエンコーダ(VENC)部16Dにより色変換処理が施される。すなわち、YCrCb画像データはRGB画像データに変換される。ビデオエンコーダ(VENC)部16Dは、撮像系と表示系とが非同期であっても、画像表示に支障が生じないようにダブルバッファメモリ(図示を略す)を有している。
【0076】
ダブルバッファメモリに一時的に保存された画像データは図4(e)に示す表示系の垂直同期信号VD’の発生に基づき図4(f)に示すようにLCD21に転送される。これにより、画像データaに基づく画像がLCD21の表示面に表示される。ここでは、表示系の垂直同期信号VD’の周期は、図4(e)に示すように60フレームパーセカント(fps)、撮像系の垂直同期信号VDの周期はその半分の30フレームパーセカント(fps)とされている。この撮像系の垂直同期信号VDの周期はビデオインターフェースとして通常使用するCCIR−601やCCIR−656の周期と同じである。表示系の垂直同期信号VD’の周期は約16.67msecである。ここでは、撮像系の垂直同期信号VDの2倍の周期毎に見て、撮像系の垂直同期信号VDに対する表示系の垂直同期信号VD’のずれ時間は6.67msecに設定されているものとする。
【0077】
この条件のもとで、図4(a)に示すように、画像aに注目すると、CCD11からの画像データの読み出しからLCD21の表示面に画像データが表示されるまでの遅れ時間は73.33msecとなる(33.33msec+33.33msec+6.67msec)。
【0078】
モニタリング中に撮像された画像a、b、c、d、e…はデジタルシグナルプロセッサ16により上記の各処理が行われた後、順次LCD21に送られて、LCD21に表示される。ここでは、デジタルシグナルプロセッサ16は、画像aに続く画像b…がLCD21に転送されるまでの間、図4(f)に示すように、同一の画像aが引き続きLCD21に表示されるように、ビデオエンコーダのダブルバッファメモリを制御する。
【0079】
図6は、切替スイッチ22を操作して、LCD21に画像を表示させる状態からEVF2に画像データを表示させて、被写体をモニタリングしているときに生じる問題を説明するためのデジタルスチルカメラのタイミングチャートを示している。
【0080】
ここでは、このEVF2にはLCD21と同様に8bitRGB画像データが入力されるものとする。また、EVF2はその内部回路で一旦この8bitRGB画像データの一画面分を保存するものとする。更に、EVF2はRGB面順次データに基づきLCD3を点灯させるタイプのものを採用する。
【0081】
図6(a)から図6(e)までの処理は図4(a)から図4(e)までの処理と同様である。EVF2には表示面積は小さいが解像度が要求されるLCD3が用いられている。このLCD3では、人間の眼の残存特性を利用して、1個の画素をRGB面順次データを用いて点灯させることにより見掛けの解像度を向上させながら、1画素当たりの面積を確保する方式を採用している。
【0082】
従って、EVF2では、入力された8bitRGB画像データをRGB面順次データにエンコードするための時間が必要となる。この時間として、図6(f)に示すように、表示系の1垂直同期信号(1VD’)期間が要求される。その結果、EVF2では、図4に示す遅れ時間に対して、EVF2における画面表示は更に16.66msecだけ遅れることになる。
【0083】
従って、図6(a)に示すように、画像aに注目すると、CCD11からの画像データの読み出しからEVF2のLCD3の表示面に画像データが表示されるまでの遅れ時間t_delayは89.99msecとなる。なお、その図6(f)において、符号(a→a’)、(b→b’)は8bitRGB画像データを面順次画像データに変換することを意味し、図6(g)において、a’(R)、a’(G)、a’(B)、b’(R)、b’(G)、は面順次画像データによる画像の表示を示している。
【0084】
光学ファインダの代替として使用されるEVF2では、t_delayがLCD21よりも長いと非常に違和感があり、撮影タイミングもとりにくくなる。また、EVF2ではカバー部材5の奥にLCD3が配置され、カバー部材5を覗き込むようにして、画像の観察を行うため、屋外では視認性が良好でないために問題となることがほとんど少なかった高輝度被写体のフレーミング時に希に発生する薄いスミアが気になることがある。また、EVF2では相対的に小さな表示素子としてのLCD3を凝視するので、スポットライト等の点光源がフレーム内に入った場合に生じる通常のスミアが気になることもある。
【0085】
その一方、EVF2は、画像表示面積が小さく、外光が遮光されているので、LCD21よりも表示に要する消費電力が少ない。EVF2とLCD21とでは、その消費電力が大きく異なるので、電池の放電特性が変化する。従って、ROM18に複数個のバッテリチェックテーブルを保存する必要がある。このため、ROM18の容量の増大を招く。
【0086】
そこで、本発明の実施例では、図4(a)に示すLCD21を駆動するときの撮像系の水平同期信号の駆動周波数9.2MHzに対して、図7(a)に示すようにEVF2を駆動するときの撮像系の水平同期信号の駆動周波数を18.4MHzに設定している。撮像系の水平駆動周波数を18.4MHZに設定すると、CCD11の露光の状態は図7(b)に示すようになる。また、CCD11からSDRAM19への保存処理は図7(c)、図7(d)に示すようになり、表示処理に要する時間は図7(f)に示すようになる。このようにEVF2を駆動するときの撮像系の水平同期信号の駆動周波数をLCD21を駆動するときの撮像系の水平同期信号の駆動周波数9.2MHzの2倍に設定すると、表示系の水平駆動周波数をそのままとして、CCD11からの画像データの読み出しからEVF2のLCD3の表示面に画像データが表示されるまでの遅れ時間t_delayを56.66msecに短縮できることになる。
【0087】
EVF2の水平駆動周波数を高く設定すると、LCD21を用いた場合に生じる表示遅れに対してより一層表示遅れを改善することができ、原理的に遅れ時間の生じない光学ファインダー系の表示状態に近づけることができる。
【0088】
次に、撮像画像中に、スミアが発生する状態を図8を参照しつつ説明する。
【0089】
図8において、符号Q1はCCD11に撮影された被写体画像(撮影画像)を示している。CCD11上の被写体画像Q1は天地逆さまの状態となっている。被写体画像Q1中に高輝度被写体像Q1’が存在するものとする。また、その図8において、斜線部はアルミ蒸着膜で画素部(フォトダイオード)11Aが覆われたオプティカルブラック領域OBとする。
【0090】
画素部11Aは、光が入射しないようにアルミ蒸着膜で被覆されているので、通常は、このオプティカルブラック領域OBで被覆された画素部11Aから信号電荷が出力されることはなく、このオプティカルブラック領域OBで被覆された画素部11Aから信号電荷の出力はほぼゼロである。
【0091】
この被写体画像Q1の垂直転送部11B上での被写体画像の転送状態が、図8において符号Q2〜Q9で示されている。符号Q2ないし符号Q9は90分の1秒毎の画像転送状態を示し、30分の1秒毎に1フレームの画像の垂直転送が実行される。
【0092】
スミアが発生していない状態から垂直転送部11Bへ画像の転送が開始された時刻をt=t0として、一水平ライン分の信号電荷の垂直転送を行い、垂直転送によりオプティカルブラック領域OBで被覆された画素部11Aを含む最下段(図5では最左方)の信号電荷は水平転送部11Cへ送られる。
【0093】
水平転送部11Cに送られた信号電荷は逐次図示を略すアンプリファイアに送られた後、相関二重サンプリング及びアナログデジタルコンバータ回路12に送られる。この転送動作を垂直転送部11Bの段数分だけ繰り返し行うことにより一画面分の信号電荷が読み出される。
【0094】
一水平ライン分の信号電荷が読み出されるまでに、水平画素数×1画素分を水平転送するのに要する時間がかかることになる。その間、高輝度被写体に基づきスミア成分が生成される。
【0095】
その結果、90分の1秒後には、符号Q1”で示すように、高輝度被写体の垂直転送とは逆側に尾を引いて延びるいわゆるスミアが生じる。
【0096】
30分の1秒後には、一画面の読み出しが終了する。すると、次の一フレームの画像の読み出しが開始されるが、スミア成分が垂直転送部11Bに残っているために、高輝度被写体から垂直転送部11Bに向かう方向に延びるスミアQ1”に基づく信号電荷が次の画像に基づく信号電荷に加わることになる。
【0097】
このようにして、高輝度被写体像Q1’を中心にして、垂直転送部の延びる方向と直交する方向に延びるスミアQ1”が生じることとなる。スミアQ1”は、通常出力が0であるべきはずのオプティカルブラック領域OBに存在する画素部11Aにおいても発生する。
【0098】
スミア検出部16Gはこのオプティカルブラック領域OBに存在する画素部11Aの信号電荷が所定閾値以上であるか否かによりスミアの有無を判断する。
【0099】
このオプティカルブラック領域OBに存在する画素部11Aの信号電荷がスミアに起因するものであるか暗電荷に起因するものであるか否かを識別するために、このオプティカルブラック領域OBに存在する画素部11A複数箇所の信号電荷を比較する。
【0100】
このように、スミア検出部16Gはこのオプティカルブラック領域OBに存在する画素部11Aの信号電荷が所定閾値以上であるか否かによりスミアの有無を判断する。
【0101】
デジタル信号処理部11はそのスミア検出部16Gの検出結果に基づき、スミアが検出されなかったときには、EVF2へ画像表示させる際のクロック信号の周波数をLCD21へ画像表示させる際のクロック信号周波数である9.2MHzに維持する。
【0102】
これにより、消費電力の増加を防止できる。その結果、少しでも多くの撮影画像を得ることができる。
【0103】
また、デジタルシグナルプロセッサ16に、被写体の相対移動を検出する被写体移動検出部としての機能を持たせても良い。被写体の相対移動は、画面全体の動きベクトルを算出するという画像処理技術を用いて達成できる(例えば、特開2003−78807号公報参照)。
【0104】
この被写体相対移動検出処理により、被写体に対するデジタルスチルカメラの相対移動、例えば手ぶれによる移動、デジタルスチルカメラが静止状態で被写体がデジタルスチルカメラに対して相対的移動を検出できる。
ジャイロセンサ23の検出結果に基づき、被写体が撮像装置に対して、相対移動していないと判断されたときには、EVF2へ画像表示させる際のクロック信号の周波数をLCD21へ画像表示させる際のクロック信号周波数である9.2MHzに維持する。これによっても、消費電力の増加を防止できる。その結果、少しでも多くの撮影画像を得ることができる。
【0105】
なお、EVF2に画像表示させる際、ユーザインタフェースI/F17の撮影スイッチの第1段のレリーズ操作によっても、デジタルシグナルプロセッサ16がクロック信号周波数を増加させる処理を実行させても良い。
【0106】
このように構成すると、ユーザの撮影実行直前にクロック信号周波数を増加させて、追従性の向上を図ることができ、その結果、少しでも消費電力の増加を防止でき、ひいては、多くの撮影画像を得ることができる。
【0107】
更に、LCD21からEVF2への出力先の切り替えに応じて撮像素子11の動作速度を速くしたときに消費される消費電力の増加分がLCD21からEVF2への出力先の切り替えに応じて減少する消費電力の減少分と同程度としても良い。
【0108】
このように構成すると、画像表示部の切り替えに応じて消費される消費電力を切り替え前と同程度に保つことができ、1個のバッテリチェック電圧で電池の電圧残量を評価できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】従来のデジタルスチルカメラの外観を示す図である。
【図2】図1に示す電子ビューファインダ装置の概略構造を示す断面図である。
【図3】本発明の一実施例に係わるデジタルスチルカメラのブロック回路を示す概要図である。
【図4】本発明の一実施例に係わるデジタルスチルカメラのLCDのモニタリング動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図5】撮像素子から読み出される信号電荷の転送状態を示す模式図である。
【図6】従来のデジタルスチルカメラのEVFのモニタリング動作の問題点を説明するためのタイミングチャートである。
【図7】本発明の一実施例に係わるデジタルスチルカメラのEVFのモニタリング動作を説明するためのタイミングチャートである。
【図8】スミアの発生を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0110】
2…EVF(他の画像表示部)
16…デジタルシグナルプロセッサ(デジタル信号処理部)
21…LCD(一の画像表示部)
13…垂直ドライバ(撮像素子駆動部)
16G…スミア検出部
16H…動作速度変更部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像する撮像素子と、
該撮像素子から画像信号を読み出すために前記撮像素子を駆動する撮像素子駆動部と、
前記撮像素子から出力された画像信号が入力されて該画像信号を処理するデジタル信号処理部と、
前記デジタル信号処理部に接続されて画像処理後の画像を一の表示形式で表示する一の画像表示部と、
前記デジタル信号処理部に接続されてかつスミアに対する改善が前記一の画像表示部よりも要望されしかも前記一の表示形式での表示処理に要する時間よりも表示処理に時間を要する他の表示形式で画像処理後の画像を表示する他の画像表示部と、
前記一の画像表示部と前記他の画像表示部との間で画像表示先を切り換えるための画像切り替え部と、
前記撮像素子駆動部の動作速度を設定するクロック信号供給部とを備え、
前記デジタル信号処理部は、前記一の画像表示部から前記他の画像表示部への画像表示先の切り換えに応じて前記撮像素子駆動部の動作速度を早くするための動作速度変更部と、前記撮像素子により取得された画像データに基づきスミアを検出するスミア検出部とを有し、
前記デジタル信号処理部は、前記スミア検出部の検出結果に基づきスミアが検出されなかったときには前記他の画像表示部に画像を表示させる際の動作速度を前記一の画像表示部に画像を表示させる際の動作速度に維持させることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
被写体を撮像する撮像素子と、
該撮像素子から画像信号を読み出すために前記撮像素子を駆動する撮像素子駆動部と、
前記撮像素子から出力された画像信号が入力されて該画像信号を処理するデジタル信号処理部と、
前記デジタル信号処理部に接続されて画像処理後の画像を一の表示形式で表示する一の画像表示部と、
前記デジタル信号処理部に接続されて前記一の表示形式での表示処理に要する時間よりも表示処理に時間を要する他の表示形式で画像処理後の画像を表示する他の画像表示部と、
前記一の画像表示部と前記他の画像表示部との間で画像表示先を切り換えるための画像切り替え部と、
前記撮像素子駆動部の動作速度を設定するクロック信号供給部と、
前記被写体の相対移動を検出する被写体移動検出部とを備え、
前記デジタル信号処理部は、前記一の画像表示部から前記他の画像表示部への画像表示先の切り換えに応じて前記撮像素子駆動部の動作速度を早くするための動作速度変更部を有し、
前記デジタル信号処理部は、前記被写体移動検出部により被写体が移動していないと検出されたときには、前記他の画像表示部に画像を表示させる際の動作速度を前記一の画像表示部に画像を表示させる際の動作速度に維持することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
被写体を撮像する撮像素子と、
該撮像素子から画像信号を読み出すために前記撮像素子を駆動する撮像素子駆動部と、
前記撮像素子から出力された画像信号が入力されて該画像信号を処理するデジタル信号処理部と、
前記デジタル信号処理部に接続されて画像処理後の画像を一の表示形式で表示する一の画像表示部と、
前記デジタル信号処理部に接続されて前記一の表示形式での表示処理に要する時間よりも表示処理に時間を要する他の表示形式で画像処理後の画像を表示する他の画像表示部と、
前記一の画像表示部と前記他の画像表示部との間で画像表示先を切り換えるための画像切り替え部と、
前記撮像素子駆動部の動作速度を設定するクロック信号供給部とを備え、
前記デジタル信号処理部は、前記一の画像表示部から前記他の画像表示部への画像表示先の切り換えに応じて前記撮像素子駆動部の動作速度を早くするための動作速度変更部を有し、
前記デジタル信号処理部は、撮影スイッチの第1段レリーズ操作に基づいて前記動作速度変更部にクロック信号周波数を増加させる処理を実行させることを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
前記他の画像表示部の表示処理に要する消費電力が前記一の画像表示部の表示処理に要する消費電力よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記他の画像表示部の表示面積が前記一の画像表示部の表示面積よりも小さいことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記一の画像表示部が液晶表示装置であり、前記他の画像表示部が電子ビューファインダ装置であり、該電子ビューファインダ装置は表示素子と該表示素子に表示された画像を拡大する拡大光学系と、前記表示素子と前記拡大光学系とを覆って外光を遮光するカバー部材とを備えていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記デジタル信号処理部は、撮影スイッチの第1段レリーズ操作に基づいて前記動作速度変更部に動作速度を速くする処理を実行させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記画像の表示先が前記他の画像表示部であるときの前記撮像素子の水平駆動周波数が前記画像の表示先が前記一の画像表示部であるときの水平駆動周波数の略2倍であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記一の画像表示部から前記他の画像表示部への画像の表示先の切り替えに応じて前記撮像素子の動作速度を速くしたときに消費される消費電力の増加分が前記一の画像表示部から前記他の画像表示部への画像の表示先の切り替えに応じて減少する消費電力の減少分と同程度であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−33310(P2009−33310A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−193192(P2007−193192)
【出願日】平成19年7月25日(2007.7.25)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】