説明

撮像装置

【課題】高速かつ低振動で三次元画像を撮像する。
【解決手段】撮像装置1は、可変絞り3と、可変絞り3の絞り値を調節する絞り駆動部7と、可変絞り3等を通過した光束を撮像する撮像素子5と、CPU9とを備える。CPU9は、絞り駆動部7により可変絞り3の絞り値を調節しながら撮像素子5による撮像を複数回行って、複数の二次元画像を得る撮像制御処理92と、複数の二次元画像からそれぞれ主要被写体に関する二次元被写体像を抽出する被写体像抽出処理93と、被写体像抽出処理93により抽出された複数の二次元被写体像について、配置順序を決定する配置順序決定処理94と、配置順序決定処理94により決定された配置順序に基づいて複数の二次元被写体像の画像データを画像記憶部11に記憶し、主要被写体の三次元画像データを作成する三次元被写体像データ作成処理95として機能する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三次元画像を撮像可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、フォーカシングレンズを走査して得た最適合焦位置データに基づいて、立体画像表示の画像を得る撮像装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3112485号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の方法では、フォーカシングレンズの駆動スピードや駆動時の振動が問題となる場合がある。本発明の目的は、高速かつ低振動で三次元画像を撮像することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る撮像装置は、絞りと、絞りの絞り値を調節する絞り調節手段と、絞りの通過光束を撮像する撮像手段と、絞り調節手段により絞りを調節しながら撮像手段により複数回撮像を行い、複数の二次元画像を得る撮像制御手段と、複数の二次元画像からそれぞれ主要被写体に関する被写体像を抽出する被写体像抽出手段と、被写体像抽出手段により抽出された複数の被写体像について、配置順序を決定する配置順序決定手段と、配置順序決定手段により決定された配置順序に基づいて複数の被写体像を記憶して主要被写体の三次元画像データを作成する三次元被写体像データ作成手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
高速かつ低振動で三次元画像を撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による撮像装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】撮像制御処理に関するフローチャートである。
【図3】絞り値と被写界深度の関係を説明するための図である。
【図4】撮像制御処理により複数撮像される二次元画像データの一例である。
【図5】被写体像抽出処理の処理結果を例示するための図である。
【図6】被写界深度の計算について説明するための補助図である。
【図7】三次元画像データのデータフォーマットの一例である。
【図8】三次元画像データに基づいて再生出力されるステレオペア画像の一例である。
【図9】ステレオペア画像の作成における画像処理の一例である。
【図10】三次元画像データが記憶されるまでのフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1は、本発明の一実施形態による撮像装置の一構成例を示すブロック図である。図1に示す撮像装置1は、三次元被写体像を作成可能なデジタルカメラであって、光学系2a〜2cと可変絞り3とシャッタ4と撮像素子5とレンズ駆動部6と絞り駆動部7とシャッタ制御部8とCPU9とメモリ10と画像記憶部11と操作部材12と再生装置13とを備える。
【0009】
光学系2bはフォーカシングレンズであり、モータやドライバなどからなるレンズ駆動部5により光軸方向に駆動され、主要被写体に対して光学系2a〜2cが焦点調節状態になるように制御される。なお、光学系2cはズームレンズである。
【0010】
可変絞り3は光学系2a〜2cを通過する光束を絞るためのものであって、絞り駆動部7が駆動することによりその開口量が調整され、絞り値が調節される。シャッタ4はシャッタ制御部8の制御により開閉し、閉じているとき撮像素子5を被写体光束から遮蔽する。
【0011】
撮像素子5は、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなどであって、可変絞り3およびシャッタ4を通過した光束を受光し、被写体を撮像する。撮像素子5により撮像される画像は二次元画像であって、CPU9へ出力される。
【0012】
CPU9は、焦点調節処理91や、撮像制御処理92、被写体像抽出処理93、配置順序決定処理94、三次元被写体像データ作成処理95、補完用画像データ作成処理96などを実行する。図1に示したこれらの処理については詳細を後述する。また、図1に示した処理はCPU9が実行する処理の一例であって、CPU9が実行する処理は図示したものだけに限定されない。
【0013】
メモリ10は、揮発性の記憶媒体であって、焦点調節処理91などの各種処理を実行中のCPU9によって作業領域として利用される。画像記憶部11は、フラッシュメモリ等、着脱可能な不揮発性の記憶媒体であって、三次元被写体像データ作成処理95や補完用画像データ作成処理96により作成された画像データなどを記憶する。
【0014】
操作部材12は、電源スイッチやレリーズスイッチなどの各種スイッチを含む。ユーザは、操作部材12を操作して撮像装置1の設定や、被写体に関する三次元画像の撮像指示などを行うことができる。以降、被写体に関する三次元画像のことを三次元被写体像と称する。
【0015】
再生装置13は、液晶式の表示モニタを含み、撮像装置1の操作メニューや二次元画像などの表示と、三次元画像データの再生出力とを行うことができる。三次元画像データの再生出力とは、右目用と左目用のステレオペア画像を出力することを指す。
【0016】
焦点調節処理91は、顔認識処理などの公知の方法で選択した主要被写体について合焦状態となるように、位相差検出AF方式などの公知の焦点検出手段により光学系2bの焦点位置を検出する。焦点調節処理91が検出した光学系2bの焦点位置に関する情報はレンズ駆動部6へ送信され、レンズ駆動部6が受信した焦点位置に関する情報に基づいて光学系2bを駆動する。これにより、光学系2a〜2cは主要被写体に合焦する。
【0017】
撮像制御処理92は、撮像素子5と絞り駆動部7とシャッタ制御部8とを制御して、被写体光束を撮像し、その結果得られた二次元画像を焦点調節処理91や、被写体像抽出処理93、補完用画像データ作成処理96などへ出力する。撮像制御処理92は、操作部材12を介して三次元被写体像の撮像指示があったときにその処理の実行を開始する。
【0018】
図2は、撮像制御処理92に関するフローチャートの一例である。ステップS101では、CPU9は絞り駆動部7を制御して可変絞り3の絞り値を最大に設定し、可変絞り3を開放状態にする。ステップS102では、焦点調節処理91を実行し、光学系2a〜2cを主要被写体に合焦させる。ステップS103では、シャッタ制御部8を制御してシャッタ4を開く。
【0019】
ステップS103にてシャッタ4を開いたら、CPU9はステップS104〜ステップS106の処理を所定回数繰り返す。所定回数は、撮像装置1の設計段階において予め定められている。ステップS104では、撮像素子5から二次元画像データを取り込む。ステップS105では、ステップS104で取り込んだ二次元画像と、絞り駆動部7へ指示した可変絞り3の絞り値に関する情報と、光学系2bの焦点位置とをメモリ10へ記憶する。ステップS106では、可変絞り3の絞り値を絞る。
【0020】
ステップS106において可変絞り3の絞り値を変更すると、光学系2a〜2cの被写界深度が変化する。具体的には、可変絞り3の絞り値が小さくなるほど被写界深度が深くなる。主要被写体が複数あるとき、被写界深度が深くなることにより、ステップS102で合焦状態にした主要被写体以外の主要被写体についても合焦状態とみなせる。
【0021】
図3は、可変絞り3の絞り値と被写界深度との関係を示す図である。図3(a)は可変絞り3の絞り値が開放状態にあり、図3(b)は可変絞り3の絞り値が絞られている。光学系2a〜2cは、図3(a)および図3(b)では、被写体距離L1の位置にある人物301に合焦している。図3(a)の状態から図3(b)の状態に可変絞り3を絞ると、被写界深度Δ1が被写界深度Δ2に広がる。被写体深度Δ2の範囲には、家屋302があり、家屋302についても合焦状態とみなせる。山岳303については、図3(a)の被写界深度Δ1および図3(b)の被写界深度Δ2のいずれの範囲内にもないため、合焦状態とはみなせない。
【0022】
ステップS107では、CPU9は、シャッタ制御部8を制御してシャッタ4を閉じる。ステップS108では、CPU9は、ステップS105でメモリ10に記憶した二次元画像と、絞り駆動部7へ指示した可変絞り3の絞り値に関する情報と、光学系2bの焦点位置とを、被写体像抽出処理93および補完用画像データ作成処理96へ出力する。
【0023】
被写体像抽出処理93の処理について図4および図5に示す例を用いて説明する。被写体像抽出処理93は、図2のステップS108において撮像制御処理92が出力する二次元画像データの中から合焦状態にある主要被写体の被写体像を抽出する。図4は、図2のステップS108において出力された二次元画像データの一例である。図4に示す二次元画像300には、人物301と家屋302と山岳303とが撮像されている。
【0024】
可変絞り3が図3(a)の状態にあるとき、二次元画像300のうち、人物301が合焦状態にあり、家屋302および山岳303は合焦していない。このとき、被写体像抽出処理93は、二次元画像300の中から人物301の被写体像を抽出し、図5(a)のような二次元画像データを作成する。
【0025】
可変絞り3が図3(b)の状態にあるとき、二次元画像300のうち、人物301および家屋302が合焦状態にあり、山岳303は合焦していない。このとき、被写体像抽出処理93は、二次元画像300の中から人物301の被写体像を抽出し、図5(a)のような二次元画像データを作成する。また、被写体像抽出処理93は、二次元画像300の中から家屋302の被写体像を抽出し図5(b)のような二次元画像データを作成する。図5(b)に示される家屋302の被写体像にある影311は、家屋302の被写体像のうち人物301により隠れていた部分である。影311の部分に関しては家屋302の画像データが無く、空データを表すデータが記憶されている。以降、被写体像抽出処理93が被写体像を抽出することにより作成する二次元画像のことを二次元被写体像と称する。図2のステップS108において二次元画像データは複数出力されており、被写体像抽出処理93は、それらの各二次元画像データから被写体像をそれぞれ抽出し、各被写体ごとに複数の二次元被写体像を作成する。
【0026】
撮像装置1は、被写体像抽出処理93により作成された二次元被写体像から主要被写体の三次元画像を作成する。以降、主要被写体の三次元画像のことを三次元被写体像と称する。三次元被写体像は、被写体像抽出処理93により作成された複数の二次元被写体像を三次元仮想空間において光軸に沿って並べて配置し、各主要被写体ごとに画像処理を施すことにより得られる。二次元画像被写体像を並べる順番は配置順序決定処理94により決定される。
【0027】
配置順序決定処理94は、被写体像抽出処理93により作成された複数の二次元被写体像の配置順序を決定する処理である。配置順序決定処理94は、図2のステップS108において二次元画像データとともに記憶した焦点位置および絞り値に基づいて、配置順序を決定する。まず配置順序決定処理94は、二次元画像データとともに記憶された焦点位置に基づいて、たとえば公知のレンズの公式などから合焦距離を導出する。そして、配置順序決定処理94は、二次元画像データとともに記憶された焦点位置および絞り値と、算出された合焦距離とに基づいて、下式(1)および下式(2)により光学系2bの光軸上の位置から被写界深度の両端(最前端および最奥端)までの距離ΔfおよびΔbをそれぞれ算出する。式中のfは焦点距離、Fは絞り値、aは合焦距離、εは最小錯乱円の直径である。被写界深度ΔfおよびΔb、合焦距離a、最小錯乱円の直径εの関係を図6に図示する。
【数1】

・・・(1)
【数2】

・・・(2)
【0028】
配置順序決定処理94は、こうして算出された被写界深度の最前端までの距離に基づいて、合焦状態にある主要被写体までの距離(被写体距離)を算出し、二次元画像データの配置順序を決定する。配置順序決定処理94は、決定した配置順序、被写体距離、二次元被写体像に対応する主要被写体への光の当たり具合などの情報を被写体距離情報としてメモリ10へ記憶し、さらにその被写体距離情報と二次元被写体像とを対として三次元被写体像データ作成処理95へ出力する。
【0029】
三次元被写体像データ作成処理95は、配置順序決定処理94から出力された被写体距離情報と二次元被写体像との対を、三次元被写体像の画像データとして画像記憶部11へ記憶する。補完用画像データ作成処理96は、撮像制御処理92から出力された二次元画像を、補完用の画像データとして画像記憶部11へ記憶する。撮像装置1では、三次元被写体像データ作成処理95が記憶する三次元被写体像の画像データと、補完用画像データ作成処理96が記憶する補完用の画像データとを一つの三次元画像データとして記憶する。なお、補完用画像データ作成処理96が画像記憶部11へ記憶する補完用の画像データは、一つでも複数でもよい。可変絞り3の絞り値を最も絞ったときに撮像制御処理92から出力された二次元画像を画像記憶部11へ記憶することにすればよい。
【0030】
図7は、三次元被写体像データ作成処理95および補完用画像データ作成処理96により記憶される三次元画像データのデータフォーマットの一例である。図7に例示するデータフォーマット500は、ヘッダ部501と、補完用画像データ作成処理96が補完用の画像データを記憶する補完用画像データ記憶部502と、三次元被写体像データ作成処理95が三次元被写体像の画像データを記憶する三次元被写体像データ記憶部503と、三次元画像データファイルの終わりを示すファイル終端部504とを有する。
【0031】
三次元被写体像データ記憶部503は主要被写体ごとに設けられる。たとえば、人物301用の三次元被写体像データ記憶部503と家屋302用の三次元被写体像データ記憶部503とが設けられる。各三次元被写体像データ記憶部503は、いずれの主要被写体の三次元被写体像なのかを識別するためのラベル部503aと、被写体距離情報を記憶する被写体距離情報記憶部503bと、二次元被写体像の画像データを記憶する二次元被写体像データ記憶部503cとをそれぞれ有する。被写体距離情報記憶部503bと二次元被写体像データ記憶部503cとは、三次元被写体像データ記憶部503ごとに複数個有し、その個数は撮像制御処理92においてステップS104〜S106の処理を繰り返す回数と一致する。各三次元被写体像データ記憶部503に含まれる複数の二次元被写体像データ記憶部503cには、配置順序決定処理94が決定した配置順序に基づいた順番で、二次元被写体像の画像データが記憶される。複数の被写体距離情報記憶部503bについても同様に配置順序決定処理94が決定した配置順序に基づいた順番で二次元被写体像の画像データが記憶される。
【0032】
撮像装置1は、補完用画像データを用いて、三次元画像データから二次元画像を再生装置13上に表示、再生することができる。さらに撮像装置1では、三次元被写体像データ記憶部503に記憶された三次元被写体像の画像データに基づいて主要被写体を三次元に観察可能な三次元被写体像のステレオペア画像を再生装置13から再生出力することができる。
【0033】
図8は、三次元画像の再生出力例である。図8(a)および図8(b)は図3に例示された二次元画像に基づいた三次元画像を表し、図8(a)はステレオペアの右目用の画像であり、図8(b)はステレオペアの左目用の画像である。
【0034】
図8(a)には、三次元仮想空間上に人物301の三次元被写体像601aと家屋302の三次元被写体像602aとが配置され、合焦状態とならなかった山岳303の画像が背景として配置されている。一方、図8(b)には、三次元仮想空間上に人物301の三次元被写体像601bと家屋302の三次元被写体像602bとが配置され、山岳303の画像が背景として配置されている。なお、人物301の三次元被写体像601aと家屋302の三次元被写体像602aと人物301の三次元被写体像601bと家屋302の三次元被写体像602bとが配置される位置は被写体距離情報に含まれる被写体距離に基づく。
【0035】
主要被写体の三次元被写体像は、画像記憶部11に記憶された三次元画像データのうち、三次元被写体像データ記憶部503の二次元被写体像データ記憶部503cに記憶された二次元被写体像の画像データに基づいて再生される。背景画像は、補完用画像データ記憶部502に記憶された補完用の画像データに基づいて再生される。
【0036】
図8(a)の影611aおよび図8(b)の影611bは、図5(b)の影311に対応する。このように二次元画像を撮像したときに隠れていて撮像できなかった部位については、図8(a)および図8(b)のように画像データを再生しないことにしてもよいし、補完用画像データ記憶部502に記憶された補完用の画像データから補完用画像を作成し、補完することにしてもよい。たとえば、影611aの部位と同一形状で影611aの部位の周辺の色情報に基づいた色の補完用画像を作成すればよい。このような補完用画像は、補完用画像データ記憶部502に記憶された補完用の画像データから作成される。
【0037】
図9は、再生装置13から三次元被写体像を再生するときにCPU9が実行する三次元被写体像を作成するための画像処理について説明する図である。図9(a)〜(c)に示す例では、家屋302に関する三次元被写体像を作成する。CPU9は、画像記憶装置11から家屋302に関するラベルが記憶されたラベル部503aを検索する。そして、検索されたラベル部503aを有する三次元被写体像記憶部503について、複数の被写体距離情報記憶部503bおよび複数の二次元被写体像データ記憶部503cからそれぞれ被写体距離情報と二次元被写体像データを読出す。CPU9は、被写体距離情報記憶部503bに記憶された配置順序に基づいて、各被写体距離情報記憶部503bに対応する二次元被写体像データ記憶部503cに記憶された二次元被写体像を光軸方向に沿って並べる。図9(a)は、家屋302の二次元被写体像302a〜302eが三次元仮想空間の光軸方向701に沿って並んだ状態を示す。図9(b)は、三次元仮想空間内における二次元被写体像302a〜302eの位置関係からCPU9が画像処理により仮想面702a〜702cを補間した状態を示す。この処理により、図8の家屋302の三次元被写体像602aが作成できる。図9(c)は、三次元被写体像602a上の影611aを、補完した状態を示す。図9(c)に例示されている家屋302の三次元被写体像703は、三次元被写体像602aの影611aが補完画像により補完されている。
【0038】
図10は、画像記憶部11に三次元画像データが記憶されるまでにCPU9が実行する処理に関するフローチャートである。ステップS100では、CPU9は、図2にフローチャートを例示した撮像制御処理を実行する。ステップS200では、CPU9は、被写体像抽出処理93を実行して撮像制御処理92により撮像された二次元画像から主要被写体の二次元被写体像(たとえば、図5)を抽出する。ステップS300では、CPU9は、配置順序決定処理94を実行して各二次元被写体像について被写体距離情報をメモリ10へ記憶する。ステップS400では、CPU9は、配置順序決定処理94を実行して、各主要被写体ごとに複数の二次元被写体像の配置順序を決定する。
【0039】
ステップS500では、CPU9は、三次元被写体像データ作成処理95を実行する。CPU9は、三次元画像の画像データのヘッダ部501を画像記憶部11に記憶する。次にCPU9は、各被写体ごとに対応するラベルを作成し、ラベル部503aに記憶する。その後CPU9は、ラベル部503aに対応する三次元被写体像データ記憶部503に当該被写体の各二次元被写体画像データを二次元被写体データ記憶部503cにそれぞれ記憶し、各二次元被写体画像データに対応した被写体距離情報を被写体距離情報記憶部503bにそれぞれ記憶する。ステップS600では、CPU9は、補完用画像データ作成処理96が補完用の画像データを画像記憶部11に記憶する。三次元被写体像データ作成処理95が作成した三次元画像の画像データの補完用画像データ記憶部502に補完用の画像データを記憶する。補完用の画像データは、撮像制御処理92により撮像された二次元画像そのものでもよい。
【0040】
以上で説明した実施の形態によれば、以下の作用効果が得られる。
撮像装置1は、可変絞り3と、可変絞り3の絞り値を調節する絞り駆動部7と、可変絞り3等を通過した光束を撮像する撮像素子5と、CPU9とを備える。CPU9は、絞り駆動部7により可変絞り3の絞り値を調節しながら撮像素子5による撮像を複数回行って、複数の二次元画像を得る撮像制御処理92と、複数の二次元画像からそれぞれ主要被写体に関する二次元被写体像を抽出する被写体像抽出処理93と、被写体像抽出処理93により抽出された複数の二次元被写体像について、配置順序を決定する配置順序決定処理94と、配置順序決定処理94により決定された配置順序に基づいて複数の二次元被写体像の画像データを二次元被写体像データ記憶部503cに記憶し、三次元被写体像データ記憶部503に主要被写体の三次元画像データを作成する三次元被写体像データ作成処理95として機能する。光学系2bの駆動ではなく、可変絞り3の絞り値を変えて三次元画像データを得ることができるため、高速かつ低振動で三次元画像を撮像することができる。
【0041】
また、本発明により三次元画像データを撮像する場合、光学系2a〜2cは従来の一眼レフカメラのレンズを使用することができる。すなわち、本発明によれば、三次元画像を撮像するために特別なレンズを用意する必要はない。
【0042】
以上で説明した実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
〔1〕上記の実施形態では、図2のステップS101において、可変絞り3を開放状態にしたが、可変絞り3の開口量を最小限に絞り、ステップS106で開放することにしてもよい。
【0043】
〔2〕上記の実施形態では、図2のステップS102において、焦点調節処理91を実行して光学系2a〜2cを焦点調節状態としたが、焦点調節処理91を実行せずに光学系2bの位置をテレ端またはワイド端に設定することにしてもよい。
【0044】
〔3〕上記の実施形態では、図2のステップS106において可変絞り3の絞り値を調節しながら撮像素子5の感度を変更した。しかし、撮像素子5の感度ではなくシャッタースピードを変化させることにしてもよい。また、配置順序決定処理94における配置順序の決定を容易にするために光学系2bを駆動して光学系2a〜2cの被写界深度の最奥端または最近端を略一定に保つことは許容される。
【0045】
〔4〕画像記憶部11に記憶された三次元画像データを三次元に再生するときは、図8(a)または図8(b)のような画像を再生装置13に表示することにしてもよい。このとき、操作部材12により図8(a)および図8(b)のいずれを表示するかを選択できるようにすることが望ましい。
【0046】
〔5〕被写体距離の算出は、配置順序決定処理94以外の場所で行ってもよい。たとえば、撮像制御処理92のステップS105とステップS106との間で実行することにしてもよい。
【0047】
以上で説明した実施の形態や変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り本発明はこれらの内容に限定されない。また、以上で説明した実施の形態や変形例は発明の特徴が損なわれない限り組み合わせて実行してもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 撮像装置
2a〜2c 光学系
3 可変絞り
4 シャッタ
5 撮像素子
6 レンズ駆動部
7 絞り駆動部
8 シャッタ制御部
9 CPU
10 メモリ
11 画像記憶部
12 操作部材
13 再生装置
92 撮像制御処理
93 被写体像抽出処理
94 配置順序決定処理
95 三次元被写体像データ作成処理
96 補完用画像データ作成処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絞りと、
前記絞りの絞り値を調節する絞り調節手段と、
前記絞りの通過光束を撮像する撮像手段と、
前記絞り調節手段により前記絞りを調節しながら前記撮像手段により複数回撮像を行い、複数の二次元画像を得る撮像制御手段と、
前記複数の二次元画像からそれぞれ主要被写体に関する被写体像を抽出する被写体像抽出手段と、
前記被写体像抽出手段により抽出された複数の被写体像について、配置順序を決定する配置順序決定手段と、
前記配置順序決定手段により決定された配置順序に基づいて前記複数の被写体像を記憶して前記主要被写体の三次元画像データを作成する三次元被写体像データ作成手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記複数の二次元画像のうち前記被写体像が存在しない画像領域の補完に用いる補完用画像の補完用画像データを作成する補完用画像データ作成手段と、
前記三次元被写体像データ作成手段が作成した前記主要被写体の三次元画像データと、前記補完用画像データ作成手段が作成した前記補完用画像データとに基づいた三次元画像データを記憶する画像記憶手段と、
をさらに備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2に記載の撮像装置において、
前記画像記憶手段に記憶された三次元画像データに基づいて、前記主要被写体の被写体像を二次元または三次元に再生する再生手段をさらに備え、
前記再生手段は、前記主要被写体の被写体像を三次元に再生するときは、前記複数の被写体像に基づいた三次元被写体像をステレオペア画像として出力することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像装置において、
前記表示手段は、前記補完用画像データに基づいて、前記三次元仮想空間内に背景画像を配置することを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項3または4に記載の撮像装置において、
前記表示手段は、前記補完用画像データに基づいて、前記撮像制御手段によって前記複数の二次元画像を撮像したときに隠れて撮像できなかった前記主要被写体の部位を補完して前記三次元被写体像を表示することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記絞りは、最大限に開放したときの最大絞り値を少なくとも含む複数の絞り値を有し、
前記撮像制御手段は、前記絞り調節手段により前記絞りを前記最大絞り値から順に前記複数の絞り値のそれぞれに調節し、前記絞り調節手段が前記複数の絞り値のいずれかに前記絞りを調節したときに前記撮像手段により二次元画像を得ることを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記撮像制御手段は、前記絞り調節手段により前記絞りを調節するとき、撮像素子の感度を変更することを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか一項に記載の撮像装置において、
光学系と、
前記光学系の合焦距離を調節する合焦距離調節手段と、
をさらに備え、
前記撮像制御手段は、前記合焦距離調節手段により前記光学系の被写界深度の最奥端または最近端を略一定に保ちながら前記撮像手段により複数回撮像を行い、前記複数の二次元画像を得ることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の撮像装置において、
前記配置順序決定手段は、前記被写体像抽出手段が複数の被写体像のそれぞれを抽出した二次元画像を前記撮像制御手段が得たときの前記絞りの絞り値に基づいて被写界深度を算出し、前記被写界深度に基づいて前記配置順序を決定することを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−21637(P2013−21637A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155747(P2011−155747)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】