説明

撮像装置

【課題】 正確にレンズの交換時期を判別し、表示できるカメラ装置を提供することにある。
【解決手段】 レンズ41と、このレンズ41で撮影される撮影画像を調整するための機構を駆動する駆動部を有する撮像装置2において、前記駆動部43、45、46が駆動するときに、駆動部の移動駆動量を受けて累積駆動量として蓄積する累積駆動量蓄積手段47、61と、駆動部の交換時期を判断するための予め定められた交換目安量を記憶し、この交換目安量と前記累積駆動量とを比較し、前記累積駆動量が前記交換目安量を超えた時に警告を行う警告手段58とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、撮影画像を調整するための機構を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、監視等で用いられるビデオカメラや一般のカメラでは、レンズを駆動することにより撮影画像を調整するための機構として、絞り機能、フォーカス機能、ズーム機能を実現するための機構が含まれている。これらの絞り機能、フォーカス機能、ズーム機能等の駆動部については、撮像装置を使用している時に駆動される部分であるため、経年変化により磨耗が発生し、所定の時期に交換が必要となっている。
【0003】
従来技術として、レンズ交換型一眼レフカメラのレンズ交換についての累積絞り動作回数を記録しておき、その回数が補償動作回数を超えた時に警告メッセージを表示してレンズの交換を促す技術がある。
【特許文献1】特開2005−140914号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来技術では、レンズ交換の時期を絞り動作の回数で判断している。このため、絞り動作の作量が少ない場合であっても、回数が多いと補償動作回数に近づいたとして警告を出すことになり、実際に絞り機構の磨耗が少なくても交換となってしまう。また、レンズユニットには、駆動部分として、絞り以外にも、ズーム機能やフォーカス機能があり、こちらの部分についての磨耗については、なんら考慮されていなかった。
【0005】
この発明の目的は、より正確にレンズの交換時期を判別し、表示できるカメラ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記した課題を解決するために、この発明に係る撮像装置では、レンズと、このレンズで撮影される撮影画像を調整するための機構を駆動する駆動部を有する撮像装置において、前記駆動部が駆動するときに、駆動部の移動駆動量を受けて累積駆動量として蓄積する累積駆動量蓄積手段と、駆動部の交換時期を判断するための予め定められた交換目安量を記憶し、この交換目安量と前記累積駆動量とを比較し、前記累積駆動量が前記交換目安量を超えた時に警告を行う警告手段とを有することを特徴とする。
【0007】
このような構成を有することにより、駆動部の累積移動量により交換時期を判断しているため、カメラ装置のレンズ交換時期を適切に把握できるようにする。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように、本発明では撮像装置のレンズ交換時期を知ることが可能となる。また駆動部ごとに寿命を把握できるので、より正確な寿命の判定が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、この発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1の実施の形態>:監視カメラ、EEPROMがレンズユニット側
まず、本発明を第1の実施の形態として、本発明を監視カメラシステムに適用した場合について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態におけるシステム構成図を示すブロック図である。
【0010】
図において、監視カメラシステムでは、ネットワーク1を中心に複数のカメラ等で構成される撮像装置2と、モニタを備えた少なくとも一つの監視制御局3が接続される。ここでネットワーク1は、インターネットや、一般の公衆回線、専用回線のいずれでもよい。このような構成で、監視制御局3では、監視したいカメラ2を適宜切り替えて、監視を行えるようになっている。
【0011】
次に、撮像装置2の構成について説明する。
図2は、第1の実施の形態における撮像装置の構成を示すブロック図である。
撮像装置2は、撮像レンズを含むレンズユニット4と、カメラ本体5から構成されている。そして、レンズユニット4はレンズ部分の他に、映像を調整するための駆動部である絞り機構、フォーカス機構、ズーム機構が設けられている。そして、駆動部である絞り機構、フォーカス機構、ズーム機構のいずれかが寿命となった場合に、レンズユニット4の交換が可能となっている。
【0012】
図2において、まずレンズユニット4について説明する。
41は、複数のレンズから構成されるレンズ部である。42はレンズの前段に置かれ、開度を調整することによりレンズに入力される被写体の露光量を調整するための絞り、43は絞り42を駆動する絞り駆動コイル、44は絞り42の開度を検出するホール素子である。これら絞り42、絞り駆動コイル43、ホール素子44で構成される絞り機能は、カメラ本体5からの制御により、絞り駆動コイル43が動作することにより絞り42が駆動し、開度を変更することにより、レンズ1で撮像する露光量を多段階に調整できるようになっている。また、ホール素子44を用いて絞り42の開度を検出することにより、露光量は検出できるようになっている。
【0013】
また、45はレンズ部41内のいずれかのレンズの位置を移動させて焦点距離を調整するためのフォーカス機構であるフォーカス駆動モータ(ステッピングモータで構成)、46はレンズ部41内のいずれかのレンズを移動させて拡大率を調整するためのズーム機構であるズーム駆動モータ(ステッピングモータで構成)である。
【0014】
更に、47は駆動部である絞り機構、フォーカス機構、ズーム機構の累積移動量等を記憶した累積駆動量蓄積手段である不揮発性メモリ(以下、EEPROM)である。ここで、図3は累積移動値と閾値を記憶したテーブル例である。図3に示すように、EEPROM47には、絞り機構、フォーカス機構、ズーム機構のそれぞれについて、現状までの累積移動量Ia、Fa、Zaと、レンズ交換の目安となる交換目安量が記憶されている。交換目安量は、交換時期が近づいていることを示す警報を出すための閾値(概ね、レンズの動作補償がされている累積移動量の7〜8割程度の値:どの程度の値とするかは適宜、設定可)である閾値1(I1、F1、Z1)と、レンズ交換時期に達したことを示す警報を出すための閾値(レンズの動作保証時間)となる閾値2(I2、F2、Z2)が記憶されている。なお、本実施の形態では、閾値は2種類設けているが、上記閾値のいずれか一方でもよい。
【0015】
次に、カメラ本体5の構成について説明する。51は、レンズ部1を介して取り込まれた映像を光電変換して映像信号とする撮像素子である。撮像素子51の一例としては、CCD(Charge-Coupled Devices)センサやCMOSセンサで構成される。
【0016】
52は撮像素子51から出力されるアナログ映像信号をデジタル信号に変換する、A/D変換器、53はデジタル化された映像信号に対して信号処理を行う信号処理回路(以下、DSP)である。54は、DSP53から出力された信号をネットワーク2を介して監視制御局3に送信するための送信部である。
【0017】
また、55は、絞り駆動コイル43の制御を行う絞り駆動制御部、56はフォーカス制御モータ45を制御してフォーカス機構を制御するフォーカス駆動制御部、57はズーム駆動モータ46を制御してズームの制御を行うズーム駆動制御部である。
【0018】
58はカメラ全体の制御を行う制御部(CPU)である。59はデータを各駆動部の移動量を一時的に保存するRAMである。60は警報を報知するためのLEDである。ここで、LED60は必ずしも必要ではなく、撮像装置の用途によっては設けなくてもかまわない。
【0019】
次に、図4を用いて、監視制御局3の構成について、説明する。
監視制御局3は、31は監視制御局3全体の制御を行うCPU、32は撮像装置2から送信されてきた映像信号を受信するための受信部、33は受信部32で受信した映像信号に対して所定の信号処理を行うDSP、34はDSP33から出力される映像信号に対して撮像装置2から送信されてきた警報情報等を重畳して表示するためのOSD回路、35はOSD回路34から出力された画像を表示するためのモニタである。また、36は監視したい撮像装置2を選択したり各種操作を行うための操作部、37は、監視システムに必要な各種データや映像を記憶しておくデータ記憶部である。
【0020】
次に動作について、図5を用いて説明する。
レンズユニット4の絞り42で露光量が調整されてレンズ部41を介して取り込まれた映像は、カメラ本体5の撮像素子2へ導かれ、この撮像素子2によって光電変換されてアナログ映像信号となる。
【0021】
撮像素子2から出力されたアナログ映像信号は、A/D変換器4に入力され、ここでデジタル信号に変換される。そして、このデジタル信号はDSP53へ供給され、ガンマ補正やホワイトバランスなどの映像信号処理が施された後、所定の映像フォーマットにエンコードされる。そして、送信部54により、送信に必要な信号処理を行った後、ネットワーク1を介して監視制御局3に送信される。
【0022】
このような状況で、監視制御局3からの操作等や、撮像装置自体が有するオート機能(AE、AF:オートフォーカス、自動のズーム機能等)により、絞り、フォーカス、ズームのいずれかが動作する状況について説明する。
【0023】
まず、絞り42が駆動する場合は、カメラ本体5のCPU58が動作させたい絞りの量を認識し、その量を絞り機構制御部55に対して出力する。これを受けた絞り機構制御部55は、CPU58からの指示に基づいた電圧を、絞り駆動コイル43に対して送信する。絞り駆動コイル43は受けた電圧により絞り42を開く(または閉じる)ことにより、露光量が変更される(S1)。この時、ホール素子44が絞り42の開度を検出し、CPU58に伝送する。CPU58では、ホール素子44で検出した絞りの開度と動作前の開度の差から、絞りの移動量を求め、絞り移動量IとしてRAM59に記憶する(S2)。
【0024】
次に、フォーカス機構を駆動する場合は、カメラ本体5のCPU58が動作させたいフォーカスの量を認識し、その量をステッピングモータのステップ数に換算した値を、フォーカス機構制御部56に対して送信する。これを受けたフォーカス機構制御部56は、CPU58からの指示に基づく数のフォーカス駆動パルスをフォーカス駆動モータ45に対して送信する。フォーカス駆動モータ45ではフォーカス駆動パルスの数だけレンズ部41の中の所定レンズを移動させることにより、レンズ部41のフォーカスが変更される(S3)。一方、CPU58は、フォーカス機構制御部56に送出したステップ数を、フォーカスの移動量FとしてRAM59に記憶する(S4)。
【0025】
次に、ズーム機構を駆動する場合は、カメラ本体5のCPU58が動作させたいズームの量を認識し、その量をステッピングモータのステップ数に換算した値として、ズーム機構制御部57に対して送信する。これを受けたズーム機構制御部57は、CPUからの指示に基づく数のズーム駆動パルスをズーム駆動モータ46に対して送信する。ズーム駆動モータ46ではズーム駆動パルスの数だけレンズ部41の中の所定レンズを移動させることにより、ズームが変更される(S5)。一方、CPU58では、ズーム機構制御部57に送出したステップ数を、ズームの移動量ZとしてRAM59に記憶する(S6)。
【0026】
このようにしてRAM59に、絞りの移動量I、フォーカスの移動量F、ズームの移動量Zを記憶していく。そして、一定時間経過毎すると、CPU58はカメラユニット4のEEPROM47に記憶されているそれまでの累積移動量Ia、Fa、Zaに対して、RAM59に記憶された絞りの移動量I、フォーカスの移動量F、ズームの移動量Zの値を加算し、新たな累積移動量として、書き込みを行い(S7、S8、S9)。EEPROM47に記憶された交換目安値である閾値1(I1、F1、Z1)及び閾値2(I2、F2、Z2)と比較を行う(S10、S11、S12)。
【0027】
ここで、CPU58は、累積移動量(Ia、Fa、Za)が閾値1(I1、F1、Z1)に達すると、レンズの交換時期が近づいたことを示す第1の警報信号を作成し、ネットワーク1を介して、監視制御局3に送信する。ここで、第1の警報には、駆動部の種類(絞り、フォーカス、ズーム)と警報の段階(交換時期が近づいた段階)を示す情報が含まれている。また、撮像装置2にLED60等の警報を表示する構成がある場合は、第1の警報として報知する(S13)。ここで、累積移動量と閾値1との比較は、絞り、フォーカス、ズームのそれぞれについて別々に比較を行う。監視制御局3では、CPU31が第1の警報信号を受けると、OSD回路34に転送し、その時に監視中の映像信号に多重して、モニタ35等に警告の表示を行い、データ記憶部37に記録する。
【0028】
更に、EEPROM47の累積移動量(Ia、Fa、Za)が増加して、閾値2に達すると、CPU58は、レンズの交換時期に達したことを示す第2の警報信号を作成し、ネットワーク1を介して、監視制御局3に送信する。ここで、第2の警報には、駆動部の種類(絞り、フォーカス、ズーム)と警報の段階(交換時期に達した段階)を示す情報が含まれている。また、撮像装置2にLED60等の警報を表示する構成がある場合は、第2の警報として報知する。監視制御局3では、CPU31が第2の警報信号を受けると、OSD回路34に転送し、その時監視している映像信号に多重して、モニタ35に警告の表示を行う。ここで、監視制御局3における警報の表示については、専用の表示パネル等を設けておき、そこにLED等で表示するようにしてもよい。
【0029】
ここで、交換目安量である閾値1及び閾値2との比較は、絞り、フォーカス、ズームといった駆動機構ごと比較するため、交換時期の判定は、絞り、フォーカス、ズームのそれぞれで行うことができる。
【0030】
また、閾値は、閾値1と閾値2の複数としていることで、段階的な警告も可能となる。なお、閾値1の警報(交換時期が近づいた)と閾値2の警報(交換時期に達した)では、表示の方法を変えることが望ましい。たとえば、LED60で表示する場合は、閾値1の警報は黄色、閾値2の警報は赤色というように、表示方法を変える。
【0031】
また、監視制御局3から表示要求を受けた場合は、CPU58はEEPROM47から、累積移動値と交換目標値である閾値1及び閾値2を読み出し、ネットワーク1を介して監視制御局3に転送する。監視制御局3ではCPU31がこれを受け取ると、OSD回路34に転送し、監視中の映像信号に重畳して、表示する(S15)。
【0032】
この警告に基づき、ユーザがレンズユニット4を交換する。累積移動量は、レンズユニット4内のEEPROM47に記憶されている、レンズ交換と同時に累積移動量も再設定されるため、次回の交換時期も正しく認識できる。
【0033】
以上説明したように、本実施の形態では、これにより、使用者がレンズ内各部の累積移動量や交換目安駆動量を知ることができるため、撮像装置の使用者がレンズ駆動部の寿命を知ることが可能となる。このため、レンズ交換時期の予想をたてた照ることが可能になり、これまで予期できなかったレンズ寿命による異常動作を回避することが出来るようになる。これにより大事なシーンで撮り損なう可能性を低減できる。
【0034】
更に、本実施の形態のように、屋外監視用のように過酷な環境下で長時間連続使用される撮像装置においては、レンズ寿命に関する警告を、撮像装置と離れた監視制御局3で把握ができるため、遠隔地で集中管理している監視システムなどでは大幅に、保守・点検の手間が軽減できる。
【0035】
また、副次的な効果として、中古の交換式レンズを使用する場合、累積駆動量がレンズに記憶されるようにすることで、中古の交換式レンズの劣化判定も可能となるという効果も生ずる。
【0036】
なお、本実施の形態では、レンズユニット4とカメラ本体5は、別体である例について説明したが、必ずしも別体である必要はなく一体型であってもかまわない。この場合、レンズ交換ではなく撮像装置全体を交換することになるが、同様に適用することができる。
【0037】
<第2の実施の形態> NDフィルタも設ける場合
次に第2の実施の形態について、図を用いて説明する。本実施の形態は、レンズに到達する光量を制御するための構成として、絞りの他に、減光の度合いを可変できる可変形のNDフィルタ(ND:neutral density)を併用した場合である。
【0038】
構成については、絞りの前または後にNDフィルタが追加される点、カメラユニット4内にNDフィルタを駆動するためのNDフィルタ駆動回路が設けられる点、カメラ本体5にNDフィルタ駆動制御部が設けられる点が異なる。
【0039】
また、カメラユニット4のEEPROMに記憶されるテーブルは、図6に示すように、NDフィルタについても、累積移動量Naと交換目標値である閾値1(N1)と閾値2(N2)が記憶されている。そして、NDフィルタが駆動する毎に、移動量をRAM59に記憶し、一定時間毎にEEPROM47に保存する。
【0040】
ここで、NDフィルタと絞りについては、レンズに到達する光量を制限するという点で機能が類似しているため、機能の補間が可能である。このため、絞りとNDフィルタとを併用する場合は、累積移動量から交換時期が近い方をかばって、寿命を延ばすような特殊モードの設定が可能になっている。
【0041】
具体的な動作として、累積移動量Ia、Naが閾値1までは絞りとNDフィルタの駆動動作は通常通りとする。ここで、絞りの移動累積値Iaが閾値1に達したとする。この場合、CPU58は必要な絞りの駆動量から予め決められた割合を減じた移動量をとなるように絞り駆動制御部55に指示を伝送する。そして、絞りの駆動量を減じた分を補えるNDフィルタの駆動量を求めて、ND変化量を加算して駆動するようにする。
【0042】
このようにすることで、レンズに到達する光量は所望の状態に制御しながら、駆動量を変更するため、以後絞りの移動量の増加が少なくなるため、レンズの延命につなげることができる。
【0043】
<第3の実施の形態:カメラ本体側にEEPROM>
前記実施の形態では、EEPROMをレンズユニット内に設けていたが、カメラ本体に設けるようにしてもよい。この場合の適用例を第3の実施の形態として、図7を用いて説明する。なお、図1と同一構成の部分は、同一符号を付し説明を省略する。
【0044】
図7において、積算移動量を記憶するEEPROM61がカメラ本体5に設けられている。レンズの駆動部分に関する累積移動量を蓄積する点は、前記各実施の形態の同様である。しかしながら、本実施の形態では、累積移動量がカメラ本体5に記憶されるため、累積駆動量を記憶するEEPROM61をリセットする必要があるため、リセットボタン62が設けられている。
【0045】
ユーザは、レンズユニット4をカメラ本体5から取り外し、新たなレンズが取り付けたときに、リセットボタン62と押す。ここで、レンズユニット4は型番毎に交換目安値が異なるため、新しく取り付けたレンズユニット4の型名をカメラ本体に入力する必要がある。レンズユニット4の型番は、カメラ本体に入力するか、または適合可能な機種名のリスト等から選択できるようになっている。また、適合可能なレンズユニット4の交換目安量は、EEPROM61上の前記テーブルと異なる領域に記憶されているものとする。
【0046】
そして、CPU58はリセットボタン62が押されたことを検出し、新しいレンズの型番を認識すると、新しいレンズユニット4の型名に対応した交換目安量をEEPROM61の閾値1及び閾値2に書き換える。そして、各駆動部の累積移動量もリセットする。
【0047】
また、別の方法として、レンズの交換目標値は、ネットワーク2を経由して監視制御局3から送信してもらうように構成してもよい。
この場合は、カメラ本体5で新しいレンズの型番が選択され、リセットボタン62が押されると、CPU58はこれを検知して、監視制御局3に対して、選択されたレンズの型番名を送信し、交換目標値の送信依頼を行う。監視制御局3では、CPU31がこれを検出すると、データ記憶部37から交換目標値のデータを検索し、カメラ本体5のCPU58に向けて送信する。
【0048】
CPU58では、交換推奨値のデータを受信すると、EEPROM61に書き込み、累積移動量をリセットする。
このように、累積移動量を記憶したEEPROM61をカメラ本体5側に設けた場合であっても、レンズユニット4の交換を行ったときに、EEPROM61をリセットして、新たなレンズユニット4の交換目標値に書き換えるため、レンズ交換を行っても、同様にレンズの寿命を認識できる。
【0049】
<第4の実施の形態−FAカメラの例>
上記第1乃至第3の実施の形態では、撮像装置2がネットワーク1に接続された監視カメラシステムへの適用例を説明したが、これに限られない。例えば、図に示すような、ネットワークに接続されない撮像装置(例えば、製品監視等の目的で使用される産業用カメラ)適用した場合について、第4の実施の形態として説明する。
【0050】
図8は、本発明を産業用カメラに適用した場合の構成図である。
なお、図2と共通する部分について、同一番号を付し説明を省略する。
図2と比較すると、ネットワーク1に接続されないため、映像出力信号は、送信部を介することなく、直接モニタ62に接続される。また、カメラ本体5には、操作部63を設けている。
【0051】
この場合も、前記各実施の形態と同様に、カメラユニット4の駆動部である絞り、フォーカス、ズーム等の累積移動量をEEPROM47に記憶して、CPU58が閾値と比較して、LED60により警報を出すため、レンズユニット4の状況を確認でき、レンズユニット4の交換の時期を容易に把握できるようになる。なお、DSP53の後段にOSD回路を設けて、警報を監視している映像に重畳して表示するようにしてもよい。
【0052】
なお、図8では積算移動量を保存するEEPROM47をレンズユニットに設ける例で説明しているが、図7と同様に、リセットボタン62等を設けることにより、カメラ本体側にEEPROM61を設けるようにしてもよい。この場合も、前記第3の実施の形態と、同様の効果を奏することができる。
【0053】
なお、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、その実施の段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々な変形や変更が可能である。また、個々の実施の形態は、可能な限り適宜組み合わせで実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】第1の実施の形態におけるシステム構成図。
【図2】第1の実施の形態における撮像装置の構成を示すブロック図。
【図3】累積移動値と閾値を記憶したテーブル。
【図4】第1の実施の形態における監視制御局の構成を示すブロック図。
【図5】動作を説明するためのブロック図
【図6】第2の実施の形態における累積移動値と閾値を記憶したテーブル。
【図7】第3の実施の形態における撮像装置の構成を示すブロック図。
【図8】第4の実施の形態における撮像装置の構成を示すブロック図。
【符号の説明】
【0055】
1・・・ネットワーク
2・・・撮像装置
3・・・監視制御局
4・・・レンズユニット4
5・・・カメラ本体5
31…CPU
32…受信部
33…信号処理回路(DSP)
34…OSD回路
35…モニタ
36…操作部
37…データ記憶部
41…レンズ部
42…絞り
43…絞り駆動コイル
44…ホール素子
45…フォーカス駆動モータ
46…ズーム駆動モータ
47…不揮発性メモリ(EEPROM)
51…撮像素子
52…A/D変換器
53…信号処理回路(DSP)
54…送信部
55…絞り駆動制御部
56…フォーカス駆動制御部
57…ズーム駆動制御部
58…制御部(CPU)
59…RAM
60…LED
61…EEPROM
62…リセットボタン
63…操作部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズと、このレンズで撮影される撮影画像を調整するための機構を駆動する駆動部を有する撮像装置において、
前記駆動部が駆動するときに、駆動部の移動駆動量を受けて累積駆動量として蓄積する累積駆動量蓄積手段と、
駆動部の交換時期を判断するための予め定められた交換目安量を記憶し、この交換目安量と前記累積駆動量とを比較し、前記累積駆動量が前記交換目安量を超えた時に警告を行う警告手段と
を有することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記撮影画像を調整するための機構は、絞り機構、フォーカス機構、及びズーム機構であり、予め定めた駆動部の交換目安量と比較は、駆動機構ごとに比較して警告を行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記絞り機構は、絞りの開度を検出するホール素子を有し、その駆動量はホール素子の出力から駆動量を取得することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項4】
前記フォーカス機構及びズーム機構は、前記レンズを必要に応じて駆動させるステップングモータを有し、前記駆動部の移動量はステッピングモータの移動ステップ数として取得し、前記交換目安量は移動ステップ数で規定することを特徴とする請求項2記載の撮像装置。
【請求項5】
前記警告手段は、表示画像に重畳して表示するOSD表示、または表示灯を用いて警告、または通信信号を用いて遠隔で警告を行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項6】
前記交換目安量は、交換時期が近づいたことを示す第1目安量と交換時期に達したことを示す第2目安量を有し、
前記警告手段は、段階的に警告を行うことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像装置は、レンズユニットとカメラ本体とから構成され、
前記累積移動駆動量は、前記レンズユニット内に記憶されることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像装置は、レンズユニットとカメラ本体とから構成され、
前記累積移動駆動量は、前記カメラ本体に記憶され、
前記累積移動駆動量は、レンズユニットを交換と同時に再設定されることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項9】
前記撮影画像を調整するための機構は、レンズへ到達する明るさを調整する絞り機構とNDフィルタを有し、
前記絞り機構とNDフィルタのうち、一方の交換時期が近い場合、その部分をかばって他方の駆動量をも多くするモードを有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−122634(P2010−122634A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−298628(P2008−298628)
【出願日】平成20年11月21日(2008.11.21)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】