説明

操作盤

【課題】操作盤とシーケンスコントローラとの間の伝送ケーブルを1系統とすることができる操作盤を提供する。
【解決手段】操作盤1は、操作盤本体10と、操作盤本体10に固定され、作業者により手動操作を実行するためのハードスイッチ21、22と、操作盤本体10に固定され、パネル表示状態を切り替え可能であり、作業者により設備機械を動作させるための第一のタッチ操作が行われるパネル表示部41と、ハードスイッチ21、22に接続される入出力処理部30と、シーケンスコントローラ2、入出力処理部30およびパネル表示部41に接続されるパネル処理部43を備える。さらに、操作盤1は、入出力処理部30とパネル処理部43とを接続する第一のケーブルであって、パネル処理部43とシーケンスコントローラ2とを接続する第二のケーブル60とは異なる第一のケーブル50を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、設備を制御するシーケンスコントローラに接続され、作業者の操作に基づいてシーケンスコントローラへ信号を出力し、且つ前記シーケンスコントローラから入力された信号に基づいて表示状態を変更する操作盤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の操作盤として、実開平4−102763号公報(特許文献1)に記載されたものがある。この操作盤は、タッチパネル表示部と、押込みボタンなどのハードスイッチとを備えることが記載されている。この操作盤において、ハードスイッチは、シーケンスコントローラと配線により接続され、タッチパネル表示部もまたシーケンスコントローラに配線により接続されている。つまり、ハードスイッチの実行によりタッチパネル表示部の表示状態が変更される場合には、信号の伝送は、次のように行われる。まず、ハードスイッチからシーケンスコントローラに信号が伝送される。その後、シーケンスコントローラからタッチパネル表示部に信号が伝送されることになる。
【特許文献1】実開平4−102763号公報(図2、段落[0011])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載の操作盤には、タッチパネル表示部とハードスイッチとを備えているにも関わらず、両者の間で信号の伝送が直接行われる構成となっていない。つまり、操作盤とシーケンスコントローラとは、2系統の伝送ケーブルにより接続されている。一般に、操作盤は、作業者が設備機械の動作を確認しながら操作を可能とするために、設備機械の最前部に設けられている。一方、シーケンスコントローラは、設備機械の作業者により操作されるものではないため、一般に、設備機械の後方に設けられることが多い。つまり、操作盤とシーケンスコントローラは、遠い位置に設けられている。このことからも、操作盤とシーケンスコントローラとの間を2系統の伝送ケーブルで接続することは、高コスト化の要因となっていた。
【0004】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、操作盤とシーケンスコントローラとの間の伝送ケーブルを1系統とすることができる操作盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、請求項1に係る発明の特徴は、
設備機械を制御するシーケンスコントローラに接続され、作業者の操作に基づいて前記シーケンスコントローラへ信号を出力し、且つ前記シーケンスコントローラから入力された信号に基づいて表示状態を変更する操作盤であって、
操作盤本体と、
前記操作盤本体に固定され、作業者により手動操作を実行するためのハードスイッチと、
前記操作盤本体に固定され、パネル表示状態を切り替え可能であり、作業者により前記設備機械を動作させるための第一のタッチ操作が行われるパネル表示部と、
前記ハードスイッチに接続され、前記ハードスイッチが作業者により手動操作を実行された場合に手動操作処理信号を出力する入出力処理部と、
前記シーケンスコントローラ、前記入出力処理部および前記パネル表示部に接続され、前記入出力処理部から出力される前記手動操作処理信号に対する第一の処理、および、前記パネル表示部にて前記第一のタッチ操作が行われた場合に当該第一のタッチ操作に対する第三の処理を行うパネル処理部と、
前記入出力処理部と前記パネル処理部とを接続する第一のケーブルであって、前記パネル処理部と前記シーケンスコントローラとを接続する第二のケーブルとは異なる第一のケーブルと、
を備えることである。
【0006】
請求項2に係る発明の特徴は、
設備機械を制御するシーケンスコントローラに接続され、作業者の操作に基づいて前記シーケンスコントローラへ信号を出力し、且つ前記シーケンスコントローラから入力された信号に基づいて表示状態を変更する操作盤であって、
操作盤本体と、
前記操作盤本体に固定され、入力される表示状態変更信号に基づいて表示状態を変更する固定ランプと、
前記操作盤本体に固定され、パネル表示状態を切り替え可能であり、作業者により前記設備機械を動作させるための第一のタッチ操作が行われるパネル表示部と、
前記固定ランプに接続され、前記シーケンスコントローラから前記固定ランプの前記表示状態変更信号が入力された場合に前記固定ランプに対して前記表示状態変更信号を出力する前記入出力処理部と、
前記シーケンスコントローラ、前記入出力処理部および前記パネル表示部に接続され、前記入出力処理部に対して前記表示状態変更信号を出力する第二の処理、および、前記パネル表示部にて前記第一のタッチ操作が行われた場合に当該第一のタッチ操作に対する前記第三処理を行うパネル処理部と、
前記入出力処理部と前記パネル処理部とを接続する第一のケーブルであって、前記パネル処理部と前記シーケンスコントローラとを接続する第二のケーブルとは異なる前記第一のケーブルと、
を備えることである。
【0007】
請求項3に係る発明の特徴は、請求項1において、
前記操作盤本体に固定され、入力される表示状態変更信号に基づいて表示状態を変更する固定ランプを備え、
前記入出力処理部は、前記固定ランプに接続され、前記シーケンスコントローラから前記固定ランプの前記表示状態変更信号が入力された場合に前記固定ランプに対して前記表示状態変更信号を出力することである。
【0008】
請求項4に係る発明の特徴は、請求項1〜3の何れか一項において、
前記第一のケーブルは、前記操作盤本体の内部に収容されていることである。
請求項5に係る発明の特徴は、請求項1または3において、
前記パネル処理部は、前記第一の処理を前記第三の処理より優先して行うことである。
請求項6に係る発明の特徴は、請求項2または3において、
前記パネル処理部は、前記第二の処理を前記第三の処理より優先して行うことである。
請求項7に係る発明の特徴は、請求項1〜6の何れか一項において、
前記パネル処理部は、前記第三の処理を、前記シーケンスコントローラから入力される信号に基づきバックグランドにて行う第四の処理より優先して行うことである。
【0009】
請求項8に係る発明の特徴は、請求項7において、
前記パネル表示部は、作業者により前記設備機械の異常状態およびサイクルタイムの何れかを含む前記設備機械の統計情報表示のための第二のタッチ操作が行われ、
前記パネル処理部は、前記第四の処理を、前記パネル表示部にて前記第二のタッチ操作が行われた場合に当該第二のタッチ操作に対する第五の処理より優先して行うことである。
【発明の効果】
【0010】
上記のように構成した請求項1に係る発明によれば、新たに、入出力処理部を備える構成としている。この入出力処理部は、ハードスイッチに直接接続され、且つ、パネル処理部に直接接続されている。つまり、ハードスイッチとパネル処理部とは、操作盤自体が備える入出力処理部を介して接続されている。そして、ハードスイッチとパネル処理部とを接続する第一のケーブルは、パネル処理部とシーケンスコントローラとを接続する第二のケーブルとは異なるケーブルとしている。そして、操作盤自体が、第一のケーブルを備える構成としていることから、操作盤とシーケンスコントローラとは、1系統の伝送ケーブルにより接続することができる。これにより、配線コストを低減することができる。
【0011】
ここで、ハードスイッチは、作業者の手動操作により、スイッチそのものの状態が変化するスイッチであって、パネル表示部のスイッチと対比する意味で用いている。例えば、ハードスイッチには、押し込み量が変化する押込みボタンや、回転角度が変化する回転式切替レバーなどが含まれる。そして、ハードスイッチに対する手動操作とは、パネル表示部に対するタッチ操作と対比する意味で用いており、例えば、手動による押し込み操作、手動による回転操作などを含む。一方、タッチ操作とは、パネル表示部を作業者がタッチする操作である。
【0012】
請求項2に係る発明によれば、新たに、入出力処理部を備える構成としている。この入出力処理部は、固定ランプに直接接続され、且つ、パネル処理部に直接接続されている。つまり、固定ランプとパネル処理部とは、操作盤自体が備える入出力処理部を介して接続されている。そして、固定ランプとパネル処理部とを接続する第一のケーブルは、パネル処理部とシーケンスコントローラとを接続する第二のケーブルとは異なるケーブルとしている。そして、操作盤自体が、第一のケーブルを備える構成としていることから、操作盤とシーケンスコントローラとは、1系統の伝送ケーブルにより接続することができる。これにより、配線コストを低減することができる。
請求項3に係る発明によれば、請求項2による効果と同一の効果を奏する。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、第一のケーブルが操作盤本体の内部に収容されているとしている。これにより、第一のケーブルの配線長さを短くすることができるため、第一のケーブルの配線コストの低減を図ることができる。
【0014】
請求項5に係る発明によれば、第一の処理を第三の処理より優先して行うこととしている。ここで、パネル処理部は、入出力処理部を介して入力される信号に対する処理の他に、従来と同様にパネル表示部における第一のタッチ操作による要求処理を行わなければならない。そして、本発明によれば、パネル処理部は、入出力処理部からの信号授受ルートと、シーケンスコントローラからの信号授受ルートとが異なるため、処理の順位を決定しておく必要がある。そこで、パネル処理部は、手動操作処理信号に対する第一の処理を、パネル表示部における第一のタッチ操作に対する第三の処理よりも優先して行うこととされている。
【0015】
ここで、ハードスイッチは、安全面の観点から、作業者が常時手動操作を実行できるようにしている。ハードスイッチは、例えば、非常停止のための押込みボタン、連続運転と各個運転の切替レバーなどである。一方、パネル表示部は、ハードスイッチによる手動操作に比べて操作性または機能性の観点から、第一のタッチ操作を行うようにしている。第一のタッチ操作は、例えば、設備機械の原点復帰動作の実行ボタン、クーラントの入/切の実行ボタンなどである。つまり、上記のように、第一の処理を第三の処理よりも優先して行うことで、伝送ケーブルの削減による低コスト化を図りつつ、安全性を確実に確保することができる。
【0016】
請求項6に係る発明によれば、第二の処理を第三の処理よりも優先して行うこととしている。固定ランプは、安全面の観点から、操作盤本体に固定され、常時作業者が視認することができるように設けられている。固定ランプは、例えば、電源ON/OFFランプ、運転中ランプ、扉開閉ランプなどである。一方、パネル表示部は、固定ランプの表示状態変更処理に比べて操作性または機能性の観点から、第一のタッチ操作を行うようにしている。つまり、上記のように、第二の処理を第三の処理よりも優先して行うことで、伝送ケーブルの削減による低コスト化を図りつつ、安全性を確実に確保することができる。
【0017】
請求項7に係る発明によれば、パネル処理部は、第一のタッチ操作に対する第三の処理を、シーケンスコントローラから入力される信号に基づくバックグランドにて行う第四の処理より優先している。第一のタッチ操作に対する第三の処理には、タッチ表示部における表示状態変更処理が含まれる。作業者がタッチ表示部を操作した後に、その表示状態を変更する処理を早期に行うことは、操作感を良好にするために有効である。一方、バックグランドにて行う第四の処理は、他の部位、すなわち、入出力処理部、パネル表示部およびシーケンスコントローラとの間で信号の伝送が必要な処理ではなく、パネル処理部自体で完結できる処理である。つまり、第三の処理を第四の処理よりも優先して行うことにより、パネル操作部における作業者の操作感を良好にすることができる。
【0018】
請求項8に係る発明によれば、設備機械の統計情報表示より、バックグランド処理を優先させることとしている。設備機械の統計情報表示とは、例えば、設備機械の異常状態の一覧表示、サイクルタイムの一覧表示などである。この統計情報表示は、他の処理に比べて、緊急性は低い。そこで、バックグランド処理を優先させて、他の処理を確実に実行させることで、より適切に処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の操作盤を具体化した実施形態について図面を参照しつつ説明する。本実施形態の操作盤について、図1〜図3を参照して説明する。図1は、操作盤1のハード構成図である。図2は、操作盤1の機能ブロック図である。図3は、操作盤1を構成するパネル処理部43の処理を示すフローチャートである。
【0020】
操作盤1は、設備機械を制御するシーケンスコントローラ、例えば、プログラマブルロジックコントローラ2(以下、「PLC」と称する)に接続され、作業者の操作に基づいてPLC2へ信号を出力し、且つ、PLC2から入力された信号に基づいて表示状態を変更する。この操作盤1は、図1および図2に示すように、操作盤本体10と、ハード入出力部20と、USB I/O部30と、パネルコンピュータ40と、USBケーブル50(本発明の「第一のケーブル」に相当)と、イーサネット(登録商標)のケーブル60(本発明の「第二のケーブル」に相当)とから構成される。
【0021】
操作盤本体10は、操作盤1のケースである。つまり、操作盤本体10は、設備機械(図示せず)の前面部に固定されている。また、操作盤本体10は、内部に空間を有している。
ハード入出力部20は、操作盤本体10の前面下部に露出するように固定されている。ハード入出力部20は、ハードスイッチとしての押込みボタン21および回転式切替レバー22と、固定ランプ23とを備えている。
【0022】
押込みボタン21は、非常停止ボタンであって、作業者により非常時に手動による押込み操作(手動操作)を実行して、設備機械を停止させるためのボタンである。押込みボタン21は、押し込み量が小さい状態を通常状態とし、押し込み量が大きい状態を非常停止状態とする。
【0023】
回転式切替レバー22は、作業者により手動による回転操作を実行することにより、連続運転と各個運転を切り替えるためのレバーである。連続運転とは、複数のワークに対して連続的に設定されたプログラムを実行する運転モードである。各個運転とは、1個のワークに対して設定されたプログラムを実行し、処理終了後に停止する運転モードである。各個運転は、例えば、試運転などの際に行う運転モードである。押込みボタン21および回転式切替レバー22は、作業者により手動操作された場合に、後述するUSB I/O部30の入出力部31へ手動操作処理信号を出力する。
【0024】
固定ランプ23は、電源ON/OFFランプ、運転中ランプ、扉開閉ランプなどである。電源ON/OFFランプは、設備機械に電源が供給されている場合に点灯するランプである。運転中ランプは、設備機械が運転している場合に点灯するランプである。扉開閉ランプは、前面扉が開状態の場合に点灯するランプである。この固定ランプ23は、USB I/O部30の入出力部31から表示状態変更信号が出力された場合に、その信号に応じた表示状態に変更される。
【0025】
押込みボタン21および回転式切替レバー22は、安全面の観点から、操作盤本体10に固定され、作業者が常時手動操作を実行できるようにしている。また、固定ランプ23は、安全面の観点から、操作盤本体10に固定され、作業者が常時視認することができるように設けられている。
【0026】
USB I/O部30(本発明の「入出力処理部」に相当)は、操作盤本体10の内部であって、ハード入出力部20の裏面にコネクタを介して連結されている。つまり、USB I/O部30は、ハード入出力部20に直接接続されている。このUSB I/O部30は、入出力部31とUSB通信部32とを備えている。
【0027】
USB I/O部30の入出力部31は、押込みボタン21、回転式切替レバー22、および、固定ランプ23にコネクタを介して接続されている。つまり、USB I/O部30の入出力部31は、押込みボタン21および回転式切替レバー22から出力される手動操作処理信号を入力する。また、USB I/O部30の入出力部31は、固定ランプ23に対して表示状態変更信号を出力する。
【0028】
USB通信部32は、USBケーブル50が接続されている。このUSB通信部32は、USBケーブル50が接続される外部機器(本実施形態においては、後述する「パネルコンピュータ40」)と、USB I/O部30の入出力部31との間の通信を行っている。つまり、USB通信部32は、USB I/O部30の入出力部31が信号を出力する場合には、USBケーブル50を介して接続される外部機器40へ出力する。また、USB通信部32は、USBケーブル50を介して接続される外部機器40から信号が入力される場合には、その信号をUSB I/O部30の入出力部31へ渡す処理を行う。
【0029】
パネルコンピュータ40は、操作盤本体10の前面上部に配置されている。パネルコンピュータ40は、パネル表示部41と、USBドライバ42と、パネル処理部43とを備えている。
【0030】
パネル表示部41は、タッチパネル表示器であって、操作盤本体10の前面上部に露出するように固定されている。パネル表示部41は、パネル表示状態を複数に切り替え可能であり、作業者によりタッチ操作を行うことができる。タッチ操作には、設備機械を動作させるための第一のタッチ操作と、設備機械の統計情報表示のための第二のタッチ操作とがある。
【0031】
第一のタッチ操作は、例えば、設備機械の原点復帰動作の実行ボタン、クーラントの入/切の実行ボタンなどのタッチ操作である。第二のタッチ操作は、設備機械の異常状態の一覧表示、サイクルタイムの一覧表示などを実行するタッチ操作である。いずれのタッチ操作も、操作がされると、その操作に応じた表示状態に変更される。例えば、設備機械の原点復帰動作の実行ボタンのタッチ操作を行った場合には、設備機械が原点復帰動作を行うと共に、パネル表示部41において設備機械の原点復帰動作の実行ボタンが実行済みであることを作業者が把握できるように、例えば色調を変更する。また、設備機械の異常状態の一覧表示の実行ボタンのタッチ操作を行った場合には、パネル表示部41の表示画面が設備機械の異常状態の一覧表示画面に変更される。そして、この異常状態の一覧表示画面には、PLC2から入力される情報に基づいて表示されている。
【0032】
USBドライバ42は、USB I/O部30のUSB通信部32がパネルコンピュータ40と通信を可能とするためのドライバである。USBドライバ42は、USB通信を行うためのソフトウエアがインストールされており、USBケーブル50が接続されている相手機器、すなわちUSB I/O部30と通信を行う。
【0033】
パネル処理部43は、パネル表示部41およびUSBドライバ42と接続されており、且つ、PLC2にケーブル60を介して接続されている。パネル処理部43は、PLC2との間で、ケーブル60を介して信号の受け渡しを行っている。また、パネル処理部43は、パネル表示部41との間でも、パネルコンピュータ40の内部配線を介して、信号の受け渡しを行っている。また、パネル表示部43は、ハード入出力部20との間で、USBケーブル50およびUSB I/O部30を介して、信号の受け渡しを行っている。
【0034】
このパネル処理部43の処理について、図3を参照して説明する。図3に示すように、パネル処理部43は、まず、ハード入出力部20のうち押込みボタン21または回転式切替レバー22から、手動操作処理信号が入力されたか否かを判定する(S1)。この信号の入力は、USB I/O部30およびUSBケーブル50を介して、さらに、USBドライバ42を介して行われる。
【0035】
手動操作処理信号が入力された場合には(S1:Y)、パネル処理部43は、手動操作処理(第一の処理)を行い、リターンする(S2)。具体的には、作業者により押込みボタン21が押込み操作された場合には、パネル処理部43は、ケーブル60を介して非常停止処理信号をPLC2へ出力する。また、作業者により回転式切替レバー22が操作された場合には、パネル処理部43は、ケーブル60を介して運転モードの切替処理信号をPLC2へ出力する。
【0036】
手動操作処理信号が入力されていない場合には(S1:N)、PLC2から固定ランプ23の表示状態変更信号が入力されたか否かを判定する(S3)。この信号の入力は、ケーブル60を介して行われる。
【0037】
固定ランプ23の表示状態変更信号が入力された場合には(S3:Y)、パネル処理部43は、表示状態変更信号出力処理(第二の処理)を行い、リターンする(S4)。具体的には、設備機械に電源が供給された場合には、PLC2がケーブル60を介してパネル処理部43へ信号が出力される。そうすると、パネル処理部43は、USBドライバ42およびUSB I/O部30を介して、電源ON/OFFランプ23に当該信号を出力する。信号が出力された当該ランプ23は表示状態を点灯状態に変更する。
【0038】
固定ランプ23の表示状態変更信号が入力されていない場合には(S3:N)、パネル処理部43は、パネル表示部41にて第一のタッチ操作が実行されたか否かを判定する(S5)。この信号の入力は、パネルコンピュータ40の内部配線を介して行われる。第一のタッチ操作は、上述したように設備機械を動作させるためのタッチ操作である。
【0039】
従って、第一のタッチ操作が実行された場合には(S5:Y)、パネル処理部43は、そのタッチ操作に応じた設備機械の動作実行信号を、ケーブル60を介してPLC2へ出力する(第三の処理)(S6)。PLC2は、当該信号に応じた動作を実行する。続いて、パネル処理部43は、パネル表示部41の表示状態変更処理(第三の処理)を行う(S7)。つまり、パネル処理部43は、パネル表示部41における表示状態を、PLC2へ出力した動作信号に応じた設備機械の状態に変更する。続いての処理はリターンされる。
【0040】
第一のタッチ操作が実行されていない場合には(S5:N)、パネル処理部43は、PLC2からの信号に基づいてバックグランド処理の要求があるか否かを判定する(S8)。バックグランド処理の要求がある場合には(S8:Y)、パネル処理部43は、当該処理(第四の処理)をパネル処理部43の内部で行う(S9)。続いての処理はリターンされる。
【0041】
バックグランド処理の要求がない場合には(S8:N)、パネル処理部43は、パネル表示部41にて第二のタッチ操作が実行されたか否かを判定する(S10)。この信号の入力は、パネルコンピュータ40の内部配線を介して行われる。第二のタッチ操作は、上述したように設備機械の統計情報表示のためのタッチ操作である。
【0042】
従って、第二のタッチ操作が実行された場合には(S10:Y)、パネル処理部43は、そのタッチ操作に応じた設備機械の統計情報を、ケーブル60を介してPLC2から入力する。そして、パネル処理部43は、パネル表示部41にて統計情報を適切な形式で表示する(第五の処理)(S11)。続いての処理はリターンされる。一方、第二のタッチ操作が実行されていない場合も、続いての処理はリターンされる。
【0043】
つまり、パネル処理部43は、第一の処理から第五の処理について、優先順位をつけて処理している。第一、第二の処理は、安全面の観点から優先順位が最も高く設定されている。また、第三の処理は、パネル表示部41の操作感を良好にするために、第一、第二の処理の次に処理されている。また、第五の処理は、緊急性が最も低いため、優先順位を最も下げている。このように、適切な優先順位をパネル処理部43が実行することにより、確実な安全性を発揮しつつ、良好な操作性を発揮することができる。
【0044】
そして、上述した操作盤1は、USB I/O部30を内部に備える構成としている。このUSB I/O部30は、ハード入出力部20に直接接続され、且つ、USBケーブル50および内部配線によりパネル処理部43に直接接続されている。つまり、ハード入出力部20とパネル処理部43とは、操作盤1自体が備えるUSB I/O部30を介して接続されている。また、ハード入出力部20とパネル処理部43とを接続する伝送ケーブル(USBケーブル50および内部配線)は、操作盤1の内部に収容されている。一方、パネル処理部43とPLC2とは、外部のケーブル60により接続されている。従って、操作盤1とPLC2とは、1系統の伝送ケーブル60により接続されている。これにより、配線コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】操作盤1のハード構成図である。
【図2】操作盤1の機能ブロック図である。
【図3】操作盤1を構成するパネル処理部43の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0046】
1:操作盤、 2:PLC
10:操作盤本体、 20:ハード入出力部
21:押込みボタン、 22:回転式切替レバー、 23:固定ランプ
30:USB I/O部、 40:パネルコンピュータ
50:USBケーブル、 60:ケーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設備機械を制御するシーケンスコントローラに接続され、作業者の操作に基づいて前記シーケンスコントローラへ信号を出力し、且つ前記シーケンスコントローラから入力された信号に基づいて表示状態を変更する操作盤であって、
操作盤本体と、
前記操作盤本体に固定され、作業者により手動操作を実行するためのハードスイッチと、
前記操作盤本体に固定され、パネル表示状態を切り替え可能であり、作業者により前記設備機械を動作させるための第一のタッチ操作が行われるパネル表示部と、
前記ハードスイッチに接続され、前記ハードスイッチが作業者により手動操作を実行された場合に手動操作処理信号を出力する入出力処理部と、
前記シーケンスコントローラ、前記入出力処理部および前記パネル表示部に接続され、前記入出力処理部から出力される前記手動操作処理信号に対する第一の処理、および、前記パネル表示部にて前記第一のタッチ操作が行われた場合に当該第一のタッチ操作に対する第三の処理を行うパネル処理部と、
前記入出力処理部と前記パネル処理部とを接続する第一のケーブルであって、前記パネル処理部と前記シーケンスコントローラとを接続する第二のケーブルとは異なる第一のケーブルと、
を備えることを特徴とする操作盤。
【請求項2】
設備機械を制御するシーケンスコントローラに接続され、作業者の操作に基づいて前記シーケンスコントローラへ信号を出力し、且つ前記シーケンスコントローラから入力された信号に基づいて表示状態を変更する操作盤であって、
操作盤本体と、
前記操作盤本体に固定され、入力される表示状態変更信号に基づいて表示状態を変更する固定ランプと、
前記操作盤本体に固定され、パネル表示状態を切り替え可能であり、作業者により前記設備機械を動作させるための第一のタッチ操作が行われるパネル表示部と、
前記固定ランプに接続され、前記シーケンスコントローラから前記固定ランプの前記表示状態変更信号が入力された場合に前記固定ランプに対して前記表示状態変更信号を出力する前記入出力処理部と、
前記シーケンスコントローラ、前記入出力処理部および前記パネル表示部に接続され、前記入出力処理部に対して前記表示状態変更信号を出力する第二の処理、および、前記パネル表示部にて前記第一のタッチ操作が行われた場合に当該第一のタッチ操作に対する前記第三処理を行うパネル処理部と、
前記入出力処理部と前記パネル処理部とを接続する第一のケーブルであって、前記パネル処理部と前記シーケンスコントローラとを接続する第二のケーブルとは異なる前記第一のケーブルと、
を備えることを特徴とする操作盤。
【請求項3】
請求項1において、
前記操作盤本体に固定され、入力される表示状態変更信号に基づいて表示状態を変更する固定ランプを備え、
前記入出力処理部は、前記固定ランプに接続され、前記シーケンスコントローラから前記固定ランプの前記表示状態変更信号が入力された場合に前記固定ランプに対して前記表示状態変更信号を出力することを特徴とする操作盤。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項において、
前記第一のケーブルは、前記操作盤本体の内部に収容されていることを特徴とする操作盤。
【請求項5】
請求項1または3において、
前記パネル処理部は、前記第一の処理を前記第三の処理より優先して行うことを特徴とする操作盤。
【請求項6】
請求項2または3において、
前記パネル処理部は、前記第二の処理を前記第三の処理より優先して行うことを特徴とする操作盤。
【請求項7】
請求項1〜6の何れか一項において、
前記パネル処理部は、前記第三の処理を、前記シーケンスコントローラから入力される信号に基づきバックグランドにて行う第四の処理より優先して行うことを特徴とする操作盤。
【請求項8】
請求項7において、
前記パネル表示部は、作業者により前記設備機械の異常状態およびサイクルタイムの何れかを含む前記設備機械の統計情報表示のための第二のタッチ操作が行われ、
前記パネル処理部は、前記第四の処理を、前記パネル表示部にて前記第二のタッチ操作が行われた場合に当該第二のタッチ操作に対する第五の処理より優先して行うことを特徴とする操作盤。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2010−140308(P2010−140308A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−316773(P2008−316773)
【出願日】平成20年12月12日(2008.12.12)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】