説明

撮像装置

【課題】使用者が撮像装置を移動させながら画像を撮影するときに、撮像装置を移動させるべき方向を使用者が容易に把握できる撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置(100)は、表示部(123)と、撮像部(120)と、制御部(130)とを備える。撮像部(120)は、被写体を連続的に撮像して画像データを連続的に生成する。制御部(130)は、所定の撮影モードにおいて、所定のタイミングで、表示部(123)に表示される表示体(302)が一定方向に変化するように、表示体(302)の表示を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置に関し、特に、移動させられながら画像を撮像する機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、3次元映像を表示可能なテレビジョン受像機の普及とともに、3次元画像を撮像可能なカメラも知られてきている。例えば特許文献1は、カメラが被写体に対して水平方向に移動させられながら撮影した複数の画像の中から、3次元画像を構成する左眼用画像および右眼用画像を取得するカメラを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−9183号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このようなカメラを用いて3次元画像を撮影するとき、使用者は、移動させるべき方向を認識できないと、カメラを適切に移動させることができず、好適な右眼用画像および左眼用画像を撮影できない恐れがある。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、使用者が撮像装置を移動させながら画像を撮影するときに、撮像装置を移動させるべき方向を使用者が容易に把握できる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述の課題を解決するために、本発明にかかる撮像装置は、表示部と、撮像部と、制御部とを備える。撮像部は、被写体を連続的に撮像して画像データを連続的に生成する。制御部は、所定の撮影モードにおいて、所定のタイミングで、表示部に表示される表示体が一定方向に変化するように、表示体の表示を制御する。
【発明の効果】
【0007】
本発明にかかる撮像装置は、所定の撮影モード(例えば、使用者により撮像装置が移動させられながら画像を撮像するモード)において、撮像装置の移動方向に所定のタイミングで変化する表示体を表示部に表示する。使用者は、その表示体の変化を参照することで、撮像装置の移動方向を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】デジタルカメラの正面図
【図2】デジタルカメラの背面図
【図3】デジタルカメラの電気的構成図
【図4】スライド3D撮影モードにおける動作フローチャート
【図5】スライド3D撮影モードにおけるデジタルカメラの移動を説明するための図
【図6】スライド3D撮影モードにおける表示部の表示を示す図
【図7】スライド3D撮影モードにおけるプログラム線図シフトを説明するための図
【図8】3次元画像用の画像抽出フローチャート
【図9】プログレスバーの表示を説明するための図
【図10】別の実施例における、デジタルカメラの移動を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態であるデジタルカメラを説明する。
【0010】
1.デジタルカメラの構成
本実施形態のデジタルカメラの構成について、図1を参照しながら説明する。デジタルカメラ100は前面に光学系110を納める鏡筒や、フラッシュ160を備える。また、デジタルカメラ100は上面に、レリーズ釦201、ズームレバー202、電源釦203などの操作釦を備える。
【0011】
図2は、デジタルカメラ100の背面図である。デジタルカメラ100は背面に液晶モニタ123や、中央釦204や十字釦205などの操作釦を備える。
【0012】
液晶モニタ123や操作釦は筺体180の外側に露出しているが、その他の電気的構成要素は筺体180内部に収納される。
【0013】
図3は、デジタルカメラ100の電気的構成図である。デジタルカメラ100は、光学系110を介して形成された被写体像をCCDイメージセンサ120で撮像する。CCDイメージセンサ120は撮像した被写体像に基づく画像情報を生成する。CCDイメージセンサ120により生成された画像情報は、AFE(アナログ・フロント・エンド)121や画像処理部122において各種処理が施される。各種処理が施された画像情報はフラッシュメモリ142やメモリカード140に記録される。フラッシュメモリ142やメモリカード140に記録された画像情報は、操作部150上での使用者による操作にしたがい液晶モニタ123上に表示される。以下、図1から図3に示す構成の詳細を説明する。
【0014】
光学系110は、フォーカスレンズ111やズームレンズ112、光学式手振れ補正レンズ(OIS:Optical Image Stabilizer)113、シャッタ114などで構成される。なお、光学系110を構成する各種レンズは何枚から構成されるものでも、何群から構成されるものでもよい。光学式手振れ補正レンズ113は、光学系110の光軸を偏心させるために移動可能である。筺体180にブレが生じても、光学式手振れ補正レンズ113は、被写体像のブレを低減する方向に移動することができる。
【0015】
フォーカスレンズ111は被写体のフォーカス状態の調節に用いられる。ズームレンズ112は被写体の画角の調節に用いられる。シャッタ114は、CCDイメージセンサ120に入射する光の露出時間を調節する。フォーカスレンズ111、ズームレンズ112、光学式手振れ補正レンズ113、シャッタ114は、それぞれに対応したDCモータやステッピングモータ等の駆動手段により、コントローラ130から通知された制御信号に従って駆動される。
【0016】
CCDイメージセンサ120は、光学系110を通して形成された被写体像を撮像して画像情報を生成する。CCDイメージセンサ120は、所定のフレームレート(例えば、30フレーム/秒)で新しいフレームの画像情報を生成する。コントローラ130は、CCDイメージセンサ120の画像データ生成タイミングおよび電子シャッタ動作を制御する。液晶モニタ123がこの画像データをスルー画像として逐一表示することにより、使用者は被写体の状況をリアルタイムに確認できる。
【0017】
AFE121は、CCDイメージセンサ120が入力した画像情報に対して、相関二重サンプリングによる雑音抑圧と、アナログゲインコントローラによるISO感度値に基づくゲインの乗算と、及びADコンバータによるAD変換とを実施する。その後、AFE121は画像情報を画像処理部122に出力する。
【0018】
画像処理部122は、AFE121が出力した画像情報に対して各種の処理を施す。各種処理としては、BM(ブロックメモリ)積算、スミア補正、ホワイトバランス補正、ガンマ補正、YC変換処理、電子ズーム処理、圧縮処理、伸張処理等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。画像処理部122は、ハードワイヤードな電子回路で構成されてもよいし、プログラムを用いたマイクロコンピュータなどで構成されてもよい。また、画像処理部122は、コントローラ130のような他の機能部とともに1つの半導体チップで構成されてもよい。
【0019】
ジャイロセンサ161は、デジタルカメラ100の単位時間あたりの角度変化(角速度)に基づいて、光学系110の光軸に対してヨーイング方向のぶれとピッチング方向のぶれを検出する。ジャイロセンサ161は、検出した角速度を示すジャイロ信号を積分回路162に出力する。
【0020】
積分回路162は、ジャイロセンサ161から出力された角速度を示す信号(以下「ジャイロ信号」という)を積分し積分信号(角度を示す信号)を生成してコントローラ130に出力する。積分回路162から出力された積分信号を受けて、コントローラ130は、筐体の光学系110に対するヨーイング方向およびピッチング方向の回転角度を把握することができる。なお、積分回路162がジャイロ信号に対して積分処理を施す前に、積分回路162は、不要な直流成分を遮断し、直流成分が遮断されたジャイロ信号を増幅処理し、増幅された信号の高周波成分を遮断してもよい。
【0021】
液晶モニタ123は、デジタルカメラ100の背面に備わる。液晶モニタ123は、画像処理部122にて処理された画像情報に基づく画像を表示する。液晶モニタ123が表示する画像には、スルー画像や記録画像がある。スルー画像は、CCDイメージセンサ120により一定時間ごとに生成されるフレームの画像を連続して表示することで得られる画像である。通常、デジタルカメラ100が撮影モードにあるときに、画像処理部122は、CCDイメージセンサ120が生成した画像情報からスルー画像を生成する。使用者は、液晶モニタ123に表示されるスルー画像を参照することにより、被写体の構図を確認しながら撮影できる。記録画像は、デジタルカメラ100が再生モードにあるときに、メモリカード140等に記録された高画素の動画像や静止画像を、液晶モニタ123に表示するために低画素サイズに縮小して得られる画像である。
【0022】
コントローラ130は、デジタルカメラ100全体の動作を制御する。コントローラ130は、ハードワイヤードな電子回路で構成されてもよいし、マイクロコンピュータなどで構成されてもよい。また、コントローラ130は、画像処理部122などと共に1つの半導体チップで構成されてもよい。
【0023】
また、コントローラ130は、CCDイメージセンサ120に露光タイミングパルスを供給する。CCDイメージセンサ120は、コントローラ130から露光タイミングパルスを供給されたタイミングに従って、被写体像の撮像動作を実行する。コントローラ130が露光タイミングパルスを連続して供給することにより、CCDイメージセンサ120は、連続して被写体像を撮像して画像情報を生成することができる。また、コントローラ130は、露光タイミングパルスを供給する時間間隔を調節することにより、CCDイメージセンサ120の連続撮影間隔を調節することができる。
【0024】
また、コントローラ130は、CCDイメージセンサ120に露光タイミングパルスを供給するタイミングに同期して、積分回路162から積分信号(角度信号)を取得する。コントローラ130が露光タイミングパルスを供給するタイミングから、コントローラ130が積分信号を取得するタイミングまでの差(遅延)は、適宜変更可能である。しかし、CCDイメージセンサ120が画像情報を生成するタイミングに合わせて、コントローラ130が積分信号を取得するのが好ましい。
【0025】
また、コントローラ130は、デジタルカメラ100の撮影モードを「スライド3D撮影モード」に設定できる。「スライド3D撮影モード」とは、使用者がデジタルカメラ100を移動させながら撮影することにより、3次元画像生成用の左眼用画像および右眼用画像を取得できる撮影モードのことである。例えば、コントローラ130は、使用者によるメニュー釦の操作に従って、デジタルカメラ100の撮影モードをスライド3D撮影モードに設定する。デジタルカメラ100のモードは他にも、2D撮影モードや再生モードがある。
【0026】
また、コントローラ130は、積分回路162から取得した筐体180の光学系110の光軸に対する回転角度情報に基づいて、被写体像のぶれが低減される方向に、光学式手振れ補正レンズOIS113を駆動可能である。
【0027】
また、コントローラ130は、被写体像が適正露出になるように、撮像の際の露光時間(シャッタスピード)を調節することができる。なお、露光時間とシャッタスピードは逆数の関係にある。すなわち、コントローラ130は、露光時間を短くするためには、シャッタスピードを速く設定し、一方、露光時間を長くするためには、シャッタスピードを遅く設定する。
【0028】
フラッシュメモリ142は、画像情報等を格納するための内部メモリとして機能する。また、フラッシュメモリ142は、オートフォーカス(AF:Auto Focus)制御や自動露出(AE:Auto Exposure)制御、フラッシュ160の発光制御に関するプログラムの他、デジタルカメラ100全体の動作を統括制御するためのプログラムを格納している。また、フラッシュメモリ142は、画素の移動量とステレオベースとの関係を示す情報を含む対応テーブルを格納している。「画素の移動量」とは、スライド3D撮影モードにおいて撮影された、ある画像における特徴領域の位置と、別の画像における同じ特徴領域の位置との差である。位置の差は画素数で表される。「特徴領域」とは、画素の移動量を算出するための比較対象となる、画像内の特徴的な部分(例えば、人物の顔の領域)である。「ステレオベース」とは、3D画像生成に必要な左眼用画像および右眼用画像それぞれの撮影位置の間の距離である。本実施形態のデジタルカメラ100において、フラッシュメモリ142は、被写体がデジタルカメラ100から1メートルの距離にある場合の、画素の移動量とステレオベースとの関係を示す対応テーブルを格納している。コントローラ130は、フラッシュメモリ142に格納された対応テーブルにアクセスすることにより、画素の移動量に対するステレオベースの対応関係を把握することができる。また、フラッシュメモリ142は、使用者が3次元画像を鑑賞するのに好適なステレオベースの基準距離情報を格納している。「3次元画像を鑑賞するのに好適なステレオベース」とは、デジタルカメラ100が左眼用画像および右眼用画像を3次元表示したときに、使用者が好適に3次元画像を視認できるステレオベースである。コントローラ130は、フラッシュメモリ142にアクセスすることにより、ステレオベースの基準距離情報を把握することができる。
【0029】
バッファメモリ124は、画像処理部122やコントローラ130のワークメモリとして機能する記憶手段である。バッファメモリ124はDRAM(Dynamic Random Access Memory)などで実現できる。
【0030】
カードスロット141は、メモリカード140を着脱可能な接続手段である。カードスロット141は、メモリカード140を電気的及び機械的に接続可能である。また、カードスロット141はメモリカード140を制御する機能を備えてもよい。
メモリカード140は内部にフラッシュメモリ等の記録部を備えた外部メモリである。メモリカード140は画像処理部122で処理される画像情報などのデータを記録可能である。
【0031】
操作部150は、デジタルカメラ100の外装に備わっている操作釦や操作レバーの総称であり、使用者による操作を受け付ける。操作部150は、例えば、図1や図2に示したレリーズ釦201、ズームレバー202、電源釦203、中央釦204、十字釦205などを含む。操作部150は、使用者による操作に従って、コントローラ130に動作指示信号を通知する。
【0032】
レリーズ釦201は、半押し状態と全押し状態の二段階の状態を取り得る押下式釦である。レリーズ釦201が使用者により半押しされると、コントローラ130は、オートフォーカス制御や、自動露出制御を実行し撮影条件を決定する。続いて、レリーズ釦201が、使用者により全押しされると、コントローラ130は、全押しのタイミングにCCDイメージセンサ120により生成された画像情報を静止画像としてメモリカード140等に記録する。
【0033】
ズームレバー202は画角調節についての広角端と望遠端を有する中央位置自己復帰式のレバーである。ズームレバー202は、使用者により操作されるとコントローラ130にズームレンズ112を駆動するための動作指示信号を通知する。すわなち、ズームレバー202が広角端に操作されると、コントローラ130は、被写体が広角で撮影されるようにズームレンズ112を制御する。同様に、ズームレバー201が望遠端に操作されると、コントローラ130は、被写体が望遠で撮影されるようにズームレンズ112を制御する。
【0034】
電源釦203は、デジタルカメラ100を構成する各部への電力供給をON/OFFするための押下式釦である。デジタルカメラ100が電源OFFのときに使用者により電源釦203が押下されると、コントローラ130はデジタルカメラ100を構成する各部に電力を供給し、起動させる。また、デジタルカメラ100が電源ONのときに使用者により電源釦203が押下されると、コントローラ130は各部への電力供給を停止する。
【0035】
中央釦204は、押下式釦である。デジタルカメラ100が撮影モードあるいは再生モードにあるときに、使用者が中央釦204を押下すると、コントローラ130は液晶モニタ123にメニュー画面を表示させる。メニュー画面は、使用者が撮影/再生のための各種条件を設定するための画面である。各種条件の設定項目が選択された状態で中央釦204が押下されると、その設定項目の選択が確定する。すなわち、中央釦204は決定釦としても機能する。
【0036】
十字釦205は、上下左右方向に設けられた押下式釦である。使用者が十字釦205のいずれかの方向を押下することにより、液晶モニタ123に表示される各種の項目が選択される。
【0037】
2.動作
以上のように構成されるデジタルカメラ100の動作を説明する。デジタルカメラ100は、スライド3D撮影モードを有する。スライド3D撮影モードにおいて、使用者は、デジタルカメラ100の筐体180を把持した状態のまま、デジタルカメラ100を左手側から右手側にスライドさせる。この使用者によるスライド操作の間、コントローラ130は、CCDイメージセンサ120が連続して複数の画像を撮像するように制御する。以下、スライド3D撮影モードにおいて、デジタルカメラ100が移動させられながら連続撮影動作を行うことを「スライド連写撮影動作」とする。複数の画像の撮像が終了すると、コントローラ130は、その複数の画像の中から、3次元画像を生成するのに適した2つの画像(左眼用画像および右眼用画像)を抽出する。このようなスライド3D撮影モードにおけるデジタルカメラ100の動作を、以下で具体的に説明する。
【0038】
2−1.スライド3D撮影モードでの動作
スライド3D撮影モードにおけるデジタルカメラ100の動作について、図4を参照しながら説明する。使用者によりスライド3D撮影モードが設定されると、コントローラ130は、デジタルカメラ100の各部をスライド連写撮影動作を実行できる状態に制御する(S400)。この状態において、コントローラ130は、使用者によりレリーズ釦201が押下されたか否かを監視している(S401)。コントローラ130は、使用者によりレリーズ釦201が押下されるまで、監視状態を継続する(S401におけるNo)。コントローラ130は、使用者によりレリーズ釦201が押下されると(S401におけるYes)、スライド連写撮影動作を開始する(S402)。
【0039】
スライド連写撮影動作は、レリーズ釦201が押下されたタイミングで開始してもよいし、または、レリーズ釦201が押下されてから所定時間後に開始してもよい。連写撮影枚数は、適宜変更可能であるが、以下では一例として20枚とする。
【0040】
コントローラ130は、スライド連写撮影動作開始後、撮像された画像の数が20枚に到達したか否かを判定する(S403)。撮像された画像の数が20枚に到達していない場合は、コントローラ130は撮像画像数が20枚に到達するまでステップS402からステップS403の動作を繰り返す。撮像画像数が20枚に到達した場合は、コントローラ130はスライド連写撮影動作を終了する。コントローラ130は、スライド連写撮影動作が終了すると、3次元画像用画像の抽出動作を実行する(S404)。3次元画像用画像の抽出動作においては、スライド連写撮影動作において生成された複数の画像の中から、所定の条件を満たす2枚の画像を抽出する。3次元画像用の画像抽出動作(S404)の詳細は後述する。コントローラ130は、抽出された2枚の画像を3次元画像としてメモリカード140に記録する(S405)。
【0041】
2−2.デジタルカメラのスライド移動
スライド3D撮影モードにおけるデジタルカメラ100の移動について、図5を参照しながら説明する。図5のSは被写体を、Gはデジタルカメラ100の視線方向(光学系110の光軸方向)を、Vはデジタルカメラ100の視点(CCDイメージセンサ120の位置)を、DS1はこの視点Vの軌跡を示す。図5に示すように、スライド連写撮影動作の間、使用者は、デジタルカメラ100を両手で把持した状態のまま、デジタルカメラ100を左手側から右手側へスライド移動させる(図5(a)→(b)→(c))。スライド移動時、筐体180内におけるCCDイメージセンサ120の位置(視点V)はスライド方向に移動するが、CCDイメージセンサ120の位置(視点V)から見た被写体Sの方向(視線方向G)は略同一である。すなわち、スライド3D撮影モードにおいて、CCDイメージセンサ120は、略同一平面上にて連続的に複数の画像を生成する。このように、デジタルカメラ100は、スライドさせられながら画像を連写することにより、被写体Sの視差画像を、単眼レンズの撮像装置においても生成することができる。「視差画像」とは、3D画像生成用の、撮影位置の異なる複数の画像のことである。
【0042】
2−3.スライド方向のガイド表示
スライド3D撮影モードにおける、液晶モニタ123に表示されるスライド方向のガイド表示について、図6を参照しながら説明する。図6(A)は、スライド3D撮影モードにおける液晶モニタ123の表示例を示す。図6(B)は、スライド3D撮影モードにおける、スライド方向のガイド表示の変化を示す図である。図6(A)に示すように、本実施形態のデジタルカメラ100は、液晶モニタ123にスライド方向のガイド表示として表示バー300を表示させる。デジタルカメラ100がスライド3D撮影モードに設定されると、コントローラ130は表示バー300を液晶モニタ123に表示させる。液晶モニタ123が表示バー300を表示するとき、コントローラ130は表示バー300を被写体像のスルー画像に重畳して、液晶モニタ123に表示させる。表示バー300とスルー画像とが重畳されて表示されることにより、使用者は、表示バー300を確認できると同時に、被写体像の画角調整のためにスルー画像を確認できる。
【0043】
表示バー300は、表示枠301とマーク302とで構成される。マーク302は表示枠301内に表示される。マーク302の横方向の長さは、表示枠301の長さを連写枚数で除算した長さと同程度に設定する。スライド3D撮影の連写時(図4のS402)、コントローラ130は、マーク302を表示枠内で一定方向に移動させる。すなわち、コントローラ130は、使用者がデジタルカメラ100をスライド移動させるべき方向に、マーク302を表示枠301内で移動させる。
【0044】
なお、スライド3D撮影モードの連写時に、コントローラ130は、撮像した画像を次々と一時的に液晶モニタ123に表示させていく。液晶モニタ123が一時的に表示する、撮像された画像を「プレビュー画像」とする。液晶モニタ123がプレビュー画像を表示するとき、コントローラ130はこのプレビュー画像に表示バー300を重畳させて、液晶モニタ123に表示させる。プレビュー画像と表示バー300とが重畳されて液晶モニタ123に表示されることにより、使用者は、表示バー300の進捗を確認できると同時に、連写画像の仕上がりを確認できる。
【0045】
スライド3D撮影モード時のスライド方向指示表示の表示動作について、図6(B)を参照しながら説明する。縦軸tは時間経過を示す。(1a)〜(1i)は、それぞれの時間における表示バー300の表示を示す。以下、スライド3D撮影モードでは、使用者によりデジタルカメラ100が左側から右側へ移動させられることを前提とする。
【0046】
デジタルカメラ100がスライド3D撮影モードに設定された時点(図4のS400)では、図6(B)の(1a)に示すように、マーク302は表示枠301の左端に位置し、静止している。使用者は、液晶モニタ123上のスルー画像を見ながら撮影対象を確認する。使用者は、撮影対象が所望の構図となったことを確認した後、レリーズ釦201を押下する。使用者がレリーズ釦201を押下すると、コントローラ130はスライド連写撮影動作を開始する(図4のS402)。
【0047】
スライド撮影が開始されると、マーク302が表示枠301内を左から右に移動する。コントローラ130は、マーク302が連写の進捗枚数に比例して移動するように、マーク302を液晶モニタ123に表示させる。すなわち、コントローラ130は、使用者がデジタルカメラ100をスライド移動させるべき方向を指示するために、図6(B)に示すように、マーク302は表示枠301内で、(1a)から(1i)で示す位置へ移動させる。マーク302は、連写1枚目では表示枠301内左端に位置し(1a)、連写中間枚数では表示枠301内真ん中に位置し(1e)、最終枚では表示枠301内右端(1i)に位置する。このようなマーク302の移動は、連写画像が生成されるタイミングに基づくものである。したがって、デジタルカメラ100が移動させられているか否かに関わらず、マーク302は連写画像が生成されるタイミングに従って移動する。
【0048】
スライド3D撮影モードでの連写が完了すると、コントローラ130は、最後の撮影画像を液晶モニタ123にプレビュー表示させる。それから所定の時間(数秒程度)経過してから、コントローラ130はスライド3D撮影開始前の撮影待機状態(図4のS400)に戻る。コントローラ130がスライド3D撮影開始前の撮影待機状態に戻ると、マーク302は表示枠301内左端で静止した状態で表示される(図6(B)の(1a))。
【0049】
以上のように、スライド3D撮影モードにおいて、使用者がデジタルカメラ100をスライド移動させるべき方向を把握できるように、コントローラ130は、連写進捗に合わせてマーク302を移動させながら液晶モニタ123に表示させる。このようにマーク302が表示されることにより、使用者は、デジタルカメラ100をスライド移動させるべき方向や速度を容易に把握することができる。
【0050】
2−4.シャッタスピードの下限値の調整
スライド3D撮影モードにおいては、使用者がデジタルカメラ100を移動させながら撮影するので、撮影画像に移動方向の画像ブレが発生しやすい。画像ブレが大きいと輪郭が不鮮明な、低画質な画像となる。低画質な画像に基づいて3次元画像の生成処理が行われると、最終画質が低下する。そのため、このような画像ブレを抑制するために、コントローラ130は、シャッタスピードを可能な限り速い値に設定するのが好ましい。
【0051】
スライド3D撮影モードにおけるシャッタスピードの設定変更について、図7を参照しながら説明する。図7は、スライド3D撮影モードにおけるプログラム線図シフトを説明するための図である。図7には、説明のために通常撮影時のプログラム線図も併記している。「通常撮影」とは、デジタルカメラ100がスライド移動させられない撮影のことである。通常撮影は、デジタルカメラ100が移動させられない撮影であれば、単写撮影のみならず連写撮影も含む。図7の横軸はシャッタスピードを示す。右に行くほどシャッタスピードは短い(速い)。縦軸はISO感度を示す。図7中の破線Aは、通常撮影時のプログラム線図を示す。実線Bは、スライド3D撮影時のプログラム線図を示す。破線Aおよび実線Bの縦線は、コントローラ130が設定できるシャッタスピードの下限を示す。破線Aおよび実線Bの横線は、コントローラ130が設定できるISO感度の下限を示す。
【0052】
図7に示すように、デジタルカメラ100がスライド3D撮影モードに設定された場合、コントローラ130は、調整可能なシャッタスピードの下限値を、デジタルカメラ100が通常撮影モードに設定された場合よりも速くなるように変更する。すなわち、スライド3D撮影モードが設定されるときは、調整可能な露光時間の最長時間を、通常撮影モードを設定するときよりも短くなるように変更する。このようにシャッタスピードの下限値を変更することにより、スライド3D撮影モードでの撮像において生じる恐れのある画像ブレを、抑制することができる。
【0053】
スライド3D連写撮影における画像ブレを抑制する方法として、ISO感度を高感度に設定するという方法もある。しかし、この方法では画像のノイズが目立つので好ましくない。ノイズ抑制のために、ISO感度は可能な限り小さい値であることが望ましい。このため、被写体の照度が低くなってゆく場合、コントローラ130は、ISO感度を可能な限り低く抑え、シャッタスピードを遅く(露光時間を長く)するように各部を制御する。ただし、遅すぎるシャッタスピードは画像ブレを惹起して、画質が大きく低下するので、シャッタスピードに下限値を設ける。被写体照度が更に低くなった場合には、コントローラ130はシャッタスピードが下限値になった後に、ISO感度を適宜上昇させる。
【0054】
具体的には、図7に示すように、通常撮影時においては、被写体の照度が低くなっても、コントローラ130はシャッタスピード1/30秒になるまでISO感度を上げず、ISO感度が100である設定を維持する。シャッタスピードが1/30秒まで至ってもさらに被写体照度が低くなった場合に、コントローラ130はISO感度の上昇による適正露出調整を開始する。
【0055】
一方、スライド3D撮影時においては、シャッタスピードの下限値は、通常撮影時のシャッタスピードの下限値1/30よりも速い値である1/100秒に設定される。したがって、スライド3D撮影時においては、被写体の照度が低くなっても、コントローラ130は、シャッタスピード1/100秒まではISO感度を上げずに、ISO感度100の設定を維持する。シャッタスピードが1/100秒まで至っても更に被写体照度が低くなった場合に、コントローラ130はISO感度の上昇による適正露出調整を開始する。
【0056】
また、高照度環境では、ISO感度による露出調整をする必要がないため、コントローラ130は、最も低い値であるISO感度100を設定する。環境の照度が高くなるほど、コントローラ130は、シャッタスピードを速くする(露光時間を短くする)。環境の照度が非常に高くてシャッタスピードが上限値に達する場合は、コントローラ130は「絞り量」を大きくすることで最適な光量調整を行う。
【0057】
なお、画像ブレを抑制する方法としては、シャッタスピードによる方法の他に、手振れ防止機能を使う方法がある。手振れ防止機能は、デジタルカメラ100の移動を打ち消す方向に、光学式手振れ補正レンズ113を移動させる機能である。しかし、スライド連写撮影動作時に光学式手振れ補正レンズ113が動作すると、光学式手振れ補正レンズ113がレンズ枠の端に当接した状態のまま撮影されてしまうことになり、生成される画像の画質劣化という問題が生じるため適切でない。手振れ防止機能は通常撮影時の手振れを防止するために有効な機能であるが、スライド連写撮影動作時の画像ブレに対しては必ずしも有効な機能ではない。よって、スライド連写撮影動作においては、コントローラ130が手振れ防止機能を規制するのが好ましい。
【0058】
手振れ検出信号の成分は、デジタルカメラ100の水平方向と垂直方向とに分解できる。各々の成分に対して独立に手振れ防止機能が設定できる場合には、スライド連写撮影動作時に手振れ補正レンズがレンズ枠の端に当接する方向の成分のみ、手振れ防止機能を規制するようにしてもよい。このようにすることにより、手振れ補正レンズがレンズ枠の端に当接しない方向については、手振れ防止機能が有効に機能できる。本実施形態では、デジタルカメラ100の筐体180を水平方向に移動するので、デジタルカメラ100は水平方向の手振れ防止機能は規制し、垂直方向の手振れ防止機能は規制しない。
【0059】
以上のような理由から、本実施形態のデジタルカメラ100は水平方向の手振れ防止機能を規制しているため、画像ブレを抑える方法として、コントローラ130は可能な限り速いシャッタスピードを使用する。手振れ補正レンズが動作していれば、シャッタスピードの下限値が遅い値に設定されても、手振れ補正レンズによって被写体像のブレを回避することができた。しかし、手振れ補正レンズ機能を規制すると、手振れ補正レンズが機能しているときと比較して、シャッタスピードの下限値が速い値に設定されないと、被写体像のブレを回避することができない。そのため、図7に示すように、スライド3D撮影モードが設定されたときは、調整可能なシャッタスピードの下限値は、手振れ機能が使用されるときよりも、速い値に設定される。すなわち、スライド3D撮影モードが設定されたときは、水平方向の手振れ補正レンズの動作が規制されるとともに、コントローラ130が調整可能な露光時間の最長時間は、手ブレ補正レンズが動作するときよりも短く設定される。
【0060】
2−5.3次元画像用画像の抽出
3次元画像用画像の抽出動作(図4のステップS404)について図8を用いて説明する。コントローラ130は、スライド連写撮影動作によって複数の画像を生成した後、3次元画像を生成するのに最適な2つの画像を、この複数の画像の中から抽出する。
【0061】
まず、コントローラ130は、スライド連続撮影動作によって生成された複数の画像を、バッファメモリ124から読み出す。そして、コントローラ130は、読み出した複数の画像間について、それらの画像の特徴領域の画素の移動量を判定する。特徴領域として、例えば、ピント領域や顔領域などが採用される。
【0062】
次に、コントローラ130は、フラッシュメモリ142から、画素の移動量に対するステレオベースの対応テーブルを読み出す。コントローラ130は、この対応テーブルに従って、判定した画素の移動量がどれだけの距離のステレオベースであるかを判断する。
【0063】
続いて、コントローラ130は、フラッシュメモリ142から、使用者が3次元画像を鑑賞するのに好適なステレオベースの基準距離情報を読み出す。コントローラ130は、複数の画像の組合せの中で、ステレオベースの基準距離から許容距離範囲内のステレオベースである画像の組合せを判定する(S600)。以下、画像組合せのステレオベースが、ステレオベースの基準距離から許容距離範囲内であるという条件を「ステレオベース条件」とする。
【0064】
コントローラ130は、ステレオベース条件を満たす画像の組合せが、一組でもあったか否かを判定する(S601)。ステレオベース条件を満たす組合せがない場合(S601におけるNo)、コントローラ130は液晶モニタ123にエラー表示を表示させる(S605)。そして、コントローラ130は画像抽出動作を終了する。
【0065】
一方、ステレオベース条件を満たす組合せがある場合(S601におけるYes)、コントローラ130は、どの画像とも組み合わされなかった画像を削除し、いずれかの画像と組合せになった画像をバッファメモリ124に記憶する。
【0066】
続いて、コントローラ130は、ステレオベース条件を満たす組合せが、複数あるか否かを判定する(S602)。複数の組合せがある場合(S602におけるYes)、コントローラ130は、最も良い条件(センター条件)の組合せを採用し(S604)、その組合せを3次元画像生成用の画像として決定する(S603)。最も良い条件(センター条件)の組合せとは、角度差分がゼロに一番近い組合せである。
【0067】
一方、ステレオベース条件を満たす組合せが一組しかない場合は(S602におけるNo)、コントローラ130はその組合せを3次元画像生成用の画像として決定する(S603)。
【0068】
以上のようにして、連続撮影によって生成された複数の画像のうち、ステレオベース条件とセンター条件(必要に応じて)を満たす組合せを、コントローラ130は3次元画像生成用の画像として決定する。スライド連写撮影のスライド方向として、左手側から右手側へ向かう方向が採用されている場合、先に撮影された一枚が左眼用画像として決定され、後に撮影された一枚が右眼用画像として決定される。この2つの画像が使用されることにより、3次元画像が実現される。
【0069】
3.本実施形態のまとめ
以上のとおり、本実施形態のデジタルカメラ100は、スライド3D撮影モードにおいて、使用者がデジタルカメラ100をスライド移動させるべき方向を示すガイド表示を、所定の間隔で変化させながら液晶モニタ123に表示する。これにより、スライド移動方向およびタイミングを使用者に容易に把握させることができる。液晶モニタ123に表示されたガイド表示に従って使用者がデジタルカメラ100をスライド移動させて、スライド3D連写撮影が行われることにより、デジタルカメラ100が、3次元画像を生成するのに好適な左眼用画像と右眼用画像を取得しやすくなる。
【0070】
4.他の実施形態
本発明は、前述の実施形態に限定されない。以下、本発明の別の実施形態についてまとめて記載する。
【0071】
前述の実施形態において、撮像部の一例としてCCDイメージセンサ120を説明したが、撮像部はこれに限定されない。撮像部がCMOSイメージセンサや、NMOSイメージセンサなど他の撮像素子であってもよい。
【0072】
また、前述の実施形態では、マーク302が表示枠301内で移動することにより、使用者がデジタルカメラ100を移動させる方向を使用者に指示するガイド表示を例示した。しかしガイド表示は別の構成であってもよい。例えば、マーク302の代わりに、プログレスバーをスライド方向に変化させることにより、使用者がデジタルカメラ100を移動させる方向を使用者に指示するという構成であってもよい。「プログレスバー」とは、進捗状況に従って枠内の棒が伸長する方式の表示バーのことである。
【0073】
図9を用いて、スライド3D撮影モード時のプログレスバーについて説明する。図9(A)は、スライド3D撮影モードにおける、液晶モニタ123の表示を示す。図9(B)は、スライド3D撮影モードにおける、プログレスバーの変化を示す。コントローラ130は、図9(A)に示すように、スライド連写撮影動作(図4のステップS402)の進捗枚数に比例して長さが変化するプログレスバー303を液晶モニタ123に表示させる。すなわち、コントローラ130は、連写枚数が増えるに従ってプログレスバー303が長くなるように、液晶モニタ123にプログレスバー303を表示させる。プログレスバー303は、使用者がデジタルカメラ100をスライドさせるべき方向を示すために、その方向と同じ方向に伸長する。
【0074】
プログレスバー303の変化は 図9(B)のようになる。プログレスバー303は、連写枚数の増加に従って、図9(B)の(2a)から(2i)が示すような長さへと伸長する。プログレスバー303は、連写1枚目では最も短く(2a)、連写中間枚数では表示枠301の半分の長さになり(2e)、最終枚では表示枠301と同じ長さになる(2i)。スライド撮影での連写が完了すると、コントローラ130は、最後に撮影された画像を液晶モニタ123にプレビュー表示させる。それから、所定の時間(数秒程度)経過後に、コントローラ130はデジタルカメラ100をスライド連写撮影開始前の撮影待機状態(図4のS400)に戻す。スライド撮影開始前の撮影待機状態では、コントローラ130は、プログレスバー303を1枚目の状態(2a)で静止させて、液晶モニタ123に表示させる。このようにプログレスバー303が、使用者がデジタルカメラ100をスライド移動させるべき方向へ、連写進捗に合わせて伸長するように、液晶モニタ123に表示されることによっても、使用者はデジタルカメラをスライド移動させるべき方向を容易に把握することができる。
【0075】
また、マーク302の位置またはプログレスバー303の長さが連写撮影枚数に比例するように設定されたが、マーク302の位置またはプログレスバー303の長さの変化のさせ方はこれに限定されない。スライド撮影での総連写時間が固定で、あらかじめ分かっている場合は、連写進捗時間に比例するように、すなわち一定間隔でマーク302の位置またはプログレスバー303の長さが変化させられてもよい。例えば、総連写時間が4秒、総連写枚数が20枚である場合は、一枚あたりに要する時間は0.2秒である。よって、0.2秒経過するたびに、マーク302の位置またはプログレスバー303の長さが変化するように設定されてもよい。ただし、マーク302の位置またはプログレスバー303の長さを、使用者がデジタルカメラ100をスライド移動させるべき方向と同じ方向に変化させる必要があることは言うまでもない。このようなスライド移動方向の指示方法であっても、前述と同様に、使用者はデジタルカメラ100をスライド移動させるべき方向を容易に把握できる。なお、ここでいう0.2秒は、連写撮影によって画像が生成されるタイミングに基づく情報であることは言うまでもない。
【0076】
また、前述の実施形態のデジタルカメラ100では、横撮りによるスライド連写撮影を例示したが、デジタルカメラ100の向きはこれに限定されない。縦撮りによるスライド連写撮影が可能な構成であってもよい。「横撮り」とは、液晶モニタ123の短辺方向が鉛直方向になるように、使用者がデジタルカメラ100を保持して撮影することである。「縦撮り」とは、液晶モニタ123の長辺方向が鉛直方向になるように、使用者がデジタルカメラ100を保持して撮影することである。縦撮りによるスライド連写撮影が行われる場合、使用者はデジタルカメラ100を縦向きにするために、両手を用いてデジタルカメラ100を把持する形になる。使用者がデジタルカメラ100を縦向きにして把持するとき、液晶モニタ123は、画面の長辺が縦方向となり、画面の短辺が横方向となる。縦撮りの場合の、スライド3D撮影モードにおけるスライド方向は、液晶モニタ123の短辺方向である。縦撮りの場合、表示バー300は、液晶モニタ123の短辺と平行に配置されて、液晶モニタ123に表示される。デジタルカメラ100のスライド方向を指示するマーク302は、表示バー300内を左側方向から右側方向へ移動する。
【0077】
また、前述の実施形態において、スライド3D撮影モードにおけるデジタルカメラ100のスライド方向を、使用者の左手側から右手側へ向かう方向としたが、スライド方向はこれに限定されない。デジタルカメラ100のスライド方向が使用者の右手側から左手側へ向かう方向であってもよい。この場合は、液晶モニタ123で使用者にスライド方向を指示するマーク302の移動方向は、右手側から左手側へ向かう方向となる。また、3次元画像用の2つの画像が抽出されるときに、先に撮影された画像が右眼用画像、後に撮影された画像が左眼用画像となる。
【0078】
また、前述の実施形態において、スライド3D撮影モードとして、3D画像生成用の画像を撮影するスライド3D撮影モードが説明されたが、撮影モードはこれに限定されない。筐体180が移動させられながら連写撮影する他のモードにも、本発明は適用できる。例えば、パノラマ画像生成用の画像を撮影するモード(パノラマ撮影モード)においても適用可能である。図10を参照しながらこれを説明する。
【0079】
図10のSは被写体を、Gはデジタルカメラ100の視線方向(光学系110の光軸方向)を、Vはデジタルカメラ100の視点(CCDイメージセンサ120の位置)を、DS2は視点移動線を示す。デジタルカメラ100の移動撮影の形態として、図5が示すようなスライド移動撮影と、図10が示すようなスイング移動撮影がある。図5が示すようなスライド移動撮影は、被写体Sに対する視線方向Gを変えずに視点Vの位置だけが変化する撮影形態である。スライド移動撮影において、使用者は、デジタルカメラ100の視点移動線DS2(視点Vの位置を結んだ線)と被写体Sとの距離が一定となるように視点V(CCDイメージセンサ120)を移動させる。
【0080】
一方、スイング移動撮影は、使用者が、使用者の位置を中心にしてデジタルカメラ100をスイングさせながら撮影する形態である。図10に示すように、スイング移動撮影において、使用者は、デジタルカメラ100の視点Vの位置のみならず視線方向Gも変化させながら、撮影操作を行う。このようなスイング移動撮影にも、使用者に移動方向を指示するために、前述の移動方向を示すガイド表示が適用できる。すなわち、前述のガイド表示は、使用者が、視点Vの位置または視線方向Gの少なくとも一方を変えるようにして、筐体180を移動させて撮影するモードに適用可能である。デジタルカメラ100は、スイング移動撮影で取得した複数の画像の中から所定枚数の画像を抽出して、これら所定枚数の画像を連結することにより、パノラマ画像を生成することができる。
【0081】
また、前述の実施形態では、連写撮影の進捗状況を示す画像枚数や、連写撮影の進捗時間に基づいて、液晶モニタ123に表示されるマーク302やプログレスバー303のような表示体を変化させるようにしたが、本発明はこれに限定されない。連写撮影の進捗状況を示す画像枚数や連写撮影の進捗時間の情報でなくても、連写撮影において画像が生成されるタイミングに基づく任意の情報に基づき、ガイド表示を変化させてもよい。このように連写撮影において画像が生成されるタイミングに基づく情報を使用すれば、速度センサ(例:ジャイロ、動きベクトル検出センサ)等の手段がなくても、デジタルカメラ100は、使用者に筐体180の移動方向を動的に指示できる。
【0082】
また、前述の実施形態においては、レリーズ釦201が押下されることにより連写撮影が開始する例を説明したが、本発明はこれに限定されない。すなわち、液晶モニタ123がタッチパネルをさらに備え、このタッチパネルがタッチされることにより、連写撮影が開始してもよい。
【0083】
また、本発明は、レンズ一体型のカメラであっても、レンズ着脱式のカメラであっても適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、デジタルカメラ、ムービーカメラ、カメラ付き情報端末などの撮像装置にも、適用可能である。
【符号の説明】
【0085】
100…デジタルカメラ
111…フォーカスレンズ
112…ズームレンズ
113…光学式手振れ補正レンズ(OIS:Optical Image Stabilizer)
114…シャッタ
120…CCDイメージセンサ
121…AFE(アナログ・フロント・エンド)
122…画像処理部
123…液晶モニタ
124…バッファメモリ
130…コントローラ
140…メモリカード
141…カードスロット
142…フラッシュメモリ
150…操作部
160…フラッシュ
161…ジャイロセンサ
162…積分回路
180…筐体
201…レリーズ釦
202…ズームレバー
203…電源釦
204…中央釦
205…十字釦
300…表示バー
301…表示枠
302…マーク
303…プログレスバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部と、
被写体を連続的に撮像して画像データを連続的に生成する撮像部と、
所定の撮影モードにおいて、所定のタイミングで、前記表示部に表示される表示体が一定方向に変化するように、前記表示体の表示を制御する制御部と
を備えた撮像装置。
【請求項2】
前記所定の撮影モードが、使用者が前記撮像装置を前記一定方向に移動させながら画像を撮影するモードであり、前記一定方向が、前記撮像装置を移動させる方向であることを特徴とする、請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記所定の撮影モードが、3次元画像を生成する3D撮影モードであり、前記制御部は、前記撮像部が連続的に生成した複数の画像データの中から、所定の条件に合う画像を少なくとも2枚抽出して、1枚を左眼用画像、他の1枚を右眼用画像として採用して3次元画像を生成することを特徴とする、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記所定の撮影モードがパノラマ撮影モードであり、前記制御部は、前記撮像部が連続的に生成した複数の画像データの中から所定枚数を連結することによりパノラマ画像を生成することを特徴とする、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記制御部が、所定のタイミングに基づいて、前記表示部に表示される表示体の位置を変化させることを特徴とする、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記制御部が、所定のタイミングに基づいて、前記表示部に表示される表示体の長さを変化させることを特徴とする、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記制御部が、前記表示部に表示される表示体を一定間隔で変化させることを特徴とする、請求項1または2に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記制御部が、前記表示部に表示される表示体を前記撮像部が画像データを生成するタイミングと同期したタイミングで変化させることを特徴とする、請求項1または2に記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−170055(P2012−170055A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−10177(P2012−10177)
【出願日】平成24年1月20日(2012.1.20)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】