説明

撮像装置

【課題】安定した姿勢で確実にマクロ撮影を行うことを可能とする。
【解決手段】ユーザがグリップ20を180度以上の所定の角度まで回動させると、角度検出部19により、この角度(第1の回転軸の角度)が検出され、CPU11が撮影モードをマクロ撮影モードに自動的に切り替える。レンズブロック21と机25との間には、表示ブロック22、グリップ20、机25により、適当な空間が形成される。この空間に置かれた被写体30を撮影する。このとき、角度検出部19により、レンズブロック21と表示ブロック22との角度(第2の回転軸の角度)が検出されており、カメラ部10の撮像方向と表示部15の表示方向とが相対していると判断されると、撮像されている画像が表示部15に表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マクロ撮影機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回動機構を備えた撮像装置は、特にカメラ付携帯電話等の製品分野で広く知られている。例えば、特許文献1には、表示部と撮像部とを備えた第1の筐体とテンキーを有する第2の筐体とを回動可能に接続した折り畳み構造を有し、この回動軸で90度の角度に曲がると、マクロ撮影モードに切り替わる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−300671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、マクロ撮影モードで撮影する場合、手で支えることで、その姿勢を固定しなければならず、手ぶれや、ピンボケなど撮影が失敗する場合が多いという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、安定した姿勢で確実にマクロ撮影を行うことができる撮像装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的達成のため、請求項1記載の発明は、撮像部を備えたケース部材と、前記撮像部が撮像する方向に直交する軸を第1の回転軸とし、前記ケース部材の外周を覆う枠状部材と、前記撮像部に対し、近接撮影モードまたは通常撮影モードのいずれかを設定する設定手段と、前記枠状部材が前記第1の回転軸で回転することにより前記撮像部が撮像する方向側に位置したか否かを判断する第1の判断手段と、この第1の判断手段により肯定と判断されると、前記設定手段に対して近接撮影モードを設定するように制御する制御手段とを備えることを特徴とする撮像装置である。
【0007】
また、請求項2記載の発明は、請求項1において、前記ケース部材は、前記撮像部を有する第1のケース部と、この第1のケース部に対し、前記撮像部が撮像する方向と前記第1の回転軸とに直交する軸を第2の回転軸として回動可能に接続された表示部を有する第2のケース部とからなり、前記第2の回転軸での回動を検出することにより、前記撮像部が撮像する方向と前記表示部が表示する方向とが相対するか否かを判断する第2の判断手段と、前記第1の判断手段、及び前記第2の判断手段により肯定と判断されると、前記近接モードにて撮像されている画像を、前記表示部に表示するように制御する表示制御手段とを更に備えることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3記載の発明は、請求項1または2において、前記枠状部材は、一部が欠けた形状を有し、この欠けた部分に前記撮像部が嵌合されるように前記ケース部材が配置され、前記第1の回転軸は、前記撮像部の撮像方向に直交し、前記撮像部を貫通するように形成されていることを特徴とする。
【0009】
また、請求項4記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記制御手段により近接撮影モードに設定されると、前記撮像部での撮影時に点灯する照明手段を更に備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
この発明によれば、安定した姿勢で確実にマクロ撮影を行うことができるという利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態によるデジタルカメラの構造を示す斜視図である。
【図3】本実施形態によるデジタルカメラにおいて、グリップの回転構造を説明するための側面図である。
【図4】本実施形態によるデジタルカメラ1でのマクロ撮影時の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。
【0013】
A.第1実施形態
図1は、本発明の第1実施形態によるデジタルカメラの構成を示すブロック図である。図において、デジタルカメラ1は、撮像レンズ2、レンズ駆動部3、絞り兼用シャッタ4、CCD5、TG(Timing
Generator)6、ユニット回路7、画像処理部8、CPU11、DRAM12、メモリ13、フラッシュメモリ14、表示部15、キー入力部16、カードI/F17、メモリ・カード18、及び角度検出部19を備えている。
【0014】
撮像レンズ2は、フォーカスレンズ、ズームレンズなどを含み、レンズ駆動部3が接続されている。レンズ駆動部3は、撮像レンズ2を構成するフォーカスレンズ、ズームレンズをそれぞれ光軸方向に駆動させるモータと、CPU11からの制御信号に従ってフォーカスモータ、ズームモータを駆動させるフォーカスモータドライバ、ズームモータドライバから構成されている。
【0015】
絞り兼用シャッタ4は、図示しない駆動回路を含み、駆動回路によってCPU11から送られてくる制御信号に従って動作する。該絞り兼用シャッタ4は、撮像レンズ2から入ってくる光の量を制御する。CCD(撮像素子)5は、撮像レンズ2、絞り兼用シャッタ4を介して投影された被写体の光を電気信号に変換し、撮像信号としてユニット回路7に出力する。該CCD5は、TG6によって生成された所定周波数のタイミング信号に従って駆動される。
【0016】
なお、少なくとも、上記撮像レンズ2、レンズ駆動部3、絞り兼用シャッタ4、CCD5は、カメラ部10として1つの構造体に集約されている。
【0017】
ユニット回路7は、CCD5から出力される撮像信号を相関二重サンプリングして保持するCDS(Correlated
Double Sampling)回路、そのサンプリング後の撮像信号の自動利得調整を行うAGC(Automatic
Gain Control)回路、その自動利得調整後のアナログの撮像信号をデジタル信号に変換するA/D変換器から構成されている。該ユニット回路7は、TG6によって生成された所定周波数のタイミング信号に従って駆動される。CCD5の撮像信号は、ユニット回路7を経てデジタル信号として画像処理部8に送られる。
【0018】
画像処理部8は、ユニット回路7から送られてきた画像データの画像処理(画素補間処理、γ補正、輝度色差信号の生成、ホワイトバランス処理、露出補正処理等)、画像データの圧縮・伸張(例えば、JPEG形式やM−JPEG形式又はMPEG形式の圧縮・伸張)の処理、複数の撮像画像を合成する処理などを行う。該画像処理部8は、TG6によって生成された所定周波数のタイミング信号に従って駆動される。LED9は、マクロ撮影時などに光量不足を補うための照明として点灯される。
【0019】
CPU11は、デジタルカメラ1の各部を制御するワンチップマイコンである。特に、本実施形態では、CPU11は、後述する筐体の一部であるグリップと、表示部15、キー入力部16などが配置された表示ブロックとのが所定の角度になると、自動的にマクロ撮影モード(近接撮影モード)となるように撮影条件を設定し、各部の動作を制御する。なお、グリップや、表示ブロック、マクロ撮影の詳細については後述する。また、CPU11は、カメラ部10の撮像方向と表示ブロックの表示部15との方向が相対している場合に、マクロ撮影モード(近接撮影モード)で撮像されている画像を、表示部15に表示するように制御する。
【0020】
DRAM12は、CCD5によって撮像された後、CPU11に送られてきた画像データを一時記憶するバッファメモリとして使用されるとともに、CPU11のワーキングメモリとして使用される。メモリ13は、CPU11によるデジタルカメラ1の各部の制御に必要なプログラム、及び各部の制御に必要なデータが記録されており、CPU11は、このプログラムに従って処理を行う。フラッシュメモリ14や、メモリ・カード18は、CCD5によって撮像された画像データなどを保存しておく記録媒体である。
【0021】
表示部15は、カラーLCDとその駆動回路を含み、撮像待機状態にあるときには、CCD5によって撮像された被写体をスルー画像として表示し、記録画像の再生時には、フラッシュメモリ14や、メモリ・カード18から読み出され、伸張された記録画像を表示する。キー入力部16は、シャッタスイッチ、ズームスイッチ、モードキー、SETキー、十字キー等の複数の操作キーを含み、ユーザのキー操作に応じた操作信号をCPU11に出力する。カードI/F17には、デジタルカメラ1本体の図示しないカードスロットを介してメモリ・カード18が着脱自在に装着されている。
【0022】
角度検出部19は、機械的、光学的、あるいは電磁気的なセンサからなり、回転機構を有するグリップの角度(第1の回転軸の角度)、及び後述するレンズブロックと後述する表示ブロックとの角度(第2の回転軸の角度)を検出する。なお、本デジタルカメラの構造、及び上記角度検出部19による第1の回転軸の角度、第2の回転軸の角度の検出の詳細については後述する。
【0023】
図2は、本実施形態によるデジタルカメラの構造を示す斜視図である。デジタルカメラ1は、グリップ20、レンズブロック21、表示ブロック22で構成されている。グリップ20、及び表示ブロック22は、レンズブロック21に対し、各々、直交する回転軸を有する。グリップ20、レンズブロック21、及び表示ブロック22が、それぞれの回転軸で回転させることで、様々な撮影形態に変形させることが可能となっている。
【0024】
図3は、本実施形態によるデジタルカメラにおいて、グリップの回転構造を説明するための側面図である。グリップ20の(表示ブロック22に対する)角度が0度のとき、グリップ20、レンズブロック21、及び表示ブロック22は、ほぼ平らな状態となる。グリップ20を表示ブロック22に対して撮影者側、あるいは表示部15側に、45度、90度、そして、180度に回動させることが可能である。
【0025】
図4(a)〜(c)は、本実施形態によるデジタルカメラ1でのマクロ撮影時の状態を示す側面図である。本実施形態では、上述した図3に示す状態から、さらに、グリップ20を表示ブロック22に対して180度以上回動させることが可能となっている。図4(a)に示すように、ユーザがグリップ20を180度以上の所定の角度まで回動させると、角度検出部19により、この角度(第1の回転軸の角度)が検出され、CPU11が撮影モードをマクロ撮影モードに自動的に切り替える。ユーザは、同図(b)に示すように、グリップ20と表示ブロック22とを用いて、デジタルカメラ1を安定させた状態で机などに固定させる。なお、グリップ20の回転機能には、ノッチ機構が設けられており、所定の角度(複数)で半固定(所定の力を加えると回動する)されるようになっている。
【0026】
同図(b)に示す状態では、表示部15は、撮影者側(図面上側)に向いており、レンズブロック21(カメラ部10)は、机25側(図面下側)に向いている。なお、カメラ部10とは、少なくも、撮像レンズ2、レンズ駆動部3、絞り兼用シャッタ4、CCD5などを含む(図1参照)。レンズブロック21と机25との間には、表示ブロック22、グリップ20、机25により、適当な空間が形成されることになる。
【0027】
そして、同図(c)に示すように、この空間に置かれた被写体30を撮影する。このとき、撮影モードは、自動的にマクロ撮影モードに切り替えられており、近接撮影に最適な条件に設定されているので、ユーザは、特別な設定操作を行うことなく、最適な撮影を行うことができる。
【0028】
また、このとき、角度検出部19により、レンズブロック21と表示ブロック22との角度(第2の回転軸の角度)が検出されており、カメラ部10の撮像方向と表示部15の表示方向とが相対していると判断されると、撮像されている画像が表示部15に表示される。
【0029】
なお、デジタルカメラ1のグリップ20は、枠部材のみで構成されているため、同図(c)に示す状態では、矢印方向から外光を採り込み易く、比較的、容易に撮影に十分な光量を得ることができる。但し、撮影状況によっては露出不足となる可能性もあるので、ユーザ操作、あるいは自動的にレンズブロック21に配置されているLED21a(図4(a)を参照)を点灯させるようにしてもよい。
【0030】
このように、本撮影状態にて被写体を跨ぐようにデジタルカメラを接地面にセットし、デジタルカメラの焦点を被写体に向かせながら撮影することでブレのない撮影が可能となる。
【0031】
上述した実施形態によれば、被写体と安定した距離で固定することができるので、ブレなく撮影することができる。また、グリップの角度でマクロ撮影モード(あるいは、特定撮影モード)に自動的に切り替えることができる。
【0032】
なお、グリップタイプでなく、二つ折りタイプの携帯電話のようなテンキータイプでもあってもよい。この場合、表示部が設けられた筐体と、テンキーが設けられた筐体とが所定の角度(くの字)になると、マクロ撮影モードに設定すればよい。
【符号の説明】
【0033】
1 デジタルカメラ
2 撮像レンズ
3 レンズ駆動部
4 絞り兼用シャッタ
5 CCD
6 TG
7 ユニット回路
8 画像処理部
9 LED
10 カメラ部
11 CPU
12 DRAM
13 メモリ
14 フラッシュメモリ
15 画像表示部
16 キー入力部
17 カードI/F
18 メモリ・カード
19 角度検出部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部を備えたケース部材と、
前記撮像部が撮像する方向に直交する軸を第1の回転軸とし、前記ケース部材の外周を覆う枠状部材と、
前記撮像部に対し、近接撮影モードまたは通常撮影モードのいずれかを設定する設定手段と、
前記枠状部材が前記第1の回転軸で回転することにより前記撮像部が撮像する方向側に位置したか否かを判断する第1の判断手段と、
この第1の判断手段により肯定と判断されると、前記設定手段に対して近接撮影モードを設定するように制御する制御手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記ケース部材は、
前記撮像部を有する第1のケース部と、
この第1のケース部に対し、前記撮像部が撮像する方向と前記第1の回転軸とに直交する軸を第2の回転軸として回動可能に接続された表示部を有する第2のケース部と
からなり、
前記第2の回転軸での回動を検出することにより、前記撮像部が撮像する方向と前記表示部が表示する方向とが相対するか否かを判断する第2の判断手段と、
前記第1の判断手段、及び前記第2の判断手段により肯定と判断されると、前記近接モードにて撮像されている画像を、前記表示部に表示するように制御する表示制御手段と
を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記枠状部材は、
一部が欠けた形状を有し、この欠けた部分に前記撮像部が嵌合されるように前記ケース部材が配置され、
前記第1の回転軸は、前記撮像部の撮像方向に直交し、前記撮像部を貫通するように形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御手段により近接撮影モードに設定されると、前記撮像部での撮影時に点灯する照明手段を更に備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の撮像装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−137610(P2012−137610A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−289755(P2010−289755)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】