説明

撮影装置

【課題】消音化機能を組み込みつつ光量調整の工夫が施された撮影装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 被写体光の光路上に該被写体光の透過光量を制御する光量制御素子100を備え、上記光量制御素子100は、内部に形成された電場に応じて伸縮して上記被写体光の透過光量を変化させる光量制御層101と、上記光量制御層101を挟んで配備された、電圧の印加を受けて上記光量制御層内に電場を形成して該光量制御層101を伸縮させる、光透過性の一対の電極102a、102bとを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像面上に結像した被写体像を読み取って画像データを生成する撮像素子と、該被写体光を前記撮像面上に結像する撮影光学系とを備え、撮影操作に応じて撮影データを生成する撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、撮像素子の撮像面上に被写体像を結像する撮影光学系とを備え、撮影操作に応じて撮影データを生成する撮影装置には、撮影場所の明るさなどに応じて被写体光の光量を調整するための絞りやNDフィルタ等が備えられている。絞りは、予め孔が空けられた板を、孔が光軸上に来るように挿入して光量を絞るものや、複数の絞り羽で光軸を取り囲むことで絞り孔を形成し、その絞り孔の大きさを変化させて、絞り孔を通過する光の光量を制御するものなどが知られている。また、NDフィルタは、光軸上に挿入することによって、通過する光の光量を減衰させるものが一般的である。このような光量調整手段が適用されることによって、使用者は、撮影場所の明るさに適した露光で撮影を行うことができ、見た目に好ましい高画質な静止画像データを得ることができる。
【0003】
撮影装置によっては、動画撮影機能が搭載されている機種があり、動画撮影においても、上述した光量調整手段が適用されることにより、使用者は、見た目に好ましい高画質な動画像データを得ることができる。
【0004】
ここで、動画撮影においては、その動画像データとともに音声データも記録されるのが一般的である。
【0005】
ところが、動画撮影時に、上記絞り羽根やNDフィルタを駆動させる駆動源の機械的な動作音が、撮影装置に備えられているマイクを経由して録音されてしまうことがある。
【0006】
この動作音は、使用者にとっては不要な音であり、消音化の対策が施されることが望ましい。
【0007】
ところで、光の透過光量を制御できる手段として、調光ガラスが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0008】
特許文献1によれば、この調光ガラスは、光を吸収する色材を含有した高分子ゲル粒子と溶媒とがガラスに挟まれて形成されているものである。この高分子ゲル粒子が、温度変化によって溶媒を吸収若しくは放出することにより可逆的に膨潤若しくは収縮して、光と作用する色材の単位面積あたりの割合が変化し、光の透過光量が制御される。また、この調光ガラスは、高分子ゲル粒子の膨潤若しくは収縮により、機械的な動作音を立てずに透過光量を制御することができる。
【特許文献1】特開2001−83554号公報(第14頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記調光ガラスを撮影装置の光量調整手段に用いれば、機械的な動作音を立てずに光量調整をすることが期待される。
【0010】
しかしながら、特許文献1に開示された調光ガラスでは、温度変化を用いて光量を調整しているので、撮影装置に温度を制御する装置を配備しなければならず、コストがかかり、撮影装置が大型化するという問題が生じるおそれがある。従って、この調光ガラスを撮影装置の光量調整手段に用いるのは不適であると考えられる。
【0011】
本発明は、上記事情に鑑み、消音化機能を組み込みつつ光量調整の工夫が施された撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成する本発明の撮影装置のうちの第1の撮影装置は、撮像面上に結像した被写体像を読み取って画像データを生成する撮像素子と、その被写体光を上記撮像面上に結像する撮影光学系とを備え、撮影操作に応じて撮影データを生成する撮影装置において、
上記被写体光の光路上にその被写体光の透過光量を制御する光量制御素子を備え、
上記光量制御素子は、
内部に形成された電場に応じて伸縮して上記被写体光の透過光量を変化させる光量制御層と、
上記光量制御層を挟んで配備された、電圧の印加を受けて上記光量制御層内に電場を形成してその光量制御層を伸縮させる、光透過性の一対の電極とを備えたことを特徴とする。
【0013】
第1の撮影装置では、電場により被写体光の透過光量を制御する光量制御素子を採用することで、絞り羽根やNDフィルタを用いずに、絞りやシャッタの機能を備えた撮影装置が実現される。また、この光量制御素子が機械的な音を発生する機構を持たず、絞りやシャッタの消音化が実現される。また、機械的な機構の劣化を伴わないため、信頼性が向上する。また、内部に形成された電場に応じて伸縮して上記被写体光の透過光量を変化させるため、絞りやシャッタの高速化が実現される。
【0014】
ここで、本発明の撮影装置のうちの第1の撮影装置において、上記光量制御層が、光を吸収する色素が分散された液晶エラストマであることが好ましい。
【0015】
第1の撮影装置では、上記光量制御層として液晶エラストマを採用することで、電場に応じて光量制御層が容易に伸縮する。また、この液晶エラストマには、被写体光を吸収する色素が分散されていることにより、光量制御層の伸縮に応じて被写体光を吸収する色素の単位面積あたりの割合が変化する。従って、第1の撮影装置では、被写体光の透過光量を容易に制御することができる。
【0016】
ここで、本発明の撮影装置のうちの第1の撮影装置において、上記電極が、上記光量制御層に貼着されその光量制御層と共に伸縮するものであることが好適である。
【0017】
上記電極が光量制御層とともに伸縮するので、電場が、光量制御層に効率良く行き渡ることができる。
【0018】
上記目的を達成する本発明の撮影装置のうちの第2の撮影装置は、
撮像面上に結像した被写体像を読み取って画像データを生成する撮像素子と、その被写体光を上記撮像面上に結像する撮影光学系とを備え、撮影操作に応じて撮影データを生成する撮影装置において、
上記被写体光の光路上に配備された、その被写体光の透過光量を制御する光量制御素子を有し、
上記光量制御素子は、
内部に形成された電場に応じて伸縮する伸縮層と、
上記伸縮層を挟んで配備された、その伸縮層に貼着され伸縮層の伸縮に従動して伸縮する、電圧の印加を受けて上記伸縮層内に電場を形成してその伸縮層を伸縮させる光透過性の一対の電極と、
少なくとも一方の電極の外側に貼着され上記伸縮層の伸縮に従動して伸縮することにより上記被写体光の透過光量を変化させる光量制御層とを備えたことを特徴とする。
【0019】
第2の撮影装置では、電場により被写体光の透過光量を制御する光量制御素子を採用することで、絞り羽根やNDフィルタを用いずに、絞りやシャッタの機能を備えた撮影装置が実現される。また、この光量制御素子が機械的な音を発生する機構を持たず、絞りやシャッタの消音化が実現される。また、機械的な機構の劣化を伴わないため、信頼性が向上する。また、内部に形成された電場に応じて伸縮して上記被写体光の透過光量を変化させるため、絞りやシャッタの高速化が実現される。
【0020】
さらに、第1の撮影装置と比較して、光量制御層と伸縮層とを設けることで、より多くの色素を光量制御層に分散させることができ、透過光量を制御できる自由度が向上する。
【0021】
ここで、本発明の撮影装置のうちの第2の撮影装置において、上記伸縮層が、液晶エラストマであることが好ましい。
【0022】
第2の撮影装置では、上記光量制御層として液晶エラストマを採用することで電場により伸縮層が伸縮するため、被写体光の透過光量を容易に制御することができる。
【0023】
ここで、本発明の撮影装置のうちの第2の撮影装置において、上記光量制御層が、光を吸収する色素が分散された伸縮性高分子であることが好適である。
【0024】
第2の撮影装置では、光量制御層が伸縮するため、被写体光と作用する色素の単位面積あたりの割合を容易に変えることができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、消音化機能を組み込みつつ光量調整の工夫が施された撮影装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0027】
図1は、本発明の第1の撮影装置の一実施形態で採用されている光量制御素子の原理説明図である。
【0028】
この図1の原理説明図に示す光量制御素子100は、内部に形成された電場に応じて伸縮して被写体光の透過光量を変化させる光量制御層101を有している。この光量制御層101は、液晶エラストマ101aと液晶エラストマ101a内に分散された、光を吸収する色素101bとで構成されている。
【0029】
この液晶エラストマ101aはゴム弾性を持つ液晶高分子であり、電場に応じて伸縮するものである。また、色素101bは、黒色色素である。この黒色色素には、無機顔料、黒色有機顔料、複数の有機顔料の混合物、黒色有機染料、および複数の有機染料の混合物等を用いることができる。また、この複数の有機顔料の混合物には、例えば、互いに補色関係を有する有機顔料の混合物、三原色の有機顔料の混合物が用いられ、複数の有機染料の混合物には、互いに補色関係を有する有機染料の混合物、三原色の有機顔料の染料からなる混合物が用いられる。具体的には、黒色色素として、NKX−1336(日本感光色素社製)などの黒色色素混合物を用いることができる。
【0030】
また、光量制御素子100には、光量制御層101に貼着され光量制御層101と共に伸縮する光透過性の一対の電極102a、電極102bが備えられている。
【0031】
図1(a)に示すように、電場を印加するための電源スイッチ103がオフの状態では、光量制御層101は初期状態として所定の厚みを有している。図1(b)に示すように、この電源スイッチ103がオンされることにより、光量制御素子100は電源104_2と電気的に結合する。そして、電極102aと電極102bとの間に電場が形成される。この電場が形成されることにより、光量制御層101は伸張するとともに、電極102a、電極102bも伸張する。この光量制御層101が伸張したときには、被写体光を吸収する色素の単位面積あたりの割合が減るため、透過光量は増加する。また、電源スイッチ103がオンされた後にオフにされたときには、この光量制御素子100は、図1(a)に示すように、初期状態に戻る。また、電圧を可変に制御することにより、この光量制御素子100は、内部に形成された電場に応じて伸縮して被写体光の透過光量を変化させることができる。
【0032】
次に、本発明の第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラを説明する。
【0033】
図2、および図3は、第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの、前方斜め上から見たときの外観斜視図である。
【0034】
図2には、デジタルカメラ1の、撮影レンズが内蔵されたレンズ鏡胴10の沈胴状態が示されており、図3には、レンズ鏡胴10の繰出状態が示されている。
【0035】
図2および図3に示すデジタルカメラ1の前面11には、被写体に向けて閃光を発光するための閃光発光窓12、被写体を見るためのファインダ対物窓13、および音声を録音するためのマイク14が配備されている。また、このデジタルカメラ1の上面15には、レリーズボタン16が備えられている。
【0036】
図4は、図2に示すデジタルカメラの、後方斜め上から見たときの外観斜視図である。
【0037】
また、図4に示されるように、このデジタルカメラ1の背面21には、電源ボタン22、モードスイッチ23が設けられている。この電源ボタン22は、デジタルカメラ1の電源をON/OFFするものであり、このモードスイッチ23は、撮影モードと再生モードとを切り換えるスイッチである。
【0038】
また、このデジタルカメラ1の背面21には、メニュー切替えおよび実行キー24が備えられている。このメニュー切替えおよび実行キー24は、撮影モード時には静止画撮影や動画撮影、再生モード時には静止画再生や動画再生に使用されるメニューを自在に切り替えて設定条件を選択して実行するキーである。
【0039】
さらに、このデジタルカメラ1の背面21には、広角ズームキー25、望遠ズームキー26、液晶表示パネル27、光学式ファインダ接眼窓28、スピーカ29が備えられている。広角ズームキー25は、焦点距離を広角側に変更するためのキーであり、望遠ズームキー26は、焦点距離を望遠側に変更するためのキーである。液晶表示パネル27は、被写体の画像、メニュー切替えおよび実行キー24のメニュー等を液晶表示するものである。光学式ファインダ接眼窓28は、使用者が撮影の際に被写体を覗く窓である。スピーカ29は、マイク14で収録された音声を再生するものである。
【0040】
図5は、第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの、沈胴状態にあるレンズ鏡胴を光軸に沿って切断した断面図である。
【0041】
レンズ鏡胴10の内部空間には、前方から順に、前群レンズ301、後群レンズ302、およびフォーカスレンズ303の3群が光軸を揃えて並べられてなる撮影レンズが収容されている。
【0042】
図6は、第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの、後群レンズが広角状態にあるレンズ鏡胴を光軸に沿って切断した断面図であり、図7は、第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの、後群レンズが望遠状態にあるレンズ鏡胴10を光軸に沿って切断した断面図である。
【0043】
ここで、上記撮影レンズは、後群レンズ302が図6に示す広角端と図7に示す望遠端との間で光軸に沿って移動することにより焦点距離が変化し、フォーカスレンズ303が光軸に沿って移動することによりピント調節が行われる構成となっている。前群レンズ301と後群レンズ302との間には、被写体光の光量を調整する光量制御素子100が配置されている。この光量制御素子100については、後で詳しく説明する。また、フォーカスレンズ303の後方には、被写体光を読み取って画像データを生成するCCD304が配置されている。このCCD304は、本発明にいう撮像素子の一例に相当するものである。
【0044】
また、レンズ鏡胴10には、カメラボディに固定された固定筒50と、その固定筒50に対し回転自在な駆動筒52が備えられている。この駆動筒52は、固定筒50の外周面に周方向に形成された突条50aが、駆動筒52の内周面に設けられた溝に係入していることにより、固定筒50に対して光軸方向の移動が規制されている。駆動筒52の外周面にはギア51が設けられており、このギア51にモータ(図示せず)からの回転駆動力が伝達されて、駆動筒52が回転する。
【0045】
駆動筒52には、さらに、光軸方向に延びるキー溝52aが設けられており、このキー溝52aには、回転移動筒53に固設されたピン状のカムフォロワ54が、固定筒50に設けられた螺旋状のカム溝を貫通して係入している。したがって、駆動筒52が回転すると、回転移動筒53は、回転しながら上記カム溝に沿って光軸方向に移動する。
【0046】
回転移動筒53の内側には、直進移動枠55が設けられている。この直進移動枠55は、回転移動筒53に対し相対的回転が自在に係合しているとともに、固定筒50のキー溝50bに係入することにより回転が規制されている。したがって、駆動筒52の回転に伴って回転移動筒53が回転しながら光軸方向に移動すると、直進移動枠55は回転移動筒53の移動に伴って光軸方向に直線的に移動する。
【0047】
上述した後群レンズ302を保持している後群レンズ保持枠302aには、ピン状のカムフォロワ63が固設されている。このカムフォロワ63は、回転移動筒53のカム溝に係入しているとともに、直進移動枠55の光軸方向に延びるキー溝55aにも係入していることにより、駆動筒52の回転に伴って回転移動筒53が回転しながら光軸方向に移動すると、後群レンズユニット305が回転移動筒53のカム溝の形状に沿って、光軸方向に直進移動する。
【0048】
さらに、このレンズ鏡胴10には、前群レンズ301を保持する直進移動筒56が備えられている。この直進移動筒56は、それに固設されたカムフォロワ57が回転移動筒53のカム溝に係入しているとともに、直進移動枠55の、光軸方向に延びるキー溝55aにも係入している。したがって、駆動筒52の回転に伴って回転移動筒53が回転しながら光軸方向に移動すると、直進移動筒56は、カムフォロワ57が係入している回転移動筒53のカム溝の形状に沿って、光軸方向に直進移動する。
【0049】
上述した通り、レンズ鏡胴10の繰り出しが行なわれ、また、駆動筒52が逆方向に回転することによりレンズ鏡胴10の沈胴が行われる。
【0050】
また、回転移動筒53は、レンズ鏡胴10の繰出しが完了した後も、前群レンズ301の位置を保持したままさらに回転することができ、このとき、後群レンズユニット305は、回転移動筒53のカム溝に沿って光軸方向方向に移動し、これにより撮影画角(すなわち、焦点距離)の調整が行なわれる。
【0051】
さらに、撮影レンズのうちのフォーカスレンズ303は、モータ(図示せず)によりリードスクリュー61が回転し、フォーカスレンズ303を保持しているフォーカスレンズ保持枠62がリードスクリュー61に螺合していることにより、そのリードスクリュー61の回転に伴ってフォーカスレンズ303が光軸方向に移動して、ピント調整が行なわれる。
【0052】
次に、光量制御素子100および光量制御素子取り付け部材について説明する。
【0053】
図8は、光量制御素子および光量制御素子取り付け部材の正面図である。
【0054】
図9は、光量制御素子および光量制御素子取り付け部材の側面図である。
【0055】
この光量制御素子100は、突部を一部に有する円形状の光量制御層101および電極102a、102bを備えており、この光量制御層101は、電極102aと102bとの間に挟まれている。光量制御素子取り付け部材は、ピン止め部材105、開口板106、ネジ107、および保持枠108からなる。
【0056】
この光量制御素子100は、中央に孔が空いた保持枠108に載置されている。この光量制御素子100の突部が、係止用のピン止め部材105でピン止めされている。この係止用のピン止め部材105のみでピン止めしているのは、光量制御素子100を伸縮させるためである。また、中央に孔が空いた円形状の開口板106が、ネジ107によって保持枠108に取り付けられている。
【0057】
再び、図6に戻って説明する。
【0058】
光量制御素子100は光量制御素子保持枠302bに保持され、この光量制御素子100は、後群レンズ302と後群レンズ保持枠302aとで構成された後群レンズユニット305とともに、光軸に沿って移動可能に保持されている。
【0059】
次に、本発明の第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラ1の内部構成について説明する。
【0060】
図10は、図2に示すデジタルカメラ1の概略的な内部構成図である。
【0061】
このデジタルカメラ1にはメインCPU110が備えられており、すべての処理がメインCPU110によって制御される。
【0062】
このメインCPU110には、EEPROM110_1が備えられている。このEEPROM110_1は書き換え可能な不揮発性メモリで構成されている。また、このメインCPU110にはROMが内蔵されており、このROM内にはプログラムが格納されている。このプログラムの手順にしたがってデジタルカメラ1の動作がメインCPU110により制御される。
【0063】
このこのデジタルカメラ1には、操作部20、および電源104が備えられている。この操作部20は、図2、図4において既に説明したデジタルカメラ1の背面21および上面14に備えられている各操作子の操作を受け付けてメインCPU110に各操作子の処理の命令を出すものである。この電源104は、電源投入操作を受けて各ブロックへ給電するものである。
【0064】
このデジタルカメラ1には、撮影光学系を構成する撮像部30が備えられている。この撮像部30には、既に説明した通り、レンズ鏡胴10、CCD304が備えられている。このレンズ鏡胴10内には、光量制御素子100が備えられている。この光量制御素子100の動作については、後で詳述する。
【0065】
このデジタルカメラ1には、CDSAMP120、A/D変換部121、ホワイトバランス・γ(ガンマ)処理部122、光学制御CPU123、およびクロックジェネレータ124が備えられている。CDSAMP120は、CCD304から出力されたアナログ画像信号の雑音を低減する処理等を行ない、A/D変換部121は、このアナログ画像信号をデジタル画像信号に変換するものである。ホワイトバランス・γ処理部122は、被写体像における画像データの白色の色を調整するとともにその被写体像の階調特性における直線の傾き(γ)を調整するものである。光学制御CPU123は、メインCPU110からの指示に従って、モータ(不図示)を制御することでレンズ鏡胴10を繰り出したり、レンズ鏡胴10内部の撮影レンズを移動させたりするものである。クロックジェネレータ124は、メインCPU110からの指示に基づいて光学制御CPU123を介してタイミング信号を出力するものである。CCD304、A/D変換部121、およびホワイトバランス・γ処理部122では、クロックジェネレータ124から発せられるタイミング信号に同期して順序良く画像信号の処理が流れるように行われる。
【0066】
このデジタルカメラ1には、AF検出部111、AE検出部112が備えられている。AF検出部111は画像のピント情報を検出し、AE検出部112は画像の輝度情報を検出するものである。
【0067】
このデジタルカメラ1には、バッファメモリ125、YC処理部126、YC/RGB変換部127、ドライバ128、およびデータバス130が備えられている。バッファメモリ125は、ホワイトバランス・γ処理部122において画像処理が施されたRGB画像データを一時的に記憶するものである。YC処理部126は、データバス130を介して入力されたデジタルの画像信号を輝度(Y)と色(C)とで表されるYC信号に変換するものであり、YC/RGB変換部127は、YC信号をRGB画像データに変換するものである。ここで、バッファメモリ125に記憶された低解像度なスルー画像データは、古い時刻に記憶されたスルー画像データから先に、バス130を経由してYC/RGB変換部127に供給される。スルー画像データはRGB信号であるため、YC/RGB変換部127では処理が行われずに、スルー画像データを高速に処理するドライバ128を介して液晶表示パネル27に伝えられ、液晶表示パネル27上に、スルー画像が表示される。
【0068】
このデジタルカメラ1には、圧縮伸張部131、インターフェース(I/F)部132、メモリカード133、および閃光発光制御部134が備えられている。圧縮伸張部131は、メインCPU110の指示によりYC信号に変換された画像データを圧縮処理するものであり、インターフェース(I/F)部132は、圧縮された撮影画像データをメモリカード133に記録できるように、様々な通信規格に準拠した通信インターフェースを提供するものである。閃光発光制御部134は、閃光発光窓12を通して、閃光発光をするものである。
【0069】
このデジタルカメラ1には、音声処理部141、および音声再生部142が備えられている。音声処理部141は、マイクで収録された音声を音声データに変換処理するものであり、音声再生部142は、スピーカ29を介して適切な音声データを再生するものである。
【0070】
次に、デジタルカメラ1の撮影動作について説明する。
【0071】
なお、使用者が、動画撮影をする場合について以下述べる。
【0072】
先ず、使用者が電源ボタン22を押して電源投入操作をすると、操作部20が電源投入操作を受け付けて、メインCPU110では、ROMのプログラムの実行が開始され、液晶表示パネル27に画像が表示されるとともに、撮影条件の設定操作を受け付ける状態となる。
【0073】
ここで、使用者が、モードスイッチ23を撮影モードにした後、メニュー切替えおよび実行キー24を用いて動画モードを選択することにより、メインCPU110は、CCD304に結像されている被写体を表わす画像データを所定の間隔ごとにCDSAMP120に出力させる。この所定の間隔ごとに出力される画像データを、A/D変換部121以降の信号処理段で処理してスルー画像を得て、そのスルー画像を液晶表示パネル27に表示させている。そうすると、撮影レンズが捉えた範囲の被写体があたかも動画像のようになって液晶表示パネル27上に表示される。
【0074】
使用者が、デジタルカメラ1の背面21に設けられた広角ズームキー25もしくは望遠ズームキー26を使って撮影画角を指示すると、その指示された撮影画角がメインCPU110に伝えられ、さらに、メインCPU110を介して光学制御CPU123に伝えられる。光学制御CPU123は、モータ等(不図示)を制御することで、図6および図7に示すようにレンズ鏡胴10を繰り出し、撮影画角に応じた位置に後群レンズ302を移動させる。また、光学制御CPU123は、モータ等(不図示)を制御することで、図5、図6、図7に示すフォーカスレンズ303を光軸に沿う方向に移動させる。
【0075】
また、この液晶表示パネル27上に表示されているスルー画像に基づいて使用者によって撮影が行なわれるため、このデジタルカメラ1を向けた方向の被写体がすぐにスルー画像として表示されるように、AF検出回路111で常に合焦点位置を検出してフォーカスレンズ303をピント調整機構により合焦点位置に移動させている。
【0076】
ここで、使用者が、メニュー切替えおよび実行キー24を用いて撮影条件を録画開始に設定することで、AE検出部112によって被写界輝度が検出される。
【0077】
この被写界輝度に基づいて、メインCPU110から指示を受けた光学制御CPU123が、光量制御素子100の電極に電場を印加させる。光量制御素子100は、内部に形成された電場に応じて液晶エラストマ101aと色素101bとで構成されている光量制御層101が伸縮するとともにこの光量制御層101に貼着されている電極も伸縮する。この光量制御層101が伸縮することで、被写体光の透過光量が被写界輝度に基づく最適な透過光量となり、絞りが調整される。
【0078】
続いて、CCD304に結像されている被写体を表わす画像データを所定の間隔ごとにCDSAMP120に出力させる。CDSAMP120では、CCD304から出力された画像データの雑音の低減が行なわれその雑音が低減された画像データがA/D変換部121に供給される。このA/D変換部121では、アナログ信号からデジタル信号に変換されたRGBからなる画像データが生成される。生成された撮影画像データは、ホワイトバランス・γ処理部122で画像処理が施されて、バッファメモリ125に記憶される。バッファメモリ125に記憶された撮影画像データは、YC処理部126に供給されて、RGB信号からYC信号に変換される。YC信号に変換された撮影画像データは、圧縮・伸張部131において圧縮処理が施される。また、メインCPU110は、撮影中の音声データと動画像データとを関連づけて、I/F132を介してメモリカード133に記憶する。
【0079】
また、メモリカード133に記憶された動画像データは、圧縮・伸張部131において伸張処理が施された後、YC/RGB変換部127においてRGB信号に変換され、ドライバ128を介して液晶表示パネル27に伝えられる。液晶表示パネル27には、動画像データが表わす動画像が表示される。
【0080】
使用者が、メニュー切替えおよび実行キー24を用いて撮影条件を録画終了に設定することにより、動画像の録画および音声の録音も終了される。
【0081】
ここで、上記の説明においては、光量制御素子100について開口径を制御する絞りとして説明したが、光量制御層に分散させる黒色色素の量を増やすことで、開口径やシャッタ速度を機械的に制御するシャッタとしての機能も果たすことができる。
【0082】
図11は、光量制御素子における印加電圧と透過率との関係の一例を表した図である。
【0083】
図11に示すように、電圧がゼロの場合、光量制御層101の透過率はゼロになっており、電圧と透過率とは一次の比例関係になっている。
【0084】
図11に示すような性能を持つ光量制御層101を光量制御素子100に用いた場合、透過率をゼロに制御することが可能となり、開口径のみならずシャッタ速度も機械的に制御することができ、消音化や高速化が実現できる。また、絞り羽根のような機械的な部材を用いずに済み、装置の信頼性も向上する。
【0085】
次に、本発明の第2の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラについて説明する。
【0086】
この第2の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラについては、デジタルカメラ1との相違点のみ説明する。
【0087】
図12は、第2の撮影装置の一実施形態で採用されている光量制御素子の原理説明図である。
【0088】
この図12の原理説明図に示す光量制御素子100_2は、内部に形成された電場に応じて伸縮する伸縮層109を有している。この伸縮層109は、液晶エラストマ101cである。
【0089】
また、光透過性の一対の電極102c、102dが、この伸縮層109を挟んで配備されている。この一対の電極102c、102dは、伸縮層109に貼着されており、伸縮層109の伸縮に従動して伸縮することができる伸縮性の高分子材料からなる。
【0090】
さらに、電極102cの外側に貼着され伸縮層109の伸縮に従動して伸縮することにより被写体光の透過光量を変化させる光量制御層101_2が配備されている。この光量制御層101_2には、第1の撮影装置の一実施形態で使用された黒色色素101bが分散されている。
【0091】
図12(a)に示すように、電場を印加するための電源スイッチ103_2がオフの状態では、伸縮層101_2は初期状態として所定の厚みを有している。図12(b)に示されるように、この電源スイッチ103_2がオンされることにより、光量制御素子100_2用の電源104_3と電気的に結合して電極102cと電極102dとの間に電場が形成される。この電場が形成されることにより、伸縮層109は伸張するとともに、電極102c、電極102dも伸張する。
【0092】
ここで、電極102cが伸張するにともない、光量制御層101_2も伸張する。この光量制御層101_2が伸張した場合は、被写体光を吸収する色素の単位面積あたりの割合が減るため、透過光量は増加する。また、電源スイッチ103がオンされた後にオフにされたときには、この光量制御素子100_2は、図12(a)に示すように、初期状態に戻る。また、電圧を可変に制御することにより、この光量制御層101_2は、内部に形成された電場に応じて伸縮して被写体光の透過光量を変化させることができる。
【0093】
この第2の撮影装置の一実施形態で採用されている光量制御素子100_2が、図6、図7、および図8に示す光量制御素子100に置き換えられて用いられることにより、上述したデジタルカメラ1と同様に、使用者は、消音化が実現された動画撮影をすることができる。
【0094】
以上説明したように、本発明によれば、消音化機能を組み込みつつ光量調整の工夫が施された撮影装置を提供することができる。なお、第1の撮影装置の一実施形態で採用されている光量制御層と第2の撮影装置の一実施形態で採用されている伸縮層に液晶エラストマを使用したが、電極間に高電圧をかけることで伸縮する電歪高分子を使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1の撮影装置の一実施形態で採用されている光量制御素子の原理説明図である。
【図2】第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの外観斜視図である。
【図3】第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの外観斜視図である。
【図4】図2に示すデジタルカメラの、後方斜め上から見たときの外観斜視図である。
【図5】第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの、沈胴状態にあるレンズ鏡胴を光軸に沿って切断した断面図である。
【図6】第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの、後群レンズが広角状態にあるレンズ鏡胴を光軸に沿って切断した断面図である。
【図7】第1の撮影装置の一実施形態であるデジタルカメラの、後群レンズが望遠状態にあるレンズ鏡胴を光軸に沿って切断した断面図である。
【図8】光量制御素子および光量制御素子取り付け部材の正面図である。
【図9】光量制御素子および光量制御素子取り付け部材の側面図である。
【図10】図2に示すデジタルカメラ1の概略的な内部構成図である。
【図11】光量制御素子における印加電圧と透過率との関係を表した図である。
【図12】本発明の第2の撮影装置の一実施形態で採用されている光量制御素子の原理説明図である。
【符号の説明】
【0096】
1 デジタルカメラ
10 レンズ鏡胴
11 前面
12 閃光発光窓
13 ファインダ対物窓
14 マイク
15 上面
16 レリーズボタン
20 操作部
21 背面
22 電源ボタン
23 モードスイッチ
24 メニュー切替えおよび実行キー
25 広角ズームキー
26 望遠ズームキー
27 液晶表示パネル
28 光学式ファインダ接眼窓
29 スピーカ
30 撮像部
50 固定筒
50a 突条
50b、52a キー溝
51 ギア
52 駆動筒
53 回転移動筒
54、57、63 カムフォロワ
55 直進移動枠
56 直進移動筒
57 カムフォロワ
61 リードスクリュー
62 フォーカスレンズ保持枠
63 カムフォロワ
100、100_2 光量制御素子
101、101_2 光量制御層
101a、101c 液晶エラストマ
101b、101d 色素
102a、102b、102c、102d 電極
103 電源スイッチ
104、104_2、104_3 電源
105 ピン止め部材
106 開口板
107 ネジ
108 保持枠
109 伸縮層
110 メインCPU
110_1 EEPROM
111 AF検出部
112 AE検出部
120 CDSAMP
121 A/D変換部
122 ホワイトバランス・γ処理部
123 光学制御CPU
124 クロックジェネレータ
125 バッファメモリ
126 YC処理部
127 YC/RGB変換部
128 ドライバ
130 データバス
131 圧縮伸張部
132 インターフェース(I/F)部
133 メモリカード
134 閃光発光制御部
301 前群レンズ
302 後群レンズ
302a 後群レンズ保持枠
302b 光量制御素子保持枠
303 フォーカスレンズ
304 CCD
305 後群レンズユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像面上に結像した被写体像を読み取って画像データを生成する撮像素子と、被写体光を前記撮像面上に結像する撮影光学系とを備え、撮影操作に応じて撮影データを生成する撮影装置において、
前記被写体光の光路上に該被写体光の透過光量を制御する光量制御素子を備え、
前記光量制御素子は、
内部に形成された電場に応じて伸縮して前記被写体光の透過光量を変化させる光量制御層と、
前記光量制御層を挟んで配備された、電圧の印加を受けて前記光量制御層内に電場を形成して該光量制御層を伸縮させる、光透過性の一対の電極とを備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記光量制御層が、光を吸収する色素が分散された液晶エラストマであることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項3】
前記電極が、前記光量制御層に貼着され該光量制御層と共に伸縮するものであることを特徴とする請求項1記載の撮影装置。
【請求項4】
撮像面上に結像した被写体像を読み取って画像データを生成する撮像素子と、該被写体光を前記撮像面上に結像する撮影光学系とを備え、撮影操作に応じて撮影データを生成する撮影装置において、
前記被写体光の光路上に配備された、該被写体光の透過光量を制御する光量制御素子を有し、
前記光量制御素子は、
内部に形成された電場に応じて伸縮する伸縮層と、
前記伸縮層を挟んで配備された、該伸縮層に貼着され該伸縮層の伸縮に従動して伸縮する、電圧の印加を受けて前記伸縮層内に電場を形成して該伸縮層を伸縮させる光透過性の一対の電極と、
少なくとも一方の電極の外側に貼着され前記伸縮層の伸縮に従動して伸縮することにより前記被写体光の透過光量を変化させる光量制御層とを備えたことを特徴とする撮影装置。
【請求項5】
前記伸縮層が、液晶エラストマであることを特徴とする請求項4記載の撮影装置。
【請求項6】
前記光量制御層が、光を吸収する色素が分散された伸縮性高分子であることを特徴とする請求項4記載の撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2007−127719(P2007−127719A)
【公開日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−318619(P2005−318619)
【出願日】平成17年11月1日(2005.11.1)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【出願人】(000005430)フジノン株式会社 (2,231)
【Fターム(参考)】