説明

操作ボタン

【課題】 各種機器の小型化及び多機能化に対応し、各種記号を1つの操作ボタンに表示可能にする。
【解決手段】 本発明に係る操作ボタン1は、半導体プロセスによって単一の基板23上に複数の発光素子25をマトリクス状に形成することで構成され、該発光素子25を選択的に発光させて記号を形成する発光部13と、発光部13を収容し、使用者が操作可能な筺体5,7と、を備えている。そして、筺体5,7は、前記記号が投影される投影面5aを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作ボタンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコンや携帯電話機等の各種機器の多機能化及び小型化が進み、キーボードのキーやダイヤルボタン等の各操作ボタンには、1つのボタンで多くの機能に対応した操作を行うため、複数の種類の文字や図形等を含む記号が印刷されている。例えば、特許文献1には、キーボードの各キーの上面に、各種記号を熱転写によって印刷したものが開示されている。
【特許文献1】特開平1−302619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記のような各種機器の操作ボタンは、その小型化に伴って、各種記号の印刷スペースが小さくなり、多機能化に対応した新たな記号を追加することが難しいという問題があった。
【0004】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、各種機器の小型化及び多機能化に対応し、各種記号を1つの操作ボタンに表示可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る操作ボタンは、半導体プロセスによって単一の基板上に複数の発光素子をマトリクス状に形成することで構成され、該発光素子を選択的に発光させて記号を形成する発光部と、前記発光部を収容し、使用者が操作可能な筺体と、を備えている。そして、前記筺体は、前記記号が投影される投影面を有している。
【0006】
また、上記操作ボタンにおいて、前記発光部と前記投影面との間に配置され、前記記号を前記投影面に拡大して投影する拡大レンズをさらに備えることが好ましい。
【0007】
また、前記基板上に大きさの異なる前記複数の発光素子が形成されていることが好ましい。
【0008】
なお、本発明における記号とは、文字や図形等を含むものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、各種機器の小型化及び多機能化に対応し、各種記号を1つの操作ボタンに表示可能にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明に係る操作ボタンの一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明に係る操作ボタンは、パソコンや携帯電話機等、1つのボタンで複数の操作を行えるように構成された各種機器に適用可能であるが、以下ではその一例として、パソコン等の一般的なキーボードに適用した一実施形態について説明する。図1は、本発明に係る操作ボタンをキーボードに適用した場合の一実施形態を示す断面図である。図2は、図1の操作ボタンの平面図である。
【0011】
図1及び図2に示すように、本実施形態に係る操作ボタンは、キーボードのキートップ1として形成されており、キーボード本体のハウジング3に上下動可能に支持されている。より詳細には、キートップ1は、使用者によって押し下げられる操作部5と、この操作部5を支持する支持部7とを備えている。なお、本実施形態における操作部5と支持部7とが、本発明における筺体に相当する。
【0012】
支持部7は、ハウジング3に形成された筒部3aに挿入されるステム部7aと、ステム部7aの上端に形成された平板部7bとを備えている。ステム部7aの下端は、ハウジング3の内部に設けられたラバースプリング9と当接しており、このラバースプリング9によってキートップ1が上方へ付勢されている。また、ステム部7aの下端部には、ハウジング3の筒部3aに形成された係止部3bによって係止される被係止部7cが形成されており、ラバースプリング9によって上方へ付勢されたキートップ1の上方への移動を規制するようになっている。
【0013】
ラバースプリング9は、キーボード本体のハウジング3の内部に設けられたメンブレンスイッチ11上に固定されている。そして、上方へ付勢されたキートップ1が使用者によって押下されたときに、ラバースプリング9が変形し、ラバースプリング9に形成された押圧部9aによってメンブレンスイッチ11が押圧されて導通するようになっている。
【0014】
キートップ1の操作部5は、支持部7の平板部7bに対向して配置された上面部5aと、上面部5aの周縁から下方へ広がるように延びるスカート部5bとを備えている。そして、スカート部5bの下端部が、支持部7の平板部7bに取り付けられ、上面部5aと平板部7bとの間に空間Sを形成することによって、後述する発光部13を収容するようになっている。
【0015】
キートップ1の支持部7における平板部7bの上面には、発光素子の発光により文字や図形等を形成する発光部13と、発光部13を駆動するドライバチップ15とが実装されたプリント回路板17が取り付けられている。ドライバチップ15は、可撓性のケーブル19によって図示しない制御装置に接続されており、この制御装置からの制御信号を受信して、制御信号に応じた文字や図形等を形成するように発光部13を駆動する。この制御装置からの信号は、本実施形態のようにパソコン等のキーボードの場合、例えば、日本語入力モードと英語入力モードとを切り替えるシフトキーが使用者によって押下されたときに切り替えられる。そして、例えば、日本語入力モードのときは、発光部13にひらがな文字が形成され、英語入力モードのときは、発光部13にアルファベット文字が形成される。このように各種入力モードに対応して、発光部13に形成される文字や図形等を変更可能となっている。
【0016】
発光部13と操作部5の上面部5aとの間には、拡大レンズ21が配置されている。この拡大レンズ21は、操作部5のスカート部5bに環状に形成された座部5cによって支持されており、発光部13で形成された文字や図形等を拡大して上面部5aに投影するようになっている。上面部5aは、発光部13からの光を透過する樹脂等で構成されており、上面部5aに投影された文字や図形等が操作部5の外部から視認できるようになっている。図2は、後述する発光部13における4行4列のマトリクス状に配置された発光素子25を全て発光させた場合に、上面部5aで視認される光の像を符号Kで示している。なお、この上面部5aは、本発明における投影面に相当する。
【0017】
次に、発光部13の構成について図面を参照しつつ具体的に説明する。図3は、本実施形態に係る発光部13の平面図である。図4は、図3の発光部13のiv−iv線断面図である。図5は、図3の発光部13のv−v線断面図である。
【0018】
図3に示すように、発光部13は、基板23と、基板23上に形成された複数の発光素子25と、複数の発光素子25を電気的に接続する第一電極配線X(X1,X2,X3,X4)及び第二電極配線Yと、第一電極配線Xから延びる電極リード配線Z(Z1,Z2,Z3,Z4)とを備えている。
【0019】
基板23は、例えば、2000〜6000Ω・cmの電気抵抗率を有する高抵抗性のものであり、シリコン(Si)、ガリウム砒素(GaAs)、ガリウム燐(GaP)、窒化ガリウム(GaN)等の単結晶で形成されている。
【0020】
図3に示すように、複数の発光素子25は、基板23上に4行4列のマトリクス状に配置されている。各発光素子25は、図4に示すように、基板23上に形成されたn型半導体層27と、このn型半導体層27上に形成されたp型半導体層29とを有している。そして、これらの層27,29によって半導体のpn接合が形成されており、このpn接合に後述するように電流を供給し、電子と正孔とを再結合させることによって、各発光素子25が発光するようになっている。
【0021】
n型半導体層27は、例えば、n型不純物としてS、Si、Se、SnやC等の原子をドープしたGaAs、AlGaAs、GaInP、AlGaInP、GaN等の単結晶で形成し、その層厚を1μm〜4μmにする。n型不純物の濃度は、例えば、1×1016〜1×1020atoms/ccにする。
【0022】
p型半導体層29は、例えば、p型不純物としてZn、Mg、C等の原子をドープしたGaAs、AlGaAs、GaInP、AlGaInP、GaN等の単結晶で形成し、その層厚を1μm〜4μmにする。n型不純物の濃度は、例えば、1×1016〜1×1020atoms/ccにする。
【0023】
図4に示すように、p型半導体層29及びn型半導体層27の上面及び側面、並びに基板23の上面には、これらの面を被覆する第一絶縁膜31が設けられている。この第一絶縁膜31は、例えば、SiN、SiO等の無機絶縁膜や、ポリイミド等の有機絶縁膜等を用い、その厚さが0.1〜5μmで形成されている。また、第一絶縁膜31には、後述する第一電極配線Xを配置するための第一電極配線用孔33及び第二電極配線Yを配置するための第二電極配線用第一孔35が形成されている。
【0024】
図3及び図4に示すように、第一電極配線Xは、発光素子25が配置された4行4列の行方向(図1の矢印Hの方向。以下、単に、行方向という)に互いに並行して延びるように第一絶縁膜31上に形成されている。なお、図3では、説明の便宜上、第一絶縁膜31の図示を省略している。また、第一電極配線Xは、第一絶縁膜31の第一電極配線用孔33を介して各発光素子25におけるn型半導体層27の上面に接続されており、各行に配置された発光素子25間を接続している。
【0025】
より詳細には、第1行目の発光素子25間を接続する第一電極配線X(以下、第1行目の第一電極配線X1という)は、2つの部分X1a,X1bに分割されており、この各部分X1a,X1bによって、第1行1列目の発光素子25と第1行2列目の発光素子25とを接続するとともに、第1行3列目の発光素子25と第1行4列目の発光素子25とを接続している。そして、第2行目の発光素子25間を接続する第一電極配線X(以下、第2行目の第一電極配線X2という)は、第2行目における全ての発光素子25を接続している。
【0026】
第3行目の発光素子25間を接続する第一電極配線X(以下、第3行目の第一電極配線X3という)と、第4行目の発光素子25間を接続する第一電極配線X(以下、第4行目の第一電極配線X4という)の配置は、第1行目並びに第2行目の第一電極配線X1,X2の配置と実質的に上下対称となっている。つまり、第4行目の第一電極配線X4が2つの部分X4a,X4bに分割されており、この各部分X4a,X4bによって、隣接する二つの発光素子25が接続されている。第3行目の第一電極配線X3は、第3行目における全ての発光素子25を接続している。
【0027】
また、第一電極配線Xは、例えば、AuSb合金、AuGe合金、Ni系合金等を用いて、その厚さが0.5〜5μmで形成されている。
【0028】
電極リード配線Zは、図5に示すように、第一電極配線Xと同じく第一絶縁膜31上に形成され、図3に示すように、発光素子25が配置された4行4列の列方向(図3の矢印Vの方向。以下、単に、列方向という)に各第一電極配線Xから分岐して引き出されている。より詳細には、第1行目の第一電極配線X1の分割された部分X1a,X1bのそれぞれから延びる電極リード配線Z(以下、第1行目の電極リード配線Z1という)は、第1行目の第一電極配線X1によって接続された隣接する二つの発光素子25の間の領域を経由して引き出されている。また、第2行目の第一電極配線Xから延びる電極リード配線Z(以下、第2行目の電極リード配線Z2という)は、第1行目の第一電極配線X1の分割された部分X1a,X1bの間の領域を経由して引き出されている。そして、第3行目の第一電極配線X3から延びる電極リード配線Z(以下、第3行目の電極リード配線Z3という)は、第4行目の第一電極配線X4の分割された部分X4a,X4bの間に配置されている。第4行目の第一電極配線X4の分割された部分X4a,X4bのそれぞれから延びる電極リード配線Z(以下、第1行目の電極リード配線Z4という)は、図2の下方向に延びている。
【0029】
図4及び図5に示すように、第一絶縁膜31上には、第二絶縁膜37が形成されており、第一電極配線Xを被覆するようになっている。この第二絶縁膜37は、例えば、第一絶縁膜31と同様の組成及び厚さで形成されている。また、図3に示すように、この第二絶縁膜37には、後述する第二電極配線Yを配置するための第二電極配線用第二孔39が形成されている。
【0030】
図3及び図5に示すように、第二電極配線Yは、発光素子25が配置された4行4列の列方向に互いに並行して延びるように第二絶縁膜37上に形成されている。なお、図3では、説明の便宜上、第一絶縁膜31及び第二絶縁膜37の図示を省略している。また、図4に示すように、第二電極配線Yは、第一絶縁膜31の第二電極配線用第一孔35及び第二絶縁膜37の第二電極配線用第二孔39を介して、各発光素子25におけるp型半導体層29の上面に接続されており、図1に示すように、各列に配置された発光素子25間を接続している。また、第二電極配線Yは、例えば、第一電極配線Xと同様の上記組成及び厚さで形成されている。
【0031】
図4及び図5に示すように、第二絶縁膜37上には、第三絶縁膜41が形成されており、第二電極配線Yを被覆するようになっている。この第三絶縁膜41は、例えば、第一絶縁膜31と同様の上記組成及び厚さで形成されている。
【0032】
次いで、以上のように構成された発光部13を半導体プロセスによって製造する方法について、図6〜図8を参照しつつ説明する。
【0033】
まず、基板23を準備し、図6(a)に示すように、この基板23上にMOCVD法等を用いてn型半導体層27及びp型半導体層29を順次形成する。
【0034】
次に、図6(b)に示すように、p型半導体層29上にレジストR1を塗布し、フォトリソグラフィー法により所望のパターンを露光、現像した後、ウェットエッチング法によりp型半導体層29及びn型半導体層27の一部をエッチングして、基板23を露出させる。その後、レジストR1を剥離する。こうすることで、基板23上に、島状に形成されたp型半導体層29及びn型半導体層27が4行4列のマトリクス状に配置される。
【0035】
次に、図6(c)に示すように、p型半導体層29上にレジストR2を塗布し、フォトリソグラフィー法により所望のパターンを露光、現像した後、ウェットエッチング法によりp型半導体層29の一部をエッチングして、n型半導体層27を露出させる。その後、レジストR2を剥離する。
【0036】
次に、図6(d)に示すように、n型半導体層27及びp型半導体層29が形成された基板23の全面に、スパッタリング法等により第一絶縁膜31を形成する。
【0037】
続いて、図7(e)に示すように、第一絶縁膜31上にレジストR3を塗布し、フォトリソグラフィー法により所望のパターンを露光、現像した後、ウェットエッチング法により第一絶縁膜31をエッチングして、第一電極配線用孔33及び第二電極配線用第一孔35を形成する。その後、レジストR3を剥離する。
【0038】
次に、図7(f)に示すように、第一絶縁膜31上にレジストR4を塗布し、フォトリソグラフィー法により所望のパターンを露光、現像した後、スパッタリング法等により第一電極配線Xを形成するための合金層X’を形成する。続いて、図7(g)に示すように、レジストR4を剥離して、第一電極配線Xを形成する。
【0039】
次に、図7(h)に示すように、スパッタリング法等により第一絶縁膜31上に第二絶縁膜37を形成した後、レジストR5を塗布し、フォトリソグラフィー法により所望のパターンを露光、現像する。続いて、ウェットエッチング法により第二絶縁膜37をエッチングし、第二電極配線用第二孔39を形成するとともに、第二電極配線用第一孔35を露出させる。その後、レジストR5を剥離する。
【0040】
次に、図8(i)に示すように、第二絶縁膜37上にレジストR6を塗布し、フォトリソグラフィー法により所望のパターンを露光、現像した後、スパッタリング法等により第二電極配線Yを形成するための合金層Y’を形成する。続いて、図8(j)に示すように、レジストR6を剥離して、第二電極配線Yを形成する。
【0041】
最後に、図8(k)に示すように、スパッタリング法等により第二絶縁膜37上に第三絶縁膜41を形成し、第二電極配線Yを被覆する。
【0042】
以上のようにして、本実施形態に係る発光部13が製造される。
【0043】
次に、以上のように構成された発光部13によって、文字や図形等を形成する方法について説明する。
【0044】
発光部13は、上記のようにドライバチップ15によって駆動される。より詳細には、発光部13は、各電極リード配線Z及び各第二電極配線Yがプリント回路板17に形成された回路を介して、ドライバチップ15に接続されている。そして、このドライバチップ15によって、電極リード配線Zのうちの一つと、第二電極配線Yのうちの一つとに選択的に順方向電圧を印加することで、選択された電極リード配線Zに連続する第一電極配線X及び選択された第二電極配線Yの双方に接続された一つの発光素子25を発光させることができる。
【0045】
発光部13は、このようにしてマトリクス状に配置された発光素子25を選択的に発光させることができる。そして、所望の複数の発光素子25を同時に発光させたい場合は、発光させる各発光素子25に接続された第一電極配線Xに連続する電極リード配線Zと、発光させる発光素子25に接続された第二電極配線Yとに順方向電圧を印加する。こうすることで、発光素子25の発光によって所望の文字や図形等を形成することができる。
【0046】
なお、本実施形態では、図3に示すように発光素子25を4行4列のマトリクス状に配置した発光部13について説明したが、これに限定されるものではなく、16行16列、32行32列等、所望の文字や図形を形成できる程度の画素数を有するように、発光素子25の形成個数を適宜変更すればよい。
【0047】
本実施形態に係るキートップ1(操作ボタン)によれば、発光部13においてマトリクス状に配置された発光素子25を選択的に発光させることによって、文字や図形等をキートップ1の操作部5における上面部5a(筺体の投影面)に投影している。そのため、キーボードの入力モードや各種機能の切り替えに応じ、発光させる発光素子25を選択することによって、1つのキートップ1上に多くの種類の文字や図形等を表示することができる。
【0048】
また、本実施形態に係るキートップ1における発光部13は、半導体プロセスを用いて、単一の基板23上に複数の発光素子25を形成することで構成されている。そのため、個別に形成されたチップ状の発光素子を基板上に表面実装して複数配置した場合に比べて、大幅な小型化が可能になる。つまり、表面実装した場合は、通常、チップ状の発光素子のサイズが小さくても1.0mm角程度の大きさであるとともに、隣接する発光素子間に0.5mm程度の間隔が必要となる。したがって、例えば、このチップ状の発光素子を16行16列のマトリクス状に配置すると、24mm角程度のスペースが必要となる。これに対し、半導体プロセスを用いた場合は、超微細な加工が可能となり、例えば、基板上に16行16列のマトリクス状に発光素子を形成した場合、3.2mm角程度のスペースに形成することができる。したがって、このように半導体プロセスによって発光部13を形成することによって、発光部13の小型化が可能となり、キートップ1の小型化にも対応することが可能になる。よって、ひいてはキーボード装置自体の小型化も可能になる。
【0049】
また、半導体プロセスを用いた場合は、例えば上記のように基板上に発光素子を表面実装した場合に比べて、同じ大きさの基板で比較すると、発光素子を高密度に配置することができるため、高精細な文字や図形等を表示することができる。
【0050】
また、本実施形態に係るキートップ1では、発光部13の小型化によって発光部13の質量が小さくなり、キートップ1の操作に伴う振動によって発光部13自身に与えられる衝撃を軽減することができる。そのため、発光部13の耐久性を向上させることができる。また、半導体プロセスを用いることによって、発光部13の発光素子25を基板23上に作り込んでいるため、上記のように発光素子を基板上に表面実装した場合に比べて機械的な強度を高くすることができ、発光部13の信頼性を向上させることができる。
【0051】
また、本実施形態に係るキートップ1では、発光部13と操作部5の上面部5aとの間に拡大レンズを設けているため、発光部13を小型化しても、発光部13に形成された文字や図形等を上面部5aに拡大して投影することができ、使用者からの視認性を確保することができる。また、反対に、視認性を確保しつつ発光部の小型化を行うことができるので、発光部の製造コストを小さくすることができる。
【0052】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。例えば、上記実施形態では、パソコン等のキーボードに本発明に係る操作ボタンを適用した場合について説明したが、これに限定されるものではなく、携帯電話機や電子辞書等、1つのボタンで複数の操作を行うように構成された各種機器に適用することができ、上記と同様の効果を得ることができる。
【0053】
また、上記実施形態では、拡大レンズ21を設けているため、収差による像の歪み等が発生する場合がある。この場合、拡大レンズによる収差を補正するように、基板上に大きさの異なる発光素子を形成してもよい。例えば、図3に示すように拡大レンズ21が凸レンズであり、発光素子25を4行4列のマトリクス状に配置した場合は、周縁領域に配置された12個の発光素子25のサイズを小さくする。このように拡大レンズが凸レンズの場合は、マトリクス状の配置領域の周縁部に近い発光素子ほど、拡大レンズを介して投影面に投影される光の像が大きくなる。そのため、逆に、マトリクス状に配置された発光素子の大きさを、発光素子の配置領域の周縁部に向かうにつれて小さくすることで、凸レンズによる収差を補正することができる。こうして、基板上に形成される発光素子の大きさを変えることで、レンズによる収差を補正すれば、例えば画素数を増やした発光部を使用する場合でも、共通の拡大レンズを用いることができるという利点がある。また、本発明では、半導体プロセスを用いて発光部を形成しているので、発光素子の大きさの変更には柔軟に対応することができ、拡大レンズの曲面形状を変更する場合に比べて、設計変更が容易であるという利点もある。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明に係る操作ボタンをキーボードに適用した場合の一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1の操作ボタン(キートップ)の平面図である。
【図3】図1の操作ボタンにおける発光部の平面図である。
【図4】図3の発光部のiv−iv線断面図である。
【図5】図3の発光部のv−v線断面図である。
【図6】図3の発光部の製造方法を説明するための図である。
【図7】図3の発光部の製造方法を説明するための図である。
【図8】図3の発光部の製造方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0055】
1 キートップ
3 キーボード本体のハウジング
5 操作部
5a 上面部(投影面)
7 支持部
9 ラバースプリング
11 メンブレンスイッチ
13 発光部
21 拡大レンズ
23 基板
25 発光素子


【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体プロセスによって単一の基板上に複数の発光素子をマトリクス状に形成することで構成され、該発光素子を選択的に発光させて記号を形成する発光部と、
前記発光部を収容し、使用者が操作可能な筺体と、
を備え、
前記筺体は、前記記号が投影される投影面を有することを特徴とする、操作ボタン。
【請求項2】
前記発光部と前記投影面との間に配置され、前記記号を前記投影面に拡大して投影する拡大レンズをさらに備えることを特徴とする、請求項1に記載の操作ボタン。
【請求項3】
前記基板上に大きさの異なる前記複数の発光素子が形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の操作ボタン。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−80277(P2010−80277A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247694(P2008−247694)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】