説明

操作キー構造

【課題】従来から用いられている複数種類の操作キーを有する装置では、同じ形状のキートップであっても、種類ごとに文字や絵図の印刷を行う必要がある。また、同じ形状のキートップの場合、製造時に操作キーの配置位置を間違えるなどの問題が発生する可能性があった。
【解決手段】プリント基板上に設置されたスイッチ本体と、スイッチ本体近傍のプリント基板上に配置された照明手段と、スイッチ本体上方に配置され自身が押下されることでスイッチ本体を押下するラバースイッチと、ラバースイッチ上方に配置され、照明手段からの光を拡散する光拡散シートと、光拡散シート上方に配置され、光透過性樹脂からなり自身を押下することでラバースイッチを押下しスイッチ本体を押圧するキートップとからなり、光拡散シートには、キートップを押下方向視した際に視認可能な文字や絵図が印刷されている操作キー構造を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キートップの押下操作によってスイッチのONおよびOFFの切り替えを行う操作キー構造に関する。
【背景技術】
【0002】
操作キーは、パソコンや携帯電話、音響機器の操作を行うためのキーの他、調節計や記録計などの計装機器の操作を行うためのキーなど様々な用途で用いられている。図6に一般的な操作キーを説明するための概念図を示した。これらの操作キーは一般的に、キートップ(0601)を押下することで、ラバースイッチ(0602)を介してキートップの下方に配置されたタクトスイッチ(登録商標)などのスイッチ本体(0603)を押圧することで、ONやOFFなどの操作が行われる。
【0003】
このような操作キーでは、キートップの表面に操作キーの機能を表す文字や絵図を印刷(0604)した場合、キートップ表面は使用者の指などによって押されるため、時間が経過するにつれ、印刷が剥がれてしまうなどの問題が発生していた。
【0004】
そこで、特許文献1では、操作キーの機能を表す文字や絵図を、キートップの表面ではなく、裏面に印刷することを特徴としている。これにより、長年使用しても操作キーの裏面に印刷された機能を表す文字や絵図は剥がれる心配が無い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−312934号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、この特許文献1に示された操作キーでは、複数種類の操作キーを有する装置(例えば、パソコンのキーボードや携帯電話、調節計など)では、たとえ同じ形状のキートップであっても、操作キーの種類ごとに文字や絵図の印刷を行う必要がある。また、同じ形状のキートップの場合、装置の製造時に操作キーの配置位置を間違えるなどの問題が発生する可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本件発明では、上記課題に鑑み、以下の操作キー構造を提供する。第一の発明としては、プリント基板上に設置されたスイッチ本体と、前記スイッチ本体近傍のプリント基板上に配置された照明手段と、前記スイッチ本体上方に配置され、自身が押下されることに対応して前記スイッチを押下するラバースイッチと、前記ラバースイッチ上方に配置され、照明手段からの光を拡散する光拡散シートと、前記光拡散シート上方に配置され、光透過性樹脂からなり、自身を押下することで前記ラバースイッチを押下し前記スイッチ本体を押圧するキートップとからなり、前記光拡散シートには、キートップを押下方向視した際に視認可能な文字や絵図が印刷されている操作キー構造を提供する。
【0008】
第二の発明としては、前記光拡散シートが、前記照明手段からの光を拡散する光拡散層と、前記光拡散層上に文字や絵図が印刷される印刷層と、前記印刷層が前記キートップとの摩擦により摩耗しないように印刷層を保護するラミネート層と、からなる第一の発明に記載の操作キー構造を提供する。
【0009】
第三の発明としては、前記光拡散シートは、光拡散シートをラバースイッチ上に配置する際に、上下左右の位置を決定するための孔を有する第一の発明または第二の発明に記載の操作キー構造を提供する。
【0010】
第四の発明としては、前記キートップおよび前記スイッチ本体を複数有する操作キー構造において、前記拡散シートは、複数のキートップに対応する光拡散シート同士が一体となった一体型光拡散シートである第一の発明から第三の発明のいずれか一に記載の操作キー構造を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本件発明の操作キー構造用により、個々の操作キーに文字や絵図の他、光拡散性を有するための印刷を行う必要がなくなることから、製造工程および製造コストを小さく抑えることが可能となる。また、本件発明の操作キー構造における光拡散シートのように、光拡散シートを光拡散層と、印刷層と、ラミネート層の三層構造とすることで、印刷層の印刷が剥がれるのを防ぎ耐久性を向上させることが可能となる。さらに、本件発明の操作キー構造のように一体型光拡散シートとしたり、位置合わせのための孔を設けることで、製造工程を減らし、容易に且つ正確に操作キー構造を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施形態1の操作キー構造を説明するための概念図
【図2】実施形態2の操作キー構造を説明するための概念図
【図3】実施形態3の操作キー構造を説明するための概念図
【図4】実施形態3の操作キー構造を説明するための概念図
【図5】実施形態3の操作キー構造を説明するための概念図
【図6】従来例を説明するための概念図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本件発明の実施の形態について、添付図面を用いて説明する。なお、本件発明は、これら実施形態に何ら限定されるべきものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得る。
【0014】
実施形態1は、主に請求項1などに関する。実施形態2は、主に請求項2などに関する。実施形態3は、主に請求項3および請求項4などに関する。
<<実施形態1>>
<実施形態1 概要>
【0015】
本実施形態は、キートップ表面や裏面などに操作キーの機能を表した文字や絵図の他、光拡散性を有する印刷などを一切行わず、文字や絵図を光拡散シートに印刷したことを特徴とする操作キー構造である。本実施形態の操作キー構造のように構成することで、個々のキートップに印刷を行う必要が無くなり、製造工程および製造コストを小さく抑えることが可能となる。
<実施形態1 構成>
【0016】
図1に本実施形態の操作キー構造を説明するための概念図を示した。図1に概念図を本実施形態の操作キー構造を断面から見たときの概念図である。本実施形態の操作キー構造は、プリント基板(0101)上に設置されたスイッチ本体(0102)と、前記スイッチ本体近傍のプリント基板上に配置された照明手段(0103)と、前記スイッチ本体上方に配置され、自身が押下されることに対応して前記スイッチを押下するラバースイッチ(0104)と、前記ラバースイッチ上方に配置され、照明手段からの光を拡散する光拡散シート(0105)と、前記光拡散シート上方に配置され、光透過性樹脂からなり、自身を押下することで前記ラバースイッチを押下し前記スイッチ本体を押圧するキートップ(0106)とからなり、前記光拡散シートには、キートップを押下方向視した際に視認可能な文字や絵図が印刷されている。尚、図1では、キートップを支持する前面パネルなどを省略して記載している。
【0017】
「スイッチ本体」は、一般的にタクトスイッチ(登録商標)などのキートップを押下することで自身が押圧されることでONやOFFなど操作が行われるスイッチである。スイッチ本体は、操作キーが搭載されている装置のプリント基板に設置されている。
【0018】
「照明手段」は、先に述べたスイッチ本体近傍のプリント基板上に配置され、夜間などの暗時に視認性を向上させたり、使用者に注意や警告を促したりするための手段である。照明手段から発せられた光は、後述するラバースイッチ通して光拡散シートで拡散され、キートップを裏面から均一に照らす。具体的な照明手段としては、LEDやランプ等であるが、特に限定されるものではなく、目的や装置に応じて適宜決定される設計事項である。
【0019】
「ラバースイッチ」は、前述したスイッチ本体上方であって、後述する光拡散シートの下方に配置され、ゴムやシリコン樹脂などの軟質樹脂からなる。このラバースイッチは、キートップが押下された際に、その押圧をスイッチ本体に伝え、使用者の指がキートップから離れた際に、キートップを元の位置に戻す復元力を与える。本実施形態のラバースイッチは、前述の照明手段から発せられた光が光拡散シートやキートップを照らすように、透明または半透明などの光透過性や、光拡散性を有することが望ましい。
【0020】
「光拡散シート」は、前述したラバースイッチの上方であって、後述するキートップの下方に配置されている。光拡散シートは照明手段から発せられた光を拡散させ、キートップを均一に照らす。また、光拡散シートには、使用者がキートップを押下方向視、つまりキートップの上部から見たときに、視認可能な文字や絵図が印字されている。この文字や絵図は、操作キーの機能を表すものであって、例えば、上下左右を表す矢印であったり、装置の設定を行うための数字などの文字などである。
【0021】
「キートップ」は、光拡散シートの上方に配置されている。キートップは、光拡散シートに印刷された文字や絵図が視認可能なように透明や半透明などの光透過性を有する材料、特に光透過性樹脂などから構成されている。キートップの形状は、装置の種類や用途などによって適宜変更可能である。
<実施形態1 効果>
【0022】
本実施形態の操作キー構造により、個々の操作キーに文字や絵図の他、光拡散性を有するための印刷を行う必要がなくなることから、製造工程および製造コストを小さく抑えることが可能となる。
<<実施形態2>>
<実施形態2 概要>
【0023】
本実施形態は、実施形態1に述べた操作キー構造において、光拡散シートが光拡散層と、印刷層と、ラミネート層からなることを特徴としている。光拡散シート上に印刷された印刷層にさらにラミネート層を配置することで、印刷層の印刷が剥がれるのを防ぐことが可能となる。
<実施形態2 構成>
【0024】
図2に本実施形態の光拡散シート(0200)の断面図を示した。本実施形態の操作キー構造は、光拡散シートが照明手段からの光を拡散する光拡散層(0201)と、光拡散層上に文字や絵図が印刷される印刷層(0202)と、印刷層が前記キートップとの摩擦により摩耗しないように印刷層を保護するラミネート層(0203)と、からなる。
【0025】
「光拡散層」は、照明手段から照射される光がキートップ上に均一に表れるように、光を拡散するために設けられている。光拡散層は、いわゆる光拡散板や光拡散フィルムといわれるものである。このため光拡散層は、光を拡散するための印刷などのパターンが形成されている。
【0026】
「印刷層」は、前記光拡散層に印刷された文字や絵図などのインクなどから構成されている。この文字や絵図は実施形態1に述べたキートップから押下方向視したときに視認される文字や絵図である。
【0027】
「ラミネート層」は、光拡散シートの最も上部、つまりキートップの下面と接触する個所に配置されている。本件発明である操作キー構造は、キートップと光拡散シートは固定されていない。従って、キートップを押下したり動かしたりした際には、キートップ下面と光拡散シートの間で摩擦が起こり、ラミネート層が存在しない場合には、前述した印刷層が摩耗し、文字や絵図が視認できなくなる可能性がある。そこで、本実施形態の操作キー構造では、光拡散シートに印刷層を保護するためのラミネート層を有する構成としている。ラミネート層は、キートップから押下方向視した際に印刷層が視認可能に構成するために、光透過性の層である必要がある。また、キートップ下面と摩擦を起こした際にも摩耗しにくい材料で構成することが望ましい。
<実施形態2 効果>
【0028】
本実施形態の操作キー構造における光拡散シートのように、光拡散シートを光拡散層と、印刷層と、ラミネート層の三層構造とすることで、印刷層の印刷が剥がれるのを防ぐことが可能となる。
<<実施形態3>>
<実施形態3 概要>
【0029】
本実施形態の操作キー構造は、複数のキートップおよびスイッチ本体を有する操作キー構造において、光拡散シートを個々のキートップおよびスイッチ本体ごとに配置せずに、複数のキートップおよびスイッチ本体に対してまとめて1つの光拡散シートを対応させることを特徴とした操作キー構造である。また、光拡散シートにさらに光拡散シートの配置位置を正しい位置に合わせるための孔を設けたことを特徴とした操作キー構造である。
<実施形態3 構成>
【0030】
本実施形態の操作キー構造は、キートップスイッチを複数有する操作キーにおいて、拡散シートが複数のキートップごとに分割された形態ではなく、複数のキートップに対応する光拡散シートが一体となった一体型光拡散シートであることを特徴としている。また、さらに、本実施形態の操作キー構造を製造する際に、光拡散シートの配置位置や方向などを誤らないように、光拡散シートの位置や方向を決定する孔を有している。
【0031】
図3に本実施形態を説明するための概念図を示した。図3の(a)および(b)に示したのは、調節計や設定器などの計装機器の一例である。このような調節計や設定器には、図中斜線で示した操作キー(0301、0302)が取り付けられている。この操作キーは、一般的に一つだけではなく複数の操作キーが集まった形態をしている。
【0032】
図4の(a)および(b)に図3の(a)に示した調節計や設定器の前面パネルを裏面から見たときの概念図を示した。図4の(a)は光拡散シート(0401)がキートップ(0402)およびスイッチ本体(0403)に対して個々に配置された例であって、(b)は複数のキートップ(0404)およびスイッチ本体(0405)に対して一体となった一体型光拡散シート(0406)を配置した例である。尚、図(a)および(b)中ではスイッチ本体は基板に取り付けられ、一体となった状態として示されている。
【0033】
「一体型光拡散シート」は、複数のキートップおよびスイッチ本体に対して一体となっており、製造の際に、個々のキートップごとに光拡散シートを配置する必要がなく、複数のキートップに対しても、1つの一体型光拡散シートを配置するだけでよく、製造の際の手間を大幅に省略することが可能となり、さらに製造の際の配置の間違いを減らすことが可能である。
【0034】
また、一体型光拡散シートは、図4に示したキートップの形状が同一の操作キー構造にのみ適応できるわけではなく、図5の(a)に示したように、異なる複数種類のキートップ(0501、0502)が混在した操作キー構造にも適応することが可能である。
【0035】
さらに、本実施形態の操作キー構造では、光拡散シートをラバースイッチ上に配置する際に、上下左右の位置を決定するための孔を有していてもよい。図5の(b)は図5の(a)の操作キー構造の光拡散シート(一体型光拡散シート)(0503、0504)に位置合わせの孔(0505)を設けた例である。孔は装置の前面パネル(0506)などに設けられた突起部(0507)と嵌合することで、光拡散シートの位置や方向が正しくなるようにすることができる。これにより、製造時の配置の間違いを無くすことが可能となる。
【0036】
尚、孔は個々のキートップおよびスイッチ本体ごとに配置された光拡散シートのみならず、複数のキートップおよびスイッチ本体に対応した一体型光拡散シートにも適応することが可能である。
<実施形態3 効果>
【0037】
本実施形態の操作キー構造のように一体型光拡散シートとしたり、位置合わせのための孔を設けることで、製造工程を減らし、容易に且つ正確に操作キー構造を製造することが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
0101 プリント基板
0102 スイッチ本体
0103 照明手段
0104 ラバースイッチ
0105 光拡散シート
0106 キートップ
0200 光拡散シート
0201 光拡散層
0202 印刷層
0203 ラミネート層
0301 操作キー
0302 操作キー
0401 光拡散シート
0402 キートップ
0403 スイッチ本体
0404 キートップ
0405 スイッチ本体
0406 一体型光拡散シート
0501 キートップ
0502 キートップ
0503 一体型光拡散シート
0504 一体型光拡散シート
0505 孔
0506 前面パネル
0507 突起部
0601 キートップ
0602 ラバースイッチ
0603 スイッチ本体
0604 印刷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリント基板上に設置されたスイッチ本体と、
前記スイッチ本体近傍のプリント基板上に配置された照明手段と、
前記スイッチ本体上方に配置され、自身が押下されることに対応して前記スイッチを押下するラバースイッチと、
前記ラバースイッチ上方に配置され、照明手段からの光を拡散する光拡散シートと、
前記光拡散シート上方に配置され、光透過性樹脂からなり、自身を押下することで前記ラバースイッチを押下し前記スイッチ本体を押圧するキートップとからなり、
前記光拡散シートには、キートップを押下方向視した際に視認可能な文字や絵図が印刷されている操作キー構造。
【請求項2】
前記光拡散シートは、
前記照明手段からの光を拡散する光拡散層と、
前記光拡散層上に文字や絵図が印刷される印刷層と、
前記印刷層が前記キートップとの摩擦により摩耗しないように印刷層を保護するラミネート層と、
からなる請求項1に記載の操作キー構造。
【請求項3】
前記光拡散シートは、光拡散シートをラバースイッチ上に配置する際に、上下左右の位置を決定するための孔を有する請求項1または2に記載の操作キー構造。
【請求項4】
前記キートップおよび前記スイッチ本体を複数有する操作キー構造において、
前記拡散シートは、複数のキートップに対応する光拡散シート同士が一体となった一体型光拡散シートである請求項1から3のいずれか一に記載の操作キー構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−119099(P2011−119099A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−274480(P2009−274480)
【出願日】平成21年12月2日(2009.12.2)
【出願人】(000133526)株式会社チノー (113)
【Fターム(参考)】