撮像装置
【課題】撮像装置に設けられる動作部が動作することにより発生するノイズを減じることができる撮像装置を提供すること。
【解決手段】タイミング検出部によって動作部の動作状態が変化するタイミングを検出するとともに、このタイミング信号に基づき、動作音が重畳されている、又は動作音が重畳している可能性のある音信号と、動作音が重畳されていない音信号との差分を算出することにより、動作部の動作音情報を得る。
【解決手段】タイミング検出部によって動作部の動作状態が変化するタイミングを検出するとともに、このタイミング信号に基づき、動作音が重畳されている、又は動作音が重畳している可能性のある音信号と、動作音が重畳されていない音信号との差分を算出することにより、動作部の動作音情報を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音信号からノイズを減算する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、連続的に発生している周囲音をノイズとして除去するため、音信号から周囲音に対応するノイズ(音信号に含まれているノイズ成分)を算出して、このノイズを音信号から減じるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−195955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像装置には、レンズやこれを駆動させる駆動部等を含む動作部が搭載されており、例えばユーザの操作に応じて動作部が動作することで、この動作部の動作音が非連続的(突発的)に発生する場合がある。
このように非連続的に発生するノイズの場合、特許文献1の技術にあっては、音信号から周囲音に対応するノイズ、すなわち、連続的に発生しているノイズのみを算出しているため、非連続的に発生するノイズを算出することが困難であるという問題がある。また、そのために、撮像装置に設けられる動作部が動作することにより発生するノイズを減じることは難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、撮像装置に設けられる動作部が動作することにより発生するノイズを減じることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、光学系による光学像を撮像する撮像部を備える撮像装置において、前記撮像装置に備えられる動作部が動作するタイミングを示す信号を検出するタイミング信号検出部と、音信号を取得する音信号取得部と、前記タイミングを示す信号に基づき、前記動作部の動作状態が変化した時の前記音信号を含む前記音信号の区間を第1音情報として得て、前記第1音情報よりも前の音信号の区間に対応する第2音情報と、前記第1音情報よりも後の音信号の区間に対応する第3音情報とに基づき前記動作部の動作音情報を算出する推定部と、前記タイミングを示す信号に基づき、前記動作部の動作音を含む前記音信号の区間に対応する第4音情報から前記動作音情報を減じる処理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像装置に設けられる動作部が動作することにより発生するノイズを減じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る撮像装置におけるタイミング信号と動作音との関係を説明するための参考図である。
【図3】本発明の実施形態に係る撮像装置において得られた音情報と窓関数との関係を説明するための参考図である。
【図4】図3に示したt1直前のスペクトルS1を示す図である。
【図5】図3に示したt1直後のスペクトルS4を示す図である。
【図6】図4、5に示したスペクトルに基づき得られる推定スペクトルSS1を示す図である。
【図7】図6に示した推定スペクトルSS1に基づき、図5に示したスペクトルS4からノイズ低減処理したスペクトルを示す図である。
【図8】図3に示したt2に対応する推定スペクトルSS2を示す図である。
【図9】図6に示した推定スペクトルSS1と、図8に示した推定スペクトルSS2とに基づく平均推定スペクトルを示す図である。
【図10】図9に示した平均推定スペクトルに基づき、図5に示したスペクトルS4からノイズ低減処理したスペクトルを示す図である。
【図11】図3に示したt3に対応する推定スペクトルSS3を示す図である。
【図12】図3に示したt4に対応する推定スペクトルSS4を示す図である。
【図13】図3に示したt1と、ハニング窓関数との位置関係の一例を示す図である。
【図14】図3に示したt1と、ハニング窓関数との位置関係の一例を示す図である。
【図15】図3に示したt1と、ハニング窓関数との位置関係の一例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係る撮像装置において利用される減算係数の一例を示す図である。
【図17】本発明の実施形態に係る撮像装置において利用される減算係数を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1には、本実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図が示されている。
図1に示す通り、撮像装置100は、光学系による像を撮像し、得られた画像データを記憶媒体200に記憶させるとともに、収音された音から動作音であるノイズを低減し、得られた音信号を記憶媒体200に記憶させる。
【0010】
撮像装置100は、撮像部110と、バッファメモリ130と、画像処理部140と、表示部150と、記憶部160と、通信部170と、操作部180と、CPU190と、マイク230と、A/D変換部240と、低減処理部250と、を備える。
【0011】
撮像部110は、光学系111と、撮像素子119と、A/D(Analog/Digital)変換部120とを備え、設定された撮像条件(例えば絞り値、露出値等)に従って、CPU190により制御される。また、撮像部110は、光学系111による光学像を撮像素子119に結像させて、A/D変換部120によってデジタル信号に変換された光学像に基づく画像データを生成する。
【0012】
光学系111は、焦点調整レンズ(以下、「AF(Auto Focus)レンズ」という)112と、手振れ補正レンズ(以下、「VR(Vibration Reduction)レンズ」という)113と、ズームレンズ114と、ズームエンコーダ115と、レンズ駆動部116と、AFエンコーダ117と、像ぶれ補正部118を備える。
この光学系111は、ズームレンズ114から入射し、ズームレンズ114、AFレンズ112、及びVRレンズ113の順番で通過した光学像を、撮像素子119の受光面に導く。
【0013】
レンズ駆動部116には、AFレンズ112及びズームレンズ114の位置を制御するための駆動制御信号がCPU190から入力され、この駆動制御信号に応じて、AFレンズ112及びズームレンズ114の位置を制御する。この駆動制御信号がCPU190からレンズ駆動部116に入力されてレンズ駆動部116が駆動することにより、AFレンズ112及びズームレンズ114が移動(動作)する。
【0014】
ズームエンコーダ115は、ズームレンズ114の位置を表わすズームポジションを検出し、CPU190に出力する。このズームエンコーダ115は、ズームレンズ114の移動を検出し、例えば、ズームレンズ114が光学系111内を移動している場合にハイレベル、停止している場合にローレベルとなる信号をCPU190に出力する。なお、このCPU190は、ズームエンコーダ115から出力される信号に基づき、タイミング信号がハイレベルからローレベルに変化した時、および、ローレベルからハイレベルに変化した時が、ズームレンズ114の動作状態が変化した時であると判断する。
【0015】
AFエンコーダ117は、AFレンズ112の位置を表わすフォーカスポジションを検出し、CPU190に出力する。このAFエンコーダ117は、AFレンズ112の移動を検出し、例えば、AFレンズ112が光学系111内を移動している場合にハイレベル、停止している場合にローレベルとなる信号をCPU190に出力する。なお、このCPU190は、AFエンコーダ117から出力される信号に基づき、タイミング信号がハイレベルからローレベルに変化した時、および、ローレベルからハイレベルに変化した時が、AFレンズ112の動作状態が変化した時であると判断する。
【0016】
なお、ズームエンコーダ115は、ズームポジションを検出するために、ズームレンズ114の駆動方向を検出するものであってもよい。また、AFエンコーダ117は、フォーカスポジションを検出するために、AFレンズ112の駆動方向を検出するものであってもよい。これらズームレンズエンコーダ115やAFレンズ117は、レンズ駆動部116によって駆動される駆動機構(例えばモータやカム等)が時計回り(CW)あるいは反時計回り(CCW)に回転することにより移動する。よって、ズームエンコーダ115およびAFエンコーダ117は、それぞれ、駆動方向(ここでは、時計回りあるいは反時計回り)を検出することよって、ズームレンズ114およびAFレンズ112が移動していることを検出する。
【0017】
像ぶれ補正部118は、光学系111による像のぶれを検出し、当該ぶれを打ち消す方向にVRレンズ113を駆動する。この像ぶれ補正部118は、例えばVRレンズ113が駆動されている場合にハイレベル、駆動が停止されている場合にローレベルとなる信号をCPU190に出力する。なお、このCPU190は、像ぶれ補正部118から出力される信号に基づき、タイミング信号がハイレベルからローレベルに変化した時、および、ローレベルからハイレベルに変化した時が、VRレンズ118の動作状態が変化した時であると判断する。
【0018】
撮像素子119は、例えば、光電変換面を備え、その受光面に結像した光学像を電気信号に変換して、A/D変換部120に出力する。
この撮像素子119は、操作部180を介して撮影指示を受け付けた際に得られる画像データを、静止画又は動画の画像データとして、A/D変換部120を介して記憶媒体200に記憶させる。一方、撮像素子119は、操作部180を介して撮像指示を受け付けていない状態において、連続的に得られる画像データをスルー画データとして、A/D変換部120を介してCPU190及び表示部150に出力する。
【0019】
A/D変換部120は、撮像素子119によって変換された電気信号をデジタル化して、デジタル信号である画像データをバッファメモリ部130に出力する。
【0020】
バッファメモリ部130は、撮像部110によって撮像された画像データを、一時的に記憶する。また、バッファメモリ部130は、マイク230が収音した目的音に応じた音信号を、一時的に記憶する。なお、バッファメモリ部130は、目的音が収音された時刻と、バッファメモリ部130における位置とを対応付けて、目的音に応じた音信号を記憶してもよい。
【0021】
画像処理部140は、記憶部160に記憶されている画像処理条件を参照して、バッファメモリ部130に一時的に記憶されている画像データに対して、画像処理をする。画像処理された画像データは、通信部170を介して記憶媒体200に記憶される。なお、画像処理部140は、記憶媒体200に記憶されている画像データに対して、画像処理をしてもよい。
【0022】
表示部150は、例えば液晶ディスプレイであって、撮像部100によって得られた画像データ、及び操作画面等を表示する。
【0023】
記憶部160は、CPU190によってシーン判定の際に参照される判定条件や、シーン判定によって判断されたシーン毎に対応付けられた撮像条件等を記憶する。
【0024】
通信部170は、カードメモリ等の取り外しが可能な記憶媒体200と接続され、この記憶媒体200への情報(画像データ及び音データ等)の書込み、読み出し、あるいは消去を行う。
【0025】
操作部180は、例えば、電源スイッチ、シャッターボタン、マルチセレクタ(十字キー)、又はその他の操作キーを備え、ユーザによって操作されることでユーザの操作入力を受け付け、操作入力に応じた操作情報をCPU190に出力する。
このCPU190は、この操作情報に基づき、予め決められている操作部180の動作時間(記憶部160に保存されている)を参照して、操作情報が入力された時点と、動作時間が終了する時点が、操作部180の動作状態が変化した時であると判断する。
【0026】
記憶媒体200は、撮像装置100に対して着脱可能に接続される記憶部であって、例えば、撮像部110によって生成された(撮影された)画像データや、低減処理部250により音信号処理された音信号を記憶する。
【0027】
バス210は、撮像部110と、バッファメモリ部130と、画像処理部140と、表示部150と、記憶部160と、通信部170と、操作部180と、CPU190と、マイク230と、A/D変換部240と、低減処理部250と、に接続され、各部から出力されたデータ等を転送する。
【0028】
計時部220は、日にちや時刻を計時して、計時した日時を表わす時間情報を出力する。
【0029】
CPU190は、設定された撮像条件(例えば絞り値、露出値等)に従って撮像部110を制御する。このCPU190は、ズームエンコーダ115から出力されるズームポジション及びAFエンコーダから出力されるフォーカスポジションに基づき、レンズ駆動部116を駆動する駆動制御信号を生成して、レンズ駆動部116に出力する。その生成アルゴリズムは、必要に応じて適宜のアルゴリズムを用いてよい。
また、CPU190は、タイミング信号検出部191を含む。
【0030】
このタイミング信号検出部191は、撮像装置100が備えている動作部の動作状態が変化するタイミングを検出する。この動作状態が変化するタイミングとしては、例えば、動作部が動作を開始するタイミングと、動作部の動作が終了するタイミングとがある。
ここでいう動作部とは、一例としては、上述したズームレンズ114、VRレンズ113、AFレンズ112、または、操作部180のことであり、撮像装置100が備えている構成のうち、動作することにより、または、動作されることにより、音が生じる(または、音が生じる可能性がある)構成である。
【0031】
また、この動作部とは、撮像装置100が備えている構成のうち、動作することにより生じた音、または、動作されることにより生じた音が、マイク230により収音される(または、収音される可能性のある)構成である。
【0032】
このタイミング信号検出部191は、動作部を動作させる制御信号に基づいて、動作部の動作状態が変化するタイミングを検出してもよい。この制御信号とは、動作部を動作させる駆動部に対して、動作部を動作させるようにする制御信号、または、この駆動部を駆動させる制御信号である。
【0033】
例えば、タイミング信号検出部191は、ズームレンズ114、VRレンズ113、または、AFレンズ112を駆動させるためにレンズ駆動部116または手振れ防止部118に入力される駆動制御信号に基づいて、または、CPU190で生成される駆動制御信号に基づいて、動作部の動作状態が変化するタイミングを検出してもよい。
また、CPU190が駆動制御信号を生成する場合に、タイミング信号検出部191は、CPU190内部で実行される処理やコマンドに基づいて、動作部の動作状態が変化するタイミングを検出してもよい。
また、タイミング信号検出部191は、操作部180から入力されるズームレンズ114、または、AFレンズ112を駆動させることを示す信号に基づいて、動作部の動作状態が変化するタイミングを検出してもよい。
【0034】
また、このタイミング信号検出部191は、動作部が動作されたことを示す信号に基づいて、動作部の動作状態が変化するタイミングを検出してもよい。
【0035】
たとえば、タイミング信号検出部191は、ズームエンコーダ115またはAFエンコーダ117の出力に基づいて、ズームレンズ114またはAFレンズ112が駆動されたことを検出することにより、動作部が動作を開始するタイミングを検出してもよく、ズームレンズ114またはAFレンズ112が停止されたことを検出することにより、動作部が動作を終了するタイミングを検出してもよい。
また、タイミング信号検出部191は、手振れ防止部118からの出力に基づいて、VRレンズ113が駆動されたことを検出することにより、動作部が動作を開始するタイミングを検出してもよく、VRレンズ113が停止されたことを検出することにより、動作部が動作を終了するタイミングを検出してもよい。
【0036】
このタイミング信号検出部191は、操作部180からの入力に基づいて、操作部180が操作されたことを検出することにより、動作部が動作するタイミングを検出してもよい。
【0037】
そして、タイミング信号検出部191は、撮像装置100が備えている動作部が動作を開始するタイミング、および、動作部が動作を終了するタイミングを検出し、この検出したタイミングを示す信号(以下、タイミング信号という)を、低減処理部250に出力する。
【0038】
マイク230は、入力される音信号を収音し、A/D変換部240に出力する。なお、マイク230によって収音される音信号には、収音対象である目的音が含まれている。この目的音には、動作部が動作することにより発生する動作音が重畳している場合がある。
【0039】
ここで、マイク230によって収音された音信号について、AFレンズ112が動作された時に得られた音信号を例に、図2を参照して説明する。
図2には、AFエンコーダ117の出力と時間、動作音が重畳した音信号の出力と時間の関係の一例が示されている。なお、図2(B)は、説明便宜のため、動作音の音信号のみ示し、目的音の音信号の図示を省略する。
【0040】
図2(A)には、その縦軸に、AFエンコーダ117の出力として、AFレンズ112の駆動方向を示す。すなわち、動作部としてのAFレンズ112が、光学系111内において移動する動作状態の変化を示している。
この図2(A)及び(B)には、その横軸に、時刻が示されており、例えば、時刻t1は、AFレンズ112の動作が開始したタイミングを表わし、時刻t2は、AFレンズ112の動作が終了したタイミングを表わしている。また、時刻t3は、AFレンズ112の動作が開始したタイミングを表わし、時刻t4は、AFレンズ112の駆動方向が逆回転となったタイミングを表わし、時刻t5は、AFレンズ112の動作が終了したタイミングを表わしている。
つまり、図2(B)に示す通り、時刻t1〜2の期間、時刻t3〜t5の期間で、音信号に動作音が重畳(発生)している、又は、動作音が重畳している可能性が高い。ここでは、時刻t1〜2の期間、時刻t3〜t5の期間において、動作音であるノイズが発生している場合について以下説明する。
【0041】
このように、AFレンズ112が動作したことにより発生する動作音は、AFレンズ112が動作するタイミングに同期して発生している。つまり、タイミング信号検出部191によって検出されるタイミング信号を用いることで、低減処理部250は、音信号に動作音が重畳している部分、又は動作音が重畳している可能性のある部分を判断することができる。
【0042】
A/D変換部240は、マイク230から入力されたアナログ信号である音信号をデジタル信号である音信号に、アナログデジタル変換する。このA/D変換部240は、デジタル信号である音信号を、低減処理部250に出力する。
また、A/D変換部240は、デジタル信号である音信号を、バッファメモリ部130あるいは記憶媒体200に記憶させる構成であってもよく、撮像素子119により撮像された画像データと、時間的に関係付けられて記憶されてもよいし、音信号を含む動画として記憶されてもよい。
【0043】
低減処理部250は、A/D変換部240によりデジタル信号に変換された音信号に対して、例えば、動作音であるノイズを低減するなどの音信号処理を実行し、この音信号処理した音信号を記憶媒体200に記憶させる。
この低減処理部250は、音信号処理部251と、ノイズ推定部252と、ノイズ減算部253と、逆フーリエ変換部254とを含む。
【0044】
音信号処理部251は、A/D変換部240から出力された音信号を予め決められた区間ごとに窓関数で重み付けするとともに、この区間毎の音信号を周波数領域で表わされるスペクトルに変換して、この周波数領域で表わされるスペクトルをノイズ推定部252およびノイズ減算部253に出力する。
この音信号処理部251は、例えば、音信号にフーリエ変換、あるいは高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を行うことで、周波数領域に変換する。
ここで、予め定められた区間とは、信号処理の単位(フレーム)であって、一定の間隔で繰り返される区間であってもよく。また、これらの予め定められた区間は、他の予め定められた区間と半分ずつ順にオーバーラップしていてもよい。なお、窓関数は、例えば、ハニング窓(ハニングウィンドウ)関数が利用可能である。
【0045】
ノイズ推定部252は、音信号処理部251から出力されるスペクトルに基づき、動作部による動作音情報(以下、推定スペクトル)を算出する。この推定スペクトルとは、動作音により発生する音信号を主に含む音信号のスペクトルのことである。
このノイズ推定部252は、タイミング信号検出部191から入力されるタイミング信号に基づき、動作部の動作状態が変化した時にマイク230によって取得された音信号を含むスペクトル(以下、第1音情報という)を得る。
【0046】
ここで、ノイズ推定部252について、図3を参照して、具体的に説明する。図3は、縦軸にマイク230によって収音された音信号の出力、横軸に時間を示し、音信号の出力と窓関数W1〜W25の関係を示す。
上述の通り、音信号処理部251によって、A/D変換部240から出力された音信号が、図3に示すように他の区間と半分ずつ順にオーバーラップしている窓関数W1〜W25で重み付けされるとともに、各区間の周波数領域におけるスペクトルS1〜S25が生成される。つまり、音信号処理部251から出力されるスペクトルS1〜S25は、窓関数W1〜W25の区間に対応するスペクトルである。
【0047】
図3に示す通り、窓関数W2、W3に対応するスペクトルS2、S3は、AFレンズ112が動作を開始するタイミング(t1)を含む音情報であって、窓関数W6、W7に対応するスペクトルS6、S7は、AFレンズ112が動作を終了するタイミング(t2)を含む音情報である。
ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、第1音情報として、スペクトルS2、S3、S6、S7を検出する。
【0048】
また、ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、動作部の動作状態が変化した時にマイク230によって収音された音信号(第1音情報)の前後の音信号に基づき、推定スペクトルを算出する。なお、第1音情報の音信号よりも前に取得された音信号を第2音情報、第1音情報の音信号よりも後に取得された音信号を第3音情報という。
【0049】
例えば、図3に示した通り、第1音情報としてスペクトルS2、S3が得られた場合、ノイズ推定部252は、スペクトルS2の直前に取得された音信号に基づくスペクトルS1を、第2音情報として得る。また、ノイズ推定部252は、スペクトルS3の直後に取得された音信号に基づくスペクトルS4を、第3音情報として得る。
また、ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、第1音情報であるスペクトルS2、S3を、動作部の動作が開始するタイミングt1を含む音信号として得ており、この開始タイミングに対応する動作部の動作が終了したタイミングt2を含む音信号として、スペクトルS6、S7を得る。
【0050】
ノイズ推定部252は、この第1音情報であるスペクトルS6、S7が得られた場合、スペクトルS6の直前に取得された音信号に基づくスペクトルS5を第2音情報として得るとともに、スペクトルS7の直後に取得された音信号に基づくスペクトルS8を第3音情報として得る。
このノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、第1音情報として検出された音信号には、区間(時間領域)において、動作音が重畳されている部分と、動作音が重畳されていない部分とが含まれていると判断する。
また、ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、動作部の動作が開始するタイミングt1を含むスペクトルS2、S3と、動作部の動作が終了するタイミングt2を含むスペクトルS6、S7との間にあるスペクトルS4、S5には、それぞれ、1つの区間(時間領域)において、全区間に亘って動作音が重畳されていると判断する。
【0051】
さらに、動作部の動作が終了するタイミングの後に、同一の動作部の動作が開始された場合、ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、次に動作部の動作が開始するタイミングt3を含むスペクトルS12、S13を得る。
このノイズ推定部252は、次に動作部の動作が開始するタイミングt3を含むスペクトルS12、S13を得た場合、この直前に動作部が動作を終了したタイミングt2を含むスペクトルS6、S7と、スペクトルS12、S13との間にあるスペクトルS8〜S11には、それぞれ、1つの区間(時間領域)において、全区間に亘って動作音が重畳されていないと判断する。
【0052】
このノイズ推定部252は、動作部が動作を開始したタイミングt1に対して、直前のスペクトルと直後のスペクトルとの差分を算出し、この差分である推定スペクトルをノイズ減算部253に出力する。
【0053】
ここで、図4〜6を参照して、より具体的に説明する。図4は、t1を含む音信号の直前の音信号に基づくスペクトルS1のスペクトルを示す。図5は、t1を含む音信号の直後の音信号に基づくスペクトルS4のスペクトルを示す。なお、このスペクトルは、上述の通り、周波数領域で示される音信号を表わし、横軸に周波数、縦軸にその振幅を示す。
図4、5に示す通り、スペクトルS4には、動作音が重畳されているため、スペクトルS4からスペクトルS1を減算することにより、その差分である図6に示すような推定スペクトルSS1が得られる。
【0054】
ノイズ減算部253は、タイミング信号に基づき、動作音が重畳されている音信号を含む音情報(以下、第4音情報という)から、ノイズ推定部252から入力される推定スペクトルを減じるノイズ減算処理を行い、ノイズ減算処理がなされたスペクトルを逆フーリエ変換部254に出力する。
例えば、ノイズ減算部253は、タイミング信号に基づき、動作部が動作を開始したタイミングt1と動作を終了したタイミングt2との間に対応する音信号を、第4音情報として検出する。このノイズ減算部253は、例えば、第4音情報として、スペクトルS4、S5を検出し、このスペクトルS4、S5のそれぞれから推定スペクトルSS1を減算し、ノイズ減算処理されたスペクトルs4、s5を得る。なお、このノイズ減算処理されたスペクトルを、図7に示す。
【0055】
ノイズ減算部253は、第4音情報に対応する音信号を、ノイズ減算処理された音信号に置き換える。例えば、スペクトルS4、S5を、それぞれ、ノイズ減算処理されたスペクトルs4、s5に置き換える。
なお、ノイズ減算部253は、第4音情報をノイズ減算処理された音信号に置き換える場合に、音信号の接続部が連続となるように、クロスフェースドなどを行ってもよい。
【0056】
逆フーリエ変換部254は、ノイズ減算部253から入力されたスペクトルに対して、例えば逆フーリエ変換、あるいは逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)を行うことで、時間領域に変換する。
【0057】
この逆フーリエ変換部254は、時間領域に変換された音信号を記憶媒体200に記憶させる。なお、逆フーリエ変換部254は、時間領域に変換された音信号と、撮像素子119により撮像された画像データとを、時間的に関係付けて記憶媒体200に記憶させてもよく、音信号を含む動画として記憶してもよい。
【0058】
なお、低減処理部250は、タイミング信号に基づき、動作音が重畳されていない音信号を得た場合、この動作音が重畳されていない音信号に対しては、周波数領域への変換を行うことなく、ノイズ低減処理がなされた音信号と連結されて出力する構成であってもよく、周波数領域に変換するものの、ノイズ低減処理を行わずにノイズ低減処理がなされた音信号と連結させて出力する構成であってもよい。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る撮像装置100は、タイミング信号検出部191によって動作部の動作状態が変化するタイミングを検出するとともに、このタイミング信号に基づき、動作音が重畳されている、又は動作音が重畳している可能性のある音信号と、動作音が重畳されていない音信号との差分を算出することにより、動作部の推定スペクトルを得るようにした。これにより、動作音が重畳されている音信号から、この推定スペクトルを減じることができ、動作部が動作することにより発生する動作音を低減することができる。
【0060】
また、ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、第1音情報の前後から得られる第2音情報と第3音情報との差分を、推定スペクトルとして得るようにした。
これにより、1つの区間(時間領域)における区間全体に亘って動作音が重畳されている音信号から、1つの区間(時間領域)における区間全体に亘って動作音が重畳されていない音信号を減じた差分を、推定スペクトルとして得ることができる。従って、区間に対応する推定スペクトルを得ることができ、同じ時間長の区間に区分された音信号から、この区間に発生している可能性の高い推定スペクトルを減じることができる。よって、ノイズ減算処理の精度を高めることができる。
【0061】
さらに、第2音情報に含まれる目的音と、第3音情報に含まれる目的音とは、時間的に数十msecほどしか変わらない音信号であるため、概ね同一であるとすることができる。本実施形態に係る撮像装置100は、この第2音情報と第3音情報との差分を推定スペクトルとして算出するようにした。これにより、推定スペクトルの推定誤差を小さくし、ノイズ減算処理の精度を高めることができる。
【0062】
また、音信号処理部251は、デジタル信号である音信号を、例えば数十msecの区間で分割することが好ましい。このように、区間の長さを小さくすることで、上述の通り、第2音情報に含まれる目的音と、第3音情報に含まれる目的音とを、概ね同一であるとすることができる。
特に、音声(人の声)を目的音として収音する場合、音声は数十msec程度の短い時間内で、比較的同じ周期を繰り返す信号が多い。このため、区間の長さを小さくすることにより、第2音情報と第3音情報との目的音とが近づく。
【0063】
[推定スペクトルを平均化した平均推定スペクトルを利用したノイズ低減処理について]
ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、同一の動作部の動作状態が複数回にわたって変化する場合、動作状態が変化するタイミング毎に得られる複数の推定スペクトルに基づき、ノイズ減算部253によって第4音情報から減算される1つの推定スペクトルを得ることができる。
【0064】
このノイズ推定部252は、動作部の動作が開始するタイミングを示すタイミング信号に基づき得られる推定スペクトル(以下、第1推定スペクトルという)と、動作部の動作が終了するタイミングを示すタイミング信号に基づき得られる推定スペクトル(以下、第2推定スペクトルという)とを平均した情報を平均推定スペクトルとして、ノイズ減算部253に出力する。
例えば、ノイズ推定部252は、動作部の動作が開始するタイミングt1を含む第1音情報であるスペクトルS2、S3が得られた場合、スペクトルS3の直後に取得された音信号に基づくスペクトルS4から、スペクトルS2の直前に取得された音信号に基づくスペクトルS1を減算して、その差分を第1推定スペクトルSS1として得る。
また、ノイズ推定部252は、動作部の動作が終了するタイミングt2を含む第1音情報であるスペクトルS6、S7が得られた場合、スペクトルS6の直前に取得された音信号に基づくスペクトルS5から、スペクトルS7の直後に取得された音信号に基づくスペクトルS8を減算して、その差分を第2推定スペクトルSS2として得る。この第2推定スペクトルSS2を、図8に示す。
【0065】
ノイズ推定部252は、動作部が動作し続けている期間の最初(t1)と最後(t2)において、それぞれ得られた第1推定スペクトルSS1と第2推定スペクトルSS2とを平均した情報を、平均推定スペクトルとしてノイズ減算部253に出力する。なお、この平均推定スペクトルを、図9に示す。
このノイズ減算部253は、ノイズ推定部252から入力された平均推定スペクトルを、第4音情報であるスペクトルS5(あるいはS4)から減じることで、ノイズ低減処理を行う。このノイズ低減処理がなされた後のスペクトルを、図10に示す。
【0066】
また、図3に示した通り、AFレンズ112が動作する期間が複数回ある場合がある。
この場合、ノイズ推定部252は、動作部が動作を開始するタイミングt1、t3においてそれぞれ得られる第1推定スペクトルSS1、SS3と、動作部が動作を終了するタイミングt2、t5においてそれぞれ得られる第2推定スペクトルSS2、SS5と、を得る。
【0067】
例えば、ノイズ推定部252は、動作部の動作が開始するタイミングt3を含む第1音情報であるスペクトルS12、S13が得られた場合、スペクトルS13の直後に取得された音信号に基づくスペクトルS14から、スペクトルS12の直前に取得された音信号に基づくスペクトルS11を減算して、その差分を第1推定スペクトルSS3として得る。なお、この第1推定スペクトルSS3を、図11に示す。
また、ノイズ推定部252は、動作部の動作が終了するタイミングt5を含む第1音情報であるスペクトルS21、S22が得られた場合、スペクトルS21の直前に取得された音信号に基づくスペクトルS20から、スペクトルS22の直後に取得された音信号に基づくスペクトルS23を減算して、その差分を第2動作音情報SS5として得る。なお、この第2推定スペクトルSS5を、図12に示す。
【0068】
このノイズ推定部252は、この複数の推定スペクトル(例えば、SS1〜SS3、SS5)のうち、動作部が動作を開始するタイミングにおいて得られる第1推定スペクトル(例えばSS1とSS3)を平均化するか、動作部が動作を開始するタイミングにおいて得られる第2推定スペクトル(例えば、SS2およびSS5)を平均化するか、あるいは第1推定スペクトルおよび第2推定スペクトルの両方(例えば、SS1〜SS3、およびSS5)のうち少なくとも2つを平均化して、平均推定スペクトルを得る。
【0069】
このように、複数の推定スペクトルに基づき平均化した平均推定スペクトルを用いることで、複数の推定スペクトルのそれぞれに含まれる推定誤差を小さくすることができるため、ノイズ減算処理による精度を高めることができる。
【0070】
また、ノイズ推定部252は、算出した推定スペクトルを、タイミング信号が表わすタイミングと関連付けて、例えばバッファメモリ部130に一次的に記憶しておく構成であってもよい。
この場合、ノイズ減算部253は、ノイズ推定部252から出力される推定スペクトルに基づきノイズ減算処理を行う構成であってもよい。またこの場合、過去の音信号をバッファメモリ部130から読み出して、推定スペクトルを算出する等の時間が必要ないため、ノイズ減算処理にかかる時間を短縮することができる。
【0071】
また、ノイズ減算部253は、バッファメモリ部130に一次的に記憶されている推定スペクトルを読み出して、ノイズ減算処理を行う構成であってもよい。
例えば、ノイズ減算部253は、スペクトルS4、S5に対しては、バッファメモリ部130から読み出した推定スペクトルSS1を用いてノイズ低減処理を行い、スペクトルS14〜S20に対しては、バッファメモリ部130から読み出した推定スペクトルSS1、SS2、SS3に基づく平均推定スペクトルを用いてノイズ低減処理を行う構成であってもよい。
【0072】
<複数の推定スペクトルから異常値(outlier)を除いて平均推定スペクトルを得る場合>
また、ノイズ推定部252は、複数の推定スペクトルのうち、周波数ごとの振幅が最大となる最大推定スペクトルと、このスペクトルの振幅が最小となる最小推定スペクトルとを除いた残りを平均化して、平均推定スペクトルを求めるものであってもよい。
例えば、図6、8、11、12に示す通り、スペクトルは、周波数f1〜f8を含んでいる場合、この周波数f1〜f8毎に、推定スペクトルSS1、SS2、SS3、SS5のうち、最も振幅が大きいスペクトルである最大推定スペクトルと、最も振幅が小さいスペクトルである最小推定スペクトルとを除いた残りを平均化する。
この最大推定スペクトルと最小推定スペクトルとを除いた残りに基づき平均化した情報を周波数f1〜f8毎に求めて、この各周波数f1〜f8のそれぞれに対応する平均化した情報をすべて連結されて、平均推定スペクトルを求める。
【0073】
この構成により、複数の推定スペクトルの中に、平均推定スペクトルから大きく外れる推定スペクトルがあった場合であっても、この大きく外れている最大推定スペクトルと最小推定スペクトルとを除くことによって、平均推定スペクトルの精度をより高めることができる。
なお、このように、複数の推定スペクトルから除かれる最大推定スペクトルおよび最小推定スペクトルは、1つに限られず、そのスペクトルの振幅が大きいものから順番に複数選んで最大推定スペクトルとし、そのスペクトルの振幅が小さいものから順番に複数選んで最小推定スペクトルとするものであってもよい。
【0074】
<時間に応じて重み付けされた複数の推定スペクトルに基づき平均推定スペクトルを得る場合>
また、ノイズ推定部252は、複数の推定スペクトルに対して、この推定スペクトルに基づく音信号が収音された時間に基づき重み付けした値を平均して平均推定スペクトルを求めるものであってもよい。
【0075】
低減処理部250は、マイク230によって音信号が収音された場合、この音信号が収音された日時を表わす時間情報を計時部220から得て、この音信号に時間情報を関連付ける。
音信号処理部251は、この時間情報が関連付けられている音信号をスペクトルに変換して、ノイズ推定部252に出力する。
このノイズ推定部252は、この時間情報が関連付けられているスペクトルに基づき推定スペクトルを算出することによって、スペクトルに関連付けられている時間情報に基づき、推定スペクトルに基づく音信号が収音された時間を表わす時間情報を、得られた推定スペクトルに関連づける。
また、ノイズ推定部252は、推定スペクトルに時間情報を関連付けて、記憶部160、あるいは記憶媒体200に記憶させる。
【0076】
ノイズ推定部252は、記憶部160あるいは記憶媒体200に記憶されている時間情報が関連付けられている推定スペクトルを読み出し、この時間情報に基づき、より古い時間情報が関連付けられている推定スペクトルには、より軽い重み付けを行い、より新しい時間情報が関連付けられている推定スペクトルに対しては、より重い重み付けを行い、この重み付けした値を平均して平均推定スペクトルを求める。
なお、ノイズ推定部252は、1ヶ月、10日、1週間等の予め決められた期間よりも古い推定スペクトルに対しては行わない構成であってもよい。
【0077】
<S/N比に応じて重み付けされた複数の推定スペクトルに基づき平均推定スペクトルを得る場合>
また、ノイズ推定部252は、複数の推定スペクトルに対して、S/N比に基づき重み付けした値を平均して平均推定スペクトルを求めるものであってもよい。
このS/N比は、例えば、1つのフレームで表わされる区間(時間領域)の全体に亘って動作音が重畳されていないスペクトルを、推定スペクトルで除算した比率である。つまり、動作部が動作していないときに収音された音信号に応じたスペクトルであって、例えば、スペクトルS8〜S11のように、動作終了時の第1音情報であるスペクトルS7と、動作開始時の第1音情報であるスペクトルS12との間にあるスペクトルのうち任意の1つを分子とし、推定スペクトルを分母として得られる値である。
【0078】
例えば、タイミングt1に対応するS/N比を算出する場合、スペクトルS1を、推定スペクトルSS1で除算して、S/N比を算出する。
同様にして、タイミングt2、t3、t5のS/N比は、それぞれ、スペクトルS8を推定スペクトルSS2で除算したS/N比、スペクトルS11を推定スペクトルSS3で除算したS/N比、スペクトルS23を推定スペクトルSS5で除算したS/N比、として算出される。
【0079】
ノイズ推定部252は、このS/N比に応じた重みを、それぞれ対応する推定スペクトルSS1〜SS3、SS5に重み付けした値を平均化して、平均推定スペクトルを求める。例えば、S/N比が大きい場合により軽い重みを付け、S/N比が小さい場合により重い重みを付ける。
このように、S/N比に応じて重み付けをすることにより、目的音が小さいときに得られた推定スペクトルを重要視することができる。よって、推定スペクトルの推定誤差を小さくすることができ、ノイズ減算処理の精度を高めることができる。
【0080】
[複数の推定スペクトルから選択された一の推定スペクトルを利用したノイズ低減処理について]
また、ノイズ推定部252は、複数の推定スペクトルのうち、周波数ごとの振幅が最大となる最大推定スペクトル、あるいは、周波数ごとの振幅が最小となる最小推定スペクトルを選択し、この選択された推定スペクトルをノイズ減算部253に出力する構成であってもよい。
【0081】
なお、この場合、ノイズ推定部252は、上述したとおり、それぞれの推定スペクトルにおいて求められるS/N比を平均化した値が、予め決められている閾値以上である場合、最小推定スペクトルを選択し、ノイズ減算部253に出力する構成であってもよい。
また、それぞれの推定スペクトルにおいて求められるS/N比を平均化した値が、予め決められている閾値よりも小さい場合、最大推定スペクトルを選択し、ノイズ減算部253に出力する構成であってもよい。
【0082】
つまり、S/N比が大きい場合、最小推定スペクトルを用いてノイズ減算処理を行うことで、目的音の品質を確保することを重要視したノイズ減算処理を実現することができる。
一方、S/N比が小さい場合、最大推定スペクトルを用いてノイズ減算処理を行うことで、動作音を低減することを重要視したノイズ減算処理を実現することができる。
【0083】
[低減処理部250の詳細について]
ノイズ減算部253は、第4音情報に対応するスペクトルに対して、例えばスペクトル減算法を用いて、周波数領域でノイズ低減処理を実行し、動作音によるノイズを低減させる。
例えば、以下に示す文献に記載されている技術が利用可能である。
Suppression of acoustic noise in speech using spectral subtraction STEVEN F. BOLL 1979.
【0084】
上述の通り、ノイズ減算部253は、区間ごとのスペクトルに対して、それぞれ、推定ノイズを周波数領域で減算するノイズ減算処理を行うことで、動作音によるノイズを低減させることができる。
ここで、1つの区間における一部分のみにノイズが発生している場合、その区間に対して、推定スペクトルをそのまま減算してしまうと、動作音によるノイズを低減し過ぎてしまう場合がある。このため、ノイズ減算部253は、推定スペクトルを減算係数で重み付けし、重み付けされた推定スペクトルを、窓関数で重み付けされたスペクトルから周波数領域で減算してもよい。そして、予め定められた区間に対応する減算係数は、その区間に対応する窓関数と、動作部の動作状態が変更したタイミング(例えば、t1)との相対位置に応じて、次のように定められる。
【0085】
以下、窓関数は、一例として、ハニング窓(ハニングウィンドウ)関数であるとして説明する。図13〜15には、タイミングt1を含むスペクトルS2、S3(第1音情報)と、このスペクトルS2の直前のスペクトルS1(第2音情報)と、スペクトルS3の直後のスペクトルS4(第3音情報)と、窓関数W1〜W4との位置関係の一例が示されている。
【0086】
例えば、図13に示された例であれば、スペクトルS1が時刻t1を含まず、かつ、時刻t1より前に位置するため、このスペクトルS1に対応する減算係数は、この相対位置に応じて、定められてもよい。
また、スペクトルS2は、時刻t1を含むため、このスペクトルS2に対応する減算係数は、スペクトルS2における窓関数W2の面積と、時刻t1以降の窓関数W2の面積(図13の斜線部分)との比に基づいて、定められてもよい。なお、スペクトルS3に対応する減算係数も、同様である(図14を参照)。
さらに、図15において、スペクトルS4が時刻t1を含まず、かつ、時刻t1より後に位置するため、このスペクトルS4に対応する減算係数は、この相対位置に応じて、定められてもよい。
【0087】
なお、この減算係数は、動作部の動作状態が変更したタイミングと、窓関数との相対的な位置関係に応じてノイズ減算部253によって決定されるものであり、動作部が動作を終了するタイミング(例えば、t2)においても、上述と同様にして、そのスペクトルにおける窓関数の面積と、時刻t2以前の窓関数の面積との比に基づいて、定められてもよい。
【0088】
図16には、このようにして定められた減算係数の一例が示されている。図13〜15に示された例であれば、例えば、スペクトルS1に対応する減算係数は、値「0」、スペクトルS2に対応する減算係数は、値「0.3」、スペクトルS3に対応する減算係数は、値「0.9」、スペクトルS4に対応する減算係数は、値「1」になる。なお、これらの値は、一例である。
【0089】
なお、この減算係数は、図17に示す通り、フレーム毎のスペクトルの大きさ(つまり、周波数の出力)と、推定スペクトルの大きさ(つまり、周波数の出力)との比率(以下、SNRi(dB)という)に基づき決定される。図17は、この比率SNRi(dB)と、減算係数αiとの関係を示す図である。
【0090】
図17に示す通り、減算係数αiは、比率SNRi(dB)が値「−5」から値「20」の間で、値「5」から値「1」に減少する。
この比率SNRi(dB)は、次式で表わすことができる。
【数1】
なお、Yiは各フレームのスペクトルを、Diは推定スペクトルを、iは各フレームを、それぞれ表わしている。
【0091】
また、減算係数αiと比率SNRi(dB)との関係を数式で表わすと、以下のようになる。
【数2】
【0092】
従って、ノイズ減算部253は、比率SNRi(dB)に応じた減算係数αiを算出し、推定スペクトルをこの減算係数αiで重み付けし、重み付けされた推定スペクトルを、窓関数で重み付けされたスペクトルから周波数領域で減算してもよい。
これにより、1つの区間における一部分のみにノイズが発生している場合であっても、動作音によるノイズを低減し過ぎてしまう事態を防止し、目的音を十分に確保することができる。
【0093】
なお、本発明はこれに限られず、ノイズ減算部253は、音信号に動作音が重畳されているスペクトル、および、推定スペクトルに基づき抑圧係数を算出し、この抑圧係数に基づき、音信号に動作音が重畳されているスペクトルに重み付けするものであってもよい。
【0094】
また、例えば、マイク230によって収音された音信号は、A/D変換部240に出力されたあとバッファメモリ部130に一次的に記憶され、あるいは記憶媒体200に記憶されたのち、このバッファメモリ部130あるいは記憶媒体200から読み出された音信号が、低減処理部250によって処理される構成であってもよい。この場合、リアルタイムに処理する際にかかる装置負荷(例えば、処理時間の遅延等)を軽減することができる。
【0095】
また、タイミング信号検出部191又は低減処理部250等による手順を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、実行処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0096】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0097】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0098】
100…撮像装置、110…撮像部、190…CPU、191…検出部、170…通信部、200…記憶媒体、230…マイク、240…A/D変換部、250…低減処理部、251…判断部
【技術分野】
【0001】
本発明は、音信号からノイズを減算する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、連続的に発生している周囲音をノイズとして除去するため、音信号から周囲音に対応するノイズ(音信号に含まれているノイズ成分)を算出して、このノイズを音信号から減じるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−195955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、撮像装置には、レンズやこれを駆動させる駆動部等を含む動作部が搭載されており、例えばユーザの操作に応じて動作部が動作することで、この動作部の動作音が非連続的(突発的)に発生する場合がある。
このように非連続的に発生するノイズの場合、特許文献1の技術にあっては、音信号から周囲音に対応するノイズ、すなわち、連続的に発生しているノイズのみを算出しているため、非連続的に発生するノイズを算出することが困難であるという問題がある。また、そのために、撮像装置に設けられる動作部が動作することにより発生するノイズを減じることは難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、前記の点に鑑みてなされたものであり、撮像装置に設けられる動作部が動作することにより発生するノイズを減じることができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであり、光学系による光学像を撮像する撮像部を備える撮像装置において、前記撮像装置に備えられる動作部が動作するタイミングを示す信号を検出するタイミング信号検出部と、音信号を取得する音信号取得部と、前記タイミングを示す信号に基づき、前記動作部の動作状態が変化した時の前記音信号を含む前記音信号の区間を第1音情報として得て、前記第1音情報よりも前の音信号の区間に対応する第2音情報と、前記第1音情報よりも後の音信号の区間に対応する第3音情報とに基づき前記動作部の動作音情報を算出する推定部と、前記タイミングを示す信号に基づき、前記動作部の動作音を含む前記音信号の区間に対応する第4音情報から前記動作音情報を減じる処理部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、撮像装置に設けられる動作部が動作することにより発生するノイズを減じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る撮像装置におけるタイミング信号と動作音との関係を説明するための参考図である。
【図3】本発明の実施形態に係る撮像装置において得られた音情報と窓関数との関係を説明するための参考図である。
【図4】図3に示したt1直前のスペクトルS1を示す図である。
【図5】図3に示したt1直後のスペクトルS4を示す図である。
【図6】図4、5に示したスペクトルに基づき得られる推定スペクトルSS1を示す図である。
【図7】図6に示した推定スペクトルSS1に基づき、図5に示したスペクトルS4からノイズ低減処理したスペクトルを示す図である。
【図8】図3に示したt2に対応する推定スペクトルSS2を示す図である。
【図9】図6に示した推定スペクトルSS1と、図8に示した推定スペクトルSS2とに基づく平均推定スペクトルを示す図である。
【図10】図9に示した平均推定スペクトルに基づき、図5に示したスペクトルS4からノイズ低減処理したスペクトルを示す図である。
【図11】図3に示したt3に対応する推定スペクトルSS3を示す図である。
【図12】図3に示したt4に対応する推定スペクトルSS4を示す図である。
【図13】図3に示したt1と、ハニング窓関数との位置関係の一例を示す図である。
【図14】図3に示したt1と、ハニング窓関数との位置関係の一例を示す図である。
【図15】図3に示したt1と、ハニング窓関数との位置関係の一例を示す図である。
【図16】本発明の実施形態に係る撮像装置において利用される減算係数の一例を示す図である。
【図17】本発明の実施形態に係る撮像装置において利用される減算係数を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1には、本実施形態に係る撮像装置の構成を示すブロック図が示されている。
図1に示す通り、撮像装置100は、光学系による像を撮像し、得られた画像データを記憶媒体200に記憶させるとともに、収音された音から動作音であるノイズを低減し、得られた音信号を記憶媒体200に記憶させる。
【0010】
撮像装置100は、撮像部110と、バッファメモリ130と、画像処理部140と、表示部150と、記憶部160と、通信部170と、操作部180と、CPU190と、マイク230と、A/D変換部240と、低減処理部250と、を備える。
【0011】
撮像部110は、光学系111と、撮像素子119と、A/D(Analog/Digital)変換部120とを備え、設定された撮像条件(例えば絞り値、露出値等)に従って、CPU190により制御される。また、撮像部110は、光学系111による光学像を撮像素子119に結像させて、A/D変換部120によってデジタル信号に変換された光学像に基づく画像データを生成する。
【0012】
光学系111は、焦点調整レンズ(以下、「AF(Auto Focus)レンズ」という)112と、手振れ補正レンズ(以下、「VR(Vibration Reduction)レンズ」という)113と、ズームレンズ114と、ズームエンコーダ115と、レンズ駆動部116と、AFエンコーダ117と、像ぶれ補正部118を備える。
この光学系111は、ズームレンズ114から入射し、ズームレンズ114、AFレンズ112、及びVRレンズ113の順番で通過した光学像を、撮像素子119の受光面に導く。
【0013】
レンズ駆動部116には、AFレンズ112及びズームレンズ114の位置を制御するための駆動制御信号がCPU190から入力され、この駆動制御信号に応じて、AFレンズ112及びズームレンズ114の位置を制御する。この駆動制御信号がCPU190からレンズ駆動部116に入力されてレンズ駆動部116が駆動することにより、AFレンズ112及びズームレンズ114が移動(動作)する。
【0014】
ズームエンコーダ115は、ズームレンズ114の位置を表わすズームポジションを検出し、CPU190に出力する。このズームエンコーダ115は、ズームレンズ114の移動を検出し、例えば、ズームレンズ114が光学系111内を移動している場合にハイレベル、停止している場合にローレベルとなる信号をCPU190に出力する。なお、このCPU190は、ズームエンコーダ115から出力される信号に基づき、タイミング信号がハイレベルからローレベルに変化した時、および、ローレベルからハイレベルに変化した時が、ズームレンズ114の動作状態が変化した時であると判断する。
【0015】
AFエンコーダ117は、AFレンズ112の位置を表わすフォーカスポジションを検出し、CPU190に出力する。このAFエンコーダ117は、AFレンズ112の移動を検出し、例えば、AFレンズ112が光学系111内を移動している場合にハイレベル、停止している場合にローレベルとなる信号をCPU190に出力する。なお、このCPU190は、AFエンコーダ117から出力される信号に基づき、タイミング信号がハイレベルからローレベルに変化した時、および、ローレベルからハイレベルに変化した時が、AFレンズ112の動作状態が変化した時であると判断する。
【0016】
なお、ズームエンコーダ115は、ズームポジションを検出するために、ズームレンズ114の駆動方向を検出するものであってもよい。また、AFエンコーダ117は、フォーカスポジションを検出するために、AFレンズ112の駆動方向を検出するものであってもよい。これらズームレンズエンコーダ115やAFレンズ117は、レンズ駆動部116によって駆動される駆動機構(例えばモータやカム等)が時計回り(CW)あるいは反時計回り(CCW)に回転することにより移動する。よって、ズームエンコーダ115およびAFエンコーダ117は、それぞれ、駆動方向(ここでは、時計回りあるいは反時計回り)を検出することよって、ズームレンズ114およびAFレンズ112が移動していることを検出する。
【0017】
像ぶれ補正部118は、光学系111による像のぶれを検出し、当該ぶれを打ち消す方向にVRレンズ113を駆動する。この像ぶれ補正部118は、例えばVRレンズ113が駆動されている場合にハイレベル、駆動が停止されている場合にローレベルとなる信号をCPU190に出力する。なお、このCPU190は、像ぶれ補正部118から出力される信号に基づき、タイミング信号がハイレベルからローレベルに変化した時、および、ローレベルからハイレベルに変化した時が、VRレンズ118の動作状態が変化した時であると判断する。
【0018】
撮像素子119は、例えば、光電変換面を備え、その受光面に結像した光学像を電気信号に変換して、A/D変換部120に出力する。
この撮像素子119は、操作部180を介して撮影指示を受け付けた際に得られる画像データを、静止画又は動画の画像データとして、A/D変換部120を介して記憶媒体200に記憶させる。一方、撮像素子119は、操作部180を介して撮像指示を受け付けていない状態において、連続的に得られる画像データをスルー画データとして、A/D変換部120を介してCPU190及び表示部150に出力する。
【0019】
A/D変換部120は、撮像素子119によって変換された電気信号をデジタル化して、デジタル信号である画像データをバッファメモリ部130に出力する。
【0020】
バッファメモリ部130は、撮像部110によって撮像された画像データを、一時的に記憶する。また、バッファメモリ部130は、マイク230が収音した目的音に応じた音信号を、一時的に記憶する。なお、バッファメモリ部130は、目的音が収音された時刻と、バッファメモリ部130における位置とを対応付けて、目的音に応じた音信号を記憶してもよい。
【0021】
画像処理部140は、記憶部160に記憶されている画像処理条件を参照して、バッファメモリ部130に一時的に記憶されている画像データに対して、画像処理をする。画像処理された画像データは、通信部170を介して記憶媒体200に記憶される。なお、画像処理部140は、記憶媒体200に記憶されている画像データに対して、画像処理をしてもよい。
【0022】
表示部150は、例えば液晶ディスプレイであって、撮像部100によって得られた画像データ、及び操作画面等を表示する。
【0023】
記憶部160は、CPU190によってシーン判定の際に参照される判定条件や、シーン判定によって判断されたシーン毎に対応付けられた撮像条件等を記憶する。
【0024】
通信部170は、カードメモリ等の取り外しが可能な記憶媒体200と接続され、この記憶媒体200への情報(画像データ及び音データ等)の書込み、読み出し、あるいは消去を行う。
【0025】
操作部180は、例えば、電源スイッチ、シャッターボタン、マルチセレクタ(十字キー)、又はその他の操作キーを備え、ユーザによって操作されることでユーザの操作入力を受け付け、操作入力に応じた操作情報をCPU190に出力する。
このCPU190は、この操作情報に基づき、予め決められている操作部180の動作時間(記憶部160に保存されている)を参照して、操作情報が入力された時点と、動作時間が終了する時点が、操作部180の動作状態が変化した時であると判断する。
【0026】
記憶媒体200は、撮像装置100に対して着脱可能に接続される記憶部であって、例えば、撮像部110によって生成された(撮影された)画像データや、低減処理部250により音信号処理された音信号を記憶する。
【0027】
バス210は、撮像部110と、バッファメモリ部130と、画像処理部140と、表示部150と、記憶部160と、通信部170と、操作部180と、CPU190と、マイク230と、A/D変換部240と、低減処理部250と、に接続され、各部から出力されたデータ等を転送する。
【0028】
計時部220は、日にちや時刻を計時して、計時した日時を表わす時間情報を出力する。
【0029】
CPU190は、設定された撮像条件(例えば絞り値、露出値等)に従って撮像部110を制御する。このCPU190は、ズームエンコーダ115から出力されるズームポジション及びAFエンコーダから出力されるフォーカスポジションに基づき、レンズ駆動部116を駆動する駆動制御信号を生成して、レンズ駆動部116に出力する。その生成アルゴリズムは、必要に応じて適宜のアルゴリズムを用いてよい。
また、CPU190は、タイミング信号検出部191を含む。
【0030】
このタイミング信号検出部191は、撮像装置100が備えている動作部の動作状態が変化するタイミングを検出する。この動作状態が変化するタイミングとしては、例えば、動作部が動作を開始するタイミングと、動作部の動作が終了するタイミングとがある。
ここでいう動作部とは、一例としては、上述したズームレンズ114、VRレンズ113、AFレンズ112、または、操作部180のことであり、撮像装置100が備えている構成のうち、動作することにより、または、動作されることにより、音が生じる(または、音が生じる可能性がある)構成である。
【0031】
また、この動作部とは、撮像装置100が備えている構成のうち、動作することにより生じた音、または、動作されることにより生じた音が、マイク230により収音される(または、収音される可能性のある)構成である。
【0032】
このタイミング信号検出部191は、動作部を動作させる制御信号に基づいて、動作部の動作状態が変化するタイミングを検出してもよい。この制御信号とは、動作部を動作させる駆動部に対して、動作部を動作させるようにする制御信号、または、この駆動部を駆動させる制御信号である。
【0033】
例えば、タイミング信号検出部191は、ズームレンズ114、VRレンズ113、または、AFレンズ112を駆動させるためにレンズ駆動部116または手振れ防止部118に入力される駆動制御信号に基づいて、または、CPU190で生成される駆動制御信号に基づいて、動作部の動作状態が変化するタイミングを検出してもよい。
また、CPU190が駆動制御信号を生成する場合に、タイミング信号検出部191は、CPU190内部で実行される処理やコマンドに基づいて、動作部の動作状態が変化するタイミングを検出してもよい。
また、タイミング信号検出部191は、操作部180から入力されるズームレンズ114、または、AFレンズ112を駆動させることを示す信号に基づいて、動作部の動作状態が変化するタイミングを検出してもよい。
【0034】
また、このタイミング信号検出部191は、動作部が動作されたことを示す信号に基づいて、動作部の動作状態が変化するタイミングを検出してもよい。
【0035】
たとえば、タイミング信号検出部191は、ズームエンコーダ115またはAFエンコーダ117の出力に基づいて、ズームレンズ114またはAFレンズ112が駆動されたことを検出することにより、動作部が動作を開始するタイミングを検出してもよく、ズームレンズ114またはAFレンズ112が停止されたことを検出することにより、動作部が動作を終了するタイミングを検出してもよい。
また、タイミング信号検出部191は、手振れ防止部118からの出力に基づいて、VRレンズ113が駆動されたことを検出することにより、動作部が動作を開始するタイミングを検出してもよく、VRレンズ113が停止されたことを検出することにより、動作部が動作を終了するタイミングを検出してもよい。
【0036】
このタイミング信号検出部191は、操作部180からの入力に基づいて、操作部180が操作されたことを検出することにより、動作部が動作するタイミングを検出してもよい。
【0037】
そして、タイミング信号検出部191は、撮像装置100が備えている動作部が動作を開始するタイミング、および、動作部が動作を終了するタイミングを検出し、この検出したタイミングを示す信号(以下、タイミング信号という)を、低減処理部250に出力する。
【0038】
マイク230は、入力される音信号を収音し、A/D変換部240に出力する。なお、マイク230によって収音される音信号には、収音対象である目的音が含まれている。この目的音には、動作部が動作することにより発生する動作音が重畳している場合がある。
【0039】
ここで、マイク230によって収音された音信号について、AFレンズ112が動作された時に得られた音信号を例に、図2を参照して説明する。
図2には、AFエンコーダ117の出力と時間、動作音が重畳した音信号の出力と時間の関係の一例が示されている。なお、図2(B)は、説明便宜のため、動作音の音信号のみ示し、目的音の音信号の図示を省略する。
【0040】
図2(A)には、その縦軸に、AFエンコーダ117の出力として、AFレンズ112の駆動方向を示す。すなわち、動作部としてのAFレンズ112が、光学系111内において移動する動作状態の変化を示している。
この図2(A)及び(B)には、その横軸に、時刻が示されており、例えば、時刻t1は、AFレンズ112の動作が開始したタイミングを表わし、時刻t2は、AFレンズ112の動作が終了したタイミングを表わしている。また、時刻t3は、AFレンズ112の動作が開始したタイミングを表わし、時刻t4は、AFレンズ112の駆動方向が逆回転となったタイミングを表わし、時刻t5は、AFレンズ112の動作が終了したタイミングを表わしている。
つまり、図2(B)に示す通り、時刻t1〜2の期間、時刻t3〜t5の期間で、音信号に動作音が重畳(発生)している、又は、動作音が重畳している可能性が高い。ここでは、時刻t1〜2の期間、時刻t3〜t5の期間において、動作音であるノイズが発生している場合について以下説明する。
【0041】
このように、AFレンズ112が動作したことにより発生する動作音は、AFレンズ112が動作するタイミングに同期して発生している。つまり、タイミング信号検出部191によって検出されるタイミング信号を用いることで、低減処理部250は、音信号に動作音が重畳している部分、又は動作音が重畳している可能性のある部分を判断することができる。
【0042】
A/D変換部240は、マイク230から入力されたアナログ信号である音信号をデジタル信号である音信号に、アナログデジタル変換する。このA/D変換部240は、デジタル信号である音信号を、低減処理部250に出力する。
また、A/D変換部240は、デジタル信号である音信号を、バッファメモリ部130あるいは記憶媒体200に記憶させる構成であってもよく、撮像素子119により撮像された画像データと、時間的に関係付けられて記憶されてもよいし、音信号を含む動画として記憶されてもよい。
【0043】
低減処理部250は、A/D変換部240によりデジタル信号に変換された音信号に対して、例えば、動作音であるノイズを低減するなどの音信号処理を実行し、この音信号処理した音信号を記憶媒体200に記憶させる。
この低減処理部250は、音信号処理部251と、ノイズ推定部252と、ノイズ減算部253と、逆フーリエ変換部254とを含む。
【0044】
音信号処理部251は、A/D変換部240から出力された音信号を予め決められた区間ごとに窓関数で重み付けするとともに、この区間毎の音信号を周波数領域で表わされるスペクトルに変換して、この周波数領域で表わされるスペクトルをノイズ推定部252およびノイズ減算部253に出力する。
この音信号処理部251は、例えば、音信号にフーリエ変換、あるいは高速フーリエ変換(FFT:Fast Fourier Transform)を行うことで、周波数領域に変換する。
ここで、予め定められた区間とは、信号処理の単位(フレーム)であって、一定の間隔で繰り返される区間であってもよく。また、これらの予め定められた区間は、他の予め定められた区間と半分ずつ順にオーバーラップしていてもよい。なお、窓関数は、例えば、ハニング窓(ハニングウィンドウ)関数が利用可能である。
【0045】
ノイズ推定部252は、音信号処理部251から出力されるスペクトルに基づき、動作部による動作音情報(以下、推定スペクトル)を算出する。この推定スペクトルとは、動作音により発生する音信号を主に含む音信号のスペクトルのことである。
このノイズ推定部252は、タイミング信号検出部191から入力されるタイミング信号に基づき、動作部の動作状態が変化した時にマイク230によって取得された音信号を含むスペクトル(以下、第1音情報という)を得る。
【0046】
ここで、ノイズ推定部252について、図3を参照して、具体的に説明する。図3は、縦軸にマイク230によって収音された音信号の出力、横軸に時間を示し、音信号の出力と窓関数W1〜W25の関係を示す。
上述の通り、音信号処理部251によって、A/D変換部240から出力された音信号が、図3に示すように他の区間と半分ずつ順にオーバーラップしている窓関数W1〜W25で重み付けされるとともに、各区間の周波数領域におけるスペクトルS1〜S25が生成される。つまり、音信号処理部251から出力されるスペクトルS1〜S25は、窓関数W1〜W25の区間に対応するスペクトルである。
【0047】
図3に示す通り、窓関数W2、W3に対応するスペクトルS2、S3は、AFレンズ112が動作を開始するタイミング(t1)を含む音情報であって、窓関数W6、W7に対応するスペクトルS6、S7は、AFレンズ112が動作を終了するタイミング(t2)を含む音情報である。
ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、第1音情報として、スペクトルS2、S3、S6、S7を検出する。
【0048】
また、ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、動作部の動作状態が変化した時にマイク230によって収音された音信号(第1音情報)の前後の音信号に基づき、推定スペクトルを算出する。なお、第1音情報の音信号よりも前に取得された音信号を第2音情報、第1音情報の音信号よりも後に取得された音信号を第3音情報という。
【0049】
例えば、図3に示した通り、第1音情報としてスペクトルS2、S3が得られた場合、ノイズ推定部252は、スペクトルS2の直前に取得された音信号に基づくスペクトルS1を、第2音情報として得る。また、ノイズ推定部252は、スペクトルS3の直後に取得された音信号に基づくスペクトルS4を、第3音情報として得る。
また、ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、第1音情報であるスペクトルS2、S3を、動作部の動作が開始するタイミングt1を含む音信号として得ており、この開始タイミングに対応する動作部の動作が終了したタイミングt2を含む音信号として、スペクトルS6、S7を得る。
【0050】
ノイズ推定部252は、この第1音情報であるスペクトルS6、S7が得られた場合、スペクトルS6の直前に取得された音信号に基づくスペクトルS5を第2音情報として得るとともに、スペクトルS7の直後に取得された音信号に基づくスペクトルS8を第3音情報として得る。
このノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、第1音情報として検出された音信号には、区間(時間領域)において、動作音が重畳されている部分と、動作音が重畳されていない部分とが含まれていると判断する。
また、ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、動作部の動作が開始するタイミングt1を含むスペクトルS2、S3と、動作部の動作が終了するタイミングt2を含むスペクトルS6、S7との間にあるスペクトルS4、S5には、それぞれ、1つの区間(時間領域)において、全区間に亘って動作音が重畳されていると判断する。
【0051】
さらに、動作部の動作が終了するタイミングの後に、同一の動作部の動作が開始された場合、ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、次に動作部の動作が開始するタイミングt3を含むスペクトルS12、S13を得る。
このノイズ推定部252は、次に動作部の動作が開始するタイミングt3を含むスペクトルS12、S13を得た場合、この直前に動作部が動作を終了したタイミングt2を含むスペクトルS6、S7と、スペクトルS12、S13との間にあるスペクトルS8〜S11には、それぞれ、1つの区間(時間領域)において、全区間に亘って動作音が重畳されていないと判断する。
【0052】
このノイズ推定部252は、動作部が動作を開始したタイミングt1に対して、直前のスペクトルと直後のスペクトルとの差分を算出し、この差分である推定スペクトルをノイズ減算部253に出力する。
【0053】
ここで、図4〜6を参照して、より具体的に説明する。図4は、t1を含む音信号の直前の音信号に基づくスペクトルS1のスペクトルを示す。図5は、t1を含む音信号の直後の音信号に基づくスペクトルS4のスペクトルを示す。なお、このスペクトルは、上述の通り、周波数領域で示される音信号を表わし、横軸に周波数、縦軸にその振幅を示す。
図4、5に示す通り、スペクトルS4には、動作音が重畳されているため、スペクトルS4からスペクトルS1を減算することにより、その差分である図6に示すような推定スペクトルSS1が得られる。
【0054】
ノイズ減算部253は、タイミング信号に基づき、動作音が重畳されている音信号を含む音情報(以下、第4音情報という)から、ノイズ推定部252から入力される推定スペクトルを減じるノイズ減算処理を行い、ノイズ減算処理がなされたスペクトルを逆フーリエ変換部254に出力する。
例えば、ノイズ減算部253は、タイミング信号に基づき、動作部が動作を開始したタイミングt1と動作を終了したタイミングt2との間に対応する音信号を、第4音情報として検出する。このノイズ減算部253は、例えば、第4音情報として、スペクトルS4、S5を検出し、このスペクトルS4、S5のそれぞれから推定スペクトルSS1を減算し、ノイズ減算処理されたスペクトルs4、s5を得る。なお、このノイズ減算処理されたスペクトルを、図7に示す。
【0055】
ノイズ減算部253は、第4音情報に対応する音信号を、ノイズ減算処理された音信号に置き換える。例えば、スペクトルS4、S5を、それぞれ、ノイズ減算処理されたスペクトルs4、s5に置き換える。
なお、ノイズ減算部253は、第4音情報をノイズ減算処理された音信号に置き換える場合に、音信号の接続部が連続となるように、クロスフェースドなどを行ってもよい。
【0056】
逆フーリエ変換部254は、ノイズ減算部253から入力されたスペクトルに対して、例えば逆フーリエ変換、あるいは逆高速フーリエ変換(IFFT:Inverse Fast Fourier Transform)を行うことで、時間領域に変換する。
【0057】
この逆フーリエ変換部254は、時間領域に変換された音信号を記憶媒体200に記憶させる。なお、逆フーリエ変換部254は、時間領域に変換された音信号と、撮像素子119により撮像された画像データとを、時間的に関係付けて記憶媒体200に記憶させてもよく、音信号を含む動画として記憶してもよい。
【0058】
なお、低減処理部250は、タイミング信号に基づき、動作音が重畳されていない音信号を得た場合、この動作音が重畳されていない音信号に対しては、周波数領域への変換を行うことなく、ノイズ低減処理がなされた音信号と連結されて出力する構成であってもよく、周波数領域に変換するものの、ノイズ低減処理を行わずにノイズ低減処理がなされた音信号と連結させて出力する構成であってもよい。
【0059】
以上説明したように、本実施形態に係る撮像装置100は、タイミング信号検出部191によって動作部の動作状態が変化するタイミングを検出するとともに、このタイミング信号に基づき、動作音が重畳されている、又は動作音が重畳している可能性のある音信号と、動作音が重畳されていない音信号との差分を算出することにより、動作部の推定スペクトルを得るようにした。これにより、動作音が重畳されている音信号から、この推定スペクトルを減じることができ、動作部が動作することにより発生する動作音を低減することができる。
【0060】
また、ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、第1音情報の前後から得られる第2音情報と第3音情報との差分を、推定スペクトルとして得るようにした。
これにより、1つの区間(時間領域)における区間全体に亘って動作音が重畳されている音信号から、1つの区間(時間領域)における区間全体に亘って動作音が重畳されていない音信号を減じた差分を、推定スペクトルとして得ることができる。従って、区間に対応する推定スペクトルを得ることができ、同じ時間長の区間に区分された音信号から、この区間に発生している可能性の高い推定スペクトルを減じることができる。よって、ノイズ減算処理の精度を高めることができる。
【0061】
さらに、第2音情報に含まれる目的音と、第3音情報に含まれる目的音とは、時間的に数十msecほどしか変わらない音信号であるため、概ね同一であるとすることができる。本実施形態に係る撮像装置100は、この第2音情報と第3音情報との差分を推定スペクトルとして算出するようにした。これにより、推定スペクトルの推定誤差を小さくし、ノイズ減算処理の精度を高めることができる。
【0062】
また、音信号処理部251は、デジタル信号である音信号を、例えば数十msecの区間で分割することが好ましい。このように、区間の長さを小さくすることで、上述の通り、第2音情報に含まれる目的音と、第3音情報に含まれる目的音とを、概ね同一であるとすることができる。
特に、音声(人の声)を目的音として収音する場合、音声は数十msec程度の短い時間内で、比較的同じ周期を繰り返す信号が多い。このため、区間の長さを小さくすることにより、第2音情報と第3音情報との目的音とが近づく。
【0063】
[推定スペクトルを平均化した平均推定スペクトルを利用したノイズ低減処理について]
ノイズ推定部252は、タイミング信号に基づき、同一の動作部の動作状態が複数回にわたって変化する場合、動作状態が変化するタイミング毎に得られる複数の推定スペクトルに基づき、ノイズ減算部253によって第4音情報から減算される1つの推定スペクトルを得ることができる。
【0064】
このノイズ推定部252は、動作部の動作が開始するタイミングを示すタイミング信号に基づき得られる推定スペクトル(以下、第1推定スペクトルという)と、動作部の動作が終了するタイミングを示すタイミング信号に基づき得られる推定スペクトル(以下、第2推定スペクトルという)とを平均した情報を平均推定スペクトルとして、ノイズ減算部253に出力する。
例えば、ノイズ推定部252は、動作部の動作が開始するタイミングt1を含む第1音情報であるスペクトルS2、S3が得られた場合、スペクトルS3の直後に取得された音信号に基づくスペクトルS4から、スペクトルS2の直前に取得された音信号に基づくスペクトルS1を減算して、その差分を第1推定スペクトルSS1として得る。
また、ノイズ推定部252は、動作部の動作が終了するタイミングt2を含む第1音情報であるスペクトルS6、S7が得られた場合、スペクトルS6の直前に取得された音信号に基づくスペクトルS5から、スペクトルS7の直後に取得された音信号に基づくスペクトルS8を減算して、その差分を第2推定スペクトルSS2として得る。この第2推定スペクトルSS2を、図8に示す。
【0065】
ノイズ推定部252は、動作部が動作し続けている期間の最初(t1)と最後(t2)において、それぞれ得られた第1推定スペクトルSS1と第2推定スペクトルSS2とを平均した情報を、平均推定スペクトルとしてノイズ減算部253に出力する。なお、この平均推定スペクトルを、図9に示す。
このノイズ減算部253は、ノイズ推定部252から入力された平均推定スペクトルを、第4音情報であるスペクトルS5(あるいはS4)から減じることで、ノイズ低減処理を行う。このノイズ低減処理がなされた後のスペクトルを、図10に示す。
【0066】
また、図3に示した通り、AFレンズ112が動作する期間が複数回ある場合がある。
この場合、ノイズ推定部252は、動作部が動作を開始するタイミングt1、t3においてそれぞれ得られる第1推定スペクトルSS1、SS3と、動作部が動作を終了するタイミングt2、t5においてそれぞれ得られる第2推定スペクトルSS2、SS5と、を得る。
【0067】
例えば、ノイズ推定部252は、動作部の動作が開始するタイミングt3を含む第1音情報であるスペクトルS12、S13が得られた場合、スペクトルS13の直後に取得された音信号に基づくスペクトルS14から、スペクトルS12の直前に取得された音信号に基づくスペクトルS11を減算して、その差分を第1推定スペクトルSS3として得る。なお、この第1推定スペクトルSS3を、図11に示す。
また、ノイズ推定部252は、動作部の動作が終了するタイミングt5を含む第1音情報であるスペクトルS21、S22が得られた場合、スペクトルS21の直前に取得された音信号に基づくスペクトルS20から、スペクトルS22の直後に取得された音信号に基づくスペクトルS23を減算して、その差分を第2動作音情報SS5として得る。なお、この第2推定スペクトルSS5を、図12に示す。
【0068】
このノイズ推定部252は、この複数の推定スペクトル(例えば、SS1〜SS3、SS5)のうち、動作部が動作を開始するタイミングにおいて得られる第1推定スペクトル(例えばSS1とSS3)を平均化するか、動作部が動作を開始するタイミングにおいて得られる第2推定スペクトル(例えば、SS2およびSS5)を平均化するか、あるいは第1推定スペクトルおよび第2推定スペクトルの両方(例えば、SS1〜SS3、およびSS5)のうち少なくとも2つを平均化して、平均推定スペクトルを得る。
【0069】
このように、複数の推定スペクトルに基づき平均化した平均推定スペクトルを用いることで、複数の推定スペクトルのそれぞれに含まれる推定誤差を小さくすることができるため、ノイズ減算処理による精度を高めることができる。
【0070】
また、ノイズ推定部252は、算出した推定スペクトルを、タイミング信号が表わすタイミングと関連付けて、例えばバッファメモリ部130に一次的に記憶しておく構成であってもよい。
この場合、ノイズ減算部253は、ノイズ推定部252から出力される推定スペクトルに基づきノイズ減算処理を行う構成であってもよい。またこの場合、過去の音信号をバッファメモリ部130から読み出して、推定スペクトルを算出する等の時間が必要ないため、ノイズ減算処理にかかる時間を短縮することができる。
【0071】
また、ノイズ減算部253は、バッファメモリ部130に一次的に記憶されている推定スペクトルを読み出して、ノイズ減算処理を行う構成であってもよい。
例えば、ノイズ減算部253は、スペクトルS4、S5に対しては、バッファメモリ部130から読み出した推定スペクトルSS1を用いてノイズ低減処理を行い、スペクトルS14〜S20に対しては、バッファメモリ部130から読み出した推定スペクトルSS1、SS2、SS3に基づく平均推定スペクトルを用いてノイズ低減処理を行う構成であってもよい。
【0072】
<複数の推定スペクトルから異常値(outlier)を除いて平均推定スペクトルを得る場合>
また、ノイズ推定部252は、複数の推定スペクトルのうち、周波数ごとの振幅が最大となる最大推定スペクトルと、このスペクトルの振幅が最小となる最小推定スペクトルとを除いた残りを平均化して、平均推定スペクトルを求めるものであってもよい。
例えば、図6、8、11、12に示す通り、スペクトルは、周波数f1〜f8を含んでいる場合、この周波数f1〜f8毎に、推定スペクトルSS1、SS2、SS3、SS5のうち、最も振幅が大きいスペクトルである最大推定スペクトルと、最も振幅が小さいスペクトルである最小推定スペクトルとを除いた残りを平均化する。
この最大推定スペクトルと最小推定スペクトルとを除いた残りに基づき平均化した情報を周波数f1〜f8毎に求めて、この各周波数f1〜f8のそれぞれに対応する平均化した情報をすべて連結されて、平均推定スペクトルを求める。
【0073】
この構成により、複数の推定スペクトルの中に、平均推定スペクトルから大きく外れる推定スペクトルがあった場合であっても、この大きく外れている最大推定スペクトルと最小推定スペクトルとを除くことによって、平均推定スペクトルの精度をより高めることができる。
なお、このように、複数の推定スペクトルから除かれる最大推定スペクトルおよび最小推定スペクトルは、1つに限られず、そのスペクトルの振幅が大きいものから順番に複数選んで最大推定スペクトルとし、そのスペクトルの振幅が小さいものから順番に複数選んで最小推定スペクトルとするものであってもよい。
【0074】
<時間に応じて重み付けされた複数の推定スペクトルに基づき平均推定スペクトルを得る場合>
また、ノイズ推定部252は、複数の推定スペクトルに対して、この推定スペクトルに基づく音信号が収音された時間に基づき重み付けした値を平均して平均推定スペクトルを求めるものであってもよい。
【0075】
低減処理部250は、マイク230によって音信号が収音された場合、この音信号が収音された日時を表わす時間情報を計時部220から得て、この音信号に時間情報を関連付ける。
音信号処理部251は、この時間情報が関連付けられている音信号をスペクトルに変換して、ノイズ推定部252に出力する。
このノイズ推定部252は、この時間情報が関連付けられているスペクトルに基づき推定スペクトルを算出することによって、スペクトルに関連付けられている時間情報に基づき、推定スペクトルに基づく音信号が収音された時間を表わす時間情報を、得られた推定スペクトルに関連づける。
また、ノイズ推定部252は、推定スペクトルに時間情報を関連付けて、記憶部160、あるいは記憶媒体200に記憶させる。
【0076】
ノイズ推定部252は、記憶部160あるいは記憶媒体200に記憶されている時間情報が関連付けられている推定スペクトルを読み出し、この時間情報に基づき、より古い時間情報が関連付けられている推定スペクトルには、より軽い重み付けを行い、より新しい時間情報が関連付けられている推定スペクトルに対しては、より重い重み付けを行い、この重み付けした値を平均して平均推定スペクトルを求める。
なお、ノイズ推定部252は、1ヶ月、10日、1週間等の予め決められた期間よりも古い推定スペクトルに対しては行わない構成であってもよい。
【0077】
<S/N比に応じて重み付けされた複数の推定スペクトルに基づき平均推定スペクトルを得る場合>
また、ノイズ推定部252は、複数の推定スペクトルに対して、S/N比に基づき重み付けした値を平均して平均推定スペクトルを求めるものであってもよい。
このS/N比は、例えば、1つのフレームで表わされる区間(時間領域)の全体に亘って動作音が重畳されていないスペクトルを、推定スペクトルで除算した比率である。つまり、動作部が動作していないときに収音された音信号に応じたスペクトルであって、例えば、スペクトルS8〜S11のように、動作終了時の第1音情報であるスペクトルS7と、動作開始時の第1音情報であるスペクトルS12との間にあるスペクトルのうち任意の1つを分子とし、推定スペクトルを分母として得られる値である。
【0078】
例えば、タイミングt1に対応するS/N比を算出する場合、スペクトルS1を、推定スペクトルSS1で除算して、S/N比を算出する。
同様にして、タイミングt2、t3、t5のS/N比は、それぞれ、スペクトルS8を推定スペクトルSS2で除算したS/N比、スペクトルS11を推定スペクトルSS3で除算したS/N比、スペクトルS23を推定スペクトルSS5で除算したS/N比、として算出される。
【0079】
ノイズ推定部252は、このS/N比に応じた重みを、それぞれ対応する推定スペクトルSS1〜SS3、SS5に重み付けした値を平均化して、平均推定スペクトルを求める。例えば、S/N比が大きい場合により軽い重みを付け、S/N比が小さい場合により重い重みを付ける。
このように、S/N比に応じて重み付けをすることにより、目的音が小さいときに得られた推定スペクトルを重要視することができる。よって、推定スペクトルの推定誤差を小さくすることができ、ノイズ減算処理の精度を高めることができる。
【0080】
[複数の推定スペクトルから選択された一の推定スペクトルを利用したノイズ低減処理について]
また、ノイズ推定部252は、複数の推定スペクトルのうち、周波数ごとの振幅が最大となる最大推定スペクトル、あるいは、周波数ごとの振幅が最小となる最小推定スペクトルを選択し、この選択された推定スペクトルをノイズ減算部253に出力する構成であってもよい。
【0081】
なお、この場合、ノイズ推定部252は、上述したとおり、それぞれの推定スペクトルにおいて求められるS/N比を平均化した値が、予め決められている閾値以上である場合、最小推定スペクトルを選択し、ノイズ減算部253に出力する構成であってもよい。
また、それぞれの推定スペクトルにおいて求められるS/N比を平均化した値が、予め決められている閾値よりも小さい場合、最大推定スペクトルを選択し、ノイズ減算部253に出力する構成であってもよい。
【0082】
つまり、S/N比が大きい場合、最小推定スペクトルを用いてノイズ減算処理を行うことで、目的音の品質を確保することを重要視したノイズ減算処理を実現することができる。
一方、S/N比が小さい場合、最大推定スペクトルを用いてノイズ減算処理を行うことで、動作音を低減することを重要視したノイズ減算処理を実現することができる。
【0083】
[低減処理部250の詳細について]
ノイズ減算部253は、第4音情報に対応するスペクトルに対して、例えばスペクトル減算法を用いて、周波数領域でノイズ低減処理を実行し、動作音によるノイズを低減させる。
例えば、以下に示す文献に記載されている技術が利用可能である。
Suppression of acoustic noise in speech using spectral subtraction STEVEN F. BOLL 1979.
【0084】
上述の通り、ノイズ減算部253は、区間ごとのスペクトルに対して、それぞれ、推定ノイズを周波数領域で減算するノイズ減算処理を行うことで、動作音によるノイズを低減させることができる。
ここで、1つの区間における一部分のみにノイズが発生している場合、その区間に対して、推定スペクトルをそのまま減算してしまうと、動作音によるノイズを低減し過ぎてしまう場合がある。このため、ノイズ減算部253は、推定スペクトルを減算係数で重み付けし、重み付けされた推定スペクトルを、窓関数で重み付けされたスペクトルから周波数領域で減算してもよい。そして、予め定められた区間に対応する減算係数は、その区間に対応する窓関数と、動作部の動作状態が変更したタイミング(例えば、t1)との相対位置に応じて、次のように定められる。
【0085】
以下、窓関数は、一例として、ハニング窓(ハニングウィンドウ)関数であるとして説明する。図13〜15には、タイミングt1を含むスペクトルS2、S3(第1音情報)と、このスペクトルS2の直前のスペクトルS1(第2音情報)と、スペクトルS3の直後のスペクトルS4(第3音情報)と、窓関数W1〜W4との位置関係の一例が示されている。
【0086】
例えば、図13に示された例であれば、スペクトルS1が時刻t1を含まず、かつ、時刻t1より前に位置するため、このスペクトルS1に対応する減算係数は、この相対位置に応じて、定められてもよい。
また、スペクトルS2は、時刻t1を含むため、このスペクトルS2に対応する減算係数は、スペクトルS2における窓関数W2の面積と、時刻t1以降の窓関数W2の面積(図13の斜線部分)との比に基づいて、定められてもよい。なお、スペクトルS3に対応する減算係数も、同様である(図14を参照)。
さらに、図15において、スペクトルS4が時刻t1を含まず、かつ、時刻t1より後に位置するため、このスペクトルS4に対応する減算係数は、この相対位置に応じて、定められてもよい。
【0087】
なお、この減算係数は、動作部の動作状態が変更したタイミングと、窓関数との相対的な位置関係に応じてノイズ減算部253によって決定されるものであり、動作部が動作を終了するタイミング(例えば、t2)においても、上述と同様にして、そのスペクトルにおける窓関数の面積と、時刻t2以前の窓関数の面積との比に基づいて、定められてもよい。
【0088】
図16には、このようにして定められた減算係数の一例が示されている。図13〜15に示された例であれば、例えば、スペクトルS1に対応する減算係数は、値「0」、スペクトルS2に対応する減算係数は、値「0.3」、スペクトルS3に対応する減算係数は、値「0.9」、スペクトルS4に対応する減算係数は、値「1」になる。なお、これらの値は、一例である。
【0089】
なお、この減算係数は、図17に示す通り、フレーム毎のスペクトルの大きさ(つまり、周波数の出力)と、推定スペクトルの大きさ(つまり、周波数の出力)との比率(以下、SNRi(dB)という)に基づき決定される。図17は、この比率SNRi(dB)と、減算係数αiとの関係を示す図である。
【0090】
図17に示す通り、減算係数αiは、比率SNRi(dB)が値「−5」から値「20」の間で、値「5」から値「1」に減少する。
この比率SNRi(dB)は、次式で表わすことができる。
【数1】
なお、Yiは各フレームのスペクトルを、Diは推定スペクトルを、iは各フレームを、それぞれ表わしている。
【0091】
また、減算係数αiと比率SNRi(dB)との関係を数式で表わすと、以下のようになる。
【数2】
【0092】
従って、ノイズ減算部253は、比率SNRi(dB)に応じた減算係数αiを算出し、推定スペクトルをこの減算係数αiで重み付けし、重み付けされた推定スペクトルを、窓関数で重み付けされたスペクトルから周波数領域で減算してもよい。
これにより、1つの区間における一部分のみにノイズが発生している場合であっても、動作音によるノイズを低減し過ぎてしまう事態を防止し、目的音を十分に確保することができる。
【0093】
なお、本発明はこれに限られず、ノイズ減算部253は、音信号に動作音が重畳されているスペクトル、および、推定スペクトルに基づき抑圧係数を算出し、この抑圧係数に基づき、音信号に動作音が重畳されているスペクトルに重み付けするものであってもよい。
【0094】
また、例えば、マイク230によって収音された音信号は、A/D変換部240に出力されたあとバッファメモリ部130に一次的に記憶され、あるいは記憶媒体200に記憶されたのち、このバッファメモリ部130あるいは記憶媒体200から読み出された音信号が、低減処理部250によって処理される構成であってもよい。この場合、リアルタイムに処理する際にかかる装置負荷(例えば、処理時間の遅延等)を軽減することができる。
【0095】
また、タイミング信号検出部191又は低減処理部250等による手順を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、実行処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OS(Operating System)や周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
【0096】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0097】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0098】
100…撮像装置、110…撮像部、190…CPU、191…検出部、170…通信部、200…記憶媒体、230…マイク、240…A/D変換部、250…低減処理部、251…判断部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学系による光学像を撮像する撮像部を備える撮像装置において、
前記撮像装置に備えられる動作部が動作するタイミングを示す信号を検出するタイミング信号検出部と、
音信号を取得する音信号取得部と、
前記タイミングを示す信号に基づき、前記動作部の動作状態が変化した時の前記音信号を含む前記音信号の区間を第1音情報として得て、前記第1音情報よりも前の音信号の区間に対応する第2音情報と、前記第1音情報よりも後の音信号の区間に対応する第3音情報とに基づき前記動作部の動作音情報を算出する推定部と、
前記タイミングを示す信号に基づき、前記動作部の動作音を含む前記音信号の区間に対応する第4音情報から前記動作音情報を減じる処理部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記推定部が、
前記動作部が動作を開始したときに前記音信号取得部によって取得された音信号を含む音情報を、動作開始時の前記第1音情報として得て、
前記動作開始時の第1音情報の直前に取得された音信号に基づく前記第2音情報と、前記動作開始時の第1音情報の直後に取得された音信号に基づく前記第3音情報とに基づき、前記動作音情報である第1動作音情報を算出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記推定部が、
前記動作部が動作を終了したときに前記音信号取得部によって取得された音信号を含む音情報を、動作終了時の前記第1音情報として得て、
前記動作終了時の第1音情報の直前に取得された音信号に基づく前記第2音情報と、前記動作終了時の第1音情報の直後に取得された音信号に基づく前記第3音情報とに基づき、前記動作音情報である第2動作音情報を算出することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記処理部が、
前記第1動作音情報と前記第2動作音情報とを平均した情報を前記動作音情報として、前記第4音情報から減じることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記処理部が、
前記第1動作音情報と前記第2動作音情報に含まれる周波数スペクトルについて周波数ごとの振幅の最大値と最小値を除いた残りに基づき前記平均した情報を求め、当該平均した情報を前記動作音情報として、前記第4音情報から減じることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記処理部が、
前記第1動作音情報および前記第2動作音情報のそれぞれを含む音信号が収音された時刻を表わす時間情報を、前記第1動作音情報および前記第2動作音情報に関連付けて記憶部に記憶させるとともに、前記時間情報に基づき前記第1動作音情報および前記第2動作音情報のそれぞれに重み付けをした値を平均した情報を前記動作音情報として、前記第4音情報から減じることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記処理部が、
前記動作部が動作していないときに取得された前記音信号による音情報を前記動作音情報で除算した比率に基づき、前記第1動作音情報および前記第2動作音情報に対して重み付けをした値を平均した情報を前記動作音情報として、前記第4音情報から減じることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記処理部が、
前記動作音情報に含まれる周波数スペクトルについて周波数ごとの振幅の最大値あるいは最小値を前記動作音情報として、前記第4音情報から減じることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記ノイズ処理部が、
前記動作部が動作していないときに取得された前記音信号による音情報を前記動作音情報で除算した比率が予め決められた閾値よりも小さい場合は前記最小値を前記ノイズ情報とし、当該比率が前記閾値以上である場合は前記最大値を前記ノイズ情報とすることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記処理部が、
前記タイミングを示す信号に基づき、前記第1音情報のうち、前記動作部の動作音を含む区間に対応する前記窓関数の部分に応じた係数を前記動作音情報に乗じて得られる値を、前記第4音情報から減じることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項1】
光学系による光学像を撮像する撮像部を備える撮像装置において、
前記撮像装置に備えられる動作部が動作するタイミングを示す信号を検出するタイミング信号検出部と、
音信号を取得する音信号取得部と、
前記タイミングを示す信号に基づき、前記動作部の動作状態が変化した時の前記音信号を含む前記音信号の区間を第1音情報として得て、前記第1音情報よりも前の音信号の区間に対応する第2音情報と、前記第1音情報よりも後の音信号の区間に対応する第3音情報とに基づき前記動作部の動作音情報を算出する推定部と、
前記タイミングを示す信号に基づき、前記動作部の動作音を含む前記音信号の区間に対応する第4音情報から前記動作音情報を減じる処理部と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記推定部が、
前記動作部が動作を開始したときに前記音信号取得部によって取得された音信号を含む音情報を、動作開始時の前記第1音情報として得て、
前記動作開始時の第1音情報の直前に取得された音信号に基づく前記第2音情報と、前記動作開始時の第1音情報の直後に取得された音信号に基づく前記第3音情報とに基づき、前記動作音情報である第1動作音情報を算出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記推定部が、
前記動作部が動作を終了したときに前記音信号取得部によって取得された音信号を含む音情報を、動作終了時の前記第1音情報として得て、
前記動作終了時の第1音情報の直前に取得された音信号に基づく前記第2音情報と、前記動作終了時の第1音情報の直後に取得された音信号に基づく前記第3音情報とに基づき、前記動作音情報である第2動作音情報を算出することを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記処理部が、
前記第1動作音情報と前記第2動作音情報とを平均した情報を前記動作音情報として、前記第4音情報から減じることを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記処理部が、
前記第1動作音情報と前記第2動作音情報に含まれる周波数スペクトルについて周波数ごとの振幅の最大値と最小値を除いた残りに基づき前記平均した情報を求め、当該平均した情報を前記動作音情報として、前記第4音情報から減じることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記処理部が、
前記第1動作音情報および前記第2動作音情報のそれぞれを含む音信号が収音された時刻を表わす時間情報を、前記第1動作音情報および前記第2動作音情報に関連付けて記憶部に記憶させるとともに、前記時間情報に基づき前記第1動作音情報および前記第2動作音情報のそれぞれに重み付けをした値を平均した情報を前記動作音情報として、前記第4音情報から減じることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記処理部が、
前記動作部が動作していないときに取得された前記音信号による音情報を前記動作音情報で除算した比率に基づき、前記第1動作音情報および前記第2動作音情報に対して重み付けをした値を平均した情報を前記動作音情報として、前記第4音情報から減じることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記処理部が、
前記動作音情報に含まれる周波数スペクトルについて周波数ごとの振幅の最大値あるいは最小値を前記動作音情報として、前記第4音情報から減じることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記ノイズ処理部が、
前記動作部が動作していないときに取得された前記音信号による音情報を前記動作音情報で除算した比率が予め決められた閾値よりも小さい場合は前記最小値を前記ノイズ情報とし、当該比率が前記閾値以上である場合は前記最大値を前記ノイズ情報とすることを特徴とする請求項8に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記処理部が、
前記タイミングを示す信号に基づき、前記第1音情報のうち、前記動作部の動作音を含む区間に対応する前記窓関数の部分に応じた係数を前記動作音情報に乗じて得られる値を、前記第4音情報から減じることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−95567(P2011−95567A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250336(P2009−250336)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
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