説明

操作装置及び包装設備

【課題】簡単な構成で搬送中の物品を回転させる。
【解決手段】第1面上で物品10を搬送する第1コンベア110と、第1面よりも低い第2面上で物品10を搬送する第2コンベア120と、第1コンベア110によって搬送されてくる物品10を第1コンベア110による搬送方向に略平行な仮想軸の周りで略90度回転させながら第1面上から第2面上に落として前記第2コンベアに渡す回転機構132、134とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を操作する操作装置及び該操作装置を含む包装設備に関する。
【背景技術】
【0002】
焼酎等の飲料が充填された紙パック等の物品は、シュリンクフィルム(熱収縮フィルム)で包装されることがある。シュリンクフィルムは、例えば、ポリプロピレンで構成され、熱によって収縮する性質を有する。シュリンクフィルムを物品に被せた後に加熱することによりシュリンクフィルムが収縮する。
【0003】
一般的に、シュリンクフィルムで紙パック等の物品を包装する際は、帯状のシュリンクフィルムを物品に対してその上方から被せ、そのシュリンクフィルムの両側部を下方に垂らし、その両側部を静電気等を利用して接合することにより袋状にする。その後、その袋状のシュリンクフィルムを加熱して収縮させることによってシュリンクフィルムを物品に密着させる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなシュリンクフィルムの包装工程を経た物品は、包装装置から排出される際は、シュリンクフィルムの接合部分が下方を向いた状態になっている。このような物品をそのまま搬送したのでは、シュリンクフィルムの接合が適正になされているか否かを検査することができない。
【0005】
なお、本出願人は、このような問題点に関連する先行技術文献を出願の時点において認識していない。
【0006】
本発明は、上記問題点の認識を基礎としてなされたものであり、例えば、簡単な構成で搬送中の物品を回転させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の側面は、物品を操作する操作装置に係り、前記操作装置は、第1面上で物品を搬送する第1コンベアと、前記第1面よりも低い第2面上で物品を搬送する第2コンベアと、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品を前記第1コンベアによる搬送方向に略平行な仮想軸の周りで略90度回転させながら前記第1面上から前記第2面上に落として前記第2コンベアに渡す回転機構とを備える。
【0008】
本発明の好適な実施形態によれば、前記回転機構は、例えば、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品が前記第1面上から前記第2面上に転がり落ちるように、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品を側方に押し出す押し出し部を含みうる。前記押し出し部は、例えば、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品の側方をガイドするガイド部材を含みうる。
【0009】
本発明の好適な実施形態によれば、前記回転機構は、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品が前記仮想軸の周りで回転を開始する位置を規定する規定機構を含むことが好ましい。前記規定機構は、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品の側面を支持するローラーを含みうる。
【0010】
本発明の好適な実施形態によれば、前記回転機構は、前記第1コンベアによる搬送方向の下流側に配置された第3コンベアを含むことができ、この場合、前記回転機構は、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品が前記第3コンベア上から前記第2コンベア上に転がり落ちるように構成される。
【0011】
本発明の第2の側面は、物品の包装設備に係り、前記包装設備は、物品を包装する包装装置と、前記包装装置から排出される包装された物品を搬送する搬送装置と、前記搬送装置によって搬送されてくる物品を検査する検査装置とを備え、前記搬送装置は、上記の操作装置を有し、前記検査装置は、前記包装装置から排出され、前記搬送装置が有する前記操作装置により前記仮想軸の周りで略90度回転させられた物品について、その回転により側方を向いた面を検査する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、例えば、簡単な構成で搬送中の物品を回転させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態を説明する。
【0014】
図1は、シュリンクフィルムで包装された物品の一例を示す図である。物品10は、例えば、飲料等が充填された紙パックであり、典型的には、4面からなる胴部30と、底部60と、2つの三角天面50と、トップシール40と、注ぎ口及びそれに付されたキャップ70等を含む。
【0015】
図2は、シュリンクフィルムで物品を包装する包装装置における包装方法を示す図である。まず、(a)に示すように、飲料等が充填された紙パック等の物品10にシュリンクフィルム20が上方から被せられ、シュリンクフィルムの両側部20a、20bが下方に垂らされる。次いで、(b)に示すように、物品10の胴部が完全に包まれるようにシュリンクフィルム20が袋状にされ側部20aと側部20bが静電気等により接合されるとともにトップシール側及び底部側が熱線ヒーター等によって切断される。次いで、(c)に示すように、ヒートトンネルにおいて、例えば150℃程度に加熱することによってシュリンクフィルム20を収縮させることにより、シュリンクフィルム20で包装された物品10が得られる。
【0016】
図2に示すような包装方法では、包装が完了した物品10は、その下側においてシュリンクフィルム20の両側部20a、20bが接合された状態となる。したがって、包装が完了した物品10を回転させることなく、シュリンクフィルム20の接合を検査しようとすると、物品10を下方から目視又はカメラ等で観察する必要がある。ところが、物品10は、典型的には、その下方から支持されて搬送されるので、物品10を下方から検査しようとすると、例えば、搬送用のコンベア等に開口部を設ける必要があるが、これはコンベアの構造からして非常に困難である。
【0017】
そこで、この実施形態では、包装設備の搬送路に操作装置を配置し、包装された物品10の検査に先立って、操作装置によって、物品10の搬送方向に略平行な仮想軸の周りで物品10を略90度回転させる。これにより、シュリンクフィルム20の両側部20a、20bが接合された部分(接合の検査対象部分)10Bが側方に向く。なお、包装された物品10を上記のように略90度回転させた後に、更に略90度、又は、更に略180度(略90度の回転を2回)回転させて、両側部20a、20bの接合部分10Bを上方に向けてもよく、特許請求の範囲に記載された発明は、このような実施形式を排除するものではない。
【0018】
図3〜図5は、本発明の好適な実施形態の操作装置の概略構成を示す図であり、図3は平面図、図4は側面図、図5は斜視図である。なお、図4では、ガイド部材122が省略されている。また、図3〜図5において、部材或いは機構を支持するための支持機構など、実施形態に係る発明の構成を説明する上で不要な構造物は省略されている。図6は、図3〜図5に示された操作装置100の下流側に配置されうる検査装置の概略構成を示す図である。
【0019】
操作装置100は、例えば、物品10をシュリンクフィルム20で包装する包装装置200と検査装置170との間の搬送路に配置され、搬送装置の一部として構成されうる。
【0020】
包装装置200は、例えば、図2を参照して説明した包装方法に従って物品10をシュリンクフィルム20で包装し、シュリンクフィルム20の側部20a、20bを接合した部分10Bが下方を向いた状態で排出する。
【0021】
操作装置100は、第1面A(図4参照)上で物品10を搬送する第1コンベア110と、第1面Aよりも低い第2面B(図4参照)上で物品10を搬送する第2コンベア20とを備える。第1コンベア110は、包装装置200、又は、包装装置200に接続されたコンベアから物品10を受け取って搬送する。第2コンベア20は、検査装置170、又は、検査装置170に物品10を搬送するコンベアに対して、物品10を搬送する。第1コンベア110で搬送される物品10は、ガイド部材112、114によって側方がガイドされうる。第2コンベア120によって搬送される物品10は、ガイド部材122、124によって側方がガイドされうる。
【0022】
操作装置100は、更に、物品10を略90度回転させる回転機構130を備える。回転機構130は、第1コンベア110によって搬送されてくる物品10を第1コンベア110による搬送方向に略平行な仮想軸VAX(図3参照)の周りで略90度回転させながら第1面A上から第2面B上に落として第2コンベア120に渡す。
【0023】
回転機構130は、例えば、第1コンベア110に搬送されてくる物品10が第1面A上から第2面B上に略90度回転しながら転がり落ちるように、第1コンベア110によって搬送されてくる第1面上の物品10を側方に押し出す押し出し部134を備える。押し出し部134は、例えば、第1コンベア110によって搬送されてくる物品10の側方をガイドするガイド部材を含んで構成されうる。この場合、第1コンベア110によって搬送される物品10は、その移動に伴ってガイド部材によって側方に押し出される。
【0024】
回転機構130は、物品10が仮想軸VAXの周りで回転を開始する位置を規定する規定機構を備えることが好ましい。規定機構は、例えば、第1コンベア110によって搬送されてくる物品10の側方(例えば、上方)を支持するローラー136と、ローラー136を回転駆動するモーター138を含んで構成されうる。
【0025】
ローラー136は、物品10が所定位置に到達するまで、物品10が第1面A上から第2面B上に転がり落ちないように物品10を支持する。この所定位置は、第1面A上で物品10を支持する部分の幅が物品10の全体にわたって物品10の幅よりも十分に狭くなる位置(例えば、物品10の幅の1/2未満になる位置)であること(後述の第3コンベア132を設ける場合には、第3コンベア132上)が好ましい。この場合、物品10には、ローラー136による支持が解除された直後に、その先端部分に対しても、その後端部分に対しても、自重による仮想軸VAX周りのモーメントが作用し、安定的に回転する。これに対して、ローラー136等の規定機構を有しない構成では、物品10の先端部分に対してのみ先に仮想軸VAX周りのモーメントが作用しうるので、回転運動が安定しない場合がある。
【0026】
回転機構130は、図3〜図5に示す例では、第1コンベア110の搬送方向の下流側に配置された第3コンベア132を含む。第3コンベア132は、第1コンベア110と同様に、第1面A上で物品10を搬送する。第3コンベア132が物品10を下方から支持する部分の幅は、第1コンベア110が物品10を下方から支持する部分の幅より狭く、典型的には1/2未満である。ここで、第3コンベア132を設ける場合には、押し出し部134は必ずしも必要ではないが、押し出し部134をガイド部材で構成する場合には、第3コンベア132が物品10を下方から支持する部分の幅は、ガイド部材によって決定されうる。回転機構130が第3コンベア132を含んで構成される場合には、第1コンベア110によって搬送されてくる物品10は、第3コンベア132(第1面A)上から第2コンベア120(第2面)上に転がり落ちることにより略90度回転する。
【0027】
第1面A上から第2面B上に転がり落ちることによって仮想軸VAX周りで略90回転した物品10は、その向きを保ったまま第2コンベア120によって搬送される。第2コンベア120上の物品10は、その接合部分10Bが側方を向いている。
【0028】
検査装置170は、例えば、撮像素子を有するカメラ172と、カメラ172で撮像された画像を解析することにより物品10の接合部分10Bが正常であるか否かを判定する解析装置174とを含みうる。
【0029】
第2コンベア120を通して検査装置170に搬送される物品10は、搬送路の側方に配置されたカメラ172によって接合部分10Bが撮像され、接合部分10Bが検査される。物品10の接合部分10Bは、更に目視によって検査されてもよい。
【0030】
以上のように、操作装置100によって物品10を回転させることにより、搬送装置上において物品10を容易に検査することができる。しかも、物品10を第1面A上からそれより低い第2面B上に落としながら回転させる方式によれば、簡単な構成で物品10の向きを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】シュリンクフィルムで包装された物品の一例を示す図である。
【図2】シュリンクフィルムで物品を包装する包装装置における包装方法を示す図である。
【図3】本発明の好適な実施形態の操作装置の概略構成を示す平面図である。
【図4】本発明の好適な実施形態の操作装置の概略構成を示す側面図である。
【図5】本発明の好適な実施形態の操作装置の概略構成を示す斜視図である。
【図6】操作装置の下流側に配置されうる検査装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0032】
10 物品
20 シュリンクフィルム
30 胴部
40 トップシール
50 三角天面
60 底部
70 キャップ
10B シュリンクフィルムの接合部を有する面
100 操作装置
110 第1コンベア
112、114 ガイド部材
120 第2コンベア
122、124 ガイド部材
130 回転機構
132 第3コンベア
134 押し出し部
136 ローラー
138 モーター
170 検査装置
172 カメラ
174 解析装置
A 第1面(第1コンベア、第3コンベアの搬送面)
B 第2面(第2コンベアの搬送面)
VAX 仮想軸
200 包装装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を操作する操作装置であって、
第1面上で物品を搬送する第1コンベアと、
前記第1面よりも低い第2面上で物品を搬送する第2コンベアと、
前記第1コンベアによって搬送されてくる物品を前記第1コンベアによる搬送方向に略平行な仮想軸の周りで略90度回転させながら前記第1面上から前記第2面上に落として前記第2コンベアに渡す回転機構と、
を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記回転機構は、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品が前記第1面上から前記第2面上に転がり落ちるように、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品を側方に押し出す押し出し部を含むことを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記押し出し部は、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品の側方をガイドするガイド部材を含むことを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記回転機構は、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品が前記仮想軸の周りで回転を開始する位置を規定する規定機構を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項5】
前記規定機構は、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品の側面を支持するローラーを含むことを特徴とする請求項4に記載の操作装置。
【請求項6】
前記回転機構は、前記第1コンベアによる搬送方向の下流側に配置された第3コンベアを含み、前記回転機構は、前記第1コンベアによって搬送されてくる物品が前記第3コンベア上から前記第2コンベア上に転がり落ちるように構成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の操作装置。
【請求項7】
物品の包装設備であって、
物品を包装する包装装置と、
前記包装装置から排出される包装された物品を搬送する搬送装置と、
前記搬送装置によって搬送されてくる物品を検査する検査装置とを備え、
前記搬送装置は、請求項1〜6のいずれか1項に記載の操作装置を有し、
前記検査装置は、前記包装装置から排出され、前記搬送装置が有する前記操作装置により前記仮想軸の周りで略90度回転させられた物品について、その回転により側方を向いた面を検査する、
ことを特徴とする包装設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−143349(P2006−143349A)
【公開日】平成18年6月8日(2006.6.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−332073(P2004−332073)
【出願日】平成16年11月16日(2004.11.16)
【出願人】(502392375)アサヒ協和酒類製造株式会社 (5)
【Fターム(参考)】