説明

撮像装置

【課題】 自身の顔部の割合が大きくならずにその背景部の画像を大きくすることを可能とする自分撮りに用いられる撮像装置を提供すること。
【解決手段】 自分撮り時に、回動判定部8によりカメラ本体1の水平方向への回動を判定し、カメラ本体1が水平方向に回動するタイミング、例えば回動開始時、回動中又は回動終了時の各タイミングに撮像部3の撮像により取得された少なくとも2つの撮像画像データを繋ぎ合わせて主要被写体としてユーザH等の人物の背景部を拡張した合成画像データを作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば主要被写体である人物の顔部を自分自身で撮影するという所謂自分撮りに用いられる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自分撮りに用いられる撮像装置の技術としては、例えば特許文献1がある。この特許文献1は、簡易な方法で自分撮り時に映りを確認することができるもので、撮像部のレンズ部の近傍に配置された表示部を有し、この表示部は、該表示部の表面に光を反射する材料を蒸着により層状に形成した蒸着ミラーを有し、この蒸着ミラーは、表示部の画面に表示される表示光の一部を透過可能に形成し、蒸着ミラーによる映像によって、ユーザは、自身の表情などを認識しつつ、液晶パネル等によって表示される内容も同時に確認することができることを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−154370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
自分撮りにより取得される画像は、撮像装置から撮影を行う自身の顔部までの距離が短くなるために、画像中に占める自身の顔部の割合が大きくなり、これに反して背景部の割合が小さくなってしまうことが多い。自身の顔部の背景部は、撮影を行っている場所等が映されるものであり、例えば撮影時の旅行先であるとか、その季節、周囲環境等を思い起こしてその当時の印象を想起することを可能とする。
【0005】
しかしながら、画像中に占める背景部の割合が小さくなってしまうと、背景部の画像から例えば撮影時の旅行先であるとか、その季節、周囲環境等を思い起こしてその当時の印象を想起することに困難性を有するものとなってしまう。
本発明の目的は、自身の顔部の割合が大きくならずにその背景部の画像を大きくすることを可能とする自分撮りに用いられる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の主要な局面に係る撮像装置は、装置本体に設けられ、主要被写体を撮像する撮像部と、前記装置本体の回動を判定する回動判定部と、前記回動判定部により前記装置本体の回動を判定し、前記装置本体が回動する時の動きに基づいて前記撮像部の撮像により取得された少なくとも2つの画像データを合成して前記主要被写体の背景部を拡張した合成画像データを作成する画像処理部とを具備する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、自身の顔部の割合が大きくならずにその背景部の画像を大きくすることを可能とする自分撮りに用いられる撮像装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明に係る撮像装置の第1の実施の形態を示すブロック構成図。
【図2】同装置における外観図。
【図3】同装置における表示器に表示する自分撮り時のガイダンスの一例を示す図。
【図4】同装置における表示器に表示する自分撮り時のガイダンスの一例を示す図。
【図5】同装置における表示器に表示する自分撮り時のガイダンスの一例を示す図。
【図6】同装置におけるユーザが自分撮りを行う場合のカメラの配置を示す図。
【図7】同装置におけるユーザが自分撮りをするときのカメラの水平移動を示す図。
【図8】同装置におけるユーザが第1の自分撮り方法で自分撮りするときのカメラの回動による水平移動を示す図。
【図9】同装置におけるユーザが第1の自分撮り方法で自分撮りするときのカメラの回動による水平移動を示す図。
【図10】同装置における第1の自分撮り方法により取得された各撮像画像データの繋ぎ合わせにより背景部を拡張した合成撮像画像データを示す模式図。
【図11】同装置におけるユーザが第2の自分撮り方法で自分撮りするときのカメラの回動による水平移動を示す図。
【図12】同装置における第2の自分撮り方法により取得された各撮像画像データの繋ぎ合わせにより背景部を拡張した合成撮像画像データを示す模式図。
【図13】同装置における撮像部を示す概略構成図。
【図14】同装置における視差を持つ各撮像画像データをユーザの位置を揃えて配置した図。
【図15】同装置における視差を持つ各各撮像画像データをユーザを一致させて重ね合わせて背景部を除去する作用を示す図。
【図16】同装置における合成画像データに拡大・縮小処理したユーザの画像データを再配置した再配置画像データの一例を示す図。
【図17】同装置におけるカメラ制御フローチャート。
【図18】同装置における合成画像データ上のユーザの画像データの縮小を示す図。
【図19】同装置における合成画像データ上のユーザの画像データの縮小を示す図。
【図20】同装置における合成画像データ上のユーザの画像データの移動を示す図。
【図21】同装置における合成画像データ上のユーザの画像データの縮小・移動・拡大等の完了を示す図。
【図22】同装置におけるユーザの画像データを縮小、移動、拡大して合成画像データ上に配置した図。
【図23】同装置を回動させたときの撮像タイミングを決定するための構図イメージ選択ブロックを示す図。
【図24】同装置における自分撮りの撮影方法の指示フローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は撮像装置(カメラ)のブロック構成図を示し、図2(a)(b)は本装置の外観図を示し、このうち図2(a)は正面外観図を示し、同図(b)は背面外観図を示す。
装置本体(カメラ本体)1には、マイクロコンピュータを搭載する画像処理・制御部2が設けられている。この画像処理・制御部2は、予め記憶されているカメラ制御プログラムを実行することにより、写真撮影を行うときのシャッタ動作や露光処理、絞り調整、画像処理等の一連の動作制御を行って撮像画像データを取得するための撮像制御、記録された撮像画像データの再生動作の制御等を行う。この画像処理・制御部2には、撮像部3と、操作判定部4と、記録部5と、表示部6と、タッチパネル7と、回動判定部8と、時計部9と、ガイダンス操作ボタン10とが接続されている。
カメラ本体1の正面には、図2(a)に示すように撮像部3のレンズ光学系3aと、ガイダンス操作ボタン10と、回動確認表示器11とが設けられ、かつカメラ本体1の上部には、操作判定部4のレリーズボタン4aが設けられている。
カメラ本体1の背面には、図2(b)に示すように表示部6が設けられている。この表示部6は、撮影時に取得された撮像画像データを表示したり、記録された撮像画像データを再生表示する。この表示部6は、例えば液晶ディスプレイから成る。この液晶ディスプレイの上面には、タッチパネル7が設けられている。このタッチパネル7は、ユーザのタッチ操作を受け、このタッチ位置に対応するタッチ位置信号を出力する。この表示部6は、視差を持つ左右(LR)の各画像データを同時に表示することにより3次元(3D)表示をすることが可能である。
【0010】
撮像部3は、人物等の主要被写体を含む被写体からの光像を撮像してその画像信号を出力する。この撮像部3は、フォーカスレンズを含むレンズ光学系と、絞りと、シャッタと、レンズ光学系から絞り、シャッタを通った被写体からの光像を画像信号に変換する撮像素子とを有する。
操作判定部4は、ユーザの操作を受けるもので、例えば電源ボタン、レリーズボタン4a、再生ボタン、動画ボタン、自分撮りボタン等を備え、動画モード又は静止画モードの切り替え、自分撮りモードへの切り替え、2次元(2D)撮影又は3次元(3D)撮影の切り替え、絞りの調整等を行う。
【0011】
記録部5は、撮影時に画像処理・制御部2により取得された撮像画像データを記録する。
【0012】
回動判定部8は、カメラ本体1の回動を判定するもので、例えば加速度センサを有する。加速度センサは、カメラの横x方向に並べて配置することで、カメラ本体1が回動しているときに回動に伴う加速度信号を出力することができる。加速度センサを例えばその他3次元を構成するカメラ縦y方向、撮影光軸z方向にそれぞれ配置すれば、重力加速度の検知によって回動判定部8は、カメラ本体1が、xyzのいずれかの方向に傾いたり、回動しているのかも判定可能である。
又、回動判定部8は、カメラ本体1の回動を判定するために地磁気を検出する方位センサを用いてもよい。例えば、方位センサは、カメラ本体1が予め定められた方向、例えば水平方向に回動しているか否かを判定し、この判定信号を出力する。カメラ本体1の水平方向への回動は、レリーズボタン4aが設けられているカメラ本体1の上面を上方に向けた状態を保ちながら光軸方向zの向きを変えながら水平方向へ回転移動することである。単純にy軸に並行に動かされたか、向きを変えて動かされたかは、この方位センサや、加速度センサの出力を分析して判定可能である。また、こうした機能は、撮像結果、顔や背景の動きを分析して代用することも可能である。
【0013】
時計部9は、計時の経過をカウントする。
ガイダンス操作ボタン10は、自分撮りを行うときの操作方法のガイダンスを例えば表示器6に表示するためのユーザの操作用のボタンである。
回動確認表示器11は、自分撮り時に、後述するカメラ本体1の回動が水平方向に安定していることを報知するためもので、例えば発光ダイオード(LED)が用いられる。回動確認表示器11は、カメラ本体1の回動が水平方向に安定しているときに点灯する。
【0014】
画像処理・制御部2は、自分撮り時に、回動判定部8によりカメラ本体1の水平方向への回動を判定し、カメラ本体1が水平方向に回動するタイミング、例えば回動開始時、回動中又は回動終了時の各タイミングに撮像部3の撮像により取得された少なくとも2つの撮像画像データを合成して主要被写体として人物の背景部を拡張した合成画像データを作成する。
【0015】
画像処理・制御部2は、少なくとも2つの撮像画像データ中から主要被写体として例えば人物の顔部の画像データを切り出し、この顔部の画像データを合成画像データ中に配置する。
カメラ本体1の回動により撮像部3は、例えば人物の顔部等の主要被写体に対して視差が異なり、かつ同主要被写体を中心部に撮像した少なくとも2つの画像データを取得すると、画像処理・制御部2は、視差の異なる少なくとも2つの撮像画像データ中から例えば人物の顔部等の主要被写体の画像データを切り出して合成画像データ中に配置する。
画像処理・制御部2は、切り出した例えば人物の顔部等の主要被写体の画像データを拡大、縮小して合成画像データ中に配置する。
画像処理・制御部2は、切り出した例えば人物の顔部等の主要被写体の画像データを合成画像データ中に移動可能である。
画像処理・制御部2は、切り出した例えば人物の顔部等の主要被写体の画像データを合成画像データ上に配置し、表示部6に例えば人物の顔部等の主要被写体の画像データを立体表示する。
この画像処理・制御部2は、仮記録部21と、顔検出部22と、合成部23と、ガイダンス報知部24とを有する。
【0016】
仮記録部21は、例えば回動開始時、回動中又は回動終了時の各タイミングに撮像部3の撮像により取得された少なくとも2つの撮像画像データを一時的に記録する。
顔検出部22は、例えば撮像画像データから主要被写体として人物の顔部を検出する。
合成部23は、仮記録部21に記録されている各撮像画像データを合成して主要被写体として人物の背景部を拡張した合成画像データを作成する。
【0017】
ガイダンス報知部24は、カメラ本体1を水平方向に回動して主要被写体として人物を当該人物により撮影するという所謂自分撮りのためのガイダンスを例えば表示器6に表示したり、自分撮りの操作が予め定められた通りの操作方法に従って行われているかの操作状態を表示器6に表示する。自分撮りのためのガイダンスは、例えば図3に示すような「手を伸ばし撮影レンズをこちらに向けて安定させて構えて下さい」のガイダンスG1と、図4に示すような「カメラを水平にしたままカメラを遠ざけるように手首を回して下さい」のガイダンスG2と、図5に示すような「カメラを水平にしたまま腕を引くように回して下さい」のガイダンスG3がある。これらガイダンスG1〜G3は、それぞれユーザWの形状を模した模式図Qを表示し、この模式図Qによって手首を回し方(図4)又は腕の回し方(図5)によるカメラ本体1の水平方向への回動方向の操作方法を矢印等により表示する。
【0018】
ガイダンス報知部24は、警告を発することや、終了を知らせることが可能である。警告の内容は、例えば「カメラを正しく構えて初めからやり直して下さい」「時間が超過したので初めからやり直して下さい」等である。終了を知らせは、「撮影を終わります」等である。
【0019】
ここで、自分撮りでのカメラの構え方について説明する。
図6に示すようにユーザHが自分撮りを行う場合、図7(a)に示すようにユーザHは、カメラ1に正対して構えるよりも、同図(b)に示すように身体を傾けてカメラ1を構えて撮影することが多い。図7(a)においてカメラ1の画角をΘ0、カメラ1とユーザHとの間の距離をD1、ユーザHの顔部の幅をWfとすると、カメラ1の画角の幅Wiは、
Wi=D1×tanΘ0 …(1)
により表わされる。
【0020】
図7(b)に示すように身体を傾けてカメラ1を構えると、カメラ1とユーザHとの間の距離D2は、ユーザHの肩部の幅D3だけ距離D1よりも長くなる。これにより、図7(b)に示すように身体を傾けてカメラ1を構えた場合のカメラ1の画角の幅Wiは、
Wi=D2×tanΘ0 …(2)
により表わされ、上記図7(a)に示すカメラ1の画角の幅Wiよりも広く出来る。このカメラ1の画角の幅Wiは、水平方向に広くなる。このようにカメラ1の画角の幅Wiが広くなると、自分撮りしたときのユーザHの背景部の画像を広くできる。
【0021】
次に、本装置による自分撮りの撮影方法について説明する。
第1の自分撮りの撮影方法は、図4に示すガイダンスG2「カメラを水平にしたままカメラを遠ざけるように手首を回して下さい」に従った方法である。
ユーザHは、上記図7(b)に示すように図3に示すガイダンスG1に従って「手を伸ばし撮影レンズをこちらに向けて安定させて構えて下さい」の状態にカメラ1を配置する。かかるカメラ1を配置した状態で自分撮りすると、図10に示すような撮像画像データS1が取得される。この撮像画像データS1には、ユーザHが撮像されている。
【0022】
次に、ユーザHは、図8又は図9に示すように図4に示すガイダンスG2の「カメラを水平にしたままカメラを遠ざけるように手首を回して下さい」に従ってカメラ1を水平方向に回動角Θ1を持って回動(傾ける)する。なお、回動角Θ1の変化は、回動判定部8により検出される。図8はカメラ1をユーザHから遠ざける方向に回動し、図9はカメラ1をユーザHに近付ける方向に回動する場合を示す。
次に、かかるカメラ1を水平方向に回動角Θ1を持って回動中に自分撮りすると、図10に示すような撮像画像データS2が取得される。この撮像画像データS2は、図8に示すようにカメラ1をユーザHから遠ざける方向に回動角Θ1を持って回動した後に、自分撮りして取得される。この撮像画像データS2は、ユーザHが画角から外れて写し出されていないが、ユーザHの背景部の画像部分S2aが撮像されている。
従って、図10に示す撮像画像データS1と、カメラ1をユーザHから遠ざける方向に回動角Θ1を持って回動した後の撮像画像データS2とが取得されると、撮像画像データS1に対してユーザHの背景部の画像部分S2aを繋ぎ合わせる。この結果、ユーザHの背景部を拡張した合成画像データGを作成することが出来る。この合成画像データGは、撮像画像データS1よりも回動角Θ1を持って傾けた分だけ画角が広くなっている。
【0023】
かかるユーザHの背景部を拡張した合成画像データGを作成するために、画像処理・制御部2は、ユーザHである人物等の主要被写体を含む一方の撮像画像データ、例えば撮像画像データS1に対してカメラ1が回動した後に取得される他方の撮像画像データ、例えば撮像画像データS2中の背景部の画像データS2aを繋ぎ合わせる。
このうち画像処理・制御部2の合成部23は、当該画像処理・制御部2の画像処理のうち撮像画像データS1に対してカメラ1が回動した後に取得される撮像画像データS2中の背景部の画像データS2aを繋ぎ合わせることを行う。
【0024】
第2の自分撮りの撮影方法は、図5に示すガイダンスG3「カメラを水平にしたまま腕を引くように回して下さい」に従った方法である。
図11に示すようにユーザHは、手にカメラ本体1を把持し、腕全体を自身の背側に向けて、カメラ本体1を水平にしたまま腕を引くように回す。このときのユーザHの肩を中心とするカメラ本体1の傾き角すなわち回動角をΘ2とする。
【0025】
先ず、ユーザHは、図3に示すガイダンスG1に従って「手を伸ばし撮影レンズをこちらに向けて安定させて構えて下さい」の状態にカメラ1を配置する。かかるカメラ1を配置した状態で自分撮りすると、図12に示すような撮像画像データK1が取得される。この撮像画像データK1には、ユーザHが撮像されている。
【0026】
次に、かかるカメラ1を水平方向に回動中に自分撮りすると、図12に示すような撮像画像データK2が取得される。この撮像画像データK2は、図11に示すようにカメラ本体1を水平にしたまま腕を引くように回動中に自分撮りして取得される。この撮像画像データK2は、撮像画像データK1に加えてユーザHの背景部の画像部分K2aが拡張して撮像されている。
さらに、かかるカメラ1を水平方向に回動角Θ2を持って傾けた後に自分撮りすると、図12に示すような撮像画像データK3が取得される。この撮像画像データK3は、撮像画像データK2に加えてユーザHの背景部の画像部分K3a分がさらに拡張して撮像されている。なお、回動角Θ2の変化は、回動判定部8により検出される。
従って、図12に示す撮像画像データK1と、カメラ1を水平にしたまま腕を引くように回動中に自分撮りして取得した撮像画像データK2の画像部分K2aと、回動角Θ2を持って回動後の撮像画像データK3の画像部分K3aとを繋ぎ合わせる。この結果、ユーザHの背景部を拡張した合成画像データJを作成することが出来る。この合成画像データGは、撮像画像データK1よりも回動角Θ2を持って傾けた分だけ画角が広くなっている。
【0027】
かかるユーザHの背景部を拡張した合成画像データJを作成するために、画像処理・制御部2の合成部23は、ユーザHである人物等の主要被写体を含む一方の撮像画像データ、例えば撮像画像データK1に対してカメラ1が回動した後に取得される他方の撮像画像データ、例えば撮像画像データK2、K3中の背景部の各画像データK2a、K3aを繋ぎ合わせる。
このような第2の自分撮りの撮影方法でのカメラ本体1の回動では、図12に示すように常にユーザ自身の顔部が撮像される可能性が高く、少しずつ背景部の領域が拡張する。又、当該撮影方法では、ユーザH等の主要被写体に対して視差を異ならして撮像するので、後述するようにユーザ自身の顔部の画像データを切り出すことが可能であり、3次元(3D)によって合成画像データJを表示することが可能である。
【0028】
次に、ユーザ自身の顔部の画像データの切り出しについて説明する。
図13は撮像部3の概略構成図を示す。この撮像部3は、3D用のカメラであって、2つの撮影レンズ30、31と、2つの撮像素子32、33とを有する。各撮影レンズ30、31は、間隔X1だけずれて配置されている。
上記図12に示す各撮像画像データK1〜K3は、間隔X1だけずれた各撮影レンズ30、31の各場所から例えば人物Aと背景Bとを撮影した場合に相当し、これら撮影レンズ30、31の間隔X1に対応する視差を持つ。撮影を行うユーザから人物Aまでの距離と背景Bまでの距離とに差がある場合、三角測量の原理に従って人物Aと背景Bとの各像がそれぞれ各撮影レンズ30、31を通して各撮像素子32、33に入射する相対位置が異なる。すなわち、一方の撮像素子32上において人物Aと背景Bの各入射位置の差がX11であり、他方の撮像素子33上において人物Aと背景Bの各入射位置の差がX12であり、これらX11、X12が撮影レンズ30、31の間隔X1に対応する視差となる。これらX11、X12は、互いに異なり、X11≠X12の関係となる。
【0029】
従って、当該3D用の撮像部3によって視差を有する撮影を行って図12に示すような例えば3つの撮像画像データK1、K2、K3を取得する。図14はかかる各撮像画像データK1、K2、K3のユーザHの画像データの位置を揃えて配置した図を示す。同図から各撮像画像データK1、K2、K3においてユーザHの各画像データは一致度が高いが、背景部は一致度が低くなる。図15は各撮像画像データK1、K2、K3を重ね合わせたもので、ユーザHの画像データを一致させると、背景部は一致しないことが分る。
【0030】
このような視差を有する撮影により例えば各撮像画像データK1、K2、K3を取得すると、これら撮像画像データK1、K2、K3からユーザHの画像のみを切り出すことが可能である。この切り出したユーザHの画像データは、拡大・縮小処理することが可能である。拡大・縮小処理したユーザHの画像データは、例えば図12に示す合成画像データJに再配置することが可能である。図16は合成画像データJに拡大・縮小処理したユーザHの画像データを再配置した再配置画像データLの一例を示す。この再配置画像データLは、各撮像画像データK1、K2、K3におけるユーザHの画像の位置よりも画像中左側に配置されている。
【0031】
次に、カメラを用いた自分撮りを含むカメラ制御について図17に示すカメラ制御フローチャートに従って説明する。
ユーザによる操作判定部4の操作によりカメラ1の動作モードが設定される。画像処理・制御部2は、ステップS101において、操作判定部4に対するユーザ操作の各種ボタンを読み取り、動作モードが撮影モードか否かを判定する。この判定の結果、撮影モードであれば、画像処理・制御部2は、ステップS102において、自分撮りであるか否かを判定する。この判定の結果、自分撮りでなければ、画像処理・制御部2は、ステップS103において、撮像部3から出力される画像信号を画像処理し、スルー画像として表示部6に表示する。
【0032】
画像処理・制御部2は、ステップS104において、ユーザの操作判定部4に対する操作により撮影開始指示がなされたか否かを判定する。この判定の結果、撮影開始指示がなされると、画像処理・制御部2は、ステップS105において、例えば静止画の撮影であれば、撮像部2を動作させることで静止画像データを取得する静止画撮影を実行する。動画撮影であれば、画像処理・制御部2は、ステップS105において、撮像部3を連続動作させて動画像データを取得する動画撮影を実行する。
静止画撮影又は動画撮影の終了後、画像処理・制御部2は、ステップS106において、画像ファイルを作成し、作成した画像ファイルを記録部4に記録する。画像ファイルの作成後、画像処理・制御部2は、静止画又は動画のデータを表示部6に表示する。
【0033】
次に、画像処理・制御部2は、ステップS108において、ユーザによる操作判定部4の操作により電源オフの指示がなされたか否かを判定する。電源オフの指示があれば、画像処理・制御部2は、カメラ制御を終了する。電源オフの指示が無ければ、画像処理・制御部2は、ステップS101に戻る。
【0034】
カメラ1の動作モードが撮影モードでなければ、画像処理・制御部2は、ステップS101からステップS121に移り、再生モードであるか否かを判定する。この判定の結果、再生モードであれば、画像処理・制御部2は、ステップS122において、記録部5に記録されている静止画及び動画の各ファイルを表示部6上に一覧表示(サムネイル表示)する。これら静止画及び動画の各ファイルのいずれかが表示部6上でユーザのタッチにより選択されると、タッチパルネ7は、ステップS123において、タッチ位置に対応するタッチ位置信号を出力する。
【0035】
画像処理・制御部2は、ステップS124において、タッチパルネ7からのタッチ位置信号から表示部6上に一覧表示されている静止画及び動画の各ファイルからタッチにより選択された静止画又は動画を表示部6に再生する。
ユーザのタッチにより静止画及び動画のファイルの選択がなければ、画像処理・制御部2は、ステップS125において、再生モードを終了し、次のステップS108において、電源オフの指示がなされたか否かを判定する。電源オフの指示がなければ、画像処理・制御部2は、ステップS109において、再度、撮影モード又は再生モードの変更操作の受付を行い、ステップS101に戻る。
【0036】
一方、画像処理・制御部2は、ステップS102において、操作判定部4に対するユーザ操作の各種ボタンを読み取り、自分撮りモードであることを判定すると、ステップS111に移り、ガイダンス報知部24に自分撮りモードのガイダンスを行う指示を発する。このガイダンス報知部24は、例えば図3に示すような自分撮りのためのガイダンスG1「手を伸ばし撮影レンズをこちらに向けて安定させて構えて下さい」を表示部6に表示する。
【0037】
画像処理・制御部2は、ステップS112において、撮像部3から出力される画像信号を画像処理し、撮像画像データ内の所定の位置に主要被写体としてユーザの顔部が正しく配置されているか否かを判定する。すなわち、画像処理・制御部2は、ユーザの顔部が例えば図10に示す撮像画像データS1のように当該撮像画像データS1内の例えば右側にあるか否かを判定する。この判定において、顔検出部22は、例えば撮像画像データからユーザの顔部を検出すると共に、当該顔部の位置を検出する。画像処理・制御部2は、顔検出部22により検出されたユーザの顔部の位置が撮像画像データ内の例えば右側にあるか否かを判定する。
【0038】
この判定の結果、ユーザの顔部の位置が撮像画像データ内の例えば右側になければ、画像処理・制御部2は、ステップS113に移り、ガイダンス報知部24に警告を発するように指示する。このガイダンス報知部24は、例えば警告「カメラを正しく構えて初めからやり直して下さい」を表示部6に表示する。このガイダンス報知部24は、スピーカを鳴動させることにより同警告を音声によりユーザに案内してもよい。ガイダンス報知部24は、例えば警告中に、「顔部の位置を撮像画像データ内の右側に配置してください」を表示すると共に、同警告をスピーカを鳴動させて音声によりユーザに案内してもよい。
【0039】
ユーザの顔部の位置が撮像画像データ内の例えば右側に存在すれば、画像処理・制御部2は、ステップS114において、カメラ本体1の姿勢が安定しているか否かを判定する。このカメラ本体1の姿勢が安定しているか否かの判定は、例えば回動判定部8によって行われる。この回動判定部8は、各加速度センサから出力される各加速度信号又は方位センサから出力される方位信号からカメラ本体1の傾き及びxyzのいずれかの方向に回動しているのかを判定する。例えば、回動判定部8は、カメラ本体1が予め定められた方向、例えば水平方向に回動しているか否かを判定し、この判定信号を出力する。カメラ本体1の水平方向への回動は、レリーズボタン4aが設けられているカメラ本体1の上面を上方に向けた状態を保ちながら水平方向へ回転移動することである。
【0040】
これと共に、画像処理・制御部2は、ユーザの顔部の位置が一定期間継続して安定していることを判定するために時計部9のカウント値を読み取って一定期間の継続を判定する。この判定の結果、ユーザの顔部の位置が一定期間継続して安定していなければ、画像処理・制御部2は、上記ステップS113に移る。
【0041】
ユーザの顔部の位置が一定期間継続して安定していると、画像処理・制御部2は、ステップS115において、ガイダンス報知部24に対して次のガイダンスを行う指示を発する。このガイダンス報知部24は、カメラを横に回動させるための指示、例えば図4に示すようなガイダンスG2「カメラを水平にしたままカメラを遠ざけるように手首を回して下さい」を表示部6に表示する。これに加えてガイダンス報知部24は、撮影ガイダンス「撮影を行って下さい」を表示部6に表示する。このガイダンス報知部24は、スピーカを鳴動させることにより同ガイダンスG2等を音声によりユーザに案内してもよい。
【0042】
撮影のガイダンス「撮影を行って下さい」に従ってユーザがレリーズボタンを押し操作すると、撮像部3は、人物等の主要被写体を含む被写体からの光像を撮像してその画像信号を出力する。画像処理・制御部2は、ステップS116において、撮像部3から出力された画像信号を入力し、画像処理等を行って撮像画像データを取得し、この撮像画像データを一時的に仮記録部21に記録する。この撮像画像データは、例えば図10に示すように撮像画像データS1である。
【0043】
ユーザHは、例えば図4に示すガイダンスG2の「カメラを水平にしたままカメラを遠ざけるように手首を回して下さい」に従って図8に示すようにはカメラ1をユーザHから遠ざける方向に回動(傾ける)する。
【0044】
カメラ1の回動中、画像処理・制御部2は、ステップS117において、回動判定部8から出力される各加速度信号又は方位信号に基づいてカメラ本体1の回動角を求め、当該カメラ本体1が予め設定された角度、例えば図10に示す回動角Θ1だけ回動したか否かを判定する。この判定の結果、カメラ本体1が予め設定された回動角Θ1だけ回動すると、画像処理・制御部2は、ステップS131において、ガイダンス報知部24は、撮影ガイダンス「撮影を行って下さい」を表示部6に表示する。このガイダンス報知部24は、スピーカを鳴動させることにより同ガイダンスG2等を音声によりユーザに案内してもよい。
【0045】
撮影のガイダンス「撮影を行って下さい」に従ってユーザがレリーズボタンを押し操作すると、撮像部3は、被写体からの光像を撮像してその画像信号を出力する。画像処理・制御部2は、ステップS132において、撮像部3から出力された画像信号を入力し、画像処理等を行って撮像画像データを取得し、この撮像画像データを一時的に仮記録部21に記録する。この撮像画像データは、例えば図10に示すように撮像画像データS2である。
【0046】
画像処理・制御部2の合成部23は、ステップS133において、仮記録部21に記録されている各撮像画像データS1、S2を合成し、図10に示すように撮像画像データS1に対してユーザHの背景部の画像部分S2aを繋ぎ合わせる。この結果、ユーザHの背景部を拡張した合成画像データGを作成する。この合成画像データGは、撮像画像データS1よりも回動角Θ1で傾けた分だけ画角が広くなっている。
【0047】
一方、上記ステップS115において、ガイダンス報知部24が例えば図5に示すようなガイダンスG3「カメラを水平にしたまま腕を引くように回して下さい」を表示部6に表示し、かつ撮影ガイダンス「撮影を行って下さい」を表示部6に表示すると、ユーザはレリーズボタンを押し操作する。このときの撮像部3は、図13に示すような3D用のカメラであるとする。この撮像部3は、人物等の主要被写体を含む被写体からの光像を撮像してその画像信号を出力する。画像処理・制御部2は、ステップS116において、撮像部3から出力された画像信号を入力し、画像処理等を行って撮像画像データを取得し、この撮像画像データを一時的に仮記録部21に記録する。この撮像画像データは、例えば図14に示すように撮像画像データK1である。
【0048】
カメラ1の回動中、画像処理・制御部2は、ステップS117において、回動判定部8から出力される各加速度信号又は方位信号に基づいてカメラ本体1の回動角Θ2を求め、当該カメラ本体1が予め設定された角度だけ回動したか否かを判定する。この判定の結果、カメラ本体1が予め設定された回動角だけ回動すると、画像処理・制御部2は、ステップS131において、ガイダンス報知部24に対して撮影ガイダンス「撮影を行って下さい」を表示部6に表示させる指令を発する。これにより、上記同様に、ユーザがレリーズボタンを押し操作すると、画像処理・制御部2は、ステップS132において、例えば図14に示すような撮像画像データK2を取得し、この撮像画像データK2を仮記録部21に一時的に記録する。
画像処理・制御部2の合成部23は、ステップS133において、仮記録部21に記録されている各撮像画像データK1、K2を読み出し、図12に示すように撮像画像データK1と、カメラ1を水平にしたまま腕を引くように回動中に自分撮りして取得した撮像画像データK2の画像部分K2aとを繋ぎ合わせる。
【0049】
さらに、カメラ1の回動中、画像処理・制御部2は、回動判定部8から出力される各加速度信号又は方位信号に基づいてカメラ本体1の回動角Θ2を求め、当該カメラ本体1が予め設定された角度だけ回動したか否かを判定する。この判定の結果、カメラ本体1が予め設定された回動角だけ回動すると、画像処理・制御部2は、ステップS131において、ガイダンス報知部24に対して撮影ガイダンス「撮影を行って下さい」を表示部6に表示させる指令を発する。これにより、上記同様に、ユーザがレリーズボタンを押し操作すると、画像処理・制御部2は、ステップS132において、例えば図14に示すような撮像画像データK3を取得し、この撮像画像データK3を仮記録部21に一時的に記録する。
画像処理・制御部2の合成部23は、ステップS133において、仮記録部21に記録されている各撮像画像データK3を読み出し、図12に示すように既に繋ぎ合わせた撮像画像データK1、K2aの画像データに対して撮像画像データK3の画像部分K3aを繋ぎ合わせて合成画像データJを作成する。この合成画像データJは、撮像画像データK1よりも回動角Θ2で傾けた分だけ画角が広くなっている。
【0050】
画像処理・制御部2は、ステップS134において、カメラ本体1の回動を終了するか否かを判定する。カメラ本体1の回動の終了は、例えばカメラ本体1を回動させたときに取得する撮像画像データの枚数によって決定してよい。例えば2枚の撮像画像データを取得する設定であれば、撮像画像データS1と、カメラ本体1を回動角Θ1だけ傾けたときの撮像画像データS2との2枚を取得した時点でカメラ本体1の回動の終了を判定する。2枚以上の撮像画像データを取得する設定であれば、当該枚数の撮像画像データを取得した時点でカメラ本体1の回動の終了を判定する。
この判定の結果、カメラ本体1の回動の終了でなければ、画像処理・制御部2は、ステップS131に戻る。カメラ本体1の回動の終了であれば、画像処理・制御部2は、ステップS135に移り、ガイダンス報知部24に対して終了の指示を送る。ガイダンス報知部24は、終了のガイダンスとして「撮影を終わります」等を表示部に表示する。このガイダンス報知部24は、スピーカを鳴動させることにより終了のガイダンスを音声によりユーザに案内してもよい。
【0051】
次に、画像処理・制御部2は、ステップS136において、複数の撮像画像データ、例えば図10に示す撮像画像データS1、S2の2枚の撮像画像データ中にユーザの顔部が1つ存在するか否かを判定する。このとき、顔検出部22は、例えば撮像画像データS1、S2中にユーザの顔部があれば、当該ユーザの顔部とその数とを検出する。この判定の結果、ユーザの顔部が1つ存在すれば、
画像処理・制御部2は、ステップS141に移り、例えば図15に示すように視差の異なる各撮像画像データK1、K2、K3のユーザHの画像データの位置を揃えて重ね合わせる。この重ね合わせにより各撮像画像データK1、K2、K3においてユーザHの各画像データは一致度が高くなるが、背景部の一致度は低くなる。
従って、画像処理・制御部2は、ステップS142において、重ね合わせにより各撮像画像データK1、K2、K3における一致度の低い背景部、すなわち各撮像画像データK1、K2、K3間で画像の内容が変化している部分を除去する。この背景部の除去により画像処理・制御部2は、各撮像画像データK1、K2、K3のいずれかの画像データからユーザHの画像を切り出す。
【0052】
画像処理・制御部2は、ステップS143において、切り出したユーザHの画像データを用いての合成画像データJの加工処理を行うのか否かを判定する。例えば操作判定部4に対して加工処理を行うことの操作指示があると、画像処理・制御部2は、ステップS144に移り、切り出したユーザHの画像データを用いての合成画像データJの加工処理を行う。
【0053】
この画像処理・制御部2は、切り出したユーザHの画像データを合成画像データJ中に配置する。この画像処理・制御部2は、切り出したユーザHの画像データを拡大、縮小して合成画像データJ中に配置する。この画像処理・制御部2は、切り出したユーザHの画像データを合成画像データJ中で移動する。この画像処理・制御部2は、切り出したユーザHの画像データを合成画像データJ上に配置し、表示部6に例えばユーザHの画像データを立体表示する。
ユーザHの画像データを拡大、縮小、移動等の加工処理の選択は、例えば操作判定部4に加工処理の選択ボタン等を設ければよい。ユーザHの画像データを拡大、縮小の場合、画像処理・制御部2は、例えば図18に示すように表示部6に合成画像データJを表示し、かつ表示部6の画面下部に拡大、縮小の各タッチスイッチと、これら拡大又は縮小を不要とするタッチスイッチとを形成する。表示部6の画面上にはタッチパネル7が配置されているので、このタッチパネル7は、ユーザのタッチ操作を受け、例えば拡大等のタッチスイッチのタッチ位置に対応するタッチ位置信号を出力する。
【0054】
ユーザHが縮小のタッチスイッチをタッチすると、タッチパネル7は、縮小のタッチスイッチのタッチ位置に対応するタッチ位置信号を出力する。画像処理・制御部2は、タッチパネル7からのタッチ位置信号から縮小のタッチスイッチが操作されたことを判定し、図19に示すように合成画像データJ上のユーザHの画像データを縮小する。
ユーザHが図20に示すようにユーザHの画像データ上のタッチパネル7をタッチし、この状態でタッチパネル7上を移動すると、タッチパネル7は、移動するタッチ位置に追従するタッチ位置信号を出力する。画像処理・制御部2は、タッチパネル7からのタッチ位置信号からタッチ位置の移動位置を判定し、このタッチ位置の移動位置上にユーザHの画像データを移動させる。
ユーザHが図21に示すように拡大のタッチスイッチをタッチすると、タッチパネル7は、拡大のタッチスイッチのタッチ位置に対応するタッチ位置信号を出力する。画像処理・制御部2は、タッチパネル7からのタッチ位置信号から拡大のタッチスイッチが操作されたことを判定し、合成画像データJ上のユーザHの画像データを拡大する。
なお、ユーザHの画像データの縮小、移動、拡大の加工処理がそれぞれ完了(OK)であれば、ユーザHがOKのタッチスイッチをタッチすることにより、画像処理・制御部2は、縮小、移動、拡大の加工処理をそれぞれ完了する。
【0055】
このようにユーザHの画像データを縮小、移動、拡大して合成画像データJ上に配置すれば、例えば図22に示すような合成画像データMを作成できる。この合成画像データM及びユーザHの画像データは、3D用のカメラの撮像により取得されるので、合成画像データJ上のユーザHの画像データを立体表示、すなわちユーザHを所謂飛び出すように立体表示することができる。
【0056】
なお、カメラ本体1を回動角Θ1で回動させたときの撮像タイミングは、図23に示す構図イメージ選択ブロックFを表示部6に表示して決定するようにしてもよい。この構図イメージ選択ブロックFで決定したときの撮像タイミングは、図4に示すガイダンスG2「カメラを水平にしたままカメラを遠ざけるように手首を回して下さい」に従った第1の自分撮りの撮影方法で撮像する場合である。
【0057】
この構図イメージ選択ブロックFは、例えばユーザHの撮像画像データ中の大きさに対応する各撮像タイミングの回動角Θ1を選択可能となっている。この構図イメージ選択ブロックFには、例えば4つの構図イメージN1〜N4が設けられている。なお、図8に示すようにカメラ1の画角をΘ0とする。
構図イメージN1は、回動角Θ11=Θ1=0である。
構図イメージN2は、回動角Θ12=Θ1=Θ0/2である。
構図イメージN3は、回動角Θ13=Θ1=Θ0×2/3である。
構図イメージN4は、回動角Θ14=Θ1=Θ1=Θ0である。
例えば構図イメージN2を選択すると、画像処理・制御部2は、回動角Θ1が0°とΘ0/2°とのときにガイダンス報知部24に対して撮影ガイダンス「撮影を行って下さい」を表示部6に表示させる指令を発する。これにより、画像処理・制御部2は、回動角Θ1が0°のときに例えば図10に示すような撮像画像データS1を取得し、回動角Θ1がΘ0/2°のときに例えば図10に示すような撮像画像データS2を取得する。
しかるに、画像処理・制御部2は、主要被写体としてユーザHを撮像するときの複数の構図例えば4つの構図イメージN1〜N4と、カメラ本体1を回動させるためのそれぞれ異なる複数の操作方法のガイダンス例えば図4に示すようなガイダンスG2「カメラを水平にしたままカメラを遠ざけるように手首を回して下さい」、図5に示すようなガイダンスG3「カメラを水平にしたまま腕を引くように回して下さい」とを有し、選択された構図イメージN1、N2、N3又はN4に応じたガイダンスG2又はG3を表示部6に表示する。
【0058】
画像処理・制御部2は、ステップS115において、ガイダンス報知部24に対して図4に示すようなガイダンスG2「カメラを水平にしたままカメラを遠ざけるように手首を回して下さい」、又は図5に示すようなガイダンスG3「カメラを水平にしたまま腕を引くように回して下さい」を表示部6に表示しているが、上記図23に示す構図イメージ選択ブロックFで例えば4つの構図イメージN1〜N4のうちいずれかの構図イメージが選択されると、画像処理・制御部2は、ステップS115において、図24に示す自分撮りの撮影方法の指示フローチャートを実行する。
【0059】
画像処理・制御部2は、ステップS221において、図23に示す構図イメージ選択ブロックF中で例えば4つの構図イメージN1〜N4のうちいずれかの構図イメージが選択されたか否かを判定する。この判定の結果、4つの構図イメージN1〜N4のうちいずれかの構図イメージが選択されると、画像処理・制御部2は、ステップS222において、ガイダンス報知部24に対して図4に示すようなガイダンスG2「カメラを水平にしたままカメラを遠ざけるように手首を回して下さい」を表示する指示を発する。これにより、ユーザHは、図8に示すようにガイダンスG2「カメラを水平にしたままカメラを遠ざけるように手首を回して下さい」に従った第1の自分撮りの撮影方法で撮像を行う。
【0060】
4つの構図イメージN1〜N4のうちいずれかの構図イメージが選択されると、画像処理・制御部2は、ステップS222において、ガイダンス報知部24に対して図5に示すようなガイダンスG3「カメラを水平にしたまま腕を引くように回して下さい」を表示する指示を発する。これにより、ユーザHは、図11に示すようにガイダンスG3「カメラを水平にしたまま腕を引くように回して下さい」に従った第2の自分撮りの撮影方法で撮像を行う。なお、画像処理・制御部2は、同ステップS222において、回動角Θ1を指定してもよい。
【0061】
このように上記一実施の形態によれば、自分撮り時に、回動判定部8によりカメラ本体1の水平方向への回動を判定し、カメラ本体1が水平方向に回動するタイミング、例えば回動開始時、回動中又は回動終了時の各タイミングに撮像部3の撮像により取得された少なくとも2つの撮像画像データを繋ぎ合わせて主要被写体としてユーザH等の人物の背景部を拡張した合成画像データを作成するので、ユーザH等の自身の顔部の割合が大きくならずにその背景部の画像を大きくすることができる。ユーザH等の自身の顔部の背景部は、撮影を行っている場所等が映されるものであり、例えば撮影時の旅行先であるとか、その季節、周囲環境等を思い起こしてその当時の印象を想起することが可能である。
【0062】
例えば回動開始時、回動中又は回動終了時の各タイミングに撮像部3の撮像により取得する撮像画像データは、2つに限らず、2つ以上の撮像画像データを取得してもよい。撮像画像データの取得数が多くなると、例えばユーザH等の人物の背景部の拡張量を大きくすることができる。
【0063】
さらに、図12に示すように撮像画像データK1〜K3を重ね合わせて主要被写体として例えばユーザH等の人物の画像データを切り出し、この切り出した画像データを合成画像データJ中の所望の位置に配置できる。この場合、視差を持つ3D用のカメラを用いればよい。
又、切り出した例えばユーザH等の人物の顔部等の主要被写体の画像データを拡大、縮小して合成画像データJ中に配置できる。
切り出した例えばユーザH等の人物等の主要被写体の画像データを合成画像データJ中で所望の位置に移動できる。
切り出した例えばユーザH等の人物の主要被写体の画像データを合成画像データJ上に配置し、表示部6に例えばユーザH等の人物の主要被写体の画像データを立体表示できる。
【0064】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0065】
1:装置本体(カメラ本体)、2:画像処理・制御部、3:撮像部、3a:レンズ光学系、4:操作判定部、4a:レリーズボタン、5:記録部、6:表示部、7:タッチパネル、8:回動判定部、9:時計部、10:ガイダンス操作ボタン、11:回動確認表示器、21:仮記録部、22:顔検出部、23:合成部、24:ガイダンス報知部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に設けられ、主要被写体を撮像する撮像部と、
前記装置本体の回動を判定する回動判定部と、
前記回動判定部により前記装置本体の回動を判定し、前記装置本体が回動する時の動きに基づいて前記撮像部の撮像により取得された少なくとも2つの画像データを合成して前記主要被写体の背景部を拡張した合成画像データを作成する画像処理部と、
を具備することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記画像処理部は、前記主要被写体を含む一方の前記画像データに対して前記装置本体が回動して後に取得される他方の前記画像データ中の前記背景部の画像データを繋ぎ合わせることを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項3】
前記画像処理部は、前記少なくとも2つの画像データ中から前記主要被写体の画像データを切り出し、当該主要被写体の画像データを前記合成画像データ中に配置することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項4】
前記装置本体の回動により前記撮像部は、前記主要被写体に対して視差が異なり、かつ前記主要被写体を中心部に撮像した前記少なくとも2つの画像データを取得し、
前記画像処理部は、前記視差の異なる前記少なくとも2つの画像データ中から前記主要被写体の画像データを切り出して前記合成画像データ中に配置する、
ことを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項5】
前記画像処理部は、前記切り出した前記主要被写体の画像データを拡大、縮小して前記合成画像データ中に配置することを特徴とする請求項3又は4記載の撮像装置。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記切り出した前記主要被写体の画像データを前記合成画像データ中に移動可能であることを特徴とする請求項3又は4記載の撮像装置。
【請求項7】
前記撮像部の撮像により取得された前記画像データを表示する表示部を備え、
前記画像処理部は、前記切り出した前記主要被写体の画像データを前記合成画像データ上に配置し、前記表示部に前記主要被写体の画像データを立体表示する、
ことを特徴とする請求項3記載の撮像装置。
【請求項8】
前記撮像部は、前記主要被写体として当該主要被写体の撮影を行う人物の顔部を撮像し、
前記画像処理部は、前記人物の顔部の前記背景部の画像データを繋ぎ合わせて画角を広くした前記合成画像データを作成する、
ことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項9】
前記回動判定部は、前記装置本体が予め定められた方向に回動しているか否かを判定することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項10】
前記回動判定部は、前記装置本体が水平方向に回動しているか否かを判定することを特徴とする請求項9記載の撮像装置。
【請求項11】
前記回動判定部は、加速度センサ又は方位センサを含むことを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項12】
前記装置本体を回動して前記主要被写体を当該主要被写体により撮影するためのガイダンスを報知するガイダンス報知部を有することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。
【請求項13】
前記主要被写体を撮像するときの複数の構図と、前記装置本体を回動させるためのそれぞれ異なる複数の操作方法のガイダンスとを有し、選択された前記構図に応じた前記操作方法のガイダンスを報知することを特徴とする請求項1記載の撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−182582(P2012−182582A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−42872(P2011−42872)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】